【発明の効果】
【0008】
高温ガスの冷却のための、本発明に従う熱交換器は、特に、排気ガス再冷却器であり、または、同様にインタークーラーでもある。
この熱交換器は、1つのガス流入口、および、このガス流入口から間隔をおいて、1つのガス流出口を備えている。ガス流入口とガス流出口との間に、複数の冷却管が配置されている。これら冷却管は、ガスの流動方向に対して横向きに延在している。冷却媒体は、特に水である。
【0009】
冷却管は、フィンによって囲繞されている。これらフィンは、同様にラメラとも称され得る。本発明に従い、そのようなフィンが複数の開口部を有しており、従って、1つのフィンもしくは1つのラメラを通って、同時に複数の冷却管が案内されていることは意図される。従って、ここで扱われているのは、個々の冷却管の個々のフィンではなく、むしろ、1つのパケットである。そのようなパケットは、有利には、ほぼ熱交換器の全流入横断面にわたって延在している。
【0010】
フィンは、本発明において、スリットを備えている。これらスリットは、熱的な応力の補償のため、および、ガス流の均一化のために利用される。ガス流は、これらスリットを貫通流動する。これらスリットは、それら開口部内において冷却管が位置する該開口部から間隔をおいて位置している。
本発明において、これらスリットの特別な配置が使用される:即ち、これらスリットは、蜂の巣状に配置されている。このことは、複数のスリットが、六角形の配置において、それぞれに1つの開口部、もしくは、それぞれに1つの冷却管を取り囲んでいることを意味する。それぞれに1つの六角形が、1つの開口部を取り囲んでいる。これらスリットは、この六角形の稜部経過に追従し、従って、これらスリットが、有利には直線状である。
配置が総じて六角形状に留まり、且つ、例えば円形状でない限りは、本発明は、非直線状の稜部経過を排除しない。六角形の1つの角部における、これらスリットの端部は、従って、角度をもって互いに位置している。この六角形は、規則的な六角形の場合のように、特に等辺状および等角状である。
【0011】
それぞれのスリットは、フィンの変形位置において終端している。この変形位置は、六角形の角部において位置している。この変形位置は、それら構造形状において通路がフィン内において存在する該構造形状に比較して、特徴的である。
この変形領域は、フィンの強度が低下され且つ高い(熱的な)負荷の際に可塑的な変形を許容することの有利な効果を有している。フィンの内側での1つの変形位置の形成は、可撓的な位置が、緊急の場合において、即ち高い瞬間的な負荷の際に可塑的に変形され得ることを可能にする。このことは、確かに、全フィンの内側での一貫した変形を誘起せず、且つ、同様に、熱交換器のその他の部材の機能の阻害も誘起しない。この剛性の低下は、冷却管の、より少ない、熱的に誘起される応力を生じさせる。
諸検査は、冷却管から その管床部内において冷却管が固定されている該管床部への移行における可塑化が、80%に至るまでだけ低下され得ることを示した。このことによって、熱交換器全体のより高いクリープ強度が与えられ、このより高いクリープ強度は、フィンもしくはラメラの低下された剛性の直接的な結果である。
【0012】
本発明の有利な更なる構成において、スリットの幅は、変形位置の最小の幅よりも大きい。これら変形位置は、従って、比較的に幅狭であるべきである。スリットの幅は、スリットの上側および下側での、ガス流の所望された混ぜ合わせに依存する。スリットが、フィンのビードの領域内において配置されていることは、意図されていない。
フィン自体は、このフィンにおける冷却管の当接のためのカラー部もしくは貫通部を除いて、第1の有利な実施形態において、基本的に平坦である。スリットは、既に、流動の調整、および、開口部もしくは管に対する熱的な膨張により引き起こされる応力の最小限化を誘起する。この関連において、「平坦」は、フィンが波形または溝形にされていないことを意味する。
【0013】
本発明の更なる構成において、フィンが、個々の型押し部を有していることは可能である。スリットは、有利には、これら型押し部の外側に位置している。
個々の型押し部は、流動の案内を改善可能である。これら型押し部の外側のスリットは、より容易に製造可能である。これらスリットは、このスリットの製造のために打抜かれた部材がこのスリットの一方の側またはこのスリットの少なくとも1つの端部において固定されている場合に生じるような、フィンの押出し部によって覆われない。
【0014】
フィンが極めて高い破断伸び率を有することは、達成しようとされる。この破断伸び率は、特に25%を超えている。
【0015】
ただ唯一のスリットだけが、隣接する2つの開口部の間で配置されている場合、有利である。このスリットは、隣接するこれら開口部に対して、それぞれに同じ間隔を有している。
本発明は、同様に、唯一のこのスリットが、隣接する2つの開口部の間で、収縮部、狭隘位置、または、中断部を有することも包括し、従って、より短い、その長手方向に相前後して連続する複数のスリットが、共に機能的により長い唯一のスリットを形成し、このスリットが、隣接する2つの開口部の間で延在している。複数のスリットが決定的ではなく、むしろ、六角形の稜部経過に沿った、蜂の巣形状の配置が決定的である。
【0016】
相前後して連続する2つの管列の冷却管は、ガスの流動方向に対して横向きに、互い違いに位置ずれされて配置されている。全てのスリットが同じ長さである場合、同じであり且つフィンの内側で反復する、六角形状または蜂の巣形状のパターンが与えられる。
冷却管のための開口部は、そのような六角形もしくはそのような蜂の巣の中央である。変形位置は、3つのスリットの星形状の配置の中心である。この意味で、同様に変形位置も星形状である。
【0017】
切欠き作用によって誘起される応力の低減のために、スリットは、端部において、有利には丸く、特に、完全に丸くされている。この円形部の直径は、有利には、スリットの幅に相応する。蜂の巣形状において有利にはそれぞれに120°だけ互いに位置ずれされて配置されている3つのスリットは、星形状の1つの変形位置を区画する。これら3つのスリットは、これらスリットの端部でもって、共通の円に隣接している。この円は、同時に、星形状の変形位置の内円である。
この内円の直径は、有利には、スリットの端部側の円形部の直径と、ほぼ同じくらいの大きさである。有利な星形状において、120°だけ互いに位置ずれされたスリットに基づいて、確かに、隣接するスリットの間の最小の間隔は、上述の直径よりも幾分小さい。従って、この構成において、スリットの幅は、変形位置の幅よりも大きい。
【0018】
本発明の範囲内において、変形位置を更により小さく選択すること、または、スリットをより長くすることは可能である。これらスリットは、変形位置が消失する程は長くない。
同じ長さのスリットの場合、それぞれのスリットは、有利な蜂の巣形状において、隣接する開口部に関連して、ほぼ60°よりも小さな角度にわたって延在する。
有利な蜂の巣形状において、如何なる六角形状の個々のフィンも存在せず、むしろ、それらフィンを通って、常に、複数の冷却管が同時に案内されている該フィンが存在する。
【0019】
本願明細書の文脈内における、六角形または蜂の巣形の概念は、六角形の全ての辺が、互いに、同じ長さで、または、同じ角度の状態であるべきであるように理解するべきではない。
本発明の範囲内において、互いに向かい合って位置するスリットが、同じ長さであり、その際、向かい合って位置するスリットの1つのペアが、向かい合って位置するスリットの両方の他のペアとは、異なる長さを有していることは可能である。いわば長く延ばされている、六角形のそのような配置は、管列の間隔が1つの列の内の管の間隔と同じでない場合に与えられる可能性がある。この場合、管列から管列へと指向するスリットは、スリットの他のペアよりも長い。管列が、1つの列の内の管の間隔よりも小さな互いの間隔の場合、管列から管列へと指向するスリットは、他の両方の、スリットのペアよりも幾分短い。
【0020】
本発明の更なる構成において、冷却管の複数のグループは、ガス流入口とガス流出口との間に配置されている。ガス流入口に隣接する、冷却管の少なくとも1つの第1のグループは、フィンによって貫通される。有利には、同様に上述の冷却管の第2および第3のグループも貫通される。
これらグループの形成は、局部的に支配的な熱的な条件に対する、個々のグループの構造的な適合を可能にする。これらグループは、小さな間隔をおいて互いに配置されている。従って、例えば相前後して連続する3つのグループもしくは段において、同様に相前後しておよび互いに間隔をおいて配置された3つのフィンも、相前後して連続する。
特に、冷却管の全てのグループは、上述のフィンを備えている。
【0021】
冷却管の個々のグループは、本発明に従い、少なくとも2つの管列を備えており、これら管列が、ガスの流動方向に相前後して連続している。これら管列は、互いに、互い違いに位置ずれされて配置されており、従って、管の可能な限り大きな流入面が存在する。
【0022】
本発明の更なる構成において、フィンは、ガスの流動方向に位置する縁部側面を備えており、その際、少なくとも1つの縁部側面が、鋸の歯状(有利な蜂の巣形状において流入面に対して約±30°)に輪郭付与されている。この輪郭付与された経過が、スリットの経過に相応することは可能である。
上述のフィンは、より大きな板金プレートから製造され得る。これらフィンは、これらフィンの縁部側面において分離される。分離工程は、変形位置の領域内において行われ、従って、分離のために、極めて少しの材料が加工されるべきである。より小さなユニットへのフィンの分離のための手間暇は、極めて少ない。
【0023】
付加的に、縁部側面において、変形位置の形成のための切欠き部が設けられていることは可能である。この変形位置は、それぞれのスリットと協働すべきであり、このスリットが、少なくとも1つの縁部側面に隣接している。これらスリットは、流動方向に指向するスリットである。この切欠き部は、変形位置の面積的な膨張を低減する。熱交換器の流入領域内において、極めて高い瞬間的な負荷が生じる。
ここで、特に小さな曲げ剛性は有利である。従って、切欠き部は、確かに健全のままであるべきであり、且つ、同時に、同様に組み付けも簡略化するべきである。それにも関わらず、これら切欠き部は、フィンまたは冷却管のその他の領域に不利な影響を及ぼすこと無しに、緊急の場合において可塑的に変形されることの機能を有している。
【0024】
本発明の更に別の実施形態において、鋸の歯状に延びる縁部側面を、いわば、丸くするもしくは滑らかにすることは可能であり、従って、如何なる特に鋭いまたは先細りに突出する角部も、これら縁部側面において存在しない。
本発明の更に別の実施形態において、特に、流入側の縁部側面上で、スリットがこの縁部側面に至るまで延在することは可能であり、従って、縁部側で、総じて如何なる変形位置も存在しない。この場合、縁部側面へと通じているスリットは、開口している。
これらスリットは、これらスリットの開口部において、しかもその上、更に幾分拡幅されていることは可能である。この拡幅は、当初存在する変形位置が除去される、例えば打抜かれることによって製造され得る。打抜かれた領域は、その際、変形位置の幅よりも幾分大きく選択され得、従って、縁部側面からスリットの幅への移行部内における如何なる狭隘部も存在しない。これら打抜きは、従って、幅もしくは直径において、有利にはスリットの幅よりも大きい。
【0025】
冷却管およびフィンの本発明に従う配置において、可塑的な変形が変形位置において生じるべき場合、そのようなフィンは、それにも関わらず、冷却管の長手方向に移動可能ではない。フィンは、有利には、積み重ねられた配置において保持されており、且つ、冷却管を完全に囲繞している。この目的のために、フィンに配置されたカラー部が、間隔保持体として利用される。カラー部の高さは、隣接するフィンとの間の間隔を規定する。このカラー部は、開口部を取り囲んでいる。
【0026】
フィンの平面に対して横向きに延びる、冷却管を囲繞するカラー部を除いて、このフィンは基本的に平坦である。多数のスリットと開口部、および、小さな変形位置は、この様式のフィンが、比較的に軽量であること、少なくともしかしながら、それらフィンのタービュレータにおいて同じ方向にまたは交互に立ち上げられている該フィンよりも軽量であることを誘起する。
この重量節約は、結果において、熱交換器の全重量に対して有利な影響を及ぼす。上述のフィンは、僅か10分の1ミリメートル厚さを備えている。これらフィンは、有利には、0.16mmよりも薄い厚さを備えている。有利には、厚さは、0.10mmから0.15mmまでの値である。比較的に薄い厚さに基づいて、この様式のフィンにおいて、同様にラメラとも称される。
開口部、およびこれに伴って、冷却管の直径は、有利には、6mmから10mmまでの範囲内にある。これら開口部は、有利には、7から8mmの直径を備えている。隣接する管の間隔は、ほぼ、冷却管の直径、もしくは、開口部の直径の2倍の値である。スリットの幅は、開口部の直径の、ほぼ、約15%から25%までである。
多数の開口部と貫通開口部は、しかしながら、熱伝達の効力に対して不利な影響を与えない。特に、フィンの上述の構成によって、高いクリープ強度を有する熱交換器が提供される。
【0027】
本発明を、以下で、図内において概略的に図示された1つの実施例に基づいて、説明する。