(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
本実施の形態に係るフォトマスクの製造方法により製造されるフォトマスクは、例えば、透光部と遮光部とを有するバイナリ型フォトマスク、反射部を有する反射型マスク、光の干渉を利用した位相シフト型フォトマスクなどとすることができる。位相シフト型フォトマスクは、例えば、ハーフトーン型位相シフトマスク、レベンソン型位相シフトマスク、クロムレス型位相シフトマスクなどとすることができる。
以下においては、一例として、バイナリ型フォトマスクを製造する場合を例示する。
【0010】
図1(a)〜(c)は、本実施の形態に係るフォトマスクの製造方法を例示するための模式工程断面図である。
図2(a)〜(d)は、本実施の形態に係るフォトマスクの製造方法を例示するための模式工程断面図である。
なお、
図2(a)は、
図1(c)に続く工程を例示するための模式工程断面図である。
【0011】
フォトマスクの製造に用いられるマスクブランク1は、基板2、遮光膜3、第1のハードマスク膜4、および第2のハードマスク膜5を有する。
基板2は、平板状を呈するものとすることができる。基板2の平面形状は、例えば、四角形とすることができる。基板2は、透光性材料から形成されている。基板2の材料は、例えば、石英、低熱膨張材料(LTEM;Low Thermal Expansion Material)、蛍石、フッ化カルシウムなどとすることができる。なお、品質の安定性などを考慮すると、基板2の材料は、石英または低熱膨張材料とすることが好ましい。なお、以下においては、基板2の材料が石英の場合を例示する。
【0012】
遮光膜3は、基板2の一方の面に設けられている。遮光膜3は、例えば、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、シリコン(Si)、または、これらの元素の窒化物、酸化物、または酸化窒化物、あるいは、モリブデンシリサイド(MoSi)などを含むものとすることができる。なお、以下においては、遮光膜3がモリブデンシリサイドを含む場合を例示する。遮光膜3の厚みは、例えば、40nm〜100nm程度とすることができる。
【0013】
第1のハードマスク膜4は、遮光膜3の、基板2側とは反対側の面に設けられている。第1のハードマスク膜4は、例えば、クロムを含むものとすることができる。第1のハードマスク膜4の厚みは、例えば、40nm〜100nm程度とすることができる。
【0014】
第2のハードマスク膜5は、第1のハードマスク膜4の、遮光膜3側とは反対側の面に設けられている。第2のハードマスク膜5は、例えば、第1のハードマスク膜4の材料よりもエッチングされにくい材料を含むものとすることができる。第1のハードマスク膜4は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどを含むものとすることができる。以下においては、第2のハードマスク膜5が酸窒化シリコンを含む場合を例示する。第2のハードマスク膜5の厚みは、例えば、2nm〜10nm程度とすることができる。
【0015】
なお、基板2の、遮光膜3が設けられる側とは反対側の面に図示しない導電膜を設けることもできる。導電膜は、例えば、窒化クロム(CrN)などを含むものとすることができる。導電膜が設けられていれば、静電チャックによるフォトマスクブランク1、フォトマスク11の保持が容易となる。
遮光膜3、第1のハードマスク膜4、第2のハードマスク膜5、および導電膜は、例えば、スパッタリングにより形成することができる。これらの膜の形成には既知の技術を適用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0016】
まず、
図1(a)に示すように、マスクブランク1の、基板2側とは反対側の面(第2のハードマスク膜5の上面)にレジストマスク6を形成する。
例えば、第2のハードマスク膜5の上面にEBレジスト(電子線直接描画用のレジスト)を塗布する。
そして、電子線描画装置を用いて所望のパターンを描画し、ポスト・エクスポージャー・ベーク(PEB;Post Exposure Bake)、現像などを行うことで複数のパターン6aとエッチング制御部6bとを有するレジストマスク6を形成する。
複数のパターン6aは、マスクブランク1の中央領域に設けられている。なお、複数のパターン6aの数、形状、配置などは例示をしたものに限定されるわけではない。
エッチング制御部6bは、複数のパターン6aが設けられた領域を囲んでいる。エッチング制御部6bの平面形状は、四角形の枠状とすることができる。
【0017】
次に、
図1(b)に示すように、レジストマスク6をエッチングマスクとして第2のハードマスク膜5をエッチングして、第2のハードマスク15を形成する。
酸窒化シリコンを含む第2のハードマスク膜5をエッチングする際には、例えば、フッ素を含むガスを用いたプラズマ処理を行うことができる。フッ素を含むガスは、単ガスでもよいし、混合ガスでもよい。例えば、フッ素を含むガスは、CHF
3のみとすることができる。また、フッ素を含むガスは、例えば、CHF
3とCF
4の混合ガスとすることができる。この場合、混合ガス(CHF
3+CF
4)に占めるCHF
3の割合を50重量パーセント以上とすることができる。
第2のハードマスク膜5にはレジストマスク6の形態が転写されるので、第2のハードマスク15には、複数のパターン15aとエッチング制御部15bとが形成される。
【0018】
次に、
図1(c)に示すように、レジストマスク6を除去する。レジストマスク6の除去は、例えば、ドライアッシング処理やウェットアッシング処理などにより行うことができる。ドライアッシング処理は、例えば、酸素を含むガスを用いたドライアッシング処理(例えば、酸素プラズマを用いたプラズマアッシング処理)とすることができる。ウェットアッシング処理は、例えば、硫酸などの薬液を用いたウェット処理とすることができる。
【0019】
次に、
図2(a)に示すように、第2のハードマスク15をエッチングマスクとして第1のハードマスク膜4をエッチングして、第1のハードマスク14を形成する。
クロムを含む第1のハードマスク膜4をエッチングする際には、例えば、塩素を含むガスを用いたプラズマ処理を行うことができる。塩素を含むガスは、例えば、塩素ガスと酸素ガスの混合ガスとすることができる。この場合、混合ガス(Cl
2+O
2)に占める酸素ガスの割合を10重量パーセント以上、30重量パーセント以下とすることができる。
第1のハードマスク膜4には第2のハードマスク15の形態が転写されるので、第1のハードマスク14には、複数のパターン14aとエッチング制御部14bとが形成される。
なお、第1のハードマスク膜4をエッチングする際におけるエッチング制御部15bの作用については後述する。
【0020】
次に、
図2(b)に示すように、第2のハードマスク15を除去する。第2のハードマスク15の除去は、例えば、フッ素を含むガスを用いたプラズマ処理により行うことができる。フッ素を含むガスは、例えば、フッ素を含むガスとキャリアガスの混合ガスとすることができる。フッ素を含むガスは、例えば、SF
6とヘリウムガスの混合ガスとすることができる。この場合、混合ガス(SF
6+He)に占めるSF
6の割合を1重量パーセント以上、50重量パーセント以下とすることができる。
【0021】
次に、
図2(c)に示すように、第1のハードマスク14をエッチングマスクとして遮光膜3をエッチングして、遮光部13を形成する。
モリブデンシリサイドを含む遮光膜3をエッチングする際には、例えば、フッ素を含むガスを用いたプラズマ処理を行うことができる。フッ素を含むガスは、例えば、フッ素を含むガスとキャリアガスの混合ガスとすることができる。フッ素を含むガスは、例えば、SF
6とヘリウムガスの混合ガスとすることができる。この場合、混合ガス(SF
6+He)に占めるSF
6の割合を1重量パーセント以上、50重量パーセント以下とすることができる。
遮光膜3には、第1のハードマスク14の形態が転写されるので、遮光部13には、複数のパターン13aと枠部13bとが形成される。
【0022】
次に、
図2(d)に示すように、第1のハードマスク14を除去する。第1のハードマスク14の除去は、例えば、塩素を含むガスを用いたプラズマ処理により行うことができる。塩素を含むガスは、例えば、塩素ガスと酸素ガスの混合ガスとすることができる。この場合、混合ガス(Cl
2+O
2)に占める酸素ガスの割合を10重量パーセント以上、30重量パーセント以下とすることができる。
以上の様にして、フォトマスク11が製造される。
【0023】
次に、エッチング制御部15bの作用について説明する。
図3は、第2のハードマスク15の模式平面図である。
なお、
図3は、
図1(c)における第2のハードマスク15をA−A線方向から見た図である。
前述したように、第2のハードマスク15をエッチングマスクとして、クロムを含む第1のハードマスク膜4をエッチングする際には、塩素を含むガスを用いたプラズマ処理を行うことができる。
【0024】
この場合、
図3に示すように、マスクブランク1の中央領域には複数のパターン15aのみが形成されている。そのため、第1のハードマスク膜4をエッチングする工程において、中央領域における単位面積あたりに占める第1のハードマスク膜4の露出面積が、周縁領域における単位面積あたりに占める第1のハードマスク膜4の露出面積よりも大きくなる。なお、「露出面積」とは、第1のハードマスク膜4をエッチングする工程において露出しているハードマスク膜の面積である。その結果、マスクブランク1の中央領域においては、クロムのエッチングに用いられる塩素ラジカルの消費量が多くなり、中央領域の上方の空間に存在する塩素ラジカルの量が不足気味となる。塩素ラジカルの量が不足気味になると、エッチングレートが低下する。
【0025】
一方、マスクブランク1の周縁領域には、枠状のエッチング制御部15bが設けられている。そのため、第1のハードマスク膜4をエッチングする工程において、周縁領域における単位面積あたりに占める第1のハードマスク膜4の露出面積が、中央領域における単位面積あたりに占める第1のハードマスク膜4の露出面積よりも小さくなる。また、エッチング制御部15bは酸窒化シリコンを含むため、塩素を含むガスを用いたプラズマ処理ではエッチングされない。その結果、エッチング制御部15bの近傍においては、クロムのエッチングに用いられる塩素ラジカルの消費量が少なくなり、マスクブランク1の周縁領域、すなわちエッチング制御部15bの近傍の上方の空間に存在する塩素ラジカルの量が、中央領域における塩素ラジカルの量よりも多くなる。塩素ラジカルの量が多ければ、エッチングレートは高くなる。
以上に説明したように、エッチング制御部15bの近傍におけるエッチングレートは、中央領域におけるエッチングレートよりも高くなりやすくなる。
【0026】
このことは、枠状のエッチング制御部を設ければ、エッチング制御部の近傍の上方の空間に存在するエッチャントの分圧を制御することができることを意味する。
また、エッチング制御部の材料、エッチング制御部の幅W、および、エッチング制御部と最も外側に形成されるパターンとの間の距離Lの少なくともいずれかを変化させることで、エッチング制御部の近傍におけるエッチング対象膜のエッチングレートの制御、ひいてはエッチングの面内均一性の向上を図ることができる。
【0027】
例えば、エッチング対象のクロムよりもエッチングされにくい材料(例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンなど)を含むエッチング制御部とし、幅Wおよび距離Lの少なくともいずれかを変化させることで、エッチング制御部の近傍におけるエッチング対象膜の露出面積(エッチング面積)を変化させる。そして、露出面積を変化させることで、エッチングに消費される塩素ラジカルの量、ひいてはエッチャントの分圧を変化させることができる。エッチャントの分圧を変化させることができれば、エッチングレートを制御することができる。
【0028】
図4(a)、(b)は、エッチング制御部15bの作用を例示するための模式図である。
図4(a)は、幅W1が幅Wよりも狭い場合を例示するための模式平面図である。
図4(b)は、
図4(a)のB−B線方向におけるエッチングレートを例示するためのグラフ図である。
図4(a)に示すように、エッチング制御部15bの幅W1が狭くなれば、エッチング制御部15bの周辺におけるエッチング対象膜の露出面積が大きくなるので、塩素ラジカルの消費量が増える。そのため、エッチング制御部15bの近傍の上方の空間に存在する塩素ラジカルの量が少なくなる。その結果、
図4(b)に示すように、エッチング制御部15bの近傍におけるエッチングレートが、中央領域におけるエッチングレートよりも低くなる。
【0029】
図5(a)、(b)は、エッチング制御部15bの作用を例示するための模式図である。
図5(a)は、幅W2が幅Wよりも広い場合を例示するための模式平面図である。
図5(b)は、
図5(a)のC−C線方向におけるエッチングレートを例示するためのグラフ図である。
図5(a)に示すように、エッチング制御部15bの幅W2が広くなれば、エッチング制御部15bの周辺におけるエッチング対象膜の露出面積が小さくなるので、塩素ラジカルの消費量が少なくなる。そのため、エッチング制御部15bの近傍の上方の空間に存在する塩素ラジカルの量が多くなる。その結果、
図5(b)に示すように、エッチング制御部15bの近傍におけるエッチングレートが、中央領域におけるエッチングレートよりも高くなる。
【0030】
また、エッチング制御部の材料を変化させることで、エッチャントの分圧を変化させることができる。例えば、エッチング制御部の材料を、酸素ラジカルと反応するレジストなどの樹脂とすれば、酸素ラジカルによりエッチング制御部がエッチングされる。そのため、酸素ラジカルを用いてエッチング処理を行う場合、例えば、処理ガスとして塩素ガスと酸素ガスの混合ガスを用いてエッチング処理を行う場合などにおいては、エッチング制御部の近傍の上方の空間に存在する酸素ラジカルの量が少なくなり、ひいてはエッチャントの分圧を変化させることができる。
【0031】
以上のことは、エッチング対象がクロムを含む場合に生じ易くなるが、エッチング対象が他の材料の場合にも適用することができる。例えば、エッチング制御部6b、エッチング制御部14bにも適用することができる。
また、
図4(a)、
図5(a)においては、枠状のエッチング制御部の1つの辺における幅が一定の場合を例示したが、エッチング制御部の1つの辺における幅が変化するようにしてもよい。
すなわち、複数のパターンが存在するマスクブランク1の中央領域におけるエッチングレートの分布に応じてエッチング制御部の幅を部分的に変化させることもできる。例えば、装置構造によりエッチングレートの分布が偏っている場合、エッチング制御部の幅を変化させることで、エッチングレートを均一にすることができる。また、例えば、中央領域におけるパターンの粗密さに応じてエッチングレートの分布が偏っている場合、エッチング制御部の幅を変化させることで、エッチングレートを均一にすることができる。
また、一の辺の幅が、他の辺の幅とは異なるようにしてもよい。
【0032】
図6(a)、(b)は、エッチング制御部15bの幅の変化を例示するための模式平面図である。
枠状を呈するエッチング制御部15bの場合には、エッチング制御部15bの角部において2つの辺が交差する。そのため、エッチング制御部15bの角部の近傍においては、エッチングレートに対するエッチング制御部15bの作用が大きくなる場合がある。
この場合、エッチング制御部15bの角部の近傍における幅を、角部から離れた位置における幅と異なるものとすることでエッチングレートの調整を行うことができる。
【0033】
例えば、
図6(a)に示すように、エッチング制御部15bの角部の近傍における幅W1を、角部から離れた位置における幅Wよりも狭くすることができる。
また、
図6(b)に示すように、エッチング制御部15bの角部の近傍における幅W2を、角部から離れた位置における幅Wよりも広くすることができる。
【0034】
以上に説明したように、本実施の形態に係るフォトマスクの製造方法は、エッチング対象膜の上にエッチングマスクを形成する工程と、エッチングマスクを用いて膜をエッチングする工程と、を備えている。
エッチングマスクは、複数のパターンと、複数のパターンを囲むエッチング制御部と、を有している。
そして、エッチングマスクを形成する工程において、エッチング制御部の材料、エッチング制御部の幅、および、エッチング制御部と最も外側に形成されるパターンとの間の距離、の少なくともいずれかを変化させる。
膜をエッチングする工程において、エッチング制御部の上方の空間に存在するエッチャントの分圧を変化させる。
この場合、エッチャントの分圧を変化させることでエッチング制御部の近傍におけるエッチングレートの制御を行う。
【0035】
次に、前述したドライエッチング処理を行うのに好適なプラズマ処理装置50について説明する。
図7は、プラズマ処理装置50を例示するための模式断面図である。
図7に示すように、プラズマ処理装置50には、処理容器51、載置部52、電源部53、電源部54、減圧部55、ガス供給部56、および制御部57が設けられている。
【0036】
処理容器51は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造となっている。 処理容器51は、本体部51aおよび窓部51bを有する。
本体部51aは、略円筒形状を呈している。本体部51aは、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。また、本体部51aは、接地されている。
本体部51aの内部には、マスクブランク1をエッチング処理するための空間であるプラズマ処理空間51cが設けられている。
本体部51aには、マスクブランク1を搬入搬出するための搬入搬出口51dが設けられている。搬入搬出口51dは、ゲートバルブ51eにより気密に閉鎖できるようになっている。
【0037】
窓部51bは、板状を呈し、本体部51aの天板に設けられている。窓部51bは、電磁場を透過させることができ、且つ、エッチング処理を行った際にエッチングされにくい材料から形成されている。窓部51bは、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0038】
載置部52は、処理容器51の内部であって、処理容器51(本体部51a)の底面の上に設けられている。
載置部52は、電極52a、台座52b、および絶縁リング52cを有する。
電極52aは、プラズマ処理空間51cの下方に設けられている。電極52aの上面はマスクブランク1を載置するための載置面となっている。電極52aは、金属などの導電性材料から形成することができる。
【0039】
台座52bは、電極52aと、本体部51aの底面の間に設けられている。台座52bは、電極52aと、本体部51aの間を絶縁するために設けられている。台座52bは、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0040】
絶縁リング52cは、リング状を呈し、電極52aの側面、および台座52bの側面を覆うように設けられている。絶縁リング52cは、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0041】
電源部53は、電源53aおよび整合器53bを有する。
電源部53は、いわゆるバイアス制御用の高周波電源である。すなわち、電源部53は、載置部52上の、マスクブランク1に引き込むイオンのエネルギーを制御するために設けられている。電極52aと電源53aは、整合器53bを介して電気的に接続されている。
【0042】
電源53aは、イオンを引き込むために適した比較的低い周波数(例えば、13.56MHz以下の周波数)を有する高周波電力を電極52aに印加する。
整合器53bは、電極52aと電源53aの間に設けられている。整合器53bは、電源53a側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路などを備えている。
【0043】
電源部54は、電極54a、電源54b、および整合器54cを有する。
電源部54は、プラズマPを発生させるための高周波電源である。すなわち、電源部54は、プラズマ処理空間51cにおいて高周波放電を生じさせてプラズマPを発生させるために設けられている。
本実施の形態においては、電源部54が、処理容器51の内部にプラズマPを発生させるプラズマ発生部となる。
電極54a、電源54b、および整合器54cは、配線により電気的に接続されている。
【0044】
電極54aは、処理容器51の外部であって、窓部51bの上に設けられている。
電極54aは、電磁場を発生させる複数の導体部と複数の容量部(コンデンサ)とを有したものとすることができる。
【0045】
電源54bは、100KHz〜100MHz程度の周波数を有する高周波電力を電極54aに印加する。この場合、電源54bは、プラズマPの発生に適した比較的高い周波数(例えば、13.56MHzの周波数)を有する高周波電力を電極54aに印加する。
また、電源54bは、出力する高周波電力の周波数を変化させるものとすることもできる。
【0046】
整合器54cは、電極54aと電源54bの間に設けられている。整合器54cは、電源54b側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路などを備えている。
【0047】
プラズマ処理装置50は、上部に誘導結合型電極を有し、下部に容量結合型電極を有する二周波プラズマエッチング装置である。
ただし、プラズマの発生方法は例示をしたものに限定されるわけではない。
プラズマ処理装置50は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を用いたプラズマ処理装置や、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)を用いたプラズマ処理装置などであってもよい。
【0048】
減圧部55は、ポンプ55aおよび圧力制御部55bを有する。
減圧部55は、処理容器51の内部が所定の圧力となるように減圧する。ポンプ55aは、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)などとすることができる。ポンプ55aと圧力制御部55bは、配管を介して接続されている。
【0049】
圧力制御部55bは、処理容器51の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、処理容器51の内圧が所定の圧力となるように制御する。
圧力制御部55bは、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。圧力制御部55bは、配管を介して、本体部51aに設けられた排気口51fに接続されている。
【0050】
ガス供給部56は、処理容器51の内部のプラズマ処理空間51cにガスGを供給する。
ガス供給部56は、ガス収納部56a、ガス制御部56b、および開閉弁56cを有する。
ガス収納部56aは、ガスGを収納し、収納したガスGを処理容器51の内部に供給する。ガス収納部56aは、例えば、ガスGを収納した高圧ボンベなどとすることができる。ガス収納部56aとガス制御部56bは、配管を介して接続されている。
【0051】
ガス制御部56bは、ガス収納部56aから処理容器51の内部にガスGを供給する際に流量や圧力などを制御する。ガス制御部56bは、例えば、MFC(Mass Flow Controller)などとすることができる。ガス制御部56bと開閉弁56cは、配管を介して接続されている。
【0052】
開閉弁56cは、配管を介して、処理容器51に設けられたガス供給口51gに接続されている。開閉弁56cは、ガスGの供給と停止を制御する。開閉弁56cは、例えば、2ポート電磁弁などとすることができる。なお、開閉弁56cの機能をガス制御部56bに持たせることもできる。
【0053】
ガスGは、プラズマPにより励起、活性化された際に、マスクブランク1の露出面をエッチングすることができるラジカルが生成されるものとすることができる。ガスGは、例えば、塩素を含むガス、フッ素を含むガスなどとすることができる。ガスGは、例えば、塩素ガスと酸素ガスの混合ガス、CHF
3、CHF
3とCF
4の混合ガス、SF
6とヘリウムガスの混合ガスなどとすることができる。
【0054】
制御部57は、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを備えている。
制御部57は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、プラズマ処理装置50に設けられた各要素の動作を制御する。なお、各要素の動作を制御する制御プログラムには既知の技術を適用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0055】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ処理装置50が備える構成要素の形状、寸法、材料、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。