特許第6979431号(P6979431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6979431圧力ベースのエアロゾル送達機構を含むエアロゾル送達デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979431
(24)【登録日】2021年11月17日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】圧力ベースのエアロゾル送達機構を含むエアロゾル送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/48 20200101AFI20211202BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20211202BHJP
【FI】
   A24F40/48
   A24F40/50
【請求項の数】18
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-154298(P2019-154298)
(22)【出願日】2019年8月27日
(62)【分割の表示】特願2016-527393(P2016-527393)の分割
【原出願日】2014年10月29日
(65)【公開番号】特開2020-10696(P2020-10696A)
(43)【公開日】2020年1月23日
【審査請求日】2019年9月25日
(31)【優先権主張番号】61/897,917
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/289,101
(32)【優先日】2014年5月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・アラン・ブラマー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ジャクソン
(72)【発明者】
【氏名】ナイジェル・ジョン・フリン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ティー・ハント
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ベンソン・シアーズ
(72)【発明者】
【氏名】デニス・リー・ポッター
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−524835(JP,A)
【文献】 再公表実用新案第2009/069519(JP,A1)
【文献】 特表2006−524494(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/027249(WO,A1)
【文献】 米国特許第06196218(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御体と、
エアロゾル前駆体組成物で少なくとも部分的に充填された貯蔵部を備えたカートリッジと、
加熱要素を備える噴霧器と、
前記貯蔵部内の第1の圧力と、前記噴霧器に近接する第2の圧力との間の圧力差に基づく、前記貯蔵部からの前記エアロゾル前駆体組成物の分注を制御するように構成される圧力制御装置と、を備え、
前記噴霧器が、前記貯蔵部から受容される前記エアロゾル前駆体組成物を加熱して、前記気流にエアロゾルを添加するように構成され
前記貯蔵部内の前記第1の圧力が、周囲圧力と実質的に等しく、前記圧力制御装置が、前記貯蔵部内の前記第1の圧力と、前記噴霧器に近接する前記第2の圧力との間の圧力差を生み出すように構成されるフローリストリクタを備える、エアロゾル送達デバイス。
【請求項2】
前記噴霧器が、チャンバを画定し、前記加熱要素が、前記チャンバ内に位置付けられる、請求項1に記載の前記エアロゾル送達デバイス。
【請求項3】
前記貯蔵部内の前記第1の圧力が、周囲圧力よりも大きい、請求項1及び2のいずれか1項に記載の前記エアロゾル送達デバイス。
【請求項4】
前記圧力制御装置が、前記貯蔵部から前記エアロゾル前駆体組成物を選択的に放出するように構成される弁を備える、請求項3に記載の前記エアロゾル送達デバイス。
【請求項5】
フローセンサを更に備え、前記弁が前記フローセンサからの信号に応答して始動するように構成される、請求項4に記載の前記エアロゾル送達デバイス。
【請求項6】
前記カートリッジが、前記弁及び前記噴霧器を含む、請求項4に記載の前記エアロゾル送達デバイス。
【請求項7】
前記制御体が、前記弁及び前記噴霧器を含む、請求項4に記載の前記エアロゾル送達デバイス。
【請求項8】
前記制御体が、連結器を備え、前記カートリッジが、基部を備え、前記制御体の前記連結器が、前記カートリッジの前記基部に連結される場合、前記弁が前記貯蔵部と流体連通する、請求項7に記載の前記エアロゾル送達デバイス。
【請求項9】
前記制御体が、前記フローリストリクタを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の前記エアロゾル送達デバイス。
【請求項10】
前記フローリストリクタが、1つ以上のリストリクタ孔を備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の前記エアロゾル送達デバイス。
【請求項11】
前記貯蔵部が、エアロゾル前駆体袋を備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の前記エアロゾル送達デバイス。
【請求項12】
前記噴霧器が、前記圧力差の適用中に前記貯蔵部から前記加熱要素へと前記エアロゾル前駆体組成物を送達し、そうでない場合は前記加熱要素への前記エアロゾル前駆体組成物の流れに抵抗するように構成される流体送達管を更に備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の前記エアロゾル送達デバイス。
【請求項13】
エアロゾル送達デバイスにおけるエアロゾル化のための方法であって、
制御体から、エアロゾル前駆体組成物で少なくとも部分的に充填された貯蔵部を備えるカートリッジを通して気流を方向付けることを含み、前記貯蔵部内の内圧が、周囲圧力と実質的に等しく、
フローリストリクタで、前記噴霧器に近接する前記第2の圧力と、前記貯蔵部内の前記第1の圧力との間の圧力差を生み出すことにより、噴霧器に近接する第2の圧力と、前記貯蔵部内の第1の圧力との間の圧力差に基づく、前記貯蔵部から加熱要素を備える前記噴霧器への前記エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することと、
前記貯蔵部から分注される前記エアロゾル前駆体組成物を前記加熱要素で加熱して、前記気流にエアロゾルを添加することと、を含む、前記方法。
【請求項14】
前記エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することが、前記加熱要素が中に位置付けられる前記噴霧器のチャンバへと前記エアロゾル前駆体組成物を方向付けることを含む、請求項13に記載の前記方法。
【請求項15】
前記貯蔵部内の前記第1の圧力が、周囲圧力よりも大きく、
前記エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することが、弁で前記貯蔵部から前記エアロゾル前駆体組成物を選択的に放出することを含む、請求項13及び14のいずれか1項に記載の前記方法。
【請求項16】
フローセンサで気流を検出することを更に含み、
前記エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することが、前記フローセンサからの信号に応答して前記弁を始動させることを含む、請求項15に記載の前記方法。
【請求項17】
前記弁で前記貯蔵部から前記エアロゾル前駆体組成物を選択的に放出することが、前記カートリッジ内の前記貯蔵部から、制御体内の前記弁を通して前記エアロゾル前駆体組成物を方向付けることを含む、請求項15及び16のいずれか1項に記載の前記方法。
【請求項18】
前記圧力差の適用中に流体送達管を通して前記加熱要素へと前記エアロゾル前駆体組成物を送達することと、そうでない場合は前記加熱要素への前記エアロゾル前駆体組成物の流れに抵抗することとを更に含む、請求項13〜17のいずれか1項に記載の前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙物品等のエアロゾル送達デバイスに関し、より具体的には、エアロゾルの生成のために電気的に生成された熱を利用するエアロゾル送達デバイス(例えば、一般に電子タバコと称される喫煙物品)に関する。エアロゾル前駆体組成物を噴霧器に送達するための機構を含むエアロゾル送達デバイスが提供される。喫煙物品は、気化してヒトが消費するための吸入可能な物質を形成することができる、タバコから作製またはそれに由来するか、あるいは別様にタバコを組み込む材料を組み込み得る、エアロゾル前駆体を加熱するように構成され得る。
【背景技術】
【0002】
多くの喫煙デバイスが、使用のためにタバコを燃焼させることを必要とする喫煙製品の改良品または代替品として、長年の間提案されている。これらのデバイスの多くは、称されるところによれば、タバコの燃焼から生じる相当量の不完全燃焼生成物及び熱分解産物を送達することなく、紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプ喫煙と関連付けられる知覚を提供するように設計されている。そのために、電気エネルギーを利用して揮発性材料を気化または加熱するか、あるいはタバコの有意な程度の燃焼を伴わずに紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプ喫煙の知覚を提供することを試みる、数多くの喫煙製品、風味生成器、及び薬用吸入器が提案されている。例えば、Robinsonらへの米国特許第7,726,320号、ならびにGriffith,Jr.らへの米国特許公開第2013/0255702号及びSearsらへの同第2014/0096781号に記載されている背景技術に示される、様々な代替的な喫煙物品、エアロゾル送達デバイス、及び発熱源を参照されたい。これらの特許及び特許公開は、参照により本明細書に組み込まれる。また、例えば、2014年2月3日出願のBlessらへの米国特許出願第14/170,838号においてブランド名及び販売元によって参照されている、様々な種類の喫煙物品、エアロゾル送達デバイス、及び電動発熱源も参照されたい。この特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
しかしながら、向上した機能を有するエアロゾル送達デバイスを提供することが望ましくあり得る。これに関して、エアロゾル前駆体組成物の噴霧器への送達を改善することが望ましくあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,726,320号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2013/0255702号明細書
【特許文献3】米国特許公開第2014/0096781号明細書
【発明の概要】
【0005】
本開示は、エアロゾル送達システムに関する。かかるシステムは、電力源によって生成される熱の結果としてエアロゾルを生成し、かつ使用者の口内に吸い込まれるよう意図されるエアロゾルを送達する能力を有する。電子タバコとして一般に知られているか、あるいは電子タバコとして特徴付けられるデバイスによって喫煙者に提供されるもの等の、エアロゾル形態のタバコ成分を提供するエアロゾル送達システムが特に注目される。本明細書で使用する場合、用語「エアロゾル」は、可視であるか否か、及び「煙様」であると見なされ得る形態のものであるか否かにかかわらず、ヒトの吸入に好適な形態または種類の蒸気、ガス、及びエアロゾルを含むことが意図される。
【0006】
エアロゾル前駆体組成物を噴霧器に送達するための機構の様々な実施形態が提供される。これらの機構は、ポンプ、エアロゾル前駆体組成物の吸入によって受動的に誘発される送達、加圧型エアロゾル前駆体貯蔵部、バブルジェットヘッド、及び以下に記載される他の機構を含み得る。
【0007】
一態様では、エアロゾル送達デバイスが提供される。エアロゾル送達デバイスは、制御体と、エアロゾル前駆体組成物で少なくとも部分的に充填された貯蔵部を含むカートリッジとを含み得る。カートリッジは、制御体から気流を受容するように構成され得る。エアロゾル送達デバイスは、加熱要素を含む噴霧器を追加的に含み得る。更に、エアロゾル送達デバイスは、貯蔵部内の第1の圧力と、噴霧器に近接する第2の圧力との間の圧力差に基づく、貯蔵部からのエアロゾル前駆体組成物の分注を制御するように構成される圧力制御装置を含み得る。噴霧器は、貯蔵部から受容されるエアロゾル前駆体組成物を加熱して、気流にエアロゾルを添加するように構成され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、貯蔵部内の第1の圧力は、周囲圧力よりも大きくともよい。圧力制御装置は、貯蔵部からエアロゾル前駆体組成物を選択的に放出するように構成される弁を含み得る。エアロゾル送達デバイスはフローセンサを追加的に含み得、弁はフローセンサからの信号に応答して始動するように構成され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、弁及び噴霧器を含み得る。別の実施形態では、制御体が、弁及び噴霧器を含み得る。制御体は連結器を含み得、カートリッジは基部を含み得る。制御体の連結器がカートリッジの基部に連結される場合、弁は貯蔵部と流体連通し得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、貯蔵部内の第1の圧力は、周囲圧力と実質的に等しくあり得る。圧力制御装置は、貯蔵部内の第1の圧力と、噴霧器に近接する第2の圧力との間の圧力差を生み出すように構成されるフローリストリクタを含み得る。制御体が、フローリストリクタを含んでもよい。フローリストリクタは、1つ以上のリストリクタ孔を含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、貯蔵部は、エアロゾル前駆体袋を含み得る。噴霧器は、圧力差の適用中に貯蔵部から加熱要素へとエアロゾル前駆体組成物を送達し、そうでない場合は加熱要素へのエアロゾル前駆体組成物の流れに抵抗するように構成される流体送達管を追加的に含み得る。噴霧器はチャンバを画定し得、加熱要素はチャンバ内に位置付けられ得る。
【0012】
追加的な態様では、エアロゾル送達デバイスにおけるエアロゾル化のための方法が提供される。本方法は、制御体から、エアロゾル前駆体組成物で少なくとも部分的に充填された貯蔵部を含むカートリッジを通して気流を方向付けることと、貯蔵部内の第1の圧力と、噴霧器に近接する第2の圧力との間の圧力差に基づく、貯蔵部から加熱要素を含む噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の分注を制御することと、貯蔵部から分注されるエアロゾル前駆体組成物を加熱要素で加熱して、気流にエアロゾルを添加することとを含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、貯蔵部内の第1の圧力は、周囲圧力よりも大きくともよい。更に、エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することは、弁で貯蔵部からエアロゾル前駆体組成物を選択的に放出することを含み得る。本方法は、フローセンサで気流を検出することを追加的に含み得る。エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することは、フローセンサからの信号に応答して弁を始動させることを含み得る。弁で貯蔵部からエアロゾル前駆体組成物を選択的に放出することは、カートリッジ内の貯蔵部から、制御体内の弁を通してエアロゾル前駆体組成物を方向付けることを含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、貯蔵部内の内圧は、周囲圧力と実質的に等しくあり得る。エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することは、フローリストリクタで、貯蔵部内の第1の圧力と、噴霧器に近接する第2の圧力との間の圧力差を生み出すことを含み得る。本方法は、圧力差の適用中に流体送達管を通して加熱要素へとエアロゾル前駆体組成物を送達することと、そうでない場合は加熱要素へのエアロゾル前駆体組成物の流れに抵抗することとを追加的に含み得る。エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することは、加熱要素が中に位置付けられる噴霧器のチャンバへとエアロゾル前駆体組成物を方向付けることを含み得る。
【0015】
本発明は、以下の実施形態を含むが、これらに限定されない。
【0016】
実施形態1:
制御体と、
エアロゾル前駆体組成物で少なくとも部分的に充填された貯蔵部を備え、制御体から気流を受容するように構成されるカートリッジと、
加熱要素を備える噴霧器と、
貯蔵部内の第1の圧力と、噴霧器に近接する第2の圧力との間の圧力差に基づく、貯蔵部からのエアロゾル前駆体組成物の分注を制御するように構成される圧力制御装置と、を備え、
噴霧器が、貯蔵部から受容されるエアロゾル前駆体組成物を加熱して、気流にエアロゾルを添加するように構成される、エアロゾル送達デバイス。
【0017】
実施形態2:貯蔵部内の第1の圧力が、周囲圧力よりも大きい、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0018】
実施形態3:圧力制御装置が、貯蔵部からエアロゾル前駆体組成物を選択的に放出するように構成される弁を備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0019】
実施形態4:フローセンサを更に備え、弁がフローセンサからの信号に応答して始動するように構成される、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0020】
実施形態5:カートリッジが、弁及び噴霧器を含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0021】
実施形態6:制御体が、弁及び噴霧器を含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0022】
実施形態7:制御体が、連結器を備え、カートリッジが、基部を備え、制御体の連結器が、カートリッジの基部に連結される場合、弁が貯蔵部と流体連通する、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0023】
実施形態8:貯蔵部内の第1の圧力が、周囲圧力と実質的に等しい、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0024】
実施形態9:圧力制御装置が、貯蔵部内の第1の圧力と、噴霧器に近接する第2の圧力との間の圧力差を生み出すように構成されるフローリストリクタを備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0025】
実施形態10:制御体が、フローリストリクタを含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0026】
実施形態11:フローリストリクタが、1つ以上のリストリクタ孔を備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0027】
実施形態12:貯蔵部が、エアロゾル前駆体袋を備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0028】
実施形態13:噴霧器が、圧力差の適用中に貯蔵部から加熱要素へとエアロゾル前駆体組成物を送達し、そうでない場合は加熱要素へのエアロゾル前駆体組成物の流れに抵抗するように構成される流体送達管を更に備える、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0029】
実施形態14:噴霧器が、チャンバを画定し、加熱要素が、チャンバ内に位置付けられる、先行または後続の実施形態のいずれかに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0030】
実施形態15:エアロゾル送達デバイスにおけるエアロゾル化のための方法であって、
制御体から、エアロゾル前駆体組成物で少なくとも部分的に充填された貯蔵部を備えるカートリッジを通して気流を方向付けることと、
貯蔵部内の第1の圧力と、噴霧器に近接する第2の圧力との間の圧力差に基づく、貯蔵部から加熱要素を備える噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の分注を制御することと、
貯蔵部から分注されるエアロゾル前駆体組成物を加熱要素で加熱して、気流にエアロゾルを添加することと、を含む、方法。
【0031】
実施形態16:貯蔵部内の第1の圧力が、周囲圧力よりも大きく、
エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することが、弁で貯蔵部からエアロゾル前駆体組成物を選択的に放出することを含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0032】
実施形態17:フローセンサで気流を検出することを更に含み、
エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することが、フローセンサからの信号に応答して弁を始動させることを含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0033】
実施形態18:弁で貯蔵部からエアロゾル前駆体組成物を選択的に放出することが、カートリッジ内の貯蔵部から、制御体内の弁を通してエアロゾル前駆体組成物を方向付けることを含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0034】
実施形態19:貯蔵部内の内圧が、周囲圧力と実質的に等しく、
エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することが、フローリストリクタで、貯蔵部内の第1の圧力と、噴霧器に近接する第2の圧力との間の圧力差を生み出すことを含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0035】
実施形態20:圧力差の適用中に流体送達管を通して加熱要素へとエアロゾル前駆体組成物を送達することと、そうでない場合は加熱要素へのエアロゾル前駆体組成物の流れに抵抗することとを更に含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0036】
実施形態21:エアロゾル前駆体組成物の分注を制御することが、加熱要素が中に位置付けられる噴霧器のチャンバへとエアロゾル前駆体組成物を方向付けることを含む、先行または後続の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0037】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の発明を実施するための形態を、下で簡潔に説明する添付の図面と併せて読むことで明らかとなるであろう。本発明は、上述の実施形態のうちの2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の任意の組み合わせ、及び本開示に記載する任意の2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の特徴または要素の組み合わせを、かかる特徴または要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされているか否かにかかわらず、含む。本開示は、開示される本発明の任意の分離可能な特徴または要素が、その様々な態様及び実施形態のいずれにおいても、文脈が別途明確に規定しない限り、組み合わせ可能であることを意図するとして見なされるべきであるように、総合的に読み取られることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
このように、本開示を前述の一般用語で説明したので、ここで添付の図面を参照するが、これらは必ずしも一定の縮尺ではない。
図1】本開示の例示的実施形態に従う制御体の分解図を示す。
図2】本開示の例示的実施形態に従う、吸入中にエアロゾル前駆体組成物を受動的に分注するように構成される、エアロゾル前駆体組成物で充填された袋を含むエアロゾル送達デバイスの断面図を示す。
図3】本開示の例示的実施形態に従う、エアロゾル送達デバイスを通る気流を示す、図2のエアロゾル送達デバイスの拡大断面図を示す。
図4】本開示の例示的実施形態に従う、袋から噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の分注を示す、図2のエアロゾル送達デバイスの拡大断面図を示す。
図5】本開示の例示的実施形態に従う、弁と、エアロゾル前駆体組成物で充填された加圧型貯蔵部とを含むエアロゾル送達デバイスの断面図を示す。
図6】本開示の例示的実施形態に従う、エアロゾル送達デバイスを通る気流を示す、図5のエアロゾル送達デバイスの断面図を示す。
図7】本開示の例示的実施形態に従う、エアロゾル前駆体組成物を噴霧器へと分注する弁を示す、図5のエアロゾル送達デバイスの拡大断面図を示す。
図8】エアロゾル前駆体組成物を圧力差で分注することを含む、エアロゾル送達デバイスによるエアロゾル化の方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
これより、本開示を、その例示的実施形態を参照してより十分に以下に説明する。これらの例示的実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に十分に伝えることとなるように記載される。確かに、本開示は多くの異なる形態で具体化され得るが、本明細書に記載する実施形態に限定されるように解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすことになるように提供されている。本明細書、及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「ひとつの(a)」、「ひとつの(an)」、「その(the)」は、文脈が別途明確に規定しない限り、複数変化形も含む。
【0040】
以下に記載されるように、本開示の実施形態は、エアロゾル送達システム、デバイス、及びそれらのための構成要素に関する。本開示に従うエアロゾル送達システムは、材料を加熱して(好ましくは、材料を任意の有意な程度まで燃焼させることなく)吸入可能な物質を形成するために電気エネルギーを使用し、かかるシステムの構成要素は、最も好ましくは手持ち式デバイスと見なされるのに十分なほど小型である物品の形態を有する。つまり、好ましいエアロゾル送達システムの構成要素の使用は、エアロゾルがタバコの燃焼または熱分解の副生成物に主に起因するという点における煙の生成をもたらさず、むしろ、これらの好ましいシステムの使用は、それらに組み込まれるある特定の構成要素の揮発または気化に起因する蒸気の生成をもたらす。好ましい実施形態では、エアロゾル送達システムの構成要素は、電子タバコとして特徴付けられ得、これらの電子タバコは、タバコ及び/またはタバコ由来の成分を組み込むことによって、エアロゾル形態でタバコ由来の成分を送達することが最も好ましい。
【0041】
ある特定の好ましいエアロゾル送達システムのエアロゾル生成部品は、タバコのいかなる成分も任意の有意な程度に燃焼させることなく、タバコの着火及び燃焼(及びそれによるタバコ煙の吸入)で用いられる紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプを喫煙することの知覚(例えば、吸入及び吐出習慣、味または風味の種類、感覚刺激性効果、身体的感覚、使用習慣、可視のエアロゾルによって提供されるもの等の視覚的刺激等)の多くを提供し得る。例えば、本開示のエアロゾル生成部品の使用者は、喫煙者が従来の種類の喫煙物品を用いるのとほぼ同じように、その部品を持って使用すること、その部品によって生成されるエアロゾルを吸入するためにその部品の一端を吸うこと、選択された時間間隔で吹かすまたは吸うこと等が可能である。
【0042】
本開示のエアロゾル送達システムはまた、好適な蒸気生成物品または薬剤送達物品であるとして特徴付けられ得る。したがって、かかる物品またはデバイスは、1つ以上の物質(例えば、風味及び/または薬学的活性成分)を、吸入可能な形態または状態で提供するように適合させ得る。例えば、吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形態(即ち、その臨界点よりも低い温度で気相である物質)であり得る。あるいは、吸入可能な物質は、エアロゾルの形態(即ち、ガス中の細かい固体粒子または液滴の懸濁液)であり得る。
【0043】
本開示のエアロゾル送達システムは、電源(即ち、電力源)、少なくとも1つの制御構成要素(例えば、電力放出ユニットからエアロゾル生成部品の他の構成要素への電流を制御すること等による、発熱のために供給される電力の始動、制御、調節、及び/または停止のための手段)、加熱器または発熱構成要素(例えば、「噴霧器」を提供するものとして一般に称される電気抵抗加熱要素及び関連する構成要素)、及びエアロゾル前駆体(例えば、一般的には、「スモークジュース(smoke juice)」、「Eリキッド(e−liquid)」、及び「Eジュース(e−juice)」として一般に称される成分等の、十分な熱が適用されるとエアロゾルを生む能力のある液体である組成物)、ならびにエアロゾル吸入のためにエアロゾル送達デバイスを吸うことを可能にする吸い口領域または先端(例えば、吸う際に、生成されたエアロゾルがそこから引き出され得るように、エアロゾル生成部品を通る画定された気流路)のうちのある組み合わせを備えることが最も好ましい。本開示に従って使用し得るエアロゾル前駆体材料のための例示的配合は、Zhengらへの米国特許公開第2013/0008457号に記載されており、その開示は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
本開示のエアロゾル送達システム内の構成要素のより具体的な形式、構成、及び配列は、以下に提供される更なる開示の観点から明白となるであろう。加えて、様々なエアロゾル送達システムの構成要素の選択及び配列は、本開示の背景技術の節において言及した代表的な製品等の、市販されている電子エアロゾル送達デバイスを検討した上で理解することができる。
【0045】
エアロゾル送達デバイス内の構成要素の配置は様々であり得る。特定の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、使用者へのエアロゾルの送達を最大化するように使用者の口元に対して近位に位置付けられるように構成され得る、物品の端部の近傍に(例えば、ある特定の状況では、交換可能及び使い捨てであり得るカートリッジ内に)配置され得る。しかしながら、他の構成例が排除されるわけではない。概して、加熱要素は、加熱要素からの熱がエアロゾル前駆体組成物(ならびに使用者に送達するために同様に提供され得る1つ以上の風味剤、薬剤等)を揮発させ、使用者に送達するためのエアロゾルを形成し得るように、エアロゾル前駆体組成物の十分に近傍に位置付けられ得る。加熱要素がエアロゾル前駆体組成物を加熱すると、消費者による吸入に好適な物理的形態でエアロゾルが形成、放出、または生成される。前述の用語は、放出する(release)、放出している(releasing)、放出する(releases)、または放出された(released)への言及が、形成する(form)または生成する(generate)、形成している(forming)または生成している(generating)、形成する(forms)または生成する(generates)、及び形成された(formed)または生成された(generated)を含むように、置き換え可能であることを意味することに留意されたい。具体的には、吸入可能な物質は、蒸気もしくはエアロゾル、またはこれらの混合物の形態で放出される。加えて、様々なエアロゾル送達デバイスの構成要素の選択は、本開示の背景技術の節に列挙した代表的な製品等の、市販されている電子エアロゾル送達デバイスを検討した上で理解することができる。
【0046】
エアロゾル送達デバイスは、電池または他の電力源を組み込んで、加熱器の電力供給、制御システムの電力供給、インジケータの電力供給等、物品に様々な機能性を提供するのに十分な電流を提供する。電源は様々な実施形態を呈し得る。電源は、加熱要素を迅速に加熱してエアロゾル形成を提供し、所望の期間の使用中、物品に電力供給するのに十分な電力を送達することができるのが好ましい。電源は、エアロゾル送達デバイスを容易に取り扱うことができるように、エアロゾル送達デバイス内に簡便に納まるように寸法決定されることが好ましく、加えて、電源は、望ましい喫煙体験を損なうことがないように、十分に軽量なものであることが好ましい。
【0047】
エアロゾル送達デバイスは、機能的な関係性で永久的または着脱可能に配置できるカートリッジ及び制御体を含み得る。例えば、ねじ式係合、圧入係合、締まりばめ、磁気係合等の、カートリッジと制御体との間の係合の様々な実施形態が用いられ得る。エアロゾル送達デバイスは、カートリッジ及び制御体が組立構成にあるとき、いくつかの実施形態では、実質的に棒状、実質的に管形状、または実質的に円筒形状であってもよい。しかしながら、様々な他の形状及び構成を他の実施形態において用いてもよい。
【0048】
特定の実施形態では、カートリッジ及び制御体の一方または両方は、使い捨てであるとして、または再利用可能であるとして称され得る。例えば、制御体は、交換可能な電池または再充電可能な電池を有してもよく、故に、典型的な交流電気コンセントへの接続、車の充電器(即ち、シガーソケットレセプタクル)への接続、及びユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブル等を介したコンピュータへの接続を含む、任意の種類の再充電技術と組み合わせてもよい。更に、いくつかの実施形態では、Changらへの米国特許公開第2014/0060555号に開示されているように、カートリッジは単回使用カートリッジを備えてもよく、この特許公開は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、2013年3月15日出願のNovakらへの米国特許出願第13/840,264号に開示されているように、カートリッジと制御体との間の相対的回転を実質的に防ぐ回転防止特徴を備え得る基部を含んでもよく、この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
エアロゾル送達デバイスは、エアロゾル前駆体組成物を保持するように構成される構成要素を含み得る。蒸気前駆体組成物とも称されるエアロゾル前駆体組成物は、例として、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはこれらの混合物)、ニコチン、タバコ、タバコ抽出物、及び/または風味剤を含む、様々な成分を含んでもよい。エアロゾル前駆体組成物に含まれ得る様々な成分は、Robinsonらへの米国特許第7,726,320号に記載されており、この特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。追加的な代表的な種類のエアロゾル前駆体組成物は、Sensabaugh,Jr.らへの米国特許第4,793,365号、Jakobらへの米国特許第5,101,839号、BiggsらへのPCT国際公開第98/57556号、2014年4月4日出願のHenry,Jr.への米国特許出願第14/245,105号、及びChemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco,R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)に示されており、これらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
様々な加熱器構成要素を本エアロゾル送達デバイスにおいて使用し得る。様々な実施形態では、1つ以上のマイクロヒータまたは同様の固体ヒータを使用してもよい。利用し得るマイクロヒータの実施形態を本明細書で更に説明する。本開示のデバイスにおける使用に好適な、更なるマイクロヒータ及びマイクロヒータを組み込む噴霧器は、Collettらへの米国特許公開第2014/0060554号に記載されており、この特許公開は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、加熱要素は、2012年12月7日出願のWardらへの米国特許出願第13/708,381号に記載されているように、液体輸送要素の周りにワイヤを巻き付けることによって形成され得、この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。更に、いくつかの実施形態では、ワイヤは、2013年3月14日出願のDePianoらへの米国特許出願第13/827,994号に記載されているように、可変のコイル間隔を画定し得、この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。電流がそれを通して印加されるときに熱を生み出すように構成される材料の様々な実施形態を用いて、抵抗加熱要素を形成してもよい。ワイヤコイルを形成し得る例示的材料としては、Kanthal(FeCrAl)、Nichrome、二珪化モリブデン(MoSi)、珪化モリブデン(MoSi)、アルミニウムでドープした二珪化モリブデン(Mo(Si,Al))、黒鉛及び黒鉛系材料、ならびにセラミック(例えば、正または負の温度係数を有するセラミック)が挙げられる。更なる実施形態では、2013年3月15日出願のDePianoらへの米国特許出願第13/842,125号に記載されているように、型打ちした加熱要素を噴霧器で用いてもよく、この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。上記に加えて、追加的な代表的な加熱要素、及びその中で使用するための材料は、Countsらへの米国特許第5,060,671号、Deeviらへの米国特許第5,093,894号、Deeviらへの米国特許第5,224,498号、Sprinkel Jr.らへの米国特許第5,228,460号、Deeviらへの米国特許第5,322,075号、Deeviらへの米国特許第5,353,813号、Deeviらへの米国特許第5,468,936号、Dasへの米国特許第5,498,850号、Dasへの米国特許第5,659,656号、Deeviらへの米国特許第5,498,855号、Hajaligolへの米国特許第5,530,225号、Hajaligolへの米国特許第5,665,262号、Dasらへの米国特許第5,573,692号、及びFleischhauerらへの米国特許第5,591,368号に記載されており、これらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。更に、他の実施形態では化学的加熱を用いてもよい。加熱器及び加熱器を形成するために用いる材料の様々な追加的な例は、Collettらへの米国特許公開第2014/0060554号に記載されており、この特許公開は、上述のように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
いくつかの実施形態では、本開示のエアロゾル送達デバイスは、制御体及びカートリッジを含み得る。制御体がカートリッジに連結される場合、カートリッジ内の電気制御構成要素は、制御体との電気接続を形成し得る。制御体は、故に、電気制御構成要素を用いて、カートリッジが本物であるか、かつ/または他の機能を行うかを決定し得る。更に、電子制御構成要素及びそれによって行われる機能の様々な例は、Searsらへの米国特許出願公開第2014/0096781号に記載されており、この出願公開は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
使用中、使用者は、エアロゾル送達デバイスのカートリッジの吸い口を吸引し得る。これは、制御体またはカートリッジ内の開口部を通して空気を引き出し得る。例えば、一実施形態では、開口部は、2013年3月15日出願のDePianoらへの米国特許出願第13/841,233号に記載されているように、連結器と制御体の外側胴体との間に画定されてもよく、この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、空気の流れは、他の実施形態では、エアロゾル送達デバイスの他の部分を通して受容されてもよい。
【0054】
エアロゾル送達デバイス内のセンサ(例えば、制御体内の吸入またはフローセンサ)は、吸入を感知し得る。吸入が感知されると、制御体は、回路を介して電流を加熱器に方向付け得る。このように、加熱器は、エアロゾル前駆体組成物を気化させることができ、吸い口は、空気及び同伴蒸気(即ち、吸入可能な形態のエアロゾル前駆体組成物の成分)がカートリッジからそれを吸引する消費者へと通過することを可能にし得る。
【0055】
カートリッジに含めることができる構成要素に関する様々な他の詳細は、例えば、2013年3月15日出願のNovakらへの米国特許出願第13/840,264号に提供されており、この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これに関して、その図7は、基部及び制御構成要素端子の拡大分解図を示し、その図8は、組立構成にある基部及び制御構成要素端子の拡大斜視図を示し、その図9は、組立構成にある、基部、制御構成要素端子、電子制御構成要素、及び噴霧器の加熱器端子の拡大斜視図を示し、その図10は、組立構成にある、基部、噴霧器、及び制御構成要素の拡大斜視図を示し、その図11は、その図10の組立体の反対側の斜視図を示し、その図12は、組立構成にある、基部、噴霧器、流管、及び液溜め基材の拡大斜視図を示し、その図13は、組立構成にある基部及び外側胴体の斜視図を示し、その図14は、組立構成にあるカートリッジの斜視図を示し、その図15は、その図14のカートリッジ及び制御体のための連結器の第1の部分斜視図を示し、その図16は、その図14のカートリッジ及びその図11の連結器の反対側の第2の部分斜視図を示し、その図17は、回転防止機構を伴う基部を含むカートリッジの斜視図を示し、その図18は、回転防止機構を伴う連結器を含む制御体の斜視図を示し、その図19は、図18の制御体を伴う図17のカートリッジの配置を示し、その図3は、その図17のカートリッジ及びその図18の制御体を備えるエアロゾル送達デバイスを示し、これには、カートリッジの回転防止機構の、接続器本体の回転防止機構との係合を示す、エアロゾル送達デバイスの改訂図が伴われ、その図4は、回転防止機構を伴う基部の斜視図を示し、その図5は、回転防止機構を伴う連結器の斜視図を示し、その図6は、係合構成にあるその図4の基部及びその図5の連結器の断面図を示す。
【0056】
本開示に従うエアロゾル送達デバイスの様々な構成要素は、当該技術分野で説明され、市販されている構成要素から選択することができる。例えば、Sebastianらへの米国特許公開第2014/0000638号に開示されている、電子喫煙物品において複数のエアロゾル化可能な材料を制御可能に送達するための貯蔵部及び加熱器システムを参照し、この特許公開は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
図1は、本開示の例示的実施形態に従うエアロゾル送達デバイスの制御体300の分解図を示す。示されるように、制御体300は、連結器302、外側胴体304、密封部材306、接着部材308(例えば、KAPTON(登録商標)テープ)、フローセンサ310(例えば、吸入センサまたは圧力スイッチ)、制御構成要素312、スペーサ314、電力源316(例えば、再充電可能であり得る電池)、インジケータ318(例えば、発光ダイオード(LED))を伴う回路基板、接続器回路320、及び端部キャップ322を備え得る。電力源の例は、Peckerarらの米国特許出願第2010/0028766号に記載されており、この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。吸入作動能力を提供し得る例示的機構としては、MicroSwitch division of Honeywell,Inc.,Freeport,Ill製造のModel 163PC01D36のシリコンセンサが挙げられる。本開示に従う加熱回路に使用され得るデマンド作動式電気スイッチの更なる例は、Gerthらへの米国特許第4,735,217号に記載されており、この特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本エアロゾル送達デバイスにおいて有用であり得るマイクロコントローラを含む電流調節回路及び他の制御構成要素の更なる説明は、全てBrooksらへの米国特許第4,922,901号、同第4,947,874号、及び同第4,947,875号、McCaffertyらへの米国特許第5,372,148号、Fleischhauerらへの米国特許第6,040,560号、ならびにNguyenらへの米国特許第7,040,314号に提供されており、これらの全ては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。2013年3月15日出願のAmpoliniらへの米国出願第13/837,542号に記載される制御スキームも参照し、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
一実施形態では、インジケータ318は、1つ以上の発光ダイオードを備えてもよい。インジケータ318は、接続器回路320を通じて制御構成要素312と通信し、例えば、フローセンサ310によって検出されるように、使用者が連結器302に連結したカートリッジを吸引している間、照明し得る。端部キャップ322は、インジケータ318によってその下に提供される照明を可視的にするように適合され得る。このように、インジケータ318は、エアロゾル送達デバイスの使用中に照明して、喫煙物品の火の付いた端部を模倣し得る。しかしながら、他の実施形態では、インジケータ318は、様々な数で提供され得、異なる形状をとることができ、更には外部胴体中の開口部であってもよい(かかるインジケータが存在する場合に音を放つため等)。
【0059】
また更なる構成要素を本開示のエアロゾル送達デバイスにおいて利用し得る。例えば、Sprinkelらへの米国特許第5,154,192号は喫煙物品のためのインジケータを開示し、Sprinkel,Jr.への米国特許第5,261,424号はデバイスの吸い口と関連付けられて、一吸いすることと関連付けられた使用者の唇の働きを検出し、次いで加熱を誘発し得る圧電センサを開示し、McCaffertyらへの米国特許第5,372,148号は、吸い口を介した圧力降下に応答する、加熱負荷アレイへのエネルギー流を制御するための吸入センサを開示し、Harrisらへの米国特許第5,967,148号は、挿入された構成要素の赤外線透過率の非均一性を検出する識別装置、及び構成要素がレセプタクルに挿入されると検出ルーチンを実行する制御器を含む喫煙デバイス内のレセプタクルを開示し、Fleischhauerらへの米国特許第6,040,560号は、複数の差動移相を伴う規定の実行可能な電力サイクルを説明し、Watkinsらへの米国特許第5,934,289号は、フォトニックオプトロニック構成要素を開示し、Countsらへの米国特許第5,954,979号は、喫煙デバイスを通る吸引抵抗を改変するための手段を開示し、Blakeらへの米国特許第6,803,545号は、喫煙デバイス内で使用するための特定の電池構成を開示し、Griffenらへの米国特許第7,293,565号は、喫煙デバイスと共に使用するための様々な充電システムを開示し、Fernandoらへの米国特許第8,402,976号は、充電を促進し、デバイスのコンピュータ制御を可能にする喫煙デバイスのためのコンピュータインターフェーシング手段を開示し、Fernandoらへの米国特許第8,689,804号は、喫煙デバイスのための識別システムを開示し、Flickによる国際公開第2010/003480号は、エアロゾル生成システム内での吸入を表示する流体流感知システムを開示し、前述の開示の全ては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。電子エアロゾル送達物品に関連し、本物品に使用され得る材料または構成要素を開示する、構成要素の更なる例としては、Gerthらへの米国特許第4,735,217号、Morganらへの米国特許第5,249,586号、Higginsらへの米国特許第5,666,977号、Adamsらへの米国特許第6,053,176号、Whiteへの米国第6,164,287号、Vogesへの米国特許第6,196,218号、Felterらへの米国特許第6,810,883号、Nicholsへの米国特許第6,854,461号、Honへの米国特許第7,832,410号、Kobayashiへの米国特許第7,513,253号、Hamanoへの米国特許第7,896,006号、Shayanへの米国特許第6,772,756号、Honへの米国特許第8,156,944号及び同第8,375,957号、Honへの米国特許出願公開第2006/0196518号及び同第2009/0188490号、Thorensらへの米国特許出願公開第2009/0272379号、Monseesらへの米国特許出願公開第2009/0260641号及び同第2009/0260642号、Oglesbyらへの米国特許出願公開第2008/0149118号及び同第2010/0024834号、Wangへの米国特許出願公開第2010/0307518号、Honへの国際公開第2010/091593号、Fooへの国際公開第2013/089551号、ならびに2013年3月15日出願のDePianoらへの米国特許出願第13/841,233号が挙げられ、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。前述の文書により開示された様々な材料は、様々な実施形態の本デバイスに組み込まれ得、前述の開示の全ては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
このように、エアロゾル送達デバイスの例示的実施形態を上に記載する。しかしながら、本開示は、エアロゾル送達デバイスの様々な他の実施形態を提供する。以下に記載されるように、かかるエアロゾル送達デバイスは、エアロゾル前駆体組成物を貯蔵、送達、及び/または気化するための構成要素の異なる構成を含み得る。例えば、図2〜7に示されるように、ならびにそれと関連付けられる以下の文章に記載されるように、いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、様々な実施形態の圧力制御装置によって制御され得る圧力差によって、貯蔵部から分注され得る。
【0061】
これに関して、図2は、本開示の追加的な例示的実施形態に従うエアロゾル送達デバイス800の断面図を示す。示されるように、エアロゾル送達デバイス800は、制御体802及びカートリッジ804を含み得る。制御体802は、インジケータ806(例えば、LED)、電力源808(例えば、再充電可能であり得る電池)、フローセンサ810、それを通して画定される1つ以上のリストリクタ孔814を含む連結器812、及び外側胴体816を含み得る。カートリッジ804は、基部818、中に受容されるエアロゾル前駆体袋822を含み得る貯蔵部820、加熱要素824及び流体送達管825を備える噴霧器823、吸い口826、ならびに外側胴体828を含み得る。カートリッジ804の基部818は、制御体802の連結器812に解放可能に係合して、それらの間の機械的及び電気的接続を形成するように構成され得る。
【0062】
図3は、エアロゾル送達デバイス800の追加的な断面図を示す。より具体的には、図3は、使用者が吸い口826を吸うときのエアロゾル送達デバイス800を通る空気の流路を示す。示されるように、気流または周囲空気830の流れは、エアロゾル送達デバイス800に進入し、フローセンサ810を通過して移動し得る。周囲空気830は、電力源808を通過して流れるように示されるが、他の実施形態では、空気は電力源を通過して流れない場合があり、かつ/またはフローセンサは代替的な場所に位置付けられてもよい。空気830は、その後、それを通して画定されるリストリクタ孔814を通って連結器812を通り、基部818を通り、貯蔵部820の周りを移動し、吸い口826から出てもよい。
【0063】
図3に示されるように、一実施形態では、空気830は、エアロゾル送達デバイス800に吸い口826の反対側のその長手方向の端部を通して進入し得る。しかしながら、他の実施形態では、空気は、代替的な場所でエアロゾル送達デバイスに進入してもよい。例えば、空気は、連結器もしくは基部を通して、または基部と吸い口との間の場所で進入してもよい。このように、本明細書に記載の特定の気流パターンは、例示のみを目的として提供されていることを理解されたい。
【0064】
下に記載されるように、エアロゾル前駆体組成物832は、エアロゾル前駆体袋822から噴霧器823に方向付けられ得る。これに関して、噴霧器823は、加熱要素824が中に位置付けられ、エアロゾル前駆体組成物832が送達されるチャンバ835を画定する筐体833を備えてもよい。故に、エアロゾル前駆体組成物832が、空気830中に方向付けられること、及び気化されずに使用者に方向付けられることに関する問題を回避することができる。これに関して、エアロゾル前駆体組成物832は、チャンバ835にて加熱要素824と接触するように方向付けられて、その気化を確実にし得る。
【0065】
使用者がエアロゾル送達デバイス800の吸い口826で吸入するとき、エアロゾル前駆体袋822の両側において、圧力差が作り出され得る。より具体的には、貯蔵部820の周りの空気830の制限される流れによって、基部818とエアロゾル前駆体袋822との間のエアロゾル送達デバイス800の一部(例えば、制御体802内)が、エアロゾル送達袋と吸い口826との間のエアロゾル送達デバイスの一部(例えば、カートリッジ804内)よりも相対的に高い圧力を有するようにされ得る。他の実施形態では、エアロゾル前駆体袋の両側における圧力差は、エアロゾル前駆体組成物をそこから方向付けるために圧力差を用いる他の様式で形成されてもよい。
【0066】
上において圧力差は、エアロゾル送達デバイス800の吸引中に、エアロゾル前駆体袋822の第1及び第2の対向側の間で画定されるように記載されるが、圧力差は、他の場所の間で追加的または代替的に画定されてもよい。例えば、圧力差は、エアロゾル送達デバイス800の吸引中に、貯蔵部820内(またより具体的には、エアロゾル前駆体袋822内)の第1の圧力と、噴霧器823に近接する(またより具体的には、筐体833によって画定されるチャンバ835内の流体送達管825への出口に近接する)第2の圧力との間で画定されてもよい。これに関して、使用者が吸い口826で吸引する際、カートリッジ804内の圧力は減少し得る。このように、噴霧器823に近接する第2の圧力は低減され得、エアロゾル前駆的袋822での第1の圧力よりも小さくなり得る。これに関して、いくつかの実施形態では、貯蔵部820のエアロゾル前駆体袋822内の第1の圧力は、周囲圧力(例えば、大気圧)と実質的に等しくあり得る。故に、エアロゾル送達デバイス800の吸引中に、噴霧器823において流体送達管825への出口に近接して画定される準大気圧の結果として、エアロゾル前駆体組成物832は、吸い口826の吸引中に、エアロゾル前駆体袋822から流体送達管を通って加熱要素824へと放出され得る。
【0067】
しかしながら、小さな圧力降下がエアロゾル送達デバイス800の吸引と関連付けられる例では、エアロゾル前駆体袋822の第1の圧力と、噴霧器823に近接する第2の圧力との間の圧力差は、相対的に小さい場合がある。換言すれば、エアロゾル送達デバイス800の吸引に対して相対的に小さい抵抗しか存在しなかった場合、大気圧に対するカートリッジ804内の圧力の減少は、相対的に低い場合がある。このように、エアロゾル送達デバイス800は、圧力差を生み出すように構成される圧力制御装置を含み得る。
【0068】
具体的には、圧力制御装置は、圧力差を生み出すために、エアロゾル送達デバイス800を通る気流を制限するように構成されるフローリストリクタを備え得る。様々な実施形態のフローリストリクタが用いられ得る。例えば、フローリストリクタは、連結器812を通して画定される、リストリクタ孔814を備え得る。故に、リストリクタ孔814は、相対的に小さな面積を画定し得、これが制御体802からカートリッジ804へ移動する空気と関連付けられる圧力降下を増加させる。別の実施形態では、リストリクタ孔は追加的または代替的にカートリッジ内で(例えば、基部を通して、または貯蔵部の周りに)画定され、実質的に同じ様式で機能し、エアロゾル送達デバイスの吸引と関連付けられる圧力降下を増加させ得る。他の実施形態では、エアロゾル送達デバイス800を通る気流路に沿う様々な他の制限が用いられ得る。
【0069】
剛性の容器の使用に対して、エアロゾル前駆体袋822を使用することは、エアロゾル前駆体組成物832を貯蔵部820から分注するのを助け得る。これに関して、エアロゾル前駆体袋822は、エアロゾル前駆体組成物832がそこから分注されるにつれて萎み得る。一実施形態では、エアロゾル前駆体袋822は、その中での真空の形成に抗しながら、そこからのエアロゾル前駆体組成物832の送達を促進する弾性材料(例えば、ゴム)を含み得る。これに関して、弾性材料は、エアロゾル前駆体袋がエアロゾル前駆体組成物で充填されているときは僅かに伸張し得、空のときは自然状態を画定し得る。このように、エアロゾル前駆体組成物832が分注される際に貯蔵部820内で真空は生み出され得ず、さもなくば、貯蔵部を開孔してそこへの空気の進入を許容するように構成される特徴を含むことなしには、エアロゾル前駆体組成物の分注が難しくなり得る。
【0070】
圧力差が形成される特定の様式及び用いられる貯蔵部の特定の実施形態に関わらず、圧力差は、エアロゾル前駆体組成物832の、流体送達管825を通る、噴霧器823への放出を引き起こし得、この噴霧器で、図4に示されるように、加熱要素824がエアロゾル前駆体組成物を気化する。これに関して、フローセンサ810がエアロゾル送達デバイス800における吸入を検出すると、電力源808からの電流が噴霧器823に方向付けられて、熱を生成し得る。このように、図4に示されるように、噴霧器823に方向付けられるエアロゾル前駆体組成物832は、加熱され、気化され得る。チャンバ835内で形成されたエアロゾルまたは蒸気836は、その後、空気830と混合され、吸い口826を通って退出し得る。
【0071】
チャンバ835は、そこから空気830への蒸気836の最適な放出速度を提供するように構成され得る。これに関して、図2〜4に示されるように、チャンバ835は、1つ以上の流出孔838を含み得る。図4に示されるように、蒸気836は、流出孔838を通ってチャンバ933を退出してもよい。
【0072】
更に、一実施形態では、チャンバは、1つ以上の流入孔を追加的に画定してもよい。流入孔は、そこを通るチャンバ内への空気の流れを許容するように構成され得る。故に、使用者がエアロゾル送達デバイスを吸引する際に、流入孔を通して進入する空気は、蒸気と混合され、流出孔を通して退出してもよい。これに関して、流入孔は、エアロゾル送達デバイスを通して流れる空気が流入孔に入射する(例えば、流入孔は、エアロゾル送達デバイスの長手軸に対して実質的に平行に伸長し、よって、そこを通る気流に対して実質的に平行に伸長し得る)ように位置付けられ得る。故に、流入孔は、蒸気のチャンバからの除去を助け得る。
【0073】
更に、いくつかの実施形態では、弁を流入孔及び流出孔の一方または両方で提供してもよい。かかる弁は、受動的または能動的に開閉して、空気をチャンバ内に流し、かつ/または蒸気をチャンバの外に流し得る。あるいはまたは加えて、流入孔及び/または流出孔は、チャンバからの蒸気の所望の流れを提供すると同時に、エアロゾル前駆体組成物の実質的に完全な気化を確実にするように、特に寸法決定され得る。
【0074】
流体送達管825は、上述されるように蒸気836を生成するために圧力差が適用されるとき、流体送達管を通るエアロゾル前駆体組成物832の流れを許容するが、他の例では(例えば、他の時間では)、流体送達管は、加熱要素824へのエアロゾル前駆体組成物の流れに抵抗し得る。これに関して、流体送達管は、そこを通る流れが、圧力差が存在しないときは抵抗を受けるように寸法決定され得る。例えば、表面張力が、そこを通る流れに抵抗し得る。このように、流体送達管825の寸法は、圧力差が適用されるとき以外の例においてそこを通る流れに抵抗するように、エアロゾル前駆体組成物832の粘度に応じて、特に選択され得る。
【0075】
図5は、本開示の追加的な例示的実施形態に従うエアロゾル送達デバイス900の断面図を示す。エアロゾル送達デバイス900は、下に記載されるように、異なる実施形態の圧力制御装置を用いて圧力差を生み出し得る。示されるように、エアロゾル送達デバイス900は、制御体902及びカートリッジ904を含み得る。制御体902は、インジケータ906(例えば、LED)、電力源908(例えば、再充電可能であり得る電池)、フローセンサ910、能動弁912(例えば、マイクロ圧力弁)、噴霧器914(例えば、加熱要素を備える)、連結器916、及び外側胴体918を含み得る。カートリッジ904は、基部920、加圧型貯蔵部922、吸い口924、及び外側胴体926を含み得る。カートリッジ904の基部920は、制御体902の連結器916に解放可能に係合して、それらの間の機械的及び電気的接続を形成するように構成され得る。故に、制御体902の連結器916がカートリッジ904の基部920に連結される場合、能動弁912は加圧型貯蔵部922と流体連通し得る。例えば、示されるように、能動弁912は、加圧型貯蔵部922内で凹部929に係合するように構成される伸長部927を画定し得る。しかしながら、他の実施形態では、下に記載されるように能動弁912が開くときに起こる圧力損失以外の、加圧型貯蔵部922からの圧力損失に抵抗する実質的に流体密封のシールを提供するように機構が構成されている限りは、他の接続構成要素及び方法が用いられてもよい。
【0076】
図6は、エアロゾル送達デバイス900の追加的な断面図を示す。より具体的には、図6は、使用者が吸い口924を吸引するときのエアロゾル送達デバイス900を通る空気の流路を示す。示されるように、気流または周囲空気928の流れは、エアロゾル送達デバイス900に進入し、フローセンサ910を通過して移動し得る。周囲空気928は、電力源908を通過して流れるように示されるが、他の実施形態では、空気は電力源を通過して流れない場合があり、かつ/またはフローセンサは代替的な場所に位置付けられてもよい。空気928は、その後、それを通して画定される1つ以上の孔930を通って連結器916を通り、基部920を通り、加圧型貯蔵部922の周りを移動し、吸い口924から出てもよい。
【0077】
図6に示されるように、一実施形態では、空気928は、エアロゾル送達デバイス900に吸い口924の反対側のその長手方向の端部を通して進入し得る。しかしながら、他の実施形態では、空気は、代替的な場所でエアロゾル送達デバイスに進入してもよい。例えば、空気は、連結器もしくは基部を通して、または基部と吸い口との間の場所で進入してもよい。このように、本明細書に記載の特定の気流パターンは、例示のみを目的として提供されていることを理解されたい。
【0078】
エアロゾル送達デバイス900は、貯蔵部922内の第1の圧力と、噴霧器913に近接する第2の圧力との間の圧力差に基づく、加圧型貯蔵部922からのエアロゾル前駆体組成物の分注を制御するように構成される圧力制御装置を含み得る。しかしながら、上に記載され、図2〜4に示されるエアロゾル送達デバイス800の実施形態が、使用者によるその吸引によって引き起こされる圧力差に基づいて、エアロゾル前駆体組成物を受動的に分注したのに対して、図5〜7に示されるエアロゾル送達デバイス900は、能動弁912を用いて、既存の圧力差に基づいて、貯蔵部922からエアロゾル前駆体組成物を選択的に放出し得る。これに関して、加圧型貯蔵部922内の第1の圧力は、周囲圧力(例えば、大気圧)よりも大きく、よって、噴霧器913に近接する第2の圧力よりもまた大きくあり得る。換言すれば、貯蔵部922は、加圧され得る。
【0079】
貯蔵部922は、様々な様式で加圧され得る。例えば、エアロゾル前駆体組成物に加えて、二酸化炭素、空気、または他の圧縮可能な流体が、正圧で、貯蔵部922内に導入されてもよい。更なる例として、貯蔵部内で、ピストン及び圧縮ばねを、そこからエアロゾル前駆体組成物を追いやるように構成してもよい。
【0080】
図7は、エアロゾル送達デバイス900の拡大部分断面図を示す。示されるように、フローセンサ910(例えば、図6を参照)が吸入を検出すると、能動弁が1回以上瞬間的に開くように、電流が能動弁912に対して印加され得る。例えば、フローセンサ910からの信号が、能動弁912の始動を直接引き起こしてもよく、あるいはフローセンサからの信号が制御装置に提供され、この制御装置が能動弁を始動するように方向付けてもよい。これにより、加圧型貯蔵部922内に保持されたエアロゾル前駆体組成物932が、噴霧器に近接する空気が、加圧型貯蔵部よりも相対的に低い圧力であることの結果として、噴霧器913の加熱要素914に向けて放出され得る。更に、噴霧器913は、加熱要素914が中に位置付けられ、エアロゾル前駆体組成物932が送達されるチャンバ933(例えば、図6を参照)を画定する筐体931を備えてもよい。故に、エアロゾル前駆体組成物932が、空気928中に方向付けられること、及び気化されずに使用者に方向付けられることに関する問題を回避することができる。これに関して、エアロゾル前駆体組成物932は、チャンバ933にて加熱要素914と接触するように方向付けられて、その気化を確実にし得る。
【0081】
これに関して、フローセンサ910がエアロゾル送達デバイス900における吸入を検出すると、電力源908からの電流が加熱要素914に方向付けられて、熱を生成し得る。このように、そこに方向付けられたエアロゾル前駆体組成物932は、加熱され、気化して、エアロゾルまたは蒸気934を画定し得る。蒸気934は、チャンバ933内で形成され、その後そこから退出し得る。蒸気934は、その後、空気928と混合され、吸い口924を通って退出し得る。
【0082】
チャンバ933は、そこから空気928への蒸気934の最適な放出速度を提供するように構成され得る。これに関して、図5〜7に示されるように、チャンバ933は、1つ以上の流出孔936を含み得る。図7に示されるように、蒸気934は、流出孔936を通ってチャンバ933を退出してもよい。
【0083】
更に、図7に示されるように、一実施形態では、チャンバ933は、1つ以上の流入孔938を追加的に画定してもよい。流入孔938は、そこを通るチャンバ933内への空気928の流れを許容するように構成され得る。故に、使用者がエアロゾル送達デバイス900を吸引する際に、流入孔938を通して進入する空気928は、蒸気934と混合され、流出孔936を通して退出してもよい。これに関して、示されるように、流入孔938は、エアロゾル送達デバイス900を通して流れる空気928が流入孔938に入射する(例えば、流入孔は、エアロゾル送達デバイスの長手軸に対して実質的に平行に伸長し、よって、そこを通る気流に対して実質的に平行に伸長し得る)ように位置付けられ得る。故に、流入孔928は、蒸気934のチャンバ933からの除去を助け得る。
【0084】
更に、いくつかの実施形態では、弁を流入孔938及び流出孔936の一方または両方で提供してもよい。かかる弁は、受動的または能動的に開閉して、空気928をチャンバ933内に流し、かつ/または蒸気934をチャンバの外に流し得る。あるいはまたは加えて、流入孔938及び/または流出孔936は、チャンバ933からの蒸気934の所望の流れを提供すると同時に、エアロゾル前駆体組成物の実質的に完全な気化を確実にするように、特に寸法決定され得る。
【0085】
上述のエアロゾル送達デバイスの実施形態では、様々な実施形態の噴霧器が、エアロゾル前駆体組成物を気化するために用いられ得ることに留意されたい。かかる噴霧器としては、面状加熱器、巻線表面、マイクロヒータ(例えば、チップ上に埋め込まれた)ガラス板、レーザー、抵抗加熱器、ならびに任意の他の形状及び実施形態の加熱器を挙げることができる。更に、第1の加熱要素及び第2の加熱要素において用いる材料は異なってもよい。例えば、ワイヤコイル加熱要素に関して上に記載した材料を用いてもよい。本明細書に記載の加熱要素において用いてもよい様々な他の材料としては、プラチナまたはプラチナコーティングした材料、及び抵抗性インク(例えば、セラミック材料上に印刷されたもの)を挙げることができる。
【0086】
本明細書に記載のある特定のエアロゾル送達デバイスは、ウィックを用いる従来のエアロゾル送達デバイスに伴うある特定の問題を回避し得る。これに関して、ウィックの使用は、エアロゾル前駆体組成物の成分の分離を引き起こし得る。更に、ウィックを使用してエアロゾル前駆体組成物を基材から加熱要素に輸送することは、漏出に繋がり得る。このように、本明細書に開示されるエアロゾル送達デバイスの実施形態は、これら及び/または他の利点を提供し得る。
【0087】
上述されるように、本開示のエアロゾル送達デバイスの実施形態は、カートリッジ及び制御体を含み得る。本エアロゾル送達デバイスは、ある特定のその構成要素が制御体内に位置付けられる一方で、他の構成要素はカートリッジ内に位置付けられるように記載されてきたが、これらの構成は例示のみを目的として提供されていることを理解されたい。これに関して、本エアロゾル送達デバイスの構成要素のいずれもが、カートリッジ内または制御体内に位置付けられ得る。しかしながら、カートリッジを制御体から取り外すことでカートリッジを容易に交換または再充填できるように、貯蔵部をカートリッジ内に位置付けることが概して望ましくあり得る。
【0088】
本明細書に開示されるエアロゾル送達デバイスは、概して、カートリッジ(例えば、交換可能なカートリッジ)及び制御体(例えば、再利用可能な制御体)を含むものとして記載されるが、様々な他の実施形態を用いてもよいことにも留意されたい。例えば、他の実施形態では、本エアロゾル送達デバイスは、3つ以上の部品を含んでもよい。追加的な実施形態では、エアロゾル送達デバイスは、一体型の1部品構成を画定してもよい。
【0089】
追加的な実施形態では、エアロゾル送達デバイスにおけるエアロゾル化のための方法が提供される。図8に示されるように、本方法は、操作1502にて、制御体から、エアロゾル前駆体組成物で少なくとも部分的に充填された貯蔵部を備えるカートリッジを通して気流を方向付けることを含み得る。更に、本方法は、操作1504にて、貯蔵部内の第1の圧力と、噴霧器に近接する第2の圧力との間の圧力差に基づく、貯蔵部から加熱要素を備える噴霧器へのエアロゾル前駆体組成物の分注を制御することを含み得る。本方法は、操作1506にて、貯蔵部から分注されるエアロゾル前駆体組成物を加熱要素で加熱して、気流にエアロゾルを添加することを追加的に含み得る。
【0090】
本方法のいくつかの実施形態では、貯蔵部内の第1の圧力は、周囲圧力(大気圧)よりも大きくともよい。加えて、操作1504にてエアロゾル前駆体組成物の分注を制御することは、弁で貯蔵部からエアロゾル前駆体組成物を選択的に放出することを含み得る。更に、本方法は、フローセンサで気流を検出することを含み得る。操作1504にてエアロゾル前駆体組成物の分注を制御することは、フローセンサからの信号に応答して弁を始動させることを含み得る。弁で貯蔵部からエアロゾル前駆体組成物を選択的に放出することは、カートリッジ内の貯蔵部から、制御体内の弁を通してエアロゾル前駆体組成物を方向付けることを含み得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、貯蔵部内の内圧は、周囲圧力(例えば、大気圧)と実質的に等しくあり得る。加えて、操作1504にてエアロゾル前駆体組成物の分注を制御することは、フローリストリクタで、貯蔵部内の第1の圧力と、噴霧器に近接する第2の圧力との間の圧力差を生み出すことを含み得る。本方法は、圧力差の適用中に流体送達管を通して加熱要素へとエアロゾル前駆体組成物を送達することと、そうでない場合は加熱要素へのエアロゾル前駆体組成物の流れに抵抗することとを更に含み得る。操作1504にてエアロゾル前駆体組成物の分注を制御することは、加熱要素が中に位置付けられる噴霧器のチャンバへとエアロゾル前駆体組成物を方向付けることを含み得る。
【0092】
本開示が関連する分野の当業者であれば、前述の説明及び関連する図面において提示された教示を利用して、本開示の多数の変更形態及び他の実施形態を思いつくことになるであろう。それ故に、本開示は本明細書において開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更形態及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されるということが理解されるべきである。特定の用語が本明細書で使用されているが、これらは一般的意味及び説明的意味で使用されているに過ぎず、限定を目的とするものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8