特許第6979327号(P6979327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6979327樹脂含浸前の乾燥状態の繊維内への触媒の挿入
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979327
(24)【登録日】2021年11月17日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】樹脂含浸前の乾燥状態の繊維内への触媒の挿入
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/06 20060101AFI20211202BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   C08J5/06
   C08J5/24
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-203501(P2017-203501)
(22)【出願日】2017年10月20日
(65)【公開番号】特開2018-111800(P2018-111800A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2020年10月8日
(31)【優先権主張番号】15/333,826
(32)【優先日】2016年10月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】2017758
(32)【優先日】2016年11月10日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハムフェルド, キース ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ランフィア グロス, グウェン マリー
【審査官】 芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第2905302(EP,A1)
【文献】 特開2016−094591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16,15/08−15/14
C08J 5/04−5/10,5/24
B29C 70/00−70/88
C08K
C08L
D06M 13/00−15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥状態の繊維のバッチを得ること(702)と、
触媒カプセルのバッチを得ることであって、前記触媒カプセルが、それぞれ、
樹脂モノマーの重合を促進させる触媒、及び
前記触媒をカプセル化し、且つ硬化温度で液化するシェルを含む、触媒カプセルのバッチを得ること(704)と、
前記乾燥状態の繊維間で前記触媒カプセルを散布すること(706)と、
前記繊維に前記触媒カプセルを散布した後に、前記繊維を前記樹脂で含浸すること(710)と
を含む方法。
【請求項2】
前記触媒カプセルを前記乾燥状態の繊維に結合させること(708)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒カプセルを前記硬化温度まで加熱することにより、前記触媒を放出して、重合を促進させること(718)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維を前記樹脂で含浸することが、前記樹脂を前記乾燥状態の繊維間に流動させ、前記乾燥状態の繊維間の空間を占める樹脂マトリックス(490)を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維間で前記触媒カプセルを散布することが、前記繊維を通して前記触媒カプセルを吹き通すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維間で前記触媒カプセルを散布することが、前記繊維を通して前記触媒カプセルを梳くことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記繊維間で前記触媒カプセルを散布することが、前記繊維をテンションバーで分離し、前記繊維を通して前記触媒カプセルをふるいにかけることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
樹脂含浸の前に、静電気を介して、前記触媒カプセルを前記繊維と結合させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
樹脂含浸の前に、前記シェルと前記繊維上の表面特徴との間の化学反応を介して、前記触媒カプセルを前記繊維と結合させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
樹脂含浸の前に、ファンデルワールス力を介して、前記触媒カプセルを前記繊維と結合させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記触媒カプセルは、前記樹脂、前記触媒カプセル、及び前記繊維が組み合わさった容量の10から15パーセントの間の容量を占める、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記繊維が炭素繊維である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
乾燥状態の炭素繊維(920)、
触媒カプセル(930)のサプライであって、各触媒カプセルが、
樹脂(940)モノマーの重合を促進させる触媒(933)、及び
前記触媒をカプセル化し、且つ硬化温度で液化するシェル(934)を含む、触媒カプセル(930)のサプライ、並びに
乾燥状態の炭素繊維間で前記触媒カプセルを散布し、結果として前記カプセルと前記繊維との間で結合を生じさせるデバイス(904)
を含むシステム。
【請求項14】
前記触媒カプセルが前記乾燥状態の繊維に結合される(708)、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記触媒カプセルが前記繊維間で散布された後に、前記繊維を無触媒樹脂で含浸する樹脂含浸機(990)をさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記触媒カプセルが、2から3ミクロンの間の厚さを有する細長いフィラメントを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記触媒カプセルが、球状であり、1ミクロンの直径を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
乾燥状態の繊維(920)、並びに、
触媒カプセル(930)のサプライであって、各触媒カプセルが、
樹脂(940)モノマーの重合を促進させる触媒(933)、及び
前記触媒をカプセル化し、且つ硬化温度で液化するシェル(934)を含み、
前記触媒カプセルが前記乾燥状態の繊維に連結される(708)、触媒カプセル(930)のサプライ
を含む、複合材予備成形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材料の分野に関し、具体的には、熱硬化性繊維、特に炭素繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
予め含浸された(プリプレグ)炭素繊維の積層板は、複雑な形状で配置された一連のプライ(炭素繊維テープのトウ/セクション)として積層され、次いで硬化され、所望の物理的特性を有する複合部品(例えば、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)部品)となり得る。プリプレグ積層板は、最初は互いに対して平行に配向された乾燥した炭素繊維のバッチとして製造されてもよく、それから、熱硬化性樹脂で含浸され得る。例えは、樹脂は、多官能エポキシモノマーの液体懸濁液を含み得る。これは、炭素繊維同士を結合させる固体ポリマーを形成するために化学的に反応する。重合速度が特に遅い(例えば、大量加工には適さない時間尺度で進行する)場合があるので、モノマーに対する重合速度を促進させるために樹脂内に触媒を含ませる。次にプリプレグが所望の形態で積層され、硬化され得る。
【0003】
しかしながら、触媒、モノマー、及び繊維の割合を平衡化させるのは依然として複雑な工程である。積層板は、所望の形状を形成する一連の層として製造され得るので、まだ高温で硬化している間(重合が促進されている間)に、プライ同士が互いに接着されるよう、樹脂が室温で十分な接着性(粘着度)を維持することが望ましい。
【0004】
プリプレグ積層板の硬化速度には、可使時間と硬化時間との間にバランスが保たれることが要求される。可使時間は、プライが硬化前に(例えば、室温で)粘着度を示す時間量に対応する。樹脂内に相当量の触媒が利用されるプリプレグ積層板では、可使時間が短くなり、樹脂は迅速に粘着性となる。これは積層工程において有害なことである。つまり、触媒の量を増大させると、硬化時間が大幅に促進されるが、積層板の可使時間(ポットライフ)が非実用的なほどに短くなる場合がある。逆に、触媒が十分に利用されていないと、硬化時間が長くなり、効率が下がる。
【0005】
あるプリプレグ積層板では、重合の促進を選択的に引き起して可使時間を増やすために、触媒内で熱活性触媒が利用される場合がある。しかしながら、樹脂内の熱活性触媒は、含浸工程の間、炭素繊維間に適切に浸透しない場合があり、結果として、得られるプリプレグ積層板にわたって樹脂が不均一に分配されることになる(ひいては、硬化特性が不均一となる)。これは望ましいことではない。さらなる実施形態では、プリプレグ積層板の代わりに、3次元形状を有する乾燥状態の繊維のバッチを含む、乾いた状態の予め成形された積層板が利用され得る。
【0006】
少なくとも以上で述べた理由から、所望の特性の可使時間及び硬化時間を均一に示す、強化されたプリプレグ積層板を見出すことが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、繊維を樹脂で含浸する前に、乾燥状態の繊維(好ましくは、炭素繊維)間で/乾燥状態の繊維のバッチに対して、触媒カプセル(例えば、熱に反応して触媒を放出するカプセル)を、有益に、散布させ、且つ/又は結合させ、且つ/又は誘引する。
【0008】
乾燥状態の繊維は力が加わると容易に歪むので、触媒カプセルが繊維のバッチの中に深く浸透する能力が向上する。したがって、含浸工程の前に触媒カプセルを加えることにより、得られた積層板において触媒カプセルが均一に分散する能力が有益に向上し、積層板が確実に硬化時間及び/又は可使時間に関連する均一特性を示すようになる。
【0009】
本発明は、乾燥状態の繊維のバッチ及び触媒カプセルのバッチを得ることを含む方法に関する。触媒カプセルは、それぞれ、樹脂モノマーの重合を促進する触媒を含む。シェルは、触媒をカプセル化し、所定の条件下で破裂する。カプセルシェルは、硬化温度で液化する。この方法は、乾燥状態の繊維間で触媒カプセルを散布させることをさらに含む。この方法は、散布した触媒カプセルを乾燥状態の繊維の1つ又は複数に、誘引したり、且つ/又は、付着させたりすることをさらに含む。触媒カプセルは、好ましくは、乾燥状態の繊維(例えば、乾燥状態の炭素繊維)に誘引されたり、又は付着したりする材料であって、樹脂に対して可溶性ではない材料から作られるか、又はそれでコーティングされる。このような材料は、多環芳香族炭化水素を含み得る。
【0010】
触媒カプセル及び/又は炭素繊維のうちの1つ又は複数は、カプセルと繊維との間に共有結合をもたらすためにエポキシ接着剤が与えられ得る。
【0011】
具体的には、本発明は、複合部品用の組成物をもたらすために、予備成形物及び共に混合される樹脂を提供する方法を提供し、この方法は、
乾燥状態の繊維、好ましくは、乾燥状態の炭素繊維のバッチを得るステップ、
触媒カプセルのバッチを得るステップであって、各カプセルが、触媒及び触媒をカプセル化するシェルを含み、シェルは、所定条件下で破裂可能であることにより、カプセル化された触媒を放出する、ステップ、
乾燥状態の繊維のバッチを含浸するための樹脂を得るステップであって、触媒が樹脂内のモノマーの重合を促進する、ステップ、
乾燥状態の繊維間で触媒カプセルを散布するステップ、及び
触媒カプセルを乾燥状態の繊維の1つ又は複数に、誘引したり、且つ/又は、付着させたりするステップ
を含み、乾燥状態の繊維のバッチを含浸する樹脂は、無触媒樹脂(catalyst free resin)である。
【0012】
触媒は、カプセルの中に含まれ、乾燥状態の繊維間で散布され、さらに乾燥状態の繊維に誘引されたり、且つ/又は結合したりするので、樹脂が触媒を少しも含む必要はなく、樹脂含浸の間、触媒カプセルは繊維上に留まる。
【0013】
代替的に、本発明で使用される繊維は、乾燥している必要はない。
【0014】
当該分野では、乾燥状態の繊維とは、硬化樹脂に曝されていない繊維であると理解されている。
【0015】
触媒カプセルを乾燥状態の繊維間で散布し、散布された触媒カプセルを乾燥状態の繊維に誘引したり、且つ/又は付着させたりした後、当該繊維は、樹脂で含浸されてもよく、所定の条件下では、シェルが破裂して触媒を放出することにより、樹脂モノマーの触媒重合が行われる。
【0016】
繊維に静電荷を供給することにより、触媒カプセルを繊維に誘引したり、且つ/又は、付着させたりすることができる。それは、好ましくは、以下の1つ又は複数、すなわち、
例えば、好ましくは、電子銃を用いて、カプセルに電荷を印加することによって、静電気を介して、
例えば、酸塩基化学浴(acid/base chemical bath)を介して、カプセルを繊維に適用することによって、又は、カプセルが、繊維に適用される化学懸濁液に含まれることによって、化学反応を介して、
ファンデルワールス力を介して行われる。
【0017】
繊維のうちの1つ又は複数は、繊維のうちの1つ又は複数の表面に配置された表面特徴又はサイジングによって、散布の間、触媒カプセルを誘引するか、且つ/又は付着させ、且つ/又は、含浸の間、樹脂モノマーを誘引するか、且つ/又は付着させ得る。この表面特徴は、好ましくは、1つ又は複数の炭素ナノチューブ及び/又は1つ又は複数の重合体構造を含む。
【0018】
繊維間で触媒カプセルを散布することは、以下のプロセスステップのうちの1つ又は複数を含み得る:
乾燥状態の繊維を通して触媒カプセルを吹き通すステップ、
乾燥状態の繊維を通して触媒カプセルを梳くステップ、及び
繊維をテンションバーで分離し、繊維を通して触媒カプセルをふるいにかけるステップ。
【0019】
カプセルシェルを破裂させるステップは、以下のプロセスステップのうちの1つ又は複数によって実行され得る:
触媒カプセルを所定条件の温度まで加熱し、シェルを液化し、樹脂と混合するように触媒をカプセルから放出することにより、樹脂モノマーの重合を促進するステップであって、当該温度が、好ましくは、樹脂の硬化温度である、ステップ、
内部にガスのポケットをさらに含むシェルを所定の圧力に曝すステップであって、この所定の圧力の下で、シェルが破裂して、樹脂モノマーを重合する触媒を放出する、ステップ、
内部にガスのポケットをさらに含むシェルを所定の温度に曝すステップであって、これにより、ガスのポケットが膨張してシェルを破裂させ、樹脂モノマーを重合する触媒を放出する、ステップ、並びに
触媒カプセルを所定条件の温度まで加熱するステップであって、シェル内に含まれる第2の触媒が、樹脂を重合する触媒を放出するために溶解する、ステップ。
【0020】
触媒カプセルの破裂の後、複合部品を提供するために硬化ステップが実行され得る。本発明は、さらに、このプロセスで得ることができる複合部品、及びこのような複合部品を備えた航空機に関する。
【0021】
本発明は、さらに複合部品用の予備成形物に関し、予備成形物は、
乾燥状態の繊維、並びに、
乾燥状態の繊維間で散布された触媒カプセルであって、各触媒カプセルが、シェル及びシェルの内部でカプセル化された触媒を含み、触媒は、予備成形物の硬化に利用可能な樹脂モノマーの重合を促進し、繊維のうちの1つ又は複数は、触媒カプセルを繊維の表面に誘引したり、且つ/又は付着させたりするように構成されている、触媒カプセル
を含む。
【0022】
触媒カプセルを誘引したり且つ/又は付着させたりするように乾燥状態の繊維を構成することは、繊維内の触媒の散布の改善が達成され、さらに、含浸前に樹脂の中の触媒を包囲する必要がなくなることを意味する。
【0023】
乾燥状態の繊維は、好ましくは、乾燥状態の繊維のうちの1つ又は複数の表面上に配置された特徴又はサイジングによって構成されており、表面特徴又はサイジングは、好ましくは、
炭素ナノチューブ、及び
内部で捕捉される一定量の触媒カプセルが任意選択的に予め供給されている重合体構造
のうちの1つ又は複数を含む。
【0024】
乾燥状態の繊維は、さらに、静電荷を乾燥状態の繊維のうちの1つ又は複数の表面に印加することにより構成され得る。
【0025】
予備成形物は、以下の技術的特性のうちの1つ又は複数を有し得る:
・乾燥状態の炭素繊維と触媒カプセルとの容積比は、10:1と2:1との間であり、好ましくは、乾燥状態の炭素繊維と触媒カプセルとの容積比は、5:1である;
・好ましくは、触媒カプセルは球状であり、乾燥状態の炭素繊維は円筒状であり、触媒カプセルは、乾燥状態の炭素繊維の直径の5分の1の直径を有する;
・好ましくは、触媒カプセルは円筒状であり、乾燥状態の炭素繊維は円筒状であり、触媒カプセルは、乾燥状態の炭素繊維の直径の5分の2から5分の3の間の直径を有する;
・複数の触媒カプセルが、乾燥状態の炭素繊維の外周に沿って、各々の乾燥状態の炭素繊維に付着する。
【0026】
触媒カプセルは、以下の1つ又は複数を含み得る:
・2から3ミクロンの間の厚さを有する細長いフィラメント;
・繊維の厚さの5分の2から5分の3の間の厚さを有する細長いフィラメント;
・触媒カプセルが球状であり、1ミクロンの直径を有する;
・触媒カプセルが、乾燥状態の繊維の厚さの5分の1の直径を有する。
【0027】
触媒カプセルは、
樹脂を重合する触媒を放出するために所定の温度で溶解する第2の触媒、及び/又は、
所定の圧力の下でシェルを破裂させ、樹脂モノマーを重合する触媒を放出させる、シェルの内部のガスのポケット
をさらに含み得る。
【0028】
本発明は、予備成形物を提供する方法にさらに関連し、当該方法は、
乾燥状態の繊維のバッチを得るステップ、
触媒カプセルを乾燥状態の繊維に誘引したり、且つ/又は付着させたりするように、前記バッチの中の乾燥状態の繊維のうちの1つ又は複数を構成するステップ、
乾燥状態の繊維間で触媒カプセルを散布するステップ、並びに
触媒カプセルを乾燥状態の繊維の1つ又は複数に誘引したり、且つ/又は付着させたりするステップ
を含み、触媒カプセルは、触媒、及び触媒をカプセル化するシェルを含み、シェルは、所定の条件下で破裂可能であることにより、カプセル化された触媒を放出する。
【0029】
本発明は、乾燥状態の炭素繊維及び触媒カプセルのサプライを含むシステムにさらに関連しており、このシステムは、乾燥状態の炭素繊維間で触媒カプセルを散布する装置をさらに備えている。
【0030】
当該装置は、乾燥状態の繊維間で触媒カプセルを散布するための手段、乾燥状態の繊維を無触媒樹脂で含浸するための手段、カプセルを繊維に粘着させるための手段、及び予備成形物を積層するための手段を備え得る。
【0031】
本発明は、乾燥状態の繊維を無触媒樹脂で含浸することと、樹脂含浸繊維間で触媒カプセルを散布することと、カプセルを繊維に粘着させることと、予備成形物を積層することとを含む方法にさらに関連する。
【0032】
代替的に、樹脂に触媒カプセルを散布する前に乾燥状態の繊維に粘着付与剤が付与されてもよく、その後、触媒カプセルが繊維に粘着させられ、予備成形物が積層される。
【0033】
他の実施例(例えば、上述の実施形態に関連する方法及びコンピュータ可読媒体)は、以下で説明され得る。
【0034】
本発明は、以下の条項でも言及される。以下の条項は、特許請求の範囲と混同すべきではない。
【0035】
条項1
複合部品用の予備成形物を提供する方法であって、
乾燥状態の繊維、好ましくは、乾燥状態の炭素繊維のバッチを得るステップ、
触媒カプセルのバッチを得るステップであって、各カプセルが、樹脂モノマーの重合を促進させる触媒及び触媒をカプセル化するシェルを含み、シェルは、所定条件下で破裂可能であることにより、カプセル化された触媒を放出する、ステップ、並びに
乾燥状態の繊維間で触媒カプセルを散布するステップ
を含む方法。
【0036】
条項2
繊維に触媒カプセルを散布した後に、繊維を樹脂で含浸するステップをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0037】
条項3
繊維を樹脂で含浸する前に、触媒カプセルを乾燥状態の繊維に結合させることをさらに含む、条項1又は2に記載の方法。
【0038】
条項4
触媒カプセルは、
・例えば、好ましくは、電子銃を用いて、カプセルに電荷を印加することによって、静電気を介すること、
・例えば、酸塩基化学浴を介して、カプセルを繊維に適用することによって、又は、カプセルが、繊維に適用される化学懸濁液に含まれることによって、化学反応を介すること、
・ファンデルワールス力を介すること
のうちの1つ又は複数によって、乾燥状態の繊維に結合される、条項3に記載の方法。
【0039】
つまり、繊維は、触媒カプセルを繊維に誘引する且つ/又は結合させるように予め構成されている。
【0040】
条項5
触媒カプセルを所定条件の温度まで加熱してシェルを破裂させ、シェルを液化し、樹脂と混合するように触媒をカプセルから放出することにより、樹脂の重合を促進するステップをさらに含む、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。所定の温度は、樹脂の硬化温度を下回ってもよい。これにより、硬化の開始前に、触媒が樹脂と混合し、繊維を完全に湿らすことが可能となる。或いは、所定の温度は、樹脂の硬化温度であってもよく、又はそれを上回ってもよい。
【0041】
条項6
触媒カプセルが樹脂を含まない、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0042】
条項7
重合された樹脂が樹脂モノマーよりも粘着性を有する、条項5又は6に記載の方法。
【0043】
条項8
繊維を樹脂で含浸することが、樹脂を乾燥状態の繊維間に流動させ、乾燥状態の繊維間の空間を占める樹脂マトリックスを形成することを含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0044】
条項9
乾燥状態の繊維が、例えば、樹脂モノマーを誘引するサイジング/化学処理などの繊維上の表面特徴、及び/又は、樹脂によって繊維を湿らすことを促進する繊維の表面改質部によって、樹脂モノマーを誘引するように構成されている、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
条項10
繊維表面特徴がサイジングを含む場合、サイジングは樹脂と化学的に反応し、又は、表面特徴が表面改質部を含む場合、表面改質部は樹脂によって湿らされ、この両方の事象が、触媒が触媒カプセルから放出される前に行われる、条項9に記載の方法。
【0046】
条項11
繊維の表面特徴がナノチューブを含む、条項9又は10に記載の方法。
【0047】
条項12
触媒シェルが、樹脂を重合する触媒を放出するために所定の温度で溶解する第2の触媒を含む、条項5から11のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
条項13
シェルを破裂させる所定の条件は、シェルの内部のガスのポケットを含み、このガスのポケットは、圧力下でシェルを破裂させ、樹脂を重合する触媒を放出する、条項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
条項14
乾燥状態の繊維間で触媒カプセルを散布することが、乾燥状態の繊維を屈曲且つ/又は偏向させることにより、干渉されることなくカプセルが繊維のバッチの中に深く浸透することを可能にする、条項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【0050】
条項15
触媒を散布することが、
・繊維を通して触媒カプセルを吹き通すこと、
・繊維を通して触媒カプセルを梳くこと、及び
・繊維をテンションバーで分離し、繊維を通して触媒カプセルをふるいにかけること
のうちの1つ又は複数を含む、条項14に記載の方法。
【0051】
条項16
触媒カプセルは、樹脂、触媒カプセル、及び繊維が組み合わさった容量の10から15パーセントの間の容量を占め、且つ/又は
樹脂は、樹脂、触媒カプセル、及び繊維が組み合わさった容量の30から35パーセントの間の容量を占め、且つ/又は
繊維は、樹脂、触媒カプセル、及び繊維が組み合わさった容量の50から60パーセントの間の容量を占める、条項2から15のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
条項17
樹脂が無触媒樹脂である、条項2から16のいずれか一項に記載の方法。
【0053】
条項18
触媒カプセルが、
・2から3ミクロンの間の厚さを有する細長いフィラメント、
・繊維の厚さの5分の2から5分の3の間の厚さを有する細長いフィラメント
のうちの1つ又は複数を含む、条項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
条項19
触媒カプセルが、球状であり、1ミクロンの直径を有し、且つ/又は、
触媒カプセルが、繊維の厚さの5分の1の直径を有する、条項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
条項20
触媒カプセルのシェルが破裂する硬化温度を下回る粘着温度(tack temperature)で予備成形物を粘着させることをさらに含む、条項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
条項21
予備成形物を加熱し、予備成形物を圧縮することをさらに含む、条項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
条項22
予備成形物を樹脂で含浸するステップが、触媒カプセルと乾燥状態の繊維との間の結合を壊す、条項2から21のいずれか一項に記載の方法。
【0058】
条項23
結合した触媒カプセルが前に占有していた位置で、繊維を樹脂で湿らすさらなるステップを含む、条項3から22のいずれか一項に記載の方法。
【0059】
条項24
予備成形物を樹脂で含浸することが、予備成形物を真空バッグで覆うことと、予備成形物を通して樹脂を引き入れている間に予備成形物を圧縮することとを含む、条項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【0060】
条項25
予備成形物を硬化し、複合部品を提供することをさらに含む、条項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
条項26
硬化前に、予備成形物が積層され、所定の形状に配置される、条項25に記載の方法。
【0062】
条項27
複合部品用の予備成形物であって、
乾燥状態の繊維、好ましくは、炭素繊維、並びに
乾燥状態の炭素繊維間に散布された触媒カプセルであって、各触媒カプセルが、シェル、及びシェルの内部にカプセル化された触媒を含み、触媒が、予備成形物の硬化に使用可能な樹脂モノマーの重合を促進させる、触媒カプセル
を含む、予備成形物。
【0063】
条項28
触媒カプセルが、静電力、化学結合、ファンデルワールス力のうちの1つ又は複数によって、繊維と結合される、条項27に記載の予備成形物。
【0064】
条項29
乾燥状態の炭素繊維と触媒カプセルとの容積比が10:1と2:1との間であり、好ましくは、乾燥状態の炭素繊維と触媒カプセルとの容積比が5:1である、条項27又は28に記載の予備成形物。
【0065】
条項30
好ましくは、触媒カプセルは球状であり、乾燥状態の炭素繊維は円筒状であり、触媒カプセルは、乾燥状態の炭素繊維の直径の5分の1の直径を有する、条項27から29のいずれか一項に記載の予備成形物。
【0066】
条項31
好ましくは、触媒カプセルは円筒状であり、乾燥状態の炭素繊維は円筒状であり、触媒カプセルは、乾燥状態の炭素繊維の直径の5分の2から5分の3の間の直径を有する、条項27から29のいずれか一項に記載の予備成形物。
【0067】
条項32
複数の触媒カプセルが、乾燥状態の炭素繊維の外周に沿って、各々の乾燥状態の炭素繊維に付着する、条項27から31のいずれか一項に記載の予備成形物。
【0068】
条項33
条項1から26のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、条項27から32のいずれか一項に記載の予備成形物。
【0069】
条項34
条項1から33のいずれか一項に記載された乾燥状態の繊維のような乾燥状態の繊維、
条項1から33のいずれか一項に記載された触媒カプセルのサプライのような触媒カプセルのサプライ、及び
乾燥状態の繊維間で触媒カプセルを散布する装置を備えているシステムであって、当該装置は、好ましくは、
・触媒カプセルが繊維間で散布された後に、繊維を樹脂で含浸する樹脂含浸機、
・繊維を通して触媒カプセルを吹き通す送風機、
・繊維を通して触媒カプセルを梳くコーム、
・繊維を通して触媒カプセルがふるいにかけられるにつれて、繊維を分離するテンションバー
のうちの1つ又は複数を備えている、システム。
【0070】
条項35
条項25又は26に記載の方法によって得られる複合部品。
【0071】
条項36
条項35に記載の複合部品を備えている航空機。
【0072】
条項37
複合部品用の予備成形物の形成に使用されるカプセルであって、当該カプセルは、触媒をカプセル化するシェルを含み、当該シェルは、触媒を放出するために所定の条件下で破裂可能であり、当該触媒は、硬化可能な樹脂モノマーの重合に触媒作用を及ぼす、カプセル。
【0073】
条項38
複合部品用の予備成形物の形成に使用される、乾燥状態の繊維、好ましくは、乾燥状態の炭素繊維であって、重合性樹脂モノマーを誘引するように構成されている、乾燥状態の繊維。
【0074】
発明者らは、このように、乾燥状態の繊維が樹脂で含浸される際に、触媒カプセルが乾燥状態の繊維に誘引されたまま且つ/又は付着したまま残るように、 触媒カプセルを乾燥状態の繊維に誘引したり、且つ/又は付着させたりすることによって、例えば、樹脂含浸の間、触媒カプセルが、積層板内で洗い流されたり、又は、不本意に変位させられたりすることがないことに気付いた。
【0075】
樹脂含浸の間の触媒の変位は、硬化前の積層板の内部における触媒の不均一な濃度を生じさせる恐れがある。
【0076】
本発明は、樹脂が無触媒であることを可能にし、ひいては、樹脂のより簡単な取り扱い、より効率良い使用を可能にする。
【0077】
さらに、本発明では、硬化にあたって触媒が積層板の内部で均一に分散されたままでいるため、一貫した特性を有する、硬化された複合構造の改善がさらにもたらされる。これは、このような複合材構造を大量生産する際に特に望ましい。
【0078】
発明者らは、触媒カプセルを乾燥状態の繊維に誘引したり、且つ/又は付着させたりするために静電力を使用し得ることに気付いたが、触媒カプセルを誘引したり、且つ/又は付着させたりするために物理的手段を使用し得ることにも気付いた。
【0079】
当該技術で「サイジング」としても知られているこの物理的手段又は表面特徴は、乾燥状態の繊維の表面に付着した炭素ナノチューブなどのナノチューブを含み得る。炭素ナノチューブは、繊維の表面で成長し得る。
【0080】
代替的な物理的手段は、乾燥状態の繊維表面に付着した重合体構造を含み、これらは、触媒カプセルを捕捉又は形状的に制約する。サイジングは、例えば、樹脂含浸の前に乾燥状態の繊維に付着した、ポリマーマトリックス内で捕捉された触媒カプセルの散布であり得る。
【0081】
欧州特許文献3000850A1は、複合部品を提供するために、樹脂硬化工程の間、触媒又は硬化剤を放出する、強化繊維と混合するための複数のポリマーナノ粒子を含む熱硬化性樹脂を開示する。本文献は、ポリマーナノ粒子が複合材プライに直接添加され得ることを開示するが、熱硬化性樹脂は、複数のポリマーナノ粒子を常に含むことを教示する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
本発明は、例示のみによって、且つ添付図面を参照してこれより説明される。全ての図面において、同じ参照番号は同じ要素又は同じ種類の要素を表す。
【0083】
図1】積層板のレイアップの図である。
図2】積層板の個々のプライの拡大図である。
図3】プライの断面図である。
図4】プライの断面図である。
図5】触媒カプセルが付着する炭素繊維の拡大図である。
図6】触媒カプセルが付着する炭素繊維の拡大図である。
図7】炭素繊維積層板を製造する方法を示すフロー図である。
図8】乾燥状態の炭素繊維の間で触媒カプセルを散布する装置を示す図である。
図9】炭素繊維積層板を製造するシステムを示すブロック図である。
図10】乾燥状態の炭素繊維及び予め散布された触媒カプセルを含む予備成形物を示すブロック図である。
図11】乾燥状態の炭素繊維及び予め散布された触媒カプセルを利用する方法を示すフロー図である。
図12】航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
図13】航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1は、本発明に係る、積層板のレイアップを示す図である。AFP機100は、複合部品となるよう硬化する積層板150を積層するため、炭素繊維積層板のプライ152を積層する。AFP機100は、支持体170によって保持されており、複合部品(例えば、CFRP部品)となるよう硬化するための炭素繊維テープのプライ152を積層することが可能な任意のシステム又は装置を備えている。AFP機100は、レイアップ中に(例えば、同時に)プライ152を供給するエンドエフェクタ/ヘッド180を含む。プライ152は、積層されて、積層板150を形成する。積層板150は、単一の一体式複合部品となるよう硬化される材料の1つ又は複数の層を含む。この実施形態では、積層板150は、航空機用の胴体セクションを含み、回転ホルダー160によって適所に保持される。
【0085】
AFP機100がプライ152を積層板150上に積層するよう作動する際に、AFP機100は、軸X166に沿って、軸Y164に沿って垂直に上下に、且つ/又は軸Z162に沿って横方向に、積層板150に直接向かって/離れるように移動し得る。本明細書では、AFP機100がヘッド180の一回の「スイープ」の間に複数のプライ152を同時に積層する際には、これらのプライ152は、集合的に、単一の「コース(course)」であると呼ばれる。同時に適用される一組の重なり合わないコースは、層と呼ばれてもよい。積層体150に層が追加されるにつれて、得られる複合部品の強度が有益に向上する。
【0086】
プライ152が迅速且つ効率的に積層されることを確実にするため、AFP機100の動作がNCプログラムで制御される。一実施形態では、NCプログラムは、コースごとに指令を出してAFP機100を位置調整/再配置して、ヘッド180を動かし、プライ152を積層板150上に積層する。このようにNCプログラム内の指令を実行することにより、AFP機100は、複合部品となるよう硬化する積層板を製造する。さらに、AFP機100は、プライ152の粘着度を高めるためにプライ152を粘着温度(例えば、190°F)まで加熱し得る。積層板を形成するためにプライ152が積層された後、積層板は、積層板を固体複合部品となるよう硬化するために、硬化温度(例えば、290°F)まで加熱され得る。
【0087】
図1に関連する上述の炭素繊維積層板のレイアップに関連して、図2から図6は、炭素繊維積層板の特定の特徴を示す。例えば、図2は、例示的な実施形態における積層板150の層(212、214、216)の拡大図である。図2で示されているように、プライ152は、層212、214、及び216として配置される。各層のプライ152は、実質的に平行であり、共通の繊維配向/方向を示す。例えば、層212内のプライ152は、−45°で配向され、層214内のプライ152は、0°で配向され、且つ層216内のプライは、+45°で配向される。
【0088】
図3及び図4は、例示的な実施形態における積層板150の断面図である。具体的には、図3は、図2の図面矢印3に対応する。図3は、各層(212、214、216)が異なる繊維配向を有することを示している。したがって、本実施形態では、個々の繊維310はそれぞれ同じ直径を有するが、層212及び214内の繊維310は、断面の方向に対する配向のゆえに楕円形のように見える。図3は、個々の繊維310間の空間を占める樹脂320をさらに示す。図4は、図3の領域4によって示された層214の拡大図である。この図は、触媒カプセル410を含むように、積層板150のプライ152が強化されたことを示す。触媒カプセル410は、それぞれ対応する繊維と結合/連結される。つまり、触媒カプセル410は、プライ152の端部に沿って大いに集中するのではなく、炭素繊維310間で均一に散布される。樹脂320は、樹脂マトリックス490を形成する。
【0089】
図5及び図6は、例示的な実施形態において、触媒カプセル410が結合且つ/又は付着する炭素繊維310の拡大図である。図5及び図6によって示される図は、図4の領域5に対応する。図5は、カプセル410の形状が球状(例えば、炭素繊維310の直径の5分の1である1ミクロンの直径を有する)である実施形態を示すが、図6は、カプセル410の形状が円筒状(例えば、対応する炭素繊維310の直径の5分の2から5分の3の間の直径/厚さを有する)である実施形態を示す。両方の実施形態において、繊維310は、表面特徴512(例えば、樹脂モノマーを誘引するサイジング/化学処理、樹脂によって繊維310を湿らすことを促進する繊維の表面改質部等)を含み得る表面510を含む。表面特徴512がサイジングを含む実施形態では、触媒(例えば、脂肪族第1級アミン、脂肪族2級アミン、芳香族アミン、又はこれらの組み合わせ)が触媒カプセル410によって放出される前に、樹脂320がサイジングと化学的に反応することが依然として望ましい場合がある。同様に、表面特徴512が表面改質部(surface modification)を含む実施形態では、触媒カプセル410によって触媒が放出される前に、樹脂が表面特徴512を湿らすことが依然として望ましい場合がある。
【0090】
触媒カプセル410は、それぞれ、表面522を含むシェル520を含む。触媒カプセル410の表面522は、表面特徴512と表面522との間、又は表面510と表面522との間の、例えば、静電気、ファンデルワールス力、化学反応等を介して、繊維310の表面510に付着し得る。一実施形態では、表面510は、触媒カプセル410の繊維310への付着を媒介するナノチューブ又はその他の特徴を含む。触媒カプセル410を硬化温度まで加熱することは、シェル520を液化し、触媒524を放出し、重合を促進し得る。一実施形態では、シェル520は、触媒524を放出するために硬化温度を越えると溶解する第2の触媒を含む。さらなる実施形態では、カプセル410は、圧力下でシェル520を破裂させるガスのポケット(図示せず)を含む。
【0091】
プライ152の生成の例示的な詳細は、図7に関連させて説明する。
【0092】
図7は、例示的な実施形態において積層板(例えば、プリプレグ炭素繊維テープのプライ)を製造する方法700を示すフロー図である。方法700は、樹脂内の触媒粒子が不適切に乾燥状態の繊維を通って浸透する問題(繊維濾過)に対処する。方法700のステップは、図1のプライ152を参照して説明されるが、当業者であれば、方法700が他の炭素繊維及び硬化可能材料で実施され得ることを理解するであろう。本明細書に記載されたフロー図のステップは、網羅的というわけではなく、図示されていない他のステップを含み得る。本明細書に記載されたステップは、別の順序で実行されてもよい。
【0093】
方法700によると、平行に配向された乾燥状態の炭素繊維310のバッチが得られる(ステップ702)。例えば、乾燥状態の炭素繊維310は、乾燥状態の炭素繊維テープを含み得る。繊維310のバッチは、バッチが重合を待つ硬化可能な/熱硬化性の樹脂モノマーでまだ含浸されていないという点で「乾燥状態」であるとみなされる。一実施形態では、繊維310は、5ミクロンの直径を示し得る。
【0094】
触媒カプセル410のバッチがさらに得られる(ステップ704)。触媒カプセル410は、(乾燥状態の炭素繊維310にまだ加えられていない)樹脂モノマーの重合を促進させる触媒524を含む。触媒カプセル410は、硬化における供給及び使用のために、触媒524の分子を囲むシェル520を含む。この時点では、触媒カプセル410は、樹脂モノマーなどの他の樹脂構成要素から分離されているか、それらから独立している。炭素繊維310とカプセル410との容積比が10:1と2:1との間(例えば、5:1)と確実になるように、触媒カプセル410のサイズが選択され得る。例えば、触媒カプセル410が球状である実施形態では、触媒カプセルは1ミクロンの直径を示す場合があり、したがって、繊維310の長さに沿った各位置で、繊維310の外周に沿って、5つの触媒カプセルが繊維310に付着することができる。触媒カプセル410が細長い円筒形状/フィラメントである実施形態では、触媒カプセル410は、このような所望の比率に適合するために、2.2ミクロンの直径を示し得る。
【0095】
次いで、触媒カプセル410が、繊維310間で散布される(ステップ706)。この工程は、図8で示されており、例えば、送風機810を作動させて、(例えば、カプセル410を吹き通している間に繊維310を偏向させることによって)繊維310を通してカプセル410を吹き通すこと、コーム820(歯822を含む)を作動させて、繊維310を通してカプセル410を梳くこと、テンションバー830を利用して、繊維310を分離し、次に繊維310を通してカプセル410をふるいにかけること等を含み得る。使用されている特定の技法に関わらず、カプセル410が繊維310間で散布されている間、カプセル410は、上述に理由により繊維310に付着する。これは、繊維310間で触媒カプセル410を散布する行為が、カプセル410を繊維310に連結する結合を形成することを意味する(ステップ708)。この散布工程は、カプセル410が確実に繊維310間で均一に散布されるようにする。さらに、樹脂(例えば、樹脂モノマー等)が繊維310に導入されてないため、繊維310は、カプセル410が散布した後でも乾燥したままである。散布工程の間、個々の炭素繊維310の直線性を維持することが依然として望ましい。したがって、個々の繊維310がしわくちゃになったり、破損したりすることを避けながら、カプセルが確実に浸透するように炭素繊維310の偏向の度合を選択してもよい。
【0096】
この時点では、静電気、シェル520と繊維の表面特徴512との間の化学反応、ファンデルワールス力等を介して、カプセル410を繊維310に連結するために、結合が形成され得る。静電気が利用される実施形態では、電荷をカプセル410に印加し、カプセル410の繊維310への十分な付着を確保するために、電子銃840又は他の装置が利用され得る。カプセル410が炭素繊維310の表面510に化学的に結合される実施形態では、カプセル410は、化学浴を介して(樹脂なしで)繊維310に適用され得、カプセル410は、化学懸濁液内に含まれる。
【0097】
次に、繊維310は、重合を待つ樹脂モノマーを含む樹脂320で含浸される(ステップ710)。繊維310のバッチを樹脂320で含浸することは、圧力を樹脂320に印加すること、繊維310に近接する真空を引くこと、又は樹脂320を繊維310間で流動させる任意の他の技法を含み得る。この工程は、カプセル410が既に繊維310間で分散された後に実施される。カプセル410は既に繊維310間で散布されているので、含浸工程の間、繊維濾過によって、カプセル410が繊維310間から確実に押し出されないようになる。
【0098】
樹脂320は、無触媒であり、これは、樹脂320が、樹脂320内のモノマーの重合を促進する化学成分を含まないことを意味する。したがって、樹脂320は、触媒化された樹脂よりも粘着性が低く、触媒化された樹脂よりも繊維310の湿りを促進する。しかしながら、樹脂320は、樹脂モノマー及び/又は強化フェーズ(例えば、相互貫入ネットワークフェーズ)を依然として含み得る。樹脂320は、カプセル410などのかさばる構成要素をもはや含まないので、樹脂320の構成要素は、含浸の間、繊維310によって、捕捉されたり又は濾過されたりしない。得られた積層板の間では、触媒カプセル410は、樹脂320、触媒カプセル410、及び繊維310が組み合わさった容量の10から15パーセントの間の容量を占める。樹脂320は、樹脂320、触媒カプセル410、及び繊維310が組み合わさった容量の30から35パーセントの間の容量を占める。さらに、繊維310は、樹脂320、触媒カプセル410、及び繊維310が組み合わさった容量の50から60パーセントの間の容量を占める。一実施形態では、繊維310を樹脂で含浸する行為は、散布された触媒カプセル410を繊維310から脱連結することに役立つ(ステップ712)。含浸工程は、繊維間の空間を占める樹脂マトリックス490を形成し得る。
【0099】
触媒カプセルは、さらに粘着によって繊維に連結され得る。触媒カプセルは、粘着付与剤によって、繊維に粘着することができ、カプセルが溶解すると粘着が解かれ得る。
【0100】
乾燥状態の繊維が樹脂で含浸された後、得られた製品は、プリプレグ炭素繊維テープとして実装され得る。炭素繊維テープは、一定期間貯蔵することができるが、所望の形状の複合部品を形成するために、次いで一連のプライとして積層される。ステップ714では、カプセル410のシェルの液化が関わり、テープが加熱されるにつれて、実施形態によっては、硬化前、さらには硬化の間に、粘着及びレイアップに先立って実行され得る。
【0101】
AFP機は、炭素繊維テープを粘着温度(例えば、190°F)まで加熱することができ、これにより、テープの「粘着」のレベルが高まり、プライのより優れた接着が確実に行なわれる(ステップ716)。粘着温度は、触媒が触媒カプセル410から放出される温度を下回る温度に留まりながら、テープの層を共に粘着させて積層板にすることを可能にする。この粘着温度では、触媒カプセル410は、固体に留まり、まだ液化されていない。レイアップが完成した後、未硬化部分は、次いで硬化のためにオートクレーブに移動され得る。オートクレーブ内では、含浸された繊維を含む未硬化部分は、硬化温度(例えば、290°F)まで加熱され得る。この硬化温度で、カプセル410のシェル520が液化し、触媒524を放出する(ステップ718)。触媒524は、放出されるとさらに樹脂320と混合し、重合を促進し、硬化を引き起こす。積層中に触媒524が意図せずに放出されないように、硬化温度は十分に高くしてある。したがって、触媒524が硬化前に意図せずに放出されないように、触媒524が放出される温度は十分に高く設定される。触媒524が放出される温度は、例えば、硬化温度と同じであってもよく、又は、硬化温度を下回ってもよい。一実施形態では、触媒524は、初期硬化の一段階として樹脂注入中に用いられる温度で放出される。いずれの場合でも、シェル520が硬化温度に曝されると、シェル520は液化する。
【0102】
方法700は、硬化前に触媒カプセルを炭素繊維積層板にわたって確実に均一に散布し、実質的な利益をもたらす。繊維が乾燥状態である間にカプセルが散布されるので、炭素繊維は、容易に湾曲したり、又はさもなければ偏向したりすることがあり、カプセルが、干渉されることなく繊維のバッチの中に深く浸透することが可能となる。
【0103】
図9は、例示的な実施形態においてプリプレグ炭素繊維プライ910を製造するプリプレグ機900を示すブロック図である。特に、図9は、表面922及び表面特徴924を含む炭素繊維920が、ボビン902から解かれることを示す。シェル934、触媒933、及び表面932を含む触媒カプセル930は、送風機950、コーム960、及びテンションバー970の任意の適切な組み合わせを含み得る散布チャンバ904において、繊維920間で散布される。これらの動作は、静電結合、ファンデルワールス結合、又はさらにカプセル930と繊維920との間の化学結合となる場合がある。プレス900は、繊維920同士を圧縮し、樹脂含浸機990は、繊維920を樹脂940で含浸するために利用され、結果的にプライ910が生じる。カプセル930が既に繊維920間で散布されているため、繊維920を樹脂940で含浸することにより、樹脂940がプライ930間で混合されることになる。
【0104】
図10は、乾燥状態の炭素繊維1050及び予め散布された触媒カプセル1060を含む予備成形物1010を示すブロック図1000である。図10によると、予備成形物1010は、炭素繊維1050を含み、炭素繊維1050は、それぞれ、表面1052、並びに表面特徴1054を含む。触媒カプセル1060は、乾燥状態の炭素繊維1050間で分散され、表面1066、シェル1064、及び触媒1062を含む。予備成形物1010は、硬化のために既に所望の形状にプレス/成形されている場合があり、或いは、マンドレル1022又はその他の適切な工具によって、所望の形状にプレスされるように待機している場合がある。この実施形態では、予備成形物1010は、真空バッグ1024とマンドレル1022との間に配置され、第1のターゲット温度1090まで加熱される。真空バッグ1024は、マンドレル1022に封止され、真空を引いて予備成形物1010をマンドレル1022内に押し出し得ることを確実なものとする。真空は、真空ポンプ1026によって引かれ、これにより、樹脂1042(例えば、無触媒樹脂)がリザーバ1040から予備成形物1010に引かれ、予備成形物1010が含浸されるというさらなる恩恵がもたらされる。予備成形物1010が樹脂で含浸された後、予備成形物1010は、第2のターゲット温度1092でオートクレーブ1030内に配置される。オートクレーブ1030内では、(例えば、ヒータ1032からの)熱及び/又は圧力の適用は、触媒カプセル1060を液化し、触媒1062を樹脂1042と混合することに役立ち、結果的に重合が促進され、複合部品が生成される。
【0105】
図11は、例示的な実施形態において、乾燥状態の炭素繊維及び予め散布された触媒カプセルを利用する方法1100を示すフロー図である。方法1100によると、平行に配向された繊維1050を含む乾燥状態の炭素材料のバッチが得られる(ステップ1102)。
【0106】
触媒カプセル410のバッチがさらに得られる(ステップ1104)。次いで、触媒カプセル1060が、繊維310間で散布される(ステップ1106)。この工程は、図8で示されており、例えば、送風機810を作動させて、(例えば、カプセル1060を吹き通している間に繊維1050を偏向させることによって)繊維1050を通してカプセル1060を吹き通すこと、コーム820(歯822を含む)を作動させて、繊維1050を通してカプセル1060を梳くこと、テンションバー830を利用して、繊維1050を分離し、次に繊維1050を通してカプセル1060をふるいにかけること等を含み得る。使用されている特定の技法に関わらず、カプセル1060が繊維1050間で散布されている間、カプセル1060は、上述に理由により繊維1050に付着する。これは、繊維1050間で触媒カプセル1060を散布する行為が、カプセル1060を繊維1050に連結する結合を形成することを意味する(ステップ1108)。
【0107】
図11でさらに示されているように、予備成形物1010は、共に形成され、粘着温度(例えば、190°F)で任意選択的に粘着する(ステップ1110)。この段階で粘着させるために、粘着付与剤が(例えば、形状の複雑さに応じて)任意選択的に乾燥状態の繊維に加えられてもよい。粘着付与剤は、繊維への吹き付けなどによって、繊維に加えられた熱可塑性物質を含み得る。予備成形物1010の形成は、(例えば、真空チャンバ又はローラを用いた圧縮を介して)予備成形物1010を所望の形状にプレス又は保持することをさらに含み得る。粘着温度は、カプセル1060のシェルが液化/溶解する硬化温度を下回る。この圧密化は、その後、すなわち、熱が加えられている間に予備成形物1010が真空バッグ及び/又はオートクレーブからの圧縮下に置かれる際に行われる場合もある。
【0108】
予備成形物1010は、含浸のために所望の位置(例えば、真空バッグの内部)に置かれた後、樹脂1042で含浸される(ステップ1112)。予備成形物1010を樹脂1042で含浸することは、(例えば、静電力、ファンデルワールス力、触媒カプセル1060と炭素繊維1050上の表面特徴1054との間の化学反応等から生じる結合力を克服することにより)、触媒カプセル1060と乾燥状態の炭素繊維1050との間の結合を壊す場合もあり、それにより、カプセル1060が繊維1050から脱連結する(ステップ1114)。これにより、触媒カプセル1060が樹脂1042内に混合され、触媒カプセル1060が以前占有していた位置で樹脂1042が乾燥状態の炭素繊維1050を湿らすことがさらに可能となる場合がある。
【0109】
含浸した予備成形物1010は、触媒カプセル1060のシェルが液化する(ステップ1116)まで、且つ硬化温度(例えば、290°F)に達するまでさらに加熱され得る(ステップ1118)。予備成形物1010は、硬化を促進させるためにオートクレーブ1030内でさらに圧縮され得る。つまり、シェル1064を液化し、触媒1062を樹脂1042と混合させ、樹脂1042の重合を促進することにより、熱が触媒カプセル1060を活性化させる。
【0110】
実施例
以下の実施例において、追加の処理、システム、及び方法が、炭素繊維積層板に関連して説明される。
【0111】
より具体的に図面を参照すると、本開示の実施形態は、図12に示されるような航空機の製造及び保守方法1200、及び図13に示されるような航空機1202に関連して説明することができる。製造前の段階では、例示的な方法1200は、航空機1202の仕様及び設計1204、並びに材料の調達1206を含み得る。製造段階では、航空機1202の、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1208、並びにシステムインテグレーション1210が行われる。その後、航空機1202は、運航1214に供されるために、認可及び納品1212に供され得る。顧客により運航される間に、航空機1202は、定期的な整備及び保守1216(改造、再構成、改修なども含み得る)が予定される。本明細書で具現化される装置及び方法は、製造及び保守方法1200の1つ又は複数の任意の適切な段階(例えば、仕様及び設計1204、材料の調達1206、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1208、システムインテグレーション1210、認可及び納品1212、運航1214、整備及び保守1216)及び/又は航空機1202の任意の適切な構成要素(例えば、機体1218、システム1220、内装1222、推進システム1224、電気システム1226、油圧システム1228、環境システム1230)で採用され得る。
【0112】
方法1200の各プロセスは、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレーター(例えば、顧客)によって実施又は実行され得る。本明細書の目的のために、システムインテグレーターとは、限定しないが、任意の数の航空機製造者及び主要システムの下請業者を含んでもよく、第三者とは、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでもよく、オペレーターとは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってもよい。
【0113】
図13で示すように、例示的な方法1200によって製造される航空機1202は、複数のシステム1220及び内装1222を有する機体1218を含み得る。高レベルのシステム1220の実施例には、推進システム1224、電気システム1226、油圧システム1228、及び環境システム1230のうちの1つ又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれ得る。航空宇宙の例が示されているが、本発明の原理は、自動車産業などの他の産業にも適用され得る。
【0114】
上述のように、ここで具現化される装置及び方法は、製造及び保守方法1200の1つ又は複数の任意の段階で採用され得る。例えば、製造段階1208に対応するコンポーネント又はサブアセンブリは、航空機1202の運航期間中に製造されるコンポーネント又はサブアセンブリと似たような方法で製作又は製造され得る。さらに、1つ又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせは、例えば、航空機1202の組み立てを実質的に効率化するか、又は、航空機1202のコストを削減することにより、製造段階1208及び1210で利用され得る。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせのうちの1つ又は複数は、航空機1202の運航中、例えば、限定しないが、整備及び保守1216に利用することができる。例えば、本明細書に記載された技術及びシステムは、ステップ1206、1208、1210、1214、及び/又は1216で使用され得、且つ/又は、機体1218及び/又は内装1222において使用され得る。これらの技術及びシステムは、例えば、推進1224、電気1226、油圧1228、及び/又は環境1230を含むシステム1220に対しても利用することができる。
【0115】
一実施形態では、プライ152は、機体1218の一部を含み、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1208の間に積層され、複合部品となるように硬化される。この複合部品は、次に、システムインテグレーション1210において航空機を形成するように組み立てられ得るが、その後、摩耗により部品が使用不能となるまで運航1214において利用され得る。その後、整備及び保守1216において、部品は廃棄され、新たに製造された部品と交換され得る。新しい複合部品を製造するため、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1208の期間中にわたってプライ152が利用され得る。
【0116】
図示され又は本明細書に記載された様々な制御要素(例えば、電気又は電子コンポーネント)のうちの任意のものは、ハードウェア、プロセッサにより実装されるソフトウェア、プロセッサにより実装されるファームウェア、又はこれらの何らかの組み合わせとして実装され得る。例えば、ある要素は専用ハードウェアとして実装され得る。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラ」、又は同様の何らかの専門用語で呼ばれてもよい。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又は複数の個別のプロセッサ(そのうちの幾つかが共有となり得る)によって提供され得る。さらに、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアの実行が可能なハードウェアのみを表わすと解釈するべきでなく、限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)或いは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェア記憶用の読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性ストレージ、ロジック、又は何らかの他の物理的ハードウェアのコンポーネント或いはモジュールなどを暗黙的に含み得る。
【0117】
さらに、制御要素は、プロセッサ又はコンピュータによって実行可能な指令として実装されてもよく、それにより、その要素の機能が実施される。指令の幾つかの例は、ソフトウェア、プログラムコード、及びファームウェアである。指令は、プロセッサによって実行されたときに動作可能であり、要素の機能を実行するようにプロセッサを方向付ける。指令は、プロセッサが読むことができる記憶装置に記憶され得る。記憶装置の幾つかの例は、デジタル又はソリッドステートメモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は光学式可読デジタルデータ記憶媒体である。
【0118】
特定の実施形態が本明細書に記載されたが、本開示の範囲はそれら特定の実施形態に限定されるものではない。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲及びその任意の均等物によって規定されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13