特許第6979336号(P6979336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6979336プリント配線板の製造方法、プリント配線板及びその製造方法に用いる感光性樹脂組成物
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  • 特許6979336-プリント配線板の製造方法、プリント配線板及びその製造方法に用いる感光性樹脂組成物 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979336
(24)【登録日】2021年11月17日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法、プリント配線板及びその製造方法に用いる感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/24 20060101AFI20211202BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   H05K3/24 D
   H05K3/18 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-221167(P2017-221167)
(22)【出願日】2017年11月16日
(65)【公開番号】特開2019-91858(P2019-91858A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2020年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】310024066
【氏名又は名称】太陽インキ製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100169236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 貴史
(72)【発明者】
【氏名】柳田 伸行
(72)【発明者】
【氏名】二田 完
(72)【発明者】
【氏名】市川 響
(72)【発明者】
【氏名】白川 賢一
【審査官】 柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−072425(JP,A)
【文献】 特開2006−066451(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/110808(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/24
H05K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体回路を有する配線基板上に感光性樹脂組成物の塗膜を形成する工程と、
前記感光性樹脂組成物の塗膜に、未反応部、不完全反応部および完全反応部を設ける工程と、
現像により、第1パッド部を形成するとともに、現像残膜を有する第2パッド部用開口を形成する工程と、
前記第1パッド部にめっき処理を行う工程と、
前記めっき処理後、前記現像残膜を除去して、前記第2パッド部を形成する工程と、
を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記現像による残膜率が1%以上50%未満であることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の製造方法、プリント配線板およびその製造方法に用いる感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器などに代表される携帯することに便利な情報通信端末は、その使用用途から軽量でコンパクトな商品が好まれている。それに伴い、その情報通信端末の内部に使用されている半導体電子部品のパッケージング方式も、より小型で高密度なCSP(チップサイズパッケージ)が多く使用されるようになっており、加えて、当該CSPを実装する際のプリント配線板への技術的な要求も一段と高くなっている。
【0003】
プリント配線板の表面の導体部へニッケル/金めっき処理することは、酸化防止やキー接点箇所においては必要であり、加えて、携帯電話などに代表する高密度なプリント配線板においては、リード配線を必要としない無電解ニッケル/金めっき処理が有効である。しかしながら、CSPのような高密度な電子部品で、特にはんだ接続により導通が形成される箇所においては、ニッケル/金めっき処理をしないこと、すなわち部分的に必要とする箇所のみに、ニッケル/金めっき処理を行なうことが望ましい。
【0004】
例えば、特許文献1には、所望の形状に回路配線を形成し、ソルダーレジストを被覆したプリント配線板の表層部に、熱硬化型又は紫外線硬化型のめっきレジストを部分的に塗布する工程と、当該めっきレジストを加熱又は紫外線照射により硬化せしめる工程と、当該めっきレジストが被覆されていないプリント配線板の表層部の導体表面にニッケル/金めっきを処理する工程と、前記めっきレジストを剥離する工程とを具備するプリント配線板の表面処理方法が、品質の良い部分的ニッケル/金めっき状態を、短い工程かつ製造時間で、しかも低コストで形成することができるとの効果とともに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−12735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のプリント配線板の製造方法では、めっきレジストを部分的に塗布する工程が含まれるため、工程が複雑であった。
【0007】
そこで本発明の目的は、めっきレジストを塗布する工程を含まない、より簡単な工程により、めっき処理しない実装可能なパッド部と、めっき処理したパッド部とをそれぞれ形成することができるプリント配線板の製造方法、およびプリント配線板その製造方法に用いる感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は鋭意検討した結果、配線基板上に感光性樹脂組成物の塗膜を形成し、その塗膜に、未反応部、不完全反応部、完全反応部を設け、現像により、第1パッド部および第2パッド部用開口を形成したレジスト膜を設け、めっき処理後、第2パッド部用開口の現像残膜を除去することで、めっき処理した第1パッド部と、めっき処理していない第2パッド部と、をそれぞれ有するプリント配線板を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明のプリント配線板の製造方法は、導体回路を有する配線基板上に感光性樹脂組成物の塗膜を形成する工程と、前記感光性樹脂組成物の塗膜に、未反応部、不完全反応部および完全反応部を設ける工程と、現像により、第1パッド部を形成するとともに、現像残膜を有する第2パッド部用開口を形成する工程と、前記第1パッド部にめっき処理を行う工程と、前記めっき処理後、前記現像残膜を除去して、前記第2パッド部を形成する工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0010】
本発明のプリント配線板の製造方法は、前記現像による残膜率が1%以上50%未満であることが好ましい。
【0011】
本発明のプリント配線板は、前記製造方法により得られるものである。
【0012】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記プリント配線板の製造方法に用いられるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、めっきレジストを塗布する工程を含まない、より簡単な工程により、部分的に必要とするパッド部のみに、ニッケル/金めっき等のめっき処理を行なうことができる。即ち、本発明により、めっき処理したパッド部と、めっき処理していないパッド部とをそれぞれ形成することができるプリント配線板の製造方法、およびその製造方法に用いる感光性樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のプリント配線板の製造方法は、導体回路を有する配線基板上に感光性樹脂組成物の塗膜を形成する工程と、前記感光性樹脂組成物の塗膜に、未反応部、不完全反応部および完全反応部を設ける工程と、現像により、第1パッド部を形成するとともに、現像残膜を有する第2パッド部用開口を形成する工程と、前記第1パッド部にめっき処理を行う工程と、前記めっき処理後、前記現像残膜を除去して、前記第2パッド部を形成する工程とを含むことを特徴とするものである。
従来は、ソルダーレジストを被覆したプリント配線板の表層部に、熱硬化型又は紫外線硬化型のめっきレジストを部分的に塗布していたが、本発明では、感光性樹脂組成物の塗膜に、未反応部、不完全反応部および完全反応部を設け、現像後不完全反応部に形成された現像残膜がめっきレジストの働きをし、めっき処理後は不完全反応部の現像残膜を除去してめっき処理されていない第2パッド部を形成する。このため、めっきレジストを使用することなく、部分めっき処理されたプリント配線板を簡単な工程で得ることができる。
なお、本発明のプリント配線板の製造方法において、未反応部、不完全反応部、完全反応部は、それぞれ未露光部、半露光部、露光部とも言い、第1パッド部へのめっき処理は、下地めっき処理とも言い、第1パッド部は、めっき形成用パッド部とも言う。
【0016】
本発明の感光性樹脂組成物は、ネガ型でもポジ型でもよいが、ネガ型であることが好ましい。ネガ型であると、現像残膜を容易に形成することができる。
感光性樹脂組成物がネガ型、ポジ型いずれの場合でも、本発明の製造方法においては、配線基板上に感光性樹脂組成物を塗布したうえで、例えば、マスクのグレースケールの濃淡により、活性エネルギー線の露光量を調整してコントラストを形成して、未反応部、不完全反応部、完全反応部を設ける。
ここで、本発明の製造方法に用いられる感光性樹脂組成物がネガ型の場合、現像により除去される未反応部と、現像により現像残膜として残り、めっきレジスト代替として機能する不完全反応部と、現像残膜よりも厚膜として残り、めっきレジストとして機能し得る完全反応部とを設ける。
一方、本発明の製造方法に用いられる感光性樹脂組成物がポジ型の場合、現像により除去される完全反応部と、現像により現像残膜として残り、めっきレジスト代替として機能する不完全反応部と、現像残膜よりも厚膜として残り、めっきレジストとして機能する未反応部とを設ける。
その現像後、第1パッド部に少なくともめっきを含む下地処理を行ない、めっき処理後、不完全反応部の現像残膜を除去し、実装可能な表面を有する第2パッド部を形成する。
【0017】
すなわち、本発明は、組成物の塗膜の開口中に形成した現像残膜をめっきレジストの代替として用いる点で、特許文献1に記載の従来技術と異なる。このため、めっきレジストを塗布する工程が不要となり、工程が簡単になる。工程が簡単になることで、製造時間の短縮化、製造コストの低減化が可能となる。
【0018】
本発明の利点は、工程が簡単になることにとどまらない。従来のめっきレジストでは、無電解めっき液に侵されて無電解めっき液中に溶出して無電解めっき液を分解したり、外部接続パッドの表面にめっき金属層を良好に被着できなくしたりする問題があったが、本発明では、そのようなめっきレジストを形成しないので、そのような問題が生じないようにすることができる。
【0019】
以下に、本発明によるプリント配線板の製造方法を、図1を参照しながら説明する。本発明によるプリント配線板の製造方法は、(1)感光性樹脂組成物の塗膜形成工程、(2)乾燥工程、(3)不完全反応部形成工程、(4)現像工程、(5)熱硬化、光硬化工程、(6)めっき処理工程、(7)第2パッド部形成工程を含むことが好ましいが、少なくとも(1)塗膜形成工程と、(3)不完全反応部形成工程と、(4)現像工程と、(6)めっき処理工程と、(7)第2パッド部形成工程と、を含むものである。
【0020】
[(1)感光性樹脂組成物の塗膜形成工程]
本発明では、めっきレジストとして機能し得る感光性樹脂組成物を使用する。感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液に可溶な感光性樹脂組成物でも、有機溶剤に可溶な感光性樹脂組成物でもよいが、アルカリ水溶液に可溶な感光性樹脂組成物であることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物がネガ型である場合、アルカリ可溶性樹脂および光重合開始剤を含むことが好ましく、例えば、太陽インキ製造株式会社製現像型ソルダーレジストPSR−4000シリーズ製品を好適に用いることができる。一方、本発明の感光性樹脂組成物がポジ型である場合、アルカリ可溶性樹脂およびジアゾナフトキノン等の光酸発生剤を含む組成物を用いることができる。
【0021】
以下、本発明のネガ型の感光性樹脂組成物を使用したプリント配線板の製造方法について、図1(A)〜(E)を参照しつつ説明する。
まず、図1(A)に示すように、導体回路2を有する配線基板1上に、感光性樹脂組成物を塗布して塗膜3を形成する。感光性樹脂組成物の塗布方法は、公知のインキ塗布方法、例えばスクリーン印刷法、スプレーコート法、ロールコート法、浸漬法、スピンコート法およびカーテンコート法がすべて使用できる。導体回路の材料としては、銅、銀、金等の導電性の材料であればよい。
【0022】
塗膜3の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上40μm以下であることがより好ましい。5μm以上50μm以下であることにより、第2パッド部の形成工程により除去しやすい現像残膜32Aを不完全反応部32に容易に形成することができる。
感光性樹脂組成物の塗膜3は、少なくともめっきレジストとして機能し得るものであればよいが、ソルダーレジストとしても機能し得るものであることが好ましい。
【0023】
[(2)乾燥工程]
続いて、塗膜3の乾燥を必要に応じて行う。感光性樹脂組成物中の有機溶剤を揮発させるために例えば60〜100℃の範囲内の温度下で予備乾燥を行うことで、感光性樹脂組成物の塗膜3を乾燥させる。
【0024】
配線基板1上に塗膜3を形成するにあたっては、予め適宜の支持体上に感光性樹脂組成物を塗布してから乾燥することで塗膜3(ドライフィルムの樹脂層)を形成し、このドライフィルムの樹脂層を配線基板1に重ねてから、ドライフィルムと配線基板1に圧力をかけることで、配線基板1上にドライフィルムの樹脂層を転着させてもよい(ドライフィルム法)。この場合、乾燥工程が省略されてもよい。
【0025】
[(3)不完全反応部形成工程]
続いて、図1(B)に示すように、塗膜3に、マスク4を介して活性エネルギー線を照射することで、塗膜3をパターン露光する。
【0026】
露光用の活性エネルギー線は、その活性エネルギー線の照射を受けて感光性樹脂組成物の硬化反応が進行するように選択される。露光用の活性エネルギー線としては、例えば紫外線、可視光、又は近赤外線が選択される。紫外線が選択される場合、紫外線源は、例えばケミカルランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプおよびメタルハライドランプから選択される。
【0027】
マスク4は、互いに光透過性の程度が異なる三種類の部分を備える。マスク4は、例えば、グレースケールの濃淡により、光透過性を有する部分(以下、透過性部41という)と、透過性部41よりも低い光透過性を有する部分(以下、半透過性部42という)と、光透過性を有しない部分(以下、非透過性部43という)とを備える。
【0028】
このマスク4を介して塗膜3がパターン露光されると、塗膜3における透過性部41に対応する部分(露光部)には活性エネルギー線が照射され、完全反応部31が設けられる。塗膜3における半透過性部42に対応する部分(半露光部)には、露光部よりも低い露光量で活性エネルギー線が照射され、不完全反応部32が設けられる。塗膜3における非透過性部43に対応する部分(未露光部)には、活性エネルギー線が照射されず、未反応部33が設けられる。すなわち、完全反応部31は露光時に活性エネルギー線が照射される部分であり、不完全反応部32は活性エネルギー線の照射時に完全反応部31よりも低い露光量で活性エネルギー線が照射される部分であり、未反応部33は露光時に活性エネルギー線が照射されない部分である。マスク4を、完全反応部31、不完全反応部32および未反応部33が、塗膜3における所定の箇所に位置するように設計することで、感光性樹脂組成物への活性エネルギー線照射量を調節することができる。
【0029】
このように塗膜3を露光すると、塗膜3における完全反応部31では感光性樹脂組成物の硬化反応が進行し、不完全反応部32でも、完全反応部31よりも光反応率が低いものの、感光性樹脂組成物の硬化反応が進行する。一方、未反応部33では、感光性樹脂組成物の硬化反応は進行しない。
【0030】
完全反応部31、不完全反応部32および未反応部33における露光量を所望の値にコントロールするためには、マスク4が、上記のように光透過性の程度が異なる三種類の部分を備えていなくてもよい。例えば、まず塗膜3に、未反応部33を遮蔽すると共に完全反応部31および不完全反応部32を遮蔽しないマスク(第一のマスク)を介して、活性エネルギー線を照射し、続いて第一のマスクに、不完全反応部32を遮蔽すると共に完全反応部31は遮蔽しないマスク(第二のマスク)を重ね、この第一のマスクと第二のマスクを介して、更に活性エネルギー線を照射してもよい。この場合でも、完全反応部31には活性エネルギー線が照射され、不完全反応部32には、完全反応部31よりも低い露光量で活性エネルギー線が照射され、未反応部33には、活性エネルギー線が照射されないこととなる。
【0031】
また、完全反応部31、不完全反応部32および未反応部33における露光量を所望の値にコントロールするためには、マスク4を用いなくてもよい。例えば、完全反応部31、不完全反応部32および未反応部33それぞれで、露光波長を変化させてもよい。また、塗膜3上の完全反応部31、不完全反応部32および未反応部33ごとの露光量をプログラムにて調整するダイレクトイメージング(DI)を用いてもよい。
【0032】
完全反応部31における組成物の光反応率が、50%以上となるように活性エネルギー線を照射することが好ましく、60%以上であることがより好ましい。50%以上であると、現像工程および第2パッド部形成工程で除去されない塗膜3を、完全反応部31に良好に形成することができる。
【0033】
不完全反応部32における組成物の光反応率が、1%以上50%未満となるように活性エネルギー線を照射することが好ましく、5%以上30%以下であることがより好ましい。1%以上50%未満であることにより、第2パッド形成工程により除去しやすい現像残膜32Aを、不完全反応部32に容易に形成することができる。
また、残膜率は、1%以上50%未満であることが好ましく、5%以上30%以下であることがより好ましい。なお、残膜率(%)は、100×(現像残膜の厚み/現像前の塗膜の厚み)にて算出することができ、現像残膜の厚みとは、第2パッド部52の全面を覆った状態での厚みを意味する。
【0034】
[(4)現像工程]
完全反応部31、不完全反応部32および未反応部33を設けた後、塗膜3を現像液で現像する。現像工程では、アルカリ性の現像液で現像することが好ましいが、有機溶剤で現像してもよい。現像後の塗膜3を図1(C)に示す。塗膜3の未反応部33が配線基板1上から除去されて第1パッド部51を形成する一方、塗膜3の完全反応部31および不完全反応部32は、配線基板1上に残存する。すなわち、未反応部33は現像により除去されてめっき用の第1パッド部51が形成される一方、不完全反応部32においては現像により現像残膜32Aを有する開口が形成され、現像残膜32Aはめっきレジストとして機能し、また、完全反応部31は現像にて現像残膜32Aよりも厚膜として残り、めっきレジストとして機能する。
【0035】
アルカリ性現像液の具体例として、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素カリウム水溶液、炭酸水素アンモニウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、および水酸化リチウム水溶液が挙げられる。現像液として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の有機アミンを使用することもできる。アルカリ性現像液中の溶媒は、水のみであっても、水と低級アルコール類等の親水性有機溶媒との混合物であってもよい。
【0036】
現像工程後の不完全反応部32、即ち現像残膜32Aの膜厚は0.1μm以上4μm以下が好ましく、0.2μm以上2μm以下であることが特に好ましい。0.1μm以上4μm以下であることにより、第2パッド部形成工程により除去しやすくなるとともに、めっきレジストとしても良好に機能する。
【0037】
[(5)熱硬化、光硬化工程]
現像処理後の塗膜3に、必要に応じて熱硬化処理および光硬化処理のいずれかの処理を行う。熱硬化処理および光硬化処理は、後のめっき処理に耐えられる条件であればよい。
【0038】
完全反応部31および現像残膜32Aの加熱後に、完全反応部31および現像残膜32Aの全体に活性エネルギー線を照射してもよい。この場合、完全反応部31および現像残膜32A内に未反応のまま残存する感光性樹脂組成物の硬化反応が進行する。なお、光硬化処理後に熱硬化処理を行なってもよく、それぞれ複数回処理してもよい。
【0039】
[(6)めっき処理工程]
次いで、図1(D)に示すように、第1パッド部51に、ニッケル/金めっき処理等の、少なくともめっき6を含む下地処理を行う。ここでのめっき処理には、ニッケル/金めっき処理のほか、錫めっき処理、OSP処理等のいずれも使用できる。このうち、ニッケル/金めっき処理については、無電解ニッケル/金めっき処理や電解ニッケル/金めっき処理のいずれも使用できるが、特に携帯電話やスマートフォンなどに使用される高密度な配線基板にめっき処理する際には、信頼性の観点から、無電解ニッケル/金めっき処理が好適に使用される。
【0040】
無電解ニッケル/金めっき処理は、例えば次のような条件の下に行なわれる。始めに、塗膜3を有する配線基板1を主に洗浄する目的で、脱脂、水洗、酸洗、ソフトエッチング、水洗を順に行なう。次いで、触媒を表面に処理した後に、90℃のニッケルめっき液の浴槽に投入し、1μmあたり3〜5分のめっき速度にて5μm程度の無電解ニッケルめっきを付着させる。次いで、水洗後に90℃の金めっき液の浴槽に投入し、0.03μm程度の無電解金めっきを3〜5分のめっき速度にて付着させる。
【0041】
めっき処理は90℃のめっき温度にて処理されるため、従来の技術においてはめっきレジストが溶出し、めっき液を汚染するなどの問題を生じ、加えて、汚染しためっき液により配線基板に表面処理されるニッケル/金めっきは質が悪く、良品なプリント配線板を得ることが困難であったのに対し、本発明では、めっきレジストを使用しないので、めっき液を汚染することはない。
【0042】
[(7)第2パッド形成工程]
次いで、図1(E)に示すように、現像残膜32Aを除去して、第2パッド部52を形成する。図1(E)に示すように、現像残膜32Aの除去処理後には、実装可能な表面を有する第2パッド部52が形成される。現像残膜32Aの除去処理には、酸、アルカリ、溶剤等を用いる化学処理、レーザーやプラズマ等を用いる物理処理があり、具体的には、例えば約5%の水酸化ナトリウム水溶液等用いる方法がある。
【0043】
また、実装可能な表面が形成された第2パッド部52に、更に水溶性プリフラックス処理やはんだレベラーなどのはんだ表面処理を行なうのが、部品実装パッドの表面を酸化から保護する上で望ましい。
なお、図1では、第1パッド部用開口および第2パッド部用開口の幅は、導体回路の幅よりも狭いが、広くてもよい。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0045】
太陽インキ製造株式会社製 現像型スプレー塗布用ソルダーレジスト PSR−4000 EG30を、パターン形成された銅箔基板(配線基板)上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で20分間乾燥した。この乾燥塗膜の膜厚は、20μmであった。次いで、この基板に、不完全反応部への光透過率が50%、完全反応部への光透過率が100%のフォトマスクを当て、露光量が600mJ/cmにて紫外線をパターン露光した。完全反応部の組成物の光反応率は、70%であり、不完全反応部での組成物の光反応率は、30%であった。なお、光反応率の測定には、パーキンエルマー社製FT−IRを用いた。
その後、スプレー圧1.5kg/cmの1質量%炭酸ナトリウム水溶液で現像し、第1パッド部と現像残膜を有する第2パッド部用開口とを形成したレジストパターンを形成した。ここで、現像残膜は1μmであり、残膜率は、5%であった。そして、基板を、密閉されたオーブンにて150℃×60分間の熱硬化条件で加熱した。
【0046】
上記のようにして作製した試験基板を、30℃の酸性脱脂液((株)日本マクダーミッド製、Metex L−5Bの20体積%水溶液)に3分間浸漬して脱脂し、次いで流水中に3分間浸漬して水洗した。次に、試験基板を14.3質量%過硫酸アンモン水溶液に室温で3分間浸漬し、ソフトエッチを行い、次いで流水中に3分間浸漬して水洗した。10体積%硫酸水溶液に室温で試験基板を1分間浸漬した後、流水中に30秒〜1分間浸漬して水洗した。次いで、試験基板を30℃の触媒液((株)メルテックス製、メタルプレートアクチベーター350の10体積%水溶液)に7分間浸漬し、触媒付与を行った後、流水中に3分間浸漬して水洗した。触媒付与を行った試験基板を、85℃のニッケルめっき液((株)メルテックス製、メルプレートNi−865Mの20体積%水溶液、pH4.6)に20分間浸漬して、無電解ニッケルめっきを行った。10体積%硫酸水溶液に室温で試験基板を1分間浸漬した後、流水中に30秒〜1分間浸漬して水洗した。次いで、試験基板を95℃の金めっき液((株)メルテックス製、オウロレクトロレスUP 15体積%とシアン化金カリウム3体積%の水溶液、pH6)に10分間浸漬して無電解金めっきを行った後、流水中に3分間浸漬して水洗し、また60℃の温水に3分間浸漬して湯洗した。充分に水洗後、水をよくきり、乾燥し、開口部に対応する位置の銅パッド部上に無電解金めっきした試験基板を得た。
その後、水酸化ナトリウム水溶液(3質量%、液温50℃)の剥離液にて現像残膜を除去して、めっき処理した実装可能な銅パッド部と、めっき処理していない銅パッド部を有するプリント配線板を得た。
【0047】
上記の通り、本発明のプリント配線板の製造方法によれば、めっきレジストを用いずに、より簡単な工程により、金めっきを含む下地処理が施された銅パッド部と、金めっきを含む下地処理をしていない銅パッド部を有するプリント配線板を製造することができることがわかる。
【符号の説明】
【0048】
1 配線基板
2 導体回路
3 塗膜
31 完全反応部
32 不完全反応部
32A 現像残膜
33 未反応部
4 マスク
41 透過性部
42 半透過性部
43 非透過性部
51 第1パッド部
52 第2パッド部
6 めっき
図1