(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凸壁部は、断面視において、鉛直方向に延びる第1面部と、前記第1面部の下端から前後方向の後方に向けて傾斜して延びる第2面部と、を有して構成されていることを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態の冷蔵庫について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の冷蔵庫を示す正面図である。
図1に示すように、冷蔵庫1の箱体(断熱箱体)10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。また、冷蔵庫1は、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a、2bを備えている。また、冷蔵庫1は、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a、野菜室ドア6aを備えている。以下では、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5は、まとめて冷凍室7と呼ぶ。
【0010】
冷凍室7は、基本的に庫内を冷凍温度帯(0℃未満)とし、例えば平均的に−18℃程度にした貯蔵室である。冷蔵室2および野菜室6は、庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)とし、例えば、冷蔵室2は平均的に4℃程度、野菜室6は平均的に7℃程度にした貯蔵室である。
【0011】
冷蔵室2と、上段冷凍室4および製氷室3とは、断熱仕切壁28によって隔てられている。下段冷凍室5と野菜室6とは、断熱仕切壁29によって隔てられている。また、製氷室3、上段冷凍室4、および下段冷凍室5の各貯蔵室の前面側には、製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5aの隙間から冷凍室7内の空気が庫外へ漏れないように、また庫外の空気が各貯蔵室に侵入しないように断熱仕切壁30が設けられている。
【0012】
冷蔵室ドア2aには、庫内の温度設定の操作を行う操作部26が設けられている。また、冷蔵庫1と冷蔵室ドア2a,2bを固定するためのドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2の上部および下部に設けられている。上部のドアヒンジはドアヒンジカバー16によって覆われている。
【0013】
図2は、
図1のA−A線断面図である。
図2に示すように、冷蔵庫1の箱体10は、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製の内箱10bとの間に断熱材R(例えば発泡ウレタン)を充填して構成されることで、冷蔵庫1の庫外と庫内は隔てられている。なお、断熱材Rは、硬質ウレタンフォームからなる発泡断熱材を注入、発泡することによって構成される。
【0014】
また、箱体10には、断熱材Rに加えて複数の真空断熱材25が、外箱10aと内箱10bとの間に実装されている。すなわち、真空断熱材25は、箱体10の背面側、天井側(
図6参照)、左側面側(不図示)、右側面側(不図示)、底面側(不図示)に設けられる。
【0015】
冷凍室7は、それぞれ製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5aと一体に引き出される製氷室容器(図示せず)、上段冷凍室容器4b、下段冷凍室容器5bを備えている。野菜室6は、野菜室ドア6aと一体に引き出される野菜室容器6bを備えている。
【0016】
また、冷蔵室2の背部には、冷蔵室側蒸発器14a(蒸発器)が冷蔵室側蒸発器室8aに設けられている。冷蔵室側蒸発器14aと熱交換して低温になった空気は、冷蔵室側蒸発器14aの上方に設けた冷蔵室側ファン9aによって、冷蔵室風路11、冷蔵室吐出口11aを介して冷蔵室2に送風され、冷蔵室2内を冷却する。冷蔵室2に送風された空気は、冷蔵室戻り口15aおよび15b(
図3参照)から冷蔵室側蒸発器室8aに戻り、再び冷蔵室側蒸発器14aによって冷却される。
【0017】
また、冷凍室7の背部には、冷凍室側蒸発器14b(蒸発器)が冷凍室側蒸発器室8bに設けられている。冷凍室側蒸発器14bと熱交換して低温になった空気は、冷凍室側蒸発器14bの上方に設けた冷凍室側ファン9bにより、冷凍室風路12、冷凍室吐出口12aを介して冷凍室7に送風し、冷凍室7内を冷却する。冷凍室7に送風された空気は冷凍室戻り口17から冷凍室側蒸発器室8bに戻り、再び冷凍室側蒸発器14bにより冷却される。
【0018】
本実施形態の冷蔵庫1では、野菜室6も冷凍室側蒸発器14bで低温にした空気で冷却する。冷凍室側蒸発器14bで低温になった冷凍室側蒸発器室8bの空気は、冷凍室側ファン9bによって野菜室風路(図示せず)、野菜室ダンパ(図示せず)を介して野菜室6に送風し、野菜室6内を冷却する。野菜室6が低温の場合は、野菜室ダンパを閉じることで野菜室6の冷却を抑える。なお、野菜室6に送風された空気は断熱仕切壁29の下部前方に設けた野菜室側の冷気戻り部18aから野菜室冷気戻りダクト18を介して冷凍室側蒸発器室8bの下部に戻る。
【0019】
冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、野菜室温度センサ43が設けられている。冷蔵室側蒸発器14aの上部には冷蔵室側蒸発器温度センサ40a、冷凍室側蒸発器14bの上部には冷凍室側蒸発器温度センサ40bを設けられている。これらセンサ41,42,43,40a,40b(以下、まとめてセンサ類40と称する)は、冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6、冷蔵室側蒸発器14aおよび冷凍室側蒸発器14bの温度を検知する。また、冷蔵庫1には、天井部のドアヒンジカバー16の内部に、外気(庫外空気)の温度、湿度を検知する外気温度センサ37および外気湿度センサ38が設けられている。その他のセンサとして、各ドア2a,2b,3a,4a,5a,6aの開閉状態をそれぞれ検知するドアセンサ(図示せず)が設けられている。
【0020】
また、外箱10aの天井面(断熱箱体の上部)には、制御基板31(基板)が設けられている。この制御基板31は、天井面に形成された凹部内に収容され、基板カバー31aによって覆われている。
【0021】
また、制御基板31は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載している。この制御基板31は、外気温度センサ37、外気湿度センサ38、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、野菜室温度センサ43、冷蔵室側蒸発器温度センサ40a、冷凍室側蒸発器温度センサ40b等と電気配線(図示せず)を介して接続されている。また、制御基板31は、圧縮機24、冷蔵室側ファン9a、冷凍室側ファン9bと、電気配線(図示せず)を介して接続されている。
【0022】
また、制御基板31は、各センサ41,42,43,40a,40bの出力値や操作部26(
図1参照)の設定、ROMに予め記録されたプログラム等を基に、圧縮機24や冷蔵室側ファン9a、冷凍室側ファン9b、除霜ヒータ21などの制御を行っている。圧縮機24は、例えば、最大130Wのものであり、直流電源が供給される。このように、直流は、交流に比べてノイズが発生し易くなることが知られている。
【0023】
図3は、
図1の冷蔵庫を
図2のB−B線で切断したときの断面図である。
図3に示すように、冷凍室側蒸発器室8bの下部には、冷凍室側蒸発器14bを加熱する除霜ヒータ21が設けられている。この除霜ヒータ21は、例えば50W〜200Wの電気ヒータであり、本実施形態では150Wのラジアントヒータが用いられている。冷凍室側蒸発器14bの除霜時に発生した除霜水(融解水)は、冷凍室側蒸発器室8bの下部に設けたトイ23bに落下し、排水口22b、冷凍用排水管27bを介して圧縮機24の上部に設けた蒸発皿33に排出される。
【0024】
また、冷蔵室側蒸発器14aの除霜時に発生した除霜水は、冷蔵室側蒸発器室8a(
図2参照)の下部に設けたトイ23aに落下し、排水口22a、冷蔵用排水管27aを介して圧縮機24の上部に設けた蒸発皿33に排出される。
【0025】
トイ23aには、トイ23aでの除霜水が凍結した際に除霜水を融解させるトイヒータ101が設けられている。冷蔵用排水管27aには、排水管上部ヒータ102および排水管下部ヒータ103が設けられている。また、トイ23aの最終集水部には残水の有無を検知するためのトイ温度センサ45が断熱仕切壁28の内部に埋設されている。トイ温度センサ45は、発泡ウレタンの断熱材に埋設することにより、水の滴下による耐久性低下を避けるように構成されている。また、トイ温度センサ45は、トイ23aの最終集水部に配置することで、少量の残水に対して反応するように構成されている。なお、トイヒータ101、排水管上部ヒータ102、排水管下部ヒータ103は、例えば消費電力20W以下の、除霜ヒータ21よりも消費電力が低い電気ヒータである。本実施形態では、トイヒータ101が6W、排水管上部ヒータ102が3W、排水管下部ヒータ103が1Wのヒータとしている。
【0026】
図4は、本実施形態の冷蔵庫に係る冷凍サイクル構成を示す概略図である。
図4に示すように、冷蔵庫1は、圧縮機24、冷媒の放熱を行う放熱手段である庫外放熱器50a(凝縮器)および壁面放熱配管50b(凝縮器)、断熱仕切壁28、29、30の前面部への結露を抑制する結露防止配管50cを備えている。また、冷蔵庫1は、冷媒を減圧させる減圧手段である冷蔵室側キャピラリチューブ53a1,53a2(キャピラリチューブ、減圧手段)および冷凍室側キャピラリチューブ53b1,53b2(キャピラリチューブ、減圧手段)、冷媒と庫内の空気を熱交換させて、庫内の熱を吸熱する冷蔵室側蒸発器14aおよび冷凍室側蒸発器14bを備えている。また、冷蔵庫1は、冷蔵室側キャピラリチューブ53a2と冷蔵室側サクションパイプ55a(サクションパイプ)との間で熱交換を行う冷蔵室側熱交換部Q1、冷凍室側キャピラリチューブ53b2と冷凍室側サクションパイプ55b(サクションパイプ)との間で熱交換を行う冷凍室側熱交換部Q2、冷蔵室側キャピラリチューブ53a1および冷凍室側キャピラリチューブ53b1と共用サクションパイプ55ab(サクションパイプ)との間で熱交換を行う共用熱交換部Q3(熱交換部)を備えている。また、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ51と、液冷媒が圧縮機24に流入するのを防止する気液分離器(アキュムレータ)54a,54bを備えている。また、冷蔵庫1は、冷媒流路を制御する三方弁52、逆止弁56、冷媒を合流させる冷媒合流部57(合流部)を備えている。本実施形態では、これらを冷媒配管により接続することで冷凍サイクルを構成している。なお、冷蔵室側サクションパイプ55a、冷凍室側サクションパイプ55b、共用サクションパイプ55ab、冷蔵室側キャピラリチューブ53a1,53a2および冷凍室側キャピラリチューブ53b1,53b2は、熱伝導率の高い金属製であり、例えば銅製である。
【0027】
なお、本実施形態の冷蔵庫1は、冷媒に可燃性冷媒のイソブタンを用いている。また、本実施形態の圧縮機24は、インバータを備えて回転速度を変えることができるようになっている。
【0028】
三方弁52は、2つの流出口(導出ポート)52a、52bを備える。冷蔵庫1は、流出口52a側に冷媒を流す冷蔵モードと、流出口52b側に冷媒を流す冷凍モードと、を備え、三方弁52によってこれらが切換えられるように構成されている。また、冷蔵庫1は、流出口52aと流出口52bのいずれも冷媒が流れないようにする全閉モード、またいずれも冷媒が流れるようにする全開モードも備え、三方弁52によってこれらのモードにも切換え可能である。
【0029】
本実施形態の冷蔵庫1では、冷媒は以下のように流れる。圧縮機24から吐出した冷媒は、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、ドライヤ51の順に流れ、三方弁52に至る。三方弁52の流出口52aは冷媒配管を介して冷蔵室側キャピラリチューブ53a1と接続され、流出口52bは冷媒配管を介して冷凍室側キャピラリチューブ53b1と接続されている。
【0030】
三方弁52を流出口52a側に冷媒が流れるようにした場合、流出口52aから流出した冷媒は、冷蔵室側キャピラリチューブ53a1,53a2、冷蔵室側蒸発器14a、気液分離器54a、冷蔵室側サクションパイプ55a、冷媒合流部57、共用サクションパイプ55abの順に流れた後、圧縮機24に戻る。冷蔵室側キャピラリチューブ53aにおいて低圧低温になった冷媒が冷蔵室側蒸発器14aを流れる。これにより、冷蔵室側蒸発器14aが低温となって、冷蔵室側蒸発器室8aの空気を冷却することができ、すなわち冷蔵室2を冷却することができる。
【0031】
また、冷蔵室側サクションパイプ55aは、熱交換のために冷蔵室側キャピラリチューブ53a2とロウ付けや半田付けで接着されている。なお、冷蔵室側サクションパイプの熱交換長さが十分に足りている場合、必ずしも接着する必要はない。
【0032】
また、三方弁52を流出口52b側に冷媒が流れるようにした場合、流出口52bから流出した冷媒は、冷凍室側キャピラリチューブ53b1,53b2、冷凍室側蒸発器14b、気液分離器54b、冷凍室側サクションパイプ55b、逆止弁56、冷媒合流部57、共用サクションパイプ55abの順に流れた後、圧縮機24に戻る。逆止弁56は、気液分離器54bから冷媒合流部57側には冷媒が流れ、冷媒合流部57から気液分離器54b側へは流れないように配設されている。冷凍室側キャピラリチューブ53b1,53b2で低圧低温になった冷媒が冷凍室側蒸発器14bを流れることで冷凍室側蒸発器14bが低温となって、冷凍室側蒸発器室8bの空気を冷却することができ、すなわち冷凍室7を冷却することができる。
【0033】
また、冷凍室側サクションパイプ55bは、熱交換のために冷凍室側キャピラリチューブ53b2とロウ付けや半田付けで接着されている。なお、冷凍室側サクションパイプの熱交換長さが十分に足りている場合、必ずしも接着する必要はない。
【0034】
また、共用サクションパイプ55abは、冷蔵室側キャピラリチューブ53a1および冷凍室側キャピラリチューブ53b1とロウ付けや半田付けで接着されている。共用サクションパイプ55abと、冷蔵室側キャピラリチューブ53a1および冷凍室側キャピラリチューブ53b1との間で熱交換が行われる。つまり、これらサクションパイプ55a,55b,55abは、冷媒の温度を、外気温度に近い温度まで高めてから圧縮機24に冷媒を戻すようになっている。これにより、冷却能力を高めることができるようになっている。
【0035】
本実施形態のように、冷蔵室側サクションパイプ55aの一部と冷凍室側サクションパイプ55bの一部とを一体に構成して共用化することで(共用サクションパイプ55ab)、サクションパイプが冷蔵庫背面に占める割合を減らすことができる。その結果、冷蔵庫1への熱影響が抑制されるだけでなく、断熱材Rとして発泡注入されるウレタンの流動性も高めることが可能となる。
【0036】
図5は、
図1の冷蔵庫を
図2のC−C線で切断したときの断面図である。
図5に示すように、冷蔵庫1は、内箱10bの天面板10b1、背面板10b4などの断熱空間側(庫内側)の面に沿わせて複数のリード線32(ハーネス)が配設されている。これらリード線32は、箱体10の上面部の後部に設けられた制御基板31と電気的に接続されている(接続コネクタを介して接続されている)。なお、冷蔵室2内の温度は、冷凍室7内と比べて外気温との差が小さいため、冷蔵室2の断熱壁(発泡断熱材)の厚さは、冷凍室7の断熱壁(発泡断熱材)よりも薄く形成されている。
【0037】
制御基板31と圧縮機24とを接続するリード線32A(32)は、冷蔵室2の背面板10b4を、左右方向(幅方向)の中央から離れる方向(右方向)に向けて断熱仕切壁28の高さ位置まで鉛直方向に対して傾斜するように延びている。そして、リード線32Aは、断熱仕切壁28の高さ位置から、冷凍室7の背面板10b4を、鉛直方向下方に向けて断熱仕切壁29の高さ位置まで延びている。そして、リード線32Aは、断熱仕切壁29の高さ位置から野菜室6の背面板10b4を、鉛直方向下方に向けて延び、機械室39内に延びて、圧縮機24と接続されている。
【0038】
また、制御基板31と除霜ヒータ21とを接続するリード線32B(32)は、リード線32Aと同様に、冷蔵室2の背面板10b4を、左右方向(幅方向)の中央から離れる方向(右方向)に向けて断熱仕切壁28の高さ位置まで鉛直方向に対して傾斜するように延びている。そして、リード線32Bは、断熱仕切壁28の高さ位置から、冷凍室7の背面板10b4を、鉛直方向下方に向けて除霜ヒータ21の高さ位置まで延びている。
【0039】
また、制御基板31とセンサ類40(冷蔵室側蒸発器温度センサ40a、冷凍室側蒸発器温度センサ40b、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、野菜室温度センサ43、冷凍室扉センサ(不図示)、冷凍室扉センサ(不図示)、野菜室扉センサ(不図示))とを接続するリード線32C(32)は、冷蔵室2の背面板10b4を、左右方向(幅方向)の中央から離れる方向(左方向)に向けて断熱仕切壁28の高さ位置まで鉛直方向に対して傾斜するように延びている。そして、リード線32Cは、断熱仕切壁28の高さ位置から、冷凍室7および野菜室6の背面板10b4を、鉛直方向下方に向けて延びている。また、リード線32Cは、冷蔵室2の高さ位置において、冷蔵室側蒸発器温度センサ40aと冷蔵室温度センサ41に向けて延びている。また、リード線32Cは、冷凍室7の高さ位置において、冷凍室温度センサ42に向けて延びている。また、リード線32Cは、野菜いつ6の高さ位置において、野菜室温度センサ43に向けて延びている。
【0040】
なお、図示していないが、その他のセンサ類としの外気温度センサ37および外気湿度センサ38は、内箱10bの天面板10b1に沿って制御基板31と接続されている。また、冷蔵室側ファン9aおよび冷凍室側ファン9bは、低電圧(例えば、5V)の装置であり、リード線を介して制御基板31と接続されている。
【0041】
このように、圧縮機24や除霜ヒータ21などの高電圧系(パワー系)のリード線32A,32Bは、冷蔵庫1に対して右側寄りに配置されている。センサ類40などの低電圧系(信号系)のリード線32Cは、冷蔵庫1に対して左寄りに配置されている。制御基板31から延びる各リード線32は、複数本にまとめられた状態で冷蔵室2、冷凍室7および野菜室6の背面板10b4に沿って配置される。
【0042】
具体的には、冷蔵室2よりも下側に位置する電気部品(例えば、除霜ヒータ21、冷凍室温度センサ42、冷凍室扉センサ(不図示)、野菜室温度センサ43、野菜室扉センサ(不図示)など)からの複数のリード線32は、複数本をビニールテープや絶縁テープ等の粘着テープによって略円筒状に束ねられる。そして、束ねられたリード線32は、冷凍室7側の背面板10b4などに沿って、固定テープ34によって内箱10bの内壁面(裏面)に貼り付けられている。このときの円筒状に束ねたリード線32の高さ寸法は6〜7mmになる。
【0043】
固定テープ34は、紙製のクラフトテープ、アルミ箔テープ等の粘着性を有するものであればよく、また、フッ素樹脂やテフロン(登録商標)からなるPTFEテープ等のように耐熱性や表面のすべり性に優れたものでもよい。また、固定テープ34は、リード線32の全長に対して設ける必要はなく、部分的に複数個所に設ければよい(例えば、固定テープ34の幅は約1〜3cm)。
【0044】
図5に示すように、冷蔵室側サクションパイプ55a、冷凍室側サクションパイプ55bおよび共用サクションパイプ55abは、箱体10内に配置され、断熱材R(発泡ウレタン)に埋設されている。なお、
図5では、冷蔵室側サクションパイプ55a、冷凍室側サクションパイプ55bおよび共用サクションパイプ55abを実線で示し、これらサクションパイプ55a,55b,55abよりも前後方向の手前側に位置するものを破線で示している。
【0045】
冷蔵室側サクションパイプ55aは、冷蔵室側蒸発器14aの上端と同程度の高さ位置において、水平方向(右側から左側)に延びた後、円弧状に曲がって延び、冷蔵室側蒸発器14aの背面側において冷媒合流部57に接続される。冷凍室側サクションパイプ55bは、冷凍室側蒸発器14bの上方において、略鉛直方向上方に向けて延びて、断熱仕切壁28の上端に延びる。そして、冷凍室側サクションパイプ55bは、水平方向(右側から左側)に延びた後、冷蔵室側蒸発器14aの背面側において、冷蔵室側サクションパイプ55aと冷媒合流部57に接続される。冷媒合流部57に接続された共用サクションパイプ55abは、鉛直方向上方に向けて天面板10b1の近傍まで延びる。そして、共用サクションパイプ55abは、リード線32A,32Bとは逆の水平方向(左方向)に曲がって延び、左側面板10b3の近傍において、鉛直方向下方に向けて延びる。そして、共用サクションパイプ55abは、冷蔵室2、冷凍室7および野菜室6の背面板10b4を鉛直方向下方に向けて延び、野菜室6の背面板10b4において、水平方向(左側から右側)に延びて、機械室39内に延びる。機械室39内に延びた共用サクションパイプ55abは、圧縮機24の戻り口(不図示)と接続される。
【0046】
ところで、サクションパイプは、キャピラリチューブに比べて管径が太く形成されている。また、箱体10のスペースは、狭く形成され、真空断熱材25(
図2参照)が設けられていると、1本分(1本の径分)のサクションパイプしか配置できなくなる。このため、サクションパイプを冷蔵室側蒸発器14a側と冷凍室側蒸発器14b側に別々のサイクルで設けると、冷蔵室側蒸発器14a側のサクションパイプと冷凍室側蒸発器14b側のサクションパイプとが互いに重ならないように配置する必要があり、長さ(熱交換長さ)をかせぐことができず、十分な熱交換を行うことができなくなる。そこで、サクションパイプの長さ(熱交換長さ)をかせぐために、2本のサクションパイプを1本にすることで、熱交換長さをかせぐようにした。
図5において二点鎖線(比較例)で示すように筐体全体を取りまわすように、リード線32A,32B,32Cと交差するように共用サクションパイプを配置したところ、サクションパイプとリード線とが直接的または間接的に接触して、ノイズ試験において、ノイズ(雑音端子電圧)が規定値を超えてしまうことが確認された。
【0047】
そこで、本実施形態では、冷蔵室側サクションパイプ55a、冷凍室側サクションパイプ55bおよび共用サクションパイプ55abを、
図5に示す配置としたものである。すなわち、共用サクションパイプ55abは、上部の(制御基板31に最も近い)位置において、圧縮機24と制御基板31とを接続するリード線32Aが前後方向の投影上から外れた位置に配置されている。換言すると、共用サクションパイプ55abを、リード線32Aと前後方向の投影上において重ならないように配置したものである。つまり、サクションパイプを
図5において二点鎖線で示す位置に配置すると、共用サクションパイプ55abがリード線32A,32Bと前後方向に置いて重なることになり、ノイズの問題が発生する。そこで、
図5において実線で示すように、共用サクションパイプ55abがリード線32A,32Bと前後方向において重ならないように配置したことで、ノイズ問題を解決したものである。
【0048】
また、冷蔵室側サクションパイプ55aは、リード線32A,32Bが前後方向の投影上から外れた位置に配置されている。また、冷凍室側サクションパイプ55bについても同様にリード線32A,32Bが前後方向の投影上から外れた位置に配置されている。このような構成によっても、冷蔵室側サクションパイプ55aおよび冷凍室側サクションパイプ55bをリード線32A,32Bから離すことができるので、ノイズに関する問題を解消できる。
【0049】
図6は、
図2の要部詳細図を示し、(a)は本実施形態、(b)は比較例である。
図6(b)に示す比較例では、共用サクションパイプ55abが位置する内箱10bの背面板10b4の上端と外箱10aとの間に形成される隙間S10が狭く形成されている。この隙間S10は、外箱10aの内壁面に真空断熱材25が設けられているため、さらに狭く(共用サクションパイプ55abを厚さ方向に2本重ねて配置することができない程度)形成されている。また、制御基板31から延びる信号系のリード線32Cは、共用サクションパイプ55abと背面板10b4との間に形成されたわずかな隙間S10を通って下方に延び、下方に設けられたセンサ類と接続される。このため、共用サクションパイプ55abがリード線32Cを横切るようになり、共用サクションパイプ55abとリード線32Cとが接触して、規定を超えるノイズが発生するおそれがある。
【0050】
そこで、本実施形態では、
図6(a)に示すように、内箱10bの背面板10b4に、共用サクションパイプ55abとリード線32Cとが前後方向において重なる位置において、冷蔵室2側(庫内側)に凸となる凸壁部10b5を形成したものである。この凸壁部10b5は、
図6の縦断面視において、鉛直方向(上下方向)に延びる第1面部10b6と、この第1面部10b6の下端から後方に向けて傾斜する第2面部10b7と、を有して構成されている。これにより、共用サクションパイプ55abの前方の隙間が
図6(b)に比べて広く形成される。
【0051】
リード線32Cは、凸壁部10b5の内壁面内に沿ってリード線32Cが配置されている。なお、このとき、凸壁部10b5の内壁面に、固定テープ34を用いてリード線32Cを固定してもよい。これにより、共用サクションパイプ55abとリード線32Cとの距離Lを
図6(b)に示す凸壁部10b5が形成されていない場合よりも広げることができる。その結果、共用サクションパイプ55abとリード線32Cとの接触を防止することができ、ノイズが規定値を超えるのを防止することができる。
【0052】
なお、凸壁部10b5は、共用サクションパイプ55abとリード線32Cとが前後方向において重なる位置のみに形成すればよい。これにより、冷蔵室2の容量が減少するのを抑えることができる。ただし、凸壁部10b5は、幅方向(左右方向)の全体に渡って形成されていても差し支えない。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫1は、内箱10bと、外箱10aと、内箱10bと外箱10aとの間に形成される断熱材Rと、によって構成された箱体10を有する。また、冷蔵庫1は、箱体10の下部に配置される圧縮機24と、圧縮機24から吐出された冷媒を凝縮する庫外放熱器50aおよび壁面放熱配管50bと、を有する。また、冷蔵庫1は、庫外放熱器50aおよび壁面放熱配管50bによって凝縮された冷媒を減圧する冷蔵室側キャピラリチューブ53a1,53a2および冷凍室側キャピラリチューブ53b1,53b2を有する。また、冷蔵庫1は、箱体10の背面に配置され、冷蔵室側蒸発器14aおよび冷凍室側蒸発器14bから圧縮機24に冷媒を戻す冷蔵室側サクションパイプ55a、冷凍室側サクションパイプ55bおよび共用サクションパイプ55abを有する。また、冷蔵庫1は、冷蔵室側キャピラリチューブ53a1および冷凍室側キャピラリチューブ53b1と共用サクションパイプ55abとの間で熱交換する共用熱交換部Q3、冷蔵室側キャピラリチューブ53a2と冷蔵室側サクションパイプ55aとの間で熱交換する冷蔵室側熱交換部Q1および冷凍室側キャピラリチューブ53b2と冷凍室側サクションパイプ55bとの間で熱交換する冷凍室側熱交換部Q2を有する。また、冷蔵庫1は、箱体10の上部に配置され、圧縮機24を制御する制御基板31と、箱体10内に配置され、圧縮機24と制御基板31とを電気的に接続するリード線32Aと、を備える。箱体10の上部に位置する共用サクションパイプ55abは、リード線32Aの前後方向の投影上から外れた位置に配置されている。これによれば、共用サクションパイプ55abとリード線32Aとの接触を防止することができ、発生するノイズを規定値以下に抑えることができる。
【0054】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、内箱10bと、外箱10aと、内箱10bと外箱10aとの間に形成される断熱材Rと、によって構成された箱体10を有する。また、冷蔵庫1は、箱体10の下部に配置される圧縮機24と、圧縮機24から吐出された冷媒を凝縮する庫外放熱器50aおよび壁面放熱配管50bと、を有する。また、冷蔵庫1は、庫外放熱器50aおよび壁面放熱配管50bによって凝縮された冷媒を減圧する冷蔵室側キャピラリチューブ53a1,53a2および冷凍室側キャピラリチューブ53b1,53b2を有する。また、冷蔵庫1は、箱体10の背面に配置され、冷蔵室側蒸発器14aおよび冷凍室側蒸発器14bから圧縮機24に冷媒を戻す冷蔵室側サクションパイプ55a、冷凍室側サクションパイプ55bおよび共用サクションパイプ55abを有する。また、冷蔵庫1は、冷蔵室側キャピラリチューブ53a1および冷凍室側キャピラリチューブ53b1と共用サクションパイプ55abとの間で熱交換する共用熱交換部Q3、冷蔵室側キャピラリチューブ53a2と冷蔵室側サクションパイプ55aとの間で熱交換する冷蔵室側熱交換部Q1および冷凍室側キャピラリチューブ53b2と冷凍室側サクションパイプ55bとの間で熱交換する冷凍室側熱交換部Q2を有する。また、冷蔵庫1は、冷凍室側蒸発器14bを加熱する除霜ヒータ21と、箱体10の上部に配置され、除霜ヒータ21を制御する制御基板31と、箱体10内に配置され、除霜ヒータ21と制御基板31とを電気的に接続するリード線32Bと、を備える。箱体10の上部に位置する共用サクションパイプ55abは、リード線32Bの前後方向の投影上から外れた位置に配置されている。これによれば、共用サクションパイプ55abとリード線32Bとの接触を防止することができ、発生するノイズを規定値以下に抑えることができる。
【0055】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、内箱10bと、外箱10aと、内箱10bと外箱10aとの間に設けられる断熱材Rと、によって構成された箱体10を有する。また、冷蔵庫1は、箱体10の下部に配置される圧縮機24と、圧縮機24から吐出された冷媒を凝縮する庫外放熱器50aおよび壁面放熱配管50bと、を有する。また、冷蔵庫1は、庫外放熱器50aおよび壁面放熱配管50bによって凝縮された冷媒を減圧する冷蔵室側キャピラリチューブ53a1,53a2および冷凍室側キャピラリチューブ53b1,53b2を有する。また、冷蔵庫1は、箱体10の背面に配置され、冷蔵室側蒸発器14aおよび冷凍室側蒸発器14bから圧縮機24に冷媒を戻す冷蔵室側サクションパイプ55a、冷凍室側サクションパイプ55bおよび共用サクションパイプ55abを有する。また、冷蔵庫1は、冷蔵室側キャピラリチューブ53a1および冷凍室側キャピラリチューブ53b1と共用サクションパイプ55abとの間で熱交換する共用熱交換部Q3、冷蔵室側キャピラリチューブ53a2と冷蔵室側サクションパイプ55aとの間で熱交換する冷蔵室側熱交換部Q1および冷凍室側キャピラリチューブ53b2と冷凍室側サクションパイプ55bとの間で熱交換する冷蔵室側熱交換部Q2を有する。また、冷蔵庫1は、箱体10の各種状態を検出するセンサ類40と、箱体10の上部に配置され、センサ類40から検出信号を取得する制御基板31と、箱体10内に配置され、センサ類40と制御基板31とを電気的に接続するリード線32Cと、を備える。内箱10bには、共用サクションパイプ55abとリード線32Cとが前後方向において重なる位置に、冷蔵室2側に凸となる凸壁部10b5が形成され、凸壁部10b5内に沿ってリード線32Cが配置されている。これによれば、共用サクションパイプ55abとリード線32Cとの距離Lを広くすることができ、共用サクションパイプ55abとリード線32Cとの接触を防止して、発生するノイズを規定値以下に抑えることができる。
【0056】
また、本実施形態では、凸壁部10b5が、断面視において、鉛直方向に延びる第1面部10b6と、この第1面部10b6の下端から前後方向の奥側(後方)に向けて傾斜して延びる第2面部10b7と、を有して構成されている。これによれば、例えば、断面視において第1面部と第2面部とで成す角度が90度以下で形成されている場合よりも、鈍角にすることで、断熱材R(発泡ウレタン)の回りを良好にできる。その結果、断熱材Rの発泡圧力によって、リード線32Cと共用サクションパイプ55abとが接触するのを抑制できる。
【0057】
また、本実施形態の冷蔵庫1は、上下に隣接して配置される冷蔵室2および冷凍室7を備えた箱体10と、冷蔵室2に供給する冷気を生成する冷蔵室側蒸発器14aと、冷凍室7に供給する冷気を生成する冷凍室側蒸発器14bと、を備える。また、冷蔵庫1は、冷蔵室2に設けられる冷蔵室側サクションパイプ55aと、冷凍室7に設けられる冷凍室側サクションパイプ55bと、前記冷蔵室側サクションパイプ55aと前記冷凍室側サクションパイプ55bとが合流する冷媒合流部57と、冷媒合流部57から圧縮機24に冷媒を戻す共用サクションパイプ55abと、を備える。冷媒合流部57は、冷蔵室側蒸発器14aの背面に設けられている。これによれば、冷媒合流部57を左右方向の端部に設ける場合(
図5の二点鎖線参照)よりも、リード線32A,32Bが共用サクションパイプ55ab、冷蔵室側サクションパイプ55aおよび冷凍室側サクションパイプ55bと前後方向において重ならないように配置することが容易になる。
【0058】
図7は、変形例に係るサクションパイプとハーネスを正面側から見たときの配置図である。なお、
図1ないし
図6において説明した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、重複した説明を省略する。この変形例は、前記実施形態とは逆に、リード線32A,32Bを、サクションパイプを前後方向において重ならないように配置したものである。
【0059】
図7に示すように、リード線32A,32Bは、制御基板31から背面板10b4に沿って右方向に延び、背面板10b4の右角部において、鉛直方向下方に向けて延びて配置されている。
【0060】
冷媒合流部57Aは、冷蔵室側蒸発器14aの右側方に位置している。また、共用サクションパイプ55abは、冷媒合流部57Aから鉛直方向上方に延び、背面板10b4の上部(上端部)において、背面板10b4の左端まで水平に延びている。
【0061】
このように、リード線32A,32Bを背面板10b4の周縁部に沿って配置することで、リード線32A,32Bがサクションパイプと前後方向に重ならないで配置できる領域を広く確保できる。これにより、サクションパイプ(冷凍室側サクションパイプ55b、共用サクションパイプ55ab)を前記実施形態よりも長く配置することが可能になり、冷却能力をさらに高めることが可能になる。
【0062】
以上、本実施形態について図面を参照しながら説明したが、本実施形態は前記の内容に何ら限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。前記した実施形態では、共用サクションパイプ55abを、リード線32A,32Bの前後方向の投影上から外れた位置に設ける第1構成と、内箱10bに凸壁部10b5を形成して、リード線32Cを共用サクションパイプ55abから離れるように配置する第2構成と、を備えた場合を例に挙げて説明した。しかし、このように第1構成と第2構成の両構成を備えるものに限定されず、第1構成と第2構成のうち第1構成のみを備えるものであってもよく、または第1構成と第2構成のうち第2構成のみを備えるものであってもよい。
【0063】
また、前記した実施形態では、正面視において、右側にリード線32A,32Bを配置し、左側にリード線32Cを配置した場合を例に挙げて説明したが(
図5参照)、右側にリード線32C、左側にリード線32A,32Bを配置したものであってもよい。
【0064】
また、リード線32A,32B側について、共用サクションパイプ55abと前後方向の投影上に重ならないようにした場合を例に挙げて説明したが、リード線32A,32B側について、凸壁部(凸壁部10b5に相当するもの)を設けて、リード線32A,32Bを、共用サクションパイプ55abから離れるように配置する構成を適用してもよい。