【実施例】
【0024】
以下では、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0025】
<装置構成>
先ず、
図1を参照しながら、本実施例の測定装置の構成について説明する。ここに
図1は、実施例に係る測定装置の構成を示す概略構成図である。
【0026】
図1において、本実施例に係る測定装置10は、テラヘルツ波を対象物200に照射すると共に、対象物200で反射されたテラヘルツ波を受信することが可能である。なお、テラヘルツ波は、1テラヘルツ(1THz=10
12Hz)前後の周波数領域(つまり、テラヘルツ領域)に属する電磁波である。テラヘルツ領域は、光の直進性と電磁波の透過性を兼ね備えた周波数領域である。
【0027】
本実施例に係る測定装置10は、波形発生器110と、サーキュレータ120と、バイアスティ130と、DC電圧供給部140と、共鳴トンネルダイオード150と、検波器160とを備えて構成されている。
【0028】
波形発生器110は、「制御部」の一具体例であり、共鳴トンネルダイオード150の動作を切り替えるための制御信号を出力する。具体的には、波形発生器110は、共鳴トンネルダイオード150がテラヘルツ波を発振する発振動作及びテラヘルツ波を受信する受信動作のいずれを行うべきかを示す制御信号を出力する。なお、波形発生器110から出力される制御信号は、例えばパルス、パルス列又は矩形波等であり、その振幅はpeak to peak値で、共鳴トンネルダイオード150の発振電圧と検出電圧との差になる値に設定されている。
【0029】
サーキュレータ120は、「出力部」の一具体例であり、制御部から出力される制御信号に基づいて、信号の伝送経路を切り替える。具体的には、サーキュレータ120は、制御信号が発振動作に対応するレベルである場合に、制御信号をバイアスティ130に出力する。また、サーキュレータ120は、御信号が受信動作に対応するレベルである場合に、バイアスティ130から入力された信号を検波器160に出力する。
【0030】
バイアスティ130は、「電圧印加部」の一具体例であり、サーキュレータ120から入力される制御信号に対して、DC電圧供給部140から供給されるDC電圧(即ち、照射用の電圧)を加算して、共鳴トンネルダイオード150に出力する。また、バイアスティ130は、共鳴トンネルダイオード150から出力された信号(即ち、テラヘルツ波の受信信号)のAC成分をサーキュレータ120に出力する。
【0031】
共鳴トンネルダイオード150は、「送受信部」の一具体例であり、テラヘルツ波を発振する発振動作及びテラヘルツ波を受信する受信動作を選択的に行うことが可能である。具体的には、共鳴トンネルダイオード150には、発振動作を行う電圧領域及び受信動作を行う電圧領域がそれぞれ別々に存在しており、波形発生器110から出力される制御信号に応じて発振動作及び受信動作が切り替えられる。発振動作時の共鳴トンネルダイオード150は、対象物200に対してテラヘルツ波を照射する。一方、受信動作時の共鳴トンネルダイオード150は、受信したテラヘルツ波に応じた受信信号をバイアスティ130に出力する。
【0032】
なお、共鳴トンネルダイオード150から照射されたテラヘルツ波は、各種光学部材を介して対象物200に導かれてもよい。具体的には、テラヘルツ波は、例えばテラヘルツ波を平行光にするコリメートレンズ、及びテラヘルツ波を対象物に集光する集光レンズや曲面鏡等を介して、対象物200に照射される。この場合、対象物200で反射されたテラヘルツ波も、各種光学部材を介して共鳴トンネルダイオード150へと導かれる
検波器160は、サーキュレータ120から入力された信号の振幅、周波数、位相、時間波形等を出得する。また検波器160は、取得した情報に各種演算処理を実行して、対象物200に関する情報を取得する。検波器160は、対象物に関する情報として、例えば対象物200のイメージング画像を生成することや対象物200の位置情報取得が可能とされている。
【0033】
<変形例>
次に、
図2及び
図3を参照しながら、変形例に係るテラヘルツ波計測装置の構成について説明する。ここに
図2は、第1変形例に係る測定装置の構成を示す概略構成図である。また
図3は、第2変形例に係る測定装置の構成を示す概略構成図である
図2において、第1変形例に係る測定装置10bは、本実施例に係るサーキュレータ(
図1参照)に代えて、アイソレータ121を備えて構成されている。なお、アイソレータ121は、サーキュレータ120の1つの端子をターミネートすることによって、反射波を吸収するように構成されてものである。
【0034】
アイソレータ121は、サーキュレータ120と同様に、波形発生器110から出力される制御信号に基づいて、信号の伝送経路を切り替える。具体的には、アイソレータ121は、制御信号が発振動作に対応するレベルである場合に、制御信号をバイアスティ130に出力する。また、アイソレータ121は、制御信号が受信動作に対応するレベルである場合に、バイアスティ130から入力された信号を吸収する(即ち、出力しない)。制御信号が受信動作に対応するレベルである場合には、高インピーダンスとされた検波器160によって、アイソレータ121及びバイアスティ130間の信号が読み取られる。
【0035】
図3において、第2変形例に係る測定装置10cは、本実施例に係るサーキュレータ(
図1参照)に代えて、電子式スイッチ122を備えて構成されている。電子式スイッチ122は、波形発生器110からの制御信号によってオンオフが切替え可能に構成されている。言い換えれば、第2変形例に係る波形発生器110は、制御信号として電子式スイッチ122の駆動電圧を出力する。また、電子式スイッチ122は、制御信号に代わるDC電圧を供給する第2DC電圧供給部170に接続されている。
【0036】
電子式スイッチ122は、サーキュレータ120及びアイソレータ121と同様に、波形発生器110から出力される制御信号に基づいて、信号の伝送経路を切り替える。具体的には、電子式スイッチ122は、制御信号が発振動作に対応するレベルである場合にオンとされ、第2DC電圧供給部170とバイアスティ130とを接続する。また、電子式スイッチ122は、制御信号が受信動作に対応するレベルである場合にオフとされ、バイアスティ130と検波器160とを接続する。
【0037】
以上説明したように、変形例に係る測定装置10b及び10cによっても、本実施例に係る測定装置10と同様の動作を実現することができる。
【0038】
<動作説明>
次に、
図4を参照しながら、本実施例に係る測定装置10の動作について具体的に説明する。ここに
図4は、実施例に係るテラヘルツ波計測装置の動作時の各種信号を示すタイムチャートである。
【0039】
図4において、本実施例に係る測定装置10の照射動作時には、波形発生器110から振幅Vmodの制御信号が出力される。ここで、電圧Vmodは、照射動作に対応する電圧であるため、サーキュレータ120によりバイアスティ130へと導かれる。
【0040】
そして、バイアスティ130では、テラヘルツ波を照射させるための電圧VdetがVmodに加算され、電圧Voscが共鳴トンネルダイオード150に出力される。電圧Voscが印加された共鳴トンネルダイオード150は、対象物200に向けてテラヘルツ波を照射する。
【0041】
一方、本実施例に係る測定装置10の受信動作時には、波形発生器110から振幅Vmodの制御信号が出力されない。言い換えれば、波形発生器110から振幅Vmodの制御信号が出力されない限りは、測定装置10は受信待機状態とされている。
【0042】
受信動作時において共鳴トンネルダイオード150でテラヘルツ波が受信されると、共鳴トンネルダイオード150からバイアスティ130に受信信号Vsigが出力される。バイアスティ130は、VsigからDC成分を取り除き、AC成分のみをサーキュレータ120に出力する。サーキュレータ120は、波形信号から制御信号Vmodが出力されていないため、バイアスティ130から出力されたAC成分を検波器160に出力する。
【0043】
以上説明したように、本実施例に係る測定装置10によれば、テラヘルツ波の発生素子と受信素子とを別々に設けずとも、1つの素子によって発振及び受信が行える。これにより、比較的単純な測定系でテラヘルツ波の反射測定が可能となる。また、発振されたテラヘルツ波は対象物200で正反射して発信源に戻る成分が最も大きいため、テラヘルツ波の利用効率も向上する。
【0044】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う測定装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。