【実施例】
【0024】
図1は、本発明の実施例に係るバルブユニットを適用した、加熱攪拌装置の底部断面図である。
【0025】
図1のように、加熱攪拌装置は、容器として加熱釜1を備えている。加熱釜1内で、例えば調理用ソース、カレールーソース、スープ等の流動性食材を加熱攪拌調理することができる。
【0026】
前記加熱釜1の球面状の底部3には、その中央に開口部5が形成されている。バルブユニット7は、開口部5に取り付けられ、弁座9を有する弁筒体11と弁体13と弁駆動部15とを備えている。
【0027】
バルブユニット7は、開口部5に取り付けられ、弁駆動部15に連動した弁体13の弁座9に対する選択的な開閉動作により加熱釜1内の流動材が接続口17から弁筒体11内を通して排出口19から排出される。
【0028】
前記弁筒体11は、接続口17と排出口19とが交差するように指向して配置されている。接続口17と排出口19とは、本実施例において直交している。接続口17と排出口19との交差は、直交以外でもよい。
【0029】
弁筒体11は、接続口17側の第1の筒体21と排出口19側の第2の筒体23とからなっている。
【0030】
第1の筒体21と第2の筒体23とは、第1、第2の接合フランジ21a、23aを有している。第1、第2の接合フランジ21a、23aが接合され、クランプ25により離脱可能に結合固定されている。
【0031】
第1の筒体21の接続口17は、接続部27の内周部として形成されている。接続部27の端面には、接続口17に連続する曲面29が形成されている。接続部27は、外周部27aが開口部5に嵌合し、溶接等により底部3に結合されている。曲面29は、底部3の内面と同一の曲率で形成され、曲面29が底部3に連続している。
【0032】
接続口17は、上下の若干の長さ有し、ストレートに形成されている。
【0033】
弁筒体11の第1の筒体21と弁体13の周囲との間に接続口17に連通する第1の排出路31が形成される。第1の排出路31は、大径部31aと第1、第2のテーパー部31b、31cとを有している。
【0034】
大径部31aは、第1の排出路31を拡径する部分であり、ストレートに形成されている。第1のテーパー部31bは、接続口17から大径部31aに連続するように形成されている。第1のテーパー部31bは、前記弁座9を上部側に一体に連続的に備えている。弁座9は、加熱釜1に対し外側に向いて形成されている。
【0035】
第2のテーパー部31cは、大径部31aから第1の接合フランジ21a側の第1の内径部33に連続するように形成されている。第1の内径部33は、接続口17の口径よりも大きく形成されている。
【0036】
第1、第2のテーパー部31b、31cと大径部31aとの間、第2のテーパー部31cと第1の内径部33との間は、アールをもって連続している。
【0037】
前記第2の筒体23の第2の接合フランジ23a側の第2の内径部35は、第1の内径部33と同径に形成され、インロー結合により同径のまま連続している。第2の筒体23は、湾曲して形成され、外側の第1のガイド面37と内側の第2のガイド面39間で断面円形の第2の排出路41が形成されている。従って、弁体13の周囲の排出路である第1の排出路31と排出口19との間に、湾曲した第1のガイド面37を備えている。
【0038】
第1のガイド面37は、断面での湾曲線の曲率中心がほぼ点Cに設定されている。点Cは、接続口17及び排出口19の軸心を含む縦断面において第2の接合フランジ23aの上縁を結ぶ直線と第1の内径部33との交点である。この設定により第1のガイド面37は、前記縦断面において第1の排出路31側に指向している。
【0039】
つまり、第1のガイド面37は、第1の排出路31を径方向に挟む位置で第2のガイド面39側の第1の排出路31の下部に指向している。
【0040】
第2の排出路41は、第1の排出路31に連続し、第2の内径部35から排出口19に湾曲して至っている。第2の内径部35は、排出口19よりも大径に形成され、排出口19は、接続口17と同径に形成されている。
【0041】
第1のガイド面37には、蒸気供給口43と軸支時部45とが形成されている。
【0042】
蒸気供給口43は、洗浄用であり、接続口17と排出口19との間に備えられ、弁体13側に指向している。この蒸気供給口43は、前記縦断面からオフセットされた位置に軸心を有している。軸支時部45は、前記縦断面に軸心を有している。これにより、蒸気供給口43の噴出し線が弁体13の弁駆動軸47からずれて第1の排出路31に指向するように設定される。
【0043】
前記蒸気供給口43は、蒸気を選択的に供給可能とするように蒸気供給源44に接続されている。
【0044】
そして、前記蒸気供給口43から前記弁体13側に蒸気を選択的に供給して前記弁体13側の洗浄を行う構造となっている。
【0045】
前記弁体13は、前記弁筒体11側へ退避して前記弁座9から離間するように備えられている。
【0046】
弁体13は、弁駆動軸47の上端に取り付けられている。弁体13は、断面が逆三角形状の本体49にパッキン51をパッキンヘッド53で固定したものである。
【0047】
本体49及びパッキンヘッド53は、ステンレス等の金属で形成され、パッキン51は、テフロン(登録商標)などの樹脂で形成されている。
【0048】
本体49の上面は、接続口17の内径よりも大きく形成され、パッキン51の径に合わせている。
【0049】
パッキンヘッド53は、弁駆動軸47の上端に螺合結合され、本体49との間にパッキン51を挟持している。パッキンヘッド53の外径は、接続口17の内径とほぼ同一に形成され、接続口17に対し嵌合し且つ離脱するように移動可能となっている。
【0050】
弁体13が下方の離脱位置へ移動すると接続口17が開放され、弁体13の周囲で弁体13と大径部31a及び第1、第2のテーパー部31b、31cとの間に第1の排出路31が開放形成される。
【0051】
弁体13の離脱位置で本体49の下端は、第1の筒体21の下端に位置する。
【0052】
前記弁駆動部15は、シリンダ装置で構成され、軸支時部45の下端に支持されている。
【0053】
弁駆動軸47は、軸支時部45に2個のOリングを介して支持され、弁駆動部15内に挿入されている。
【0054】
弁駆動部15は、シリンダ55を有している。シリンダ55内は、ピストン57によって第1、第2の圧力室59、61に区画されている。第1、第2の圧力室59、61には、それぞれ外部接続用の第1、第2の給排口63、65が連通接続されている。第1、第2の給排口63、65は、コンプレッサー66に切替弁68を介して接続され、第1、第2の圧力室59、61に切り換えて圧縮エアーを給排できるようになっている。
【0055】
ピストン57は、弁駆動軸47に固定され、弁駆動軸47の下端部は、シリンダ55の軸受部67に支持されている。弁駆動軸47の下端は、軸受部67を貫通し、弁駆動軸47の下端側には、位置検出部69が取り付けられている。位置検出部69に対応してシリンダ55側には、第1、第2の近接スイッチ71、73が設けられている。
【0056】
シリンダ55の底部とピストン57との間には、コイルスプリング75が介設されている。コイルスプリング75は、ピストン57を上方へ付勢する。
【0057】
[弁体の動作]
第1の給排口63から第1の圧力室59にエアーが供給されるとピストン57がコイルスプリング75の付勢力に抗して下降する。第2の給排口65は開放されており、ピストン57の下降と共に第2の圧力室61のエアーが排出される。
【0058】
ピストン57の下降により、弁駆動軸47が連動して下降する。第2の近接スイッチ73が弁駆動軸47の位置検出部69を検出すると切替弁68及びコンプレッサー66の制御によりピストン57の下降位置が保持される。
【0059】
ピストン57の下降により弁駆動軸47が連動し、弁体13が下降する。
【0060】
この下降でパッキン51が第1のテーパー部31bから離れると共にパッキンヘッド53が接続口17から離脱し、弁体13が鎖線図示の下降位置となる。
【0061】
弁体13のこの下降位置で弁体13と大径部31a及び第1、第2のテーパー部31b、31cとの間にほぼ均一幅の第1の排出路31が開放形成される。
【0062】
第1の排出路31は、接続口17を通して加熱釜1内に連通する。
【0063】
この連通により加熱釜1内の流動材が接続口17、第1の排出路31、第2の排出路41を介して排出口19から排出される。
【0064】
第1の排出路31の横断面積は、大径部31a及び第1、第2のテーパー部31b、31cの存在により拡大されて第2の排出路41に対応した大きさになっており、第1、第2の排出路31、41を通した流動材の排出を円滑に行なわせることができる。
【0065】
しかも、第1の排出路31は、弁体13の外形形状に沿った断面形状となっており、かかる点においても流動材の排出を円滑に行なわせることができる。
【0066】
第1の給排口63が開放され、第2の給排口65から第2の圧力室61にエアーが供給されるとピストン57がエアーの圧力及びコイルスプリング75の付勢力により上昇する。
【0067】
このピストン57の上昇で弁駆動軸47を介して弁体13が実線位置まで上昇し、接続口17を閉じる。この閉じ位置では、弁体13のパッキンヘッド53が接続口17に嵌合して位置決められ、パッキン51が第1のテーパー部31bに当接し、接続口17が密閉される。
【0068】
弁体13の接続口17に対する位置決めによりパッキン51を弁座9に正確に当接させることができる。
【0069】
この密閉状態では、パッキンヘッド53が接続口17の曲面29の内径端に位置し、パッキンヘッド53が加熱釜1内に突出することが無い。
従って、加熱釜1内での撹拌羽根による攪拌調理等を円滑に行なわせることができる。
【0070】
[洗浄]
先ず、加熱釜1内の水洗いに際し、弁体13を実線図示の上昇閉止位置とする。
【0071】
この位置で、加熱釜1内を水洗いすることができる。
【0072】
蒸気供給口43に洗浄水供給装置を切り換えて接続すれば、弁筒体11内のみを洗浄することもできる。
【0073】
加熱釜1内の水洗い後、弁体13を鎖線図示の下降位置にすると、加熱釜1内の洗浄水を接続口17から第1、第2の排出路31、41を通し、排出口19から排出させることができる。
【0074】
蒸気供給源44の作動により蒸気供給口43から弁筒体11内に蒸気が直接供給される。
【0075】
弁筒体11内に供給された蒸気は、弁対13の下端及び第1の排出路31の下端に向かい、第1の排出路31に流動する。
【0076】
第1の排出路31では、第2のテーパー部31c、大径部31a、第1のテーパー部31bによるガイドで蒸気が矢印のように流動する。
【0077】
このような蒸気の流動により弁体13周囲に加熱蒸気或いは過熱蒸気が行き渡る。
【0078】
この状態で一定時間保持され、弁体13、接続口17、及びこれらの周辺が加熱殺菌される。
【0079】
従って、第1の排出路31の弁体13の外形形状に沿った拡径形状を利用して蒸気を滑らかに流動させ、弁体13周囲を包み込むように、さらには弁体13周囲に十分に行き渡らせることができる。
【0080】
蒸気供給口43は、湾曲した第1のガイド面37に配置することで、弁対13の下端及び第1の排出路31の下端に容易に指向させることができる。
【0081】
分解清掃に際しては、クランプ25を外して第1の筒体21から第2の筒体23を取り外す。この取り外しで、弁体13を第1の筒体21から第2の筒体23と共に引き抜くことができ、第1の筒体21内部の水洗い、第2の筒体23内の水洗い等は勿論、弁体13等の分解清掃も容易となる。
【0082】
[その他]
蒸気供給口は、蒸気供給口43の噴射中心線を通る断面内において周方向に所定間隔で複数設定することもできる。この場合、マニホールドを設けて複数の蒸気供給口に蒸気を分配供給することもできる。
【0083】
弁座は、第1のテーパー部31bのようなテーパー面ではなく、パッキン51が着座できるようなインローなどの凹部形状、単なる平面形状などにすることもできる。
【0084】
大径部31a及び第1、第2のテーパー部31b、31cは、供給された蒸気のガイドができる形状であれば、連続した湾曲面等に代えることもできる。その他、流れガイドの目的により種々変更することができる。
【0085】
弁筒体11の形状は特に限定されず、ストレートな筒状にすることもできる。
【0086】
弁駆動部15は、エアー駆動に限らず、油圧駆動、電動機駆動などを採用することもできる。
【0087】
弁筒体の接続部27は、必ずしも曲面29を備える必要は無く、平坦面にすることもできる。
蒸気供給口は、湾曲したガイド面以外の箇所に備え、弁体等に指向させることもできる。
【0088】
弁座が容器に対し内側に向いて形成され、弁体が容器内側から弁座に当接する形態にすることもできる。
【0089】
この場合、弁体は、容器内側へ退避して弁座から離間する。退避した弁体の周囲には、接続口から蒸気が噴出することで行き渡らせることができる。
【0090】
さらに、蒸気供給口は、容器内の弁体に向けて指向する形態にすることもできる。この場合、接続部27に蒸気供給口を設けることもできる。この蒸気供給口は、複数円形状に配置することもできる。
【0091】
本発明の実施例は、流動性食材の加熱攪拌装置でのバルブユニットを示したが、その他、殺菌を必要とする薬剤、医薬部外品、漢方薬、化粧品等を対象とした攪拌装置のバルブユニットとしても利用することができる。