【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、含水率が特定値以下である特定の溶剤及び特定の有機半導体材料を用いると、安定して高いキャリア移動度を有する有機半導体デバイスを形成できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、溶剤としての2,3−ジヒドロベンゾフラン及び下記有機半導体材料を含有し、溶剤の含水率が0.25重量%以下である有機半導体デバイス製造用組成物を提供する。
有機半導体材料:下記式(1-1)で表される化合物、下記式(1-2)で表される化合物、下記式(1-3)で表される化合物、下記式(1-4)で表される化合物、下記式(1-5)で表される化合物、及び下記式(1-6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物
【化1】
(式中、X
1、X
2は、同一又は異なって、酸素原子、硫黄原子、又はセレン原子である。mは、0又は1である。n
1、n
2は、同一又は異なって、0又は1である。R
1、R
2は、同一又は異なって、フッ素原子、C
1-20アルキル基、C
6-13アリール基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、又はチアゾリル基であり、前記アルキル基が含有する水素原子の1又は2以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記アリール基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、及びチアゾリル基が含有する水素原子の1又は2以上はフッ素原子又は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい)
【0010】
有機半導体材料は、下記式(1-7)で表される化合物、下記式(1-8)で表される化合物、下記式(1-9)で表される化合物、及び下記式(1-10)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【化2】
(式中、R
3、R
4は、同一又は異なって、C
1-20アルキル基、C
6-13アリール基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、又はチアゾリル基である)
【0011】
前記有機半導体デバイス製造用組成物全量における溶剤の含有量は、99.999重量%以下であることが好ましい。
【0012】
前記有機半導体デバイス製造用組成物中の有機半導体材料の含有量は、前記溶剤100重量部に対して、0.005重量部以上であることが好ましい。
【0013】
前記有機半導体デバイス製造用組成物に含まれる溶剤全量に占める2,3−ジヒドロベンゾフランの含有量は、50重量%以上であることが好ましい。
【0014】
前記有機半導体デバイス製造用組成物に含まれる有機半導体材料全量における、前記式(1-1)で表される化合物、前記式(1-2)で表される化合物、前記式(1-3)で表される化合物、前記式(1-4)で表される化合物、前記式(1-5)で表される化合物、及び前記式(1-6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の含有量は、50重量%以上であることが好ましい。
【0015】
すなわち、本発明は、以下に関する。
[1]溶剤としての2,3−ジヒドロベンゾフラン及び下記有機半導体材料を含有し、溶剤の含水率が0.25重量%以下である有機半導体デバイス製造用組成物。
有機半導体材料:下記式(1-1)で表される化合物、下記式(1-2)で表される化合物、下記式(1-3)で表される化合物、下記式(1-4)で表される化合物、下記式(1-5)で表される化合物、及び下記式(1-6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物
【化1】
(式中、X
1、X
2は、同一又は異なって、酸素原子、硫黄原子、又はセレン原子である。mは、0又は1である。n
1、n
2は、同一又は異なって、0又は1である。R
1、R
2は、同一又は異なって、フッ素原子、C
1-20アルキル基、C
6-13アリール基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、又はチアゾリル基であり、前記アルキル基が含有する水素原子の1又は2以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記アリール基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、及びチアゾリル基が含有する水素原子の1又は2以上はフッ素原子又は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい)
[2]前記有機半導体材料が、前記式(1-1)で表される化合物、前記式(1-4)で表される化合物、及び前記式(1-6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である、[1]に記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[3]前記X
1、X
2が、同一又は異なって、酸素原子又は硫黄原子である、[1]又は[2]に記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[4]前記mが0である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[5]前記n
1、n
2が1である[1]〜[4]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[6]前記R
1、R
2が、同一又は異なって、C
1-20アルキル基(好ましくはC
4-15アルキル基、より好ましくはC
6-12アルキル基、さらに好ましくはC
6-10アルキル基)、C
6-13アリール基(好ましくはフェニル基)、ピリジル基、フリル基、チエニル基、又はチアゾリル基(但し、前記アルキル基が含有する水素原子の1以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記アリール基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、及びチアゾリル基が含有する水素原子の1以上はフッ素原子又は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい)である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[7]前記R
1、R
2が、同一又は異なって、C
1-20アルキル基(好ましくはC
4-15アルキル基、より好ましくはC
6-12アルキル基、さらに好ましくはC
6-10アルキル基)(但し、前記アルキル基が含有する水素原子の1以上はフッ素原子で置換されていてもよい)である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[8]有機半導体材料が、下記式(1-7)で表される化合物、下記式(1-8)で表される化合物、下記式(1-9)で表される化合物、及び下記式(1-10)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である[1]に記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
【化2】
(式中、R
3、R
4は、同一又は異なって、C
1-20アルキル基、C
6-13アリール基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、又はチアゾリル基である)
[9]前記R
3、R
4が、同一又は異なって、C
1-20アルキル基(好ましくはC
4-15アルキル基、より好ましくはC
6-12アルキル基、さらに好ましくはC
6-10アルキル基)、フェニル基、フリル基、又はチエニル基である、[8]に記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[10]前記R
3、R
4が、同一又は異なって、C
1-20アルキル基(好ましくはC
4-15アルキル基、より好ましくはC
6-12アルキル基、さらに好ましくはC
6-10アルキル基)である、[8]に記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[11]前記有機半導体デバイス製造用組成物に含まれる有機半導体材料全量における、前記式(1-7)で表される化合物、前記式(1-8)で表される化合物、前記式(1-9)で表される化合物、及び前記式(1-10)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の含有量が、50重量%以上(好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上)である、[8]〜[10]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[12]前記有機半導体デバイス製造用組成物全量における溶剤(好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラン)の含有量が、99.999重量%以下である、[1]〜[11]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[13]前記有機半導体デバイス製造用組成物全量における溶剤(好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラン)の含有量が、90.000重量%以上(好ましくは93.000重量%以上、より好ましくは95.000重量%以上、さらに好ましくは98.990重量%以上)である、[1]〜[12]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[14]前記有機半導体デバイス製造用組成物中の有機半導体材料(好ましくは、前記式(1-1)で表される化合物、前記式(1-2)で表される化合物、前記式(1-3)で表される化合物、前記式(1-4)で表される化合物、前記式(1-5)で表される化合物、及び前記式(1-6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物)の含有量が、前記溶剤100重量部に対して、0.005重量部以上(好ましくは0.008重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上)である、[1]〜[13]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[15]前記有機半導体デバイス製造用組成物中の有機半導体材料(好ましくは、前記式(1-1)で表される化合物、前記式(1-2)で表される化合物、前記式(1-3)で表される化合物、前記式(1-4)で表される化合物、前記式(1-5)で表される化合物、及び前記式(1-6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物)の含有量が、前記溶剤100重量部に対して、1重量部以下(好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.2重量部以下)である、[1]〜[14]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[16]前記有機半導体デバイス製造用組成物に含まれる溶剤全量に占める2,3−ジヒドロベンゾフランの含有量が、50重量%以上(好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上)である、[1]〜[15]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[17]前記有機半導体デバイス製造用組成物に含まれる有機半導体材料全量における、前記式(1-1)で表される化合物、前記式(1-2)で表される化合物、前記式(1-3)で表される化合物、前記式(1-4)で表される化合物、前記式(1-5)で表される化合物、及び前記式(1-6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の含有量が、50重量%以上(好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上)である、[1]〜[16]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[18]前記有機半導体デバイス製造用組成物に含まれる有機半導体材料全量における、前記式(1-1)で表される化合物、前記式(1-4)で表される化合物、及び前記式(1-6)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の含有量が、50重量%以上(好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上)である、[17]に記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[19]前記溶剤の含水率が0.19重量%以下(好ましくは0.08重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下)である、[1]〜[18]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。
[20]0.0005cm
2/V以上(好ましくは0.001cm
2/Vs以上、より好ましくは0.05cm
2/Vs以上、さらに好ましくは0.1cm
2/Vs以上、特に好ましくは1.0cm
2/Vs以上)のキャリア移動度を有する有機半導体デバイスを形成可能である[1]〜[19]のいずれか1つに記載の有機半導体デバイス製造用組成物。