特許第6979282号(P6979282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6979282-画像形成装置 図000002
  • 特許6979282-画像形成装置 図000003
  • 特許6979282-画像形成装置 図000004
  • 特許6979282-画像形成装置 図000005
  • 特許6979282-画像形成装置 図000006
  • 特許6979282-画像形成装置 図000007
  • 特許6979282-画像形成装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979282
(24)【登録日】2021年11月17日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20211125BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20211125BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   G03G15/01 Y
   G03G15/00 303
   G03G21/00 574
   G03G15/01 J
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-84732(P2017-84732)
(22)【出願日】2017年4月21日
(65)【公開番号】特開2018-180486(P2018-180486A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 計政
【審査官】 佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−102940(JP,A)
【文献】 特開2011−081176(JP,A)
【文献】 特開2004−133268(JP,A)
【文献】 特開2014−134588(JP,A)
【文献】 特開2010−253951(JP,A)
【文献】 特開2004−199068(JP,A)
【文献】 特開2013−218282(JP,A)
【文献】 米国特許第06456310(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着温度が異なる温度範囲である少なくとも2種類の現像剤を用いて被画像形成部に第1画像又は第2画像をそれぞれ形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって前記被画像形成部に形成された前記第1画像を検知するセンサーと、
前記センサーの検知結果から前記画像形成部によって形成された前記第1画像が前記被画像形成部の所定の位置に形成されているか否かについて前記現像剤の種類毎に判断し、前記被画像形成部の所定の位置に形成されていないと判断する場合、判断された種類の前記現像剤について前記画像形成部が前記被画像形成部に形成する前記第1画像のズレを修正する制御部と、
前記被画像形成部に形成された第2画像をシートに転写する転写部と、
前記転写部よりもシート搬送方向下流側に設けられ、第1回転体と第2回転体と前記第1回転体を発熱させる発熱部とを有する定着部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1画像が前記被画像形成部の所定の位置に形成されていると判断後に、または前記第1画像のズレを修正後に、前記シートに前記第1回転体の円周の長さよりも長い余白を残して少なくとも2種類の現像剤を重ねて前記第2画像を形成するよう前記画像形成部と転写部と定着部を制御し、
前記少なくとも2種類の現像材のうち一方は消色トナーであり、他方は非消色トナーであり、
前記制御部は、前記第2画像を前記シートに定着させる際に、前記消色トナーが消色しない温度であって且つ前記消色トナー及び前記非消色トナーが定着可能な温度に設定して前記定着部を制御する、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非消色トナー又は消色トナーを用いて印刷を行う画像形成装置は、通常トナー又は消色トナーそれぞれの設定情報に従って印刷を行う。そのため、シートに印字されるトナーの印字位置を合わせる位置合わせ処理についても、トナーごとに印刷し個別に調整を行っていた。そのため、一度の印刷で通常トナー及び消色トナーの印字位置を確認することができず、二度の印刷によって確認及び調整を行っており、時間がかかる場合があった。この二度の調整作業は、例えば製品の組み立て時において組み立て担当が行う確認作業や、サービスマンが行うメンテナンス作業において、時間を必要とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−218282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、異なる現像剤の中間転写ベルトへの転写位置をより短時間で合わせることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、画像形成部と、センサーと、制御部と、転写部と、定着部とを持つ。画像形成部は、定着温度が異なる温度範囲である少なくとも2種類の現像剤を用いて被画像形成部に第1画像又は第2画像をそれぞれ形成する。センサーは、前記画像形成部によって前記被画像形成部に形成された前記第1画像を検知する。制御部は、前記センサーの検知結果から前記画像形成部によって形成された前記第1画像が前記被画像形成部の所定の位置に形成されているか否かについて前記現像剤の種類毎に判断し、前記被画像形成部の所定の位置に形成されていないと判断する場合、判断された種類の前記現像剤について前記画像形成部が前記被画像形成部に形成する前記第1画像のズレを修正する。転写部は、前記被画像形成部に形成された第2画像をシートに転写する。定着部は、前記転写部よりもシート搬送方向下流側に設けられ、第1回転体と第2回転体と前記第1回転体を発熱させる発熱部とを有する。前記制御部は、前記第1画像が前記被画像形成部の所定の位置に形成されていると判断後に、または前記第1画像のズレを修正後に、前記シートに前記第1回転体の円周の長さよりも長い余白を残して少なくとも2種類の現像剤を重ねて前記第2画像を形成するよう前記画像形成部と転写部と定着部を制御する。前記少なくとも2種類の現像材のうち一方は消色トナーであり、他方は非消色トナーである。前記制御部は、前記第2画像を前記シートに定着させる際に、前記消色トナーが消色しない温度であって且つ前記消色トナー及び前記非消色トナーが定着可能な温度に設定して前記定着部を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の画像形成装置100の全体構成例を示す外観図。
図2】実施形態の画像形成装置100の全体構成例を示す断面図。
図3】実施形態の画像形成装置100の位置合わせ機能の構成を表す機能ブロック図。
図4】実施形態のセンサー210による濃度値取得の一具体例を示す図。
図5】実施形態の印字確認画像の一具体例を示す図。
図6】実施形態の位置合わせ処理の流れを表すフローチャート。
図7】従来の印字確認画像の一具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の画像形成装置を、図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、実施形態の画像形成装置100の全体構成例を示す外観図である。画像形成装置100は、例えば複合機である。画像形成装置100は、ディスプレイ110、コントロールパネル120、シート収容部140、手差しユニット141(不図示)、プリンタ部200及び画像読取部300を備える。なお、画像形成装置100のプリンタ部200は、トナー像を定着させる装置であってもよい。
【0009】
画像形成装置100は、トナー等の現像剤を用いてシート上に画像を形成する。トナーは消色できない非消色トナーと画像形成後に消色可能な消色トナーとがある。非消色トナーと消色トナーとは、シートへの定着性が異なる。定着性とは、例えばシートへの定着温度の範囲である。例えば、画像形成装置100は、消色トナーを95度から113度の範囲でシートに定着させる。非消色トナーは、90度から160度の範囲で定着させてもよいし、100度から165度の範囲で定着させてもよい。非消色トナーは、画像形成装置100の性能によって定着温度の範囲が異なってもよい。例えば、低速機の場合、定着温度の範囲を低めにし、高速機の場合、定着温度の範囲を高めにしてもよい。また、消色トナーは、加熱されることで、消色する。消色トナーは、115度から160度の範囲に加熱されると消色する。シートは、例えば紙やラベル用紙である。シートは、その表面に画像形成装置100が画像を形成できる物であればどのような物であってもよい。
【0010】
ディスプレイ110は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。ディスプレイ110は、画像形成装置100に関する種々の情報を表示する。
【0011】
コントロールパネル120は、複数のボタンを有する。コントロールパネル120は、ユーザーまたはサービスマンからの操作を受け付ける。コントロールパネル120は、ユーザーまたはサービスマンによって行われた操作に応じた信号を、画像形成装置100の制御部に出力する。なお、ディスプレイ110とコントロールパネル120とは一体のタッチパネルとして構成されてもよい。なお、本実施の形態において、ユーザーやサービスマンは、このコントロールパネル120の所定のボタンを操作することによって、画像形成装置100に位置合わせ処理を実行させる。
【0012】
シート収容部140は、プリンタ部200における画像形成に用いられるシートを収容する。手差しユニット141は、プリンタ部200における画像形成に用いられるシートがユーザーまたはサービスマンによって配置される。
【0013】
プリンタ部200は、画像読取部300によって生成された画像情報又は通信路を介して受信された画像情報に基づいて、シート上に画像を形成する。プリンタ部200は、例えば以下のような処理によって画像を形成する。プリンタ部200の画像形成部は、画像情報に基づいて感光体ドラム上に静電潜像を形成する。プリンタ部200の画像形成部は、静電潜像に現像剤を付着させることによって可視像を形成する。現像剤の具体例として、トナーがある。なお、画像が形成されるシートは、シート収容部140に収容されているシートであってもよいし、手差しユニット141を介して手指しされたシートであってもよい。本実施例ではプリンタ部200は、非消色トナー及び消色トナーを用いて画像形成を行う。
【0014】
画像読取部300は、読み取り対象の画像情報を光の明暗として読み取る。画像読取部300は、読み取られた画像情報を記録する。記録された画像情報は、ネットワークを介して他の情報処理装置に送信されてもよい。記録された画像情報は、プリンタ部200によってシート上に画像形成されてもよい。
【0015】
図2は、実施形態の画像形成装置100の全体構成例を示す断面図である。画像形成装置100は、ディスプレイ110、コントロールパネル120、シート収容部140、手差しユニット141、プリンタ部200、画像読取部300、RADF(Reversing Auto Document Feeder)301を備える。プリンタ部200は、画像形成部200a、中間転写ベルト204、転写ローラ205、定着部206、レジストローラ207、搬送ローラ208、排紙ローラ209及びセンサー210を備える。画像形成部200aは、レーザユニット201、第1感光体ドラム202a、第2感光体ドラム202b、第1現像器203a及び第2現像器203bを備える。以下、図1で説明した機能については説明を省略する。
【0016】
プリンタ部200は、シート収容部140と画像読取部300との間に配置される。プリンタ部200は画像形成処理を行う。画像形成処理では、画像形成部200aは、中間転写ベルト204に画像を形成する。具体的には、レーザユニット201は、画像データに応じて第1感光体ドラム202a又は第2感光体ドラム202bに露光することで、静電潜像を形成する。第1感光体ドラム202a及び第1現像器203aは、静電潜像に基づいて非消色トナーを用いて中間転写ベルト204上に可視像を形成する。第2感光体ドラム202b及び第2現像器203bは、静電潜像に基づいて消色トナーを用いて中間転写ベルト204上に可視像を形成する。中間転写ベルト204は、矢印方向aに沿って、移動する。転写ローラ205は、形成された可視像をシート収容部140から給紙されるシート上に転写する。プリンタ部200の定着部206は、シートに対して加熱及び加圧を行うことによって、可視像をシート上に定着させる。加圧は、定着部206に含まれる加圧ローラによって行われる。中間転写ベルト204は、被画像形成部の一態様である。加圧ローラは、第2回転体の一態様である。
【0017】
センサー210は、位置合わせ処理を行う場合に中間転写ベルト204上の濃度値を取得する。中間転写ベルト204上に可視像が形成されている場合、センサー210は、異なる濃度値を取得する。センサー210は、取得した濃度値を濃度判定部152に出力する。位置合わせ処理とは複数のトナーの印字位置を調整する処理である。本実施の形態の位置合わせ処理とは、シートに対する非消色トナーと消色トナーとの印字位置を合わせる処理である。本実施形態では、センサー210は、中間転写ベルト204のフロント側及びリア側の2カ所に配置される。センサー210は、1カ所に配置されてもよいし、3カ所以上に配置されてもよい。センサー210は、所定のタイミングで濃度値を取得してもよいし、常時濃度値を取得してもよい。所定のタイミングとは例えば1秒ごと、2秒ごとなどであってもよい。濃度値は色情報の一態様である。
【0018】
図4は、実施形態のセンサー210による濃度値取得の一具体例を示す図である。センサー210は、領域410上の濃度値を取得し、濃度判定部152に出力する。領域401r及び領域401fに含まれる「く」の字は、非消色トナーで形成されたパターン像である。領域402r及び領域402fに含まれる「く」の字は、消色トナーで形成されたパターン像である。パターン像は、中間転写ベルト204の移動とともに、搬送方向に移動する。パターン像が領域410と重なっていない場合、センサー210は中間転写ベルト204の濃度値を取得し、濃度判定部152に出力する。パターン像が領域410と重なる場合、センサー210は、非消色トナー又は消色トナーの濃度値を取得し、濃度判定部152に出力する。
【0019】
シート収容部140または手差しユニット141から給紙されたシートは、レジストローラ207及び搬送ローラ208により、プリンタ部200に給紙される。給紙されたシートは、画像形成後に排紙ローラ209によって画像形成装置100から排出される。
【0020】
RADF301は、画像読取部300に配置された複数の原稿を連続して読み取ることを可能とする。
【0021】
図3は、実施形態の画像形成装置100の位置合わせ機能の構成を表す機能ブロック図である。画像形成装置100は、ディスプレイ110、コントロールパネル120、制御部150、記憶部160及びプリンタ部200を備える。なお、図1で説明した機能部については説明を省略する。
【0022】
制御部150は、画像形成装置100の各部の動作を制御する。制御部150は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)を備えた装置により実行される。制御部150は、位置合わせプログラムを実行することによって、画像形成制御部151、濃度判定部152及び位置合わせ部153として機能する。
【0023】
画像形成制御部151は、プリンタ部200を制御することで画像形成処理を行う。画像形成制御部151は、受け付けた指示に応じて、プリンタ部に画像形成させる。受け付けた指示とは、例えば、位置合わせ処理である。受け付けた指示は、ユーザーまたはサービスマンから受け付けたプリント、コピー又はファックス等であってもよい。
【0024】
濃度判定部152は、センサー210から受け付けた濃度値が所定の濃度であるか否か判定する。濃度判定部152は、受け付けた濃度値が、所定の濃度である場合、濃度値を画像濃度の制御条件に反映させる。濃度判定部152は、受け付けた濃度値が所定の濃度ではない場合、濃度調整を行う制御と画像確認の制御とを行う。所定の濃度は、例えば、予め記憶される濃度である。濃度判定部152は、濃度調整を行う制御では、画像形成部200aによって印字される濃度の調整を行う。
【0025】
画像確認の制御は、図4に基づいて説明する。濃度判定部152は、リア側センサー210の出力に基づいて、距離tr1及びtr2を算出する。さらに、フロント側センサー210の出力に基づいて、距離tf1及びtf2を算出する。ここで、tr1、tr2、tf1及びtf2が所定の条件を満たす場合、位置合わせ制御は実行されない。これに対して、所定の条件を満たさない場合、位置合わせ制御が実行される。所定の条件とは、例えばtr1とtr2とが等しく、tf1とtf2とが等しく、tr1とtr2とが異なる場合である。濃度判定部152は、tr1、tr2、tf1及びtf2を等しい値に補正するための位置合わせ制御情報(例えば、各距離毎の比)を位置合わせ部153に出力する。濃度判定部152は、色情報判定部の一態様である。
【0026】
位置合わせ部153は、濃度判定部152から受け付けた位置合わせ制御情報に基づいて、位置合わせ制御を行う。具体的には、位置合わせ部153は、tr1、tr2、tf1及びtf2を等しい値となるように、画像形成部200aの設定を補正する。なお、位置合わせ制御は、製造時、開梱時及びサービスマンが画像調整を行った際に実行される。
【0027】
位置合わせ処理は、画像形成装置100の所定のモード時に実行される。所定のモードとは、例えば、サービスマンが画像形成装置100のメンテナンスを行う場合に行う調整モードであったり、組み立てを行う場合の動作確認を行うテストモードである。調整モード及びテストモードは、コントロールパネル120等を介して、特殊な操作(例えば、管理用IDへのログイン)を行うことで入ることができる。
【0028】
位置合わせ処理では、画像形成制御部151は、プリンタ部200に消色トナー及び非消色トナーを用いて、中間転写ベルト204にパターン像を形成させる。パターン像とは、例えば「く」の字であってもよいし、複数の縦棒であってもよい。センサー210がトナー及び中間転写ベルト204の濃度値を検出できるならば、どのような形状であってもよい。
【0029】
位置合わせ処理では、パターン像が形成されると、センサー210が中間転写ベルト204上の濃度値を取得する。センサー210は取得した濃度値を濃度判定部152に出力する。濃度判定部152は、受け付けた濃度値が所定の濃度値であるか否か判定する。濃度判定部152は、判定結果を位置合わせ部153に出力する。ここで、トナーは、クリーニングブレード(不図示)などのクリーニング部材によって中間転写ベルト204上から取り除かれる。すなわち、画像形成制御部151は、パターン像をシート上に形成させない。パターン像は第1画像の一態様である。
【0030】
位置合わせ部153は判定結果に応じて位置合わせを行う。位置合わせ後、画像形成制御部151は、プリンタ部200に印字確認画像を画像形成させる。印字確認画像は、ユーザーまたはサービスマンが画像形成装置100に消色トナー及び非消色トナー間の印字ずれの有無を目視で判断するための画像である。ユーザーまたはサービスマンは、目視で判断した結果、印字ずれがあると判断すると、再度位置合わせ処理を行う。印字ずれがないと判断すると、何らの処理も行わない。印字確認画像は第2画像の一態様である。このように位置合わせ処理を行うことで、組み立て時に、一度で消色トナー及び非消色トナーのテストを行うことができる。
【0031】
記憶部160は、磁気ハードディスク装置、半導体記憶装置又はROM(Read Only Memory)等の記憶装置を用いて構成される。記憶部160は、トナーごとの定着温度を記憶する。画像形成制御部151は、記憶部に記憶される定着温度に基づいて、定着部206の温度を制御する。
【0032】
図5は、実施形態の印字確認画像の一具体例を示す図である。領域500は、シートである。領域501は、シートに画像形成された印字確認画像である。領域502は、シート搬送方向における、シートの長さである。シートの長さは、420mmである。領域503は、シート搬送方向における、印字確認画像の長さである。印字確認画像の長さは100mmである。領域504は、シート搬送方向上流から下流にかけての、シートの余白の長さである。シートの余白の長さは320mmである。本明細書において「上流」及び「下流」とは、搬送方向における上流及び下流をそれぞれ意味する。
【0033】
印字確認画像では、格子状に画像が形成される。格子状の画像は、非消色トナーと消色トナーとの両方のトナーが同じ場所に定着されるように形成される。ここで、プリンタ部200の設定にずれがある場合、非消色トナーと消色トナーとが異なる場所に定着される。この場合、ユーザーまたはサービスマンは、位置合わせ処理を行ってもよい。
【0034】
シートの余白は、定着ローラに付着したトナーをシートに転写させるために用いられる。印字確認画像では、消色トナーと非消色トナーとが重ね合わせて印字される。この場合、定着部の目標温度は、定着温度が低いトナーに設定される。本実施例では、消色トナーの定着温度に合わせた場合、非消色トナーが消色され、サービスマンは格子の升目を確認できない場合がある。したがって、非消色トナーの定着温度に合わせて印字される。この場合、非消色トナーは、定着温度に達しないため、シートへ十分に定着せず、通常よりも多くのトナーが定着ローラに付着し、定着ローラを汚す可能性がある。そこで、印字確認画像を印字後、シートの余白と定着ローラとを接触させることで、定着ローラに付着したトナーをシートに転写させる。このように構成されることで、シートの余白により定着ローラはクリーニングされる。とくに、画像形成装置100は、組み立て後は海路で運ばれる。輸送中、画像形成装置100は使用されないため、輸送中にトナーが固まり、品質の劣化が発生するおそれがある。そのため、定着ローラがクリーニングされることで、品質の劣化を防止できる。なお、シートの余白の長さは、定着ローラの円周の長さより長いことが望ましい。定着ローラの円周の長さより長いと、定着ローラの側面全体をクリーニングできる。定着ローラは、第1回転体の一態様である。
【0035】
図6は、実施形態の位置合わせ処理の流れを表すフローチャートである。画像形成装置100の画像形成制御部151は、ユーザーまたはサービスマンから位置合わせ処理の指示をコントロールパネル120を通して受け付けると、中間転写ベルト204上にパターン像を形成させる(ACT101)。プリンタ部200のセンサー210は、中間転写ベルト204上の濃度値を取得する(ACT102)。センサー210は取得した濃度値を濃度判定部152に出力する。濃度判定部152は、受け付けた濃度値が所定の濃度であるか否かを判定する(ACT103)。
【0036】
所定の濃度でない場合(ACT103:NO)、濃度判定部152は、濃度調整を行う制御と画像確認の制御とを行う(ACT104)。濃度判定部152は、画像確認の制御の結果が所定の条件を満たすか否か判定する(ACT105)。所定の条件を満たす場合(ACT105:YES)、ACT108に遷移する。所定の条件を満たさない場合(ACT105:NO)、位置合わせ部153は、位置合わせ制御を行う(ACT106)。具体的には、tr1、tr2、tf1及びtf2を等しい値となるように、画像形成部200aの設定を補正する。
【0037】
位置合わせが必要でない場合(ACT103:NO)、濃度判定部152は、濃度値を画像濃度の制御条件に反映させる(ACT107)。画像形成制御部151は、定着部206の温度を非消色トナーの定着温度まで上昇させる(ACT108)。画像形成制御部151は、シートに印字確認画像を形成する(ACT109)。画像形成制御部151は、シートを搬送させ、シートの余白と定着ローラとを接触させることで、定着ローラをクリーニングする(ACT110)。印字確認画像が形成されたシートは、画像形成装置100から排紙される(ACT111)。
【0038】
ユーザーまたはサービスマンは排紙されたシートを目視し、印字ずれがあるか否かを判定する(ACT112)。印字ずれがある場合(ACT112:YES)、ACT101に遷移し、ユーザーまたはサービスマンは、再度位置合わせ処理を指示する。印字ずれがない場合(ACT112:NO)、処理を終了する。
【0039】
このように構成された画像形成装置100では、センサー210が中間転写ベルト204上の濃度値を取得する。濃度判定部152が取得された濃度値が所定の濃度である場合、画像濃度の制御条件に反映させる。濃度判定部152は、濃度値が所定の濃度でない場合、濃度調整を行う制御と画像確認の制御とを行う。画像確認の制御結果に基づいて、位置合わせ部153は、画像形成部200aの位置合わせを行うことで、非消色トナーと消色トナーとの位置合わせを一度に行うことができる。したがって、これまで、非消色トナーと消色トナーとで、二回行っていた位置合わせを一回で行え、画像形成装置100の製造時の動作確認及び出荷後のメンテナンス等をより短時間で行うことができるようになる。
【0040】
なお、図6の位置合わせ処理は、ユーザーまたはサービスマンなどがコントロールパネル120を操作することによって実施されるが、これに限定されない。例えば、位置合わせ処理は、所定枚数の印刷を行うなどの所定のタイミングや、指定された時刻になると実行されてもよい。
【0041】
また、図7は、従来の印字確認画像の一具体例を示す図である。図7では、余白を有さないため、定着ローラに残ったトナーを剥離させることができない。そこで、プリンタ部200は、搬送方向上流から下流にかけて定着ローラの円周の長さより長い余白を設けて印字確認画像を形成することで、定着ローラに付着したトナーをシートに転写させる。このように構成されることで、定着ローラに残ったトナーを剥離させることができる。したがって、画像形成時に定着ローラに残ったトナーがシートに付着することによる画像形成の劣化などを防ぐことができる。
【0042】
消色トナーで画像を形成する場合、プリンタ部200は、非消色トナーで画像形成する場合よりも、余白を広くしてもよい。このように構成された画像形成装置では、トナー消色後のシートに対して画像形成を行った場合でも、剥離ジャムの発生を抑制できる。
【0043】
上記各実施形態では、制御部150はソフトウェア機能部であるものとしたが、LSI等のハードウェア機能部であってもよい。
【0044】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、濃度判定部152、位置合わせ部153及びセンサー210を持つことにより、一度の工程で非消色トナーと消色トナーとの位置合わせをすることができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
100…画像形成装置、110…ディスプレイ、120…コントロールパネル、140…シート収容部、141…手差しユニット、150…制御部、151…画像形成制御部、152…濃度判定部、153…位置合わせ部、160…記憶部、200…プリンタ部、200a…画像形成部、201…レーザユニット、202a…第1感光体ドラム、202b…第2感光体ドラム、203a…第1現像器、203b…第2現像器、204…中間転写ベルト、205…転写ローラ、206…定着部、207…レジストローラ、208…搬送ローラ、209…排紙ローラ、210…センサー、画像読取部300、RADF301
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7