(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の両面粘着剤付き光学フィルムは、偏光板等の光学フィルムと、光学フィルムの第一主面上に設けられた第一粘着剤層と、光学フィルムの第二主面上に設けられた第二粘着剤層とを備える。光学フィルムの第一主面上には第一粘着剤層が設けられていない非接着領域が存在する。画像表示装置では、光学フィルムと前面透明部材または画像表示セルとが第一粘着剤層を介して貼り合わせられ、第一粘着剤層が設けられていない非接着領域には空隙が形成される。この空隙に、プリント配線板、前面透明部材、筐体、導電性ペースト、樹脂材料等を配置することにより、空間を有効利用して、狭額縁化および小型化を実現できる。
【0010】
[第1実施形態]
<粘着剤付き光学フィルム>
第1実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムは、光学フィルムの第一主面の周縁に沿って、第一粘着剤層が設けられずに光学フィルムが露出している領域(非接着領域)と、光学フィルム上に第一粘着剤層が付設されている領域(接着領域)とを有する。
【0011】
図1Aは、一実施形態にかかる両面粘着剤付き光学フィルム51の第一主面側の平面図であり、
図1Bは、B1−B2線における断面図である。両面粘着剤付き光学フィルム51は、光学フィルム11の一方の主面に第一粘着剤層21を備え、他方の主面に第二粘着剤層22を備える。
【0012】
(光学フィルム)
光学フィルム11としては、例えば偏光板が用いられる。一般的な偏光板では、偏光子の片面または両面に、必要に応じて適宜の透明保護フィルムが設けられている。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させ、延伸により二色性物質を配向させたものが用いられる。偏光子の表面に設けられる透明保護フィルムとしては、セルロース系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、フェニルマレイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の、透明性、機械的強度および熱安定性に優れる材料が好ましく用いられる。偏光子の透明保護フィルムとして、位相差板等の光学異方性フィルムを用いてもよい。
【0013】
光学フィルム11は、適宜の接着剤層や粘着剤層を介して、複数のフィルムが積層されたものでもよい。偏光板以外の光学フィルムとしては、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、視野角制限(覗き見防止)フィルム、輝度向上フィルム等の画像表示装置の形成に用いられるフィルムが挙げられる。光学フィルムには、タッチセンサー等が設けられていてもよい。また、光学フィルムの表面には、ハードコート層、反射防止層、アンチグレア層、スティッキング防止層等が設けられていてもよく、接着性向上等を目的とした表面処理が施されていてもよい。
【0014】
(粘着剤層)
光学フィルム11の第一主面上に設けられる第一粘着剤層21、および光学フィルム11の第二主面上に設けられる第二粘着剤層22は、光学的に透明な粘着剤からなるものが好ましい。第一粘着剤層21および第二粘着剤層22のいずれか一方は光学フィルム11と画像表示セルとの貼り合わせに用いられ、他方は光学フィルム11と前面透明部材(カバーガラス等の透明板、タッチセンサー等)との貼り合わせに用いられる。
【0015】
粘着剤層21,22を構成する粘着剤としては、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系等をベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性および接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れることから、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。第一粘着剤層21および第二粘着剤層22は、複数の粘着剤層を積層したものでもよい。
【0016】
第一粘着剤層21および第二粘着剤層22を構成する粘着剤は、画像表示セルや前面透明部材等の被着体との貼り合わせ後に、光照射により硬化可能な光硬化型粘着剤でもよい。例えば、加飾印刷等の隆起部を有する前面透明部材との貼り合わせに光硬化型粘着剤を用いれば、光硬化前の粘着剤が柔らかい状態で貼り合わせを行うことにより段差吸収性を持たせて隆起部近傍への気泡の混入等を抑制できる。貼り合わせ後にUV等を照射して粘着剤を光硬化することにより、接着信頼性を向上できる。光硬化型粘着剤は、例えば、ポリマーと、光重合性官能基を有するモノマーまたはオリゴマーと、光重合開始剤を含むものが好ましい。光重合性官能基を有するモノマーまたはオリゴマーとして、1分子中に2以上の重合性官能基を有する架橋性モノマーを用いてもよい。
【0017】
粘着剤層21,22の厚みは特に限定されず、一般には5〜500μm程度である。光学フィルム11と画像表示セルとの貼り合わせに用いられる粘着剤の厚みは、5〜50μm程度が好ましい。光学フィルム11と前面透明部材との貼り合わせに用いられる粘着剤の厚みは、前面透明部材の構成等に応じて適宜設定すればよい。例えば、前面透明部材が加飾印刷等に起因する隆起部を有する場合は、隆起部の周辺への気泡の混入を防止するために、粘着剤層の厚みを50μm以上として段差吸収性を持たせることが好ましい。
【0018】
(非接着領域)
図1に示す両面粘着剤付き光学フィルム51において、光学フィルム11の4辺のうち、3つの辺11a
2,11a
3および11a
4に沿った周縁は、第一粘着剤層21が設けられた接着領域である。y方向に延在する辺11a
1に沿った周縁では、光学フィルム11上に第一粘着剤層21が設けられていない。この非接着領域2xでは、光学フィルム11の主面が露出しており、光学フィルム11上に空隙が存在している。
【0019】
辺11a
2,11a
3および11a
4に沿った周縁では、光学フィルム11の端面と第一粘着剤層21の端面の位置が揃っている。辺11a
1に沿った非接着領域2xでは、第一粘着剤層21の端面21eが、光学フィルム11の端面11eよりも内側に位置している。これらの端面11e,21eは、辺11a
1に沿ってy方向に平行に延在している。
【0020】
非接着領域2xの幅W
1、すなわち、光学フィルム11の端面11eからの第一粘着剤層21の端面21eのオフセット量は、非接着領域に設けられる部材の形状や寸法等に応じて設定すればよい。画面の周縁およびその近傍の空間を有効利用する観点から、W
1は10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。
【0021】
W
1の上限は特に限定されず、画像表示装置の大きさや画面サイズ等に応じて設定すればよい。W
1は、例えば、光学フィルムの対角線の長さの10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。また、W
1は、50mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましく、1mm以下が特に好ましい。第一粘着剤層21による光学フィルム11と前面透明部材等との貼り合わせを確実とし、剥がれを防止する観点から、画像表示装置の構成部材と第一粘着剤層との物理的な干渉を回避可能な範囲で、W
1はできる限り小さいことが好ましい。
【0022】
光学フィルム11の面積は特に限定されないが、一般には、5〜25000cm
2程度である。光学フィルム11が矩形である場合、対角線の長さは、3〜250cm程度である。特に、面積が2000cm
2以下の中型または小型の画像表示装置では、本発明の構成による省スペース化の効果が大きい。
【0023】
光学フィルム11が矩形である場合、長辺と短辺を有する長方形でもよく、4辺の長さが等しい正方形でもよい。長方形の長辺の長さは、一般に短辺の長さの10倍以下であり、5倍以下、3倍以下または2倍以下であり得る。光学フィルムが偏光板や位相差フィルム等の光学異方性フィルムである場合、吸収軸や遅相軸等の光学軸の方向は、矩形の辺の延在方向と平行または垂直でもよく、矩形の辺の延在方向と所定の角度をなしていてもよい。光学フィルムが複数のフィルムの積層体である場合、それぞれのフィルムの光学軸の配置は特に限定されず、平行または直交でもよく、所定の角度をなしていてもよい。例えば、円偏光板では、偏光子の吸収軸方向と1/4波長板の遅相軸方向とのなす角が45°となるように、偏光子と1/4波長板とが積層される。
【0024】
第1実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムでは、光学フィルム11の周縁に沿った一部の領域が非接着領域であり、他の領域では、光学フィルム11の周縁に第一粘着剤層21が付設され、第一主面の端部が第一粘着剤層21により覆われている。粘着剤と画像表示装置構成部材との物理的な干渉を回避すべき領域を非接着領域とし、他の領域は、光学フィルム11の周縁にも粘着剤層21が設けられた接着領域であることにより、粘着剤層21による光学フィルム11とカバーガラス等との貼り合わせを確実とし、剥がれを防止できる。
【0025】
(保護シート)
図2は、粘着剤層上に保護シートを備える両面粘着剤付き光学フィルム451の断面図である。第一粘着剤層21上に第一保護シート41が剥離可能に貼着されており、第二粘着剤層22上に第二保護シート42が剥離可能に貼着されている。このように、粘着剤層上に保護シートを仮着しておけば、光学フィルム11を被着体と貼り合わせるまでの間、粘着剤層21,22の露出面を保護できる。
【0026】
保護シート41,42の構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。保護シート41,42の厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜150μm程度である。保護シートは、粘着剤との貼り合わせ面に、シリコーン系離型剤等による剥離処理が施されていてもよい。
【0027】
(光学フィルム上への粘着剤層および非接着領域の形成)
光学フィルム11に第一粘着剤層21および第二粘着剤層22を設ける方法としては、粘着剤組成物を剥離処理シート等に塗布して粘着剤層を形成した後に、光学フィルム11上に転写する方法;光学フィルム11上に粘着剤組成物を塗布する方法等が挙げられる。塗布後の粘着剤組成物は、必要に応じて、溶媒の乾燥除去、架橋処理、硬化処理等を行ってもよい。
【0028】
光学フィルム11の主面上に部分的に非接着領域2xを設ける方法としては、光学フィルム11上への第一粘着剤層21の付設領域を制御する方法や、光学フィルムの主面の全面に第一粘着剤層21を付設後に、所定領域の粘着剤層を取り除く方法が挙げられる。画像表示装置との貼り合わせに用いられるサイズに調整した光学フィルム上に、光学フィルムよりも面積の小さい粘着剤層を貼り合わせることにより、非接着領域を形成してもよい。また、画像表示装置との貼り合わせに用いられるサイズに調整した光学フィルム上の全面に設けられた粘着剤層の所定領域を除去して、非接着領域を形成してもよい。
【0029】
画像表示装置との貼り合わせに用いられる光学フィルムよりも大きなサイズに形成された両面粘着剤付き光学フィルムを、トムソン刃、丸刃、皿刃、レーザーカッター等を用いて所定サイズに切り出してもよい。光学フィルム上に第一粘着剤層が設けられていない領域を設け、この領域上を切断することにより、光学フィルムの周縁に非接着領域2xを有する両面粘着剤付き光学フィルムを作製してもよい。例えば、長尺状の両面粘着剤付き光学フィルムを、所定サイズに切り出す際に、光学フィルム上に第一粘着剤層が設けられていない領域を切断すれば、切断線に沿って非接着領域を有する両面粘着剤付き光学フィルムが得られる。大判の枚葉フィルム(マザー基板)から複数のフィルムを切り出してもよく、所定サイズのフィルムをさらに切断して、周縁に非接着領域を有する両面粘着剤付き光学フィルムを作製してもよい。
【0030】
非接着領域2xにおいて、保護シート41は、粘着剤層21の第一主面を覆っていることが好ましい。保護シート41の端面41eの位置は、粘着剤層21の端面21eと揃っていてもよく、光学フィルム11の端面11eと揃っていてもよい。保護シート41の端面41eは、粘着剤層21の端面21eと光学フィルム11の端面11eの間に位置していてもよく、光学フィルム11の端面11eよりも外側に位置していてもよい。
【0031】
光学フィルム上に第一粘着剤層が付設されていない領域を設け、粘着剤層が付設領域および粘着剤非付設領域の全面を保護シートで被覆した状態で枚葉サイズへの切り出しを行うと、
図2に示すように、接着領域および非接着領域の両方において、光学フィルム11の端面11eと保護シート41の端面41eの位置が揃う。非接着領域2xにおいて、粘着剤層21の端面21eが光学フィルム11の端面11eおよび保護シート41の端面41eよりも内側に存在すれば、粘着剤層の端面21eの糊汚れや糊欠けを抑制できる。
【0032】
光学フィルム周縁の接着領域は、光学フィルムの表面に第一粘着剤層が付設され、光学フィルムの主面が露出していなければよい。接着領域では、保護シート41の端面の位置と第一粘着剤層21の端面の位置が揃っていてもよく、保護シート41の端面が第一粘着剤層21の端面よりも外側に位置していてもよい。
【0033】
図3に示す両面粘着剤付き光学フィルム53のように、第一粘着剤層21の厚み方向の中央部では、端面21cが、光学フィルム11の端面および第一保護シート41の端面よりも内側に位置していてもよい。接着領域において、粘着剤層21の厚み方向の中央部の端面21cが光学フィルム11の端面よりも内側に存在することにより、両面粘着剤付き光学フィルムの輸送時や、貼り合せ等の加工ライン上での糊汚れや糊欠けを抑制できる。
【0034】
例えば、主面側から加圧した状態で両面粘着剤付き光学フィルムのカッティングを行うことにより、光学フィルムとの界面では粘着剤層の端面の位置と光学フィルムの端面の位置が一致し、粘着剤層の厚み方向の中央部では粘着剤層の端面を内側に位置させることが可能である。粘着剤層21,22上に保護シート41,42を付設した状態で、両面粘着剤付き光学フィルムを加圧すると、粘着剤層が弾性変形し、厚み方向中央部において、粘着剤層の端部が光学フィルムの端部からはみ出た状態となる。この状態で、光学フィルム11および保護シート41,42と共に粘着剤層21,22をカットすると、光学フィルム11の端面および保護シート41,42の端面の位置と粘着剤層21,22の端面の位置が揃う。カット後に圧力を開放すると、粘着剤の変形により、粘着剤層の厚み方向の中央部の端面が、光学フィルム11の端面よりも内側に後退し、
図3に示すように、粘着剤層の厚み方向の中央部の端面が内側に位置する両面粘着剤付き光学フィルムが得られる。
【0035】
接着領域において第一粘着剤層21の厚み方向の中央部の端面が、光学フィルム11の端面よりも内側に位置している場合、光学フィルム11の端面と第一粘着剤層の厚み方向中央部の端面との距離W
2は、例えば5μm〜300μm程度である。端面からの粘着剤のはみ出しの抑制と、端部の接着性とを両立する観点から、W
2は10μm〜100μm程度がより好ましく、15μm〜70μm程度がさらに好ましい。W
2とW
1は同等でもよく異なっていてもよい。一般には、W
2<W
1である。
【0036】
図1に示す両面粘着剤付き光学フィルム51は、矩形の光学フィルム11の4辺のうちの1つの短辺11a
1に沿って非接着領域2xが設けられている。非接着領域は、矩形の2辺以上に設けられていてもよく、矩形の長辺に設けられていてもよい。非接着領域において、第一粘着剤層の端面は、光学フィルムの辺と平行に延在している必要はない。例えば、非接着領域は、矩形の辺の端(矩形の頂点)から辺の中央側に向けて幅が小さくなる部分を有していてもよい。非接着領域は、辺の全長に沿って設けられている必要はない。例えば、矩形の辺の一部や、矩形の頂点にのみ非接着領域が設けられていてもよい。
【0037】
光学フィルムの形状は矩形に限定されず、画像表示装置の画面の形状やサイズに応じて、適宜の形状であり得る。例えば、光学フィルムの平面視形状は、三角形、ひし形、平行四辺形、台形、五角形、六角形等の多角形、円形、楕円形、星形等でもよい。
【0038】
<画像表示装置>
図4は、両面粘着剤付き光学フィルム51を用いて作製した画像表示装置101の断面図である。画像表示装置101では、画像表示セル60上に光学フィルム11が配置されており、光学フィルム11の視認側にタッチセンサー付きカバーガラス71が設けられている。光学フィルム11と画像表示セル60とが第二粘着剤層22を介して貼り合わせられており、光学フィルム11とカバーガラス71とが第一粘着剤層21を介して貼り合わせられている。画像表示セル60は、例えば、液晶セル、有機EL(OLED)、またはマイクロLEDである。カバーガラス71に代えて、アクリル等の透明樹脂材料からなる透明樹脂板が用いられてもよい。
【0039】
カバーガラス71の端部近傍では、光学フィルム11に対向する面に設けられたタッチセンサー(不図示)に、電気接続部材としてのフレキシブルプリント配線板(FPC)91が接続されている。FPC91は、画像表示セル60の裏面側に回り込むように曲げられている。
【0040】
図5は、従来の両面粘着剤付き光学フィルム551を用いた画像表示装置501の断面図である。画像表示装置501は、
図4の画像表示装置101と類似の構成を有しているが、光学フィルム11とカバーガラス571との間の粘着剤層521が、光学フィルム上の全面に設けられている。
【0041】
画像表示装置501では、光学フィルム11の周縁の全周に沿って、端面11eと粘着剤層521の端面521eの位置が揃っており、光学フィルム11とカバーガラス571との間の空間の全体が、粘着剤層521により覆われている。光学フィルム11とカバーガラス571との間に空隙が存在しないため、光学フィルム11の端面11eよりも外側に、タッチセンサーとFPC591との接点507aが設けられる。画面の表示領域の外側に、FPC等の電気接続部材を収容する空間を確保する必要があるため、画面外周の額縁領域の幅を小さくすることは困難である。
【0042】
一方、本発明の両面粘着剤付き光学フィルム51を用いた
図4の画像表示装置101では、辺11a
1に沿った非接着領域2xの空間にFPC91を配置することにより、光学フィルム11の端面11e上、または端面11eよりも内側に、タッチセンサーとFPC91との接点7aを設けることができる。このように、光学フィルム11上に第一粘着剤層21が付設されていない非接着領域2xを設け、その空隙部分にFPC等を配置して、画面の周縁およびその近傍の空間を有効利用することにより、狭額縁化を実現できる。
【0043】
前述のように、光学フィルム周縁の接着領域では、第一粘着剤層21の厚み方向中央部の端面21cが光学フィルム11の端面よりも内側に存在していてもよい(
図3参照)。この形態において、接着領域における第一粘着剤層21の端面21cと光学フィルムの端面との距離W
2が大きい場合でも、光学フィルム11の付設界面、および保護シート41の付設界面では、第一粘着剤層の端面と光学フィルム11および保護シート41の端面の位置が一致している。そのため、W
2が大きい場合でも、接着領域では、FPC等と粘着剤層との物理的干渉を回避して狭額縁化を図ることは困難である。
【0044】
1辺に非接着領域を有する両面粘着剤付き光学フィルム51の使用形態は、
図4に示す構成に限定されず、他の構成を有する画像表示装置にも適用できる。例えば、
図6に示す画像表示装置102のように、表面に配置されるカバーガラス72には、光学フィルム11に対向する面の画面周縁に加飾印刷72aが施されていてもよい。この実施形態では、カバーガラス71の加飾印刷72aよりも外側の非接着領域2xの空間に、FPC91が配置され、タッチセンサーとFPCとの接点7aが設けられる。
【0045】
図7に示す画像表示装置103のように、光学フィルム11とタッチセンサー73とが第一粘着剤層21を介して貼り合わせられ、その上に、別の粘着剤層29を介してカバーガラス79が貼り合わせられてもよい。
【0046】
画像表示装置において、両面粘着剤付き光学フィルムの第一粘着剤層21側が視認側に配置されている必要はなく、画像表示セル側に第一粘着剤層21が配置されてもよい。例えば、
図8に示す画像表示装置104では、画像表示セル60上に、第一粘着剤層21を介して、タッチセンサーを備える偏光板17が貼り合わせられており、その上に、第二粘着剤層22を介してカバーガラス79が貼り合わせられている。光学フィルムとしての偏光板17の端部近傍では、画像表示セル60に対向する面に設けられたタッチセンサーに、FPC91が接続されている。この実施形態では、画像表示セル60と光学フィルムとしての偏光板17との間の、FPC接点7aが設けられる領域を非接着領域2xとすることにより、空間を有効利用できる。
【0047】
<第1実施形態の変形例>
前述のように、光学フィルムの第一主面上の非接着領域を設ける位置は、矩形の短辺に限定されない。例えば、
図9に示すように、両面粘着剤付き光学フィルム56は、矩形の2つの長辺11a
2,11a
4に、光学フィルム11の第一主面が露出した非接着領域2xを有していてもよい。
【0048】
図10は、
図9の両面粘着剤付き光学フィルム56を用いて作製した画像表示装置106の概略斜視図である。画像表示装置106は、視認側表面にカバーガラス74を備え、カバーガラス74の端部は筐体84と結合している。カバーガラス74は、x方向に延在する長辺74aが曲面状である。両面粘着剤付き光学フィルムの非接着領域2x上に、カバーガラス74の曲面形状部分74aが位置するように配置すれば、第一粘着剤層21とカバーガラス74との物理的な干渉を回避して、デバイス内の空間を有効利用できる。
【0049】
図10では、カバーガラス74の長辺74aが曲面形状に面取りされた形状を有しているが、カバーガラスの長辺は平面状に面取りされた形状でもよい。また、カバーガラスの頂点部分が平面状または曲面状に面取りされていてもよい。カバーガラス等の前面透明板や筐体等の面取り形状部分は、外面と内面の形状が同一でもよく、異なっていてもよい。また、非接着領域に筐体を配置して、粘着剤層と筐体との物理的な干渉を回避してもよい。
【0050】
図11および12は、それぞれ、他の実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムの第一主面側の平面図である。
図11に示す両面粘着剤付き光学フィルム57Aは、矩形の4つの頂点に、丸みを帯びた非接着領域2x
1を有している。例えば、矩形の頂点が丸みを帯びた形状の前面透明板や筐体を備える画像表示装置の形成に、この両面粘着剤付き光学フィルム57Aを用いれば、表示領域の頂点近傍の曲面形状部分と第一粘着剤層21との物理的な干渉を回避して、デバイス内の空間を有効利用できる。
【0051】
図12に示す両面粘着剤付き光学フィルム57Bは、一方の短辺11a
3の両端に丸みを帯びた非接着領域2x
1を有し、他方の短辺11a
1の全長に沿って非接着領域2x
2を有している。
図12に示すように、短辺11a
1に沿って設けられた非接着領域2x
2は、短辺11a
1の全長に沿って直線状であり、角が丸みを帯びていなくてもよい。このように、辺に沿って設けられた非接着領域は、前面透明部材や筐体との物理的な干渉回避の他、FPC等の構成部材との物理的な干渉の回避にも利用できる。
【0052】
図13は、辺の一部に非接着領域を有する両面粘着剤付き光学フィルム58の第一主面側の平面図である。両面粘着剤付き光学フィルム58は、矩形の短辺11a
1上に、切り欠き状の非接着領域2x
3を有している。
【0053】
図14は、両面粘着剤付き光学フィルム58を用いて作製した画像表示装置108の断面図である。画像表示装置108では、画像表示セル60と光学フィルム11とを接地させるために、導線98が設けられている。非接着領域2x
3では光学フィルム11上に第一粘着剤層21が設けられておらず光学フィルム11が露出しているため、光学フィルム11の第一主面に、導線98の接地点8aを設けることができる。導線98は、金属線や金属ペースト等により形成できる。導線98を構成する金属の酸化防止等を目的として、導線の表面には樹脂被覆層等の絶縁層が設けられていてもよい。
【0054】
光学フィルムの第一主面上の非接着領域に画像表示装置の構成部材を設ける例として、非接着領域にFPCとの接点を設ける例、非接着領域に前面透明板または筐体を配置する例、および導線との接点を設ける例を示したが、画像表示装置の構成はこれらに限定されず、非接着領域に配置される部材も特に限定されない。非接着領域に設けられる部材は、任意の導電材料または絶縁材料であり得る。例えば、光学フィルムの第一主面上の非接着領域および光学フィルムの側面を覆うように、導電材料または樹脂材料が設けられていてもよい。
【0055】
導電性材料または樹脂材料は、さらに画像表示パネルの表面を覆うように設けられていてもよい。例えば、有機ELセルの表面と光学フィルムの側面を覆うように樹脂層を設けて有機ELセルを封止することにより、有機ELの劣化を抑制できる。
【0056】
画像表示セルは平面状である必要はない。例えば、画像表示セルの全面が曲面でもよく、画像表示セルの端部が曲面状となっていてもよい。画像表示セルの端部が曲面状である場合には、非接着領域が曲面部分に含まれていてもよい。導電性材料または樹脂材料が、画像表示パネルの表面を覆うように設けられていてもよい。また、画像表示セルは、FPCとの接続領域等の非表示部分において曲面形状であってもよい。
【0057】
両面粘着剤付き光学フィルムにおいて、第二粘着剤層22は、光学フィルムの第二主面の全面を覆うように設けられていてもよい。第二主面の周縁の全周に沿って非接着領域を有さないことにより、画像表示セル60等と光学フィルム11との貼り合わせを確実に行い、端部からの剥がれを防止できる。光学フィルムの第一主面上に加えて、第二主面上にも非接着領域を設け、画像表示装置の構成部材との物理的な干渉を回避してもよい。
【0058】
[第2実施形態]
第2実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムは、光学フィルムの第一主面の周縁の全周に沿って、第一粘着剤層が付設されておらず光学フィルムが露出している領域(非接着領域)を有する。この実施形態では、非接着領域は、光学フィルムの第一主面の周縁に沿って、幅が異なる領域を有していてもよい。第2実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムは、光学フィルム11の第一主面の周縁の全周に沿って非接着領域を有し、光学フィルム11の第一主面の周縁には接着領域が存在しない。それ以外は、第2実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムの構成は第1実施形態と同様である。
【0059】
第2実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムの一例を
図15に示す。
図15Aは、両面粘着剤付き光学フィルム251の第一主面側の平面図であり、
図15Bは、B1−B2線における断面図である。第2実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムは、第1実施形態と同様、光学フィルム11の一方の面に第一粘着剤層21を備え、他方の面に第二粘着剤層22を備える。粘着剤層21,22の表面には保護シート(不図示)が仮着されていてもよい。
【0060】
両面粘着剤付き光学フィルム251は、一方の短辺11a
1に沿った非接着領域2x
41の幅W
11と、他方の短辺11a
3に沿った非接着領域2x
43の幅W
13が異なっている。例えば、画像表示装置を形成した際に、非接着領域2x
41の空間は、タッチセンサーへのFPCの接続領域となり、非接着領域2x
43の空間は、端部が曲面形状のカバーガラスや筐体等との物理的な干渉を回避するための領域となる。光学フィルム11の矩形の長辺11a
2および長辺11a
4に沿った非接着領域も、カバーガラスや筐体等との物理的な干渉を回避するための領域となる。このように、物理的な干渉を回避すべき対象に応じて、非接着領域の幅を調整することにより、空間の有効利用と、第一粘着剤層による接着信頼性とを両立できる。
【0061】
非接着領域の幅の最大値と最小値の比は特に限定されない。非接着領域の幅の最大値は、例えば、非接着領域の幅の最小値の1.1倍以上である。非接着領域の幅の最大値は、非接着領域の幅の最小値の1.3倍以上でもよく、1.5倍以上でもよく、2倍以上でもよく、3倍以上でもよい。
【0062】
図16は、両面粘着剤付き光学フィルム253の第一主面側の平面図である。両面粘着剤付き光学フィルム253では、非接着領域2x
5の幅は、矩形の辺の中央部では略均一である。矩形の頂点近傍では非接着領域2x
5が丸みを帯びた平面形状となっており、矩形の辺の端から中央側に向けて非接着領域の幅が小さくなっている。このような形状の非接着領域2x
5を有する両面粘着剤付き光学フィルム253を用いれば、表示領域の周縁の全周に沿って、カバーガラスや筐体等の画像表示装置構成部材との物理的な干渉を回避できる。
【0063】
[第3実施形態]
両面粘着剤付き光学フィルムの非接着領域は、光学フィルムの周縁以外の領域に設けられていてもよい。第3実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムは、光学フィルムの第一主面の周縁の内側に、第一粘着剤層が付設されておらず光学フィルムが露出している領域(非接着領域)を有する。それ以外は、第3実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムの構成は第1実施形態および第2実施形態と同様である。第3実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムは、第1実施形態および第2実施形態と同様、粘着剤層21,22の表面に保護シート(不図示)が仮着されていてもよい。
【0064】
第3実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムの一例を
図17に示す。
図17は、両面粘着剤付き光学フィルム351の第一主面側の平面図である。
図18は、両面粘着剤付き光学フィルム351を用いて作製した画像表示装置109のyz断面図(
図17の短辺方向に沿った断面図)である。
【0065】
両面粘着剤付き光学フィルム351は、長辺11a
4の内側に、長辺と平行に延在する非接着領域2x
6を有する。画像表示装置109では、画像表示セル60上に光学フィルム11が配置されており、光学フィルム11の視認側にカバーガラス372が設けられている。光学フィルム11と画像表示セル60とは第二粘着剤層22を介して貼り合わせられており、光学フィルム11とカバーガラス372とは第一粘着剤層21を介して貼り合わせられている。カバーガラス372には、光学フィルム11に対向する面に加飾印刷が施されており、両面粘着剤付き光学フィルム351の非接着領域2x
6に、加飾印刷による隆起部372aが重なるように配置されている。
【0066】
画像表示装置109では、加飾印刷による隆起部372aの直下に粘着剤層が設けられておらず、隆起部による粘着剤の圧縮変形を伴わない。そのため、隆起部からの粘着剤の剥がれや、粘着剤の圧縮応力に起因する表示ムラ等を抑制できる。
【0067】
図17の両面粘着剤付き光学フィルムは、矩形の短辺11a
1上および短辺11a
3上に非接着領域2x
6を有するため、第1実施形態にも該当する。
図19に平面図を示す両面粘着剤付き光学フィルム352のように、第3実施形態の両面粘着剤付き光学フィルムは、光学フィルム11の周縁に非接着領域を有しておらず、周縁の内側のみに非接着領域2x
7を有していてもよい。
【0068】
両面粘着剤付き光学フィルムは、光学フィルムの第一主面の周縁に沿った領域および周縁の内側の領域の両方に、非接着領域を有していてもよい。例えば、
図20に平面図を示すように、両面粘着剤付き光学フィルム353は、矩形の短辺11a
1に沿った非接着領域2xと、長辺11a
4の内側の非接着領域2x
6とを有していてもよい。
【0069】
第一主面の周縁に存在する非接着領域と、周縁の内側に存在する非接着領域とは繋がって一体となっていてもよく、繋がっていなくてもよい。例えば、
図21に平面図を示す両面粘着剤付き光学フィルム355のように、矩形の1辺11a
1に沿って平行に延在する非接着領域2x
8と、辺11a
3の両端の頂点近傍に設けられた非接着領域2x
1を有していてもよい。
【0070】
以上説明したように、本発明の両面粘着剤付き光学フィルムは、光学フィルムの両面に粘着剤層が設けられており、かつ少なくとも一方の面に、粘着剤層が設けられておらず、光学フィルムが露出した領域を有する。この非接着領域が存在することにより、画像表示装置形成時に、光学フィルムと被着体との間に空隙が形成される。この空間に、画像表示装置の構成部材を配置することにより、粘着剤との物理的な干渉を回避し、スペースを有効利用して、画像表示装置の省スペース化および狭額縁化に寄与し得る。