特許第6979301号(P6979301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979301
(24)【登録日】2021年11月17日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】光ケーブル接続用クロージャ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   G02B6/46
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-156325(P2017-156325)
(22)【出願日】2017年8月14日
(65)【公開番号】特開2019-35829(P2019-35829A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2020年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595083051
【氏名又は名称】株式会社ジャパンリーコム
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】西村 公敬
(72)【発明者】
【氏名】野上 雅教
(72)【発明者】
【氏名】田中 亮
(72)【発明者】
【氏名】石原 竜也
(72)【発明者】
【氏名】生川 久比古
(72)【発明者】
【氏名】大島 義久
(72)【発明者】
【氏名】真野 恭
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−161795(JP,A)
【文献】 特開2007−147876(JP,A)
【文献】 特開平09−274110(JP,A)
【文献】 特開平09−197181(JP,A)
【文献】 特開2002−296470(JP,A)
【文献】 特開2013−113892(JP,A)
【文献】 特開2007−114658(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0033056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00− 6/02
G02B 6/245−6/25
G02B 6/46− 6/54
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
上流側の光ケーブル心線と下流側の光ケーブル心線との接続部分を収容するための心線接続用トレイと、
前記心線接続用トレイが水平方向へ複数積層されて各々が一方向に引き出されたのち回動可能となるように収納されるトレイ収納部と、
を有する架空用の光ケーブル接続用クロージャであって、
前記トレイ収納部が作業空間側へ所定の角度回動可能に前記フレームに配備され、前記トレイ収納部は回動動作のロック機構を有し、前記ロック機構はたわませることによりロック及び解除を行うツマミと、前記ツマミの破損防止用のストッパとを有すること
を特徴とする光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項2】
前記トレイ収納部は前記フレームに形成された一対の軸止部に底部近傍を係止されて前記軸止部を軸中心に回動することを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項3】
前記光ケーブル心線は各々所定の範囲をスパイラルスリーブで保護され、各スパイラルスリーブは前記フレームに設けられたスパイラル固定部品に形成された断面半円形状の固定部に嵌合されて保持固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項4】
前記光ケーブル接続用クロージャは、引き出された前記心線接続用トレイを載置し作業を行うための作業台が設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項5】
前記光ケーブル接続用クロージャは、接続していない光ケーブル心線を一時保留するための保留心線収納シートが設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項6】
前記スパイラル固定部品は光ケーブルのテンションメンバを把持固定するためのケーブル用TM把持具が設けられることを特徴とする請求項に記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ心線を有する光ケーブルの中継接続のために用いられるもので、特に、架線された光ケーブルの中継接続を行うための架空設置用の光ケーブル接続用クロージャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ケーブル等のケーブルの接続に際しては、各種接続部材を用いてケーブル心線の接続を行いコネクタ等をクロージャで保護する。このようなクロージャは心線接続部に容易にアクセスでき、作業性が良いことが望まれる。また、架空での作業を行う場合には作業空間やクロージャの姿勢の安定性も重要となる。
【0003】
例えば、特許文献1の光ファイバ接続用クロージャのように、心線接続トレイや心線通過トレイがクロージャに回動可能に取り付けられる構成となっており、作業空間を確保しやすくする工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−113925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明のようなクロージャは架空での作業となるため、作業空間を確保するだけでなく、作業者が安定した姿勢で作業を行うことができなければ光ケーブル心線の断線を引き起こす原因となってしまう可能性がある。特許文献1の発明では作業の安定性に関して改良の余地がある。
【0006】
本発明は上述のような課題に鑑みなされたものであり、光ケーブル心線の配線形態が整理し易く、接続部と心線余長を効率的に収納し、架空での施工及び保守点検作業が安全確実で容易となり、追加の分岐作業でも非常に簡便に作業を執り行える光ケーブル接続用クロージャを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決したものであって、請求項1の発明は、フレームと、上流側の光ケーブル心線と下流側の光ケーブル心線との接続部分を収容するための心線接続用トレイと、前記心線接続用トレイが水平方向へ複数積層されて各々が一方向に引き出されたのち回動可能となるように収納されるトレイ収納部と、を有する架空用の光ケーブル接続用クロージャであって、前記トレイ収納部が作業空間側へ所定の角度回動可能に前記フレームに配備され、前記トレイ収納部は回動動作のロック機構を有し、前記ロック機構はたわませることによりロック及び解除を行うツマミと、前記ツマミの破損防止用のストッパとを有することを特徴とする光ケーブル接続用クロージャである。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記トレイ収納部は前記フレームに形成された一対の軸止部に底部近傍を係止されて前記軸止部を軸中心に回動することを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャである。
【0010】
また、請求項の発明は、前記光ケーブル心線は各々所定の範囲をスパイラルスリーブで保護され、各スパイラルスリーブは前記フレームに設けられたスパイラル固定部品に形成された断面半円形状の固定部に嵌合されて保持固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ケーブル接続用クロージャである。
【0011】
また、請求項の発明は、前記光ケーブル接続用クロージャは、引き出された前記心線接続用トレイを載置し作業を行うための作業台が設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光ケーブル接続用クロージャである。
【0012】
また、請求項の発明は、前記光ケーブル接続用クロージャは、接続していない光ケーブル心線を一時保留するための保留心線収納シートが設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光ケーブル接続用クロージャである。
【0013】
また、請求項の発明は、前記スパイラル固定部品は光ケーブルのテンションメンバを把持固定するためのケーブル用TM把持具が設けられることを特徴とする請求項に記載の光ケーブル接続用クロージャである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光ケーブル接続用クロージャは、トレイ収納部が作業空間側へ所定の角度回動可能にフレームに配備されているので、作業時にはトレイ収納部を傾けて複数の心線接続用トレイ全体を把握できるため架空での作業空間の確保や光ケーブル心線の接続状況、作業すべき心線接続用トレイの選択を安全確実に行うことができ、また、トレイ収納部が傾いた状態で心線接続用トレイを作業空間側へ引き出し回動してから作業を行うと作業者の視線と心線接続用トレイとが安定して正対することができ心線接続用トレイの全体を把握しながら確実に光ケーブル心線接続作業を行うことができる利点がある。 また、トレイ収納部は回動動作のロック機構を有し、ロック機構はたわませることによりロック及び解除を行うツマミと、ツマミの破損防止用のストッパとを有することを特徴としているので、ロック機構によってトレイ収納部を安全確実に回動させることができ、また、ツマミの破損防止用のストッパを有しているので誤ってツマミを強く握りこみすぎてもストッパによって破損を防止することができる。特に架空での作業となる場合は意図せず力の加減を誤ってしまう可能性もあるがストッパにより破損を防止することができる。
【0015】
また、請求項2の発明では、トレイ収納部がフレームに形成された一対の軸止部を軸中心に回動する構成となっているので、簡単な構造で確実にトレイ収納部をコンパクトに回動させることができる利点がある。
【0017】
また、請求項の発明では、光ケーブル心線は各々所定の範囲をスパイラルスリーブで保護され、各スパイラルスリーブは前記フレームに設けられたスパイラル固定部品に形成された断面半円形状の固定部に嵌合されて保持固定されることを特徴としているので、クロージャ内で光ケーブル心線が露出する部分をスパイラルスリーブで保護することにより心線の保護が確実となる。また、スパイラルスリーブがスパイラル固定部品により保持固定されるので作業時に絡まったり、心線の選択間違えを起こしたりすることを減らすことができる。
【0018】
また、請求項の発明では、光ケーブル接続用クロージャは、引き出された心線接続用トレイを載置し作業を行うための作業台が設けられていることを特徴としているので、引き出された心線接続用トレイを作業台にしっかりと載置・固定させて作業を行えるので安全確実に分岐作業を行える。
【0019】
また、請求項の発明では、光ケーブル接続用クロージャは、接続していない光ケーブル心線を一時保留するための保留心線収納シートが設けられていることを特徴としているので、接続完了した心線と保留心線を確実に分割して収納することができるため心線の区別が簡便で散乱することもなく整理して接続作業や保守点検等の作業ができる。
【0020】
また、請求項の発明では、前記スパイラル固定部品は光ケーブルのテンションメンバを把持固定するためのケーブル用TM把持具が設けられることを特徴としているので、テンションメンバが固定されることによってより確実に心線及びケーブルに負荷がかからずに安全に作業を行うことができる。

【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の光ケーブル接続用クロージャの一実施形態のうちカバー部材を取り外した状態の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
図2】本発明の光ケーブル接続用クロージャの一実施形態のうちカバー部材を取り付けた状態の図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
図3】本発明のトレイ収納部の回動状態を示した図であり、(a)は通常時、(b)は回動して開放した状態の図、(c)は回動した状態の斜視図である。
図4】本実施形態におけるトレイ収納部に設けられたロック機構の図であり、(a)は底面図、(b)及び(c)はロック解除の状態を示す図である。
図5】本発明の心線接続用トレイの一実施形態の図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
図6図5の心線接続用トレイを開いた状態の図であり、(a)は平面図、(b)はは斜視図である。
図7】本実施形態における光ケーブル心線の配線の一例である。
図8】本発明のスパイラル固定部品の一実施形態の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は固定部の斜視図である。
図9】スパイラル固定部品に取り付けられるケーブル用TM把持具の一実施形態の図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は取り付け図、(e)はテンションメンバ固定手順の図、(f)は固定後の斜視図である。
図10】本実施形態における作業台の一例の図である。
図11】本実施形態における保留心線収納シートの一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る光ケーブル接続用クロージャについて、図面を参照して説明する。先ず、図1及び図2を参照し、本実施形態の光ケーブル接続用クロージャ10全体について説明する。なお、本実施例では、上流側光ケーブルをA、下流側光ケーブルをB、上流側光ケーブル心線をA1、下流側光ケーブル心線をB1とする。
図1は本発明の光ケーブル接続用クロージャ10の一実施形態のうちカバー部材を取り外した状態の図であり図2はカバー部材を取り付けた状態の図である。
【0023】
光ケーブル接続用クロージャ10は基部となる板状のフレーム20に心線接続用トレイ31が収納され回動可能なトレイ収納部30、心線を保護するスパイラルスリーブCを固定するスパイラル固定部品50、接続されていない保留心線をまとめて保管収納できる保留心線収納シート70、導入及び導出される光ケーブルを把持するためのケーブル把持部22、23、24が取り付けられ、外装をカバー部材となる前面カバー11と背面カバー12によって防塵防滴構造となるように覆われて、上流側光ケーブルAのケーブル心線A1と下流側光ケーブルBのケーブル心線B1とを接続するための架空設置用のクロージャとなっている。
【0024】
次に、フレーム20は板形状で上部を架線されている支持体Dにクランプによって固定されて懸架され、図1(a)によるとフレーム20の左側面側に上流側光ケーブルAを導入するためのケーブル把持部22と、右側面側に導出される下流側光ケーブルBを把持するためのケーブル把持部23、24が設けられている。本実施例では下流側光ケーブルBを2本取り付けられる構造となっているがこれに限らず1本取り付ける構造でもよい。また、上流側と下流側の構成が逆となってもよい。
【0025】
また、図1(c)のようにフレーム20には作業空間側である前面(図1によると正面)にトレイ収納部30を回動可能に取り付けるための固定ベース21が設けられ、固定ベース21の先端近傍には一対の軸止部21aが設けられトレイ収納部30の底部のフレームから遠い側の一辺近傍を支持して回動する構造となっている。なお、固定ベース21にはトレイ収納部30に設けられる回動を解除・ロックするロック機構40を嵌合するためのロック部21bが設けられている。
【0026】
トレイ収納部30は図1図3のように、図5図6の心線接続用トレイ31を水平方向へ複数積層して各々が上方向に引き出されたのち回動可能となるように収納する構造となっており、フレーム20の軸止部21aとトレイ収納部30の底部のフレームから遠い側の一辺近傍を支持して回動する。心線接続用トレイ31を水平方向へ複数積層することによりクロージャの全高を低く抑えながらトレイを多数収納することができる構成となっている。
【0027】
本実施例ではトレイ収納部30はロック機構40を解除すると作業空間である前面側へ約25°傾くように回動するので、複数の心線接続用トレイ31全体を把握できるため作業空間の確保や光ケーブル心線の接続状況、作業すべき心線接続用トレイ31の選択を安全確実に行うことができ、また、トレイ収納部30が傾いた状態で心線接続用トレイ31を作業空間側へ引き出し回動してから作業を行うと作業者の視線と心線接続用トレイ31とが安定して正対することができ心線接続用トレイ31の全体を把握しながら確実に光ケーブル心線接続作業を行うことができる。
【0028】
なお、フレーム20の軸止部21aはトレイ収納部30の底部のフレームから遠い側の一辺近傍を支持する構成となっているが、これに限らずフレームに近い側の一辺近傍を支持して回動する構成としてもよい。
【0029】
心線接続用トレイ31はトレイ収納部30に設けられたレール部材に沿って上方へスライドしてレール部材終端部まで引き出されると心線接続用トレイ31が回動可能となって作業空間側へ約90度倒し、図6のように心線接続用トレイ31を開放して心線接続作業を行う。なお、図9(d)、(e)に示されるようにトレイ収納部30の手前側に収納されている心線接続用トレイ31を引き出す場合は作業台60をトレイ収納部30に取り付けてその台上に載置し作業を行い、奥側(フレーム20側)の心線接続用トレイ31を引き出す場合は他の作業空間側に配置された心線接続用トレイ31の上面を作業台代わりに載置して作業を行うことも可能である。
【0030】
ロック機構40は図4のようにトレイ収納部30の両側面に設けられている。片側だけの操作ではロックは解除されず、両方操作して初めてロック解除できる構成となっている。ロック機構40の構造はフレーム20の固定ベース21に設けられたロック部21bにたわませて嵌合することによるロック及び解除するツマミと、図4(c)のようにツマミのたわませ過ぎによる破損を防止するためのストッパが設けられている。
【0031】
スパイラル固定部品50は図8のようにスパイラルスリーブCを1つずつ嵌合して固定する断面半円形状の固定部51が上下に複数並列して設けられている。光ケーブル接続用クロージャ10では上流側光ケーブルAから所定の上流側光ケーブル心線A1を引き出して心線接続用トレイ31において下流側光ケーブル心線B1と接続する構成であるため、図7のように上流側光ケーブルAの導入部分であるケーブル把持部22から心線接続用トレイ31までの間と、下流側光ケーブルBが固定されているケーブル把持部22及びケーブル把持部23から心線接続用トレイ31までの間はケーブル心線がクロージャ内でむき出しとなるのでその保護として保護チューブであるスパイラルスリーブCを巻き付けて保護する構成となっている。
【0032】
そこで、スパイラルスリーブCの巻き付け部分を固定しないと複数のスパイラルスリーブCが絡まったり選別作業が煩雑となったりしてしまい、場合によっては心線が断裂してしまう可能性がある。そのためスパイラル固定部品50の固定部51に各スパイラルスリーブCを嵌合固定することによって前述の課題を解決することができる。
【0033】
また、スパイラル固定部品50には光ケーブルA、Bのテンションメンバを把持固定するためのケーブル用TM把持具52が取り付け可能となっている。ケーブル用TM把持具52は図9のように円柱形状の側面にテンションメンバ挿入用の穴52aが形成され、図9(e)のようにテンションメンバを挿入後上部に形成されたネジ穴からネジを締め付けてネジ底面と把持具とでテンションメンバを挟み込み把持固定できる構造となっている。テンションメンバが固定されることによってより確実に心線及びケーブルに負荷がかからずに安全に作業を行うことができる。
【0034】
作業台60は図9のように心線接続用トレイ31を載置するための台となっている。作業台60に設けられた嵌合部61を利用してトレイ収納部30の正面上部側壁に対して約90°となるように取り付けられる。使用方法としては図9(d)、(e)に示されるようにトレイ収納部30の手前側に収納されている心線接続用トレイ31の接続作業を行う場合に使用され、心線接続用トレイ31を引き出して回転したのち作業台60に載置し開放することによって安定して作業を行うことができる。作業台60は光ケーブル接続用クロージャ10に予め備え付けられてもよいし、作業者が作業工具等とともに携帯し必要となる場合のみ取り付けることとしてもよい。
【0035】
保留心線収納シート70は図1及び図10のようにフレーム20の背面側に設けられ、接続されていない保留心線をまとめて保管収納できる1面が開放された箱形状の容器であり、開放された面は図10(a)、(b)のように柔軟性を有する2枚の軽量な樹脂製シート71、72が重なるように蓋をしている。これによって保留心線を効率的に分別して収納でき、取り出す際も柔軟性を有する樹脂製シートを使用しているのでたわませることによって簡便に心線を傷つけることなく取り出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る光ケーブルの接続用クロージャは、心線の接続作業を安定して行うことができ、さらに、心線の保護、取扱いに最新の注意を払う必要がある架空での作業現場で好適に用いることができ、また、製造コストも抑えることができるものである。
【符号の説明】
【0037】
A 上流側光ケーブル
B 下流側光ケーブル
A1 上流側光ケーブル心線
B1 下流側光ケーブル心線
C スパイラルスリーブ
D 支持体
10 光ケーブル接続用クロージャ
11 前面カバー
12 背面カバー
20 フレーム
21 固定ベース
21a 軸支部
21b ロック部
22〜24 ケーブル把持部
30 トレイ収納部
31 心線接続用トレイ
40 ロック機構
41 ツマミ
42 ストッパ
50 スパイラル固定部品
51 固定部
52 ケーブル用TM把持具
60 作業台
61 嵌合部
70 保留心線収納シート
71 樹脂製シート
72 樹脂製シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11