(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルを照明する照明部と、を有する表示器と、前記液晶表示パネルの温度を示す温度検出値を取得する温度入力部と、前記温度検出値に応じて前記照明部の輝度を制限する最大調光値を決定する温度ディレーティング制御を行う制御部と、を備える液晶表示装置であって、
複数の温度検出値に対応付けられた複数の第1の最大調光値を含む第1の温度ディレーティングデータと、前記複数の温度検出値に対応付けられた複数の第2の最大調光値を含む第2の温度ディレーティングデータと、を格納する記憶部をさらに備え、
前記第2の温度ディレーティングデータにおける前記第2の最大調光値は、前記第1の温度ディレーティングデータにおいて同じ温度検出値に対応する前記第1の最大調光値以下の値であり、前記第2の最大調光値の少なくとも一部は、前記第1の最大調光値よりも小さい値に設定され、
前記制御部は、前記温度ディレーティング制御において、前記温度検出値が第1の値以上である場合に、前記最大調光値を前記照明部が消灯する値とし、前記温度検出値が前記第1の値よりも小さい第2の値未満であるか、所定時間における前記温度検出値の上昇量が所定の閾値未満である場合に、前記第1の温度ディレーティングデータに基いて前記最大調光値を決定し、前記温度検出値が前記第2の値以上であり、かつ、前記上昇量が前記閾値以上である場合に、それ以後は所定の条件を満たすまで前記第2の温度ディレーティングデータに基いて前記最大調光値を決定する、
ことを特徴とする液晶表示装置。
前記条件は、前記温度検出値が前記第1の値よりも小さい第3の値未満であり、かつ、前記第2の温度ディレーティングデータに基づく前記最大調光値の決定を所定回数以上実行した場合である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルを照明する照明部と、を有する表示器を備え、前記液晶表示パネルの温度を示す温度検出値を入力し、前記温度検出値に応じて前記照明部の輝度を制限する最大調光値を決定する温度ディレーティング制御を行う液晶表示装置の制御方法であって、
前記温度ディレーティング制御において、前記温度検出値が第1の値以上である場合に、前記最大調光値を前記照明部が消灯となる値とし、前記温度検出値が前記第1の値よりも小さい第2の値未満であるか、所定時間における前記温度検出値の上昇量が所定の閾値未満である場合に、第1の温度ディレーティングデータに基いて前記最大調光値を決定し、前記温度検出値が前記第2の値Tb以上であり、かつ、前記上昇量が前記閾値以上である場合に、それ以後は所定の条件を満たすまで第2の温度ディレーティングデータに基いて前記最大調光値を決定し、
前記第1の温度ディレーティングデータは、複数の温度検出値に対応付けられた複数の第1の最大調光値を含み、前記第2の温度ディレーティングデータは、前記複数の温度検出値に対応付けられた複数の第2の最大調光値を含み、前記第2の温度ディレーティングデータにおける前記第2の最大調光値は、前記第1の温度ディレーティングデータにおいて同じ温度検出値に対応する前記第1の最大調光値以下の値であり、前記第2の最大調光値の少なくとも一部は、前記第1の最大調光値よりも小さい値に設定される、
ことを特徴とする液晶表示装置の制御方法。
前記条件は、前記温度検出値が前記第1の値よりも小さい第3の値以下であり、かつ、前記第2の温度ディレーティングデータに基づく前記最大調光値の決定を所定回数以上実行した場合である、
ことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、温度ディレーティング制御を行う場合に、太陽光による温度上昇が急激であると液晶表示装置の表示時間が短くなるという点でなお改良の余地があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、温度ディレーティング制御を行う場合に、表示時間を長く確保することが可能な液晶表示装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液晶表示装置は、前述の課題を解決するために、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルを照明する照明部と、を有する表示器と、
前記液晶表示パネルの温度を示す温度検出値を取得する温度入力部と、前記温度検出値に応じて前記照明部の輝度を制限する最大調光値を決定する温度ディレーティング制御を行う制御部と、を備える液晶表示装置であって、
複数の温度検出値に対応付けられた複数の第1の最大調光値を含む第1の温度ディレーティングデータと、前記複数の温度検出値に対応付けられた複数の第2の最大調光値を含む第2の温度ディレーティングデータと、を格納する記憶部をさらに備え、
前記第2の温度ディレーティングデータにおける少なくとも一部の第2の最大調光値は、前記第1の温度ディレーティングデータにおいて同じ温度検出値に対応する第1の最大調光値よりも小さい値であり、
前記制御部は、前記温度ディレーティング制御において、前記温度検出値が第1の値以上である場合に、前記最大調光値を前記照明部が消灯する値とし、前記温度検出値が前記第1の値よりも小さい第2の値未満であるか、所定時間における前記温度検出値の上昇量が所定の閾値未満である場合に、前記第1の温度ディレーティングデータに基いて前記最大調光値を決定し、前記温度検出値が前記第2の値以上であり、かつ、前記上昇量が前記閾値以上である場合に、それ以後は所定の条件を満たすまで前記第2の温度ディレーティングデータに基いて前記最大調光値を決定する、
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の液晶表示装置の制御方法は、前述の課題を解決するために、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルを照明する照明部と、を有する表示器を備え、前記液晶表示パネルの温度を示す温度検出値を入力し、前記温度検出値に応じて前記照明部の輝度を制限する最大調光値を決定する温度ディレーティング制御を行う液晶表示装置の制御方法であって、
前記温度ディレーティング制御において、前記温度検出値が第1の値以上である場合に、前記最大調光値を前記照明部が消灯となる値とし、前記温度検出値が前記第1の値よりも小さい第2の値未満であるか、所定時間における前記温度検出値の上昇量が所定の閾値未満である場合に、第1の温度ディレーティングデータに基いて前記最大調光値を決定し、前記温度検出値が前記第2の値Tb以上であり、かつ、前記上昇量が前記閾値以上である場合に、それ以後は所定の条件を満たすまで第2の温度ディレーティングデータに基いて前記最大調光値を決定し、
前記第1の温度ディレーティングデータは、複数の温度検出値に対応付けられた複数の第1の最大調光値を含み、前記第2の温度ディレーティングデータは、前記複数の温度検出値に対応付けられた複数の第2の最大調光値を含み、前記第2の温度ディレーティングデータにおける少なくとも一部の第2の最大調光値は、前記第1の温度ディレーティングデータにおいて同じ温度検出値に対応する第1の最大調光値よりも小さい値である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温度ディレーティング制御を行う場合に、表示時間を長く確保することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態(図面の内容も含む。)によって限定されるものではない。下記の実施形態に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができるのはもちろんである。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用表示装置100の構成を示す図である。
車両用表示装置100は、本発明の液晶表示装置の一例であり、制御部10と表示器20とを備えてなる。
【0012】
制御部10は、例えばマイクロコンピュータからなり、制御部10が実行する処理(表示器20の制御など)を実際に行うCPU(Central Processing Unit)と、CPUのメインメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)と、制御部10に後述の処理などを実行させる各種プログラムを格納するROM(Read Only Memory)からなる記憶部11と、制御部10に入出力される情報(信号)をCPU用にデジタル変換したり出力用にアナログ変換したりする各種変換器と、を備える。制御部10は、CPUに加えて、制御部10が行う処理の一部をCPUに代わって実行するための各種専用回路(例えば、画像処理回路など)を備えても良い。制御部10は、本発明の温度入力部としても機能し、後述する温度センサ23から温度検出値を取得する。また、制御部10は、照度入力部としても機能し、後述する照度センサ23から照度検出値を取得する。制御部10は、温度検出値及び照度検出値に基いて、後述するバックライト22の輝度を制御するバックライト制御を行う。記憶部11には、後述する調光データ11A、第1,第2の温度ディレーティングデータ11B,11Cが格納されている。
【0013】
表示器20は、液晶表示パネル21と、バックライト22(照明部の一例)と、を有する透過型の表示器であり、車両情報を報知する報知画像を表示するものである。本実施形態において、ユーザ(主に、運転者)は、表示器20に表示された前記報知画像を直接視認する。また、表示器20には、液晶表示パネル21に照射される外光の明るさ(照度)を検出するための照度センサ23と、液晶表示パネル21の温度を検出するための温度センサ24と、が設けられている。
【0014】
液晶表示パネル21は、例えば、ガラスや樹脂等の透明な材料で形成され、互いに対向する一対の基板と、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなり、前記一対の基板の互いに対向する面に各々形成される透明電極と、この透明電極の各々を覆う配向膜と、前記一対の基板同士を接合するシール材と、前記一対の基板間に形成される空間に封入される液晶層と、前記一対の基板を外側から挟むように配置される一対の偏光板と、を備える。液晶表示パネル21は、公知の液晶表示パネルを適宜用いることができ、TN(Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型、STN(Super-Twisted Nematic)型、強誘電性型のいずれであってもよい。また、液晶表示パネル21は、TFT(Thin Film Transistor)型、パッシブ駆動型、スタティック駆動型のいずれであってもよい。
【0015】
バックライト22は、例えば、1又は複数のLED(Light Emitting Diode)から構成され、液晶表示パネル21の背面側に配置されている。バックライト22は、後述する制御部10のバックライト制御のもと、適切な輝度の照明光を出射する。これにより、表示器20は透過表示を行う。
【0016】
照度センサ23は、液晶表示パネル21に照射される外光の明るさを検出するために設けられるものである。照度センサ23は、例えば照射された光の明るさによって電流変化するフォトダイオードからなり、液晶表示パネル21の近傍に配置される。照度センサ23は、検出した光の明るさをアナログ信号からなる照度検出値に変換し、制御部10に出力する。制御部10は、照度センサ23から入力した照度検出値に基いて、後述する調光制御を行う。
【0017】
温度センサ24は、液晶表示パネル21の温度を検出するために設けられるものである。温度センサ24は、例えば温度によってその抵抗値が変化するサーミスタからなり、液晶表示パネル21の近傍に配置される。温度センサ24は、検出した温度をアナログ信号からなる温度検出値に変換し、制御部10に出力する。制御部10は、温度センサ23から入力した温度検出値に基いて、後述する温度ディレーティング制御を行う。
【0018】
次に、制御部10におけるバックライト制御について、
図2及び
図4を用いて説明する。制御部10は、例えば電源がオンされたときに、バックライト制御を開始する。なお、バックライト制御とともに液晶表示パネル21に画像を描画する画像表示制御が行われ、表示器20に所定の報知画像が表示される。
【0019】
ステップS1で、制御部10は、照度センサ23からの照度検出値及び温度センサ24からの温度検出値を入力する。
【0020】
ステップS2で、制御部10は、入力した照度検出値(以下、今回の照度検出値Lnowともいう)と記憶部11に格納される調光データ11Aとに基いて、バックライト22の調光値(以下、今回の調光値Pnowともいう)を決定する(調光制御)。具体的には、調光データ11Aは、
図4(a)に示すように、複数の照度検出値L1〜Lx(xは正の整数)に各々対応付けられた複数の調光値P1〜Pxを含むデータテーブルである。調光データ11Aは、概ね照度検出値L1〜Lxが高くなるほど対応する調光値P1〜Pxも高くなるように設定されている。例えば、制御部10は、調光データ11Aを参照し、今回の照度検出値Lnowに最も近似する照度検出値L1〜Lxに対応付けられた調光値P1〜Pxを記憶部11から読み出し、今回の調光値Pnowとする。なお、今回の照度検出値Lnowが照度検出値L1〜Lxの中間値である場合は補間処理によって今回の照度検出値Pnowを算出してもよい。
【0021】
ステップS3で、制御部10は、入力した温度検出値(以下、今回の温度検出値Tnowともいう)と記憶部11に格納される第1,第2の温度ディレーティングデータ11B,11Cとに基いて、バックライト22の最大調光値(以下、今回の最大調光値Pmaxともいう)を算出する(温度ディレーティング制御)。本実施形態における温度ディレーティング制御の詳細については後で述べる。
【0022】
ステップS4で、制御部10は、ステップS2で設定した今回の調光値PnowとステップS3で設定した今回の最大調光値Pmaxとのいずれかに基いてバックライト22に制御信号を出力する(調光出力)。例えばバックライト22の輝度制御がPWM(Pulse Width Modulation)制御による場合、今回の調光値Pnowあるいは今回の最大調光値Pmaxに基いて制御信号のオン時間の幅が変動することでバックライト22の輝度が調整される。具体的に、制御部10は、今回の調光値Pnowと今回の最大調光値Pmaxとを比較し、今回の調光値Pnowが今回の最大調光値Pmaxより小さい場合は今回の調光値Pnowに基いて制御信号を出力し、今回の調光値Pnowが今回の最大調光値Pmax以上である場合は今回の最大調光値Pmaxに基いて制御信号を出力する。すなわち、バックライト22の輝度は今回の最大調光値Pmaxに応じた輝度に制限される。今回の最大調光値Pmaxが0(ゼロ)である場合は、バックライト22は消灯する。
【0023】
制御部10は、以上のバックライト制御を電源がオフされるまで繰り返し実行する。これにより、液晶表示パネル21の周囲の外光の明るさと液晶表示パネル21の温度とに基いて、バックライト22の輝度が制御される。
【0024】
次に、制御部10における温度ディレーティング制御について、
図3及び
図4を用いて説明する。前述のように、温度ディレーティング制御は、バックライト制御におけるステップS3で実行される。
【0025】
ステップS31において、制御部10は、今回の温度検出値Tnowが第1の値Ta以上であるか否かを判定する。今回の温度検出値Tnowが第1の値Ta未満である場合(ステップS31でNO)は、ステップS32に進む。今回の温度検出値Tnowが第1の値Ta以上である場合(ステップS31でYES)は、ステップS42に進む。
【0026】
ステップS32において、制御部10は、所定時間における温度検出値の上昇量dTを算出する。温度検出値の上昇量dTは、今回の温度検出値Tnowから前回の温度検出値Toldを減算した値である(dT=Tnow−Told)。
【0027】
ステップS33において、制御部10は、遅延フラグfがオン状態であるか否かを判定する。なお、遅延フラグfの初期状態はオフ状態であるものとする。遅延フラグfがオン状態でない場合(ステップS33でNO)は、ステップS34に進む。遅延フラグfがオン状態である場合(ステップS33でYES)は、ステップS37に進む。
【0028】
ステップS34において、制御部10は、今回の温度検出値Tnowが第2の値Tb以上であるか否かを判定する。第2の値Tbは、第1の値Taより小さい値が設定される(Tb<Ta)。今回の温度検出値Tnowが第2の値Tb以上である場合(ステップS34でYES)は、ステップS35に進む。今回の温度検出値Tnowが第2の値Tb未満である場合(ステップS34でNO)は、ステップS39に進む。
【0029】
ステップS35において、制御部10は、温度検出値の上昇量dTが所定の閾値dTH以上であるか否かを判定する。温度検出値の上昇量dTが閾値dTH以上である場合は、ステップS36に進む。温度検出値の上昇量dTが閾値dTHより小さい場合は、ステップS39に進む。
【0030】
ステップS36において、制御部10は、遅延フラグfをオン状態とし、カウント値Cを初期化する(初期値とする)。ステップS36の後はステップS41に進む。
【0031】
ステップS37において、制御部10は、カウント値Cをデクリメント(1を減算)する。
【0032】
ステップS38において、制御部10は、今回の温度検出値Tnowが第3の値Tc未満であるか否かを判定する。第3の値Tcは第1の値Taより小さい値が設定される(Tc<Ta)。また、第3の値Tcは第2の値Tb以下であることが望ましい(Tc≦Tb)。今回の温度検出値Tnowが第3の値Tc以上である場合(ステップS38でNO)は、ステップS41に進む。今回の温度検出値Tnowが第3の値Tc未満である場合(ステップS38でYES)は、ステップS39に進む。
【0033】
ステップS39において、制御部10は、カウント値Cが0(ゼロ)であるか否かを判定する。カウント値Cが0である場合(ステップS39でYES)は、ステップS40に進む。カウント値Cが0でない場合は(ステップS39でNO)は、ステップS41に進む。
【0034】
ステップS40において、制御部10は、遅延フラグfをオフ状態とする。ステップS40の後はステップS41に進む。
【0035】
ステップS41において、制御部10は、遅延フラグfの状態に応じて、今回の最大調光値Pmaxを決定する。具体的に、制御部10は、遅延フラグfがオフ状態である場合は第1の温度ディレーティングデータ11Bに基いて今回の最大調光値Pmaxを決定する。
図4(b)に示すように、第1の温度ディレーティングデータ11Bは、第1の値Taよりも小さい複数の温度検出値T1〜Ty(yは正の整数)と、複数の温度検出値T1〜Tyに対応付けられた複数の第1の最大調光値P11〜P1yと、を含むデータテーブルである。第1の最大調光値P11〜P1yは、最小の温度検出値T1に対応する第1の最大調光値P11が最大となり、最大の温度検出値Tyに対応する第1の最大調光値P1yが最小となるように設定される。言い換えると、第1の最大調光値P11〜P1yは、概ね対応する温度検出値T1〜Tyが大きくなるのに応じて値が大きくなる。第1の最大調光値P11〜P1yはその一部で値が等しくてもよい。例えば、対応する温度検出値T1〜Tyの値が小さい範囲においては第1の最大調光値P11〜P1yは最大値を維持してもよい。制御部10は、第1の温度ディレーティングデータ11Bを参照し、今回の温度検出値Tnowと最も近似する(等しい場合を含む)温度検出値T1〜Tyに対応付けられた第1の最大調光値P11〜P1yを今回の最大調光値Pmaxとする。また、制御部10は、今回の温度検出値Tnowが温度検出値T1〜Tyの2つの値の中間である場合は補間処理によって今回の最大調光値Pmaxを算出してもよい。また、制御部10は、遅延フラグfがオン状態である場合は第2の温度ディレーティングデータ11Cに基いて最大調光値Pmaxを決定する。
図4(c)に示すように、第2の温度ディレーティングデータ11Cは、第1の温度ディレーティングデータ11Bと同様の複数の温度検出値T1〜Tyと、複数の温度検出値T1〜Tyに対応付けられた複数の第2の最大調光値P21〜P2yと、を含むデータテーブルである。第2の最大調光値P21〜P2yは、最小の温度検出値T1に対応する第2の最大調光値P21が最大となり、最大の温度検出値Tyに対応する第1の最大調光値P2yが最小となるように設定される。言い換えると、第2の最大調光値P21〜P2yは、概ね対応する温度検出値T1〜Tyが大きくなるのに応じて値が大きくなる。また、第2の最大調光値P21〜P2yの少なくとも一部は、第1の温度ディレーティングデータ11Bにおいて同じ温度検出値T1〜Tyに対応する第1の最大調光値P11〜P1yよりも小さい値に設定される。例えば、第2の最大調光値P2yは第1の最大調光値P1yと等しく、その他の第2の最大調光値P21、P22、P23・・・は第1の最大調光値P11、P12、P13・・・より小さくなるように設定される。例えば、制御部10は、第2の温度ディレーティングデータ11Cを参照し、今回の温度検出値Tnowと最も近似する(等しい場合を含む)温度検出値T1〜Tyに対応付けられた第2の最大調光値P21〜P2yを今回の最大調光値Pmaxとする。また、制御部10は、今回の温度検出値Tnowが温度検出値T1〜Tyの2つの値の中間である場合は補間処理によって今回の最大調光値Pmaxを算出してもよい。ステップS41の後は温度ディレーティング制御を終了する。これにより、バックライト制御のその後の処理においてバックライト22の輝度は今回の最大調光値Pmaxに応じた輝度に制限される。
【0036】
ステップS42において、制御部10は、今回の最大調光値Pmaxを0(ゼロ)とする。ステップS42の後は温度ディレーティング制御を終了する。調光値の0(ゼロ)は、バックライト22が消灯する値であるものとする。例えば、PWM制御においては制御信号のオン時間が0(ゼロ)となる。これにより、バックライト制御のその後の処理においてバックライト22は消灯する。
【0037】
次に、
図5を用いて上述の温度ディレーティング制御を行うことによる作用及び効果について説明する。
図5は、今回の温度検出値Tnowと今回の最大調光値Pmaxとの関係を示す図である。第1の温度ディレーティング特性I1は、今回の温度検出値Tnowと第1の温度ディレーティングデータ11Bに基いて決定される今回の最大調光値Pmaxとの関係を示す。第2の温度ディレーティング特性I2は、今回の温度検出値Tnowと第2の温度ディレーティングデータ11Cに基いて決定される今回の最大調光値Pmaxとの関係を示す。
【0038】
本実施形態における温度ディレーティング制御は、遅延フラグfの初期状態がオフ状態であり、第1の温度ディレーティングデータ11Bに基いて今回の最大調光値Pmaxが決定されることが基本となる。これに加え、今回の温度検出値Tnowが第2の値Tb以上であり(ステップS34でYES)、かつ、温度検出値の上昇量dTが閾値dTH以上である場合(ステップS35でYES)、遅延フラグfがオン状態となり(ステップS36)、第2の温度ディレーティングデータ11Cに基いて今回の最大調光値Pmaxを決定する状態に移行する。例えば、
図5に示すように今回の温度検出値Tnowが所定の第4の値Tdであった場合を考える。なお、第4の値Tdは第1の値Taより小さいものとする(Td<Ta)。このとき、通常であれば第1の温度ディレーティングデータ11Bに基いて今回の最大調光値Pmaxは最大調光値Paに決定される。一方、第4の値Tdが第2の値Tb以上であり(ステップS34でYES)、かつ、所定時間における温度検出値の上昇量dTが閾値dTH以上である場合(ステップS35でYES)は、遅延フラグfはオン状態となり(ステップS36)、第2の温度ディレーティングデータ11Cに基いて今回の最大調光値Pmaxは最大調光値Pbに決定される。すなわち、外光が液晶表示パネル21に直接照射されるなどによって液晶表示パネル21の温度が急激に上昇する場合には、最大調光値Paと最大調光値Pbとの差分aだけ通常時よりも急峻にバックライト22の輝度を下げることができる。したがって、液晶表示パネル21の温度が短時間のうちに表示器20が非表示となる(バックライト22が消灯する)温度まで上昇することを抑制でき、1つの温度ディレーティングデータのみを用いる場合と比較して表示時間を長く確保することができる。
【0039】
本実施形態の温度ディレーティング制御において、一度遅延フラグfがオン状態となると、それ以後は所定の解除条件を満たすまで繰り返し第2の温度ディレーティングデータ11Cに基いて今回の最大調光値Pmaxが決定されることとなる。ここで、解除条件とは、今回の温度検出値Tnowが第3の値Tc未満であり(ステップS38でYES)、かつ、カウント値Cが0(ゼロ)である場合(ステップS39でYES)、すなわち、第2の温度ディレーティングデータ11Cに基づく今回の最大調光値Pmaxの決定を所定回数(カウント値Cの初期値)以上実行した場合である。例えば、液晶表示パネル21の温度が上昇から低下に転じて、今回の温度検出値Tnowが
図5に示す所定の第5の値Teであった場合を考える。なお、第5の値Teは第1の値Taより小さいものとする(Te<Ta)。このとき、上述の解除条件を満たすと遅延フラグfはオフ状態となり(ステップS40)、基本となる第1の温度ディレーティングデータ11Bに基いて今回の最大調光値Pmaxは最大調光値Pcに決定される。一方、上述の解除条件を満たさないと遅延フラグfはオン状態に維持され、第2の温度ディレーティングデータ11cに基いて今回の最大調光値Pmaxは最大調光値Pdに決定される。すなわち、第2の温度ディレーティングデータ11Cに基づく最大調光値Pmaxの決定から基本となる第1の温度ディレーティングデータ11Bに基づく最大調光値Pmaxの決定に戻る場合は、最大調光値Pcと最大調光値Pdとの差分bだけ急峻にバックライト22の輝度が上昇することとなる。これに対し、今回の温度検出値Tnowによる条件と実行回数による条件とを解除条件とすることで、第1の温度ディレーティングデータ11Bに基づく今回の最大調光値Pmaxの決定と第2の温度ディレーティングデータ11Cに基づく今回の最大調光値Pmaxとの決定とが短時間に交互に繰り返される(チャタリングの発生)ことを防ぎ、バックライト22の輝度にちらつきが生じることを抑制できる。
【0040】
本実施形態の車両用表示装置100は、液晶表示パネル21と、液晶表示パネル21を照明するバックライト22と、を有する表示器20と、
液晶表示パネル21の温度を示す温度検出値Tnowを取得する温度入力部(制御部10)と、温度検出値Tnowに応じてバックライト22の輝度を制限する最大調光値Pmaxを決定する温度ディレーティング制御を行う制御部10と、を備える液晶表示装置であって、
複数の温度検出値T1〜Tyに対応付けられた複数の第1の最大調光値P11〜P1yを含む第1の温度ディレーティングデータ11Bと、複数の温度検出値T1〜Tyに対応付けられた複数の第2の最大調光値P21〜P2yを含む第2の温度ディレーティングデータ11Cと、を格納する記憶部11をさらに備え、
第2の温度ディレーティングデータ11Cにおける少なくとも一部の第2の最大調光値P21〜P2yは、第1の温度ディレーティングデータ11Bにおいて同じ温度検出値T1〜Tyに対応する第1の最大調光値P11〜P1yよりも小さい値であり、
制御部10は、前記温度ディレーティング制御において、温度検出値Tnowが第1の値Ta以上である場合に、最大調光値Pmaxをバックライト22が消灯する値とし、温度検出値Tnowが第1の値Taよりも小さい第2の値Tb未満であるか、所定時間における温度検出値Tnowの上昇量dTが所定の閾値dTH未満である場合に、第1の温度ディレーティングデータ11Bに基いて最大調光値Pmaxを決定し、温度検出値Tnowが第2の値Tb以上であり、かつ、上昇量dTが閾値dTH以上である場合に、それ以後は所定の条件を満たすまで第2の温度ディレーティングデータ11Cに基いて最大調光値Pmaxを決定する。
【0041】
これによれば、温度ディレーティング制御を行う場合に、表示時間を長く確保することが可能となる。
【0042】
また、車両用表示装置100において、前記条件は、温度検出値Tnowが第1の値taよりも小さい第3の値Tc未満であり、かつ、第2の温度ディレーティングデータ11Cに基づく最大調光値Pmaxの決定を所定回数以上実行した場合である。
【0043】
これによれば、バックライト22の輝度のちらつきを抑制することができる。
【0044】
本実施形態である車両用表示装置100の制御方法は、液晶表示パネル21と、液晶表示パネル21を照明するバックライト22と、を有する表示器20を備え、液晶表示パネル21の温度を示す温度検出値Tnowを入力し、温度検出値Tnowに応じてバックライト22の輝度を制限する最大調光値Pmaxを決定する温度ディレーティング制御を行う液晶表示装置の制御方法であって、
前記温度ディレーティング制御において、温度検出値Tnowが第1の値Ta以上である場合に、最大調光値Pmaxをバックライト22が消灯となる値とし、温度検出値Tnowが第1の値Taよりも小さい第2の値Tb未満であるか、所定時間における温度検出値Tnowの上昇量dTが所定の閾値dTH未満である場合に、第1の温度ディレーティングデータ11Bに基いて最大調光値Pmaxを決定し、温度検出値Tnowが第2の値Tb以上であり、かつ、上昇量dTが閾値dTH以上である場合に、それ以後は所定の条件を満たすまで第2の温度ディレーティングデータ11Cに基いて最大調光値Pmaxを決定し、
第1の温度ディレーティングデータ11Bは、複数の温度検出値T1〜Tyに対応付けられた複数の第1の最大調光値P11〜P1yを含み、第2の温度ディレーティングデータ11Cは、複数の温度検出値T1〜Tyに対応付けられた複数の第2の最大調光値P21〜P2yを含み、第2の温度ディレーティングデータ11Cにおける少なくとも一部の第2の最大調光値P21〜P2yは、第1の温度ディレーティングデータ11Bにおいて同じ温度検出値T1〜Tyに対応する第1の最大調光値P11〜P1yよりも小さい値である。
【0045】
これによれば、温度ディレーティング制御を行う場合に、表示時間を長く確保することが可能となる。
【0046】
また、車両用表示装置100の制御方法において、前記条件は、温度検出値Tnowが第1の値Taよりも小さい第3の値Tc以下であり、かつ、第2の温度ディレーティングデータ11Cに基づく最大調光値Pmaxの決定を所定回数以上実行した場合である。
【0047】
これによれば、バックライト22の輝度のちらつきを抑制することができる。
【0048】
(別例)
なお、本発明の第2の温度ディレーティングデータは本実施形態に限定されるものではなく、少なくとも一部の第2の最大調光値が、第1の温度ディレーティングデータにおいて同じ温度検出値に対応する第1の最大調光値よりも小さい値に設定されるものであればよい。
図6における第3の温度ディレーティング特性I3は、今回の温度検出値Tnowと第2の温度ディレーティングデータの別例に基いて決定される今回の最大調光値Pmaxとの関係を示す。第2の温度ディレーティングデータの別例においては、複数の一部の第2の最大調光値が、第1の温度ディレーティングデータにおいて同じ温度検出値に対応する第1の最大調光値よりも小さい値に設定される。また他の複数の一部の第2の最大調光値が同じ値であり、さらに他の複数の一部の第2の最大調光値は同じ温度検出値に対応する第1の最大調光値と同じ値に設定されている。
【0049】
本実施形態の車両用表示装置100は、ユーザが表示器20に表示された報知画像を直視する直視型の液晶表示装置であったが、本発明は、ヘッドアップディスプレイ装置などに用いられる、ユーザがフロントガラスなどの被投影部材を介して報知画像(虚像)を視認する虚像型の液晶表示装置及びその制御方法に適用されてもよい。