(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態による焼却炉の供給量検知システム、この供給量検知システムを備える焼却炉の運転制御システム、焼却炉の供給量検知方法、及びこの供給量検知方法を備える焼却炉の運転制御方法について、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
<第1実施形態>
(焼却炉の構成)
図1は、本開示の第1実施形態に係る供給量検知システム1が適用される焼却炉100の構成を示す概略図である。
図1に示す例示的な形態では、焼却炉100は、都市ごみ、産業廃棄物、又はバイオマスなどを固体燃料Fgとするストーカ式のごみ焼却炉である。尚、焼却炉100は、ストーカ式のごみ焼却炉に限定されない。
【0011】
図1に示すように、焼却炉100は、ホッパー102と、フィーダ部104と、燃焼室108と、押出装置110(給じん装置)と、空気供給装置112と、熱回収ボイラ114と、減温塔116と、集じん装置118と、煙突120と、を含む。
【0012】
フィーダ部104は、燃焼室108に向かって延びる通路である。フィーダ部104は、ホッパー102に投入された固体燃料Fgが堆積するように構成されている。焼却炉100内を固体燃料Fgが移動する方向を移動方向W1とすると、フィーダ部104の移動方向W1の下流側の下流側端部121(フィーダ部104の燃焼室108側の端部)は燃焼室108の受入口122と接続している。
【0013】
押出装置110は、フィーダ部104に堆積した固体燃料Fgを、受入口122を介して燃焼室108に押し出すための押出アーム124を有する。押出アーム124は、フィーダ部104内を移動方向W1の上流側から下流側、及び下流側から上流側に向かって移動可能であるように構成されている。つまり、押出アーム124は、フィーダ部104内をフィーダ部104の延在方向(水平方向)に沿って往復運動する。
【0014】
燃焼室108は、受入口122を介して燃焼室108に押し出された固体燃料Fgが落下する火格子126(ストーカ)を含む。この火格子126は、燃焼室108の床部に相当する。火格子126は、火格子126上の固体燃料Fgを受入口122から離れていく方向(移動方向W1の上流側から下流側)に移動させるように構成されている。また、燃焼室108は、移動方向W1の上流側から下流側に向かって順番に並ぶ乾燥領域128、燃焼領域130、及び後燃焼領域132、を含む。乾燥領域128は、燃焼室108内の熱によって固体燃料Fgを乾燥させる。燃焼領域130は、火炎131を上げて固体燃料Fgを燃焼させる。後燃焼領域132は、燃焼領域130で燃え切らなかった燃え切りを完全燃焼させる。燃焼室108で乾燥、燃焼、後燃焼された固体燃料Fgは灰135となり、焼却炉100外に排出される。
【0015】
空気供給装置112は、固体燃料Fgの燃焼に用いられる1次空気、及び、固体燃料Fgの燃焼によって発生した一酸化炭素のような未燃ガスの濃度低減に用いられる2次空気を燃焼室108に供給するように構成される。
図1に示す例示的な形態では、空気供給装置112は、空気供給管136と、空気供給管136に設けられたブロワ138と、を含む。空気供給管136を流通する空気は、一部が1次空気として第1流量調節弁140を介して火格子126から燃焼室108の下部に供給されるとともに、残りの一部が2次空気として第2流量調節弁142を介して燃焼室108の側壁から燃焼室108の上部に供給されるようになっている。空気供給装置112は、燃焼室108の上部に2次空気を供給する2次空気供給装置として機能する。尚、
図1に示す例示的な形態では、燃焼室108の乾燥領域128、燃焼領域130、及び後燃焼領域132のそれぞれに1次空気が供給されるように構成されている。
【0016】
熱回収ボイラ114、減温塔116、集じん装置118、及び煙突120のそれぞれは、固体燃料Fgが燃焼して生成される排ガス143が流通する焼却炉100の煙道144に設けられる。排ガス143は、熱回収ボイラ114、減温塔116、集じん装置118、煙突120の順に流通する。熱回収ボイラ114は、排ガス143の熱エネルギから蒸気を生成する。減温塔116は、熱回収ボイラ114を通過した排ガス143の温度を下げる。集じん装置118は、減温塔116を通過した排ガス143に含まれる飛灰を捕集する。煙突120は、集じん装置118を通過した排ガス143を焼却炉100の外部に排気する。尚、熱回収ボイラ114で生成した蒸気は、不図示の蒸気タービンに供給されるように構成されてもよい。
【0017】
(供給量検知システムの構成)
上述した焼却炉100に適用される供給量検知システム1は、燃焼室108に供給される固体燃料Fgの量を検知する。
図1に示すように、供給量検知システム1は、撮像装置2と、検知装置4と、を備える。
【0018】
撮像装置2は、焼却炉100のフィーダ部104に堆積している固体燃料Fgが燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの熱画像を撮像するように構成されている。撮像装置2によって撮像された固体燃料Fgの熱画像は、リアルタイムで検知装置4に送られるようになっている。
図1に示す例示的な形態では、撮像装置2は、燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの表面のうち燃焼室108に対向する前面Frの熱画像を撮像するように、燃焼室108の後燃焼領域132より移動方向W1の下流側に位置する燃焼室108の炉尻145に設けられている。この撮像装置2は、燃焼室108の受入口122からせり出した固体燃料Fgの前面Frの熱画像を撮像可能となっている。尚、固体燃料Fgの前面Frの熱画像を撮像可能であるならば、撮像装置2は燃焼室108の炉尻145以外に設けられてもよい。
【0019】
撮像装置2は、例えば、赤外カメラであって、火炎131からの放射が少ない所定の波長域の赤外線を検出する。この場合、所定の波長域の範囲は、例えば、2μm以上5μm以下である。より火炎131の影響を抑制して固体燃料Fgの前面Frの熱画像を撮像するためには、所定の波長域の範囲は3.8μm以上4.2μm以下である。尚、熱画像として撮像する対象波長域は、0.8μm〜1000μmである。この波長域にバンドパスフィルタ等をとおす事で、必要に応じて、一部の波長のみを使う運用も可能である。
【0020】
撮像装置2は、火炎131超しに固体燃料Fgの前面Frの熱画像を撮像可能であるならば赤外カメラに限定されない。幾つかの実施形態では、
図2に示すように、撮像装置2は、可視光カメラ6と、可視光カメラ6に入射する透過波長を所定の波長域に制限するフィルタ装置8と、を含む。
【0021】
検知装置4は、撮像装置2によって撮像された熱画像の輝度情報の時間推移に基づいて、燃焼室108に供給された固体燃料Fgの量を検知する。より具体的には、検知装置4は、撮像装置2によって撮像された熱画像の輝度情報の時間推移における輝度情報の変化量に基づいて、燃焼室108に供給された固体燃料Fgの量を検知する。
図3は、本開示の第1実施形態に係る検知装置4の概略的な機能ブロック図である。
【0022】
図3に示すように、検知装置4は、熱画像取得部10と、輝度情報出力部12と、記憶部14と、判定部16と、を含む。検知装置4は、電子制御装置などのコンピュータであって、図示しないCPUやGPUといったプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、及びI/Oインターフェイスなどを備える。検知装置4は、メモリにロードされたプログラムの命令に従ってプロセッサが動作(演算等)することで、検知装置4が備える上記の各機能部を実現する。
【0023】
熱画像取得部10は、撮像装置2によって撮像された固体燃料Fgの前面Frの熱画像を受け取る。熱画像取得部10は、受け取った熱画像を輝度情報出力部12に送る。
図4は、燃焼室に固体燃料が過剰供給された直後(過剰供給の発生直後)における固体燃料Fgの前面Frの熱画像の一例を示す図である。
図5は、燃焼室に固体燃料が過剰供給される直前(過剰供給の発生直前)における固体燃料Fgの前面Frの熱画像の一例を示す図である。
図4及び
図5に示す熱画像において、色が濃くなるほど輝度が低くなり(暗くなり)、色が薄くなるほど輝度が高く(明るく)なっている。
【0024】
輝度情報出力部12は、熱画像取得部10から熱画像を受け取り、輝度を含む熱画像の輝度情報を出力する。輝度情報出力部12は、出力した熱画像の輝度情報を記憶部14と判定部16とのそれぞれに送る。
【0025】
記憶部14は、輝度情報出力部12から受け取った熱画像の輝度情報を記憶する。
【0026】
判定部16は、輝度情報出力部12から受け取った熱画像の輝度情報と記憶部14に記憶されている熱画像の輝度情報とを比較し、燃焼室108に供給された固体燃料Fgの量を検知する。つまり、判定部16は、リアルタイムで出力された熱画像の輝度情報と、リアルタイムで出力された熱画像の輝度情報より以前に出力された熱画像の輝度情報とを比較し、燃焼室108に供給された固体燃料Fgの量を検知する。そして、判定部16は、リアルタイムで取得された輝度と、リアルタイムで出力された輝度より以前に出力された輝度との差分ΔYの値が予め設定された閾値を超えると、燃焼室108に供給された固体燃料Fgの量が過剰である(過剰供給の発生有り)と判定する。尚、不図示ではあるが、過剰供給の発生有りと判定されると、ディスプレイやアラームのような通知装置によって、作業員に過剰供給の発生を通知するようになっていてもよい。
【0027】
また、判定部16は、第1タイミングにおける熱画像の輝度である第1輝度と、第1タイミングよりも遅い第2タイミングにおける熱画像の輝度であって、第1輝度よりも低い第2輝度との差分に基づいて、過剰供給の発生有無を判定してもよい。
図1に示す例示的な形態では、第1輝度は、記憶部14に記憶されている熱画像の輝度情報に含まれる輝度である。第2輝度は、輝度情報出力部12からリアルタイムで受け取った熱画像の輝度情報に含まれる輝度である。尚、第1タイミングと第2タイミングとの間の時間差は、例えば、固体燃料Fgの前面Frの乾燥の進行の早さに基づいて予め決められてもよく、第2タイミングが第1タイミングより遅いタイミングであるならば特に限定されない。第2タイミング(リアルアイム)は、例えば、第1タイミングから1秒後のタイミングであってもよいし、第1タイミングから0.1秒後のタイミングであってもよい。
【0028】
(供給量検知システムの作用・効果)
本開示の第1実施形態に係る供給量検知システム1の作用・効果について説明する。
図6は、燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの前面Frの熱画像の輝度を示したグラフであって、縦軸が輝度を、横軸が時間を示す。t1及びt2は、過剰供給が実際に発生した時間である。本発明者らの鋭意検討によれば、
図6に示すように、過剰供給が実際に発生したt1及びt2のときには、固体燃料Fgの前面Frの熱画像の輝度の減少が著しい。このため、固体燃料Fgの前面Frの熱画像の輝度を監視することで、過剰供給の発生を速やかに検知可能であることを見出した。
図4及び
図5に示すように、過剰供給の発生直後における燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの前面Frの熱画像の輝度(
図4参照)は、過剰供給の発生直前における燃焼室108に落下する前の固体燃料Fg(つまりは、受入口122からせり出ている固体燃料Fg)の前面Frの熱画像の輝度(
図5参照)と比較して低い。これは、固体燃料Fgの前面Frは燃焼室108内の熱によって乾燥されるのに対して、固体燃料Fgの内部は固体燃料Fgの前面Frほど乾燥されないためである。つまり、過剰供給の発生によって固体燃料Fgの内部が露出されることで、燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの前面Frの熱画像の輝度が低くなる。
【0029】
第1実施形態によれば、焼却炉100の供給量検知システム1は、焼却炉100のフィーダ部104に堆積している固体燃料Fgが燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの熱画像を撮像するように構成された撮像装置2と、撮像装置2によって撮像された熱画像の輝度情報の時間推移に基づいて、燃焼室108に供給された固体燃料Fgの量を検知する検知装置4と、を備える。このため、焼却炉100の供給量検知システム1は、過剰供給の発生を速やかに検知できる。
【0030】
また、本発明者らの鋭意検討によれば、燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの前面Frは、燃焼室108に対向しているので、燃焼室108の熱による乾燥の進行が、固体燃料Fgの前面Fr以外の表面と比較して早い。つまり、燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの前面Frの熱画像を監視できれば、過剰供給の発生を速やかに検知可能であることを見出した。第1実施形態によれば、撮像装置2は、燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの前面Frの熱画像を撮像するので、過剰供給の発生を速やかに検知することができる。
【0031】
尚、焼却炉100は、焼却炉100の状態を示すプラントデータを計測するためのセンサを備え、検知装置4の判定部16は、プラントデータを考慮して、過剰供給の発生有無を判定してもよい。例えば、焼却炉100は、燃焼室108内の圧力を計測するための圧力センサ、煙道144を流通する排ガス143の温度を計測するための温度センサ、燃焼室108内の酸素濃度を計測するための酸素濃度センサを備える。そして、検知装置4の判定部16は、燃焼室108内の圧力、排ガス143の温度、燃焼室108内の酸素濃度を考慮して、過剰供給の発生有無を判定する。また、他の実施形態では、判定部16は、熱画像の輝度情報の時間推移に代わり、プラントデータに基づいて、過剰供給の発生有無を判定してもよい。
【0032】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態に係る供給量検知システム1について説明する。第2実施形態は、検知装置4に区画部18、カウント部20及び、押出方向取得部22がさらに設けられている点で第1実施形態とは異なるが、それ以外の構成は第1実施形態で説明した構成と同じである。第2実施形態において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
図7は、本開示の第2実施形態に係る検知装置4の概略的な機能ブロック図である。
図7に示すように、検知装置4は、区画部18と、カウント部20と、をさらに含む。
【0034】
区画部18は、熱画像取得部10から固体燃料Fgの前面Frが撮像された熱画像を受け取り、該熱画像を複数の区画画像19に区画する。例えば、
図8に示すように、区画部18は、熱画像上で受入口122が位置する領域Pを第1方向W2(鉛直方向)と第1方向と直交する第2方向W3(水平方向)とに区画し、鉛直方向及び水平方向に沿って格子状に配列された複数の区画画像19を形成する。
【0035】
輝度情報出力部12は、区画部18を介して、熱画像取得部10から熱画像を受け取り、区画画像19ごとに輝度を出力する。輝度情報出力部12は、出力した区画画像19ごとの輝度を記憶部14と判定部16とのそれぞれに送る。記憶部14は、輝度情報出力部12から受け取った区画画像19ごとの輝度を記憶する。
【0036】
カウント部20は、記憶部14に記憶されている第1タイミングにおける区画画像19ごとの輝度と輝度情報出力部12から受け取った第2タイミングにおける区画画像19ごとの輝度とを比較する。そして、カウント部20は、第1タイミングにおける複数の区画画像19の各々における輝度(第1輝度)と、第2タイミングにおける複数の区画画像19の各々における輝度(第2輝度)との差分の値が予め設定された閾値を超えた区画画像19の数をカウントする。判定部16は、カウント部20によってカウントされたカウント数が予め設定された設定数を超えると、過剰供給の発生有りと判定する。尚、幾つかの実施形態では、区画画像19ごとにカウント数にカウントされる数が異なっていてもよい。例えば、上方区画画像19A(19)は、上方区画画像19Aより下方(第1方向W2の一方)に位置する下方区画画像19B(19)と比較して、カウント数にカウントされる数が大きい。下方区画画像19Bにおける第1輝度と第2輝度との差分が閾値を超えると、カウント数が1つ増えるのに対し、上方区画画像19Aにおける第1輝度と第2輝度との差分が閾値を超えると、カウント数が2つ増える。
【0037】
燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの前面Frの熱画像のごく一部の輝度が低くなっただけでは、過剰供給が発生していない可能性がある。第2実施形態によれば、検知装置4は、固体燃料Fgの前面Frの熱画像を複数の区画画像19に区画し、第1輝度と第2輝度との差分(輝度の減少)の値が閾値を超えた区画画像19の数(カウント数)が設定数を超えると、過剰供給が発生したと判定する。このため、過剰供給の発生有無を高精度に切り分けることができる。
【0038】
また、
図7に示すように、検知装置4は、押出方向取得部22をさらに含んでもよい。押出方向取得部22は、押出装置110の押出アーム124が移動する方向を取得する。そして、判定部16は、押出方向取得部22が取得した押出アーム124の移動方向を受け取り、押出アーム124が燃焼室108から離れる方向に退行している間に限って、過剰供給の発生有無を判定する。つまり、判定部16は、押出アーム124がフィーダ部104内を移動方向W1の下流側から上流側に向かって移動していると、過剰供給発生の判定を行う。他方で、判定部16は、押出アーム124がフィーダ部104内を移動方向W1の上流側から下流側に向かって移動していると、過剰供給発生の判定を行わない。
【0039】
押出アーム124がフィーダ部104内を移動方向W1の上流側から下流側に向かって進行している間は、フィーダ部104に堆積した固体燃料Fgを押し出して、燃焼室108に固体燃料Fgを供給している状態である。他方で、押出アーム124がフィーダ部104内を移動方向W1の下流側から上流側に向かって退行している間は、フィーダ部104に堆積した固体燃料Fgの押し出しを意図しておらず、燃焼室108に固体燃料Fgが供給されない状態である。過剰供給発生の検知は、燃焼室108に固体燃料Fgが供給されない状態のときに行われれば十分な場合がある。第2実施形態によれば、押出アーム124が燃焼室108から離れる方向に退行している間に限って、判定部16によって過剰供給の発生有無が判定される。このため、検知装置4は、燃焼室108に固体燃料Fgが供給されない状態のときに、過剰供給の発生を速やかに検知することができる。尚、第2実施形態では、押出アーム124が退行している際に、過剰供給発生の検知が行われることを例示したが、本開示はこの実施形態に限定されず、押出アーム124が進行している際に過剰供給発生の検知が行われてもよい。
【0040】
<第3実施形態>
本開示の第3実施形態に係る供給量検知システム1について説明する。第3実施形態は、火炎位置検知装置24と、供給量判定装置26と、せり出し長検知装置40と、高さ検知装置42と、がさらに設けられている点で第1実施形態とは異なるが、それ以外の構成は第1実施形態で説明した構成と同じである。第3実施形態において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。尚、第3実施形態は、第2実施形態で説明した供給量検知システム1をさらに限定したものであってもよい。
【0041】
図9は、本開示の第3実施形態に係る供給量検知システム1の構成を概略的に示す構成図である。
図9に示すように、供給量検知システム1は、火炎位置検知装置24と、供給量判定装置26と、をさらに備える。
【0042】
火炎位置検知装置24は、燃焼室108で燃焼される固体燃料Fgの火炎位置Xを検知する。
図10は、本開示の第3実施形態に係る火炎位置検知装置24の構成を概略的に示す構成図である。
図10に示す例示的な形態では、火炎位置検知装置24は、第1カメラ28と、第1カメラ28で撮像された画像に基づいて、燃焼室108で燃焼される固体燃料Fgの火炎位置Xを決定する火炎位置決定装置30と、を含む。
【0043】
第1カメラ28は、撮像した画像に燃焼領域130と後燃焼領域132との境界133が含まれるように、火炎131を上方から撮像する。尚、火炎131を上方から撮像可能であるならば、上述した撮像装置2を第1カメラ28として設けてもよい。火炎位置決定装置30は、第1画像取得部32と、火炎位置決定部34と、を含む。第1画像取得部32は、第1カメラ28で撮像された画像を受け取り、該画像を火炎位置決定部34に送る。火炎位置決定部34は、
図11に示すように、第1画像取得部32から送られた画像を特定の輝度以上の部分(第1部分36)と特定の輝度未満の部分(第2部分38)とに置き換える。つまり、火炎位置決定部34は、第1カメラ28によって撮像された画像を2値化する。そして、火炎位置決定部34は、移動方向W1において、第1部分36の下流端を固体燃料Fgの火炎位置Xとして決定する。また、火炎位置決定部34は、火炎終端に相当する火炎位置Xと境界133との間の距離Dを算出する。このようにして、火炎位置検知装置24は、固体燃料Fgの火炎位置Xを検知する。尚、火炎位置決定部34は、火炎位置Xが境界133より移動方向W1の下流側(後燃焼領域132側)に位置するときの距離Dを正の値として算出し、火炎位置Xが境界133より移動方向W1の上流側(燃焼領域130側)に位置するときの距離Dを負の値として算出する。
【0044】
供給量判定装置26は、火炎位置検知装置24によって検知された固体燃料Fgの火炎位置X及び距離Dを記憶(蓄積)する。そして、供給量判定装置26は、検知装置4によって過剰供給の発生が検知されると、過剰供給が発生する直前の第1タイミングにおける固体燃料Fgの火炎位置Xと、過剰供給が発生した直後の第2タイミングにおける固体燃料Fgの火炎位置Xとの移動方向W1における差分であるΔD(火炎位置Xの変化の差分)に基づいて、過剰供給の程度を判定する。供給量判定装置26は過剰供給の程度を、例えば、「大」、「中」、「小」というように複数のレベルに分類する。
【0045】
過剰供給の程度が小さくなると、固体燃料Fgの火炎位置Xの変化も小さくなり、過剰供給の程度が大きくなると、固体燃料Fgの火炎位置Xの変化も大きくなる。第3実施形態によれば、検知装置4によって過剰供給の発生が検知されると、ΔDに基づいて、過剰供給の程度を自動で判定する。このため、過剰供給の程度を速やかに知ることができる。
【0046】
図12は、検知装置4が過剰供給の発生を検知した時の火炎位置の差分を示すグラフである。t3〜t9のそれぞれは、検知装置4が過剰供給の発生を検知した時間である。検知装置4は、上述したように、2次元の情報である熱画像の輝度情報の時間推移に基づいて、過剰供給の発生を検知している。このため、
図12に示すように、t5、t6及びt9で検知装置4が過剰供給の発生を検知したとしても、過剰供給の程度が小さい、又は、「過剰供給」というほど燃焼室108に固体燃料Fgが過剰供給されておらず、燃焼室108内における固体燃料Fgの燃焼状態を安定させるための操作を行わなくて済む場合がある。第3実施形態によれば、検知装置4によって過剰供給の発生が検知されると、供給量判定装置26によって過剰供給の程度が自動で判定されるので、燃焼状態を安定させるための操作が不必要に行われることを抑制できる。
【0047】
また、
図9に示すように、供給量検知システム1は、せり出し長検知装置40をさらに備えてもよい。せり出し長検知装置40は、
図13に示すように、燃焼室108の受入口122から燃焼室108に向かってせり出す固体燃料Fgのせり出し長Lを検知する。
図13に示す例示的な形態では、せり出し長検知装置40は、移動方向W1において、燃焼室108の受入口122と固体燃料Fgの前面Frのうち最も下流側に位置する部分Fr1との間の大きさをせり出し長Lとして検知している。供給量判定装置26は、せり出し長検知装置40によって検知されたせり出し長Lを記憶(蓄積)する。そして、検知装置4によって過剰供給の発生が検知されると、過剰供給が発生する直前の第1タイミングにおける固体燃料Fgのせり出し長Lと、過剰供給が発生した直後の第2タイミングにおける固体燃料Fgのせり出し長Lとの差分であるΔLを考慮して、過剰供給の程度を判定する。
【0048】
固体燃料Fgのせり出し長Lが大きくなると、過剰供給の程度が大きくなりやすい。このため、ΔLを考慮して過剰供給の程度を判定することで、供給量判定装置26の判定精度を高めることができる。
【0049】
また、
図9に示すように、供給量検知システム1は、高さ検知装置42をさらに備えてもよい。高さ検知装置42は、
図13に示すように、燃焼室108の火格子126(床面)上に堆積された固体燃料Fgの高さHを検知する。
図13に示す例示的な形態では、高さ検知装置42は、乾燥領域128に含まれる火格子126上の受入口122に近接した所定位置127に堆積する固体燃料Fgの高さHを検知している。供給量判定装置26は、高さ検知装置42によって検知された高さHを記憶(蓄積)する。そして、検知装置4によって過剰供給の発生が検知されると、過剰供給が発生する直前の第1タイミングにおける固体燃料Fgの高さHと、過剰供給が発生した直後の第2タイミングにおける固体燃料Fgの高さHとの差分であるΔHを考慮して、過剰供給の程度を判定する。
【0050】
過剰供給の程度が大きくなると、火格子126上に堆積された固体燃料Fgの高さの変化が大きくなりやすい。このため、ΔHを考慮して過剰供給の程度を判定することで、供給量判定装置26の判定精度を高めることができる。
【0051】
<第4実施形態>
本開示の第4実施形態に係る焼却炉100の運転制御システム50について説明する。運転制御システム50は、第1実施形態に係る供給量検知システム1と、運転制御装置52と、を備える。第4実施形態において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。尚、運転制御システム50は、第1実施形態に係る供給量検知システムに代わり、第2実施形態に係る供給量検知システム1、又は第3実施形態に係る供給量検知システム1を備えてもよい。
【0052】
図14は、本開示の第4実施形態に係る運転制御システム50の構成を概略的に示す構成図である。
図14に示すように、運転制御システム50は、供給量検知システム1と、運転制御装置52と、を備える。尚、運転制御システム50及び供給量検知システム1は、互いに別々の装置として設けられてもよいし、同じ1つの装置内に設けられてもよい。
【0053】
運転制御装置52は、検知装置4によって過剰供給の発生が検知されると、燃焼室108への固体燃料Fgの供給を停止する。
図15は、本開示の第4実施形態に係る運転制御装置52の概略的な機能ブロック図である。
図15に示す例示的な形態では、運転制御装置52は、停止指示部54を備える。停止指示部54は、検知装置4によって過剰供給の発生が検知されると、押出装置110に押出アーム124の動作を停止するように指示する。押出装置110は、停止指示部54の指示を受けると、押出アーム124の動作を停止する。
【0054】
また、運転制御装置52は、検知装置4によって過剰供給が検知された場合に、空気供給装置112(2次空気供給装置)から燃焼室108に供給される2次空気の量を増加させる。
図15に示す例示的な形態では、運転制御装置52は、流量調整部56を備える。流量調整部56は、検知装置4によって過剰供給が検知されると、空気供給装置112に燃焼室108に供給される2次空気の量を増加するように指示する。空気供給装置112は、流量調整部56の指示を受けると、第2流量調節弁142の開度を大きくする。
【0055】
過剰供給が発生すると、燃焼室108内における固体燃料Fgの燃焼状態が不安定になり、一酸化炭素のような未燃ガスが発生する。この未燃ガスの濃度を低減するため、燃焼室108への固体燃料Fgの供給を停止する操作や燃焼室108の上部に2次空気を供給する操作が行われることがある。第4実施形態によれば、過剰供給の発生を検知した場合における操作のうち燃焼室108への固体燃料Fgの供給を停止する操作を自動化することができる。また、過剰供給の発生を検知した場合における操作のうち燃焼室108に供給される2次空気の量を増加させる操作を自動化することができる。
【0056】
尚、運転制御システム50が第3実施形態に係る供給量検知システム1を備える場合、過剰供給の程度に応じた操作が自動的に行われるように構成されてもよい。
図16は、操作マップの一例を示す図である。例えば、
図16に示す例示的な形態では、運転制御装置52は、予め設定された操作マップM1を記憶している。操作マップM1は、過剰供給の程度を含む入力情報と、押出アーム124の動作を停止するか否か(給じん停止操作をONにするか否か)、及び第2流量調節弁142の開度(二次燃焼空気開度)を含む出力情報との関係を示すマップである。そして、停止指示部54は、この操作マップM1を参照して、押出アーム124の動作を停止するか否かを決定する。流量調整部56は、この操作マップM1を参照して、空気供給装置112に指示する第2流量調節弁142の開度を決定する。
【0057】
また、運転制御装置52は、操作マップM1に基づく操作が行われた後に、プラントデータに応じて追加操作が自動的に行われるように構成されてもよい。
図17は、追加操作マップの一例を示す図である。例えば、
図17に示す例示的な形態では、運転制御装置52は、予め設定された追加操作マップM2を記憶している。追加操作マップM2は、押出アーム124の運転状態(給じん状態)、第2流量調節弁142の開度(二次燃焼空気開度)、煙道144を流通する排ガス143の温度の微分値・偏差(ガス温度微分値・偏差)、及び燃焼室108内の酸素濃度・微分値を含む入力情報と、押出アーム124の動作を開始するか否か(給じん停止操作をOFFにするか否か)、及び第2流量調節弁142の開度(二次燃焼空気開度)を含む出力情報との関係を示すマップである。そして、停止指示部54は、この追加操作マップM2を参照して、押出アーム124の動作を停止するか否かを決定して、押出装置110に指示する。流量調整部56は、この追加操作マップM2を参照して、空気供給装置112に指示する第2流量調節弁142の開度を決定する。尚、第4実施形態では、第2流量調節弁142によって燃焼室108に供給される2次空気の量を調整していたが、本開示はこの第4実施形態に限定されない。第2流量調節弁142以外の方法で、燃焼室108に供給される2次空気の量を調整してもよい。
【0058】
(供給量検知方法)
焼却炉100の供給量検知方法は、焼却炉100の燃焼室108に供給される固体燃料Fgの量を検知する方法である。
図18は、本開示の一実施形態に係る焼却炉100の供給量検知方法のフローチャートである。
図18に示すように、焼却炉100の供給量検知方法は、焼却炉100のフィーダ部104に堆積している固体燃料Fgが燃焼室108に落下する前の固体燃料Fgの熱画像を撮像する撮像ステップS1と、撮像ステップS1によって撮像された熱画像の輝度情報の時間推移に基づいて、燃焼室108に供給された固体燃料Fgの量を検知する検知ステップS2と、を備える。
【0059】
また、
図18に示すように、焼却炉100の供給量検知方法は、燃焼室108で燃焼される固体燃料Fgの火炎位置Xを検知する火炎位置検知ステップS3と、検知ステップS2によって過剰供給の発生が検知されると、火炎位置検知ステップS3において検知された固体燃料Fgの火炎位置Xに基づいて、過剰供給の程度を判定する判定ステップS4と、をさらに備える。尚、
図18に示す例示的な形態によれば、火炎位置検知ステップS3は、撮像ステップS1と検知ステップS2との間に位置しているが、本開示はこの実施形態に限定されない。
【0060】
図19は、本開示の一実施形態に係る判定ステップS4のフローを示すフローチャートである。
図19に示すように、判定ステップS4が開始すると、ステップS41に進む。検知ステップS2で検知された燃焼室108に供給された固体燃料Fgの量が過剰であると(ステップS41:Yes)、ステップS42に進む。検知ステップS2で検知された燃焼室108に供給された固体燃料Fgの量が過剰でないと(ステップS41:No)、判定ステップS4は終了する。
【0061】
ステップS42では、ΔDが0.5m以上であると(ステップS42:Yes)、ステップS43に進む。ΔDが0.5m未満であると(ステップS42:No)、過剰供給の程度を「小」と判定して、判定ステップS4は終了する。
【0062】
ステップS43では、ΔDが0.7m以上であると(ステップS43:Yes)、過剰供給の程度を「大」と判定して、判定ステップS4は終了する。ΔDが0.7m未満であると(ステップS43:No)、過剰供給の程度を「中」と判定して、判定ステップS4は終了する。
【0063】
(運転制御方法)
図20は、本開示の一実施形態に係る焼却炉100の運転制御方法のフローチャートである。
図20に示すように、本開示の一実施形態に係る焼却炉100の運転制御方法は、上述した供給量検知方法と、停止ステップS5と、を備える方法である。停止ステップS5は、検知ステップS2で過剰供給が検知された場合に、燃焼室108への固体燃料Fgの供給を停止する。
【0064】
また、
図20に示すように、焼却炉100の運転制御方法は、停止ステップS5で燃焼室108への固体燃料Fgの供給を停止すると、判定ステップS4で判定した過剰供給の程度に応じて、第2流量調節弁142の開度(二次燃焼空気開度)を調節する流量調整ステップS6をさらに備えてもよい。尚、停止ステップS5で燃焼室108への固体燃料Fgの供給を停止していない場合には、つまりは過剰供給の発生が検知されていない場合には、流量調整ステップS6は実施されないようになっている。
【0065】
図21は、本開示の一実施形態に係る流量調整ステップS6のフローを示すフローチャートである。
図21に示すように、流量調整ステップS6が開始すると、ステップS61に進む。判定ステップS4で過剰供給の程度を「大」又は「中」と判定していると(ステップS61:Yes)、二次燃焼空気開度を100%に調節して、ステップS62に進む。判定ステップS4で過剰供給の程度を「大」又は「中」と判定していないと、つまりは過剰供給の程度を「小」と判定していると(ステップS61:No)、ステップS62に進む。
【0066】
ステップS62では、燃焼室108への固体燃料Fgの供給が停止中であり、且つ、ガス温度微分値<0を10秒継続している、又は、ガス温度偏差<5℃を10秒継続していると、つまりは固体燃料Fgの燃焼状態が安定してくると(ステップS62:Yes)、燃焼室108への固体燃料Fgの供給を開始して、ステップS63に進む。他方で、上記の条件を満たさない場合、つまりは固体燃料Fgの燃焼状態が過剰供給の発生によって不安定のままであると(ステップS62:No)、ステップS62に戻る。
【0067】
ステップS63では、二次燃焼空気開度が100%であると(ステップS63:Yes)、二次燃焼空気開度を40%に調節して、流量調整ステップS6は終了する。二次燃焼空気開度が100%ではないと(ステップS63:No)、ステップS64に進む。ステップS64では、二次燃焼空気開度が40%であると、ステップS65に進む。二次燃焼空気開度が40%ではないと(ステップS64:No)、流量調整ステップS6は終了する。
【0068】
ステップS65では、酸素濃度微分値>0を10秒継続している、又は、酸素濃度>3%を10秒継続していると(ステップS65:Yes)、二次燃焼空気開度を10%に調節して、流量調整ステップS6は終了する。他方で、上記の条件を満たさない場合(ステップS65:No)、流量調整ステップS6は終了する。尚、焼却炉100の運転制御方法で説明した二次燃焼空気開度は例示に過ぎず、任意に設定されてもよい。
【0069】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0070】
(1)本開示に係る焼却炉の供給量検知システム(1)は、焼却炉(100)の燃焼室(108)に供給される固体燃料(Fg)の量を検知する焼却炉の供給量検知システムであって、前記焼却炉のフィーダ部(104)に堆積している前記固体燃料が前記燃焼室に落下する前の前記固体燃料の画像を撮像するように構成された撮像装置(2)と、前記撮像装置によって撮像された前記画像に基づいて、前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量を検知する検知装置(4)と、を備える。
【0071】
本発明者らの鋭意検討によれば、焼却炉のフィーダ部に堆積している固体燃料が燃焼室に落下する前の固体燃料の画像(画像の輝度情報)を監視することで、燃焼室に固体燃料が過剰供給されたことを速やかに検知可能であることを見出した。具体的に説明すると、燃焼室に固体燃料が過剰に供給された直後における燃焼室に落下する前の固体燃料の画像の輝度は、燃焼室に固体燃料が過剰に供給される直前における燃焼室に落下する前の固体燃料の画像の輝度と比較して低い。これは、固体燃料の表面は燃焼室内の熱によって乾燥されているのに対して、固体燃料の内部は固体燃料の前面ほど乾燥されていないためである。つまり、過剰供給の発生によって固体燃料の内部が露出されることで、燃焼室に落下する前の固体燃料の熱画像の輝度が小さくなる。
【0072】
上記(1)に記載の構成によれば、焼却炉の供給量検知システムは、焼却炉のフィーダ部に堆積している固体燃料が燃焼室に落下する前の固体燃料の画像を撮像するように構成された撮像装置と、撮像装置によって撮像された画像の輝度情報に基づいて、燃焼室に供給された固体燃料の量を検知する検知装置と、を備える。このため、焼却炉の供給量検知システムは、燃焼室に固体燃料が過剰供給されたこと(過剰供給の発生)を速やかに検知できる。
【0073】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、前記撮像装置は、前記燃焼室に落下する前の前記固体燃料の表面のうち前記燃焼室に対向する前面(Fr)の画像を撮像するように構成された。
【0074】
本発明者らの鋭意検討によれば、燃焼室に落下する前の固体燃料の表面のうち燃焼室に対向する前面の画像を監視できれば、過剰供給の発生を速やかに検知可能であることを見出した。上記(2)に記載の構成によれば、撮像装置は、燃焼室に落下する前の固体燃料の前面の画像を撮像するので、燃焼室に供給された固体燃料の量が過剰であることを速やかに検知することができる。
【0075】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の構成において、前記画像は、第1タイミングにおける前記画像の輝度である第1輝度と、前記第1タイミングよりも遅い第2タイミングにおける前記画像の輝度であって前記第1輝度よりも低い第2輝度と、を含み、前記検知装置は、前記第1輝度と前記第2輝度との差分の値に基づいて、前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量を検知するように構成された。
【0076】
上記(3)に記載の構成によれば、検知装置は、第1タイミングにおける第1輝度と、第1タイミングよりも遅い第2タイミングにおける第2輝度であって、第1輝度よりも低い第2輝度との差分の値に基づいて、燃焼室に供給された固体燃料の量を検知する。このため、過剰供給の発生を速やかに検知することができる。
【0077】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の構成において、前記検知装置は、前記固体燃料の前記前面が撮像された前記画像を複数の区画画像(19)に区画する区画部(18)と、前記複数の区画画像の各々における前記第1輝度と前記第2輝度との差分の値が予め設定された閾値を超えた前記区画画像の数をカウントするカウント部(20)と、を含み、前記検知装置は、前記カウント部によってカウントされたカウント数が予め設定された設定数を超えると、前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量が過剰であることを検知するように構成された。
【0078】
燃焼室に落下する前の固体燃料の前面の画像のごく一部の輝度が小さくなっただけでは、燃焼室に供給された固体燃料の量が過剰ではない可能性がある。上記(4)に記載の構成によれば、検知装置は、燃焼室に落下する前の固体燃料の前面が撮像された画像を複数の区画画像に区画する区画部と、複数の区画画像の各々における第1輝度と第2輝度との差分の値が予め設定された閾値を超えた区画画像の数をカウントするカウント部と、を含む。そして、検知装置は、カウント部によってカウントされたカウント数が予め設定された設定数を超えると、過剰供給の発生を検知する。このため、過剰供給の発生の有無を高精度に切り分けることができる。
【0079】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)〜(4)の何れか1つに記載の構成において、前記フィーダ部内を往復運動する押出アーム(124)を有する押出装置(110)をさらに備え、前記検知装置は、前記押出アームの移動方向に基づいて、前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量を検知するように構成された。
【0080】
上記(5)に記載の構成によれば、押出アームの移動方向を考慮して、過剰供給の発生を速やかに検知することができる。
【0081】
(6)幾つかの実施形態では、上記(2)〜(5)の何れか1つに記載の構成において、前記撮像装置は、赤外カメラを含む。
【0082】
上記(6)に記載の構成によれば、赤外カメラを採用することで、容易に焼却炉のフィーダ部に堆積している固体燃料が燃焼室に落下する前の固体燃料の画像を撮像することができる。
【0083】
(7)幾つかの実施形態では、上記(2)〜(5)の何れか1つに記載の構成において、前記撮像装置は、可視光カメラ(6)と、前記可視光カメラに入射する透過波長を所定の波長域に制限するフィルタ装置(8)と、を含む。
【0084】
上記(7)に記載の構成によれば、可視光カメラとフィルタ装置とを準備することで、容易に焼却炉のフィーダ部に堆積している固体燃料が燃焼室に落下する前の固体燃料の画像を撮像することができる。
【0085】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(7)の何れか1つに記載の構成において、前記燃焼室で燃焼される前記固体燃料の火炎位置を検知する火炎位置検知装置(24)と、前記検知装置によって前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量が過剰であると検知されると、前記火炎位置検知装置が検知した前記固体燃料の火炎位置に基づいて、前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量の過剰の程度を判定する供給量判定装置(26)と、をさらに備える。
【0086】
固体燃料の過剰供給の量の程度が小さくなると固体燃料の火炎位置の変化も小さくなり、固体燃料の過剰供給の量の程度が大きくなると固体燃料の火炎位置の変化も大きくなる。上記(8)に記載の構成によれば、検知装置によって固体燃料の量が過剰であると検知されると、供給量判定装置が固体燃料の火炎位置の変化に基づいて、固体燃料の量の過剰の程度を自動で判定する。このため、固体燃料の量の過剰の程度を速やかに知ることができる。
【0087】
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の構成において、前記燃焼室の受入口(122)から前記燃焼室に向かってせり出す前記固体燃料のせり出し長を検知するせり出し長検知装置(40)をさらに備え、前記供給量判定装置は、前記せり出し長検知装置によって検知された前記固体燃料のせり出し長を考慮して、前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量の過剰の程度を判定する。
【0088】
固体燃料のせり出し長が大きくなると、燃焼室に固体燃料が過剰供給されたときの固体燃料の量の過剰の程度が大きくなりやすい。上記(9)に記載の構成によれば、供給量判定装置は、固体燃料のせり出し長を考慮して固体燃料の量の過剰の程度を判定する。このため、供給量判定装置の判定精度を高めることができる。
【0089】
(10)幾つかの実施形態では、上記(8)又は(9)に記載の構成において、前記燃焼室の床面上に堆積された前記固体燃料の高さを検知する高さ検知装置(42)をさらに備え、前記供給量判定装置は、前記高さ検知装置によって検知された前記固体燃料の高さの変化を考慮して、前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量の過剰の程度を判定する。
【0090】
燃焼室に固体燃料が過剰供給されたときの固体燃料の量の過剰の程度が大きくなると、燃焼室の床面上に堆積された固体燃料の高さの変化が大きくなりやすい。上記(10)に記載の構成によれば、供給量判定装置は、固体燃料の高さの変化を考慮して固体燃料の量の過剰の程度を判定する。このため、供給量判定装置の判定精度を高めることができる。
【0091】
(11)本開示に係る焼却炉の運転制御システム(50)は、上記(1)〜(10)の何れか1つに記載の供給量検知システムと、前記検知装置によって検知された前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量が過剰である場合に、前記燃焼室への前記固体燃料の供給を停止するように構成された運転制御装置(52)と、を備える。
【0092】
燃焼室に固体燃料が過剰供給されると、燃焼室内における固体燃料の燃焼状態が不安定になり、一酸化炭素のような未燃ガスが発生する。この未燃ガスの濃度を低減するため、燃焼室への固体燃料の供給を停止する操作が行われることがある。上記(11)に記載の構成によれば、燃焼室に固体燃料が過剰供給された場合における操作のうち燃焼室への固体燃料の供給を停止する操作を自動化することができる。
【0093】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)に記載の構成において、前記燃焼室の上部に2次空気を供給するための2次空気供給装置(112)をさらに備え、前記運転制御装置は、前記検知装置によって検知された前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量が過剰である場合に、前記2次空気供給装置から前記燃焼室に供給される前記2次空気の量を増加させるように構成された。
【0094】
燃焼室に固体燃料が過剰供給されると、燃焼室内における固体燃料の燃焼状態が不安定になり、一酸化炭素のような未燃ガスが発生する。この未燃ガスの濃度を低減するため、燃焼室の上部に2次空気を供給する操作が行われることがある。上記(12)に記載の構成によれば、燃焼室に固体燃料が過剰供給された場合における操作のうち燃焼室に供給される2次空気の量を増加させる操作を自動化することができる。
【0095】
(13)本開示に係る焼却炉の供給量検知方法は、焼却炉の燃焼室に供給される固体燃料の量が過剰であるかを検知する焼却炉の供給量検知方法であって、前記焼却炉のフィーダ部に堆積している前記固体燃料が前記燃焼室に落下する前の前記固体燃料の画像を撮像する撮像ステップ(S1)と、前記撮像ステップによって撮像された前記画像に基づいて、前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量を検知する検知ステップ(S2)と、を備える。
【0096】
上述したように、本発明者らの鋭意検討によれば、焼却炉のフィーダ部に堆積している固体燃料が燃焼室に落下する前の固体燃料の画像(画像の輝度情報)を監視することで、燃焼室に固体燃料が過剰供給されたことを速やかに検知可能であることを見出した。上記(13)に記載の方法によれば、撮像ステップは、焼却炉のフィーダ部に堆積している固体燃料が燃焼室に落下する前の固体燃料の画像を撮像する。検知ステップは、撮像ステップによって撮像された画像の輝度情報に基づいて、燃焼室に供給された固体燃料の量を検知する。このため、燃焼室に固体燃料が過剰供給されたことを速やかに検知できる。
【0097】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)に記載の方法において、前記燃焼室で燃焼される前記固体燃料の火炎位置を検知する火炎位置検知ステップ(S3)と、前記検知ステップによって検知された前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量が過剰であると、前記火炎位置検知ステップにおいて検知された前記固体燃料の火炎位置に基づいて、前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量の過剰の程度を判定する判定ステップ(S4)と、をさらに備える。
【0098】
上述したように、固体燃料の過剰供給の量の程度が小さくなると固体燃料の火炎位置の変化も小さくなり、固体燃料の過剰供給の量の程度が大きくなると固体燃料の火炎位置の変化も大きくなる。上記(14)に記載の方法によれば、検知ステップによって検知された固体燃料の量が過剰であると、判定ステップが火炎位置検知ステップにおいて検知された固体燃料の火炎位置の変化に基づいて、固体燃料の量の過剰の程度を自動で判定する。このため、固体燃料の量の過剰の程度を速やかに知ることができる。
【0099】
(15)本開示に係る焼却炉の運転制御方法は、上記(13)又は(14)に記載の供給量検知方法と、前記検知ステップによって検知された前記燃焼室に供給された前記固体燃料の量が過剰である場合に、前記燃焼室への前記固体燃料の供給を停止する停止ステップ(S5)と、を備える。
【0100】
上記(15)に記載の方法によれば、燃焼室に固体燃料が過剰供給された場合における操作のうち燃焼室への固体燃料の供給を停止する操作を自動化することができる。