特許第6979277号(P6979277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979277
(24)【登録日】2021年11月17日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】断熱サッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/26 20060101AFI20211125BHJP
   E06B 3/263 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   E06B3/26
   E06B3/263 Z
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-69207(P2017-69207)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-168673(P2018-168673A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】西田 健
(72)【発明者】
【氏名】増山 新作
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−226325(JP,A)
【文献】 特開2001−159277(JP,A)
【文献】 特開平10−339072(JP,A)
【文献】 米国特許第03600857(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/00−3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下枠材及び左右縦枠材を四周組してなり建物開口部に配置される枠体と、上下框材及び左右縦框材を四周組し内周にパネル体を配置してなり対向する一対の枠材に対して摺動開閉自在に配置される内、外障子を備え、
内、外障子の框材は、金属框と樹脂框を有し、
金属框は、框本体部の内周にパネル体を保持するガラス間口部を有し、ガラス間口部が框本体部よりも室内側に張り出しており、
樹脂框は、金属框のガラス間口部の室内側面と、ガラス間口部の外周側面と、框本体部の室内側面に配置されており、
枠体は、内、外障子の框材のガラス間口部の外周側における室内側面に当接する気密材を有しており、
内、外障子の框材は、パネル体を保持するガラス間口部が気密材が当接する室内側面よりも室内側に張り出して形成されている
ことを特徴とする断熱サッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル等の建物開口部に配置される断熱サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル等の建物開口部に配置される断熱サッシとして、金属枠体の室内側に樹脂枠体を配置してなる複合枠に対して、金属框材の室内側に樹脂框材を配置してなる複合障子を配置してなる断熱サッシが公知となっている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−188927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の建具は、室内側に樹脂材料からなる樹脂枠体および樹脂框材を配置することで、建具の室内側面からの冷熱の伝達を抑制し、断熱性能を向上させることができる。
そして、障子に配置されるパネルを内外2枚のガラスを配置した2重ガラスとして、パネル面からの冷熱の伝達を防止して断熱性を向上させていた。
しかし、パネル面の断熱性能をさらに向上させるために内外2枚のガラスの間隔を大きくしようとガラス間口を大きくすると、障子の室外側面の凹凸が大きくなって表面積が増大し、室外からの冷熱の伝達を助長することになってしまい、かえって断熱性能の向上を妨げる可能性があった。
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、枠体内に配置される障子の室外側面における冷熱の伝達を抑えて、建具全体の断熱性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上下枠材及び左右縦枠材を四周組してなり建物開口部に配置される枠体と、上下框材及び左右縦框材を四周組し内周にパネル体を配置してなり対向する一対の枠材に対して摺動開閉自在に配置される内、外障子を備え、内、外障子の框材は、金属框と樹脂框を有し、金属框は、框本体部の内周にパネル体を保持するガラス間口部を有し、ガラス間口部が框本体部よりも室内側に張り出しており、樹脂框は、金属框のガラス間口部の室内側面と、ガラス間口部の外周側面と、框本体部の室内側面に配置されており、枠体は、内、外障子の框材のガラス間口部の外周側における室内側面に当接する気密材を有しており、内、外障子の框材は、パネル体を保持するガラス間口部が気密材が当接する室内側面よりも室内側に張り出して形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の構成により、2重ガラス等のパネル体の見込み方向を大きくしながら、障子におけるパネル部の室外側への張り出しを抑えることができ、ガラス部への外気の接触を少なくすることで冷熱の伝達を抑えて断熱性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の断熱サッシの外観姿図である。
図2】本発明の断熱サッシの閉鎖時に内障子が配置される位置における内、外障子及び上、下枠の縦断面図である。
図3】本発明の断熱サッシの閉鎖時に外障子が配置される位置における内、外障子及び上、下枠の縦断面図である。
図4】本発明の断熱サッシの横断面図である。
図5】本発明の断熱サッシの内障子の下框付近の拡大図である。
図6】本発明の断熱サッシの外障子の下框付近の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1ないし4を参照しながら、本発明の実施形態に係る断熱サッシについて説明する。
(断熱サッシ全体の構成)
本発明の実施形態に係る断熱サッシは、図1に示されるように、例えばビル等の建物開口部に設けられた枠体1と、枠体1に対して引き違い自在に配置された内障子2および外障子3を有している。
枠体1は、上下の横枠(上枠11および下枠12)と左右の竪枠13,14を四周に枠組みしてなり、内障子2および外障子3は、それぞれ上下の横框(上框21,31および下框22,32)と左右の竪框(23,24,33,34)を四周に框組してなり、内周にガラス等のパネル体(25,35)を配置して形成されている。
【0009】
(上枠の構成)
サッシの枠体1を構成する上枠11は、図2,3に示すように、建物開口部に固定されアルミニウム等の金属材料からなる金属上枠111と、金属上枠111の室内側見付け面に見付け(左右)方向全長に亘って配置され樹脂材料からなる樹脂枠材112と、内、外障子2,3の閉鎖時において金属上枠111の内障子2側の内周面に配置され樹脂材料からなる樹脂枠材113(図2)と、内、外障子2,3の閉鎖時において金属上枠111の外障子3側の内周面に配置され樹脂材料からなる樹脂枠材114(図3)を有している。
【0010】
金属上枠111は、建物開口部の内周に配置されてアンカーA等に取り付けられる上枠本体部111aと、上枠本体部111aの室内側端から垂下される室内側壁部111bと、上枠本体部111aの室外側端から垂下される室外側壁部111cと、上枠本体部111aの中央下面付近より垂下される中央壁部111dと、室外側壁部111cと中央壁部111dの間において上枠本体部111aの下面から垂設される室外側上レール111eを有している。
【0011】
金属上枠111の室内側壁部111bの下端室外側面には、内障子2の上框21の室内側面に当接する気密材s11が取付溝等によって取り付けられており、室内側壁部111bの室内側面には、樹脂枠材112を取り付けるための係合部111fが形成されている。
また、金属上枠111の中央壁部111dの下端室外側面には、外障子3の上框31の室内側面に当接する気密材s12が取付溝等によって取り付けられており、中央壁部111dの室内側面には、樹脂枠材113もしくは樹脂枠材114を取り付けるための係合部111gが上下に二か所形成されている。
【0012】
金属上枠111の室内側見付け面に配置される樹脂枠材112は、室内側壁部111bの係合部111fに係合されることで、室内側壁部111bの下端面から室内側面にかけて中空部112aを形成しながら覆うように配置されている。
樹脂枠材112は、室内側壁部111bの下端面において気密材s11に当接もしくは近接するように配置されることで、金属上枠111の室内側壁部111bが室内側に露出することがない。そして、樹脂枠材112の内周室内側端には室内方向に延びる鍔部112bが形成されている。
【0013】
内、外障子2,3の閉鎖時において金属上枠111の内障子2側の内周面に配置される樹脂枠材113は、図2に示すように、上枠本体部111aの内周(下)面に沿って配置される上壁部113aと、上壁部113aの室外側から下方に向けて設けられる断面中空形状の室外壁部113bと、室外壁部113bの下端より室内外両見込み方向に延設され金属上枠111の中央壁部111dの下端面から内障子2の上框21の室外側面に近接する位置まで延びる断面中空形状の下壁部113cを有している。
【0014】
そして、樹脂枠材113は、上壁部113aの室内側端部を金属上枠111の室内側壁部111bの室外側上端に形成された係止部に係止するとともに、室外壁部113bおよび下壁部113cを中央壁部111dに形成された係合部111gに係合することにより、金属上枠111の上枠本体部111aの室内側下面と中央壁部111dの室内側面を覆うとともに、下壁部113cの室内側端部が内障子2の上框21の室外側面と近接することで、内、外障子2,3の閉鎖時において内障子2と上枠11との間の空間が室外側に広く開放することを防いで室内へ冷熱が伝達されることを抑制している。
【0015】
内、外障子2,3の閉鎖時において金属上枠111の外障子3側の内周面に配置される樹脂枠材114は、図3に示すように、上枠本体部111aの内周(下)面に沿って配置される上壁部114aと、上壁部114aの室外側から下方に向けて設けられる断面中空形状の室外壁部114bと、室外壁部114bの下端より室内外見込み方向に延設され金属上枠111の中央壁部111dの下端面から内障子2の上框21の室外側面に近接する位置まで延びる断面中空形状の下壁部114cと、上壁部114aの室内側から下方に向けて設けられる室内壁部114dを有している。
【0016】
そして、樹脂枠材114は、室内壁部114dの下端を金属上枠111の室内側壁部111bに形成された気密材取付溝等の上面に係止するとともに、室外壁部114bおよび下壁部114cを中央壁部111dに形成された係合部111gに係合することにより、金属上枠111の室内側壁部111bと中央壁部111dとの間に配置され、金属上枠111の上枠本体部111aの室内側下面と中央壁部111dの室内側面と室内側壁部111bの室外側面を覆っている。
樹脂枠材114は、室外壁部114bおよび下壁部114cが断面中空形状に形成されることで、また、金属上枠111に対して間隔をあけて配置されることで、内、外障子2,3の閉鎖時において外障子3の室内側の金属上枠111から室内へ冷熱が伝達されることを抑制することができる。
【0017】
(下枠の構成)
サッシの枠体1を構成する下枠12は、図2,3に示すように、建物開口部に固定されアルミニウム等の金属からなる金属下枠121と、金属下枠121の室内側見付け面に見付け(左右)方向全長に亘って配置され樹脂材料からなる樹脂枠材122と、内、外障子2,3の閉鎖時において金属下枠121の外障子3側の内周(上)面に配置され樹脂材料からなる樹脂枠材123(図3)を有している。
【0018】
金属下枠121は、建物開口部の内周に配置されてアンカーA等に取り付けられる下枠本体部121aと、下枠本体部121aの室内側に立ち上り室内側見付け面を構成する立上り部121bと、立上り部121bの室内側見付け面が上方に延設されてなる室内側壁部121cと、立上り部121bの室外側面上方位置から室外側に向かって延設される気密材保持片部121dと、下枠本体部121aの室外側上面に設けられる室外側下レール121eと、下枠本体部121aの室外側端部が上方に屈曲されてなる室外側壁部121fを有している。
【0019】
金属下枠121の室内側壁部121cの上端室外側面には、内障子2の下框22の室内側面に当接する気密材s21(図2)もしくは後述する下レール部材125の固定部125aを覆う気密カバー材s23(図3)が係合溝等によって取り付けられており、気密材保持片部121dの室外側端部には、外障子3の下框32の室内側面に当接する気密材s22が取付溝等によって取り付けられている。
また、立上り部121bの上面には、樹脂枠材123もしくは室内側下レール126を配置するための係合部121hが形成されているとともに、立上り部121bおよび室内側壁部121cの室内側面には、樹脂枠材122を取り付けるための係合部121gが形成されている。
なお、金属下枠121の室外側壁部121fは、金属上枠111の室外側壁部111cとともに、図示しない網戸が走行するレールを構成してもよい。
【0020】
金属下枠121の室内側見付け面に配置される樹脂枠材122は、立上り部121bおよび室内側壁部121cの係合部121gに係合されることで、室内側壁部121cの上端面から室内側面にかけて中空部122aを形成しながら覆うように配置されている
樹脂枠材122は、室内側壁部121cの上端面において気密材s21もしくは気密カバー材s23に当接もしくは近接するように配置されることで、金属下枠121の室内側壁部121bが室内側に露出することがない。そして、樹脂枠材122の内周室内側端には室内方向に延びる鍔部122bが形成されている。
【0021】
樹脂枠材123は、立上り部121bの上面に固定するために室内側に形成された固定部123aと、固定部123aの室外側に延びる平板部123bを有し、固定部123aを係合部121hに挿入させながらビス等の固定手段bにより固定することで、金属下枠121の立上り部121bの上面から気密材保持片部121dの上面にかけて覆うように配置されている。
【0022】
樹脂枠材123の固定部123aの上面には、アルミニウム等の金属からなり断面略L字状の下レール部材125が配置され、樹脂枠材123と下レール部材125の固定部125aがビス等の固定手段により立上り部121bの上面に共締めされて固定されている。
そして、金属下枠121の室内側壁部121cの係合溝等に気密カバー材s23が取り付けられて、下レール部材125の固定部125aの上面を覆うように配置されている。
樹脂枠材123は、気密材保持片部121dの室外側端部において、気密材s22に当接もしくは近接するように配置され、下レール部材125の固定部125aが気密カバー材s23に覆われることで、内、外障子2,3の閉鎖時において、外障子3の室内側で金属下枠121が室内に露出することがない。
なお、内、外障子2,3の閉鎖状態における内障子2側に配置された室内側下レール126と、外障子3側に配置された下レール部材125とによって、内障子2の下レールが構成されている。
【0023】
(左竪枠の構成)
サッシの枠体1を構成する左竪枠13は、図4に示すように、建物開口部に固定されアルミニウム等の金属からなる金属左竪枠131と、金属左竪枠131の室内側内周面に見付け(上下)方向全長に亘って配置され樹脂材料からなる樹脂枠材132を有している。
【0024】
金属左竪枠131は、建物開口部の内周に配置されアンカーA等に取り付けられる左竪枠本体部131aと、左竪枠本体部131aの室内側端内周面から内周方向に延び樹脂枠材132を係合するための係合片部131bと、左竪枠本体部131aの見込み方向略中央やや室外側寄りから内周方向に延設された気密材取付部131cと、気密材取付部131cの室外側で左竪枠本体部131aの内周面から内周方向に延設された引寄せ片部131dと、左竪枠本体部131aの室外側端内周面から内周方向に延設された室外側壁部131eを有している。
【0025】
金属左竪枠131の気密材取付部131cの室外側面には、外障子3の戸先框33の室内側面に当接する気密材s32が取付溝等により取り付けられており、気密材取付部131cの室内側面には、樹脂枠材132の室外側端部を係止する係止部が形成されている。
【0026】
金属左竪枠131の室内側内周面に配置される樹脂枠材132は、複数の中空部を有しており、金属左竪枠131の係合片部131bと気密材取付部131cの係止部等によって金属左竪枠131の気密材取付部131cの室内側の内周面を覆うように配置されており、内、外障子2,3の閉鎖時において、金属左竪枠131の内周面から室内に冷熱が伝達されることを抑制している。
なお、室内側内周端から室内方向に延びる鍔部132cが形成されている。
【0027】
(右竪枠の構成)
サッシの枠体1を構成する右竪枠14は、図4に示すように、建物開口部に固定されアルミニウム等の金属からなる金属右竪枠141と、金属右竪枠141の室内側内周面に見付け(上下)方向全長に亘って配置され樹脂材料からなる樹脂枠材142を有している。
【0028】
金属右竪枠141は、建物開口部の内周に配置されアンカーA等に取り付けられる右竪枠本体部141aと、右竪枠本体部141aの室内側内周面から内周方向に延びる室内側壁部141bと、室内側壁部141bの室外側において右竪枠本体部141aの内周面から内周方向に延設された引寄せ片部141cと、右竪枠本体部141aの見込み方向ほぼ中央位置の内周面から内周方向に延設された中央壁部141dと、右竪枠本体部141aの室外側端から内周方向に延設された室外側壁部141eを有している。
【0029】
金属右竪枠141の室内側壁部141bの室外側面には、内障子2の戸先框24の室内側面に当接する気密材s41が取付溝等により取り付けられており、室内側面には、樹脂枠材142を係止する係合部141fが形成されている。
【0030】
金属右竪枠141の室内側見付け面に配置される樹脂枠材142は、室内側壁部141bの係合部141fに係合されることで、室内側壁部141bの内周端部から室内側面にかけて中空部142aを形成しながら覆うように配置されている。
樹脂枠材142は、室内側壁部141bの内周端部において気密材s41に当接もしくは近接するように配置されることで、金属右竪枠141の室内側壁部141bが室内側に露出することがない。そして、樹脂枠材142の内周室内側端には室内方向に延びる鍔部142bが形成されている。
【0031】
(上框の構成)
内、外障子2,3を構成する上框21,31は、構造上ほぼ同一であるので、ここでは内障子2の上框21を用いて説明する。
内障子2を構成する上框21は、図2に示すように、アルミニウム等の金属からなる金属上框211と、金属上框211の室内側面に配置される樹脂上框212を有している。
【0032】
金属上框211は、上框本体部211aと、上框本体部211aの内周(下方)に連設されるガラス間口部211bを有しており、上框本体部211aの上端室内側とガラス間口部211bの下端室内側には、樹脂上框212を係止する上下の係止部が形成されている。
樹脂上框212は、上框本体部211aの室内側面に配置される上方壁部212aと、ガラス間口部211bの室内側面に配置される下方壁部212cと、上方壁部212aと下方壁部212cとを連結する見込み壁部212bを有しており、上方壁部212aと下方壁部212cには、それぞれ上、下中空部212d,212eが形成されている。
【0033】
そして、上框本体部211aの上端室内側とガラス間口部211bの下端室内側に形成される上下の係止部に対して係止されることで、樹脂上框212は金属上框211に対して空間を有して室内側に配置され、該空間および上、下中空部212d,212eによって、内障子2の上框21の断熱性能を向上させている。
【0034】
また、内、外障子2,3の閉鎖時において、上枠11の室内側壁部111bに取り付けられた気密材s11が内障子2の上框21の樹脂上框212の室内側に当接し、上枠11の中央壁部111dに取り付けられた気密材s12が外障子3の上框31の樹脂上框312の室内側に当接することで、上枠11と内、外障子2,3の上方部位における気密ラインを構成している。
【0035】
(下框の構成)
内障子2を構成する下框22は、図2に示すように、アルミニウム等の金属からなる金属下框221と、金属下框221の室内側面に配置される樹脂材料からなる樹脂下框222を有している。
金属下框221は、下枠12に設けられた下レールに案内される車輪(図示はない。)を収納する下框本体部221aと、下框本体部221aの内周に連設されるガラス間口部221bを有しており、下框本体部221aの下端室内側とガラス間口部221bの上端室内側には、樹脂下框222を係止する上下の係止部が形成されている。
樹脂下框222は、複数の中空部を有し、金属下框221に形成される上下の係止部に係止され金属下框221の室内側に配置されることで、複数の中空部が下框本体部221a及びガラス間口部221bの室内側に配置され、内障子2の下框22の断熱性能を向上させている。
【0036】
外障子3を構成する下框32は、図2,3に示すように、アルミニウム等の金属からなる金属下框321と、金属下框321の室内側に配置される樹脂材料からなる樹脂下框322を有している。
金属下框321は、下枠12に設けられた室内側レールに案内される車輪wを収納する下框本体部321aと、下框本体部321aの内周に連設されるガラス間口部321bを有しており、下框本体部321aの下端室内側とガラス間口部321bの上端室内側には、樹脂下框322を係止する上下の係止部が形成されている。
樹脂下框322は、複数の中空部を有し、金属下框321に形成される上下の係止部に係止され金属下框321の室内側に配置されることで、複数の中空部が下框本体部321a及びガラス間口部321bの室内側に配置され、外障子3の下框32の断熱性能を向上させている。
【0037】
(戸先框の構成)
内、外障子2,3を構成する戸先框24,33は、構造上ほぼ同一であるので、ここでは内障子2の戸先框24を用いて説明する。
内障子2を構成する戸先框24は、図4に示すように、アルミニウム等の金属からなる金属戸先框241と、金属戸先框241の室内側面に配置され樹脂材料からなる樹脂戸先框242を有している。
【0038】
金属戸先框241は、戸先側に引寄せブロックfを装着する開口溝が形成された戸先框本体部241aと、戸先框本体部241aの内周に連設されるガラス間口部241bを有しており、戸先框本体部241aの開口溝に引寄せブロックfが配置されるとともに、開口溝を構成する室外側壁の戸先側先端部には右竪枠14との間を気密する気密材s42が取り付けられている。
戸先框本体部241aの開口溝を構成する室内側壁の戸先側先端部およびガラス間口部241bの室内側内周端部には、樹脂戸先框242を係止する係止部が形成されている。
【0039】
樹脂戸先框242は、戸先框本体部241aの室内側面を覆う戸先側部242aとガラス間口部241bの室内側面を覆う間口側部242cと戸先側部242aと間口側部242cとを連結する見込み方向に延びる断面中空形状の見込み壁部242bを有している。
そして、戸先框本体部241aおよびガラス間口部241bに形成される係止部に係止されて金属戸先框241の室内側に配置されることで戸先框24の断熱性能を向上させている。
また、内、外障子2,3の閉鎖状態において、右竪枠14と内障子2との間においては、樹脂材料からなる樹脂戸先框242の戸先側部242aと見込み壁部242b及び右竪枠14の樹脂枠材142とによって半密閉もしくは密閉空間Sを形成し、左竪枠13と外障子3との間においては、樹脂材料からなる樹脂戸先框332の戸先側部332aと見込み壁部332b及び左竪枠13の樹脂枠材132とによって半密閉もしくは密閉空間Sを形成し、枠と障子間における断熱性能を向上させている。
【0040】
(召合框の構成)
内障子2を構成する召合框23は、図4に示すように、アルミニウム等の金属からなる金属召合框231と、金属召合框231の外周側面および室内側面に配置される樹脂部材からなる樹脂召合框232を有している。
金属召合框231は、中空部を有し室外側面に気密材s52が取り付けられるとともにL形片が形成された召合框本体部231aと、召合框本体部231aの内周に連設されるガラス間口部231bを有しており、召合框本体部231aとガラス間口部231bの外周側面および室内側面には、樹脂召合框232を係止する複数の係止部が形成されている。
樹脂召合框232は、見込み方向および見付け方向にならぶ複数の中空部を有し、金属召合框231に形成される係止部に係止され金属召合框231の外周側面から室内側面にかけて配置されることで、金属召合框231との間に複数の空間を形成するとともに、中空部を配置した状態で固定されることで召合框23の断熱性能を向上させている。
【0041】
外障子3を構成する召合框34は、図4に示すように、アルミニウム等の金属からなる金属召合框341と、金属召合框341の室内側の内周部に配置される樹脂材料からなる樹脂召合框342を有している。
金属召合框341は、中空部を有し室内側面に内障子2の金属召合框231の室外側面に形成されたL形片と協働して煙返しを形成するL形片が形成された召合框本体部341aと、召合框本体部341aの内周に連設されるガラス間口部341bを有しており、ガラス間口部341bを構成する室内側の間口壁は中空部を有している。
【0042】
樹脂召合框342は、金属召合框341のガラス間口部341bの室内側の間口壁の内周端に取り付けられており、内、外障子3の閉鎖状態において、内障子2の召合框23に取り付けられた気密材s52が当接することで、外障子3の召合框34の金属召合框341が室内側に露出することを抑制して、断熱性能を向上させている。
【0043】
(外障子部分の断熱構造)
以上のように、本実施形態の断熱サッシにおいては、枠体1および内、外障子2,3を構成する枠材および框材が、金属部材の室内側に樹脂部材が配置されて形成されているので、枠体1および内、外障子2,3における断熱性能を向上させることができる。
そして、本実施形態の断熱サッシにおいては、外障子3のパネル体25を構成する内外2枚のガラス板の間隔をできるだけ広くすることで、内外ガラス間の断熱性能を向上させてサッシ全体の断熱性能をさらに向上させている。
以下に、上記断熱性能を向上させるための構成について、図5、6に示す、外障子の框材の構成を用いて、説明する。
【0044】
(外障子の上框部分)
外障子3の上框31を構成する金属上框311は、図5に示すように、上枠11の金属上枠111の上枠本体部111aの下面に形成される室外側上レール111eに案内される走行溝を形成する上框本体部311aと、上框本体部311aの内周(下方)に連設されるガラス間口部311bを有している。
上框本体部311aは、中空部311cと、中空部311cの室内側壁部および室外側壁部が上方に延設されてなる室内壁部311dと室外壁部311eを有している。
【0045】
上框本体部311aの室外側面は、中空部311cから室外壁部311eにかけて面一に形成されている。一方、上框本体部311aの室内側面は、室内壁部311dの室内側面の上端に樹脂上框312を係止する係止部311fが形成されており、係止部311fの下方位置には、樹脂上框312の上中空部312dが配置される凹部311gが形成されている。
【0046】
ガラス間口部311bは、上框本体部311aの下壁が室内側に延設されてなる上壁部311hと、上壁部311hの室外側端から垂下する室外側間口壁部311iと上壁部311hの室内側端から垂下する室内側間口壁部311jを有している。
ガラス間口部311bの室外側間口壁部311iは、上框本体部311aの中空部311cおよび室外壁部311eと面一に連続する上方部位と、上方部位から若干室外側に傾斜する傾斜部位と、傾斜部位の下方に連続する下方部位とからなり、全体として上框本体部311aの室外側面から室外方向に水平に突出することなく、スムーズな室外側壁面を形成している。
【0047】
一方、ガラス間口部311bの室内側間口壁部311jは、上框本体部311aの中空部311cから室内方向に延設される上壁部311hの室内側端が下方に屈曲されてなり室内側間口壁部311jの下端には、樹脂上框312の下端を係止する係止部311kが形成されている。
【0048】
外障子3の上框31を構成する樹脂上框312は、金属上框311の上框本体部311aの室内側に配置される上方壁部312aと、金属上框311のガラス間口部311bの室内側に配置される下方壁部312cと、上方壁部312aと下方壁部312cとを連結する見込み壁部312bを有している。
上方壁部312aおよび下方壁部312cには、それぞれ上中空部312dおよび下中空部312eを有しており、金属上框311の上下の係止部311f,311kに係止され金属上框311の室内側に配置されることで、上中空部312dが上框本体部311aの室内側の凹部311gに配置され下中空部312eかガラス間口部311bの室内側に配置されるとともに、金属上框311に対して空間を有して配置される。
【0049】
そして、上枠11の中央壁部111dに取り付けられた気密材s12が外障子3の樹脂上框312の上方壁部312aの室内側面、すなわち上框31の室内側に張り出したガラス間口部331bの外周側に当接している。また、樹脂枠材114の下壁部114cの室外側端には上方壁部312aに近接する気密突起s13が形成されており、気密材s12と気密突起s13とによって上枠11と外障子3との気密ラインが形成されている。
気密ラインの室内側には、上枠11の樹脂枠材114の下壁部114cの下面と外障子3の上框31の樹脂上框312の見込み壁部312bの上面とによって囲まれた領域が形成されることによって、外気に接触している気密ラインを室内からより遠ざけることができ、室外からの冷熱の伝達を抑制することができる。
【0050】
(外障子の下框部分)
外障子3の下框32を構成する金属下框321は、図6に示すように、下枠12の下枠本体部121aの上面に形成される室外側下レール121eに案内される車輪wを収納する下框本体部321aと、下框本体部321aの内周に連設されるガラス間口部321bを有している。
下框本体部321aは、中空部321cと、中空部321cの室内側壁部および室外側壁部が下方に延設されてなる室内壁部321dと室外壁部321eを有している。
【0051】
下框本体部321aの室外側面は、中空部321cから室外壁部321eにかけて面一に形成されている。一方、下框本体部321aの室内側面は、中空部321cの下方に連続する室内壁部321dの室内側面に樹脂下框322を係止する係止部321fが形成されている。
なお、下框本体部321aの下方内面には、外障子3が室外側に脱落するのを防止する外れ止め部材6が固定されている。
【0052】
ガラス間口部321bは、下框本体部321aの上壁が室内側に延設されてなる下壁部321gと、下壁部321gの室外側端から上方に延設する室外側間口壁部321hと下壁部321gの室内側端から上方に延設する室内側間口壁部321iを有している。
ガラス間口部321bの室外側間口壁部321hは、下框本体部321aの中空部321cから若干室外側に傾斜する傾斜部位と、傾斜部位の上方に連続する上方部位とからなり、全体として下框本体部321aの室外側面から水平に突出することなく、スムーズな室外側壁面を形成している。
【0053】
一方、ガラス間口部321bの室内側間口壁部321iは、下框本体部321aの中空部311cから室内側に延設される下壁部321gの室内側端が上方に屈曲して形成されてなり、室内側間口壁部321iの上端には、樹脂下框322の上端を係止する係止部321kが形成されている。
【0054】
外障子3の下框32を構成する樹脂下框322は、金属下框321の下框本体部321aの室内側面を覆う室外側壁322aと、室外側壁322aの上方部位に対して見込み方向に所定の寸法を有する中空部322bと、中空部322bの上面室内側から上方に延びて金属下框221のガラス間口部321bの室内側面を覆う断面中空形状の室内側壁322cを有している。
【0055】
一方、下枠12の気密材保持片部121dに取り付けられた気密材s22が外障子3の樹脂下框322の室外側壁322aの室内側面、すなわち下框32の室内側に張り出したガラス間口部331bおよび樹脂下框322の中空部322bの外周側に当接しており、気密材s22によって下枠12と外障子3との気密ラインが形成されている。
気密ラインの室内側には、下枠12の樹脂枠材123の内周面と外障子3の樹脂下框322の中空部322bのほぼ水平で面一な外周面とによって囲まれた領域を形成することによって、外気に接触している気密ラインを室内からより遠ざけることができ、室外からの冷熱の伝達を抑制することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態における断熱サッシの外障子3においては、ガラス部分における断熱性能を向上させるために複層ガラス等からなるパネル部分の見込み方向寸法を大きくし、ガラス間口部の見込み寸法を大きく設定しながら、見込み方向に大きくなった分についてガラス間口部を框室内側に張り出させて形成することで、外障子3の室外側面をほぼ面一のスムーズな形状に形成して、見込み方向に張り出す部分をなくしているので、外障子3の室外側面における外気の流れをスムーズにして、外気からの外障子3への冷熱の伝達を最小限に抑えることができる。
【0057】
そして、上、下枠11,12に配置した気密材s12,s22を、上、下框31,32の室内側に張り出した部分の外周側において樹脂框材の室内側部位に当接させることで、気密材よりも室内側において、上、下框31,32の張り出し部分における樹脂上框312,樹脂下框322の見込み面と上、下枠11,12の樹脂枠材114,123の見込み面とによって囲まれる領域を形成することで、気密ラインを室内側から遠ざけて断熱性能を向上させることができる。
【0058】
なお、本実施形態の断熱サッシにおいては、引き違いのサッシを例にして説明しているが、枠体の室外側寄りに障子が配置される片引きのサッシでもよく、上下に摺動する上げ下げ窓でもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 :枠体
11 :上枠
111 :金属上枠
112 :樹脂枠材
113 :樹脂枠材
114 :樹脂枠材
12 :下枠
121 :金属下枠
122 :樹脂枠材
123 :樹脂枠材
125 :下レール部材
126 :室内側下レール
13 :左竪枠
131 :金属左竪枠
132 :樹脂枠材
14 :右竪枠
141 :金属右竪枠
142 :樹脂枠材
2 :内障子
21 :上框
211 :金属上框
212 :樹脂上框
22 :下框
221 :金属下框
222 :樹脂下框
23 :召合框
231 :金属召合框
232 :樹脂召合框
24 :戸先框
241 :金属戸先框
242 :樹脂戸先框
25 :パネル体
3 :外障子
31 :上框
311 :金属上框
311a :上框本体部
311b :ガラス間口部
311c :中空部
311d :室内壁部
311e :室外壁部
311f :係止部
311g :凹部
311h :上壁部
311i :室外側間口壁部
311j :室内側間口壁部
311k :係止部
312 :樹脂上框
312a :上方壁部
312b :見込み壁部
312c :下方壁部
312d :上中空部
312e :下中空部
32 :下框
321 :金属下框
321a :下框本体部
321b :ガラス間口部
321c :中空部
321d :室内壁部
321e :室外壁部
321f :係止部
321g :下壁部
321h :室外側間口壁部
321i :室内側間口壁部
321k :係止部
322 :樹脂下框
322a :室外側壁
322b :中空部
322c :室内側壁
33 :戸先框
34 :召合框

図1
図2
図3
図4
図5
図6