(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以降、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について詳細に説明する。以下の説明中の前後、左右及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準とする。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光コネクタモジュール1を示す斜視図である。光コネクタモジュール1は、光伝送路10と、光伝送路10と光学的に結合する光コネクタ20と、光伝送路10と光コネクタ20との間の空隙Sの屈折率を調整する屈折率調整剤30とを有する。第1実施形態では、光伝送路10は、基板上に形成される光導波路であるものとして説明する。
【0019】
図2は、
図1の光伝送路10単体を拡大して示した斜視図である。
【0020】
光伝送路10は、
図2に示すとおり、例えば、リジッド式のプリント配線基板によって構成される基体40の上面に形成される。特に、光伝送路10は、基体40の上面に形成された凹部から上方に突出するように配置される。光伝送路10は、光コネクタ20と光結合するために、前端面が基体40の前端面と一致するように形成される。すなわち、光伝送路10の前端面は、基体40の前端面に沿って略平面状に形成される。光伝送路10の導波モードは、シングルモード及びマルチモードのいずれであってもよい。以下では、光伝送路10は、基体40の上面に形成されるものとして説明するが、これに限定されない。例えば、光伝送路10は、基体40の内部に埋め込まれてもよい。この場合、光伝送路10の前端面は、基体40の前端面と一致し、後述するコア12の端面が基体40から露出するように形成されてもよい。
【0021】
光伝送路10は、基体40の上面に積層するように形成されたクラッド11と、左右方向に所定の間隔で互いに離間する複数のコア12とを有する。クラッド11及びコア12は、例えば、石英系のガラスにより形成される。コア12の屈折率は、クラッド11の屈折率よりも高い。以下では、光伝送路10は、例えば、埋め込み型の光導波路であるものとして説明するが、これに限定されず、スラブ型又は半埋め込み型などの適宜な方式の光導波路であってよい。
【0022】
図3は、
図1の光コネクタ20単体を示す斜視図である。
【0023】
一例として、光コネクタ20は、光伝送路10のコア12の屈折率と略同一の屈折率を有する材料によって構成される。光コネクタ20は、略L字状である。光コネクタ20は、前後方向に延伸する第1基部21を有する。第1基部21は、下面21aの略中央部から内側に向けて一段凹んだ凹部21bを有する。光コネクタ20は、第1基部21の前方に突出し、第1基部21と連続するように形成される第2基部22を有する。第2基部22は、第1基部21から下方に張り出すように形成される。光コネクタ20は、第2基部22の前面から後面まで貫通する一対の貫通孔22aを有する。貫通孔22aは、第2基部22の左右両端に一対形成される。
【0024】
光コネクタ20は、第2基部22の内面の一部を構成する第1側面A1に設けられた第1レンズ部23を有する。第1レンズ部23は、複数の曲率するレンズ23aにより構成される。第1レンズ部23を構成するレンズ23aの数は、光伝送路10のコア12の数以上である。
【0025】
光コネクタ20は、光の伝搬方向において第1側面A1と反対側の第2側面A2に設けられた第2レンズ部24を有する。第2レンズ部24は、複数の曲率するレンズ24aにより構成される。第2レンズ部24を構成するレンズ24aの数は、光伝送路10のコア12の数以上である。
【0026】
光コネクタ20は、第2基部22の内面を第1側面A1まで切欠いた切欠部25を有する。すなわち、切欠部25は、凹形状として形成される。光コネクタ20は、切欠部25を構成する上下左右の4つの側面と、第1側面A1と、切欠部25の直下に位置する第2基部22の外面とによって構成される接着部26を有する。
【0027】
屈折率調整剤30は、光伝送路10のコア12の屈折率と略同一の屈折率を有する材料によって構成される。屈折率調整剤30は、接着剤としての役割を果たしてもよい。
【0028】
図4は、
図1の光コネクタモジュール1を分解して示した分解斜視図である。
図5は、
図1のV-V矢線に沿う断面図である。
図6は、
図5のVI部に対応する拡大図である。
【0029】
図4に示すとおり、光コネクタ20は、光伝送路10の上方から基体40上に取り付けられる。すなわち、光コネクタ20は、第1基部21の下面21aが基体40の上面と当接して、光伝送路10の一部を覆った状態で配置される。第2基部22は、基体40の前端部から前方に突出し、第1基部21から下方に張り出すように配置される。すなわち、第2基部22は、その下面が光伝送路10の上下位置よりもさらに下方に位置するように突出する。
【0030】
このとき、光伝送路10及び基体40と光コネクタ20の接着部26との間には、空隙Sが形成される(
図5参照)。屈折率調整剤30は、空隙Sを満たすように下方から充填される。すなわち、屈折率調整剤30は、コア12と第1側面A1との間の空隙Sの屈折率を調整する。このとき、光コネクタ20の接着部26と屈折率調整剤30とが接着する。同様に、光伝送路10及び基体40の前端面と屈折率調整剤30とが接着する。特に、屈折率調整剤30は、第1レンズ部23及びコア12の端面と密着する。これにより、光伝送路10と光コネクタ20とは、屈折率調整剤30によって固定される。
【0031】
屈折率調整剤30は、空隙Sのみを満たす構成に限定されず、例えば光コネクタ20の下面21aと基体40の上面との間に充填されてもよい。同様に、屈折率調整剤30は、光伝送路10を覆う光コネクタ20の凹部21bを満たすように充填されてもよい。基体40及び光伝送路10の少なくとも一方と光コネクタ20とは、このような方法で、屈折率調整剤30によって固定されてもよい。
【0032】
基体40への取り付けの際に、光コネクタ20は、適宜な方法により位置決めされてもよい。例えば、光コネクタ20は、凹部21bの前後方向に沿った内側面の少なくとも一方が基体40から突出した光伝送路10の左右方向の端面と当接することで位置決めされてもよい。例えば、光コネクタ20は、基体40上に形成されたスタッドピンに対応する形状の凹部を有してもよい。このとき、光コネクタ20は、当該スタッドピンに凹部を係合させることで位置決めされてもよい。例えば、光コネクタ20は、基体40上に形成された凹部に対応する形状の凸部を有してもよい。このとき、光コネクタ20は、当該凹部に凸部を嵌合させることで位置決めされてもよい。
【0033】
以上により、光コネクタモジュール1の組み立てが完了する。
【0034】
図6に示すとおり、光コネクタモジュール1が完成した状態で、第1側面A1は、コア12の前端面と対向する。特に、第1レンズ部23は、コア12の前端面と対向する。屈折率調整剤30は、第1レンズ部23とコア12の前端面との間に介在する。一例として、第1レンズ部23を構成するレンズ23aは、第1側面A1において凹形状として形成される。すなわち、レンズ23aは、凹レンズとして形成される。特に、レンズ23aは、光の伝搬方向、すなわち前後方向に沿った
図6のような平面視において、略半円形状に形成されてもよい。レンズ23aの上下方向の半幅r
1は、光伝送路10のコア12の半径よりも大きくてもよい。レンズ23aにおいて、上下方向の全幅2r
1に対する伝搬方向に沿った幅dの比率が、1/2以下であってもよい。すなわち、d≦(2r
1)/2=r
1である。
【0035】
一方で、第2レンズ部24は、光コネクタ20の第2基部22を介して第1レンズ部23と対向する。一例として、第2レンズ部24を構成するレンズ24aは、第2側面A2において凸形状として形成される。すなわち、レンズ24aは、凸レンズとして形成される。特に、レンズ24aは、光の伝搬方向、すなわち前後方向に沿った
図6のような平面視において、略半円形状に形成されてもよい。レンズ24aの上下方向の半幅r
2は、光伝送路10のコア12の半径よりも大きくてもよい。
【0036】
図6を用いて、一例として、光伝送路10の前端面から光が出射する場合の光の伝搬の様子について説明する。すなわち、光伝送路10は、発光素子からの光を伝送するものとして説明する。これに限定されず、光伝送路10は、受光素子へと光を伝送してもよい。この場合、光の伝搬方向を真逆にした状態で以下の説明が適用され得るものと理解されたい。
【0037】
屈折率調整剤30がコア12の屈折率と略同一の屈折率を有する材料によって構成される場合、屈折率調整剤30とコア12との境界面に入射した光のフレネル反射は、屈折率の整合によって抑制される。したがって、当該境界面に入射した光は、高い透過率で屈折率調整剤30の内部へと出射する。出射した光は、屈折率調整剤30の内部で回折効果によって拡がりながらレンズ23aへと入射する。光コネクタ20が屈折率調整剤30の屈折率と略同一の屈折率を有する材料によって構成される場合、光コネクタ20と屈折率調整剤30との境界面に入射した光のフレネル反射は、屈折率の整合によって抑制される。したがって、当該境界面に入射した光は、高い透過率で光コネクタ20、特に第2基部22の内部へと出射する。レンズ23aが凹レンズとして形成される場合、第2基部22の内部へと出射した光は、さらに拡がりながらレンズ24aへと入射する。レンズ24aが凸レンズとして形成される場合、外部と光コネクタ20との境界面に入射した光は、レンズ24aによってコリメートされる。このように、光コネクタモジュール1は、光伝送路10から出射した光をコリメートした状態で外部へと伝搬させる。
【0038】
図7は、
図6のVII部に対応する拡大図である。
図7は、
図1の光伝送路10の端面の様子を示す。
図8は、変形例に係る光伝送路10の端面の様子を示した、
図7に対応する拡大図である。
【0039】
図7に示すとおり、光伝送路10の前端面は、基体40の前端面と一致する。すなわち、クラッド11及びコア12の前端面が、基体40の前端面に沿って、同一平面上に形成される。しかしながらこれに限定されず、
図8に示すとおり、光伝送路10の端面、特にコア12の端面は、光コネクタ20側に突出する曲面であってもよい。特に、コア12の端面は、クラッド11の端面よりも光コネクタ20側に突出する曲面であってもよい。
【0040】
以上のような第1実施形態に係る光コネクタモジュール1は、結合損失を低減しつつ、小型化に寄与できる。すなわち、光コネクタモジュール1は、第1側面A1においてコア12と対向する位置に第1レンズ部23が設けられることで、光の回折効果が生じる距離を短くして結合損失を低減できる。光コネクタモジュール1は、第1レンズ部23と光伝送路10との間の距離が短く、全体の小型化に寄与できる。特に、光コネクタモジュール1は、光の伝搬方向に沿った幅を低減できる。
【0041】
光コネクタモジュール1は、屈折率調整剤30を介在させることで、結合損失を低減できる。すなわち、光コネクタモジュール1は、回折効果による損失、外部からの異物による光の散乱又は吸収に伴う損失及びフレネル反射による損失を低減できる。
【0042】
具体的には、光コネクタモジュール1は、コア12の屈折率と略同一の屈折率を有する屈折率調整剤30が光路中に配置されることで、空気中の場合と比較して回折効果による光の拡がりを抑制できる。これにより、光コネクタモジュール1は、回折効果によって第1レンズ部23と結合しない光の割合を低減できる。
【0043】
また、屈折率調整剤30は、異物の混入を防止する役割も果たす。すなわち、光コネクタモジュール1は、空隙Sが屈折率調整剤30によって充填されることで、外部からの異物の混入を防止できる。これにより、光コネクタモジュール1は、外部からの異物による光の散乱又は吸収に伴う損失を防止して、結合損失を低減できる。
【0044】
さらに、光コネクタモジュール1は、屈折率調整剤30の屈折率がコア12の屈折率と略同一であるので、互いの境界面におけるフレネル反射を抑制できる。すなわち、光コネクタモジュール1は、高い透過率で光をコア12から出射させ、結合効率を向上できる。
【0045】
光コネクタモジュール1は、曲率する第2レンズ部24を有することで、第1レンズ部23と組み合わせた2つのレンズ部による光学調整を可能とする。すなわち、光コネクタモジュール1は、2つのレンズ部によって光学調整の自由度を向上できる。これにより、光コネクタモジュール1は、所望のビーム状態を有する出射光を容易に提供できる。
【0046】
光コネクタモジュール1は、第1レンズ部23が凹レンズとして形成されることで、コア12から出射された光を強制的に拡げることができる。特に、光コネクタモジュール1は、第1側面A1においてコア12と対向する位置に凹レンズが設けられることで、屈折率調整剤30によって拡がりが抑制された光を出射後の早い段階で強制的に拡げることができる。
【0047】
光コネクタモジュール1は、第2レンズ部24が凸レンズとして形成されることで、凹レンズの第1レンズ部23によって拡げられた光をコリメート光に変換できる。特に、光コネクタモジュール1は、第1レンズ部23及び第2レンズ部24による凹レンズ及び凸レンズの組合せによって、大口径のコリメート光を提供できる。これにより、光コネクタモジュール1は、より小さなスポットに効率良く集光可能なコリメート光を提供できる。すなわち、光コネクタモジュール1は、特性の良いコリメート光を出射できる。また、光コネクタモジュール1は、大口径のコリメート光によって光結合の許容範囲を広げることができる。換言すると、光コネクタモジュール1は、光結合の対象となる他のモジュールとの間で光軸がずれていたとしても、所定の許容範囲において光結合を可能とする。
【0048】
光コネクタモジュール1は、屈折率調整剤30が第1レンズ部23及びコア12の端面と密着することで、回折効果による光の拡がりをより効果的に抑制できる。これにより、光コネクタモジュール1は、回折効果によって第1レンズ部23と結合しない光の割合をさらに低減できる。また、光コネクタモジュール1は、当該構成によって光の伝搬方向に沿った空隙Sの幅を低減できる。これにより、光コネクタモジュール1は、全体の小型化、特に光の伝搬方向に沿った幅の低減に寄与できる。
【0049】
光コネクタモジュール1は、屈折率調整剤30によって光伝送路10と光コネクタ20とが固定されることで、使用、経年劣化などによる光軸ずれを抑制できる。したがって、光コネクタモジュール1は、最初の位置決めによって互いの相対位置が定められた状態で、長期にわたって略同一の光学特性を維持できる。このように、光コネクタモジュール1は、製品としての品質を向上できる。
【0050】
光コネクタモジュール1は、光伝送路10の端面を光コネクタ20側に突出する曲面として維持することで、生産性の向上に寄与する。すなわち、光コネクタモジュール1は、光伝送路10の端面を研磨する必要がなく、生産工程の一部を省略できる。これにより、光コネクタモジュール1は、生産コストの削減にも寄与する。この場合、平面度が小さい平面である場合と比較して、光伝送路10の端面ではフレネル反射が増大する傾向にある。しかしながら、光コネクタモジュール1は、光伝送路10の端面を屈折率調整剤30と当接させることで、フレネル反射を抑制できる。光コネクタモジュール1は、光伝送路10の端面が光コネクタ20側に突出する曲面であることで、当該端面においてもレンズ効果を発揮できる。
【0051】
光コネクタモジュール1は、コア12の端面がクラッド11の端面よりも光コネクタ20側に突出する曲面であることで、上記の関連する効果をより顕著に奏する。
【0052】
光コネクタモジュール1は、第1レンズ部23の半幅r
1がコア12の半径よりも大きいことで、コア12の端面から出射して拡がった光を第1レンズ部23によって漏れなく受けることができる。これにより、光コネクタモジュール1は、回折による結合損失を抑制できる。光コネクタモジュール1は、第2レンズ部24も同様の構成とすることで、回折による結合損失をさらに抑制できる。
【0053】
光コネクタモジュール1は、屈折率調整剤30と共に光コネクタ20もコア12の屈折率と略同一の屈折率を有する材料によって構成されることで、フレネル反射を抑制して、結合損失を低減できる。
【0054】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る光コネクタモジュール1を示す斜視図である。第2実施形態に係る光コネクタモジュール1は、光伝送路10が光ファイバ13により構成される点で第1実施形態と異なる。以下では、第2実施形態に係る光コネクタモジュール1において、第1実施形態と共通する構成部については同一の符号を付す。共通する構成部及びその機能の説明については省略し、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0055】
光伝送路10は、
図9に示すとおり、複数の光ファイバ13により構成される。各光ファイバ13は、クラッド11及びコア12(
図14参照)、並びに必要に応じて被膜を有している。クラッド11は、ガラスにより構成されてもよいし、樹脂によって構成されてもよい。同様に、コア12は、ガラスにより構成されてもよいし、樹脂によって構成されてもよい。各光ファイバ13の導波モードは、シングルモード及びマルチモードのいずれであってもよい。各光ファイバ13は、汎用のシングルモードファイバ、分散シフトシングルモードファイバ、ステップインデックスマルチモード光ファイバなど、任意の種類の光ファイバであってよい。複数の光ファイバ13は、シースによって覆われるように束ねられてもよいし、束ねられていなくてもよい。複数の光ファイバ13は、例えば、光コネクタ20の内部において、左右方向に一列に配列されている。
【0056】
図10は、
図9の光コネクタ20単体を示す斜視図である。
【0057】
光コネクタ20は、光伝送路10のコア12の屈折率と略同一の屈折率を有する材料によって構成されてもよい。光コネクタ20は、基部51と、基部51と前方に連続するように形成される開口構成部52と、を有する。
【0058】
開口構成部52には、光伝送路10を挿通するための開口部53が形成される。光コネクタ20は、複数の光ファイバ13を保持するための保持部54を基部51内に有する。光コネクタ20は、保持部54内において、複数のガイド溝55を有する。複数のガイド溝55は、光伝送路10を構成する複数の光ファイバ13をそれぞれ保持するための溝である。ガイド溝55の数は、光伝送路10を構成する光ファイバ13の本数以上である。
【0059】
光コネクタ20は、複数のガイド溝55の後方にそれぞれ連続する複数の貫通孔56を有する。光コネクタ20は、ガイドピン60を保持する保持孔57を備える。保持孔57は、基部51及び開口構成部52の左右両端を貫通するように、光コネクタ20の左右両端に一対形成される。
【0060】
光コネクタ20は、基部51の上面を切欠いた切欠部25を有する。すなわち、切欠部25は、略凹形状として形成される。光コネクタ20は、切欠部25の内面の一部を構成する第1側面A1に設けられた第1レンズ部23を有する。光コネクタ20は、光の伝搬方向において第1側面A1と反対側の第2側面A2に設けられた第2レンズ部24を有する。
【0061】
図11は、
図9の光コネクタモジュール1を分解して示した分解斜視図である。
図12は、
図9のXII-XII矢線に沿う断面図である。
図13は、
図12のXIII部に対応する拡大図である。
【0062】
図11に示すとおり、光伝送路10は、光コネクタ20に前方から挿入される。光伝送路10は、光伝送路10のクラッド11及びコア12の端部が貫通孔56より後方に露出した状態で光コネクタ20により保持される。屈折率調整剤30は、切欠部25を満たすように上方から充填される。左右一対のガイドピン60が、光伝送路10を保持した光コネクタ20の保持孔57に挿入される。
【0063】
以上により、光コネクタモジュール1の組み立てが完了する。
【0064】
図12及び
図13に示すとおり、光コネクタモジュール1が完成した状態で、第1レンズ部23、第2レンズ部24及び屈折率調整剤30は、第1実施形態と同様に構成される。光伝送路10の後端面から光が出射する場合の光の伝搬の様子についても同様である。第2レンズ部24から光が入射する場合の光の伝搬の様子についても同様であり、光の伝搬方向を真逆にした状態で第1実施形態における説明が適用され得るものと理解されたい。
【0065】
図14は、
図13のXIV部に対応する拡大図である。
図14は、
図9の光伝送路10の端面の様子を示す。
図15は、変形例に係る光伝送路10の端面の様子を示した、
図14に対応する拡大図である。
【0066】
図14に示すとおり、光伝送路10の端面は、光コネクタ20側、特に第1側面A1側に突出する曲面である。一例として、光伝送路10の端面は、クラッド11及びコア12の端面が同一曲面となるように構成される。しかしながらこれに限定されず、
図15に示すとおり、光伝送路10の端面、特にコア12の端面は、クラッド11の端面よりも第1側面A1側に突出する曲面であってもよい。
【0067】
以上のような第2実施形態に係る光コネクタモジュール1は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0068】
(第3実施形態)
図16は、第3実施形態に係る光コネクタモジュール1を示す斜視図である。
図17は、
図16のXVII-XVII矢線に沿う断面の一部を拡大した拡大断面図である。第3実施形態に係る光コネクタモジュール1は、第1実施形態に係る光学系と第2実施形態に係る光学系とを組み合わせたものである。以下では、第3実施形態に係る光コネクタモジュール1において、第1実施形態及び第2実施形態と共通する構成部については同一の符号を付す。共通する構成部及びその機能の説明については省略し、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について主に説明する。
【0069】
図16に示すとおり、第3実施形態に係る光コネクタモジュール1は、第1実施形態に係る光コネクタ20aと第2実施形態に係る光コネクタ20bとを接続して、第1実施形態に係る光伝送路10aと第2実施形態に係る光伝送路10bとを光結合する。
【0070】
より具体的には、光コネクタ20aと光コネクタ20bとを上下左右方向の位置が略一致するように、前後方向に並べる。この状態で、一対のガイドピン60が、貫通孔22aに挿入される。これにより、光コネクタ20aと光コネクタ20bとが接続する。このとき、貫通孔22aによって、光コネクタ20aに対する光コネクタ20bの位置が決定される。これにより、
図17に示すとおり、光伝送路10aの端面及び光伝送路10bの端面が略同一の光軸上に配置され、光伝送路10aを構成する光導波路と、光伝送路10bを構成する対応する複数の光ファイバ13とが、それぞれ光結合する。
【0071】
例えば、光伝送路10aから出射した光は、屈折率調整剤30a、第1レンズ部231及び第2レンズ部241を通過して、コリメート光として出射する。コリメート光は、第2レンズ部242、第1レンズ部232及び屈折率調整剤30bを通過して、光ファイバ13へと入射する。光の伝搬方向が真逆の場合であっても同様の説明が適用されるものとする。
【0072】
以上のような第3実施形態に係る光コネクタモジュール1は、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏する。第3実施形態に係る光コネクタモジュール1は、大口径のコリメート光によって、効率良い集光可能性かつ広範な光結合の許容範囲を実現した状態で、異なる2つの光伝送路10a、10bを光結合できる。
【0073】
本発明は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的なものであり、これに限定されるものではない。発明の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるものとする。
【0074】
例えば、上記では、屈折率調整剤30は、空隙S全体に充填されるものとして説明したが、これに限定されない。屈折率調整剤30は、第1側面A1とコア12の端面との間に介在し、かつ、所望の光学特性が得られるのであれば、空隙Sの一部にのみ配置されてもよい。
【0075】
上記では、第1レンズ部23及び第2レンズ部24の形状は、平面視において略半円形であるものとして説明したが、これに限定されない。第1レンズ部23及び第2レンズ部24の形状は、球面であってもよいし、非球面であってもよい。
【0076】
第1レンズ部23は、d≦(2r
1)/2=r
1の条件を満たす構成に限定されない。所望の光学特性が得られるのであれば、第1レンズ部23において、全幅2r
1に対する幅dの比率が、1/2よりも大きくてもよい。
【0077】
第1レンズ部23は、凹レンズであるものとして説明したがこれに限定されない。所望の光学特性が得られるのであれば、第1レンズ部23は、凸レンズなどの任意のタイプのレンズであってもよい。
【0078】
所望の光学特性が得られるのであれば、光コネクタ20は、第2レンズ部24を有さなくてもよい。また、第2レンズ部24は、凸レンズであることに限定されず、凹レンズなどの任意のタイプのレンズであってもよい。
【0079】
光導波路又は光ファイバ13によって構成される光伝送路10の端面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。当該端面は、曲面により形成される場合、凹面であってもよいし、凸面であってもよい。特に、光伝送路10のクラッド11及びコア12の端面の形状及び位置は、
図7、8、14及び15に示したものに限定されない。所望の光学特性が得られるのであれば、光伝送路10のクラッド11及びコア12の端面は、任意の形状で任意の位置に配置されてもよい。例えば、コア12と第1レンズ部23とが離間しており、その間に屈折率調整剤30が充填されているのであれば、クラッド11は、光コネクタ20、特に第1側面A1と当接してもよい。