(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0012】
図1は、本発明の識別情報管理システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における識別情報管理システムは
図1に示すように、通信装置300と、データベース400と、更新部500とを有する。また、食品加工の材料(原料や中間品等)を入れる容器100−1〜100−3それぞれには、あらかじめマーク200−1〜200−3が付与されている。容器100−1〜100−3は、食品を加工・調合する際に、その材料を入れるための容器である。マーク200−1〜200−3は、例えば、バーコードや二次元コード等であって、外部から読み取り可能な識別情報が付与されたものである。容器100−1〜100−3それぞれへのマーク200−1〜200−3の付与方法は、レーザマーカ等を用いて焼付ける方法が好ましい。レーザマーカ等を用いて焼付ける方法を用いることで、衛生管理や容器洗浄が容易となり、また低コストでマーカの容器への付与を行うことができる。また、
図1には、容器およびマークがそれぞれ3つである場合を例に挙げて示しているが、この数に限らない。実際は、多数の容器およびマークを有する。
通信装置300は、マーク200−1〜200−3から識別情報を取得する。また、通信装置300は、取得した識別情報を更新部500へ送信する。
【0013】
図2は、
図1に示した通信装置300の内部構成の一例を示す図である。
図1に示した通信装置300は
図2に示すように、読み取り部310と、入力部320と、表示部330と、通信部340と、制御部350とを有する。なお、
図2には、
図1に示した通信装置300が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
読み取り部310は、マーク200−1〜200−3を読み取り、読み取ったマーク200−1〜200−3が示す識別情報を取得するコードリーダである。
入力部320は、通信装置300を操作する作業者の操作を受け付け、受け付けた操作に基づいて、情報を入力する。
表示部330は、情報を表示するディスプレイである。表示部330は、作業者が入力部320に情報を入力するための画面を表示する。なお、表示部330は、タッチパネル機能を有し、入力部320の入力機能を兼ねるものであっても良い。
通信部340は、更新部500へ情報を送信する。通信部340が送信する情報は、少なくとも、読み取り部310が読み取った識別情報と、入力部320に入力された情報とある。通信部340は、有線通信または無線通信を用いて情報を更新部500へ送信する。
制御部350は、通信装置300内の動作を制御する。制御部350は、CPU(Central Processing Unit)であっても良い。
【0014】
更新部500は、通信装置300から送信されてきた情報に基づいて、データベース400に記憶されている対応付けデータを更新する。データベース400は、識別情報とマーク200−1〜200−3が付与された容器100−1〜100−3の中身を示す中身データとを対応付けて、対応付けデータとして記憶する。
【0015】
図3は、
図1に示したデータベース400に記憶されている情報の一例を示す図である。
図1に示したデータベース400には
図3に示すように、識別情報と中身データとが対応付けられて記憶されている。識別情報は、マーク200−1〜200−3それぞれにあらかじめ付与された固有の情報である。中身データは、どの容器にどのような材料が入っているか、または入っていないか(空であるか)を示すデータである。また、その材料の調合を指定した番号も製造指図番号として含まれている。製造の記録を示す製造情報や品質の検査の結果を示す品質情報も製造指図番号と対応付けられて記憶されている。中身データの詳細については、以下に説明する。
【0016】
図4は、
図1に示したデータベース400に記憶される中身データの詳細の一例を示す図である。
図4に示すように、中身データは複数の項目から構成される。容器番号の項目は、容器にあらかじめ付与された番号であって、
図3に示した識別情報と対応付けられた番号を示す。計量物or仕掛品の項目は、この容器に、計量物が入っているのか、それとも仕掛品が入っているのか、もしくは最後にどちらが入っていたのかを示す。計量明細番号の項目は、計量者や、重さ、何を測ったのか等の計量実績を示す。重ね番号の項目は、複数の材料を1つの容器に計量する、重ね計量品の番号を示す。製造指図番号の項目は、必要となる材料の製造指図の番号を示す。品目CDの項目は、中身の品目コードを示す。賞味期限の項目は、中身の現在の賞味期限を示す。入荷時賞味期限の項目は、中身の最初(入荷時)の賞味期限を示す。ロット番号の項目は、製造ロット番号そのものを示す。シリアル番号の項目は、製造の出来高を上げるときの出来高に対する処理固有の識別番号を示す。製造指図に対して複数の出来高を上げるときにはシリアル番号を用いて個別の識別を行う。常温or低温の項目は、中身を保存するための温度が常温であるか低温であるかを示す。冷凍日/解凍日の項目は、中身を冷凍処理した日または解凍処理した日を示す。最小基準数量の項目は、中身の最小基準数量を示す。ここで、外数・内数を管理するときは、その1つの単位の数量を示す。通常は、そのものの重量を示す。最小基準単位名の項目は、最小基準数量の単位を示す。内数の項目は、内数(中身が分かれているときの中身の数)があるときの数量を示す。内数単位名の項目は、内数があるときの単位を示す。外数の項目は、容器のラベル(マーク)で代表ラベルを管理するときの外数(数量)を表示するものである。外数単位名の項目は、外数があるときの単位を示す。充填日時の項目は、中身を容器に充填した日時を示す。この日時は、基本的には登録日時と同じである。中身有り/無しの項目は、ラベル(マーク)の中に情報が入っているかどうかを示す。登録日時の項目は、容器番号を登録した日時を示す。登録者名の項目は、容器番号を登録した登録者の名前を示す。更新日時の項目は、情報を更新した日時を示す。ここで、基本的には、中身を使用して容器の中が空になった日時となるか、中身がある場合は登録日時と同じになる。更新者名の項目は、情報を更新した更新者の名前を示す。製造記録は、例えば、製造した際の温度設定(例えば、フライヤーの温度)や、製造の過程に要した時間(例えば、冷凍庫を通過した時間)等、製造の環境や手順の記録を示す。品質記録は、例えば、品質を検査するためにどのような検査を行ったかとういった品質検査の内容や、その結果(例えば、微生物検査結果やX線検査結果等)を示す。
【0017】
なお、
図4に示すデータは、データベース400に記憶されているのではなく、本システムを管理する管理センタに設けられたデータベースに記憶されていても良い。
【0018】
以下に、
図1に示した識別情報管理システムにおける識別情報管理方法について説明する。ここでは、
図1に示した通信装置300が容器100−1のマーク200−1を読み取る処理を例に挙げて説明する。
図5は、
図1に示した識別情報管理システムにおける識別情報管理方法のうち、通信装置300における処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0019】
まず、通信装置300の読み取り部310が、容器100−1のマーク200−1を読み取る(ステップS1)。そして、制御部350は読み取り部310が読み取ったマーク200−1から識別情報を取得する。また、入力部320が、外部からの終了入力の操作を受け付けると(ステップS2)、通信部340は、取得した識別情報と、受け付けた終了入力の操作に応じた情報とを更新部500へ送信する(ステップS3)。
【0020】
図6は、
図1に示した識別情報管理システムにおける識別情報管理方法のうち、更新部500における処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0021】
更新部500が、通信装置300から送信された情報を受信すると(ステップS11)、更新部500は、送信されてきた情報に含まれる終了入力に応じた情報が、容器が空になったという情報なのかどうかを判定する(ステップS12)。送信されてきた情報に含まれる終了入力に応じた情報が、容器が空になったという情報ではない場合、データベース400にて、送信されてきた識別情報と対応付けられた中身データを、終了入力に応じたデータに更新する(ステップS13)。一方、送信されてきた情報に含まれる終了入力に応じた情報が、容器が空になったという情報である場合は、データベース400にて、送信されてきた識別情報と対応付けられた中身データをデータベース400から削除する(ステップS14)。
【0022】
更新部500は、データベース400の中身データを更新する際、マーク200−1が付与された容器100−1内に投入された材料に関する材料情報とその材料が投入された日時を示す日時情報とを終了入力に応じた中身データに含めてデータベース400に記憶させる。
図4に示した項目では、材料情報は、品目CDや賞味期限、ロット番号、シリアル番号等に該当し、日時情報は、充填日時に該当する。
【0023】
図7は、
図1に示したデータベース400に記憶された情報の更新の様子の一例を示す図である。ここでは、容器100−1〜100−3それぞれに付与されたマーク200−1〜200−3についてのデータベース400における情報の更新の様子を示す。
【0024】
まず、容器100−1に原料Aが計量明細番号「1111」で計量されると、
図7の一番左に示すような対応付けがデータベース400に記憶される。この対応付けは、調合の作業を行う作業者が、容器100−1に原料Aを投入し、計量明細番号「1111」の作業工程が終了した際に、その作業工程に必要な情報を入力する終了入力を行ったことをトリガとしてデータベース400に記憶される。この終了入力には、容器100−1に付与されたマーク200−1を作業者が通信装置300を用いて読み取る作業も含まれる。通信装置300が読み取ったマーク200−1の識別情報と、入力された情報とが、通信装置300から更新部500へ送信され、送信されてきた情報に基づいて更新部500がデータベース400を更新する。
【0025】
続いて、容器100−2に原料Bが計量明細番号「2222」で計量されると、
図7の左から2番目に示すような対応付けがデータベース400に記憶される。この対応付けは、調合の作業を行う作業者が、容器100−2に原料Bを投入し、計量明細番号「2222」の作業工程が終了した際に、その作業工程に必要な情報を入力する終了入力を行ったことをトリガとしてデータベース400に記憶される。この終了入力には、容器100−2に付与されたマーク200−2を作業者が通信装置300を用いて読み取る作業も含まれる。通信装置300が読み取ったマーク200−2の識別情報と、入力された情報とが、通信装置300から更新部500へ送信され、送信されてきた情報に基づいて更新部500がデータベース400を更新する。
【0026】
続いて、容器100−1に投入されている原料Aと、容器100−2に投入されている原料Bとから中間品Cを調合するという製造指図番号「3333」の指図に従って、容器100−1に付与されたマーク200−1を作業者が通信装置300を用いて読み取り、通信装置300がマーク200−1の識別情報を更新部500へ送信し、容器100−2に付与されたマーク200−2を作業者が通信装置300を用いて読み取り、通信装置300がマーク200−2の識別情報を更新部500へ送信する。すると、データベース400における容器100−1および容器100−2の対応付けが
図7の右から2番目に示すような、中身が空となる対応付けになる。このとき、作業者は、容器100−1に投入されていた原料Aと、容器100−2に投入されていた原料Bとを製造機械に投入する。
【0027】
その後、製造機械が調合した中間品Cが、容器100−3に投入され、容器100−3に付与されたマーク200−3を作業者が通信装置300を用いて読み取り、通信装置300がマーク200−3の識別情報を更新部500へ送信するともに、作業者がその作業工程に必要な情報を入力する終了入力を行うと、更新部500はデータベース400における容器100−3の対応付けを更新する。この更新で、容器100−3の対応付けが
図7の一番右に示すような、製造指図番号、シリアル番号、品目CDおよび中身が有るという対応付けになる。
【0028】
このように、容器に付与されたマークを作業者が通信装置300に読み取らせ、読み取ったマークの識別情報を通信装置300が更新部500へ送信し、また、作業者がその作業工程の終了時に通信装置300に入力した終了入力に従って、その識別情報と終了入力を示す情報とを受信した更新部500が、それらの情報に従ってデータベース400を更新していく。そのため、製造の過程でその部品となる材料や管理条件が変化していく作業工程であっても、その作業後の材料および仕掛品の管理を容易に行うことができ、また作業の進捗をデータベース400の例えば品目CDや中身の状況などで管理することができる。
(第2の実施の形態)
【0029】
図8は、本発明の識別情報管理システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における識別情報管理システムは
図8に示すように、通信装置300と、サーバ600とを有する。通信装置300とサーバ600とは、通信ネットワーク700を介して接続されている。また、食品加工の材料を入れる容器100−1〜100−3それぞれには、あらかじめマーク200−1〜200−3が付与されている。容器100−1〜100−3、マーク200−1〜200−3および通信装置300は、第1の実施の形態におけるものとおなじである。
【0030】
図9は、
図8に示したサーバ600の内部構成の一例を示す図である。
図8に示したサーバ600は
図9に示すように、通信部610と、更新部620と、データベース630とを有する。なお、
図9には、
図8に示したサーバ600が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0031】
通信部610は、通信ネットワーク700を介して通信装置300との間で通信を行う。
更新部620は、通信装置300から送信されてきた情報に基づいて、データベース630に記憶されている対応付けデータを更新する。
データベース630は、マーク200−1〜200−3それぞれの識別情報とマーク200−1〜200−3が付与された容器100−1〜100−3の中身を示す中身データとを対応付けて、対応付けデータとして記憶する。具体的な対応付けデータは、第1の実施の形態で説明したものと同じもので良い。
【0032】
以下に、
図8に示した識別情報管理システムにおける識別情報管理方法について説明する。ここでは、
図8に示した通信装置300が容器100−1のマーク200−1を読み取る処理を例に挙げて説明する。
図10は、
図8に示した識別情報管理システムにおける識別情報管理方法のうち、通信装置300における処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0033】
まず、通信装置300の読み取り部310が、容器100−1のマーク200−1を読み取る(ステップS21)。そして、制御部350は読み取り部310が読み取ったマーク200−1から識別情報を取得する。また、入力部320が、外部からの終了入力の操作を受け付けると(ステップS22)、通信部340は、取得した識別情報と、受け付けた終了入力の操作に応じた情報とを更新部500へ送信する(ステップS23)。
【0034】
図11は、
図8に示した識別情報管理システムにおける識別情報管理方法のうち、サーバ600における処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0035】
サーバ600の通信部610が、通信装置300から送信されてきた情報を受信すると(ステップS31)、更新部620は、送信されてきた情報に含まれる終了入力に応じた情報が、容器が空になったという情報なのかどうかを判定する(ステップS32)。送信されてきた情報に含まれる終了入力に応じた情報が、容器が空になったという情報ではない場合、データベース630にて、送信されてきた識別情報と対応付けられた中身データを、終了入力に応じたデータに更新する(ステップS33)。一方、送信されてきた情報に含まれる終了入力に応じた情報が、容器が空になったという情報である場合は、データベース630にて、送信されてきた識別情報と対応付けられた中身データをデータベース630から削除する(ステップS34)。
【0036】
更新部620は、データベース630の中身データを更新する際、マーク200−1が付与された容器100−1内に投入された材料に関する材料情報とその材料が投入された日時を示す日時情報とを終了入力に応じた中身データに含めてデータベース630に記憶させる。
図4に示した項目では、材料情報は、品目CDや賞味期限、ロット番号、シリアル番号等に該当し、日時情報は、充填日時に該当する。
【0037】
このように、容器に付与されたマークを作業者が通信装置300に読み取らせ、読み取ったマークの識別情報を通信装置300がサーバ600へ送信し、また、作業者がその作業工程の終了時に通信装置300に入力した終了入力に従って、その識別情報と終了入力を示す情報とを受信したサーバ600が、それらの情報に従ってサーバ600内に設けられたデータベース630を更新していく。そのため、製造の過程でその部品となる材料や管理条件が変化していく作業工程であっても、その作業後の材料および仕掛品の管理を容易に行うことができ、また作業の進捗をデータベース630の例えば品目CDや中身の状況などで管理することができる。
【0038】
また、本発明におけるマーカは、容器だけでなく、装置や、作業を行う作業場(例えば、壁面等)等、その位置が固定されたものに対して付与し、上述した形態と同様に作業者が通信端末を用いてマークを読み取って処理を行うものに適用することもできる。
【0039】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。