(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、例示的な実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
[第1実施形態]
[光計測装置の構成]
図1は、第1実施形態に係る光計測装置1の概略的な斜視図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図1及び
図2に示される光計測装置1は、流体(液体、気体等)である被計測物に向かって光を照射し、照射された光に応じて被計測物から出力される計測光を検出して、当該計測光に応じた出力信号を出力する計測装置である。例えば、光計測装置1は、被計測物を透過した光を計測光として検出することで、被計測物の吸光度(或いは、光透過度)の計測を行うことができる。光計測装置1は、複数(ここでは3つ)の互いに異なる波長λ1,λ2,λ3の光での計測を同時に行うことができる。光計測装置1は、管状部材10、発光素子30、受光素子31、電力ケーブル32、及び信号ケーブル33を備えている。
【0018】
管状部材10は、光計測装置1の本体部分を構成する長尺状の部材である。管状部材10は、一端及び他端が開口した複数(計測を行うことができる波長の数に対応して、ここでは3つ)の流通経路P1,P2,P3を内壁面13により画成している。流通経路P1,P2,P3のそれぞれの一端は、管状部材10の延在方向における一端面に開口しており、流通経路P1,P2,P3のそれぞれの他端は、管状部材10の延在方向における他端面に開口している。流通経路P1,P2,P3のそれぞれは、その一端から他端まで連続している。管状部材10は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック素材、或いは一部のFRP(強化プラスチック)を含んで構成されている。管状部材10は、可撓性を有しており、外力を受けて屈曲することができる。
【0019】
管状部材10は、流体である被計測物が流通経路P1,P2,P3を流通可能となるように構成されている。被計測物は、流通経路P1の一端21a又は他端21bのいずれか一方から流通経路P1に入り、流通経路P1を通過して、一端21a又は他端21bのいずれか他方から流通経路P1の外に出る。また、被計測物は、流通経路P2の一端22a又は他端22bのいずれか一方から流通経路P2に入り、流通経路P2を通過して、一端22a又は他端22bのいずれか他方から流通経路P2の外に出る。また、被計測物は、流通経路P3の一端23a又は他端23bのいずれか一方から流通経路P3に入り、流通経路P3を通過して、一端23a又は他端23bのいずれか他方から流通経路P3の外に出る。被計測物は、流通経路P1,P2,P3内に位置している間に、例えば吸光度の計測が行われる。
【0020】
管状部材10の構成について、より詳細に説明する。管状部材10は、外枠部15及び仕切部16を有している。外枠部15は、内側が空洞である円筒状を呈し、管状部材10の外形を形成する。仕切部16は、外枠部15の内側に位置し、外枠部15の内側の空洞を複数(ここでは3つ)の流通経路P1,P2,P3に分割する。仕切部16は、外枠部15の内側において外枠部15の延在方向に沿って延在する軸線Rから、外枠部15の内周面25まで放射状に延びる複数(流通経路の数に対応して、ここでは3つ)の壁部17,18,19を含んで構成されている。ここでは、軸線Rは外枠部15の延在方向における外枠部15の中心軸線であるが、軸線Rは外枠部15の中心軸線に限定されない。また、ここでは、壁部17,18,19は互いに均等な角度(120度)をなして配置されているが、壁部17,18,19が互いになす角度は均等でなくてもよい。
【0021】
管状部材10は、上述したとおり、その内壁面13により流通経路P1,P2,P3を画成する。管状部材10の内壁面13は、例えば、外枠部15の内周面25の領域25a,25b,25c、仕切部16に含まれる壁部17において互いに背面に位置する表面27a,27b、壁部18において互いに背面に位置する表面28a,28b、及び、壁部19において互いに背面に位置する表面29a,29bにより構成される。
【0022】
一対の壁部17,18は、互いに隣り合っている。外枠部15の内周面25の領域25aは、内周面25のうち一対の壁部17,18の間の領域である。壁部17の表面27a、壁部18の表面28b、及び内周面25の領域25aは、流通経路P1を画成している。
【0023】
一対の壁部18,19は、互いに隣り合っている。外枠部15の内周面25の領域25bは、内周面25のうち一対の壁部18,19の間の領域である。壁部18の表面28a、壁部19の表面29b、及び内周面25の領域25bは、流通経路P2を画成している。
【0024】
一対の壁部19,17は、互いに隣り合っている。外枠部15の内周面25の領域25cは、内周面25のうち一対の壁部19,17の間の領域である。壁部19の表面29a、壁部17の表面27b、及び内周面25の領域25cは、流通経路P3を画成している。
【0025】
発光素子30は、内壁面13の一部の領域に配置され、流通経路に向かって光を照射する素子である。発光素子30は、大面積に形成されており、流通経路の一端から他端にわたって延在するシート状の発光面35を有している。発光素子30は、発光面35により流通経路に向かって面状の光を照射する。発光素子30は、有機半導体を含んで構成されている。発光素子30に含まれる有機半導体は、例えば、シクロペンタジエン誘導体、カルバゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、キノリン錯体、チアジアゾール錯体、フェニルピリジン錯体、オキサジアゾール錯体、フェニルベンゾイミダゾール錯体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、又はポリチオフェン誘導体であってもよい。発光素子30は、可撓性を有しており、外力を受けて屈曲することができる。発光素子30は、互いに異なる波長の光を照射可能な発光素子30a,30b,30cにより構成されている。
【0026】
発光素子30aは、波長λ1の光を照射可能である。発光素子30aは、流通経路P1に配置されている。より詳細には、発光素子30aは、壁部17の表面27a及び壁部18の表面28bに配置されている。発光素子30aは、流通経路P1の一端21aから他端21bにわたって延在するシート状の発光面35aを有している。発光素子30aは、発光面35aにより流通経路P1に向かって面状に光を照射する。これにより、発光素子30aは、流通経路P1に向かって、発光素子30a側から見た流通経路P1の広範囲(例えば、全域又は略全域)に光を照射可能である。
【0027】
発光素子30bは、波長λ2の光を照射可能である。発光素子30bは、流通経路P2に配置されている。より詳細には、発光素子30bは、壁部18の表面28a及び壁部19の表面29bに配置されている。発光素子30bは、流通経路P2の一端22aから他端22bにわたって延在するシート状の発光面35bを有している。発光素子30bは、発光面35bにより流通経路P2に向かって面状に光を照射する。これにより、発光素子30bは、流通経路P2に向かって、発光素子30b側から見た流通経路P2の広範囲(例えば、全域又は略全域)に光を照射可能である。
【0028】
発光素子30cは、波長λ3の光を照射可能である。発光素子30cは、流通経路P3に配置されている。より詳細には、発光素子30cは、壁部19の表面29a及び壁部17の表面27bに配置されている。発光素子30cは、流通経路P3の一端23aから他端23bにわたって延在するシート状の発光面35cを有している。発光素子30cは、発光面35cにより流通経路P3に向かって面状に光を照射する。これにより、発光素子30cは、流通経路P3に向かって、発光素子30c側から見た流通経路P3の広範囲(例えば、全域又は略全域)に光を照射可能である。
【0029】
受光素子31は、発光素子30を臨む内壁面13の一部の領域に配置され、発光素子30により照射された光に応じた計測光を検出し、当該計測光に応じた出力信号を出力する素子である。受光素子31は、大面積に形成されており、流通経路の一端から他端にわたって延在するシート状の受光面36を有している。受光素子31は、受光面36において面状の計測光を受光可能である。受光素子31は、有機半導体を含んで構成されている。受光素子31に含まれる有機半導体は、例えばチオフェン、ベンゾチオフェン、フェニレンビニレン、カルバゾール、チエノピロール、ジケトピロロピロール、及び、これらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種の化合物に由来する骨格を有する化合物であってもよい。受光素子31は、可撓性を有しており、外力を受けて屈曲することができる。受光素子31は、受光素子31a,31b,31cにより構成されている。
【0030】
ここで、「発光素子を臨む内壁面の領域」とは、発光素子(発光面)と所定角度(例えば、180度)未満で向き合っている状態の内壁面の領域を意味する。例えば、内壁面の領域が発光素子と0度の角度で向き合っている状態とは、当該内壁面と当該発光素子とが互いに平行となるように対面している状態を意味する。また、例えば、内壁面の領域が発光素子と90度の角度で向き合っている状態とは、当該内壁面と当該発光素子とが直交している状態を意味する。なお、換言すると、「発光素子を臨む内壁面の領域」とは、発光素子により照射された光(或いは、当該光に応じた計測光)を直接受光することができる位置にある内壁面の領域である。
【0031】
受光素子31aは、流通経路P1に配置されている。より詳細には、受光素子31aは、発光素子30aを臨む内周面25の領域25aに配置されている。受光素子31aは、流通経路P1の一端21aから他端21bにわたって延在するシート状の受光面36aを有している。受光素子31aは、受光面36aにおいて面状の計測光を受光可能である。これにより、受光素子31aは、発光素子30aにより面状に照射された光(すなわち、発光素子30aにより、流通経路P1に向かって、発光素子30a側から見た流通経路P1の全域又は略全域に照射された光)に応じた計測光を検出可能とされている。
【0032】
受光素子31bは、流通経路P2に配置されている。より詳細には、受光素子31bは、発光素子30bを臨む内周面25の領域25bに配置されている。受光素子31bは、流通経路P2の一端22aから他端22bにわたって延在するシート状の受光面36bを有している。受光素子31bは、受光面36bにおいて面状の計測光を受光可能である。これにより、受光素子31bは、発光素子30bにより面状に照射された光(すなわち、発光素子30bにより、流通経路P2に向かって、発光素子30b側から見た流通経路P2の全域又は略全域に照射された光)に応じた計測光を検出可能とされている。
【0033】
受光素子31cは、流通経路P3に配置されている。より詳細には、受光素子31cは、発光素子30cを臨む内周面25の領域25cに配置されている。受光素子31cは、流通経路P3の一端23aから他端23bにわたって延在するシート状の受光面36cを有している。受光素子31cは、受光面36cにおいて面状の計測光を受光可能である。これにより、受光素子31cは、発光素子30cにより面状に照射された光(すなわち、発光素子30cにより、流通経路P3に向かって、発光素子30c側から見た流通経路P3の全域又は略全域に照射された光)に応じた計測光を検出可能とされている。
【0034】
電力ケーブル32は、発光素子30と電気的に接続されるとともに管状部材10から導出され(すなわち、管状部材10から外部に引き出され)、発光素子30に供給される電力を伝送するケーブルである。ここでは、電力ケーブル32は、発光素子30aに対応する電力ケーブル32a、発光素子30bに対応する電力ケーブル32b、及び、発光素子30cに対応する電力ケーブル32cを含んでいる。
【0035】
電力ケーブル32aは、例えば流通経路P1内の一端21a近傍において発光素子30aと接続されており、流通経路P1の一端21aの開口を介して管状部材10から導出されている。電力ケーブル32bは、例えば流通経路P2内の一端22a近傍において発光素子30bと接続されており、流通経路P2の一端22aの開口を介して管状部材10から導出されている。電力ケーブル32cは、例えば流通経路P3内の一端23a近傍において発光素子30cと接続されており、流通経路P3の一端23aの開口を介して管状部材10から導出されている。
【0036】
電力ケーブル32a,32b,32cのそれぞれは、外部電源45と電気的に接続される。なお、発光素子30a,30b,30cのそれぞれは、互いに別個の外部電源45に接続されてもよい。
【0037】
信号ケーブル33は、受光素子31と電気的に接続されるとともに管状部材10から導出され(すなわち、管状部材10から外部に引き出され)、受光素子31により出力される出力信号を伝送するケーブルである。ここでは、信号ケーブル33は、受光素子31aに対応する信号ケーブル33a、受光素子31bに対応する信号ケーブル33b、及び、受光素子31cに対応する信号ケーブル33cを含んでいる。
【0038】
信号ケーブル33aは、例えば流通経路P1内の一端21a近傍において受光素子31aと接続されており、流通経路P1の一端21aの開口を介して管状部材10から導出されている。信号ケーブル33bは、例えば流通経路P2内の一端22a近傍において受光素子31bと接続されており、流通経路P2の一端22aの開口を介して管状部材10から導出されている。信号ケーブル33cは、例えば流通経路P3内の一端23a近傍において受光素子31cと接続されており、流通経路P3の一端23aの開口を介して管状部材10から導出されている。
【0039】
信号ケーブル33a,33b,33cのそれぞれは、出力信号を入力して当該入力信号を処理する処理装置46と電気的に接続される。なお、信号ケーブル33a,33b,33cのそれぞれは、処理装置46に代えて、出力信号を入力して当該出力信号に関する情報を記憶する記憶装置と電気的に接続されてもよい。また、信号ケーブル33a,33b,33cのそれぞれは、互いに別個の処理装置46又は互いに別個の記憶装置に接続されてもよい。
【0040】
[光計測装置の製造方法]
光計測装置1の製造方法の一例を説明する。
図3〜
図7は、
図1に示された光計測装置1の製造方法の一工程を示す図である。この方法では、まず、
図3に示されるように、外枠部15のための矩形平板状の第1基板50を用意する(第1工程)。以下、説明の便宜上、第1基板50は、平面視において、第1基板50の辺に沿ったx軸方向の長さがX、x軸方向と直交するy軸方向の長さがYとなるように形成されているものとする。第1基板50は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック素材、或いは一部のFRP(強化プラスチック)を含んで構成され、可撓性を有している。
【0041】
続いて、第1基板50の一方の面51にシート状の受光素子31を配置する(第2工程)。より詳細には、第1基板50の一方の面51に、x軸方向に沿って第1基板50の一辺52から他辺53まで、非配置領域54a、配置領域55a、非配置領域54b、配置領域55b、非配置領域54c、配置領域55cの順で帯状の各領域が並ぶように、受光素子31を配置する。「非配置領域」とは、受光素子31が配置されない領域である。「配置領域」とは、受光素子が配置される領域である。各非配置領域と、当該非配置領域と隣接する各配置領域と、の境界線は、y軸方向と平行である。各非配置領域のx軸方向の長さは互いに等しく、且つ、各配置領域のx軸方向の長さは互いに等しい。
【0042】
配置領域55aは、光計測装置1においては、外枠部15の内周面25の領域25aに対応する。配置領域55aには、受光素子31aが配置される。配置領域55bは、光計測装置1における外枠部15の内周面25の領域25bに対応する。配置領域55bには、受光素子31bが配置される。配置領域55cは、光計測装置1における外枠部15の内周面25の領域25cに対応する。配置領域55cには、受光素子31cが配置される。
【0043】
受光素子31a,31b,31cは、例えば、スピンコーティング、液体定量吐出法(ディスペンサ)、インクジェットプリンティング、スプレー法、真空蒸着法、又は第1基板50を液相に浸す手法により、一方の面51に配置される。例えば、非配置領域54a,54b,54cがマスクされた状態で上述した手法が実行された場合、受光素子31a,31b,31cは、第1基板50の一方の面51に一括して配置される。
【0044】
なお、第1工程においては、x軸方向の長さがX、y軸方向の長さがYの矩形よりも平面視において大きい第1基板50を用意し、第2工程の後に、当該第1基板50をx軸方向の長さがX、y軸方向の長さがYの矩形となるように切断してもよい。
【0045】
続いて、
図4に示されるように、第1基板50の一方の面51が内側となるようにして、第1基板50を丸め、第1基板50の一辺52と他辺53とを接合する(第3工程)。第1基板の一辺52と他辺53とは、例えば接着法又は熱融着法等により互いに接合される。これにより、内周面25に受光素子31a,31b,31cが配置された円筒状の外枠部15が形成される。
【0046】
続いて、
図5に示されるように、仕切部16のための矩形平板状の第2基板60、第3基板70、及び第4基板80を用意する(第4工程)。第2基板60、第3基板70、及び第4基板80は、平面視において、各基板の辺に沿ったx軸方向の長さがX/円周率(すなわち、外枠部15の内径と同じ長さ)、x軸方向と直交するy軸方向の長さがY(すなわち、外枠部15の延在方向と同じ長さ)となるように形成されている。第2基板60、第3基板70、及び第4基板80は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック素材、或いは一部のFRP(強化プラスチック)を含んで構成され、可撓性を有している。
【0047】
続いて、第2基板60、第3基板70、及び第4基板80のそれぞれの一方の面にシート状の発光素子30を配置する(第5工程)。
図5の(a)は、発光素子30を配置された第2基板60を示す斜視図であり、
図5の(b)は、発光素子30を配置された第3基板70を示す斜視図であり、
図5の(c)は、発光素子30を配置された第4基板80を示す斜視図である。
【0048】
より詳細には、第2基板60の一方の面61において、y軸方向における少なくとも一部の領域(ここでは、y軸方向における全域)、且つ、x軸方向における全域(又は、略全域)に、波長λ1の光を照射可能な発光素子30aを配置する。一方の面61において発光素子30aが配置される領域は、光計測装置1における仕切部16の壁部17の表面27aに対応する領域61a、及び、壁部18の表面28bに対応する領域61bである。
【0049】
また、第3基板70の一方の面71において、y軸方向における少なくとも一部の領域(ここでは、y軸方向における全域)、且つ、x軸方向における全域(又は、略全域)に、波長λ2の光を照射可能な発光素子30bを配置する。一方の面71において発光素子30bが配置される領域は、光計測装置1における仕切部16の壁部18の表面28aに対応する領域71a、及び、壁部19の表面29bに対応する領域71bである。
【0050】
また、第4基板80の一方の面81において、y軸方向における少なくとも一部の領域(ここでは、y軸方向における全域)、且つ、x軸方向における全域(又は、略全域)に、波長λ3の光を照射可能な発光素子30cを配置する。一方の面81において発光素子30cが配置される領域は、光計測装置1における仕切部16の壁部19の表面29aに対応する領域81a、及び、壁部17の表面27bに対応する領域81bである。
【0051】
発光素子30a,30b,30cは、例えば、スピンコーティング、液体定量吐出法(ディスペンサ)、インクジェットプリンティング、スプレー法、真空蒸着法、又は基板(第2基板60、第3基板70、第4基板80)を液相に浸す手法により、一方の面61,71,81に配置される。
【0052】
なお、第4工程においては、x軸方向の長さがX/円周率、y軸方向の長さがYの矩形よりも平面視において大きい第2基板60、第3基板70、及び第4基板80を用意し、第5工程の後に、当該第2基板60、第3基板70、及び第4基板80をx軸方向の長さがX/円周率、y軸方向の長さがYの矩形となるように切断してもよい。
【0053】
続いて、
図6に示されるように、第2基板60の一方の面61の背面に位置する他方の面62、第3基板70の一方の面71の背面に位置する他方の面72、及び、第4基板80の一方の面81の背面に位置する他方の面82を互いに貼り合わせて、仕切部16を形成する(第6工程)。第2基板60の他方の面62、第3基板70の他方の面72、及び、第4基板80の他方の面82は、例えば接着法又は熱融着法等により貼り合わされる。
【0054】
より詳細には、第2基板60の一方の面61の領域61aの背面に位置する領域62aと、第4基板80の一方の面81の領域81bの背面に位置する領域82bと、が互いに貼り合わされて、壁部17が形成される。また、第3基板70の一方の面71の領域71aの背面に位置する領域72aと、第2基板60の一方の面61の領域61bの背面に位置する領域62bと、が互いに貼り合わされて、壁部18が形成される。また、第4基板80の一方の面81の領域81aの背面に位置する領域82aと、第3基板70の一方の面71の領域71bの背面に位置する領域72bと、が互いに貼り合わされて、壁部19が形成される。
【0055】
なお、上述した第1工程から第3工程までの工程と、第4工程から第6工程までの工程との順序に特に制限はなく、第4工程から第6工程までの工程が先に実行され、第1工程から第3工程までの工程が後に実行されてもよい。
【0056】
続いて、
図7に示されるように、第3工程において形成された外枠部15に、第6工程において形成された仕切部16を挿入する(第7工程)。より詳細には、外枠部15の内周面25における非配置領域54a,54b,54cに仕切部16の壁部17,18,19が当接するように、外枠部15に仕切部16を挿入する。非配置領域54a,54b,54cと壁部17,18,19とは、例えば接着法又は熱融着法等により互いに固定される。
【0057】
続いて、発光素子30aに対して電力ケーブル32aが接続され、発光素子30bに対して電力ケーブル32bが接続され、発光素子30cに対して電力ケーブル32cが接続される(第8工程)。発光素子30a,30b,30cと電力ケーブル32a,32b,32cとは、例えばはんだ又は圧着等により接続される。また、受光素子31aに対して信号ケーブル33aが接続され、受光素子31bに対して信号ケーブル33bが接続され、受光素子31cに対して信号ケーブル33cが接続される(第9工程)。受光素子31a,31b,31cと信号ケーブル33a,33b,33cとは、例えばはんだ又は圧着等により接続される。以上により、光計測装置1が製造される(
図1参照)。
【0058】
[実施例]
図8は、第1実施例に係る出力信号を模式的に示す図である。
図8において、横軸には発光素子30により照射される光の波長が示され、縦軸には受光素子31により出力される出力信号の強度が示されている。第1実施例に係る光計測装置1では、発光素子30aは波長λ1の光を照射する。また、発光素子30bは波長λ1よりも長波長である波長λ2の光を照射する。また、発光素子30cは波長λ2よりも長波長である波長λ3の光を照射する。
【0059】
図8の出力信号図は、流通経路P1,P2,P3内に空気が流通している条件での出力信号を模式的に示している。この条件では、発光素子30により照射される光は、その強度が殆ど減衰されずに受光素子31に到達する。この条件における各出力信号の強度が、基準値である「1」に設定されている。なお、流通経路P1,P2,P3内を真空状態にした条件での出力信号に基づいて各出力信号の強度の基準値が設定されてもよい。
【0060】
図9は、第2実施例に係る出力信号を模式的に示す図である。
図9の出力信号図が
図8の出力信号図と異なる点は、流通経路P1,P2,P3内に、被計測物として、波長λ2の光を選択的に吸収する流体が流通している条件での出力信号を模式的に示している点である。
図9から、波長λ1の光及び波長λ3の光は被計測物により吸収されておらず、一方、波長λ2の光は被計測物により吸収されていることがわかる。
図10は、第3実施例に係る出力信号を模式的に示す図である。
図10の出力信号図が
図9の出力信号図と異なる点は、流通経路P1,P2,P3内に、被計測物として、波長λ2の光を選択的に吸収する流体に加えて、波長λ3の光を選択的に吸収する流体が不純物として流通している条件での出力信号を模式的に示している点である。
図10から、波長λ2の光に加えて、波長λ3の光も吸収されていることがわかる。
図9及び
図10に示されるように、光計測装置1によれば、被計測物に、選択的に吸収する光の波長が予めわかっている流体の他に、不純物として選択的に吸収する光の波長が予めわかっている別の種類の流体が含まれているか否かを判定することができる。
【0061】
図11は、第4実施例に係る出力信号を模式的に示す図である。
図11の出力信号図が
図9の出力信号図と異なる点は、流通経路P1,P2,P3内に、被計測物として、3種類の流体の混合流体が流通している条件での出力信号を模式的に示している点である。混合流体に含まれる各流体について、波長λ1の光、波長λ2の光、及び波長λ3の光の吸収の度合いが予め計測される。そして、予め計測された当該吸収の度合いに基づいて、
図11の出力信号から各流体の混合比が算出される。したがって、光計測装置1によれば、混合流体である被計測物に含まれる各流体の混合比を検出することができる。
【0062】
[作用及び効果]
光計測装置1では、流体である被計測物が流通可能な管状部材10の流通経路P1,P2,P3の内壁面13に発光素子30a,30b,30c及び受光素子31a,31b,31cが配置されている。発光素子30a,30b,30cにより流通経路P1,P2,P3に向かって光が照射されると、照射された光に応じた計測光が受光素子31a,31b,31cにより検出され、当該計測光に応じた出力信号が受光素子31a,31b,31cから出力される。ここで、発光素子30a,30b,30cはシート状の発光面35a,35b,35cを有し、当該発光面35a,35b,35cにより流通経路P1,P2,P3に向かって面状の光を照射する。このため、発光素子30a,30b,30c側から見た流通経路P1,P2,P3の面積に対して光の照射面積を十分に大きくすることができる。これにより、被計測物に対して広範囲にわたり光が照射されるため、被計測物の濃度が不均一であってもその影響が平準化される。しかも、受光素子31a,31b,31cはシート状の受光面36a,36b,36cを有し、当該受光面36a,36b,36cにおいて面状の計測光を受光可能である。このため、発光素子30a,30b,30cにより広範囲にわたり照射された光が確実に検出される。また、発光素子30a,30b,30cは、流通経路P1,P2,P3の内壁面13に配置されている。このため、発光素子30a,30b,30cと流通経路P1,P2,P3との位置関係がずれにくく、発光素子30a,30b,30cの光の照射領域が予め設定された領域から移動しにくい。しかも、受光素子31a,31b,31cも流通経路P1,P2,P3の内壁面13に配置されているため、受光素子31a,31b,31cと発光素子30a,30b,30c及び流通経路P1,P2,P3との位置関係もずれにくく、発光素子30a,30b,30cにより照射された光が安定して検出される。以上により、光計測装置1は、濃度が不均一な流体に対する計測の信頼性を向上させることができる。
【0063】
光計測装置1は、発光素子30a,30b,30cと電気的に接続されるとともに管状部材10から導出され、発光素子30a,30b,30cに供給される電力を伝送する電力ケーブル32a,32b,32cと、受光素子31a,31b,31cと電気的に接続されるとともに管状部材10から導出され、受光素子31a,31b,31cにより出力される出力信号を伝送する信号ケーブル33a,33b,33cと、を備えている。これにより、流体である被計測物の中に管状部材10を配置した状態で、電力ケーブル32a,32b,32c及び信号ケーブル33a,33b,33cを被計測物の外に引き出すことができる。したがって、光計測装置1は、外部電源45等に対する発光素子30a,30b,30cの電気的な接続及び切断、並びに、処理装置46等に対する受光素子31a,31b,31cの電気的な接続及び切断を容易に行うことができる。
【0064】
光計測装置1では、発光素子30a,30b,30c及び受光素子31a,31b,31cのそれぞれは、有機半導体を含んでいる。これにより、発光素子30a,30b,30c及び受光素子31a,31b,31cのそれぞれを大面積に形成することが容易になる。また、光計測装置1は、管状部材10の流通経路P1,P2,P3の内壁面13が湾曲している場合にも、確実に発光素子30a,30b,30c及び受光素子31a,31b,31cを配置することができる。また、光計測装置1は、管状部材10の流通経路P1,P2,P3の内壁面13の形状にかかわらず、例えば印刷、吹き付け等の方法により発光素子30a,30b,30c及び受光素子31a,31b,31cを配置することができる。また、光計測装置1では、無機型半導体の発光素子及び受光素子と比較して製造コストを削減することが可能となる。
【0065】
光計測装置1では、管状部材10、発光素子30a,30b,30c、及び受光素子31a,31b,31cのそれぞれは、可撓性を有している。これにより、発光素子30a,30b,30c及び受光素子31a,31b,31cが内壁面13に配置された管状部材10は、例えば生体又は構造物の内部等の狭く屈曲した隙間に、その隙間の内部形状に合わせて屈曲しながら進入することができる。したがって、光計測装置1は、狭く屈曲した隙間の内部であっても計測を行うことができる。
【0066】
光計測装置1では、発光面35a,35b,35cは、流通経路P1,P2,P3の一端21a,22a,23aから他端21b,22b,23bにわたって延在し、受光面36a,36b,36cは、流通経路P1,P2,P3の一端21a,22a,23aから他端21b,22b,23bにわたって延在している。これにより、被計測物に対してより一層広範囲にわたり光が照射されるため、被計測物の濃度が不均一であってもその影響がより一層平準化される。したがって、光計測装置1は、濃度が不均一な流体に対する計測の信頼性を更に向上させることができる。
【0067】
光計測装置1では、管状部材10は、複数の流通経路P1,P2,P3を内壁面13により画成し、複数の流通経路P1,P2,P3のそれぞれに配置された発光素子30a,30b,30cは、当該流通経路P1,P2,P3に向かって互いに異なる波長の光を照射する。これにより、光計測装置1は、被計測物の分光計測を行うことができる。
【0068】
光計測装置1では、管状部材10は、円筒状の外枠部15と、外枠部15の内側において当該外枠部15の延在方向に沿って延在する軸線Rから、外枠部15の内周面25まで放射状に延びる複数の壁部17,18,19を含む仕切部16と、を有し、流通経路P1は、互いに隣り合う一対の壁部17,18の表面27a,28bと、内周面25のうち一対の当該壁部17,18の間の領域25aと、により画成され、流通経路P2は、互いに隣り合う一対の壁部18,19の表面28a,29bと、内周面25のうち一対の当該壁部18,19の間の領域25bと、により画成され、流通経路P3は、互いに隣り合う一対の壁部19,17の表面29a,27bと、内周面25のうち一対の当該壁部19,17の間の領域25cと、により画成され、発光素子30aは、壁部17の表面27a及び壁部18の表面28bに配置され、発光素子30bは、壁部18の表面28a及び壁部19の表面29bに配置され、発光素子30cは、壁部19の表面29a及び壁部17の表面27bに配置され、受光素子31aは、内周面25の領域25aに配置され、受光素子31bは、内周面25の領域25bに配置され、受光素子31cは、内周面25の領域25cに配置されている。これにより、光計測装置1の製造工程において、外枠部15の内周面25に一括して受光素子31a,31b,31cを配置し、その後で、壁部17,18,19の各表面に発光素子30a,30b,30cが配置された仕切部16を当該外枠部15に挿入することができる。つまり、光計測装置1では、複数の流通経路P1,P2,P3ごとに別々の工程で内壁面13に受光素子31a,31b,31cを配置する必要がない。したがって、光計測装置1は、簡便な方法で製造することができる。
【0069】
[第2実施形態]
[光計測装置の構成]
図12は、第2実施形態に係る光計測装置1Aの概略的な斜視図である。
図13は、
図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。
図12及び
図13に示されるように、第2実施形態に係る光計測装置1Aが第1実施形態に係る光計測装置1と異なる点は、管状部材10Aが内壁面13Aにより1つの流通経路P4のみを画成しており、発光素子30Aは流通経路P4に向かって単一の波長λ4の光を照射する点である。以下、光計測装置1Aの構成について、光計測装置1の構成と異なる点について主に説明する。光計測装置1Aは、管状部材10A、発光素子30A、受光素子31A、電力ケーブル32A、及び信号ケーブル33Aを備えている。
【0070】
管状部材10Aは、光計測装置1Aの本体部分を構成する長尺状の部材である。一端24a及び他端24bが開口した1つの流通経路P4を内壁面13Aにより画成している。流通経路P4の一端24aは、管状部材10Aの延在方向における一端面に開口しており、流通経路P4の他端24bは、管状部材10Aの延在方向における他端面に開口している。流通経路P4は、その一端24aから他端24bまで連続している。管状部材10Aは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック素材、或いは一部のFRP(強化プラスチック)を含んで構成されている。管状部材10Aは、可撓性を有しており、外力を受けて屈曲することができる。
【0071】
管状部材10Aは、流体である被計測物が流通経路P4を流通可能となるように構成されている。被計測物は、流通経路P4の一端24a又は他端24bのいずれか一方から流通経路P4に入り、流通経路P4を通過して、一端24a又は他端24bのいずれか他方から流通経路P4の外に出る。被計測物は、流通経路P4内に位置している間に、例えば吸光度の計測が行われる。
【0072】
管状部材10Aは、外枠部15Aを有している。管状部材10Aの内壁面13Aは、例えば、外枠部15Aの内周面25Aの領域25d,25eにより構成される。領域25dは、内周面25Aを管状部材10Aの中心軸線を含む平面で二分割したうちの一方の領域であり、領域25eは他方の領域である。管状部材10Aは、仕切部を有していない。
【0073】
発光素子30Aは、波長λ4の光を照射可能である。発光素子30Aは、流通経路P4に配置されている。発光素子30Aは、内壁面13Aの一部の領域に配置されている。より詳細には、発光素子30Aは、外枠部15Aの内周面25Aの領域25dに配置されている。発光素子30Aは、流通経路P4の一端24aから他端24bにわたって延在するシート状の発光面35Aを有しており、流通経路P4に向かって面状の光を照射する。これにより、発光素子30Aは、流通経路P4に向かって、発光素子30A側から見た流通経路P4の広範囲(例えば、全域又は略全域)に光を照射可能である。
【0074】
受光素子31Aは、流通経路P4に配置されている。受光素子31Aは、発光素子30Aを臨む内壁面13Aの一部の領域に配置されている。より詳細には、受光素子31Aは、外枠部15Aの内周面25Aの領域25eに配置されている。受光素子31Aは、流通経路P4の一端24aから他端24bにわたって延在するシート状の受光面36Aを有しており、面状の計測光を受光可能である。これにより、受光素子31Aは、発光素子30Aにより面状に照射された光(すなわち、発光素子30Aにより、流通経路P4に向かって、発光素子30A側から見た流通経路P4の略全域に照射された光)に応じた計測光を検出可能とされている。
【0075】
電力ケーブル32Aは、発光素子30Aと電気的に接続されるとともに管状部材10Aから導出され(すなわち、管状部材10Aから外部に引き出され)、発光素子30Aに供給される電力を伝送するケーブルである。電力ケーブル32Aは、例えば流通経路P4内の一端24a近傍において発光素子30Aと接続されており、流通経路P4の一端24aの開口を介して管状部材10Aから導出されている。電力ケーブル32Aは、外部電源45と電気的に接続される。
【0076】
信号ケーブル33Aは、受光素子31Aと電気的に接続されるとともに管状部材10Aから導出され(すなわち、管状部材10Aから外部に引き出され)、受光素子31Aにより出力される出力信号を伝送するケーブルである。信号ケーブル33Aは、例えば流通経路P4内の一端24a近傍において受光素子31Aと接続されており、流通経路P4の一端24aの開口を介して管状部材10Aから導出されている。信号ケーブル33Aは、処理装置46又は記憶装置等と電気的に接続される。
【0077】
[光計測装置の製造方法]
光計測装置1Aの製造方法の一例を説明する。
図14〜
図16は、
図12に示された光計測装置1Aの製造方法の一工程を示す図である。この方法では、まず、
図14に示されるように、外枠部15Aのための矩形平板状の第5基板90及び第6基板100を用意する(第10工程)。第5基板90及び第6基板100のそれぞれは、平面視において、各基板の辺に沿ったx軸方向の長さがX、x軸方向と直交するy軸方向の長さがY/2となるように形成されている。第5基板90及び第6基板100のそれぞれは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック素材、或いは一部のFRP(強化プラスチック)を含んで構成され、可撓性を有している。
【0078】
続いて、第5基板90の一方の面91の全域(又は、略全域)にシート状の発光素子30Aを配置する(第11工程)。一方の面91において発光素子30Aが配置される領域は、光計測装置1Aにおける外枠部15Aの内周面25Aの領域25dに対応する領域91aである。
【0079】
続いて、第6基板100の一方の面101の全域(又は、略全域)に設定された配置領域105にシート状の受光素子31Aを配置する(第12工程)。配置領域105は、光計測装置1Aにおいては、外枠部15Aの内周面25Aの領域25eに対応する。
【0080】
なお、第10工程においては、x軸方向の長さがX、y軸方向の長さがY/2の矩形よりも平面視において大きい第5基板90を用意し、第11工程の後に、当該第5基板90をx軸方向の長さがX、y軸方向の長さがY/2の矩形となるように切断してもよい。また、第10工程においては、x軸方向の長さがX、y軸方向の長さがY/2の矩形よりも平面視において大きい第6基板100を用意し、第12工程の後に、当該第6基板100をx軸方向の長さがX、y軸方向の長さがY/2の矩形となるように切断してもよい。
【0081】
続いて、
図15に示されるように、第5基板90の一方の面91及び第6基板100の一方の面101が内側となるようにして、第5基板90の一辺92と第6基板100の他辺103とを接合するとともに、第5基板90の他辺93と第6基板100の一辺102とを接合する(第13工程)。なお、第5基板90の一辺92及び他辺93は、x軸方向において対向する一対の辺である。第6基板100の一辺102及び他辺103は、x軸方向において対向する一対の辺である。第5基板90と第6基板100とは、例えば接着法又は熱融着法等により互いに固定される。これにより、
図16に示されるように、内周面25Aに発光素子30A及び受光素子31Aが配置された円筒状の外枠部15Aが形成される。
【0082】
続いて、発光素子30Aに対して電力ケーブル32Aが接続される(第14工程)。また、受光素子31Aに対して信号ケーブル33Aが接続される(第15工程)。以上により、光計測装置1Aが製造される(
図12参照)。
【0083】
[作用及び効果]
光計測装置1Aでは、流体である被計測物が流通可能な管状部材10Aの流通経路P4の内壁面13Aに発光素子30A及び受光素子31Aが配置されている。発光素子30Aにより流通経路P4に向かって面状に光が照射されると、照射された光に応じた計測光が受光素子31Aにより検出され、当該計測光に応じた出力信号が受光素子31Aから出力される。ここで、発光素子30Aはシート状の発光面35Aを有し、当該発光面35Aにより流通経路P4に向かって面状の光を照射する。このため、発光素子30A側から見た流通経路P4の面積に対して光の照射面積を十分に大きくすることができる。これにより、被計測物に対して広範囲にわたり光が照射されるため、被計測物の濃度が不均一であってもその影響が平準化される。しかも、受光素子31Aはシート状の受光面36Aを有し、当該受光面36Aにおいて面状の計測光を受光可能である。このため、発光素子30Aにより広範囲にわたり照射された光が確実に検出される。また、発光素子30Aは、流通経路P4の内壁面13Aに配置されている。このため、発光素子30Aと流通経路P4との位置関係がずれにくく、発光素子30Aの光の照射領域が予め設定された領域から移動しにくい。しかも、受光素子31Aも流通経路P4の内壁面13Aに配置されているため、受光素子31Aと発光素子30A及び流通経路P4との位置関係もずれにくく、発光素子30Aにより照射された光が安定して検出される。以上により、光計測装置1Aは、濃度が不均一な流体に対する計測の信頼性を向上させることができる。
【0084】
光計測装置1Aは、発光素子30Aと電気的に接続されるとともに管状部材10Aから導出され、発光素子30Aに供給される電力を伝送する電力ケーブル32Aと、受光素子31Aと電気的に接続されるとともに管状部材10Aから導出され、受光素子31Aにより出力される出力信号を伝送する信号ケーブル33Aと、を備えている。これにより、流体である被計測物の中に管状部材10Aを配置した状態で、電力ケーブル32A及び信号ケーブル33Aを被計測物の外に引き出すことができる。したがって、光計測装置1Aは、外部電源45等に対する発光素子30Aの電気的な接続及び切断、並びに、処理装置46等に対する受光素子31Aの電気的な接続及び切断を容易に行うことができる。
【0085】
光計測装置1Aでは、発光素子30A及び受光素子31Aのそれぞれは、有機半導体を含んでいる。これにより、発光素子30A及び受光素子31Aのそれぞれを大面積に形成することが容易になる。また、光計測装置1Aは、管状部材10Aの流通経路P4の内壁面13Aが湾曲している場合にも、確実に発光素子30A及び受光素子31Aを配置することができる。また、光計測装置1Aは、管状部材10Aの流通経路P4の内壁面13Aの形状にかかわらず、例えば印刷、吹き付け等の方法により発光素子30A及び受光素子31Aを配置することができる。また、光計測装置1Aでは、無機型半導体の発光素子及び受光素子と比較して製造コストを削減することが可能となる。
【0086】
光計測装置1Aでは、管状部材10A、発光素子30A、及び受光素子31Aのそれぞれは、可撓性を有している。これにより、発光素子30A及び受光素子31Aが内壁面13Aに配置された管状部材10Aは、例えば生体又は構造物の内部等の狭く屈曲した隙間に、その隙間の内部形状に合わせて屈曲しながら進入することができる。したがって、光計測装置1Aは、狭く屈曲した隙間の内部であっても計測を行うことができる。
【0087】
光計測装置1Aでは、発光面35Aは、流通経路P4の一端24aから他端24bにわたって延在し、受光面36Aは、流通経路P4の一端24aから他端24bにわたって延在している。これにより、被計測物に対してより一層広範囲にわたり光が照射されるため、被計測物の濃度が不均一であってもその影響がより一層平準化される。したがって、光計測装置1Aは、濃度が不均一な流体に対する計測の信頼性を更に向上させることができる。
【0088】
上述した実施形態は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0089】
例えば、第1実施形態及び第2実施形態において、発光素子30,30A及び受光素子31,31Aの少なくともいずれかは、有機半導体を含まなくてもよい。また、管状部材10,10A、発光素子30,30A、及び受光素子31,31Aの少なくともいずれかは、可撓性を有していなくてもよい。
【0090】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、外枠部15,15Aは、円筒状でなくてもよい。例えば、外枠部15,15Aは、延在方向に垂直な断面が矩形枠状を呈する四角筒状であってもよく、延在方向に垂直な断面が三角形枠状を呈する三角筒状であってもよい。
【0091】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、電力ケーブル32a,32b,32c,32A及び信号ケーブル33a,33b,33c,33Aの少なくともいずれかは、対応する流通経路P1,P2,P3,P4の他端21b,22b,23b,24bの開口を介して管状部材10,10Aから導出されていてもよい。
【0092】
或いは、電力ケーブル32a,32b,32c,32A及び信号ケーブル33a,33b,33c,33Aの少なくともいずれかは、外枠部15,15Aに形成された微小な貫通孔を介して管状部材10,10Aから導出されていてもよい。これによれば、光計測装置1,1Aは、流通経路P1,P2,P3,P4内における被計測物の流通を阻害しにくい。
【0093】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、光計測装置1,1Aは、電力ケーブル32,32Aを備えていなくてもよく、信号ケーブル33,33Aを備えていなくてもよい。
【0094】
また、第1実施形態において、仕切部16は、上述した形状に限定されない。例えば、仕切部16は、外枠部15の中心軸線から内周面25まで放射状に延びる2つ又は4つ以上の壁部を含んでいてもよい。或いは、仕切部16は、外枠部15の中心軸線に対して偏心した軸線から内周面25まで放射状に延びる複数の壁部を含んでいてもよい。或いは、仕切部16は、当該仕切部16の延在方向に垂直な断面が放射状を呈していなくてもよい。例えば、仕切部16は、当該仕切部16の延在方向に垂直な断面が格子状を呈していてもよく、ハニカム状を呈していてもよい。
【0095】
また、第1実施形態において、発光素子30及び受光素子31は、必ずしも全ての流通経路に配置されていなくてもよい。
【0096】
また、第1実施形態においては、受光素子31a,31b,31cのそれぞれは、発光素子30a,30b,30cにより照射される光の波長λ1,λ2,λ3の全ての波長領域に対して十分な感度を有する共通の素子(素子構造)であるとした。しかし、受光素子31a,31b,31cのそれぞれは、波長λ1,λ2,λ3のそれぞれの波長領域ごとに対してのみ十分な感度を有する互いに異なる素子(素子構造)であってもよい。