(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1の場合、蟻型突起と蟻型凹溝との関係について何ら記載されておらず、これらの関係によってはタイルの貼り付け作業が難しくなる。しかも、タイルをどのような硬化材で貼り付けるかについては何ら記載されていないため、タイルを貼り付けた後に長期間の安定した貼り付け状態を維持するのが難しい場合がある。
【0009】
また、上記特許文献2の場合、基板の凸条にタイル裏面の上側の突部を掛止して下部を接着するため、タイルを縦張りする場合には適用が難しい。しかも、タイルを掛止することで位置が決定するので、製造精度の管理が難しい。
【0010】
さらに、上記特許文献3の場合も、押出成形パネルの表面の係合溝にタイルの溝部を掛止させてタイル張りを行うため、縦張りの押出成形パネルには適用できず、横張りの押出成形パネルに限られる。しかも、タイルを掛止することで位置が決定するので、製造精度の管理が難しい。
【0011】
そこで、本発明は、パネル材にタイルを接着剤で貼り付けた状態を長期間保つことができる仕上げ材貼り付けパネル及び仕上げ材貼り付けパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る仕上げ材貼り付けパネルは、パネル材の貼着面に仕上げ材の貼着面を貼着する仕上げ材貼り付けパネルであって、前記パネル材又は前記仕上げ材のいずれか一方は、前記貼着面に所定間隔で一方向に延びるように並設された複数のリブ部を備え、前記パネル材又は前記仕上げ材の他方は、前記貼着面に前記リブ部と干渉しない間隔で該リブ部と嵌合できる大きさに形成された溝部を備え、前記リブ部は、延びる方向と直交する断面において、両側面に基部から端部に向けて
55度〜65度の角度で広が
り、かつ、基部は凹のR形状に形成され、端部は凸のR形状に形成された傾斜面を有し、前記溝部は、延びる方向と直交する断面において、両側面に基部から端部に向けて
55度〜65度の角度で狭ま
り、かつ、基部は凹のR形状に形成され、端部は凸のR形状に形成された傾斜面を有し、
前記リブ部と前記溝部とは、前記リブ部の延びる方向と直交する断面における幅方向の対向する部分の隙間が、前記リブ部の傾斜面の基部から端部までの幅方向間隔に対して1〜2倍であり、且つ前記溝部の傾斜面の基部から端部までの幅方向間隔に対して1〜2倍で形成されており、前記パネル材と前記仕上げ材は、前記リブ部と前記溝部との間の前記両傾斜面に沿って塗布され、前記仕上げ材の貼り付け後に前記リブ部と前記溝部との間の空間に充填されて硬化した、硬化後の硬度が
JIS K7215に規定されたタイプAのデュロメータ硬度で75〜90の接着剤で結合されるように構成されている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「嵌合」は、隙間を有する状態で嵌め合せることをいう。
【0013】
この構成により、パネル材のリブ部と仕上げ材の溝部との間の傾斜面に塗布した接着剤は、仕上げ材の貼り付け時にこれらの傾斜面の間の空間に充填されて硬化し、パネル材と仕上げ材は硬化した接着剤の嵌合力(この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「嵌合力」は、パネル材と仕上げ材とを嵌合させた状態で、これらの間で硬化した接着剤による結合力をいう。)と接着力とによって強固に結合されて、仕上げ材がパネル材から剥落するのを防止することができる。
【0014】
さらに、リブ部と溝部との間に塗布した接着剤がリブ部と溝部の間の空間に充填されるように仕上げ材を貼り付けることが効率良くでき、接着剤の硬化後は、リブ部と溝部との間の空間で硬化した接着剤によって結合状態を保つことができる。
【0015】
また、前記リブ部は、該リブ部の傾斜面の基部からパネル材に向かって凹む接着剤保持部を有していてもよい。このように構成すれば、リブ部と溝部との間に塗布してこれらの間の空間に充填される接着剤の余剰分が接着剤保持部にも充填され、仕上げ材の貼り付け時に接着剤が仕上げ材の周囲から出る量を抑えて効率良く作業を行うことができる。
【0016】
また、前記リブ部は、該リブ部の幅方向中央部に凹条部が形成されて並設された一対のリブ部に構成され、前記溝部は、該溝部の幅方向中央部に前記リブ部の凹条部内に入り込む突条部が設けられ、前記突条部の先端部分と前記凹条部の下端部分とを当接させることで仕上げ材の位置決めができるように構成されていてもよい。このように構成すれば、リブ部と溝部との嵌合時に、リブ部の幅方向中央部における凹条部に溝部の幅方向中央部における突条部が入り込み、この凹条部と突条部の位置関係をリブ部の延びる方向から確認することで、仕上げ材の張り付け位置を確認しながら、仕上げ材の位置調整を行ってパネル材に貼り付けることができる。しかも、リブ部と溝部との間に充填される接着剤は、この凹条部と突条部との間には入り込むことがないので、安定した確認ができる。
【0017】
また、前記突条部と前記凹条部とは、当接した状態で前記リブ部と前記溝部との間に隙間ができる高さに設定されていてもよい。このように構成すれば、仕上げ材をパネル材に貼り付ける時に、これらの隙間に充填される接着剤の余剰分がリブ部と溝部との隙間にも流れて、仕上げ材の貼り付けを容易に行うことができる。
【0018】
また、前記パネル材は、少なくとも片面にリブ部を有し、前記仕上げ材は、長方形状に形成され、裏面の短辺方向又は長辺方向に前記溝部を有していてもよい。このように構成すれば、共通のパネル材を用いて、長方形状の仕上げ材の溝部で、縦張り、横張りに対応するようにできる。
【0019】
また、前記パネル材は、押出成形セメント板であり、前記リブ部は、押出成形セメント板の押出方向と平行に複数設けられていてもよい。このように構成すれば、パネル材としての押出成形セメント板の成形時に複数のリブ部を一体的に成形することができ、パネル材に設けるリブ部を容易に形成することができる。
【0020】
一方、本発明に係る仕上げ材貼り付けパネルの製造方法は、パネル材の貼着面に仕上げ材の貼着面を貼着する仕上げ材貼り付けパネルの製造方法であって、前記パネル材又は前記仕上げ材のいずれか一方の前記貼着面に所定間隔で一方向に延びるように並設され、該延びる方向と直交する断面において、両側面に基部から端部に向けて
55度〜65度の角度で広が
り、かつ、基部は凹のR形状に形成され、端部は凸のR形状に形成された傾斜面を有する複数のリブ部と、前記パネル材又は前記仕上げ材の他方において前記リブ部と干渉しない間隔で該リブ部に嵌合できる大きさでリブ部の延びる方向に形成され、該延びる方向と直交する断面において、両側面に基部から端部に向けて
55度〜65度の角度で狭ま
り、かつ、基部は凹のR形状に形成され、端部は凸のR形状に形成された傾斜面を有する溝部と、
を有し、前記リブ部と前記溝部とは、前記リブ部の延びる方向と直交する断面における幅方向の対向する部分の隙間が、前記リブ部の傾斜面の基部から端部までの幅方向間隔に対して1〜2倍であり、且つ前記溝部の傾斜面の基部から端部までの幅方向間隔に対して1〜2倍で形成されており、前記リブ部と前記溝部との間の前記傾斜面に沿って、硬化後の硬度が
JIS K7215に規定されたタイプAのデュロメータ硬度で75〜90の接着剤を塗布し、前記仕上げ材を前記パネル材に貼り付けることで、前記リブ部と前記溝部との間の空間に充填されて硬化した前記接着剤で前記仕上げ材を前記パネル材に結合している。
【0021】
この構成により、パネル材のリブ部と仕上げ材の溝部との間の傾斜面に塗布した接着剤は、仕上げ材の貼り付け時にこれらの傾斜面の間の空間に充填されて硬化し、パネル材と仕上げ材は硬化した接着剤の嵌合力と接着力とによって強固に結合されて、仕上げ材がパネル材から剥落するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、パネル材に仕上げ材を貼り付ける
ためにリブ部と溝部との間に充填された接着剤が硬化することで、硬度の高い接着剤で仕上げ材の貼り付け状態を長期間保つことができる仕上げ材貼り付けパネルとその製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、パネル材10として押出成形セメント板(以下、単に「パネル」という。)を例にし、仕上げ材として長方形状のタイル30を例に説明する。また、パネル材10がリブ部11を備え、タイル30が溝部31を備えた構成を例に説明する。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における上下方向及び幅方向の概念は、
図1に示すパネル材10に向かった状態における上下方向及び幅方向の概念と一致するものとする。
【0025】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る仕上げ材貼り付けパネル1の結合部分を一部拡大した端面図である。図示するように、第1実施形態に係るパネル材10には、表面(片面)の押出方向(紙面に向かう一方向)に延びるように、リブ部11(凸部)が設けられている。パネル材10が押出成形セメント板の場合には、押出成形セメント板の成形時に複数のリブ部11を平行に一体成形することが容易にできる。パネル材10としては、押出成形セメント板の他、リブ部11を一体的に設けることができれば、素材は限定されない。例えば、軽量気泡コンクリート、プレキャストコンクリートパネル、金属系パネルなどを用いることが可能である。
【0026】
上記パネル材10に貼り付けるタイル30は、長方形状に形成されたタイル30(
図11)であり、貼着面である裏面32にはタイル30の紙面に向かう方向(長辺方向又は短辺方向)に延びる溝部31が設けられている。この溝部31は、上記リブ部11と干渉しない隙間Cを有し、リブ部11と嵌合できる幅方向寸法に形成されている。タイル(仕上げ材)30としては、陶器質、磁器質タイルの他、天然あるいは人工石材、木材、樹脂など、その他、溝部31を形成できるものであれば用いることが可能である。これらパネル材10のリブ部11と、タイル30の溝部31は、紙面に向かう方向に延びるように設けられている。
【0027】
上記パネル材10のリブ部11は、延びる方向と直交する断面(図示する面)において、表面(貼着面)12から漸次広がるように突出する台形状断面に形成されている。また、上記タイル30の溝部31は、延びる方向と直交する断面(図示する面)において、裏面(貼着面)32から漸次広がるように凹む台形状断面に形成されている。そのため、リブ部11は、幅方向の両側面が基部13(パネル材10の表面12)から端部14に向けて広がる傾斜面15に形成され、溝部31は、幅方向の両側面が基部33から端部34(タイル30の裏面32)に向けて狭まる傾斜面35に形成されている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「側面」は、図示するようにリブ部11が延びる方向と直交する断面において、幅方向の端面をいう。
【0028】
これにより、パネル材10のリブ部11にタイル30の溝部31を嵌合させて貼り付けた状態では、リブ部11の傾斜面15と溝部31の傾斜面35とが対向した状態となる。これらの対向するリブ部11の傾斜面15と溝部31の傾斜面35の角度θは、パネル材10の表面12(タイル30の裏面32)に対して、55度〜65度の角度が好ましい。55度よりも小さい場合には、リブ部11の先端部が鋭角となり破損し易くなる。65度よりも大きい場合には、接着剤50(
図2)とのクサビ効果(クサビ状態で硬化して結合状態を保つ効果)が小さくなる。この実施形態では、これらリブ部11の傾斜面15と溝部31の傾斜面35は、嵌合時に平行となるように、同じ角度となっている。
【0029】
このパネル材10のリブ部11とタイル30の溝部31の幅方向寸法は、タイル30の溝部31をパネル材10のリブ部11に嵌合させる時に、リブ部11と干渉しない幅方向の隙間Cを有する大きさに設定されている。図示するように、リブ部11の端部14と溝部31の端部34との隙間Cは、リブ部11の傾斜面15の基部13と端部14との幅方向間隔Bに対して1〜2倍であり、且つ、溝部31の傾斜面35の基部33と端部34との幅方向間隔Dに対しても1〜2倍となるようにしている。
【0030】
この幅方向の隙間Cは、間隔B(間隔D)の1倍より小さい場合、タイル30の貼り付け時のゆとり(タイル位置調整の可動範囲)が小さくなり、タイル30の位置調整が難しくなる。また、2倍より大きい場合、接着剤50(
図2)の使用量が多くなるとともに、硬化した嵌合によるクサビ効果が小さくなる。なお、この図では、間隔Dは、リブ部11の端部14を面取りしているので間隔Bよりも狭くなっているが、間隔Bは面取りする前の間隔Dと同一でよい。
【0031】
このような間隔B,Dと隙間Cによって、パネル材10のリブ部11とタイル30の溝部31との間に形成される空間Aの大きさは、タイル30とパネル材10の嵌合時に、空間Aに充填される接着剤50(
図2)が硬化後に十分な結合強度を確保できる大きさに設定される。
【0032】
図2は、
図1に示す仕上げ材貼り付けパネル1の結合部分を示す端面図である。
図1に示すように、リブ部11と溝部31との間に幅方向の隙間Cを設け、それぞれの傾斜面15,35に間隔B,Dを設定している。そのため、リブ部11の傾斜面15に沿って接着剤50を塗布(ビード打ち)した状態で、タイル30の溝部31を嵌合させることで、接着剤50がリブ部11と溝部31の間の空間Aに充填されてタイル30をパネル材10に貼り付けることができる。
【0033】
接着剤50の塗布量としては、リブ部11と溝部31の間にできる空間A(断面積)に対して、2〜3倍の量を塗布する。接着剤50の量が2倍より小さい場合、接着剤50の充填性が悪くなり嵌合力と接着力が低下する。3倍より大きい場合、タイル30を貼り付けた際にはみ出す量が多くなり、接着剤50を取り除くのに手間を要するなど、作業効率が低下する。
【0034】
また、接着剤50としては、硬化後の接着剤50がクサビ状態で硬化して嵌合力を発揮するように、硬化後に変形しにくいものとする。具体的には、硬化後の変形がしにくく、硬化後にクサビ状態で硬化して結合状態を保って嵌合力を得ることが可能なものとして、接着剤50の硬化後の硬度が、デュロメータ硬度計(Aタイプ:プラスチック・ゴム用)の硬度で75〜90のものが用いられる。この接着剤50の硬化後の硬度は、「JIS K7215」のプラスチックのデュロメータ硬さ試験方法に基づく。接着剤50としては、変性シリコン・エポキシ樹脂系接着剤、エポキシ樹脂接着剤などで、硬化後の硬度が75〜90のものを用いることができる。
【0035】
そして、このような接着剤50を用いて結合したパネル材10とタイル30は、接着剤50の硬化後は、硬化した接着剤50がリブ部11と溝部31との間に充填されて硬化した状態となり、この接着剤50によってパネル材10とタイル30との結合状態を保つことができる。つまり、パネル材10のリブ部11に傾斜面15を設けた形状と、タイル30の溝部31に傾斜面35を設けた形状とにより、これら両傾斜面15,35の間に充填した接着剤50による接着力に加え、この接着剤50が硬化することでリブ部11に対して溝部31を保持する嵌合力を生じさせることができる。そして、これらの力によって、少ない接着材量でタイル30をパネル材10に結合した状態を保つことができる。
【0036】
また、
図3に示す上記仕上げ材貼り付けパネル1の変形例のように、パネル材10のリブ部11の突出する高さと、タイル30の溝部31の凹む深さは、タイル30をパネル材10に貼り付けた状態で、タイル30の裏面(貼着面)32がパネル材10の表面(貼着面)12に密着するようにしてもよい。パネル材10の表面12とタイル30の裏面32とが密着している場合は、これらの隙間から接着剤50の逃げがなくなることから、接着剤50が空間Aの細部まで充填されるようになる。さらに、パネル材10の表面12とタイル30の裏面32が密着し、パネル材10のリブ部11の頂部とタイル30の溝部31が共に密着している場合には(
図3)、これらの間への接着剤50の逃げがなくなることから、必要最小限の接着剤50の量で空間Aに充填することが可能となる。
【0037】
これらは適宜組み合わせて設定してもよいが、接着剤50の充填とはみ出しを考えると、パネル材10の表面(貼着面)12とタイル30の裏面(貼着面)32が密着する構成、あるいは、パネル材10のリブ部11の頂部とタイル30の溝部31、パネル材10の表面12とタイル30の裏面32の両方が密着する構成が望ましい。
【0038】
このように、上記仕上げ材貼り付けパネル1によれば、パネル材10のリブ部11とタイル30の溝部31との間に所定量の接着剤50を塗布し、それらを嵌合するのみで、従来に比べて少ない接着剤量でパネル材10とタイル30との強固な結合を長期間保つことができる。
【0039】
図4は、
図2に示す結合状態の仕上げ材貼り付けパネル1の端部図面である。図示するように、パネル材10には、表面の押出方向に延びるように平行に複数のリブ部11が所定間隔で複数設けられている。そして、この仕上げ材貼り付けパネル1では、パネル材10に並設した2本のリブ部11に、タイル30に設けた2本の溝部31を嵌合させて貼り付けており、タイル30は横張りとなっている。
【0040】
パネル材10にタイル30を貼り付ける場合、パネル材10のリブ部11の傾斜面15に接着剤50をビード状(線状)に塗布し、タイル30の溝部31をリブ部11に嵌合させる。これにより、接着剤50がリブ部11と溝部31との間の空間Aに充填される。そして、この接着剤50が空間Aで完全硬化することにより、タイル30がパネル材10と一体化するように強固に結合することができる。しかも、空間Aの分の最小限の接着剤量で、接着剤50の硬化後は硬化した接着剤50が空間Aにおいてクサビ状態で硬化した状態で結合できる。
【0041】
また、接着剤50を塗布する作業も、コーキングガンなどの機械式打設ガンを用いることができるため、ヘラやコテでパネル材10の全面に塗布する場合に比べて作業効率が向上し、接着剤50のロス量も減らすことが可能となる。さらに、接着剤50の塗布面積がリブ部11と溝部31との間の空間Aだけであるので、タイル30を貼り付け後に位置調整することも容易に行うことができる。しかも、タイル30の位置調整による接着剤50のはみ出しも全面塗布に比べて少ないので、余剰の接着剤50も抑えることができ、この点でも貼り付け時の作業性が向上する。
【0042】
このように、上記仕上げ材貼り付けパネル1によれば、硬度が75〜90の接着剤50を適切量で用いてタイル30の溝部31とパネル材10のリブ部11とを結合するので、タイル30の貼り付け時にはタイル30の位置調整が容易な貼り付けができる。そして、硬度の高い接着剤50が硬化した後は、パネル材10のリブ部11とタイル30の溝部31との間で硬化した接着剤50の嵌合力及び接着力によって、パネル材10とタイル30との結合状態を長期間保つことができる。しかも、この結合状態は、接着力が十分機能している間は
図9で説明するように、硬度の高い接着剤50が凝集破壊するまで保持することができる。また、硬度の高い接着剤50の接着力が低下した場合には、硬化した接着剤50の嵌合力によって保持することができる。
【0043】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係る仕上げ材貼り付けパネル2の結合部分を一部拡大した端面図である。図示するように、第2実施形態に係るパネル材20には、第1実施形態と同様に表面の押出方向(紙面に向かう一方向)に延びるように、リブ部21(凸部)が設けられている。そして、この第2実施形態では、リブ部21の幅方向中央部分に凹条部26が設けられている。そのため、各リブ部21は、この凹条部26によって2本のリブ部21が一対となったリブ部21に形成されている。
【0044】
上記凹条部26には、後述するタイル40に形成された突条部46が当接する位置決め突起27が設けられている。位置決め突起27は、パネル材20の表面22と同じ高さに設けられている。位置決め突起27の両側部は、パネル材20の表面22よりも凹む凹部28に形成されている。この位置決め突起27及び凹部28も、紙面に向かう方向に延びるように設けられている。
【0045】
また、上記リブ部21は、延びる方向と直交する断面(図示する面)において、幅方向の外側(凹条部26と反対側)の両側面が基部23(パネル材20の貼着面である表面22)側から端部24に向けて広がる傾斜面25に形成されている。
【0046】
さらに、この実施形態では、傾斜面25の基部23から幅方向外向きに、パネル材20の表面22から凹むように接着剤保持部29が設けられている。この接着剤保持部29は、後述するように接着剤50(
図6)の余剰分が充填される部分となる。接着剤保持部29は、パネル材20のリブ部21とタイル40の溝部41との間に形成される空間Aから連結するように、パネル材20の表面22から凹んで形成されている。この接着剤保持部29も、紙面に向かう一方向に延びるように、リブ部21に沿って設けられている。
【0047】
この実施形態でも、パネル材20が押出成形セメント板の場合には、押出成形セメント板の成形時に複数のリブ部21を平行に一体成形することが容易にできる。このパネル材20としても、上記第1実施形態と同様に、押出成形セメント板の他、リブ部21を一体的に設けることができれば、素材は限定されない。
【0048】
上記パネル材20に貼り付けるこの実施形態のタイル40は、長方形状に形成されたタイル40(
図11)であり、貼着面である裏面42にはタイル40の紙面に向かう方向(長辺方向又は短辺方向)に延びる溝部41が設けられている。この溝部41は、上記リブ部21と干渉しない隙間Cを有し、リブ部21と嵌合できる幅方向寸法に形成されている。そして、この実施形態では、この溝部31の幅方向中央部に、上記パネル材20の凹条部26に入り込む突条部46が設けられている。そのため、各溝部31は、この突条部46によって2本の溝部31が一対となった溝部31に形成されている。
【0049】
上記突条部46としては、幅方向寸法が上記凹条部26の幅方向寸法よりも小さく、適切な貼り付け状態で凹条部26の中央部分に形成された位置決め突起27に当接する突出量に設定されている。この例では、タイル40の裏面42と同一面の高さになっている。この突条部46の先端部分を凹条部26の下端部分に設けた位置決め突起27に当接させることで、タイル40の裏面32をパネル材20の表面22の適切な位置に貼り付けたことを確認することができる。タイル(仕上げ材)40としては、第1実施形態と同様に、どのような材質でもよく、溝部41及び突条部46(リブ部21及び凹条部26と逆の場合もあり)を形成できるものであればよい。
【0050】
上記パネル材20のリブ部21は、延びる方向と直交する断面(図示する面)において、幅方向の両側面が基部23(パネル材20の表面22)側から端部24に向けて広がる傾斜面25に形成されている。また、タイル40の溝部41は、延びる方向と直交する断面(図示する面)において、幅方向の両側面が基部43から端部44(タイル40の裏面42)に向けて狭まる傾斜面45に形成されている。
【0051】
これらの傾斜面25,45の、パネル材20の表面22(タイル40の裏面42)に対する角度θは55度〜65度の角度が好ましい。また、リブ部21と溝部41との隙間C、リブ部21の傾斜面25の基部23と端部24との幅方向間隔B、溝部41の傾斜面45の基部43と端部44との幅方向間隔D、の関係は、幅方向間隔B及び幅方向間隔Dに対し、幅方向の隙間Cは1〜2倍が好ましい。この点は、上記した第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0052】
そのため、タイル40の溝部41をパネル材20のリブ部21に嵌合させる時には、溝部41はリブ部21と干渉することなく嵌合させることができ、タイル40をパネル材20に貼り付けた状態では、リブ部21の傾斜面25と溝部41の傾斜面45とが向き合った状態で貼り付けられる。
【0053】
また、この実施形態においては、リブ部21の幅方向中央部分に設けられた凹条部26の位置決め突起27に、溝部41の幅方向中央部に設けられた突条部46が当接するようになっている。そして、位置決め突起27は突条部46よりも幅方向寸法が小さく形成されているため、位置決め突起27に突条部46を当接させた状態で、位置決め突起27に対する突条部46の位置関係をリブ部21の延びる方向から見て、タイル40の位置ずれを確認することができる。
【0054】
しかも、位置決め突起27と突条部46の部分には接着剤50が入り込むことがないので、突条部46が位置決め突起27に当接した状態を接着剤50のはみ出しに関係なく確認でき、この位置決め突起27に対する突条部46の位置を調整することで、タイル40の位置を容易に調整しながら貼り付けることができる。
【0055】
図6は、
図5に示す仕上げ材貼り付けパネル2の結合部分を示す端面図である。
図5に示すように、リブ部21と溝部41との間に幅方向の隙間Cを設け、それぞれの傾斜面25,45に間隔B,Dを設定している。そのため、リブ部21の傾斜面25に沿って接着剤50を塗布(ビード打ち)した状態で、タイル40の溝部41を嵌合させることで、接着剤50がリブ部21と溝部41の間の空間Aに充填されてタイル40をパネル材20に貼り付けることができる。
【0056】
しかも、この実施形態では、リブ部21の基部23に接着剤保持部29が設けられているため、リブ部21に沿って塗布して空間Aに充填された接着剤50の余剰分がこの接着剤保持部29にも充填される。これにより、パネル材20とタイル40の間の空間Aに充填された接着剤50に加えて接着剤保持部29を含む広い範囲に充填された接着剤50がクサビ状態で硬化した後は、タイル40を強固に保持することができる。
【0057】
その上、リブ部21の間に設けられた凹条部26の位置決め突起27に突条部46を当接させることで、タイル40の周囲からはみ出す接着剤50に関係なく、この突条部46と位置決め突起27との位置関係を確認してタイル40の位置調整を容易に行うことができる。
【0058】
つまり、接着剤50がタイル40の両端部からはみ出した場合には、タイル40の端面が接着剤50で汚れるため、タイル40のパネル材20への貼り付け状況が把握しにくくなる。しかし、パネル材20のリブ部21の間の凹条部26とタイル40の中央部分の突条部46との間にははみ出した接着剤50が入り込まないため、凹条部26と突条部46との位置関係及び密着状態を確認することにより、タイル40がパネル材20の適切な位置に貼り付けられていることを確認でき、タイル40の位置調整を容易に行うことができる。しかも、タイル40の位置調整が容易になって施工性が向上する。
【0059】
また、
図7に示す上記仕上げ材貼り付けパネル2の変形例のように、パネル材20のリブ部21の突出する高さと、タイル40の溝部41の凹む深さは、タイル40をパネル材20に貼り付けた状態で、タイル40の溝部41がパネル材20のリブ部21の頂部に密着するようにしてもよい。この図では、溝部41からリブ部21に向けて突出部分が設けられているが、溝部41の全体がリブ部21に密着する深さに形成されていてもよい。パネル材20の表面22とタイル40の裏面42とが密着している場合は、これらの隙間から接着剤50の逃げがなくなることから、接着剤50が空間Aの細部まで充填されるようになる。さらに、パネル材20の表面22とタイル40の裏面42が密着し、パネル材20のリブ部21の頂部とタイル40の溝部41が共に密着している場合には(
図7)、これらの間への接着剤50の逃げがなくなることから、必要最小限の接着剤50の量で空間Aに充填することが可能となる。
【0060】
これらは適宜組み合わせて設定してもよいが、接着剤50の充填とはみ出しを考えると、パネル材20の表面(貼着面)22とタイル40の裏面(貼着面)42が密着する構成、あるいは、パネル材20のリブ部21の頂部とタイル40の溝部41、パネル材20の表面22とタイル40の裏面42の両方が密着する構成が望ましい。
【0061】
このように、上記仕上げ材貼り付けパネル2によっても、タイル40の張付け保持力は、接着剤50の接着力とクサビ状態で硬化した嵌合力との2つの要素によって強固に結合させることが可能となる。このため、接着剤50の接着力が低下したとしても、クサビ状態で硬化した接着剤50による嵌合力によって、タイル40はパネル材20に固定された状態を保つことができる。
【0062】
図8は、
図6に示す結合状態の仕上げ材貼り付けパネル2の端部図面である。図示するように、パネル材20には、表面の押出方向に延びるように平行に複数のリブ部21が所定間隔で複数設けられている。そして、この仕上げ材貼り付けパネル2では、パネル材20に並設した4本(二対)のリブ部21に、タイル40に設けた4本(二対)の溝部41を嵌合して貼り付けており、タイル40は横張りとなっている。パネル材20にタイル40を貼り付ける場合、パネル材20のリブ部21の傾斜面25に接着剤50をビード状に塗布し、タイル40の溝部41をリブ部21に嵌合させる。
【0063】
これにより、接着剤50がリブ部21と溝部41との間の空間Aに充填され、余剰分が接着剤保持部29にも充填される。そして、この接着剤50が空間Aで完全硬化することにより、接着剤50が空間Aから接着剤保持部29にかけてクサビ状態で硬化した結合状態となり、タイル40をパネル材20と一体化するように強固に結合することができる。
【0064】
また、接着剤50を塗布する作業も、コーキングガンなどの機械式打設ガンを用いることができるため、ヘラやコテでパネル材20の全面に塗布する場合に比べて作業効率が向上し、接着剤50のロス量も減らすことが可能となる。さらに、接着剤50の塗布面積がリブ部21と溝部41との間の空間A及び接着剤保持部29の部分であり、その上、接着剤50が入り込むことがないパネル材20の位置決め突起27とタイル40の突条部46との位置関係を確認しながらタイル40の貼り付けができるので、タイル40を貼り付け時及び貼り付け後に位置調整することも容易に行うことができる。しかも、タイル40の位置調整による接着剤50のはみ出しも全面塗布に比べて少ないので、余剰の接着剤50も抑えることができ、この点でも貼り付け時の作業性が向上する。
【0065】
このように、上記仕上げ材貼り付けパネル2によれば、硬度が75〜90の接着剤50を適切量で用いてタイル40の溝部41とパネル材20のリブ部21とを結合するので、タイル40の貼り付け時にはタイル40の位置調整が容易な貼り付けができる。そして、硬度の高い接着剤50が硬化した後は、パネル材20のリブ部21とタイル40の溝部41との間で硬化した接着剤50の嵌合力及び接着力によって、パネル材20とタイル40との結合状態を強固に長期間保つことができる。しかも、この結合状態は、接着力が十分機能している間は
図9で説明するように、硬度の高い接着剤50が凝集破壊するまで保持することができる。また、硬度の高い接着剤50の接着力が低下した場合でも、硬化した接着剤50の嵌合力によって保持することができる。
【0066】
[タイルの剥落例]
図9は、上記
図6に示す第2実施形態における仕上げ材貼り付けパネル2において、タイル40が剥落する場合を示す図面である。上記仕上げ材貼り付けパネル2によれば、パネル材20とタイル40との界面における接着力を失ったとしても、硬化して空間Aに充填された状態で存在する接着剤50は、それ自体の体積が変化することはない。そのため、接着剤の接着力が低下しても、接着剤50による嵌合力がタイル40の重量や風圧力以上の耐力を有していればパネル材20から剥がれることはなく、タイル40を保持することができる。そのため、パネル材20に貼り付けられたタイル40は、図示するように、接着力が十分機能している間は接着剤50が凝集破壊するまで、また、接着剤50の接着力が低下した場合でも、硬化した接着剤50の嵌合力によって長期間貼り付け状態を保つことができる。
【0067】
[仕上げ材貼り付けパネルの製造方法]
図10,11は、上記仕上げ材貼り付けパネル2を製造する手順を示す図面である。
図10は、パネル材20にタイル40を貼り付ける前に接着剤50を塗布した状態の斜視図である。図示するように、上記パネル材20によれば、パネル材20のリブ部21の傾斜面25の部分に接着剤50をビード状に塗布し、タイル40の溝部41をこのリブ部21に嵌合させて貼り付ける。このように、上記仕上げ材貼り付けパネル2によれば、リブ部21の傾斜面25の部分に接着剤50をビード状に塗布すればよいため、例えば、従来のように表面全面に接着剤50を塗布する場合に比べて、約20%の接着剤使用量を削減することが可能となる。
【0068】
図11は、
図10に示すようにリブ部21に接着剤50を塗布した後、タイル40を貼り付けている状態を示す斜視図である。図示するように、接着剤50の塗布後、タイル40を貼り付ける時に、上記したように、接着剤50はリブ部21の傾斜面(
図6)25と溝部41の傾斜面(
図6)45の間の空間Aの部分に充填されるが、中央部分の凹条部26と突条部46との部分まで入り込まない。そのため、タイル40の突条部46がパネル材20の凹条部26に設けられた位置決め突起27とどのように接しているかをリブ部21の延びる方向から目視で確認することで、タイル40の貼り付け位置を容易に調整して仕上げ材貼り付けパネル2を製造することができる。
【0069】
[仕上げ材貼り付けパネルの例]
図12は、仕上げ材であるタイル40を横張りした仕上げ材貼り付けパネル2の図面であり、(A)は正面図、(B)は底面図である。図示するように、押出成形セメント板のパネル材20の押出し方向に設けられたリブ部21に対し、タイル40には短辺方向に延びるように溝部41が形成されている。タイル40は、二対の溝部41が二対のリブ部21に嵌合されている。
図12(A)に示すように、パネル材20にタイル40が貼られると、タイル40の長辺方向が横方向に延びる横張り(パネル材20の押出方向と直交してタイル40が横長となるタイプ)の仕上げ材貼り付けパネル2が完成する。
【0070】
図13は、仕上げ材であるタイル40を縦張りした仕上げ材貼り付けパネル2の図面であり、(A)は正面図、(B)は底面図である。図示するように、押出成形セメント板のパネル材20の押出し方向に設けられたリブ部21に対し、タイル40には長辺方向に延びるように溝部41が形成されている。タイル40は、二対の溝部41が2対のリブ部21に嵌合されている。
図13(A)に示すように、パネル材20にタイル40が貼られると、タイル40の長辺方向が縦方向に延びる縦張り(パネル材20の押出方向と平行にタイル40が縦長となるタイプ)の仕上げ材貼り付けパネル2が完成する。
【0071】
[接着力試験]
図14は、接着力試験装置の概要を示す断面図である。この接着力試験装置60によって、上記した各実施形態に係る仕上げ材貼り付けパネル1,2におけるタイル30,40の接着力を確認した。接着力試験装置60としては、枠体61の中に、パネル材10,20の基材(符号20を付す)に接着剤50で貼り付けたタイル30,40を入れて、枠体61とタイル30,40にそれぞれ固定された治具62,63を反対方向に引く構成となっている。
【0072】
この接着力試験装置60による試験では、2種類の実施例について試験を行った。この試験では、
図1に示す第1実施形態におけるパネル材10とタイル30によるリブ部1本タイプの構成と、
図5に示す第2実施形態におけるパネル材20とタイル40によるリブ部2本タイプの構成との2種類について行い、比較例として、それぞれ異なる接着剤50について試験を行った。
【0073】
この試験では、パネル材10,20とタイル30,40の接着強度について確認する試験を行っている。パネル材10,20としては、押出成形セメント板の表面側の基材のみとし、そのリブ部11,21に接着剤50を塗布し、タイル30,40を張り付け、タイル表面側にエポキシ樹脂で治具62を取り付け、枠体61側にも治具63を取り付け、これらの治具62,63を接着力試験装置60で引っ張る試験を行っている。
【0074】
[比較例1]
押出成形セメント板(厚さ18.5mm×幅70mm×長さ70mm)に、タイル(厚さ11mm×幅45mm×長さ45mm)の裏面全面に油を塗布し、ビニールラップを密着させた状態で界面接着ゼロとしたものを張り付けた。接着剤50は、変性シリコン系接着剤で硬度70のものを、リブ部と溝部の間の空間の2倍量をリブ部にビード状に塗布した。試験結果は、表1に示すようになった。
【0075】
【表1】
[実施例1]
押出成形セメント板(厚さ18.5mm×幅70mm×長さ70mm)に、タイル(厚さ11mm×幅45mm×長さ45mm)の裏面全面に油を塗布し、ビニールラップを密着させた状態で界面接着ゼロとしたものを張り付けた。接着剤50は、変性シリコン・エポキシ系接着剤で硬度80のものを、リブ部と溝部の間の空間の2倍量をリブ部にビード状に塗布した。試験結果は、表2に示すようになった。
【0076】
【表2】
このような結果から、比較例1に比べて実施例1では、接着強度が5〜8倍以上にアップしていることがわかる。そのため、実施例1のタイルは比較例1に比べて強固に固定されているといえる。
【0077】
[比較例2]
押出成形ゼメント板(厚さ18.5mm×幅70mm×長さ140mm)に、タイル(厚さ11mm×幅45mm×長さ95mm)を張り付けた。接着剤50は、変性シリコン系接着剤で硬度70のものを、リブ部と溝部の間の空間の2倍量をリブ部にビード状に塗布した。試験結果は、表3に示すようになった。
【0078】
【表3】
[実施例2]
押出成形セメント板(厚さ18.5mm×幅70mm×長さ140mm)に、タイル(厚さ11mm×幅45mm×長さ95mm)を張り付けた。接着剤50は、変性シリコン・エポキシ系接着剤で硬度80のものを、リブ部と溝部の間の空間の2倍量をリブ部にビード状に塗布した。試験結果は、表4に示すようになった。
【0079】
【表4】
このような結果から、実施例2と比較例2とは同じ少ない接着剤量でも、実施例2は嵌合力が働くことによって、比較例2と比べて、1.5〜2倍以上の接着強度の向上を確認できる。
【0080】
[総括]
以上のように、上記仕上げ材貼り付けパネル1,2によれば、パネル材10,20のリブ部11,21と、タイル(仕上げ材)30,40の溝部31,41との間の空間Aに充填した接着剤50がクサビ状態で完全硬化してこれらを強固に結合するので、パネル材10,20とタイル(仕上げ材)30,40はクサビ状態の接着剤50を介して嵌合した状態となり、接着剤50の接着力が低下してもタイル(仕上げ材)30,40がパネル材10,20から剥落するのを長期間防止することが可能となる。
【0081】
また、リブ部11,21の側面に沿ってのみ接着剤50を塗布するだけで、接着剤50の接着力と硬化後のクサビ効果による嵌合力により、十分なタイル(仕上げ材)30,40の保持力を確保できるため、接着剤50の使用量を抑えることが可能となる。
【0082】
さらに、接着剤50をヘラやコテで全面塗布する場合に比べて作業効率が向上し、接着剤50のロス量を減らすことが可能となるとともに、接着剤50の接着面積がリブ部11,21の側面だけであるので、タイル(仕上げ材)30,40の貼り付け時に位置調整することも容易にできる。しかも、位置調整による余剰の接着剤50も発生することがないことから、貼り付け時の作業性が向上する。
【0083】
その上、タイル(仕上げ材)30,40の溝部31,41を形成する方向を直交する方向に変えることで、同一のパネル材10にタイル(仕上げ材)30,40を縦張り又は横張りすることが可能であるため、同一のパネル材10に対してタイル(仕上げ材)30,40を所望の方向に貼り付けることが容易にできる。
【0084】
なお、上記した実施形態では、パネル材10,20にリブ部11,21を設け、タイル30,40に溝部31,41を設けた例を説明したが、パネル材10,20とタイル30,40のいずれか一方に溝部31,41を設け、他方にリブ部11,21を設けた構成であればよく、これらの配置は上記実施形態に限定されるものではない。
【0085】
また、上記した第1実施形態における構成と第2実施形態における構成とを組み合わせることもでき、各実施形態の構成は上記した例に限定されるものではない。
【0086】
さらに、上記した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の構成を変更してもよく、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。