【実施例】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本実施例に係る釣銭機、貨幣処理システム、金銭登録機及び貨幣処理方法の実施例を説明する。本実施例では、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店内に配設された貨幣処理システムに本発明を適用した場合を示すこととする。
【0023】
<本発明に係る貨幣処理システムの概念>
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗内には、顧客による商品の購入に伴って、その商品データが入力される金銭登録機であるPOSレジと、このPOSレジに接続され、顧客から店員が受け取った現金に応じた釣銭を出金すると共に受け取った現金を収納する釣銭機が設置されている。また、店舗にPOSレジと釣銭機からなる貨幣処理システムを複数セット配置し、POSレジの売上データを店舗内のサーバに集約する場合もある。
【0024】
図1は、本実施例に係る貨幣処理システムの概念を説明するための説明図である。
図1(a)に示すように、本実施例に係るPOSレジ290は、自装置に接続された釣銭機200に対して合計金額要求を送信することができる(S11)。釣銭機200は、内部に収納した貨幣について金種別の在高を記憶しており、POSレジ290から合計金額要求を受信したならば、金種別の在高から算定された釣銭として払い出せる貨幣の合計金額をPOSレジ290に送信する(S12)。
【0025】
POSレジ290は、釣銭機200から合計金額を受信し(S13)、釣銭出金可能な取引数を算定する(S14)。最高額の金種が1万円であり、最低額の金種が1円であれば、1回の取引で発生する釣銭は最高で9999円となる。従って、釣銭機200から受信した合計金額が9999円の何倍であるかを求めれば、釣銭出金可能な取引数を算定することができる。
【0026】
図1に示した例では、釣銭機200が払い出せる貨幣の合計金額が「29999円」であるので、取引数は「3回」となる。
図1(b)に示すように複数の顧客がいる場合、通常は1人の顧客による1又は複数の商品の購入が1取引となるため、取引数が「3回」であれば、3人分の取引について釣銭が担保されているとみなすことができる。
【0027】
POSレジ290は、算定した取引数を表示出力などによって店員に報知する。このため、店員は、取引数を確認し、釣銭の補充のタイミングを定める指標とすることができる。
【0028】
このように、釣銭機200に収納された貨幣の合計金額に基づいて釣銭出金可能な取引数を算定し、取引数を報知することで、釣銭機200の機内の貨幣の在高で対応可能な取引数を効率良く特定し、業務効率の向上を図ることができる。
【0029】
特に、一部の金種の貨幣が不足したときに他の金種の貨幣を用いて釣銭を払い出す代替出金を用いる場合には、金種毎の貨幣の枚数のみから釣銭出金の可否を判定することが困難であるため、合計金額に基づく取引数は重要な指標となる。
【0030】
<釣銭機200の構成>
次に、釣銭機200の詳細な構成について
図2〜
図6を用いて説明する。
図2等に示すように、本実施例1による釣銭機200は、硬貨処理ユニット250と、硬貨処理ユニット250の隣に並ぶよう配置された紙幣処理ユニット210とを備えており、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250の上方にはPOSレジ290が載置される。紙幣処理ユニット210及び硬貨処理ユニット250は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行う。また、POSレジ290は、釣銭機200の管理を行う管理装置として用いられる。
【0031】
まず、紙幣処理ユニット210の構成について
図2及び
図3を用いて具体的に説明する。
図2及び
図3に示すように、紙幣処理ユニット210は、略直方体形状の筐体212を有し、筐体212の前面に紙幣受入部222、紙幣払出部220、出金リジェクト部224及びカセット装着部226が配置されている。
【0032】
紙幣受入部222は、操作者による紙幣の投入を受け付け、紙幣処理ユニット210の内部に取り込む処理部である。紙幣払出部220は、紙幣処理ユニット210の内部から紙幣を払い出す処理部である。
【0033】
カセット装着部226は、売上金の回収や釣銭の補充に用いる収納カセットを着脱可能である。出金リジェクト部224は、金種が識別できない等、出金に適さない紙幣を内部に集積する。
【0034】
また、紙幣処理ユニット210は、筐体212の内部で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部230と、筐体212の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数の紙幣収納部234、236、238とを備える。なお、
図3において、筐体212の下側の側面が紙幣処理ユニット210の手前側の面であり、
図3における上向きの方向が紙幣処理ユニット210の奥行き方向である。
【0035】
図3に示すように、搬送部230は、筐体212の中央位置に配置された周回搬送部230a及び複数の接続搬送部230bから構成されている。また、紙幣受入部222、紙幣払出部220、出金リジェクト部224、収納カセット300を着脱自在に装着可能なカセット装着部226及び3つの紙幣収納部234、236、238が、それぞれ周回搬送部230aを取り囲むよう配置されている。
【0036】
また、
図3に示すように、複数の接続搬送部230bの各々により、紙幣受入部222、紙幣払出部220、出金リジェクト部224、カセット装着部226及び3つの紙幣収納部234、236、238の各々と、周回搬送部230aとの間がそれぞれ接続される。また、周回搬送部230aには識別部232が設けられており、この識別部232は、周回搬送部230aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う。
【0037】
周回搬送部230aは、
図3における時計回りの方向及び反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができる。また、搬送部230において、周回搬送部230aと各接続搬送部230bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部230aに沿って配置されている。
【0038】
図2及び
図3に示すように、筐体212の前面には、紙幣受入部222の紙幣受入口と紙幣払出部220の紙幣取出口とが設けられている。また、カセット装着部226は、収納カセット300の装着と取り外しが可能である。
【0039】
紙幣受入部222には紙幣繰出機構221が設けられており、入出金口に1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると、紙幣繰出機構221が駆動されることにより紙幣が接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出される。
【0040】
また、紙幣払出部220は、各紙幣収納部234、236、238から周回搬送部230aに繰り出された紙幣を紙幣取出口により筐体212の外部へ放出するよう構成されている。
【0041】
出金リジェクト部224は、出金処理時において各紙幣収納部234、236、238から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部232で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部222から筐体212の内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により識別部232で識別することができない紙幣は、入金リジェクト紙幣として紙幣払出部220に返却される。
【0042】
各紙幣収納部234、236、238は、識別部232の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。これらの紙幣収納部234、236、238には、紙幣処理ユニット210に入金された売上金としての紙幣や釣銭として出金されるべき紙幣が収納される。例えば、紙幣収納部234には1000円札が収納され、紙幣収納部236には5000円札が収納され、紙幣収納部238には10000円札が収納される。また、各紙幣収納部234、236、238にはそれぞれ紙幣繰出機構235、237、239が設けられており、これらの紙幣収納部234、236、238に収納されている紙幣は、各紙幣繰出機構235、237、239により接続搬送部230bを介して周回搬送部230a側へ1枚ずつ繰り出される。
【0043】
次に、硬貨処理ユニット250の構成について説明する。
図2及び
図4に示すように、硬貨処理ユニット250は、略直方体形状の筐体251と、筐体251の前面側に設けられた硬貨受入部252と、筐体251の前面側において硬貨受入部252の下方に設けられた硬貨払出部266と、筐体251の内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の収納繰出部260とを備えている。
【0044】
硬貨受入部252は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体251内に取り込む。具体的には、硬貨受入部252には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構253(
図6参照)が設けられており、硬貨受入部252に受け入れられた硬貨を検知すると、この硬貨繰出機構253が駆動されることにより当該硬貨繰出機構253によって硬貨が筐体251の内部に1枚ずつ繰り出される。また、
図4に示すように、硬貨受入部252には、当該硬貨受入部252により筐体251の内部に繰り出された硬貨を搬送する入金搬送部254が接続されている。
【0045】
図4に示すように、入金搬送部254の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う識別部256と、分岐部258とがそれぞれ設けられている。分岐部258は、識別部256による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部266から払い出されるべき硬貨を入金搬送部254から分岐させて出金搬送部262へ案内する。
【0046】
一方、正常硬貨等の筐体251内に収納されるべき硬貨は入金搬送部254により各収納繰出部260へ搬送される。収納繰出部260は、硬貨を金種別に収納するとともに、収納されている硬貨を繰出可能となるよう構成されている。例えば、日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨)に対応して6つの収納繰出部260が設けられており、入金搬送部254の上流側(すなわち、
図4における下側)から低額順に各収納繰出部260に硬貨が金種毎に収納される。また、収納繰出部260には、当該収納繰出部260に収納された硬貨を1枚ずつ出金搬送部262に繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。
【0047】
出金搬送部262は、収納繰出部260から繰り出された硬貨を硬貨払出部266へ搬送する。また、出金搬送部262は、分岐部258により入金搬送部254から分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部266へ搬送する。
【0048】
<POSレジスタの構成>
次に、POSレジ290の構成について具体的に説明する。
図2及び
図5に示すように、POSレジ290は、操作者用の表示部293、顧客用の表示部293a、操作キー等の操作部294、バーコードリーダ298、カードリーダ296、印字部297、記憶部295、通信部292及びPOS制御部291を有する。
【0049】
表示部293は、操作者が視認可能な表示部であり、商品情報の読み取り結果、購入に係る各種情報、釣銭機200の処理状況や在高等の情報の表示に用いられる。表示部293aは、顧客が視認可能な表示部であり、商品情報の読取結果、合計金額や釣銭金額等の購入に係る各種情報に用いられる。操作部294は、操作者による各種操作入力に用いられる。
【0050】
バーコードリーダ298は、商品に付されたバーコードを読み取って復号することで商品に係る情報の取得を行う。カードリーダ296は、操作者(レジ担当者)のIDカードの読み取りや、顧客のクレジットカードの読み取り等に用いられる。印字部297は、取引内容を印字したレシートの発行に用いられる。
【0051】
記憶部295は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスである。この記憶部295は、POS制御部291が実行する精算処理プログラムの記憶、商品から読み取った商品情報の一時記憶、その他購入に係る各種情報の一時記憶などに用いられる。通信部292は、釣銭機200や上位のサーバと通信を行う通信インタフェースである。
【0052】
POS制御部291は、POSレジ290を全体制御する制御部であり、購入金額算出部291a、投入貨幣金額情報取得部291b、最適釣銭構成通知部291c、合計金額受付部291d、取引数算定部291e、表示制御部291fを有する。なお、実際には、CPU(Central Processing Unit)が、記憶部295から精算処理プログラムをロードして実行することで、購入金額算出部291a、投入貨幣金額情報取得部291b、最適釣銭構成通知部291c、合計金額受付部291d、取引数算定部291e、表示制御部291fにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0053】
購入金額算出部291aは、バーコードリーダ298が取得した商品の情報や、操作部294により入力された商品の情報に基づいて、顧客により購入された商品の購入金額を算出する処理部である。
【0054】
投入貨幣金額情報取得部291bは、購入金額算出部291aにより購入金額が算出された場合に釣銭機200に入金要求を送信し、釣銭機200に投入された投入貨幣の金額情報を取得する。
【0055】
最適釣銭構成通知部291cは、購入金額と投入貨幣金額の差分を釣銭金額として算出し、釣銭金額に対応する貨幣の金種ごとの枚数の合計値が最小となる最適釣銭構成を求め、最適釣銭構成を含む出金要求を釣銭機200に送信する。
【0056】
合計金額受付部291dは、釣銭機200に対して合計金額要求を送信し、釣銭機200から合計金額を受信する処理部である。合計金額要求は、例えば取引が終了するごとに行われる。
【0057】
取引数算定部291eは、釣銭機200から受信した合計金額に基づいて釣銭出金可能な取引数を算定する処理部である。具体的には、金種の最高額から最低額を減算した値で合計金額を除算した商を取引数とする。
【0058】
表示制御部291fは、取引数算定部291eにより算定された取引数を表示部293に表示制御する処理を行う。また、表示制御部291fは、釣銭機200から代替出金に係る情報を受け付けた場合に、代替出金に係る情報を表示部293に表示制御する。
【0059】
具体的には、釣銭機200から最適釣銭構成と異なる代替釣銭構成の釣銭が出金された旨の通知を受け付けた場合に、表示部293に代替出金がなされた旨を表示制御することになる。また、釣銭機200からの通知に出金した金種の構成が示されていれば、金種の構成と、どの金種について代替出金を行ったかについても表示部293に表示制御する。
【0060】
また、代替出金が必要となった場合に、出金前に顧客から代替出金の許可を得るようにしてもよい。この場合には、代替釣銭構成を表示部293aに表示して顧客に確認させた上で、許可を得ることが望ましい。
【0061】
<釣銭機200の制御系の構成>
次に、釣銭機200の制御系の構成について
図6を用いて説明する。釣銭機200の紙幣処理ユニット210は、紙幣制御部210aに通信部240と、搬送部230と、識別部232と、各紙幣繰出機構(紙幣繰出機構221、235、237、239)と、カセット装着部226とを接続した構成を有する。
【0062】
通信部240は、硬貨処理ユニット250と通信を行う通信インタフェースである。紙幣制御部210aは、識別部232による識別結果を用いて搬送部230及び各紙幣繰出機構を駆動することで紙幣の搬送を行い、紙幣の搬送結果を硬貨処理ユニット250に送信する。また、紙幣制御部210aは、カセット装着部226からカセットの装着状況を取得し、硬貨処理ユニット250に送信する。
【0063】
釣銭機200の硬貨処理ユニット250は、上位制御部202に通信部203、操作表示部204、記憶部205及び硬貨制御部250aを接続し、硬貨制御部250aに硬貨繰出機構253、入金搬送部254、識別部256、分岐部258、各収納繰出部260及び出金搬送部262を接続した構成を有する。
【0064】
硬貨制御部250aは、識別部256による識別結果を用いて硬貨繰出機構253、入金搬送部254、分岐部258、各収納繰出部260及び出金搬送部262を駆動することで硬貨の搬送を行い、硬貨の搬送結果を上位制御部202に送信する。
【0065】
通信部203は、紙幣処理ユニット210やPOSレジ290と通信を行う通信インタフェースである。操作表示部204は、硬貨処理ユニット250の筐体251の上面に設けられたタッチパネル等であり、操作者が操作するための操作画面や、紙幣処理ユニット210及び硬貨処理ユニット250の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報を操作表示部204に表示する。操作者は、操作表示部204に表示された操作画面における操作ボタンに指を触れることによって、上位制御部202に様々な指令を入力することができる。
【0066】
記憶部205は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスであり、在高データ205a及び代替出金制限データ205bを記憶する。在高データ205aは、紙幣処理ユニット210及び硬貨処理ユニット250の各々に収納されている貨幣の在高に係るデータである。代替出金制限データ205bは、代替出金を行う際の制限を示すデータである。
【0067】
上位制御部202は、POSレジ290から入金要求を受信した場合に、硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aに貨幣の投入の受付を指示する。硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aは、上位制御部202からの指示を受けて投入された貨幣を対応する収納部に搬送することで入金処理を行い、入金処理結果を上位制御部202に送信する。
【0068】
上位制御部202は、入金処理結果を硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aから受信したならば、在高データ205aを更新し、投入された貨幣の合計金額を求め、投入貨幣の金額情報としてPOSレジ290に送信する。
【0069】
また、上位制御部202は、出金する貨幣の金種及び枚数が指定された出金要求をPOSレジ290から受信したならば、硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aに貨幣の出金を指示する。硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aは、上位制御部202からの指示を受けて指定された金種及び枚数の貨幣を収納部から繰り出して出金処理し、出金処理結果を上位制御部202に送信する。
【0070】
上位制御部202は、出金処理結果を硬貨制御部250a及び紙幣制御部210aから受信したならば、在高データ205aを更新し、釣銭の出金が正常に行われたことを示す通知をPOSレジ290に送信する。
【0071】
ここで、指定された金種及び枚数の出金ができない場合には、上位制御部202は、特定の貨幣の金種を他の金種の貨幣を置き換えて、出金の合計金額が同一となるよう代替出金を行う。指定された金種及び枚数の出金ができない場合とは、具体的には、指定された金種の在高が不足している場合や、指定された金種の貨幣が適正に搬送できない場合などである。
【0072】
さらに、上位制御部202は、POSレジ290からの合計金額要求を受けて、合計金額を通知する処理を行う。
【0073】
上位制御部202は、代替出金及び合計金額に係る処理部として、代替出金制限管理部202a、代替出金処理部202b、代替出金通知部202c、合計金額算定部202d及び合計金額通知部202eを有する。
【0074】
代替出金制限管理部202aは、代替出金制限データ205bとして記憶部205に格納する処理部である。具体的には、代替出金の制限としては、合計枚数上限、金種数上限、階層数上限、貨幣の種別に対する制限、金種の系統に対する制限、金種別代替枚数上限などがある。
【0075】
合計枚数上限は、釣銭として払い出す貨幣の合計枚数に対する制限である。金種数上限は、釣銭として払い出す貨幣の金種の数に対する制限である。階層数制限とは、ある金種の貨幣を下位の金種の貨幣で代替する場合に、何階層下位の金種まで用いるかを定める。例えば、100円硬貨を他の貨幣で代替する場合に、階層数制限が「2」であれば、1階層下の50円硬貨2枚か、2階層下の10円硬貨10枚で代替が可能である。また、金種数上限が許せば、50円硬貨1枚と10円硬貨5枚で代替することも可能である。
【0076】
貨幣の種別に対する制限とは、紙幣の代替として硬貨を用いることを許可するか否かを示す。金種の系統に対する制限とは、5系金種と1系金種の組み合わせに対する制限である。5系金種には、5000円紙幣、500円硬貨、50円硬貨及び5円硬貨が含まれる。1系金種には、10000円紙幣、1000円紙幣、100円硬貨、10円硬貨及び1円硬貨が含まれる。
【0077】
金種の系統に対する制限では、5系金種を下位の1系金種で代替することを許可するか否か、1系金種を下位の5系金種で代替することを許可するか否か、5系金種を下位の5系金種で代替することを許可するか否か、1系金種を下位の1系金種で代替することを許可するか否かがそれぞれ設定される。
【0078】
金種別代替枚数上限とは、金種別に代替に用いることができる貨幣の枚数を示す。例えば、5円硬貨の金種別代替枚数上限が「4」であれば、20円分を5円硬貨4枚で出金することができる。
【0079】
代替出金処理部202bは、指定された金種及び枚数の出金ができない場合に、代替出金制限データ205bに示された制限の範囲内で、出金ができない金種分を他の金種の貨幣を置き換えて代替出金を行う。
【0080】
代替出金通知部202cは、代替出金処理部202bにより代替出金がなされた場合に、POSレジ290の出金要求に示された金種及び枚数(最適釣銭構成)とは異なる金種及び枚数(代替釣銭構成)の釣銭を出金した旨を示す出金結果をPOSレジ290に通知する。この通知には、出金した金種及び枚数や、どの金種について代替出金を行ったかを含めてもよい。
【0081】
合計金額算定部202dは、紙幣処理ユニット210及び硬貨処理ユニット250に収納された貨幣の合計金額を算定する処理部である。合計金額算定部202dは、在高データ205aにおける金種別の在高が更新された場合に、金種別の在高の合計金額を算出し、在高データ205aにおける合計金額を更新する。金種別の在高の合計金額を釣銭として払い出せる貨幣の合計金額とする場合には、在高データ205aの合計金額を用いることができる。なお、例えば釣銭として使用されない10000円紙幣を除外して釣銭として払い出せる貨幣の合計金額を求めることもできる。在高データ205aの合計金額以外を釣銭として払い出せる貨幣の合計金額として用いる場合の詳細については後述する。
【0082】
合計金額通知部202eは、POSレジ290から合計金額要求を受信した場合に、合計金額算定部202dによって算定された釣銭として払い出せる貨幣の合計金額をPOSレジ290に送信する処理部である。
【0083】
次に、
図6に示した記憶部205が記憶するデータの具体例について説明する。
図7は、
図6に示した在高データ205aの具体例を示す図である。
図7に示した在高データ205aは、在高の合計金額が「29999」であり、10000円紙幣の在高が「0」であり、5000円紙幣の在高が「2」であり、1000円紙幣の在高が「12」であり、500円硬貨の在高が「6」であり、100円硬貨の在高が「44」であり、50円硬貨の在高が「5」であり、10円硬貨の在高が「32」であり、5円硬貨の在高が「4」であり、1円硬貨の在高が「9」である状態を示している。
【0084】
図8は、
図6に示した代替出金制限データ205bの具体例を示す図である。
図8に示した代替出金制限データ205bは、合計枚数上限が「12」であり、金種数上限が「無制限」であり、階層数上限「無制限」である状態を示している。
【0085】
また、代替出金制限データ205bは、貨幣の種別に対する制限として、紙幣を硬貨で代替する代替出金を「許可」に設定している。また、金種の系統に対する制限として、5系金種を1系金種で代替する代替出金を「許可」に設定し、1系金種を5系金種で代替する代替出金を「許可」に設定し、5系金種を5系金種で代替する代替出金を「禁止」に設定し、1系金種を1系金種で代替する代替出金を「許可」に設定している。
【0086】
また、代替出金制限データ205bは、金種別代替枚数上限について、5000円紙幣の上限を「0」に設定し、1000円紙幣の上限を「9」に設定し、500円硬貨の上限を「9」に設定し、100円硬貨の上限を「10」に設定し、50円硬貨の上限を「4」に設定し、10円硬貨の上限を「20」に設定し、5円硬貨の上限を「4」に設定し、1円硬貨の上限を「10」に設定している。
【0087】
<貨幣処理システムの処理手順>
次に、貨幣処理システムの処理手順について説明をする。
図9は、貨幣処理システムの取引に係る処理手順を示すフローチャートである。まず、POSレジ290は、バーコードリーダ298が取得した商品の情報や、操作部294により入力された商品の情報に基づいて、購入金額を算出する(ステップS101)。その後、POSレジ290は、釣銭機200に入金要求を送信する(ステップS102)。
【0088】
釣銭機200は、POSレジ290からの入金要求を受信し、操作者に投入された貨幣を対応する収納部に搬送することで入金処理を行い(ステップS111)、投入貨幣金額をPOSレジ290に送信する(ステップS112)。
【0089】
POSレジ290は、投入貨幣金額を表示し(ステップS103)、購入金額と投入貨幣金額の差分を釣銭金額として算出し(ステップS104)、釣銭金額に対応する貨幣の金種ごとの枚数の合計値が最小となる最適釣銭構成を含む出金要求を釣銭機200に送信する(ステップS105)。
【0090】
釣銭機200は、POSレジ290から出金要求をPOSレジ290から受信して出金処理を実行し(ステップS113)、出金結果をPOSレジ290に送信する(ステップS114)。
【0091】
POSレジ290は、釣銭機200から出金結果を受信して表示する(ステップS106)。このとき、代替出金を行った場合には、代替出金を行った旨を表示することになる。その後、POSレジ290は、商品の決済を確定してレシートを出力し(ステップS107)、処理を終了する。
【0092】
図10は、取引数の報知に係る処理手順を示すフローチャートである。まず、POSレジ290は、釣銭機200に対して合計金額要求を送信する(ステップS201)。釣銭機200は、POSレジ290から合計金額要求を受信したならば、釣銭として払い出せる貨幣の合計金額を算定し(ステップ211)、POSレジ290に通知する(ステップS212)。なお、在高データ205aの合計金額をそのまま釣銭として払い出せる貨幣の合計金額として用いる場合には、改めて算定する必要は無く、在高データ205aから読み出して通知すればよい。
【0093】
POSレジ290は、釣銭機200から合計金額の通知を受け付け(ステップS202)、釣銭出金可能な取引数を算定する(S203)。そして、算定した取引数を表示部293に表示制御することで取引数の報知を行い(ステップS204)、処理を終了する。
【0094】
<変形例>
これまでの説明では、POSレジが取引数の算定を行う構成を例に説明を行ったが、取引数の算定は釣銭機で行う構成であってもよい。
図11は、釣銭機が取引数を算定する場合のPOSレジの制御系の構成図である。
図11に示すように、POSレジ290aのPOS制御部291は、
図5に示した合計金額受付部291d、取引数算定部291e及び表示制御部291fに代えて取引数受付部291g及び表示制御部291hを有する。その他の構成及び動作は
図5に示したPOSレジ290と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
取引数受付部291gは、釣銭機200aが算定した取引数を釣銭機200aから受信する処理部である。表示制御部291hは、取引数受付部291gにより受け付けた取引数を表示部293に表示制御する処理を行う。また、表示制御部291hは、表示制御部291fと同様に、釣銭機200aから代替出金に係る情報を受け付けた場合に、代替出金に係る情報を表示部293に表示制御する。
【0096】
図12は、取引数を算定する釣銭機200aの制御系の構成図である。
図12に示すように、釣銭機200aの上位制御部202は、合計金額通知部202eに代えて取引数算定部202g及び取引数通知部202hを有する。その他の構成及び動作は
図6に示した釣銭機200と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
取引数算定部202gは、合計金額算定部202dによって算定された釣銭として払い出せる貨幣の合計金額から取引数を算定する処理部である。具体的には、金種の最高額から最低額を減算した値で合計金額を除算した商を取引数とする。取引数通知部202hは、取引数算定部202gにより算定された取引数をPOSレジ290aに送信する処理を行う。
【0098】
図13は、釣銭機200aが取引数を算定する場合の処理手順を示すフローチャートである。まず、釣銭機200aの合計金額算定部202dは、在高データ205aにおける金種別在高が更新されたならば(ステップS311)、釣銭として払い出せる貨幣の合計金額を算定する(ステップS312)。
【0099】
その後、釣銭機200aの取引数算定部202gは、釣銭として払い出せる貨幣の合計金額から取引数を算定する(ステップS313)。取引数通知部202hは、取引数算定部202gにより算定された取引数をPOSレジ290aに通知する(ステップS314)。
【0100】
POSレジ290aの取引数受付部291gは、釣銭機200aから取引数の通知を受け付け(ステップS301)、表示制御部291hが取引数を表示部293に表示制御することで取引数の報知を行い(ステップS302)、処理を終了する
【0101】
次に、取引数を用いた通知の変形例について説明する。
図14は、取引数を用いた通知の変形例の説明図である。
図14に示した釣銭機200bは、釣銭機200aと同様に自装置で取引数を算定し(S21)、取引数と閾値を比較する(S22)。そして、取引数が閾値未満となった場合に、POSレジ290bに対して合計金額エンプティ通知を行う(S23)。
【0102】
また、釣銭機200bは、各金種の在高についてもそれぞれ対応する閾値と比較し(S24)、閾値未満となった金種についてPOSレジ290bへの金種別エンプティ通知を行う(S25)。
【0103】
POSレジ290bは、釣銭機200bから合計金額エンプティ通知や金種別エンプティ通知を受けた場合に、通知に対応するエンプティ報知を行う(S26)。この構成では、POSレジ290bは、釣銭の補充を示唆すべきタイミングにおいて選択的に報知を行うことができる。
【0104】
図15は、
図14に示したPOSレジ290bの処理手順を示すフローチャートである。まず、釣銭機200bは、在高データ205aにおける金種別在高が更新されたならば(ステップS401)、釣銭として払い出せる貨幣の合計金額を算定する(ステップS402)。
【0105】
その後、釣銭機200bは、釣銭として払い出せる貨幣の合計金額から取引数を算定し(ステップS403)、取引数が対応する閾値未満であるか否かを判定する(ステップS404)。判定の結果、取引数が閾値未満であれば(ステップS404;Yes)、釣銭機200bはPOSレジ290bに対して合計金額エンプティ通知を行う(ステップS405)。
【0106】
ステップS405の後、もしくは取引数が閾値以上である場合(ステップS404;No)、釣銭機200bは、在高が対応する閾値未満の金種が存在するか否かを判定する(ステップS406)。判定の結果、在高が対応する閾値未満の金種が存在しなければ(ステップS406;No)、そのまま処理を終了する。一方、在高が対応する閾値未満の金種が存在するならば(ステップS406;Yes)、釣銭機200bはPOSレジ290bに対して金種別エンプティ通知を行って(ステップS407)、処理を終了する。
【0107】
次に、取引数の変形例について説明する。これまでの説明では、釣銭として払い出せる貨幣すべての合計金額から取引数を算定する場合について説明を行ったが、釣銭として払い出せる貨幣の合計金額を桁別に算定し、桁別の取引数を求めてもよい。
【0108】
図16は、桁別取引数の報知についての説明図である。
図16では、在高データ205aに、10000円紙幣の在高「7」、5000円紙幣の在高「2」、1000円紙幣の在高「12」、1円硬貨の在高「9」などの金種別在高が示され、その合計金額は「99999」となっている。
【0109】
図16に示した釣銭機200cは、この在高データ205aから桁別に釣銭として払い出せる貨幣の合計金額を算定する。具体的には、1000円単位の釣銭として払い出せる貨幣の合計金額と、100円単位の釣銭として払い出せる貨幣の合計金額と、10円単位の釣銭として払い出せる貨幣の合計金額と、1円単位の釣銭として払い出せる貨幣の合計金額とをそれぞれ算定する(S31)。そして、桁別の合計金額から桁別の取引数を算定し(S32)、POSレジ290に通知する(S33)。このため、POSレジ290cは、桁別の取引数を報知することになる(S34)。
【0110】
図17は、桁別の合計金額と取引数についての説明図である。
図17に示した在高データ205aは、在高の合計金額が「99999」であり、10000円紙幣の在高が「7」であり、5000円紙幣の在高が「2」であり、1000円紙幣の在高が「12」であり、500円硬貨の在高が「6」であり、100円硬貨の在高が「44」であり、50円硬貨の在高が「5」であり、10円硬貨の在高が「32」であり、5円硬貨の在高が「4」であり、1円硬貨の在高が「9」である状態を示している。
【0111】
このうち、最高額の金種である10000円紙幣は、釣銭として用いられることがないため、その在高は使用しない。また、最高額の金種よりも1桁下の5系金種についても、釣銭として払い出せる貨幣の合計金額には使用しないこととしている。
【0112】
1000円の桁の釣銭として払い出せる貨幣の合計金額(1000円用釣銭在高)には、1000円紙幣と、1桁下の5系金種である500円硬貨を用いている。
図17では、1000円紙幣の在高が「12」であり、500円硬貨の在高が「6」であるため、1000円用釣銭在高は「15000円」である。
【0113】
1000円の桁の取引数は、1000円用釣銭在高を「9000」で除算した商とする。従って、
図17では、1000円の桁の取引数は「1」となる。
【0114】
100円の桁の釣銭として払い出せる貨幣の合計金額(100円用釣銭在高)には、100円硬貨と、1桁下の5系金種である50円硬貨を用いている。ここでは、同じ桁の5系金種である500円硬貨については、釣銭として払い出せる貨幣の合計金額には使用しないこととしている。
図17では、100円硬貨の在高が「44」であり、50円硬貨の在高が「5」である。50円硬貨の在高は250円分であるが、100円の桁の釣銭として払い出す想定であるため、100円未満は切り捨てる。そのため、100円用釣銭在高は「4600円」である。
【0115】
100円の桁の取引数は、100円用釣銭在高を「900」で除算した商とする。従って、
図17では、100円の桁の取引数は「5」となる。
【0116】
10円の桁の釣銭として払い出せる貨幣の合計金額(10円用釣銭在高)には、10円硬貨と、1桁下の5系金種である5円硬貨を用いている。ここでは、同じ桁の5系金種である50円硬貨については、釣銭として払い出せる貨幣の合計金額には使用しないこととしている。
図17では、10円硬貨の在高が「32」であり、5円硬貨の在高が「4」である。そのため、10円用釣銭在高は「340円」である。
【0117】
10円の桁の取引数は、10円用釣銭在高を「90」で除算した商とする。従って、
図17では、10円の桁の取引数は「3」となる。
【0118】
1円の桁の釣銭として払い出せる貨幣の合計金額(1円用釣銭在高)には、1円硬貨の在高を用いる。そのため、1円用釣銭在高は「9円」である。
【0119】
1円の桁の取引数は、1円用釣銭在高を「9」で除算した商とする。従って、
図17では、1円の桁の取引数は「1」となる。
【0120】
図17では、桁別の合計金額と桁別の取引数を釣銭機200cが算定してPOSレジ290cに通知する構成を示したが、釣銭機200cが金種別の在高をPOSレジ290cに通知し、POSレジ290cが金種別の在高から桁別の合計金額と桁別の取引数を算定するよう構成してもよい。
【0121】
また、桁別の合計金額や桁別の取引数は、金種別の在高が更新された時点で算定して記憶しておいてもよいし、桁別の合計金額や桁別の取引数の表示が必要となった時点で算定してもよい。また、桁別の合計金額や桁別の取引数の双方を報知してもよいし、桁別の合計金額や桁別の取引数のいずれかを選択的に報知してもよい。
【0122】
ここで、釣銭用の在高データについて説明する。
図18は、釣銭用の在高データについての説明図である。
図18に示すように、在高データ205aは、在高の合計金額が「99999」であり、10000円紙幣の在高が「7」であり、5000円紙幣の在高が「2」であり、1000円紙幣の在高が「12」であり、500円硬貨の在高が「6」であり、100円硬貨の在高が「44」であり、50円硬貨の在高が「5」であり、10円硬貨の在高が「32」であり、5円硬貨の在高が「4」であり、1円硬貨の在高が「9」である状態を示している。
【0123】
在高データ205aに示した金種別の在高のうち、最高額の金種である10000円紙幣は、釣銭として用いられることがない。そこで、在高データ205aから10000円紙幣の在高を除外することで、釣銭用の在高データを求めることができる。
【0124】
図18では、釣銭用の在高データは、5000円紙幣の在高が「2」であり、1000円紙幣の在高が「12」であり、500円硬貨の在高が「6」であり、100円硬貨の在高が「44」であり、50円硬貨の在高が「5」であり、10円硬貨の在高が「32」であり、5円硬貨の在高が「4」であり、1円硬貨の在高が「9」となる。このため、釣銭用の貨幣の合計金額は「29999」である。
【0125】
このように、釣銭として用いない貨幣を除外して釣銭用の貨幣の合計金額を算定し、かかる合計金額から取引数を求めることでより正確に取引数を得ることができる。例えば、
図18の在高データ205aにおける合計金額「99999」円から取引数を求めると「10」となるが、実際には70000円分は10000円紙幣であるため、10回未満の取引数で釣銭の不足が生じる可能性がある。一方、釣銭用の貨幣の合計金額「29999」は、釣銭として使用可能な貨幣の在高から求められているため、この合計金額「29999」円から求めた取引数までの取引、すなわち3回までの取引で釣銭の不足が生じる可能性は低くなる。
【0126】
なお、ここでは最高額の金種である10000円紙幣を除外する場合を示したが、例えば2000円紙幣や5000円紙幣など任意の金種を除外して釣銭用の貨幣の合計金額を求めることができる。
【0127】
また、釣銭用の貨幣の合計金額は、桁別の合計金額や取引数の算定にも使用可能である。さらに、釣銭用の貨幣の合計金額は、必要となった時点で適宜算定してもよいし、金種別の在高が更新された時点で算定して記憶しておいてもよい。
【0128】
上述してきたように、本実施例によれば、釣銭機に収納された貨幣の金額に基づいて釣銭出金可能な取引数を算定し、算定した取引数を報知することで、釣銭機の機内の貨幣の在高で対応可能な取引数を効率良く特定し、業務効率の向上を図ることができる。
【0129】
特に、一部の金種の貨幣が不足したときに他の金種の貨幣を用いて釣銭を払い出す代替出金を用いる場合には、金種毎の貨幣の枚数のみから釣銭出金の可否を判定することが困難であるため、合計金額に基づく取引数は重要な指標となる。
【0130】
具体的には、釣銭機に収納された貨幣の合計金額を算定し、算定した合計金額に基づいて、釣銭出金可能な取引数を算定することができる。また、釣銭機に収納された貨幣の金種毎の枚数と合計金額から取引数を算定することも可能である。さらに、特定の金種の貨幣に代えて該金種の貨幣よりも低額の複数の低額貨幣を用いて代替出金を行う場合に、特定の金種と、特定の金種よりも低額の金種の合計金額を算定して用いることもできる。なお、代替出金に条件を設定する場合には、条件の範囲内で合計金額の算定を行う。また、代替出金を行う場合には、取引数とともに、代替出金に用いる低額貨幣の顧客確認情報を報知してもよい。
【0131】
なお、上記の実施例では、本発明をコンビニエンスストアやスーパーマーケット等の貨幣処理システムに適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、釣銭の出金を行う任意の貨幣処理システムに適用することができる。
【0132】
また、上記の実施例では、POSレジが最適釣銭構成を特定し、釣銭の金種及び枚数を指定した出金要求を釣銭機に送信する構成について説明を行ったが、POSレジが釣銭金額を指定した出金要求を釣銭機に送信し、釣銭機が釣銭金額に対応する最適釣銭構成を特定する構成としてもよい。
【0133】
また、上記の実施例では、POSレジが釣銭を算出して出金要求を釣銭機に送信する構成について説明を行ったが、POSレジが購入金額を釣銭機に送信し、釣銭機が購入金額に基づいて釣銭金額を算出する構成としてもよい。
【0134】
また、代替出金は、在高の不足により出金ができない場合に限らず、在高の調整のために行うこともできる。即ち、在高が所定値を下回る金種については他の金種で代替し、在高が所定値を上回る金種については該金種を用いて他の金種を代替することで、各金種の在高を適正範囲に保つことができる。
【0135】
また、代替出金の実行前に顧客に通知し、代替出金を許容するとの確認を得てから代替出金を行うこととしてもよい。
【0136】
また、顧客の要望により代替出金を行ってもよい。例えば、500円の釣銭を全て100円硬貨で出して欲しい、といった要望を受け、顧客の要望する代替釣銭構成で出金を行うことができる。
【0137】
また、顧客の要望などに応じ、代替出金制限データ205bによる制限を一時的に解除して代替出金を行うこともできる。
【0138】
また、上記の実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。