特許第6979474号(P6979474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979474
(24)【登録日】2021年11月17日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20211202BHJP
   G01N 21/49 20060101ALI20211202BHJP
   G01N 21/3586 20140101ALI20211202BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   G01R29/08 A
   G01N21/49 C
   G01N21/3586
   G01R29/08 Z
   G01S7/03 220
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-25116(P2020-25116)
(22)【出願日】2020年2月18日
(62)【分割の表示】特願2015-54644(P2015-54644)の分割
【原出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2020-95043(P2020-95043A)
(43)【公開日】2020年6月18日
【審査請求日】2020年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】金井 伸也
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−170183(JP,A)
【文献】 特開2006−71528(JP,A)
【文献】 特開2002−62364(JP,A)
【文献】 特開2002−267747(JP,A)
【文献】 特開平10−111353(JP,A)
【文献】 特表2014−517620(JP,A)
【文献】 特開2013−190350(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0048859(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08
G01S 7/00
G01S 13/00
G01N 21/3586
G01N 21/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定信号が入力された際に電磁波を発生し、前記所定信号が入力されない際に外部から入射する電磁波を受信可能な一の能動素子を含み、前記一の能動素子が発生させた第1の電磁波を対象物に照射する照射動作、及び前記第1の電磁波が前記対象物にて反射された第2の電磁波を受信する受信動作を行う送受信部と、
前記送受信部で受信された前記第2の電磁波の情報を検出する検出部と、
前記送受信部に前記照射動作及び前記受信動作のいずれかを行わせる制御部と、
前記制御部が前記照射動作を行わせている場合に、前記一の能動素子に前記所定信号を入力させるための第1信号を前記送受信部側に出力し、前記制御部が前記受信動作を行わせている場合に、前記送受信部から入力された前記第2の電磁波の受信信号を前記検出部側に出力する出力部と
を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記出力部は、サーキュレータ、アイソレータ、又は電子式スイッチによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記送受信部の前記照射動作と前記受信動作とを切替える制御信号としてパルス信号を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記一の能動素子に前記所定信号として照射用電圧を印加する電圧印加部を更に備え、
前記出力部は、前記制御信号として前記送受信部の前記照射動作を選択する信号が出力されている場合に、前記電圧印加部に当該制御信号を出力する
ことを特徴とする請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記一の能動素子は、共鳴トンネルダイオードであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を利用して、対象物に関する情報を取得する測定装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テラヘルツ波イメージングやレーダーの研究開発が活発化しており、例えば非破壊検査やセンシング等への応用に期待が寄せられている。テラヘルツ波の発振及び検出には、一般的には発振用の素子及び検出用の素子が別々に用いられる。これに対し、例えば特許文献1では、1つの素子(共鳴トンネルダイオード)を、テラヘルツ波を発振する発振器及びテラヘルツ波を検出する検出器として共用するという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014−517620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載された技術では、発振と検出との切替えに可変抵抗を利用している。この場合、回路の応答速度が著しく遅くなるため、自身が発振したテラヘルツ波を自身で検出することは非常に難しい。よって、特許文献1に記載された技術は、仮に1つの素子を発振器及び検出器として切替えて機能させることができたとしても、測定のためのテラヘルツ波の発振及び検出を1つの素子で全て行うことはできないという技術的問題点を有している。
【0005】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、1つの素子を発振及び受信に兼用することが可能な測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する測定装置は、電磁波を対象物に照射する照射動作、及び前記対象物にて反射された前記電磁波を受信する受信動作を行う送受信部と、前記送受信部で受信された電磁波の情報を検出する検出部と、前記送受信部に前記照射動作及び前記受信動作のいずれかを行わせる制御部と、前記制御部が前記照射動作を行わせている場合に、前記送受信部側に前記電磁波を照射させるための信号を出力し、前記制御部が前記受信動作を行わせている場合に、前記検出部側に前記送受信部側から入力された信号を出力する出力部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例に係る測定装置の構成を示す概略構成図である。
図2】第1変形例に係る測定装置の構成を示す概略構成図である。
図3】第2変形例に係る測定装置の構成を示す概略構成図である。
図4】実施例に係る測定装置の動作時の各種信号を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<1>
本実施形態に係る測定装置は、電磁波を対象物に照射する照射動作、及び前記対象物にて反射された前記電磁波を受信する受信動作を行う送受信部と、前記送受信部で受信された電磁波の情報を検出する検出部と、前記送受信部に前記照射動作及び前記受信動作のいずれかを行わせる制御部と、前記制御部が前記照射動作を行わせている場合に、前記送受信部側に前記電磁波を照射させるための信号を出力し、前記制御部が前記受信動作を行わせている場合に、前記検出部側に前記送受信部側から入力された信号を出力する出力部とを備える。
【0009】
本実施形態の測定装置によれば、その動作時には、照射動作を行う送受信部から対象物に向けて電磁波が照射される。ここでの「電磁波」とは、反射測定により対象物に関する情報を取得可能な電磁波であり、テラヘルツ波が一例として挙げられる。なお、テラヘルツ波とは、1テラヘルツ(1THz=1012Hz)前後の周波数領域(つまり、テラヘルツ領域)に属する電磁波である。
【0010】
対象物に照射された電磁波は、対象物で反射され、受信動作を行う送受信部で受信される。即ち、本実施形態では、電磁波の照射動作及び受信動作が1つの送受信部で行われる。送受信部は、例えば共鳴トンネルダイオード(RTD:Resonant Tunneling Diode)等として構成されている。
【0011】
送受信部における受信結果は、後述する出力部の動作により、検出部に出力される。検出部は、受信された電磁波を示す信号の振幅、周波数、位相、時間波形等を取得する。そして検出部は、取得した各種情報に対して演算処理を行い、対象物に関する情報を取得する。検出部は、例えば受信された電磁波の強度や時間波形に基づいて、対象物のイメージングや距離情報の取得を行うことが可能である。
【0012】
送受信部の照射動作及び受信動作は、制御部によって切替えられる。具体的には、制御部が送受信部に照射動作を行わせる場合、出力部から送受信部側に電磁波を照射させるための信号が出力される。なお、ここでの「送受信部側」とは、出力部から見て送受信部側に位置する部位を意味しており、「送受信部側に信号を出力する」とは、送受信部に対して直接信号を出力する場合だけでなく、出力部と送受信部との間に位置する部位に信号を出力する場合も含まれる。また、「電磁波を照射させるための信号」は、制御部が出力する制御信号等をそのまま送受信部側に出力するものであってもよいし、出力部が新たに生成した信号であってもよい。
【0013】
他方、制御部が送受信部に受信動作を行わせる場合、出力部から検出部側に送受信部側から入力された信号を出力する。なお、ここでの「検出部側」とは、出力部から見て検出部側に位置する部位を意味しており、「検出部側に信号を出力する」とは、検出部に対して直接信号を出力する場合だけでなく、出力部と検出部との間に位置する部位に信号を出力する場合も含まれる。また、「送受信部側から入力された信号」とは、受信された電磁波に応じた信号であり、例えば電磁波の受信有無を示す信号や電磁波の受信強度を示す信号である。
【0014】
上述したように、制御信号が送受信部にいずれの動作を行わせるかに応じて、出力部からは各種信号を出力される。これにより、送受信部の照射動作及び受信動作を好適に切替えることが可能となる。なお、出力部は、例えばサーキュレータ、アイソレータ、MOSFET等の電子式スイッチとして構成されればよい。このような出力部によれば、極めて高速に照射動作及び受信動作を切替えることができるため、送受信部が発振した電磁波を、送受信部自身で受信することが可能となる。
【0015】
以上説明したように、本実施形態に係る測定装置によれば、電磁波を発振する発生素子と電磁波を受信する受信素子とを別々に設けずとも、1つの送受信部によって電磁波の発振及び受信が行える。これにより、比較的単純な測定系で電磁波の反射測定が可能となる。また、発振された電磁波は対象物で正反射して発信源に戻る成分が最も大きいため、電磁波の利用効率も向上する。
【0016】
<2>
本実施形態に係る測定装置の一態様では、前記制御部は、前記送受信部が前記照射動作及び前記受信動作のいずれを行うべきかを示す制御信号を出力し、前記出力部は、前記制御信号が前記照射動作を行うべき信号値である場合に、前記送受信部側に前記電磁波を照射させるための信号を出力し、前記制御信号が前記受信動作を行うべき値である場合に、前記検出部側に前記送受信部側から入力された信号を出力する。
【0017】
この態様によれば、制御部から出力される制御信号に応じて、出力部から各種信号が出力される。具体的には、制御部から出力された制御信号が照射動作を行うべき値である場合、出力部が送受信部側に電磁波を照射させるための信号を出力する。一方で、制御部から出力された制御信号が受信動作を行うべき値である場合、出力部が検出部側に送受信部側から入力された信号を出力する。
【0018】
上述したように、出力部が制御信号に応じて各種信号を出力することで、送受信部の照射動作及び受信動作を好適に切替えることが可能となる。
【0019】
<3>
上述した制御部が制御信号を出力する態様では、前記制御部は、前記制御信号としてパルス信号を出力してもよい。
【0020】
このように構成すれば、制御部が出力するパルス信号のレベルに応じて、送受信部の照射動作及び受信動作を好適に切替えることが可能である。
【0021】
<4>
或いは制御部が制御信号を出力する態様では、前記送受信部に前記電磁波を照射させるための照射用電圧を印加する電圧印加部を更に備え、前記出力部は、前記制御信号が前記照射動作を行うべき値である場合に、前記電圧印加部に前記照射用電圧を印加させるための信号を出力してもよい。
【0022】
このように構成すれば、制御信号が照射動作を行うべき値である場合、電圧印加部によって送受信部に照射用電圧が印加される。これにより、確実に送受信部から電磁波を照射することが可能となる。
【0023】
本実施形態に係る測定装置の作用及び他の利得については、以下に示す実施例において、より詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
以下では、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0025】
<装置構成>
先ず、図1を参照しながら、本実施例の測定装置の構成について説明する。ここに図1は、実施例に係る測定装置の構成を示す概略構成図である。
【0026】
図1において、本実施例に係る測定装置10は、テラヘルツ波を対象物200に照射すると共に、対象物200で反射されたテラヘルツ波を受信することが可能である。なお、テラヘルツ波は、1テラヘルツ(1THz=1012Hz)前後の周波数領域(つまり、テラヘルツ領域)に属する電磁波である。テラヘルツ領域は、光の直進性と電磁波の透過性を兼ね備えた周波数領域である。
【0027】
本実施例に係る測定装置10は、波形発生器110と、サーキュレータ120と、バイアスティ130と、DC電圧供給部140と、共鳴トンネルダイオード150と、検波器160とを備えて構成されている。
【0028】
波形発生器110は、「制御部」の一具体例であり、共鳴トンネルダイオード150の動作を切り替えるための制御信号を出力する。具体的には、波形発生器110は、共鳴トンネルダイオード150がテラヘルツ波を発振する発振動作及びテラヘルツ波を受信する受信動作のいずれを行うべきかを示す制御信号を出力する。なお、波形発生器110から出力される制御信号は、例えばパルス、パルス列又は矩形波等であり、その振幅はpeak to peak値で、共鳴トンネルダイオード150の発振電圧と検出電圧との差になる値に設定されている。
【0029】
サーキュレータ120は、「出力部」の一具体例であり、制御部から出力される制御信号に基づいて、信号の伝送経路を切り替える。具体的には、サーキュレータ120は、制御信号が発振動作に対応するレベルである場合に、制御信号をバイアスティ130に出力する。また、サーキュレータ120は、御信号が受信動作に対応するレベルである場合に、バイアスティ130から入力された信号を検波器160に出力する。
【0030】
バイアスティ130は、「電圧印加部」の一具体例であり、サーキュレータ120から入力される制御信号に対して、DC電圧供給部140から供給されるDC電圧(即ち、照射用の電圧)を加算して、共鳴トンネルダイオード150に出力する。また、バイアスティ130は、共鳴トンネルダイオード150から出力された信号(即ち、テラヘルツ波の受信信号)のAC成分をサーキュレータ120に出力する。
【0031】
共鳴トンネルダイオード150は、「送受信部」の一具体例であり、テラヘルツ波を発振する発振動作及びテラヘルツ波を受信する受信動作を選択的に行うことが可能である。具体的には、共鳴トンネルダイオード150には、発振動作を行う電圧領域及び受信動作を行う電圧領域がそれぞれ別々に存在しており、波形発生器110から出力される制御信号に応じて発振動作及び受信動作が切り替えられる。発振動作時の共鳴トンネルダイオード150は、対象物200に対してテラヘルツ波を照射する。一方、受信動作時の共鳴トンネルダイオード150は、受信したテラヘルツ波に応じた受信信号をバイアスティ130に出力する。
【0032】
なお、共鳴トンネルダイオード150から照射されたテラヘルツ波は、各種光学部材を介して対象物200に導かれてもよい。具体的には、テラヘルツ波は、例えばテラヘルツ波を平行光にするコリメートレンズ、及びテラヘルツ波を対象物に集光する集光レンズや曲面鏡等を介して、対象物200に照射される。この場合、対象物200で反射されたテラヘルツ波も、各種光学部材を介して共鳴トンネルダイオード150へと導かれる
検波器160は、サーキュレータ120から入力された信号の振幅、周波数、位相、時間波形等を出得する。また検波器160は、取得した情報に各種演算処理を実行して、対象物200に関する情報を取得する。検波器160は、対象物に関する情報として、例えば対象物200のイメージング画像を生成することや対象物200の位置情報取得が可能とされている。
【0033】
<変形例>
次に、図2及び図3を参照しながら、変形例に係るテラヘルツ波計測装置の構成について説明する。ここに図2は、第1変形例に係る測定装置の構成を示す概略構成図である。また図3は、第2変形例に係る測定装置の構成を示す概略構成図である
図2において、第1変形例に係る測定装置10bは、本実施例に係るサーキュレータ(図1参照)に代えて、アイソレータ121を備えて構成されている。なお、アイソレータ121は、サーキュレータ120の1つの端子をターミネートすることによって、反射波を吸収するように構成されてものである。
【0034】
アイソレータ121は、サーキュレータ120と同様に、波形発生器110から出力される制御信号に基づいて、信号の伝送経路を切り替える。具体的には、アイソレータ121は、制御信号が発振動作に対応するレベルである場合に、制御信号をバイアスティ130に出力する。また、アイソレータ121は、制御信号が受信動作に対応するレベルである場合に、バイアスティ130から入力された信号を吸収する(即ち、出力しない)。制御信号が受信動作に対応するレベルである場合には、高インピーダンスとされた検波器160によって、アイソレータ121及びバイアスティ130間の信号が読み取られる。
【0035】
図3において、第2変形例に係る測定装置10cは、本実施例に係るサーキュレータ(図1参照)に代えて、電子式スイッチ122を備えて構成されている。電子式スイッチ122は、波形発生器110からの制御信号によってオンオフが切替え可能に構成されている。言い換えれば、第2変形例に係る波形発生器110は、制御信号として電子式スイッチ122の駆動電圧を出力する。また、電子式スイッチ122は、制御信号に代わるDC電圧を供給する第2DC電圧供給部170に接続されている。
【0036】
電子式スイッチ122は、サーキュレータ120及びアイソレータ121と同様に、波形発生器110から出力される制御信号に基づいて、信号の伝送経路を切り替える。具体的には、電子式スイッチ122は、制御信号が発振動作に対応するレベルである場合にオンとされ、第2DC電圧供給部170とバイアスティ130とを接続する。また、電子式スイッチ122は、制御信号が受信動作に対応するレベルである場合にオフとされ、バイアスティ130と検波器160とを接続する。
【0037】
以上説明したように、変形例に係る測定装置10b及び10cによっても、本実施例に係る測定装置10と同様の動作を実現することができる。
【0038】
<動作説明>
次に、図4を参照しながら、本実施例に係る測定装置10の動作について具体的に説明する。ここに図4は、実施例に係るテラヘルツ波計測装置の動作時の各種信号を示すタイムチャートである。
【0039】
図4において、本実施例に係る測定装置10の照射動作時には、波形発生器110から振幅Vmodの制御信号が出力される。ここで、電圧Vmodは、照射動作に対応する電圧であるため、サーキュレータ120によりバイアスティ130へと導かれる。
【0040】
そして、バイアスティ130では、テラヘルツ波を照射させるための電圧VdetがVmodに加算され、電圧Voscが共鳴トンネルダイオード150に出力される。電圧Voscが印加された共鳴トンネルダイオード150は、対象物200に向けてテラヘルツ波を照射する。
【0041】
一方、本実施例に係る測定装置10の受信動作時には、波形発生器110から振幅Vmodの制御信号が出力されない。言い換えれば、波形発生器110から振幅Vmodの制御信号が出力されない限りは、測定装置10は受信待機状態とされている。
【0042】
受信動作時において共鳴トンネルダイオード150でテラヘルツ波が受信されると、共鳴トンネルダイオード150からバイアスティ130に受信信号Vsigが出力される。バイアスティ130は、VsigからDC成分を取り除き、AC成分のみをサーキュレータ120に出力する。サーキュレータ120は、波形信号から制御信号Vmodが出力されていないため、バイアスティ130から出力されたAC成分を検波器160に出力する。
【0043】
以上説明したように、本実施例に係る測定装置10によれば、テラヘルツ波の発生素子と受信素子とを別々に設けずとも、1つの素子によって発振及び受信が行える。これにより、比較的単純な測定系でテラヘルツ波の反射測定が可能となる。また、発振されたテラヘルツ波は対象物200で正反射して発信源に戻る成分が最も大きいため、テラヘルツ波の利用効率も向上する。
【0044】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う測定装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0045】
10 測定装置
110 波形発生器
120 サーキュレータ
121 アイソレータ
122 電子式スイッチ
130 バイアスティ
140 DC電圧供給部
150 共鳴トンネルダイオード
160 検波器
170 第2DC電圧供給部
200 対象物
図1
図2
図3
図4