(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラットフォームに搭載されているとともに、前記制御部に接続されて、前記赤外線検出器により検出された前記欠陥を撮像するように駆動される可視カメラをさらに含む、請求項1〜2のいずれか1つに記載のシステム。
前記制御部は、前記赤外線検出器により検出された前記欠陥の位置を当該制御部が特定及び記録するための地球航法衛星(GPS)センサを含む、請求項1〜3のいずれか1つに記載のシステム。
前記制御部に接続されており、前記赤外線検出器により検出された前記欠陥の画像を格納するためのデータ記憶部をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載のシステム。
前記制御部により駆動されて、前記複数の検査領域のうちの選択された1つの領域に染料を塗布するマーカーをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載のシステム。
前記複数の検査領域のうちの1つの領域の少なくとも1つの熱画像の位置を特定することをさらに含み、前記特定は、前記少なくとも1つの熱画像に関連付けられた地球航法衛星(GPS)座標を記録すること、前記少なくとも1つの熱画像の位置を可視光カメラで撮像すること、及び/又は、前記複数の検査領域のうち前記少なくとも1つの熱画像に対応する領域に着色マーカーでマーキングすること、のうちの1つ又は複数を行うことにより行う、請求項7に記載の方法。
レール、ホイール、軸部、航空機のストリンガ及び航空機の翼桁のうちから選択された試験体について非破壊評価を行うことをさらに含む、請求項7〜8のいずれか1つに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、全体を10で示すシステムは、全体を12で示す試験体の非破壊評価のためのシステムであり、プラットフォーム14と、プラットフォームに搭載された電磁超音波トランスデューサ(EMAT:electromagnetic acoustic transducer)16と、を含む。EMATは、試験体12内に磁場を形成することで、試験体の表面を伝播する音波振動18を発生させるように配置されている。また、システムは、同じくプラットフォーム14上に搭載された赤外線検出器20と、プラットフォーム上に、あるいは、プラットフォームから離れて配置された制御部22と、を有する。制御部22は、EMAT16及び赤外線検出器20を駆動するように接続されている。赤外線検出器は、1つ又は複数の赤外線カメラの形態をとることができる。制御部22は、コントローラとも称する。EMAT16により生成される振動18は、試験体12の表面23に沿って伝播しうる。
【0013】
赤外線検出器20は、プラットフォーム14に配置されており、プラットフォーム及び試験体のうちの少なくとも一方が他方に対して移動するのにともなって、
図4に示す熱画像200などの熱画像を記録する。これらの熱画像は、試験体12の表面23における複数の検査領域24、26、28を示すものであり、垂直亀裂の形態である欠陥30など、検査領域内にある欠陥を検出するのに用いられる。実施形態によっては、
図1に示す検査領域24、26、28よりも多くの検査領域があってもよいし、少ない検査領域しかなくてもよい。検査領域24〜28は、
図1に示すように互いに連続して設けられた領域でもよいし、間隔を置いて設けられた領域でもよい。いずれの場合でも、検査領域24〜28は、予め設定又は決定されたパターンや経路、例えば、直線経路に沿って、試験体12上に配置することができ、プラットフォーム14がこのパターン又は経路を辿ることによって、赤外線検出器20が検査領域24〜28を順に撮像することができる。制御部22は、赤外線検出器20により撮像された熱画像、及び、試験体12の検査領域24、26、28の位置に対応する位置情報を格納するためのストレージ33を含む。
【0014】
一実施形態では、プラットフォーム14は、プラットフォームを試験体12に対して所定の方向に移動させるためのモータ32を含む。制御部22は、モータ32に接続されており、このモータを駆動して、プラットフォームを試験体12に対して移動させることができる。これにより、制御部22は、プラットフォームが試験体に対して矢印Aの方向に移動するのにともなって、試験体12の表面23における検査領域24、26、28の連続画像から複数の熱画像を記録する。実施形態によって、プラットフォーム14は、矢印Aとは逆方向に移動してもよい。
【0015】
別の実施形態では、プラットフォーム14は静止したままで、静止状態のプラットフォーム14に対して試験体12が、例えば、矢印Bの方向や、矢印Bとは逆の方向に移動する構成でもよい。さらに別の実施形態では、プラットフォーム14及び試験体12の両方が互いに対して、例えば、矢印A及びBの方向に移動する構成でもよい。プラットフォーム14が試験体12に対して静止したままの実施形態の場合、モータ32は不要である。プラットフォーム14が試験体12に対して移動する実施形態の場合、モータ32は、1つ又は1対の後側ホイール34及び/又は1つ又は1対の前側ホイール36を駆動する構成でもよい。
図1に示す実施形態では、試験体12は、1つ又は複数のレール38、例えば、鉄道システム又はトロリーシステム用の1対のレールであり、プラットフォーム14は、ホイール34及び36によってレール38上に支持されるキャリジ(carriage)40である。そのような実施形態では、モータ32は制御部22により駆動されて、キャリッジ40の形態で設けられたプラットフォーム14を、レール38に沿って所定の速度で所定の距離だけ移動させる。例えば、レール38が鉄道のレールである環境では、キャリッジ40の最高速度は、時速25マイルの場合もある。
【0016】
試験体12に対するプラットフォーム40の移動の態様に関わらず、制御部22は、EMAT16を駆動して試験体の表面23に振動18を発生させ、また、実施形態によっては1つ又は複数の赤外線カメラの形態をとる赤外線検出器20を駆動して、EMATによる振動の生成を、赤外線検出器による複数の検査領域24、26、28の熱画像の記録と同期させる。これにより、赤外線検出器は、赤外線検出器により撮像される複数の検査領域のうちの1つにEMATからの音波振動の一つが伝わった時に、各熱画像を記録することができる。また、制御部22は、試験体12の表面23の熱画像を表す信号を赤外線検出器20から受信し、複数の検査領域24、26、28の熱画像に現れた1つ又は複数の欠陥30の位置を記録する。これらの動作は、いずれも、プラットフォーム14及び試験体12のうちの少なくともいずれか一方が他方に対して移動するのにともなって行われる。
【0017】
一実施形態では、システム10は、任意反射体対応型速度干渉計(VISAR:velocity interferometer system for any reflector)42を含み、これは、プラットフォーム14に搭載されているとともに、コントローラ22により駆動されるように接続されている。VISAR42はプローブ44を含む。このプローブは、EMAT16が試験体12に発生させた振動18の一つを、複数の検査領域24、26、28のうちの赤外線検出器20と位置合致する少なくとも1つの領域から検出するように配向されている。コントローラ22は、VISAR42から、検査領域24、26、28のうち直近に位置する領域(図示では、検査領域28が、赤外線検出器20及びVISAR42のプローブ44の直近に位置している)における振動18の存在を示唆する信号を受信し、これに応答して赤外線検出器を起動して、複数の検査領域28のうちの赤外線検出器20と位置合致する1つ領域の熱画像を記録するようプログラムされている。
【0018】
VISAR42を使用する利点は、振動18を発生させるEMAT16と赤外線検出器20との間隔を精密に設定する必要がなく、その距離が既知である必要すらないことである。この代わりに、赤外線検出器20の直近に位置する検査領域、例えば、
図1の検査領域28に振動18の一つが検出されると、赤外線検出器は、制御部22により同期され、VISAR42によりトリガーされる。
【0019】
加えて、試験体12における欠陥、例えば、表面亀裂30などの位置を特定することが望ましい。この位置特定機能は、プラットフォーム14に可視カメラ(visual camera)46を設置し、制御部22に接続することにより実現できる。制御部22は、可視カメラを駆動して、赤外線検出器20により検出された欠陥30をデジタルで撮像させることができる。可視カメラ46は、欠陥30の位置情報を提供できることに加えて、赤外線検出器20による誤検出(false positive)を特定することもできる。さらに別の実施形態では、
図1の試験体12は、航空機のストリンガ64又は航空機の翼桁66でもよい。試験体12が航空機のストリンガ64又は航空機の翼桁66のいずれかである実施形態では、プラットフォーム14は試験体12に対して移動するが、試験体上に配置されて移動する構成である必要はない。
【0020】
別の実施形態では、地球航法衛星センサ(GPS)48などの位置特定用コンポーネントがプラットフォーム14に搭載されていてもよい。GPS48により、制御部22は、例えば欠陥30など、赤外線検出器20により検出された欠陥の位置を特定し、記録することが可能になる。別の実施形態では、システム10は、制御部22により駆動されるように接続された着色マーカー(dye marker)50を含んでもよい。欠陥30の位置が特定されると、着色マーカーは、試験体において、欠陥30のある検査領域28に可視染料を塗布することで、試験体12にマーキングしてもよい。欠陥30の位置に関する情報は、制御部22又は遠隔システム(図示せず)からアクセス可能なデータストレージ33に格納しておくことができる。
【0021】
一実施形態では、赤外線検出器20は、第1及び第2赤外線カメラ52、54の形態をとることができる。第1及び第2赤外線カメラ52、54を制御部22により順次且つ交互に起動して、第1赤外線カメラ52が、複数の検査領域のうちの第1検査領域、例えば、検査領域26の熱画像を先に記録して制御部に送信する間に、第2赤外線カメラ54が、複数の検査領域のうち第2検査領域、例えば、検査領域28の熱画像を記録するようにしてもよい。一実施形態では、制御部22は、複数の検査領域のうちの第1検査領域26に連続する領域が、複数の検査領域のうちの第2検査領域28になるように、第1赤外線カメラ52及び第2赤外線カメラ54を駆動するようプログラムされていてもよい。2台のカメラ52及び54で検査領域を交互に撮像するこのプロセスを、連続する検査領域24、26、28、つまり、互いに直接に隣り合い、また、接触する検査領域について繰り返して、試験体12全体について実行することができる。
【0022】
一実施形態では、システム10は、制御部22にケーブル又は無線で接続されたディスプレイ56を含む。ディスプレイ56は、赤外線検出器20により撮像された画像、例えば、
図4の画像200を表示することができる。検査領域24、26、28に検出された欠陥30を可視化するための検出器20は、赤外線カメラ52、54及び/又は可視光カメラ46の形態であってよい。オペレータは、ディスプレイ56を目視しながら、制御部22で着色マーカー50を駆動して、試験体12における欠陥30の位置をマーキングしてもよい。マーキングされた位置は、熱画像200では、相対的に暗い又は黒い背景204上に輝点202として現れる。
【0023】
図2に示すように、
図1のシステム10により実行される試験体の非破壊評価方法では、先ず、ブロック100に示すように、プラットフォーム14及び/又は試験体12のうちの少なくとも一方を他方に対して移動させる。上述した相対移動の間に、制御部22は、ブロック102に示すように、EMAT16を駆動して、試験体12の表面23に沿って音波振動を生成して試験体に磁場を形成し、これにより振動18を発生させる。
【0024】
制御部22は、ブロック104に示すように、プラットフォーム14に搭載された赤外線検出器20を作動させて、
図4の熱画像200など、試験体12の表面23における複数の検査領域24、26、28の熱画像を記録する。一実施形態では、ブロック106に示すように、VISAR42により検査領域28における振動を検出し、コントローラ22により、検査領域28についての赤外線検出器20の駆動をEMAT16の駆動と同期させる。EMAT16は、試験体12の表面23又はそのすぐ下に渦電流を発生させる。渦電流は、EMAT16によって試験体12に形成される定常磁場と干渉し、これにより、試験体の不連続部から反射されうる様々な偏波面(various polarizations)の音波振動18を発生させる。音波振動18は、不良(例えば、欠陥30)のある箇所に熱を発生させるので、赤外線検出器20により撮像される熱画像200では、該当箇所が、相対的に暗い又は黒い背景204上に輝点202として現れる。
【0025】
ブロック108に示すように、制御部22は、例えば、
図1に示される欠陥30など、赤外線検出器20により撮像された領域28の熱画像200に欠陥が現れていれば、その位置を記録する。このプロセスは、ブロック110に示すように、プラットフォーム14が試験体12に対して移動するのにともなって、順次にプラットフォームの直近に位置する各検査領域について引き続き実行する。ブロック112に示すように検査が完了すれば、ブロック114に示すように本プロセスを終了する。実施形態によっては、ブロック108に示すように、検査領域のうちの1つの領域28の熱画像のうちの少なくとも1つの画像の位置を特定する上記ステップは、これら熱画像に関連づけられたGPS座標を格納するか、これら熱画像の位置を可視光カメラ46で撮像するか、検査領域28に着色マーカー50で印をつけて熱画像の位置をマーキングするか、のうちの1つ又は複数を行うことで実現できる。実施形態によっては、赤外線検出器20が取得した熱画像をストレージ33に記録及び格納する上記ステップは、試験体12を撮像した各熱画像について実行してもよい。あるいは、ブロック108に示すように、制御部22は、欠陥30を示す熱画像のみをストレージ33に格納させてもよい。
【0026】
図2に示す方法によれば、
図1に示す1つ又は1対のレール38の形態の試験体12を非破壊評価することができる。代わりに、試験体12′は、
図3に示すようなホイール58及び/又は軸部(axle)60の形態をとることができる。ホイール58又は軸部60の場合、システム10′は固定であって、関節式のアーム62に搭載されており、ホイール58及び/又は軸部60が、プラットフォーム14′に対して、例えば、矢印Cの方向に回転する構成でもよい(この支持体は、
図1のプラットフォーム14に含まれるEMAT16、VISAR42、赤外線検出器20、制御部22、ストレージ33、可視光カメラ46、着色マーカー50、GPS48を含みうる)。
【0027】
別の実施形態では、関節式のアーム62は、プラットフォーム14′をホイール58及び/又は軸部60に対して移動させるロボットアームであってもよい。いずれの場合でも、ホイール58における検査領域24′、26′、28′の上方、及び/又は、軸部60における検査領域24″、26″、28″の上方をプラットフォーム14′が通過し、プラットフォーム14′に搭載された赤外線検出器20(
図1)によって、
図4の熱画像200のような熱画像を撮像する。
【0028】
この代わりに、プラットフォーム14は、ロボットクローラー(robot crawler)として構成することもでき、あるいは、例えば、
図3のアーム62のように、関節式のアームのエンドエフェクタとして構成することもできる。
図3に示すように、実施形態によっては、検査領域24′、26′、28′は、互いに連続する領域であってもよく、検査領域24″、26″、28″についても同様である。そのような実施形態では、
図2のブロック104で示した赤外線検出器を駆動する方法ステップは、赤外線検出器を駆動して、連続する検査領域24〜28の熱画像を、これら検査領域が試験体12(
図1)上に形成する所定の経路に沿って撮像することを含みうる。
【0029】
図2に示した方法は、ブロック108において、欠陥が存在する複数の検査領域の画像を可視光カメラ46(
図1)で撮像し、その画像をストレージ33に格納し、欠陥の画像を可視光カメラによる画像と比較して誤検出を検知するステップをさらに含んでもよい。画像は、ディスプレイ56上に分割画面で表示することもできる。
【0030】
図2の方法の一実施形態では、ブロック104に示す、EMAT16を赤外線検出器20と同期させるステップは、制御部22により第1及び第2赤外線カメラ52、54をそれぞれ駆動するステップを含み、これにより第1赤外線カメラが、複数の検査領域のうちの第1検査領域26の熱画像を先に記録して制御部22(
図1)に送信する間に、第2赤外線カメラが、複数の検査領域のうち第2検査領域28の熱画像を記録するようにしてもよい。また、一実施形態では、
図2のブロック104に含まれるステップとして、制御部22が、複数の検査領域のうちの第1検査領域26に連続する領域が、複数の検査領域のうちの第2検査領域28になるように、第1赤外線カメラ52及び第2赤外線カメラ54を駆動するステップを含んでもよい。
【0031】
図1及び
図3を参照して説明したシステム10、10′並びに
図2を参照して説明した方法は、試験体12を非破壊評価するシステム及び方法を提供するものであり、これにより、試験体12の表面の欠陥30を現場で迅速に検出及び記録することができる。欠陥は、例えば、表面亀裂、剥離、腐食、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)における繊維の断裂や落雷などの結果生じうる欠陥などの形態をとりうる。また、この際に、大型の構造体に組み込まれている試験体を切り離したり、あるいは、その使用場所や配向からずらしたりする必要がない。本明細書に記載したシステム10、10′及び方法によれば、1つ又は複数のレール38などが試験体12であり、これに移動可能に搭載されたキャリッジ40などがプラットフォーム14である場合に、このキャリッジ又はプラットフォームが試験体に対して移動するのにともなって、欠陥30をプラットフォームにより検出及び記録することにより、欠陥30を検出することができる。
【0032】
この相対移動は、固定の試験体12に対してキャリッジ40が移動することにより実現してもよいし、固定のプラットフォーム14′に対してホイール58又は軸部60などの試験体が移動することにより実現してもよい。あるいは、試験体12及びプラットフォーム14の双方が移動する実施形態も可能である。さらに、EMAT16と赤外線検出器20との間隔を正確に設定することを要件とせずに、検査領域24〜28への振動の到着タイミングと熱画像の撮像を同期させることができる。これは、本システムが、検査領域における振動を検出するVISAR42と、これに応答して赤外線検出器20を駆動するコントローラ22とを含むことによる。したがって、本明細書に記載した試験体の非破壊評価システム及び方法は、堅牢性及び精度に優れ、固定の試験体及び可動の試験体のいずれにも様々な環境において使用可能である。
【0033】
さらに、本開示は、下記の付記による実施形態も包含する。
【0034】
付記1. 試験体12を非破壊評価するためのシステム10であって、
プラットフォーム14と、
前記プラットフォーム14に搭載されているとともに、前記試験体12に磁場を形成することで、前記試験体12の表面23に沿って伝播する音波振動18を発生させるよう配置された電磁超音波トランスデューサ(EMAT)16と、
前記プラットフォーム14に搭載されているとともに、前記プラットフォーム14及び前記試験体12のうちの少なくとも一方が他方に対して移動するのにともなって、前記試験体12の前記表面23における複数の検査領域24、26、28の熱画像200を記録して、前記試験体12の前記表面23における前記複数の検査領域24、26、28内の欠陥30を検出するよう配置された赤外線検出器20と、
前記EMAT16及び前記赤外線検出器20に接続された制御部22と、を含み、前記制御部22は、前記EMAT16を駆動して前記試験体12に前記振動18を発生させ、また、前記制御部22は、前記赤外線検出器20を駆動し、この際に、前記制御部は、前記EMAT16による前記振動18の発生を、前記赤外線検出器20による前記複数の検査領域24、26、28の熱画像200の記録と同期させ、これにより、前記赤外線検出器20により撮像される前記複数の検査領域24、26、28のうちの1つの領域に前記EMAT16からの前記振動18の一つが到着した時に、前記赤外線検出器20は各熱画像200を記録し、前記制御部22は、前記試験体12の前記表面23の前記熱画像200を表す信号を前記赤外線検出器20から受信し、また、前記制御部22は、前記複数の検査領域24、26、28の前記熱画像200に現れた欠陥30の位置を記録し、この際に、前記制御部22は、前記プラットフォーム14及び前記試験体12のうちの少なくとも一方が他方に対して移動するのにともなって、受信及び記録を行う、システム10。
【0035】
付記2. 前記プラットフォーム14は、前記プラットフォームを前試験体12に対して所定の方向に移動させるモータ32を含み、前記制御部22は、前記モータ32を駆動して前記プラットフォーム14を前記試験体12に対して移動させ、これにより、前記制御部22は、前記プラットフォーム14が前記試験体12に対して移動するのにともなって、前記試験体12における前記複数の検査領域24、26、28の連続画像から複数の画像を前記熱画像200として記録する、付記1に記載のシステム10。
【0036】
付記3. さらに、任意反射体12に対応可能な速度干渉計(VISAR)42を含み、当該VISARは、前記プラットフォーム14に搭載されており、前記制御部22に駆動され、前記EMAT16が前記試験体12に発生させた前記振動18の一つを、前記複数の検査領域24、26、28のうちの前記赤外線検出器20に対して位置合致した1つの領域で検出するよう配向されており、前記制御部22は、前記赤外線検出器20に対して整列した前記複数の検査領域24、26、28のうちの前記1つの領域における前記振動18の存在を示す信号を前記VISAR42から受信するようプログラムされているとともに、これに応動して、前記赤外線検出器20を駆動して、前記複数の検査領域24、26、28のうちの前記赤外線検出器20に対して位置合致した前記1つの領域の前記熱画像200を記録させるようプログラムされている、付記1に記載のシステム10。
【0037】
付記4. 前記VISAR42は、前記制御部22により駆動されて、前記複数の検査領域24、26、28のうちの前記赤外線検出器20に対して位置合致した前記1つの領域に前記EMAT16が発生させた前記振動18の一つが到達したことを検出し、前記制御部22は、前記赤外線検出器20を駆動して、前記振動18のうちの前記一つの振動の到達時に、前記試験体12の前記熱画像200を検出させる、付記3に記載のシステム10。
【0038】
付記5. 前記プラットフォーム14に搭載されているとともに、前記制御部22に接続されて、前記赤外線検出器20により検出された前記欠陥30を撮像するように駆動される可視カメラ46をさらに含む、付記1に記載のシステム10。
【0039】
付記6. 前記制御部22は、前記赤外線検出器20により検出された前記欠陥30の位置を当該制御部22が特定及び記録するための地球航法衛星(GPS)48センサを含む、付記1に記載のシステム10。
【0040】
付記7. 前記制御部22に接続されており、前記赤外線検出器20により検出された前記欠陥30の画像を格納するためのデータ記憶部をさらに含む、付記1に記載のシステム10。
【0041】
付記8. 前記制御部22により駆動されて、前記複数の検査領域24、26、28のうちの選択された1つの領域に着色マーカー50を塗布するマーカーをさらに含む、付記1に記載のシステム10。
【0042】
付記9. 前記赤外線検出器20は、第1及び第2赤外線カメラ20、52、54を含み、前記第1及び第2赤外線カメラ20、52、54は、前記制御部22により順次駆動され、これにより、第1赤外線カメラ20、52、54が、前記複数の検査領域24、26、28のうちの第1領域の画像を先に記録して前記制御部22に送信する間に、前記第2赤外線カメラ20、52、54が前記複数の検査領域24、26、28のうち第2領域の熱画像200を記録する、付記1に記載のシステム10。
【0043】
付記10. 前記制御部22は、前記複数の検査領域24、26、28のうちの前記第1領域に連続する領域が、前記複数の検査領域24、26、28のうちの前記第2領域になるように、前記第1赤外線カメラ20、52、54及び前記第2赤外線カメラ20、52、54を駆動する、付記9に記載のシステム10。
【0044】
付記11. レール38の表面23を非破壊評価するためのシステム10であって、
前記レール38上に配置されているとともに、前記レールに対して移動可能な形状のキャリッジと、
前記キャリッジ40に搭載されているとともに、前記レール38に磁場を形成することで、前記レール38の表面23に沿って伝播する音波振動18を発生させるよう配置された電磁超音波トランスデューサ(EMAT)16と、
前記キャリッジ40に搭載されているとともに、前記キャリッジ40が前記レール38に対して移動するのにともなって、前記試験体12の前記表面23における複数の検査領域24、26、28の熱画像200を記録して、前記試験体12の前記表面23における前記複数の検査領域24,26,28内の欠陥30を検知するように配置された赤外線検出器20と、
前記EMAT16及び前記赤外線検出器20に接続された制御部22と、を含み、前記制御部22は、前記EMAT16を駆動して前記レール38に前記振動18を発生させ、また、前記制御部22は、前記赤外線検出器20を駆動し、この際に、前記制御部は、前記EMAT16による前記振動18の発生を、前記赤外線検出器20による前記複数の検査領域24、26、28の熱画像200の記録と同期させ、これにより、前記赤外線検出器20により撮像される前記複数の検査領域24、26、28のうちの1つの領域に前記EMAT16からの前記振動18の一つが到着した時に、前記赤外線検出器20は各熱画像200を記録し、前記制御部22は、前記レール38の前記表面23の前記熱画像200を表す信号を前記赤外線検出器20から受信し、また、前記制御部22は、前記複数の検査領域24、26、28の前記熱画像200に現れた欠陥30の位置を記録し、この際に、前記制御部22は、前記キャリッジ40が前記レール38に対して移動するのにともなって、受信及び記録を行う、システム10。
【0045】
付記12. 試験体12を非破壊評価するための方法であって、
プラットフォーム14及び前記試験体12のうちの少なくとも一方を他方に対して移動させることと、
前記移動の間に、
前記プラットフォーム14に搭載された電磁超音波トランスデューサ(EMAT)16を駆動して前記試験体に磁場を形成することで、前記試験体12の表面23に沿って伝播する音波振動18を発生させることと、
前記プラットフォーム14に搭載された赤外線検出器20を駆動して、前記試験体12の前記表面23における複数の検査領域の熱画像200を記録させることと、
前記EMAT16の駆動を前記赤外線検出器20の駆動と同期させて、前記振動18が各検査領域24、26、28に到達するのにともなって、各検査領域24、26、28において前記試験体12の前記表面23における欠陥30を明るくさせながら、前記複数の検査領域24、26、28の前記熱画像200を記録させることと、
前記熱画像200のうち、前記複数の検査領域24、26、28のうちの1つの領域に明るくなって現れる欠陥30を示す少なくとも1つの熱画像を記録すること、を含む方法。
【0046】
付記13. 前記複数の検査領域24、26、28のうちの1つの領域の少なくとも1つの熱画像200の位置を特定することをさらに含み、前記特定は、前記少なくとも1つの熱画像200に関連付けられた地球航法衛星(GPS)48座標を記録すること、前記少なくとも1つの熱画像200の位置を可視光カメラ46で撮像すること、及び/又は、前記複数の検査領域24、26、28のうち前記少なくとも1つの熱画像200に対応する領域に着色マーカー50でマーキングすること、のうちの1つ又は複数を行うことにより行う、付記12に記載の方法。
【0047】
付記14. 前記少なくとも1つの熱画像200の位置を特定することは、前記熱画像200のうちの1つの熱画像に欠陥30が現れている場合に、当該1つの熱画像200に対して実行される、付記13に記載の方法。
【0048】
付記15. レール38、ホイール34、36、軸部、航空機のストリンガ64及び航空機の翼桁66のうちから選択された試験体12について非破壊評価を行うことをさらに含む、付記12に記載の方法。
【0049】
付記16. 前記EMAT16の前記駆動を前記赤外線検出器20の前記駆動と同期させることは、前記EMAT16が前記試験体12に発生させた前記振動18を、前記プラットフォーム14に搭載された任意の反射体12に利用可能な速度干渉計(VISAR)42により検出することを含む、付記12に記載の方法。
【0050】
付記17. 前記赤外線検出器20を前記複数の検査領域24、26、28について駆動して前記熱画像200を記録させることは、前記赤外線検出器20を駆動して、前記試験体12上の所定の経路に沿って連続する複数の検査領域24、26、28の熱画像200を記録させることを含む、付記12に記載の方法。
【0051】
付記18. 前記複数の検査領域24、26、28のうち、欠陥30を有する1領域の画像を可視光カメラ46で撮像し、当該画像を記録することと、可視光カメラ46による前記欠陥30の画像を、前記赤外線検出器20による前記欠陥30の画像と比較して、誤検出を特定することと、をさらに含む、付記12に記載の方法。
【0052】
付記19. 前記EMAT16を前記赤外線検出器20と同期させることは、前記制御部22により第1及び第2赤外線カメラ20、52、54を順次駆動することを含み、これにより、前記第1赤外線カメラ20、52、54が、前記複数の検査領域24、26、28のうちの第1領域の画像を先に記録して前記制御部22に送信する間に、前記第2赤外線カメラ20、52、54が前記複数の検査領域24、26、28のうち第2領域の熱画像200を記録する、付記12に記載の方法。
【0053】
付記20. 前記制御部22は、前記複数の検査領域24、26、28のうちの前記第1領域に連続する領域が、前記複数の検査領域24、26、28のうちの前記第2領域になるように、第1赤外線検出器20及び第2赤外線検出器20を駆動する、付記19に記載の方法。
【0054】
本明細書に記載した装置、方法の形態は、本開示の試験体の非破壊評価のためのシステム及び方法の好ましい実施形態を構成するが、本開示は、上述した特定の形態の装置及び方法に限定されるものではなく、本開示の範囲から逸脱することなく種々の変更が可能であることは、理解されよう。