(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979511
(24)【登録日】2021年11月17日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】音響透過性の磨き可能なコーティング
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20211202BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20211202BHJP
B05D 5/00 20060101ALI20211202BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20211202BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20211202BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20211202BHJP
E04B 1/86 20060101ALI20211202BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
C09D201/00
B05D3/12 B
B05D5/00 Z
B05D1/02 Z
C09D5/02
C09D7/61
E04B1/86 S
B05D7/24 301K
B05D7/24 303B
B05D7/24 303M
B05D7/24 303J
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-506779(P2020-506779)
(86)(22)【出願日】2018年8月14日
(65)【公表番号】特表2020-531607(P2020-531607A)
(43)【公表日】2020年11月5日
(86)【国際出願番号】US2018046638
(87)【国際公開番号】WO2019036434
(87)【国際公開日】20190221
【審査請求日】2021年6月23日
(31)【優先権主張番号】15/677,345
(32)【優先日】2017年8月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512127109
【氏名又は名称】ユーエスジー・インテリアズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ディー・フルカ
(72)【発明者】
【氏名】ペーダー・ジェイ・グルブランセン
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・ベリー
【審査官】
上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−124094(JP,A)
【文献】
特表2012−509787(JP,A)
【文献】
特表2013−534553(JP,A)
【文献】
特表2015−525317(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0124291(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0256228(US,A1)
【文献】
米国特許第05674594(US,A)
【文献】
米国特許第05888626(US,A)
【文献】
米国特許第07879433(US,B1)
【文献】
欧州特許出願公開第01589066(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/00
B05D 3/12
B05D 5/00
B05D 1/02
C09D 5/00
C09D 7/61
E04B 1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響基板上で使用するための音響透過性コーティング用の配合物であって、水分散性結合剤および比較的大きい充填剤粒子の顔料を含み、互いに接触するときに液滴形態の独自性を保持する液滴で前記配合物を噴霧することを可能にするように、体積に対する高い顔料濃度、高粘度、高剪断減粘、および速乾性を特徴とし、
前記比較的大きい充填剤粒子の顔料は、0.125g/cm3の真密度および平均粒径が65μmのソーダ石灰ホウケイ酸塩のガラスバブル(中空球)、平均粒径が0.6μmの二酸化チタン、平均粒径12μmの炭酸カルシウム、及び主要寸法20μmの板状雲母を含み、
前記高粘度は、室温で0.38Pa・s〜0.53Pa・s(190BBU(ブラベンダー単位)〜265BBU)であり、
体積に対する前記顔料濃度が75%〜95%であり、
前記高剪断減粘が、剪断を付加するTバーの回転数を変化させて測定する条件下で少なくとも0から20RPMの回転数に増加する範囲で1/10以下に減少する特性であり、
前記速乾性は、24℃および相対湿度50%の環境において1m2当たり0.4Lの割合で堆積された前記配合物の噴霧層が、30分で触れるまで乾燥する特性であり、
前記配合物は0.60〜0.78g/cm3(5〜6.5ポンド/ガロン)の範囲の密度を有し、体積に対する前記顔料濃度が、180グリット(CAMI)サンドペーパーを使用する改変ASTM D2486(方法A)基準試験の約85サイクルで平らに磨くことができる表面を提供するように選択される、配合物。
【請求項2】
音響基板上に音響透過性コーティングを形成する方法であって、前記基板上に請求項1に記載の配合物の液滴の複数の層を噴霧することを含み、前記層が、後続の層を塗布する前に、少なくとも部分的に乾燥することが可能であり、前記液滴が、前記コーティングの全厚さにわたって延在する相互接続した気孔を提供するように、隣接液滴と接触していない部分を有し、前記コーティングが、完全に乾燥し、その後スプレーして乾燥させた前記コーティングを平らに磨くことを可能にする、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、音響基板の外観を改善するのに有用な音響透過性コーティングに関する。
【0002】
米国特許第8,684,134号、第8,770,345号、および第8,925,677号は、モノリシック音響天井を構築するために使用される乾式壁シートまたはパネルを開示している。パネルは、有孔であり、不織布の半透明の繊維ガラスベールまたはスクリム等の薄く、多孔性の、半透明のウェブで覆われている。パネル間の目地は、石膏協会刊行物GA−216−2013に従って通常の乾式壁にテープを貼るのと同じ方式で、テープおよび目地化合物で仕上げることができる。
【0003】
ベールを通して見えるテープ目地および穿孔を隠すために乾式壁パネル全体に塗布することができ、かつパネルがもたらす吸音を著しく減少させないコーティングが必要とされている。塗装する人または職人のほうに過度な熟練を要することなくコーティングを塗布することができ、かつ全コーティングが限られた時間内、好ましくは単一作業日の半分未満内に乾燥することが重要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、高多孔度およびその結果として生じる高音響透過性を特徴とし、平滑均一な外観のために効率的に磨くことができる、音響基板用の仕上げまたは外観コーティングを提供する。このコーティングは、モノリシック音響天井構造における透明または半透明の不織布ベールで覆われている乾式壁シートの穿孔およびこのようなシート間のテープ目地を隠すのに特に有用である。
【0005】
開示されたコーティング材料は、連続層を塗布する前に乾燥することを可能にする複数の層に液滴形態で噴霧されるように適合されている。結果として生じるコーティング構造は、残留液滴および介在空隙または気孔の三次元マトリックスである。コーティング材料は、比較的大きい充填剤粒子、著しく高い顔料体積濃度、実質的な剪断減粘、および速乾性を特徴とする。
【0006】
コーティング材料は、比較的大きい液滴の形態で噴霧される。材料の物理的特性により、液滴は、材料の基板または前の層の上に堆積されると、その個々の特徴の少なくともいくつかを保持する。液滴は、その粘度および速乾性により、隣接液滴と完全には融合しない。液滴は、同じコーティング層の液滴と前のコーティング層との間に開放空間を提供するのに十分な個別性を保持する。開放空間は、天井用途において何気なく観察する人の裸眼では見過ごすほど小さく、別々のコート層を通して相互連結して、コーティングの全厚さにわたって多孔度が提供される。
【0007】
開示されるコーティング配合物は、音響透過性を与えることに加えて、比較的平滑な外観を提供するために容易に磨くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明を用いた石膏パネルの音響モノリシック天井の部分概略等角図である。
【
図2】
図1のモノリシック音響天井の拡大部分断面図である。
【
図3】本発明のコーティングの面を表す走査型電子顕微鏡写真である。
【
図4】本発明のコーティングの配合物の粘度の一般化グラフである。
【
図5】本発明のコーティングの典型的な気流抵抗率のグラフである。
【
図6】右側がまず乾燥させた本発明のコーティングの外層、左側が磨き後の本発明のコーティングの外層を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで
図1を参照すると、音響モノリシック天井設備10の概略部分図が示されている。天井10の層の部分は、構造上の詳細を明らかにするために剥がされている。天井10は、4フィートの中心に間隔を置いて配置されたメインT型材12と、16インチまたは2フィートの中心に間隔を置いて配置された交差クロスT型材13とを備える、当技術分野で既知である乾式壁格子11を含む吊り式システムである。本明細書で使用する寸法は、典型的には公称寸法であり、業界で認められているメートル法換算値を含むことを意図している。クロスT型材13がかみ合うメインT型材12は、上部構造(図示せず)に取り付けられたワイヤ14によって吊り下げられている。格子11の周囲は、従来、それぞれの壁16に固定されたチャネル成形15によって形成されている。
【0010】
音響パネル20は、自己穿設ネジ21を用いて格子T型材12、13の下側に取り付けられている。図示された音響パネルは、その平面寸法が4フィート×8フィートであるが、所望に応じてまたは実用に応じて、より長く、より短く、および/または異なる幅であってもよい。パネル20の大きさおよび格子T型材12および13の間隔によって、パネルの縁が格子T型材の真下に位置しかつそれに直接取り付けられることが可能になり、これらの縁が十分支持されることが確実になる。
【0011】
図2を参照すると、音響パネル20は、有孔石膏コア24を特徴とする。コア24を提供する1つの方法は、前部紙面23、石膏コア24、および後部紙側面または面25を通してそれを穿孔することによって乾式壁の標準的な市販のシートを修正することである。穿孔28は、穿設、打ち抜き、または他の既知の穴開け技術によって形成することができる。穿孔28は、好ましくは等間隔であり、例として、穿孔は、16mmの中心の直径8mmの円形の穴であり得る。この配置によって、パネル20の全平面面積の20%に実質的に等しい穿孔の全面積がもたらされる。他の穴の大きさ、形状、パターン、および密度を使用してもよい。例えば、全面積の9%の孔密度が良好な結果を達成し得ることが試験により示されている。シートの辺縁面積、ならびに支持格子、目地、またはスタッドの中心に対応する中間面積は、固定点で強度を維持するために無孔であってもよい。
【0012】
シート29、30は、有孔乾式壁シートの両全面に積層され、それによって穿孔28の両端が少なくとも部分的に閉鎖される。乾式壁の後側では、バッカーシートまたはウェブ30が、音響天井パネル技術において既知の吸音不織布であることが好ましい。例として、バッカー布は、Freudenberg Vliesstoffe KGによって商標SOUNDTEX(登録商標)の下で市販されているものであり得る。
【0013】
乾式壁シート22の前面には、不織布スクリム層29の形態のシートまたはウェブが、適切な接着剤で取り付けられている。対向層またはシート29は、多孔性であり、この用途に適切な材料は、従来の音響天井パネル用のカバーまたは面として商業的に使用されているものである。この種類のベール材料の例として、製品コードA125 EX−CH02のもと、Owens Corning Veil Netherlands B.V.により販売されているものが挙げられる。
【0014】
他の同一のパネルを含むパネル20は、通常の乾式壁を設置するのと同じ方式で格子11に掛けられる。同様に、
図1に示すように、目地33は、一般の乾式壁にテープを貼るのと同じように、テープで貼られる。乾式壁目地化合物または同様の材料34を使用して、テープを隠すためにそれをシート29およびテープ35の上に直接塗布することによって、テープまたは同様の材料35を2つの当接するパネル20の隣接辺縁に接着する。
【0015】
目地化合物34を磨いてまたはスポンジで拭いて平滑にした後、前部シート29および残りの目地化合物は、本発明の音響透過性コーティング31で塗装される。モノリシックという用語を本明細書で使用するとき、それは、天井または壁の本質的に全体の可視表面が、目地を含まない継目の無い広がりであるように見えることを意味する。
【0016】
本発明に従うコーティング31は、コーティング用の基板を構成するスクリムまたはベール29で覆われたパネル20の部屋に面する側面上に噴霧される。コーティング31は、理想的には、比較的大きい充填剤粒子、著しく高い顔料体積濃度(PVC)、高粘度、剪断減粘、および速乾性を含む、いくつかの物理的特性を有する。天井構造用の外観コートとして使用するとき、コーティング31は、乾燥して白色になるべきである。
【0017】
適切なコーティングのための配合物は、結合剤と、従来の塗料様コーティングに通常使用するものよりも大きいサイズの顔料または充填剤としての役割を果たす比較的大きい粒子とを含む。結合剤は、アクリル、スチレン、もしくはビニルポリマーラテックス、またはアルキド、ポリウレタン、ポリエステル、もしくはエポキシ等の油性媒体、およびそれらの組み合わせ等であるがそれらに限定されない、水分散液中の、または水分散液として使用可能な樹脂またはポリマー結合剤であり得る。
【0018】
比較的大きい粒子として、ガラス球、パーライト、セラミック、フライアッシュ、ポリマー球、ホウケイ酸塩、粗砂、シリカ、および粗炭酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。比較的大きい粒子は、顕著な板状の特徴がなく、または主に柱状の形状ではない、球形または三次元の形状である。大きい粒子のサイズは、20〜900ミクロンの範囲であり得る。
【0019】
以下の表1は、本発明の音響透過性の磨き可能なコーティング31に適切な配合物の例を示す。
【0021】
さまざまな構成成分の機能または役割は、一番右の列に記載されている。水、増粘剤、結合剤、および大粒子充填剤は必須であり、配合が缶に入っている間は殺生物剤が必須である。残りの構成成分は、任意選択と考えられ得る。参考のために、二酸化チタンは、約0.6ミクロンの平均粒径を有し、炭酸カルシウムは、約12ミクロンの平均粒径を有し、板状雲母は、約20ミクロンの主要寸法を有し得る。
【0022】
3M K1材料は、典型的には0.125グラム/ccの報告された真密度および65ミクロンの平均粒径を有するソーダ石灰ホウケイ酸塩のガラスバブル(中空球)である。3M K1材料は、本発明の実施において特に有用である。この材料は、その中空球状構造から生じる比較的低い密度により、配合物の体積の大部分を占める。さらに、K1材料は、ASTM D281−84に従って、生成物1cc当たり0.2〜0.6グラムの油の比較的低い吸油量を有する。またさらに、K1材料は、天井用途に有用である天然白色を有する。二酸化チタンは、不透過度改良充填剤および白色化顔料としての役割を果たす。炭酸カルシウムは、コーティングの固形分および密度を増加させて、乾燥時間および乾燥コーティングの硬度をさらに改善する。
【0023】
全固形分に基づくコーティング配合物の顔料体積濃度(PVC)は、比較的高く、理想的には75%〜95%であるが、代替の配合物は、約50%〜約99%のより広い範囲に入る。一般に、コーティングが乾燥しているとき、コーティング中の粒子間の空隙を充填するための結合剤が不十分であり、コーティング中にエアギャップができる。比較的大きい粒子充填剤の、より従来のより小さいサイズの充填剤に対する体積比は、約0.1〜約10の範囲であり得る。
【0024】
表1のコーティング配合物は、室温で約190BBU(ブラベンダー単位)〜約265BBUの比較的高い粘度を有する。代替の配合物は、室温で約66BBU〜約1450BBUの粘度を有し得る。
【0025】
表1のコーティング配合物は、高速剪断減粘を特徴とし、代替の配合物は、高速剪断減粘を特徴とするべきである。表1の配合物の剪断減粘特徴は、
図4に一般化されており、測定された粘度は40:1を超えて低下している。粘度は、部分的には、配合物の増粘剤成分によってもたらされる。列挙された増粘剤は、セルロース系であるが、既知の合成および天然の増粘剤を使用してもよい。増粘剤は、構成成分を懸濁状態に維持する役割も果たす。
図4の一般化された粘度チャートは、Tバー:Cスピンドルを使用してBrookfield HA粘度計で測定した。代替のコーティング配合物は、粘度が剪断条件下で少なくとも10対1だけ減少することができるように高い剪断減粘性を有するべきである。
【0026】
表1のコーティングまたは同等物は、好ましくは、別々に噴霧される層の噴霧プロセスでは、テープを貼ってベールで覆われている、有孔乾式壁パネル、または他の基板に塗布される。後続のコートを塗布する前に、各層またはコートを実質的に乾燥させる。好ましくは、湿潤コーティング材料は、例えば、Gracoが販売しているもの等の従来のホッパーテクスチャスプレーを使用して大きい液滴で噴霧される。理想的には、ガンおよび/またはその空気供給は、液滴が約1〜約4mmの大きさ、好ましくは、約2mmの大きさになるように調整される。
図4に特徴評価されている湿潤コーティングの剪断減粘性によって、高粘度であるにもかかわらず、それを液滴形態で容易に噴霧することが可能になる。単一のコーティング層は、層による均一な被覆が達成されるように2つの垂直の方向または通過で基板を噴霧することを伴うべきである。2〜7つの層を塗布することができ、天井の穿孔およびテープ目地を隠すには4つの層が好ましい。総コーティング層による被覆は、1ガロン当たり15〜35平方フィートであり得、25平方フィートが好ましい。
【0027】
表1の配合物または同様の配合物は、1ガロン当たり4〜11ポンドの密度を有し、1ガロン当たり5〜6.5ポンドの範囲が好ましい。
【0028】
図3は、音響基板に塗布したときの本発明のコーティングの多孔性を示す。
図3の検査によって、液滴が個々の性質を保持する一方、結合剤が最初の層で基板に、かつ層の間および層の中の隣接液滴に固形分を結合させることが示される。
図3の右下隅の目盛りは1mmの大きさを示し、1mmよりも大きいまたは小さい大きさの液滴が図面において観察され得る。好ましくは、乾燥液滴は、1/2〜2/1/2mmの範囲である。水分が蒸発すると、元の液滴サイズは縮小する。
【0029】
コーティングの層が堆積するにつれて、液滴の三次元マトリックスが組み立てられる。
図3の暗い領域である空隙が、残留液滴形態間に観察することができる。これらの空隙は、コーティングの厚さにわたって相互連結されて、多孔性かつ音響透過性コーティングがもたらされる。
図3の空隙また気孔は、概して0.5mm未満の大きさであるため、天井の高さでは、関連する床の上に立っている人がそれらを容易に観察することはできない。3M K1の大きい粒子によってもたらされる表1の配合において、コーティングの主要固形分体積の低吸収速度によって、コーティングが速乾性であることが確実になる。湿潤コーティングの剪断減粘性によって、それを液滴形態で容易に噴霧することが可能になる。
【0030】
高粘度と速乾性との組み合わせによって、液滴がその個別性を有利に保持し、かつ隣接液滴と完全に融合することを回避することが可能になる。特定の層に塗布された表1の開示された配合物は、それが指に移らない、すなわち触れるまで乾く程度まで、最も好ましくは、カ氏75度および50%の相対湿度の環境において、最初のコートで20分後および後続のコートで30分後に乾燥する。好ましくは、速乾性を有する代替の配合物は、最初のコートで60分以内に触れるまで乾くであろう。また、コーティングのこの速乾性は、塗装する人が同じ日に仕事を完了することを可能にするため、重要である。
【0031】
図5は、表1の材料の各連続乾燥コートについて別々に測定された、典型的な気流抵抗率を示す。抵抗率は、3.14平方インチの表面積を通る1分当たり2リットルの気流で決定する。
図5で試験したコーティングの総乾燥厚さは、0.031インチであった。「0コート」における初期抵抗率の値は、ベール29の抵抗率の測定値である。乾燥コーティングは、好ましくは0.03〜0.15インチの厚さである。
【0032】
図6の右側は、本発明のコーティングの上(外)層の噴霧および乾燥仕上げを示す。建築家、インテリアデザイナー、建造物所有者および/またはテナントは、より平滑な仕上げを好む場合がある。
図6の左側に示されるより微細なテクスチャーは、磨きプロセスにより、音響透過性を失うことなく、本発明のコーティング配合物を用いて得ることができる。本発明のコーティングは、著しく高い顔料体積濃度配合物の結果として、音響透過性を維持しながら容易に磨くことができる。
【0033】
磨きの前に、コーティング表面は、噴霧塗布プロセス中に堆積した、間隔の開いた液滴の残留物に相当する肉眼で見ることができる山と谷とを特徴とする。
図6の左のように平らに磨くと、本発明のコーティングは、非常に微細なサンドペーパーによるひっかき傷および比較的小さな局所的な谷を無視すると、その表面積の大部分が本質的に平らであることを特徴とする。
【0034】
例として、本発明のコーティングで覆われた400平方フィートの天井領域は、45分間ポールサンダーを用いて手作業で磨いて、
図6の左に表される平らな表面を得ることができる。これは、参考までに、別の配合物と比較すると、400平方フィートの天井領域を手作業で磨くのに1時間45分も必要とし得る。磨きプロセスで除去されなかった粉塵粒子は、例えば、送風機、噴出、または掃除機で除去することができる。
【0035】
磨き試験を行って客観的に磨き性能を測定したところ、400平方フィートの天井面積の手作業による磨きの本発明のコーティングは45分必要とし、参照コーティングは1時間45分必要とした。試験は、適切な逸脱/改変を加えたASTM D2486基準(試験方法A)に従って行った。サンドペーパーの上に1ポンドの錘を有する特定のブラシの代わりに180グリットのサンドペーパー(CAMI Scale)を代用し、「研磨スクラブ媒体(液体)」は使用せず、真鍮詰め木も使用しなかった。上述のように、コーティングを音響基板に塗布した。本発明のコーティングは、手作業での磨き試験では、60〜65サイクルで平らな表面(
図6の左に表示)を得るのに45分必要としたが、参照コーティングは、110〜115サイクルで試験して、平らな表面を得るのに1時間45分必要とした。これらの試験および経験に基づいて、本発明のコーティング配合物は、記載の改変ASTM D2486基準下で、好ましくは約85サイクル、より好ましくは約60〜65サイクルで平らに磨かれると思われる。
【0036】
本開示が例示であること、および本開示に含まれる教示の公正な範囲から逸脱することなく、詳細を追加、修正、または削除することによって様々な変更を行ってもよいことが明白であろう。したがって、本発明は、本開示の特定の詳細に限定されないが、以下の特許請求の範囲がそのように必然的に限定される範囲を除く。