(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電子機器では、小型化が著しく進んでいる。これに伴い、電子機器内部の回路基板に実装されるフローティング構造を用いたコネクタに対しても、さらなる小型化が要求される。より具体的には、電子機器を小型化するために、電子機器内部の基板同士が接続されている際の基板間距離を短くする必要がある。したがって、基板同士を接続する際に使用されるフローティング構造を用いたコネクタの低背化が要求される。
【0006】
加えて、電子機器では、情報量の増加及び通信速度の高速化も進んでいる。フローティング構造を用いたコネクタにおいても、このような大容量かつ高速伝送に対応した設計が求められる。
【0007】
コネクタがさらに低背化された場合、伝送特性を向上させるためにコンタクトの形状に工夫を施すことが困難となる。伝送規格を満足させるためにコンタクトの形状に工夫を施している特許文献1に記載のリセプタクルコネクタでは、さらなる低背化及び大容量高速伝送への対応を共に実現することは困難である。したがって、コネクタがさらに低背化された場合であっても大容量高速伝送に対応できるためには、異なる設計が必要となる。
【0008】
このような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、フローティング構造を有し、かつ低背化された場合であっても、信号伝送における伝送特性が向上するコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の観点に係るコネクタは、
接続対象物と嵌合するコネクタであって、
第1インシュレータと、
前記第1インシュレータに対して相対的に移動可能である第2インシュレータと、
前記第1インシュレータ及び前記第2インシュレータに取り付けられ、前記第1インシュレータと前記第2インシュレータとを連結する連結部を有するコンタクトと、
を備え、
前記連結部は、前記第2インシュレータの外面と対向し、
前記第2インシュレータは、前記外面において最も前記連結部側に位置する部分を含む調整部を有し、
前記調整部と前記連結部との間隔は、前記外面における他の部分と前記連結部との間隔よりも小さい。
【0010】
第2の観点に係るコネクタでは、
前記調整部は、前記外面において前記連結部側に突出し、
前記調整部と前記連結部との間隔は、前記コネクタと前記接続対象物との嵌合側における、前記外面と前記連結部との間隔よりも小さい。
【0011】
第3の観点に係るコネクタでは、
前記第2インシュレータは、前記調整部が形成されている位置において、前記嵌合側よりも前記調整部の突出方向に幅広である。
【0012】
第4の観点に係るコネクタでは、
前記調整部は、前記嵌合側と反対側に向けて前記調整部の突出方向に傾斜する傾斜面を含む。
【0013】
第5の観点に係るコネクタでは、
前記調整部は、前記コネクタと前記接続対象物との嵌合方向において、前記連結部の配置領域内に位置する。
【0014】
第6の観点に係るコネクタでは、
前記コンタクトは複数配列されており、
前記調整部は、前記コンタクトの配列方向に延在しており、複数の前記コンタクトが配列されている領域を含む。
【0015】
第7の観点に係るコネクタでは、
前記コンタクトは、
前記連結部において前記嵌合側と反対側の端部から屈曲しながら延出する弾性部と、
前記弾性部から前記コネクタの内側に向けて延出する基部と、
をさらに有する。
【0016】
第8の観点に係るコネクタでは、
前記調整部を含む前記第2インシュレータにおける前記嵌合側と反対側の底面は、前記コンタクトの前記基部と略平行である。
【0017】
第9の観点に係るコネクタでは、
前記連結部は、前記弾性部よりも高い電気伝導性を有する幅広部を有する。
【0018】
第10の観点に係るコネクタでは、
前記連結部は、前記外面に向けて屈曲する屈曲部を有する。
【0019】
第11の観点に係る電子機器は、
上記のいずれかのコネクタを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態に係るコネクタによれば、フローティング構造を有し、かつ低背化された場合であっても、信号伝送における伝送特性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準とする。各矢印の方向は、
図1乃至
図8、
図11乃至
図13において、異なる図面同士で互いに整合している。各矢印の方向は、
図9及び
図10同士で互いに整合している。図面によっては、簡便な図示を目的として、回路基板CB1及びCB2の図示を省略する。
【0023】
図1は、一実施形態に係るコネクタ10と接続対象物70とが接続されている状態を上面視により示した外観斜視図である。
図2は、一実施形態に係るコネクタ10と接続対象物70とが分離している状態を上面視により示した外観斜視図である。
【0024】
以下の説明では、一実施形態に係るコネクタ10はプラグコネクタであり、接続対象物70はリセプタクルコネクタであるとして説明する。より具体的には、コネクタ10と接続対象物70とが接続される際に、コンタクト60が弾性変形しないコネクタ10をプラグコネクタとし、コンタクト100が弾性変形する接続対象物70をリセプタクルコネクタとして説明する。コネクタ10及び接続対象物70の種類は、これに限定されない。コネクタ10がリセプタクルコネクタの役割を果たし、接続対象物70がプラグコネクタの役割を果たしてもよい。
【0025】
以下の説明では、コネクタ10及び接続対象物70は、回路基板CB1及びCB2にそれぞれ実装され、一例としてこれらに対して互いに垂直方向に接続されるとして説明する。より具体的には、コネクタ10及び接続対象物70は、一例として上下方向に沿って接続される。コネクタ10及び接続対象物70の接続方法は、これに限定されない。コネクタ10及び接続対象物70は、回路基板CB1及びCB2に対して、それぞれ平行方向に接続されてもよいし、一方が垂直方向、他方が平行方向による組み合わせで接続されてもよい。
【0026】
回路基板CB1及びCB2は、リジッド基板であってよいし、又はそれ以外の任意の回路基板であってもよい。例えば、回路基板CB1又はCB2は、フレキシブルプリント回路基板(FPC)であってもよい。
【0027】
以下の説明中で使用する「嵌合方向」は、一例として上下方向を含む。「嵌合側」は、一例として上側を含む。「嵌合側と反対側」は、一例として下側を含む。「コンタクト60の配列方向」は、一例として左右方向を含む。「コンタクト60の配列方向と略直交する方向」は、一例として前後方向と前後方向に近似する方向とを含む。「調整部38の突出方向」は、一例として前後方向を含む。
【0028】
一実施形態に係るコネクタ10は、フローティング構造を有している。コネクタ10は、接続されている接続対象物70の回路基板CB1に対する相対的な移動を許容する。すなわち、接続対象物70は、コネクタ10と接続されている状態であっても、回路基板CB1に対して所定の範囲内で動くことができる。
【0029】
図3は、一実施形態に係るコネクタ10を上面視により示した外観斜視図である。
図4は、
図3のコネクタ10の上面視による分解斜視図である。
図5は、
図3のコネクタ10の底面図である。
図6は、
図3のVI−VI矢線に沿った断面斜視図である。
図7は、
図3のVI−VI矢線に沿った断面図である。
図8は、一対のコンタクト60を示した正面図である。
【0030】
図3乃至
図8を参照しながら、コンタクト60が弾性変形しない状態における一実施形態に係るコネクタ10の構成について主に説明する。
【0031】
図4に示すとおり、コネクタ10は、大きな構成要素として、第1インシュレータ20と、第2インシュレータ30と、金具40と、遮蔽部材50と、コンタクト60と、を有する。コネクタ10は、一例として以下の方法で組み立てられる。第1インシュレータ20に対して下方から金具40を圧入する。第1インシュレータ20に対して下方からその内側に第2インシュレータ30を配置する。第1インシュレータ20に対して上方から遮蔽部材50を圧入する。第1インシュレータ20及び第2インシュレータ30に対して下方からコンタクト60を圧入する。
【0032】
図4乃至
図7に示すとおり、第1インシュレータ20は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂料を射出成形した、角筒状の部材である。第1インシュレータ20は、中空であり、上面及び下面に開口21a及び21bをそれぞれ有する。第1インシュレータ20は、4つの側面を含み、内部の空間を囲繞する外周壁22を有する。第1インシュレータ20は、外周壁22の左右両端部それぞれの下面から上方に向けて第1インシュレータ20の内部に凹設されている第1取付溝23aを有する。第1取付溝23aには、金具40が取り付けられる。第1インシュレータ20は、外周壁22の4つの角部それぞれの上面から下方に向けて第1インシュレータ20の内部に凹設されている第2取付溝23bを有する。第2取付溝23bには、遮蔽部材50が取り付けられる。
【0033】
第1インシュレータ20は、外周壁22の前面及び後面それぞれの下縁部から下面及び内面にわたって形成されている複数のコンタクト取付溝24を有する。複数のコンタクト取付溝24は、左右方向に並んで凹設されている。コンタクト取付溝24は、第1インシュレータ20の内面において、嵌合方向に延在する。複数のコンタクト取付溝24には、複数のコンタクト60がそれぞれ取り付けられる。
【0034】
第1インシュレータ20は、内部において外周壁22の4つの角部から前後左右の内側方向にそれぞれ突出する4つの抜止部25を有する。抜止部25は、第1インシュレータ20に対する第2インシュレータ30の上方への抜けを抑制する。
【0035】
第2インシュレータ30は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂料を射出成形した、左右方向に延在する部材である。第2インシュレータ30は、左右方向からの側面視において略凸字状に形成されている。第2インシュレータ30は、底面を含む下部を構成する底部31を有する。第2インシュレータ30は、4つの側面を含み、内部の空間を囲繞する外周壁32を有する。
【0036】
第2インシュレータ30は、底部31から上方に突出し、接続対象物70と嵌合する嵌合凸部33を有する。第2インシュレータ30は、上面から凹設されている嵌合凹部34を有する。外周壁32は、嵌合凸部33及び嵌合凹部34を前後左右方向から囲繞する。嵌合凸部33は、嵌合凹部34の内部に配置されている。第2インシュレータ30は、嵌合凹部34の内部の左右両端部それぞれにおいて、前側で突設されている突出部35を有する。より具体的には突出部35は、外周壁32の内周から嵌合凸部33に向かって突出している。第2インシュレータ30は、嵌合凹部34の上縁部において、嵌合凹部34を囲繞するように形成されている誘い込み部36を有する。誘い込み部36は、嵌合凹部34の上縁部において下方に向けて斜め内側に傾斜する傾斜面を含む。
【0037】
第2インシュレータ30は、底部31の底面から、その内部及び嵌合凸部33の前後両面それぞれにわたって形成されている複数のコンタクト取付溝37を有する。複数のコンタクト取付溝37は、左右方向に並んで凹設されている。コンタクト取付溝37は、底部31の底面から嵌合凸部33の上端まで上下方向に延在する。複数のコンタクト取付溝37には、複数のコンタクト60がそれぞれ取り付けられる。
【0038】
第2インシュレータ30は、外周壁32の前後の外面32aにおいて最も外側に位置する部分を含む調整部38を有する。例えば、調整部38は、外周壁32の前後の外面32aそれぞれにおいて外側に突出する。調整部38は、複数のコンタクト60が配列されている領域を含むように、コンタクト60の配列方向に延在する。第2インシュレータ30は、調整部38が形成されている位置において、嵌合側よりも調整部38の突出方向に幅広である。調整部38は、嵌合側と反対側に向けて調整部38の突出方向に傾斜する傾斜面を含む。より具体的には、調整部38は、外面32aの上下方向略中央部から下縁部まで下方に向けて外側に傾斜する傾斜面を含む。
【0039】
第2インシュレータ30は、外周壁32の前後の外面32aそれぞれの左右両端部から外側に突出する2つの被抜止部39を有する。被抜止部39は、第2インシュレータ30が上方へ過剰に移動した場合に、第1インシュレータ20の抜止部25と接触する。
【0040】
図4に示すとおり、金具40は、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図に示す形状に成形加工したものである。金具40の全体は、前後方向からの正面視において、略J字状に形成されている。金具40は第1取付溝23aに圧入され、第1インシュレータ20の左右両端部それぞれに配置されている。
【0041】
金具40は、その本体を構成する基部41と、基部41の前後両縁部それぞれに形成されている係止部42と、を有する。係止部42が第1インシュレータ20の第1取付溝23aに係止することで、金具40が第1インシュレータ20に対して固定される。金具40は、基部41から略U字状に外側に延出する実装部43を有する。
【0042】
遮蔽部材50は、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図に示す形状に成形加工したものである。遮蔽部材50は第2取付溝23bに圧入され、第1インシュレータ20の前後両側それぞれに配置されている。遮蔽部材50は、前後両側から第1インシュレータ20の略全体を覆うように左右方向に直線的に延在する。
【0043】
遮蔽部材50は、上下方向に幅を有し左右方向に直線的に延在する第1遮蔽部51を有する。第1遮蔽部51は、第1インシュレータ20の前後両面それぞれの略全体を外側から覆う。遮蔽部材50は、第1遮蔽部51の上縁部から屈曲しながら前後の内側方向に延出する第2遮蔽部52を有する。第2遮蔽部52は、前後方向に幅を有し左右方向に直線的に延在する。第2遮蔽部52は、第1インシュレータ20の上面の前後両縁部それぞれを上方から覆う。
【0044】
遮蔽部材50は、第1遮蔽部51の上縁部の左右両端それぞれから略逆U字状に内側に延出する係止部53を有する。係止部53が第1インシュレータ20の第2取付溝23bに係止することで、遮蔽部材50が第1インシュレータ20に対して固定される。遮蔽部材50は、第1遮蔽部51の下縁部の左右両端それぞれから略L字状に外側に延出する実装部54を有する。遮蔽部材50は、第1遮蔽部51の中央部の略全体が前後方向に向かって外側に隆起することで形成されている隆起部55を有する。
【0045】
図4乃至
図8に示すとおり、コンタクト60は、例えば、リン青銅、ベリリウム銅、若しくはチタン銅を含むばね弾性を備えた銅合金、又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図に示す形状に成形加工したものである。コンタクト60は、弾性変形に伴う形状変化が大きくなるように、弾性係数の小さい金属材料によって形成されている。コンタクト60の表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫等によるめっきが施されている。
【0046】
図4に示すとおり、コンタクト60は、左右方向に複数配列されている。
図6及び
図7に示すとおり、コンタクト60は、第1インシュレータ20及び第2インシュレータ30に取り付けられている。同一の左右位置に配列される一対のコンタクト60は、コンタクト60の配列方向と略直交する方向に沿って対称的に形成及び配置されている。より具体的には、一対のコンタクト60は、その間の中心を通る上下軸に対して互いに略線対称となるように形成及び配置されている。
【0047】
コンタクト60は、上下方向に延在する第1係止部61を有する。第1係止部61は、第1インシュレータ20に対して係止する。このとき、第1係止部61は、第1インシュレータ20のコンタクト取付溝24に収容されている。コンタクト60は、第1係止部61の下端部から略L字状に外方に延出する実装部62を有する。
【0048】
コンタクト60は、第1係止部61の上端部から内側に屈曲して斜め上方に延出し、再度屈曲して上方に延在する、弾性変形可能な第1弾性部63aを有する。コンタクト60は、第1弾性部63aと連続して形成され、上方に直線的に延在する第1連結部64を有する。コンタクト60は、第1連結部64の上端部から略逆U字状に屈曲しながら内側に延出する第2弾性部63bを有する。第2弾性部63bは、弾性変形可能である。
【0049】
コンタクト60は、第2弾性部63bと連続して形成され、下方に延在する第2連結部65を有する。第2連結部65は、第2インシュレータ30の外周壁32の前後方向の外面32aと対向する。第2連結部65は、第1インシュレータ20と第2インシュレータ30とを連結する。
図4にも示すとおり、第2連結部65は、第1弾性部63a、第2弾性部63b、及び後述する第3弾性部63cよりも左右方向に幅広な幅広部65aを有する。幅広部65aは、第2連結部65において、上半部及び下半部それぞれの略全体にわたって形成されている。第2連結部65は、第2インシュレータ30の外周壁32の前後方向の外面32aに向けて屈曲する屈曲部65bを有する。屈曲部65bは、第2連結部65の中央部において、一対の幅広部65aにより上下両側から挟まれている。屈曲部65bの断面積は、左右方向に一対の幅広部65aそれぞれの断面積よりも小さい。屈曲部65bの断面積は、第1弾性部63a、第2弾性部63b、及び後述する第3弾性部63cそれぞれの断面積と同等であるか、又はそれ以下である。上方から下方に向けて一対の幅広部65aのうちの一方、屈曲部65b、及び他方の幅広部65aの順に形成されている第2連結部65は、左右方向の正面視において略く字状に形成されている。
【0050】
コンタクト60は、第2連結部65の下端部から屈曲しながら内側に延出する第3弾性部63cを有する。第3弾性部63cは、弾性変形可能である。コンタクト60は、第3弾性部63cからコネクタ10の内側に向けて延出する基部66を有する。
【0051】
コンタクト60は、基部66の内側の端部から略L字状に延出する第2係止部67を有する。第2係止部67は、基部66から前後方向内側に直線的に延出した後、略直角に屈曲し、上下方向に沿って嵌合側へと直線的に延出する。第2係止部67は、第2インシュレータ30に対して係止する。このとき、第2係止部67の略全体は、第2インシュレータ30のコンタクト取付溝37に収容されている。コンタクト60は、第2係止部67の前後方向の外面によって形成され、嵌合の際に接続対象物70のコンタクト100と接触する接触部68を有する。接触部68は、第2インシュレータ30のコンタクト取付溝37から前後方向外側に向けて露出する。
【0052】
図4及び
図5に示すとおり、実装部62、第1弾性部63a、第2弾性部63b、屈曲部65b、第3弾性部63c、及び接触部68は、コンタクト60の他の部分よりも左右方向に幅狭に形成されている。これにより、第1弾性部63a、第2弾性部63b、及び第3弾性部63cの弾性係数が小さくなり、一定の力が加わった場合により大きな弾性変形量が得られる。屈曲部65bにおける曲げ加工が容易になる。逆に、第1係止部61の一部、第1連結部64、幅広部65a、基部66、及び第2係止部67の一部は、コンタクト60の他の部分よりも左右方向に幅広に形成されている。これにより、第1係止部61及び第2係止部67が、第1インシュレータ20及び第2インシュレータ30に対してそれぞれ係止しやすくなる。第1連結部64、幅広部65a、及び基部66における特性インピーダンスが低下し、コンタクト60における伝送特性が向上する。
【0053】
図7に示すとおり、調整部38は、嵌合方向において、第2連結部65の配置領域R内に位置する。第2インシュレータ30の調整部38は、外周壁32の外面32aにおいてコンタクト60の第2連結部65側に突出する。調整部38と第2連結部65との間隔は、外周壁32の外面32aにおける他の部分と第2連結部65との間隔よりも小さい。例えば、調整部38と第2連結部65との間隔は、調整部38の位置よりも嵌合側における、外周壁32の外面32aと第2連結部65との間隔よりも小さい。より具体的には、外周壁32の下半部において傾斜面を含むように形成されている調整部38と第2連結部65の下半部の幅広部65aとの間隔は、上下方向に平行に延在している外周壁32の上半部と第2連結部65の上半部の幅広部65aとの間隔よりも小さい。外周壁32の上半部と第2連結部65の上半部の幅広部65aとの間隔は、幅広部65aが下方に向けて内側に傾斜しているために、上方から下方に向けて次第に小さくなる。一方で、調整部38と第2連結部65の下半部の幅広部65aとの間隔は、調整部38の傾斜面における傾斜と幅広部65aにおける傾斜とが略同一となるために、上下方向にわたって略同一である。すなわち、調整部38の傾斜面と幅広部65aとは略平行である。加えて、調整部38とコンタクト60の基部66との間隔は、前後方向にわたって略同一である。すなわち、調整部38における嵌合側と反対側の面は、基部66と略平行である。より具体的には、調整部38の下面、すなわち第2インシュレータ30の底部31の底面は、基部66と略平行である。
【0054】
以上のような構造のコネクタ10では、回路基板CB1の実装面に形成された回路パターンに対して、コンタクト60の実装部62がはんだ付けされる。当該実装面に形成された接地パターン等に対して、金具40の実装部43及び遮蔽部材50の実装部54がはんだ付けされる。以上により、コネクタ10は、回路基板CB1に対して実装される。回路基板CB1の実装面には、例えば、CPU、コントローラ、及びメモリ等を含むコネクタ10とは別の電子部品が実装される。
【0055】
図9は、
図3のコネクタ10と接続される接続対象物70を上面視により示した外観斜視図である。
図10は、
図9の接続対象物70の上面視による分解斜視図である。
【0056】
図9及び
図10を参照しながら、一実施形態に係るコネクタ10と接続される接続対象物70の構成について主に説明する。
【0057】
図10に示すとおり、接続対象物70は、大きな構成要素として、インシュレータ80と、金具90と、コンタクト100と、を有する。接続対象物70は、一例として、インシュレータ80に対して下方から金具90及びコンタクト100を圧入することで組み立てられる。
【0058】
インシュレータ80は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂料を射出成形した、略四角柱状の部材である。インシュレータ80は、上面に形成されている嵌合凹部81を有する。インシュレータ80は、
図2にも示すとおり、底面の左右両端部で上下方向に沿ってインシュレータ80の内部に凹設されている金具取付溝82を有する。金具取付溝82には、金具90が取り付けられる。インシュレータ80は、左右両端部それぞれの前側を切り欠いて形成されている切欠部83を有する。
【0059】
インシュレータ80は、底部の前側、その内部、及び嵌合凹部81の前面にわたって連続的に凹設されている複数のコンタクト取付溝84を有する。インシュレータ80は、底部の後側、その内部、及び嵌合凹部81の後面にわたって連続的に凹設されている複数のコンタクト取付溝84を有する。複数のコンタクト取付溝84は、左右方向に並んで凹設されている。コンタクト取付溝84は、嵌合凹部81の前後両内面において上下方向に沿って延設されている。複数のコンタクト取付溝84には、複数のコンタクト100がそれぞれ取り付けられる。
【0060】
金具90は、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図に示す形状に成形加工したものである。金具90は、前後方向からの正面視において、略L字状に形成されている。金具90は金具取付溝82に圧入され、インシュレータ80の左右両端部それぞれに配置されている。
【0061】
金具90は、その本体を構成する基部91と、基部91の前後両縁部それぞれに形成されている係止部92と、を有する。係止部92がインシュレータ80の金具取付溝82に係止することで、金具90がインシュレータ80に対して固定される。金具90は、基部91から略L字状に外側に延出する実装部93を有する。
【0062】
コンタクト100は、例えば、リン青銅、ベリリウム銅、若しくはチタン銅を含むばね弾性を備えた銅合金、又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図に示す形状に成形加工したものである。コンタクト100の表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫等によるめっきが施されている。
【0063】
コンタクト100は、左右方向に沿って複数配列されている。コンタクト100は、他の部分よりも左右方向に幅広に形成されている係止部101を有する。係止部101は、インシュレータ80のコンタクト取付溝84に対して係止する。コンタクト100は、係止部101の下端部から外方に向けて略L字状に延出する実装部102を有する。コンタクト100は、係止部101の上端部から上方に向けて略く字状に延出する弾性接触部103を有する。弾性接触部103の屈曲部は、嵌合の際にコネクタ10のコンタクト60の接触部68と接触する。弾性接触部103は、前後方向に沿って弾性変形可能である。
【0064】
以上のような構造の接続対象物70では、回路基板CB2の実装面に形成された回路パターンに対して、コンタクト100の実装部102がはんだ付けされる。当該実装面に形成された接地パターン等に対して、金具90の実装部93がはんだ付けされる。以上により、接続対象物70は、回路基板CB2に対して実装される。回路基板CB2の実装面には、例えば、カメラモジュール及びセンサ等を含む接続対象物70とは別の電子部品が実装される。
【0065】
図11は、
図1のXI−XI矢線に沿った断面図である。
【0066】
図11を主に参照しながら、コネクタ10に対して接続対象物70を接続するときの、フローティング構造を有するコネクタ10の動作について主に説明する。
【0067】
コネクタ10のコンタクト60は、第1インシュレータ20の内部で、第2インシュレータ30が第1インシュレータ20と離間し、かつ、浮いた状態で、第2インシュレータ30を支持している。このとき、第2インシュレータ30は、第1インシュレータ20の外周壁22によって囲繞される。
【0068】
コンタクト60の実装部62が回路基板CB1に対してはんだ付けされることで、第1インシュレータ20は、回路基板CB1に対して固定される。第2インシュレータ30は、コンタクト60の第1弾性部63a、第2弾性部63b、及び第3弾性部63cが弾性変形することで、回路基板CB1に固定された第1インシュレータ20に対して相対的に移動可能となる。
【0069】
このとき、第1インシュレータ20の外周壁22の左右方向の内面は、第1インシュレータ20に対する第2インシュレータ30の左右方向への過剰な移動を規制する。第2インシュレータ30がコンタクト60の弾性変形に伴い設計値を超えて大きく左右方向に移動すると、第2インシュレータ30の外周壁32の左右方向の外面が対向する第1インシュレータ20の外周壁22の内面と接触する。これにより、第2インシュレータ30は、それ以上左右方向の外側に移動しない。
【0070】
同様に、第2インシュレータ30の被抜止部39と対向する第1インシュレータ20の外周壁22の内面、及び第1インシュレータ20の開口21aの周縁部の少なくとも一方は、第1インシュレータ20に対する第2インシュレータ30の前後方向への過剰な移動を規制する。第2インシュレータ30がコンタクト60の弾性変形に伴い設計値を超えて大きく前後方向に移動すると、第2インシュレータ30の被抜止部39及び外周壁32の少なくとも一方が、上述した第1インシュレータ20の外周壁22の内面及び開口21aの周縁部の少なくとも一方とそれぞれ接触する。これにより、第2インシュレータ30は、それ以上前後方向の外側に移動しない。
【0071】
図2にも示すとおり、このようなフローティング構造を有するコネクタ10に対して接続対象物70の上下方向の向きを逆にした状態で、コネクタ10及び接続対象物70の前後位置及び左右位置を略一致させながら、互いを上下方向に対向させる。その後、接続対象物70を下方に移動させる。このとき、互いの位置が例えば前後左右方向に多少ずれていても、コネクタ10の誘い込み部36と接続対象物70とが接触する。その結果、コネクタ10のフローティング構造により第2インシュレータ30が第1インシュレータ20に対して相対的に移動する。これにより、接続対象物70が第2インシュレータ30の嵌合凹部34に誘い込まれる。
【0072】
接続対象物70を下方にさらに移動させると、コネクタ10の嵌合凸部33と接続対象物70の嵌合凹部81とが嵌合する。コネクタ10の嵌合凹部34と接続対象物70のインシュレータ80とが嵌合する。この状態で、コンタクト60の接触部68とコンタクト100の弾性接触部103とが互いに接触する。このとき、コンタクト100の弾性接触部103は、コンタクト取付溝84の内部で外側に向けて若干弾性変形する。
【0073】
以上により、コネクタ10と接続対象物70とは、完全に接続される。このとき、コンタクト60及びコンタクト100を介して、回路基板CB1と回路基板CB2とが電気的に接続される。
【0074】
この状態で、コンタクト100の一対の弾性接触部103は、コネクタ10の一対のコンタクト60を前後方向に沿った内側への弾性力により前後両側から挟持する。これにより生じるコンタクト60への押圧力の反作用により、接続対象物70をコネクタ10から抜去する場合、第2インシュレータ30は、コンタクト60を介して上方への力を受ける。これにより、仮に第2インシュレータ30が上方向に移動したとしても、第1インシュレータ20の抜止部25が、第1インシュレータ20に対する第2インシュレータ30の上方への抜けを抑制する。
図5にも示すとおり、第1インシュレータ20の抜止部25は、下面視において第2インシュレータ30の被抜止部39と重畳している。したがって、第2インシュレータ30が上方に移動しようとすると、外周壁32の外面32aから外側に突出する被抜止部39が抜止部25と接触する。これにより、第2インシュレータ30は、それ以上上方に移動しない。
【0075】
以上のような一実施形態に係るコネクタ10によれば、フローティング構造を有し、かつ低背化された場合であっても、信号伝送における伝送特性が向上する。調整部38と第2連結部65との間隔が嵌合側における外周壁32の外面32aと第2連結部65との間隔よりも小さいことで、調整部38が第2連結部65に近接し、調整部38の近傍においてコンタクト60の特性インピーダンスが減少する。より具体的には、空気の誘電率よりも高い第2インシュレータ30の調整部38を、空気を挟んでコンタクト60に近接させることで、これらの間でコンデンサと同様の効果を得ることができる。静電容量をCとすると、このときの特性インピーダンスZは、静電容量Cに依存する。例えば、特性インピーダンスZは、静電容量Cの平方根と反比例する、又は静電容量Cと反比例する。したがって、コンデンサの間隔を狭めて静電容量Cを大きくすることで、特性インピーダンスが減少する。このように、特性インピーダンスの値が理想値に近付くように調整することで、信号伝送における伝送特性が向上する。
【0076】
調整部38が形成されている位置において第2インシュレータ30が幅広であることで、第2インシュレータ30の強度が向上する。加えて、第2インシュレータ30の重心が下方に下がるので、コネクタ10のフローティング動作の際に第2インシュレータ30が安定した姿勢で移動する。一方で、嵌合側で第2インシュレータ30が幅狭であることで、嵌合側における外周壁32の外面32aと第1インシュレータ20及び第2連結部65それぞれとの間隔が大きくなる。これにより、第2インシュレータ30が移動した際に嵌合側で第1インシュレータ20及びコンタクト60と接触することを抑制し、コネクタ10のフローティング動作に必要とされる第2インシュレータ30の可動量が維持される。
【0077】
調整部38が傾斜面を含むことで、略く字状に屈曲している第2連結部65の傾斜面に沿って調整部38が配置される。これにより、第2連結部65におけるより広範な領域にわたって調整部38が近接する。結果として、より広範な領域にわたって特性インピーダンスの値が理想値に近付くように低減させることが可能となり、信号伝送における伝送特性に関する上述した効果がより顕著になる。
【0078】
調整部38がコンタクト60の配列方向に延在することで、左右方向に配列されている複数のコンタクト60全体にわたって調整部38が近接する。したがって、それぞれのコンタクト60の特性インピーダンスが低下する。結果として、それぞれのコンタクト60の信号伝送における伝送特性がさらに向上する。加えて、各コンタクト60に対して調整部38を個別に形成する必要がなく、第2インシュレータ30の生産性が向上する。結果として、コネクタ10の生産性が向上する。
【0079】
調整部38の下面がコンタクト60の基部66と略平行であることで、調整部38と基部66との間でコンデンサと同様の効果を得ることができる。したがって、調整部38の下面と基部66との間の間隔を調整することで、基部66における特性インピーダンスが容易に調整される。例えば、調整部38の下面と基部66とを近接させることで、静電容量Cを大きくして特性インピーダンスを低減させることも可能である。
【0080】
隣接する第2弾性部63b、屈曲部65b、及び第3弾性部63cよりも幅広な幅広部65aを第2連結部65が有することで、幅広部65aにおける特性インピーダンスが減少する。これにより、これらの弾性部及び屈曲部65bにおける特性インピーダンスの増加分が抑制され全体の特性インピーダンスの平均値が理想値に近づく。このように、コネクタ10は、特性インピーダンスマッチングに寄与できる。したがって、コネクタ10では、大容量かつ高速伝送においても所望する伝送特性が得られる。
【0081】
第2連結部65が屈曲部65bを有することで、コネクタ10が低背化された場合であっても、第2インシュレータ30の可動量が増大すると共に、移動の際の第2インシュレータ30の姿勢が安定する。加えて、屈曲部65bが外周壁32の外面32aに向けて屈曲することで、調整部38と第2連結部65とが近接し、信号伝送における伝送特性に関する上述した効果がより顕著になる。第2連結部65が屈曲部65bで屈曲し、かつ調整部38が上下方向において第2連結部65の配置領域R内に位置することで、コネクタ10は低背化可能である。
【0082】
屈曲部65bの断面積が各弾性部の断面積以下であることで、屈曲部65bにおける曲げ加工が容易になる。例えば、屈曲部65bの曲げ角度を適宜変更することで、フローティング動作の際における第2インシュレータ30の可動量を調整することができる。
【0083】
コネクタ10の第2インシュレータ30に突出部35が形成され、接続対象物70のインシュレータ80に切欠部83が形成されていることで、コネクタ10と接続対象物70とが接続される際の前後方向の向きが一方向に限定される。したがって、コネクタ10と接続対象物70との誤嵌合が抑制される。すなわち、作業者がコネクタ10と接続対象物70とを接続する際に、コネクタ10と接続対象物70との接続向きを間違える恐れが低減される。
【0084】
金具40が第1インシュレータ20に圧入されて、実装部43が回路基板CB1にはんだ付けされることで、金具40は、第1インシュレータ20を回路基板CB1に対して安定して固定できる。金具40により、回路基板CB1に対する第1インシュレータ20の実装強度が向上する。
【0085】
遮蔽部材50が第1インシュレータ20に取り付けられることで、コネクタ10の前後方向及び上方における強度が増大する。遮蔽部材50が隆起部55を有することで、遮蔽部材50自体の剛性が高まり、結果として、コネクタ10の前後方向における強度も増大する。
遮蔽部材50が第1インシュレータ20に取り付けられることで、コネクタ10の上下方向及び前後方向における外部からのノイズによる電気的な悪影響が抑制される。より具体的には、遮蔽部材50により外部からのノイズが抑制されることで、コンタクト60に流れている大容量高速の伝送信号に対する電気的な悪影響が抑制される。
さらに、遮蔽部材50により、コネクタ10から外部へ放出されるノイズが抑制される。したがって、周辺の電子部品に電気的な悪影響を与えることで生じる誤作動が抑制される。
【0086】
コンタクト60が弾性係数の小さい金属材料によって形成されていることで、コネクタ10は、第2インシュレータ30にかかる力が小さい場合であっても、必要とされる第2インシュレータ30の移動量を確保できる。すなわち、第2インシュレータ30は、第1インシュレータ20に対して滑らかに移動することができる。これにより、コネクタ10は、接続対象物70と嵌合する際の位置ずれを容易に吸収できる。コネクタ10では、何らかの外的要因によって発生する振動をコンタクト60の各弾性部が吸収する。これにより、実装部62に大きな力が加わる可能性が抑制される。したがって、回路基板CB1との接続部分の破損が抑制される。すなわち、回路基板CB1と実装部62との接続部分のはんだにクラックが入ることを抑制できる。したがって、コネクタ10と接続対象物70とが接続されている状態であっても、接続信頼性が向上する。
【0087】
本発明は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。発明の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0088】
例えば、上述した各構成部の形状、配置、向き、及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、配置、向き、及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0089】
上述したコネクタ10及び接続対象物70の組立方法は、上記の説明の内容に限定されない。コネクタ10及び接続対象物70の組立方法は、それぞれの機能が発揮されるように組み立てることができるのであれば、任意の方法であってもよい。例えば、金具40、遮蔽部材50、及びコンタクト60の少なくとも1つは、圧入ではなくインサート成形によって第1インシュレータ20及び第2インシュレータ30の少なくとも一方と一体的に成形されてもよい。
【0090】
調整部38は、外周壁32の外面32aの略中央部から下縁部まで傾斜する傾斜面を含むとして説明したが、これに限定されない。調整部38は、コネクタ10の信号伝送における伝送特性が向上するのであれば、任意の構成を有してもよい。例えば、調整部38は、外周壁32の外面32aの上縁部から下縁部までの全体が傾斜する傾斜面を含んでもよい。
【0091】
調整部38は傾斜面を含まなくてもよい。調整部38は、外周壁32の外面32aにおいて突出し、第2連結部65との間隔が嵌合側における外面32aと第2連結部65との間隔よりも小さくなるような任意の構成を有してもよい。
図12は、
図7の調整部38の第1変形例を示す断面図である。例えば、
図12に示すとおり、調整部38は、外周壁32から外側に階段状に突出し、上下方向に平行な外面を含むように形成されていてもよい。
図13は、
図7の調整部38の第2変形例を示す断面図である。例えば、
図13に示すとおり、調整部38は、曲面を含むように外周壁32から外側に突出してもよい。
【0092】
図4を参照すると、調整部38は、第2インシュレータ30の外周壁32の1つの外面32aにおいて1つの構成部として形成されているが、これに限定されない。調整部38は、外周壁32の1つの外面32aにおいて複数の構成部として形成されていてもよい。
【0093】
第1連結部64、幅広部65a、及び基部66それぞれにおいて、伝送路の幅、すなわち伝送路の断面積が増大して特性インピーダンスが低下することで、コンタクト60の伝送特性が向上するとして説明したが、各構成部の構成はこれに限定されない。第1連結部64、幅広部65a、及び基部66それぞれは、電気伝導性が向上する任意の構成を有してもよい。例えば、各構成部は、コンタクト60の他の部分と幅が同一のまま厚く形成されていてもよい。例えば、各構成部は、断面積が同一のままコンタクト60の他の部分よりも電気伝導性の高い材料によって形成されていてもよい。例えば、各構成部は、コンタクト60の他の部分と断面積が同一のまま表面に電気伝導性を向上させるめっきを有してもよい。
【0094】
第2連結部65は、コネクタ10のフローティング動作に必要とされる第2インシュレータ30の可動量を維持でき、かつ低背化に寄与できるのであれば、屈曲部65bを有さなくてもよい。
【0095】
第1弾性部63a、第2弾性部63b、及び第3弾性部63cは、コンタクト60の他の部分よりも幅狭に形成されているとして説明したがこれに限定されない。各弾性部は、必要とされる弾性変形量を確保できる任意の構成を有してもよい。例えば、各弾性部は、幅が同一のままコンタクト60の他の部分よりも弾性係数のさらに小さい金属材料によって形成されていてもよい。
【0096】
コンタクト60は、弾性係数の小さい金属材料によって形成されているとして説明したが、これに限定されない。コンタクト60は、必要とされる弾性変形量を確保できるのであれば、任意の弾性係数を有する金属材料によって形成されていてもよい。
【0097】
接続対象物70は、回路基板CB2に接続されるリセプタクルコネクタであるとして説明したが、これに限定されない。接続対象物70は、コネクタ以外の任意の対象物であってもよい。例えば、接続対象物70は、FPC、フレキシブルフラットケーブル、リジッド基板、又は任意の回路基板のカードエッジ等であってもよい。
【0098】
以上のようなコネクタ10は、電子機器に搭載される。電子機器は、例えば、カメラ、レーダ、ドライブレコーダ、又はエンジンコントロールユニット等の任意の車載機器を含む。電子機器は、例えば、カーナビゲーションシステム、先進運転支援システム、又はセキュリティシステム等の車載システムにおいて使用される任意の車載機器を含む。電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又は複合機等の任意の情報機器を含む。その他、電子機器は、任意の産業機器を含む。
【0099】
このような電子機器は、小型化された場合であっても、信号伝送における良好な伝送特性を有する。コネクタ10の良好なフローティング構造により基板間の位置ずれが吸収されるので、電子機器の組み立ての際の作業性が向上する。すなわち、電子機器の製造が容易になる。コネクタ10により回路基板CB1との接続部分の破損が抑制されるので、電子機器の製品としての信頼性が向上する。