特許第6979191号(P6979191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカギの特許一覧

特許6979191磁石保持布片及びこれを備えた製品の製造方法
<>
  • 特許6979191-磁石保持布片及びこれを備えた製品の製造方法 図000002
  • 特許6979191-磁石保持布片及びこれを備えた製品の製造方法 図000003
  • 特許6979191-磁石保持布片及びこれを備えた製品の製造方法 図000004
  • 特許6979191-磁石保持布片及びこれを備えた製品の製造方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979191
(24)【登録日】2021年11月17日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】磁石保持布片及びこれを備えた製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/04 20060101AFI20211125BHJP
   A61N 2/08 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   A41D13/04
   A61N2/08 G
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-154954(P2017-154954)
(22)【出願日】2017年8月10日
(65)【公開番号】特開2019-31766(P2019-31766A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】594152929
【氏名又は名称】株式会社タカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】猪口 えり
(72)【発明者】
【氏名】高木 鎮廣
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−021060(JP,U)
【文献】 特開2000−314001(JP,A)
【文献】 特開2000−154409(JP,A)
【文献】 特開2005−105512(JP,A)
【文献】 実開昭57−13043(JP,U)
【文献】 実開昭60−63355(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 31/04
A61N 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布と防水層とを接合して得られる二枚の防水布の間に磁石を配し、これらを加圧加熱して一体化し、一方の前記防水布の前記基布と他方の前記防水布の前記基布の間の二つの前記防水層が前記磁石を密封する磁石保持布片を形成することを特徴とする磁石保持布片の製造方法
【請求項2】
前記加圧加熱する前の前記一方の防水布の防水層の外面にはホットメルト接着剤を設けてある請求項1に記載の磁石保持布片の製造方法
【請求項3】
隣り合う前記磁石の磁極の向きが逆になるように前記磁石を複数設ける請求項1又は2に記載の磁石保持布片の製造方法
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の磁石保持布片の製造方法によって製造した前記磁石保持布片を製品に縫い付けることを特徴とする製品の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、布に磁石を内蔵させた磁石保持布片及びこれを備えた製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁石が取り付けられた肌着や健康衣料が提案されている(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−314001号公報
【特許文献2】特公平7−102232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の肌着や健康衣料では、洗濯や汗で磁石が錆びることについて考慮されていない。
【0005】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、内蔵した磁石を錆にくくすることのできる磁石保持布片及びこれを備えた製品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る磁石保持布片の製造方法は、基布と防水層とを接合して得られる二枚の防水布の間に磁石を配し、これらを加圧加熱して一体化し、一方の前記防水布の前記基布と他方の前記防水布の前記基布の間の二つの前記防水層が前記磁石を密封する磁石保持布片を形成する(請求項1)。
【0007】
上記磁石保持布片の製造方法において、前記加圧加熱する前の前記一方の防水布の防水層の外面にはホットメルト接着剤を設けてあってもよく(請求項2)、また、隣り合う前記磁石の磁極の向きが逆になるように前記磁石を複数設けてもよい(請求項3)。
【0008】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る製品の製造方法は、請求項1〜3の何れか一項に記載の磁石保持布片の製造方法によって製造した前記磁石保持布片を製品に縫い付けることを特徴としている(請求項4)。
【発明の効果】
【0009】
本願発明では、内蔵した磁石を錆にくくすることのできる磁石保持布片及びこれを備えた製品の製造方法が得られる。
【0010】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の方法で得られる磁石保持布片では、防水層が磁石を密封することにより、磁石保持布片に水がかかっても磁石が濡れることは防止され、内蔵した磁石を錆にくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(A)及び(B)は、本発明の一実施の形態に係る磁石保持布片の構成を概略的に示す平面図及び側面図である。
図2】(A)及び(B)は、前記磁石保持布片を備えた製品の一例の構成を概略的に示す前方斜視図及び後方斜視図である。
図3】前記磁石保持布片の構成を概略的に示す部分拡大分解縦断面図である。
図4】前記磁石保持布片の変形例の構成を概略的に示す部分拡大分解縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0013】
図1(A)及び(B)に示す磁石保持布片1は、図2(A)及び(B)に示す脚用サポーター2(衣類の一例)の前後の内側に縫い付けられるものであり、図3に示す分解構造を有している。
【0014】
以下、磁石保持布片1の構造の説明を兼ねて、磁石保持布片1の製造方法について説明する。
【0015】
図3に示すように、磁石保持布片1は、二枚の防水布3、4の間に磁石(永久磁石)5を挟み込んで作成したものであり、各防水布3,4は、基布6と防水層7(本例ではポリウレタンフィルム)を接着剤8で接合して得られ、うち一方の防水布3の防水層7の外面にはホットメルト接着剤9を設けてある。なお、図示例では、基布6と防水層7とを接着剤8により点接着してあるが、線接着あるいは面接着(全面接着)するようにしてもよい。
【0016】
そして、磁石5を二枚の防水布3、4の間に配し、熱プレス機で加圧加熱することにより、二枚の防水布3,4の間に磁石5が挟まれた状態でこれらが一体化され、磁石保持布片1が得られる。このようにして得られる磁石保持布片1では、防水布3の基布6と防水布4の基布6の間の防水層7,7が磁石5を密封することになり、磁石保持布片1に水がかかっても磁石5が濡れることは防止される。従って、この磁石保持布片1では、内蔵した磁石5を錆にくくすることができる。
【0017】
斯かる磁石保持布片1は、図2(A)及び(B)に示すように、脚用サポーター2に縫い付けられるのであり、必要に応じ、脚用サポーター2への縫い付け位置を変更したり、脚用サポーター2から取り外したりすることも容易である。
【0018】
磁石保持布片1の各部材の寸法や素材等は、磁石保持布片1が上記のようにして用いられることを考慮して、適宜決めればよい。
【0019】
ちなみに、本例の磁石5は、平面視が直径4mm±1mmの円形で、厚みが1.8mm±0.1mmの薄い円柱状をしている。また、磁石保持布片1に磁石5を一列に計四つ並べて設けてあり、各磁石5の間隔は12mm±4mmとしてある。
【0020】
二枚の防水布3,4の基布6,6の素材としては、綿やポリエステル等を挙げることができ、二枚の防水布3,4の基布6,6の素材は同一であっても異なっていてもよい。
【0021】
また、熱プレス機による加圧加熱の条件は、用いる素材等に応じて適宜に設定すればよく、本例では、圧力300g/cm、温度170℃での熱プレスを1回目は20秒、冷めてからの2回目を15秒行っているが、圧力、温度、時間、回数はこれに限らない。
【0022】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0023】
図1(A)及び(B)には、磁石保持布片1(防水布3,4)を矩形状の布片にした例を示しているが、これに限らず、他の四角形さらには他の多角形や、円形、楕円形等としてもよい。
【0024】
上記実施の形態では、磁石5を薄い円柱形としているが、他の形状としてもよい。ただし、強力な磁力を得るという点からは、円柱かそれに近い形状とするのが望ましい。また、一般に強い磁力が得られるという点から、磁石5には焼結磁石を用いるのが好ましいが、ボンド磁石を用いるようにしてもよい。いずれの場合も、磁石5の磁極が磁石保持布片1の厚み方向に形成されるように各磁石5を配置するのが好ましい。
【0025】
図1(A)及び(B)には、磁石5を一列に四つ設けた例を示しているが、磁石5の数は、四つ以外でもよく、例えば磁石保持布片1に磁石5を一つのみ設けるようにしてもよい。また、磁石5を複数設ける場合に、必ずしも一列に並べる必要はなく、複数列に並べてもよいし、格子状、千鳥状やランダム状に配置してもよい。但し、磁石5を規則的に並べる場合、隣り合う磁石5の磁極の向きが逆になるようにしておくのが好ましい。
【0026】
上記実施の形態では、ホットメルト接着剤9を介して二枚の防水布3,4を接合しているが、これに限らず、例えば熱融着時に防水性を保てる熱可塑性樹脂で防水層7を構成し、ホットメルト接着剤9を用いず、防水層7を熱融着することにより二枚の防水布3,4を接合するようにしてもよい。また、二枚の防水布3,4を、加熱することなく、接着剤の塗布や加圧等によって接合するようにしてもよい。
【0027】
磁石保持布片1は、全体として透湿性や通気性を有するものであってもよいし、有していなくてもよい。上記実施の形態の例で言えば、二枚の防水布3,4の各基布6は通常透湿性・通気性を有し、点接着の場合には接着剤8によって形成される接着層も透湿性・通気性を有することになる。従って、二つの防水層7と、ホットメルト接着剤9によって形成されるホットメルト層とがともに透湿性・通気性を有していれば、磁石保持布片1は、全体として透湿性や通気性を有することになる。但し、この場合、磁石5への水分の接触を完全に断つことはできないため、磁石5の錆を完全に防止することは困難となるが、そうであっても、二つの防水層7による防水効果により、磁石5を錆び難くすることは可能である。なお、防水性を有し、かつ、透湿性を有する素材(ポリウレタンフィルム等)は公知である。
【0028】
また、二つの防水層7と、ホットメルト接着剤9によって形成されるホットメルト層との何れかが透湿性・通気性を有していない場合であっても、例えば、図4に示すように、二つの防水層7と、ホットメルト層とを磁石5を覆う部分のみに設けるようにすれば、磁石保持布片1に透湿性や通気性を持たせることができる。この場合、防水層7及びホットメルト層が存在しない部分において、二枚の防水布3,4の基布6どうしを接着剤等によって接合してもしなくてもよい。但し、二枚の防水布3,4の剥離防止等の観点から、少なくとも磁石保持布片1の外周部においては、基布6どうしを接合してあることが好ましい。
【0029】
また、磁石保持布片1が全体として透湿性や通気性を有していない場合であっても、例えば磁石保持布片1における磁石5を避けた位置に磁石保持布片1を厚み方向に貫く貫通孔を設けることにより、透湿性や通気性を持たせることは可能である。
【0030】
磁石保持布片1を縫い付ける製品としては、脚用サポーター2に限らず、例えば、他のサポーター、インナーウエア、靴下、Tシャツ等の上衣、スラックス等の下衣、帽子、腹巻、リストバンド等のバンド、といった衣類の他、枕(枕カバー)、シーツ等の寝具類等を挙げることができる。そして、これらの製品に縫い付ける磁石保持布片1の位置や個数は適宜に設定可能である。
【0031】
また、磁石保持布片1は、主として磁石5による健康増進効果を期待して使用してもよいのは勿論であるが、例えば、名札、バッジや装身具(例えば、アクセサリー)等を衣類等の所定の箇所に着脱自在とするために用いることも可能である。この場合、衣類等の適宜の位置に磁石保持布片1を縫い付けておくとともに、この衣類等に着脱しようとする名札等に、磁石保持布片1の磁石5に磁力でくっつけることのできる磁石や鉄片等を設けておけばよい。そして、この場合、磁力による結合保持の確実性から考えれば、磁石保持布片1は衣類等の外側に設けておくのが望ましいが、生地が十分薄い場合や強い磁力が得られる場合には、衣類等の内側に設けてあってもよい。
【0032】
なお、本明細書で挙げた変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0033】
1 磁石保持布片
2 脚用サポーター
3 防水布
4 防水布
5 磁石
6 基布
7 防水層
8 接着剤
9 ホットメルト接着剤
図1
図2
図3
図4