【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的及び他の目的は、添付の請求項において定義されるような、光輝効果を有する固体照明デバイスと、光輝効果を有する固体照明デバイスの製造方法とを提供することによって達成される。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、光輝性の視覚効果を提供する照明デバイスであって、支持基板上に取り付けられている少なくとも1つの固体発光要素であって、発光面から光を放出するように構成されている、固体発光要素と、ルミネッセント材料を含む封入材であって、少なくとも1つの固体発光要素の発光面を包囲しており、固体発光要素によって放出された光を少なくとも部分的に波長変換光に変換するように構成されている、封入材と、少なくとも部分的に封入材内に含まれている複数の光透過性粒子であって、発光面の上の封入材の層厚さの0.4〜1.5倍の範囲の平均最長寸法延伸を有する、光透過性粒子とを備える、照明デバイスが提供される。
【0010】
照明デバイスは、本説明の残部において「LEDフィラメント」と称され得る場合もあるが、このタイプのデバイスに限定されるものではない。
【0011】
LEDフィラメントは、LEDフィラメント光を供給することが理解されており、線形アレイで配置されている複数の発光ダイオード(LED)を備える。好ましくは、LEDフィラメントは、長さL及び幅Wを有し、L>5Wである。LEDフィラメントは、直線構成で、又は、例えば湾曲構成、2D/3D渦巻、若しくは螺旋などの、非直線構成で配置されてもよい。好ましくは、LEDは、例えば剛性(例えば、ポリマー、ガラス、石英、金属、又はサファイアから作製されているもの)、又は可撓性(例えば、ポリマー、又は金属、例えばフィルム若しくは箔で作製されているもの)であってもよい物質のような、細長形の支持体上に配置される。
【0012】
支持体が、第1主表面及び反対側の第2主表面を含む場合、LEDは、これらの表面のうちの少なくとも一方上に配置される。支持体は、反射性であってもよく、あるいは、半透明及び好ましくは透明などの、光透過性であってもよい。
【0013】
LEDフィラメントは、複数のLEDの少なくとも一部を少なくとも部分的に覆う、封入材を備えてもよい。封入材はまた、第1主表面又は第2主表面のうちの少なくとも一方を、少なくとも部分的に覆ってもよい。封入材は、例えばシリコーンなどの、可撓性であり得るポリマー材料であってもよい。更には、LEDは、例えば種々の色又はスペクトルの、LED光を放出するように構成されてもよい。封入材は、LED光を少なくとも部分的に変換光に変換するように構成されている、ルミネッセント材料を含んでもよい。ルミネッセント材料は、無機蛍光体及び/又は量子ドット若しくは量子ロッドなどの、蛍光体であってもよい。LEDフィラメントは、複数のサブフィラメントを含んでもよい。「光透過性」粒子とは、ここでは、光が通過することにより、ルミネッセント封入材の波長変換効果を回避することを可能にする、粒子を意味する。粒子は、完全に非ルミネッセントであってもよく、又は少なくとも、封入材とは異なるルミネッセント効果を有してもよい。それらはまた、色吸収性であることにより、光の色を変化させてもよい。粒子はまた、光散乱効果を引き起こしてもよい。
【0014】
固体発光要素によって放出される光は、第1のスペクトル分布を有し得る。波長変換光は、第2のスペクトル分布を有してもよく、第1のスペクトル分布は、第2の分布とは異なっていてもよい。
【0015】
本発明は、そのような光透過性粒子が、封入材材料のルミネッセント効果を妨害するために使用されてもよいという認識に基づく。それゆえ、均一な波長変換の代わりに、発光要素からの一部の光は、光透過性粒子を通過して、完全な波長変換を回避することになる。一部の実施形態では、粒子は、好ましくは透明であり、このことは、より良好な光輝性の視覚効果をもたらし得る。このことの理由は、不透明粒子又は半透明粒子と比較して、透明粒子内では、光の散乱がより少ないためである。
【0016】
粒子は、様々なサイズ及び幾何学形状を有してもよいが、効果が明確に視認可能となるために、ここでは「最長寸法延伸」として定義される、粒子のサイズは、発光面の上の封入材の厚さと、ほぼ同程度であるべきである。好ましくは、平均最長寸法延伸のサイズは、この厚さの0.4〜1.5倍である。
【0017】
「最長寸法延伸」という表現は、広義に解釈されるべきであり、単純に、任意の寸法における粒子の最長延伸を指す。換言すれば、粒子は、異なる寸法(方向)において異なる延伸(サイズ)を有することになり、「最長寸法延伸」は、これらのうちの最大のものを指す。対称な粒子に関しては、粒子の寸法延伸は、全ての寸法において同じであり得る。非対称形状又は無作為形状を有する粒子に関しては、粒子は、種々の寸法において様々な寸法延伸を有してもよく、それらのうちの少なくとも1つの寸法延伸が、最長であり得る。
【0018】
用語「平均最長寸法延伸」は、様々なサイズ及び/又は形状を有する複数の粒子のサンプルにおいて、粒子の最長寸法延伸が異なり得るという事実を考慮するために使用される。それゆえ、サンプルにおける全ての最長寸法延伸の平均が、関連尺度として使用される。
【0019】
実際には、粒子サンプルに関する平均最長寸法延伸を決定又は確立することは、困難であり得る。一部の状況では、「D50」値などの別の尺度が、関連近似値として使用されることができる。D値とは、粒子が便宜的に球体としてモデル化されている場合の、粒子直径を意味し、粒子サンプルにおける全ての粒子が、昇順の集団として配列される場合に、指定の百分率にサンプルの集団を分割するものである。対象とする直径未満の集団百分率(重量%)が、「D」の後に表されている数字である。具体的には、D50とは、粒子サンプルの集団の約50重量%が、選択された直径未満の直径を有する、直径である。D50値が関連範囲内にある場合には、平均最長寸法延伸もまた、当該範囲内にあると想定されることができる。
【0020】
一部の実施形態では、粒子は、0.3〜6mm、又はより好ましくは0.4〜4mm、又は最も好ましくは0.5〜2mmの範囲のD50を有してもよい。
【0021】
追加的に又は代替的に、意図される粒子のサイズを選択するために、別の尺度が使用されてもよい。例えば、粒子サンプルは、粒子サンプルの少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも85重量%が、関連範囲内の最長寸法延伸を有することになるように、選択されることができる。
【0022】
発光要素から放出された光は、封入材、及び封入材内の粒子を通過することになる。粒子の密度に応じて、1つの発光要素からの(種々の方向の)光は、いくつかの粒子に衝突し得る。一部の実施形態では、粒子の密度は、大半の発光要素、例えば90%もの発光要素から放出された光が、少なくとも2つの粒子に衝突し得るような密度である。
【0023】
本発明は、例えば、白熱電球の外見に類似する電球の内部、例えばLEDフィラメントランプの内部に配置されている、固体発光要素を有する照明デバイスに、光輝効果などの、より装飾的な特徴を追加することにより、更により好ましい美的外観を作り出すことを可能にする。これらの粒子は、様々な幾何学形状及び向きを有してもよく、以下の概要及び詳細な説明で更に論じられることになる様々な製造手法を使用して、照明デバイス内に組み込まれてもよい。
【0024】
本発明によれば、固体発光要素の近傍に光透過性粒子を追加することの1つの利点は、外部のパターン化層又は格子の追加などの、更なる製造の複雑性を低減し、光輝効果を有する自己完結型の照明デバイスを提供する点である。更には、この手法は、照明デバイスの単位当たりの、プラスチックシート部分、金属コーティング、ガラス板などの材料の量を減少させることによって、各製造単位の環境フットプリントを減少させる。このことは同様に、製造の複雑性及び単位当たりのコストを低減する。
【0025】
光透過性粒子のサイズが大きいほど、封入材によってもたらされる波長変換が少なくなる。一実施例では、光透過性粒子の平均最長寸法延伸は、発光面の上の封入材の層厚さの0.8倍よりも大きく、この場合、発光面から放出された光は、ルミネッセント封入材によって、殆ど又は全く波長変換され得ない。別の実施例では、光透過性粒子の平均最長寸法延伸は、発光面の上の封入材の層厚さの0.8倍よりも小さく、この場合、発光面から放出された光は、依然として、ルミネッセント封入材によって、より視認可能に波長変換され得る。
【0026】
例えば、青色LEDの場合、封入材の厚さの0.8〜1.2倍で延伸するサイズを有する光透過性粒子は、青色の光輝をもたらし得る。その一方で、封入材の厚さの0.4〜0.8倍の範囲のサイズを有する粒子は、可視光スペクトルの赤色光波長端の色の光輝をもたらし得る。
【0027】
粒子は、光の方向に関わりなく同様の光変換(又は、光変換の欠如)を確実にするように、対称であってもよい。しかしながら、光輝効果の不規則性を増大させるために、光透過性粒子が非対称形状を有することが好ましい。例えば、粒子は、長手方向及び横方向における延伸の少なくとも2倍の大きさの、垂直方向における延伸を有してもよい。
【0028】
本発明の文脈では、垂直方向、長手方向、及び横方向などの、方向及び向きは、広義に解釈される必要があり、一般に、3次元デカルト座標系などの座標系における、物体の、例えば光透過性粒子の、幾何学的延伸を指す。それゆえ、光透過性粒子の空間的延伸及び各点の固有の位置は、座標系の少なくとも1つの平面内で、一対の数値座標を使用して定義されることができる。粒子を、3つの直交方向のうちの1つにおいてより大きく(例えば、長手方向及び横方向よりも垂直方向で大きく)(例えば、2倍の大きさで)延伸させることによって、細長形の(例えば、米粒形状の)粒子が形成される。粒子を、3つの直交方向のうちの2つにおいてより大きく(例えば、横方向よりも垂直方向及び長手方向で大きく)延伸させることによって、円盤形状の粒子が形成される。
【0029】
本発明の第2の態様によれば、光輝性の視覚効果を提供する照明デバイスの製造方法であって、支持基板上に取り付けられている少なくとも1つの固体発光要素を提供するステップであって、各固体発光要素が、発光面から光を放出するように構成されている、少なくとも1つの固体発光要素を提供するステップと、ルミネッセント材料を含む封入材を提供するステップであって、封入材が、少なくとも1つの固体発光要素の発光面を包囲しており、固体発光要素によって放出された光を少なくとも部分的に波長変換光に変換するように構成されている、封入材を提供するステップと、少なくとも部分的に封入材内に含まれている複数の光透過性粒子を提供するステップであって、光透過性粒子が、発光面の上の封入材の層厚さの0.4〜1.5倍の範囲の、任意の寸法における平均最長寸法延伸を有する、複数の光透過性粒子を提供するステップとを含む、方法が提供される。
【0030】
第2の態様のステップは、任意の論理的順序で実行されてもよく、例えば、少なくとも1つの固体発光要素の近傍に光透過性粒子を提供する前に、支持基板と少なくとも1つの固体発光要素とを包囲する封入材を提供してもよい点が、強調される。
【0031】
本発明のこれらの第1の態様と第2の態様との効果及び特徴は、大部分が類似しており、上述の実施形態は、本発明のこれらの2つの態様の双方に適合している。
【0032】
本発明の例示的実施形態によれば、光透過性粒子は、支持基板上に封入材を配置する前に、封入材内に混合/溶解されている。
【0033】
封入材内に光透過性粒子を予め混合しておくことは、照明デバイスの製造プロセスを容易にし、かつ製造コストを低減するという利点を有することが、本発明者らによって認識されている。更には、このプロセスでは、不規則な視覚効果を作り出すために、光透過性粒子は、封入材内に無作為に分散されてもよい。
【0034】
別の例示的実施形態によれば、光透過性粒子は、粒子保持層内に堆積されており、粒子保持層は、支持基板上に配置される。これらのステップの順序はまた、逆にされることもできる。
【0035】
粒子保持層は、発光要素以外の、支持基板の任意の他の部分/側に適用/堆積されてもよい。粒子保持層は、カスタマイズ可能な光輝効果を作り出す際に有利となり得る、任意の所望のレイアウトで、連続的に、又は不連続部分内に、堆積されてもよい。光透過性粒子は、粒子保持層内に無作為に分散されてもよい。
【0036】
この手法は、LED要素に対して粒子保持層を堆積させる際の、より制御されたプロセスにより、より効率的な光輝効果をもたらし得る。粒子保持層は、LED要素に対して基板上の任意の場所に堆積されてもよいが、LED要素に近接した粒子保持層の制御された堆積が、光輝効果を作り出す際のLEDフィラメントの効率を向上させることが、本発明者らによって見出されている。このカテゴリの照明デバイスは、より高い品質及び強度の光輝が所望され、またそれゆえ、より複雑かつ高コストの製造プロセスが採用される、前述のタイプよりも好ましい場合がある。
【0037】
更に別の例示的実施形態によれば、光透過性粒子は、支持基板及び/又は発光要素上に直接堆積されてもよい。例えば、粒子は、粒子がLED要素を部分的にのみ覆うように、及び/又は、対応のLEDから特定の距離に位置するように、基板上に堆積されてもよい。光透過性粒子はまた、支持基板のいずれかの側に、様々な形状及びレイアウトで堆積されてもよい。
【0038】
直接堆積の利点は、光透過性粒子の成長及び堆積の条件が正確に制御可能であり、それゆえ、個々のLEDからの、又はLEDフィラメントからの、カスタマイズ可能な光輝効果をもたらす点である。しかしながら、このカテゴリは、高コストの製造設備と、より複雑な製造手順とを必要とする。
【0039】
本発明の第3の態様によれば、透明シェルを備える電球であって、シェル内において電球の電気接触点に電気接続して配置されている、本発明の第1の態様及び第2の態様による照明デバイスのうちの少なくとも1つを備える、電球が提供される。
【0040】
照明デバイスがLEDフィラメントである場合には、電球は、LEDフィラメントランプと称されてもよい。LEDフィラメントランプは、例えば、好ましくは3〜9個のLEDフィラメント、又はより好ましくは4〜6個のLEDフィラメントを備えてもよい。
【0041】
シェルは、照明デバイスを実質的に包囲している外囲器であってもよい。ランプはまた、照明器具のソケットにランプを接続するための、口金も備える。口金は、典型的には、照明デバイスと電気的に接続されている。
【0042】
本発明のこの態様では、本発明の好ましい特徴及び利点が、本発明の前述の態様と同様に容易に利用可能であり、逆もまた同じである。
【0043】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、以降で説明される実施形態を参照して、以下で更に明らかにされるであろう。