(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6979552
(24)【登録日】2021年11月17日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】レトロフィットランプ、レトロフィットランプを使用する照明システム、及び保護方法
(51)【国際特許分類】
H05B 45/357 20200101AFI20211202BHJP
H05B 45/50 20200101ALI20211202BHJP
【FI】
H05B45/357
H05B45/50
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2021-531395(P2021-531395)
(86)(22)【出願日】2019年11月25日
(86)【国際出願番号】EP2019082341
(87)【国際公開番号】WO2020114811
(87)【国際公開日】20200611
【審査請求日】2021年6月1日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/119184
(32)【優先日】2018年12月4日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】19158707.0
(32)【優先日】2019年2月22日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】リュー ユアンチャン
(72)【発明者】
【氏名】スン シグアン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアン ユンフェイ
【審査官】
大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−109202(JP,A)
【文献】
特表2016−526248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/357
H05B 45/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電照明デバイスの安定器と共に使用するためのレトロフィットランプであり、
前記安定器からAC電力を受け取るために前記安定器に接続するよう適合される対の入力端子と、
照明負荷に接続され、前記AC電力から前記照明負荷に給電するよう適合される出力段と、
障害を検出するための障害検出回路とを有するレトロフィットランプであって、
前記レトロフィットランプが、
前記入力端子のうちの一方と直列のヒューズと、
前記障害検出回路によって作動され、前記入力端子に接続されるときの前記安定器からの前記AC電力において、相反する位相において非対称電流を生成し、それによって、DC成分を生成し、それによって、前記安定器に、前記ヒューズを通る過剰安定器電流を出力させて、前記ヒューズを作動させ、切断するために、前記AC電力の相反する位相において、前記対の入力端子の間の非対称伝導スキームを制御するよう適合される保護回路とを更に有するレトロフィットランプ。
【請求項2】
前記安定器によって駆動される前記照明負荷を更に有し、
前記障害検出回路が、前記出力段における過電圧を前記障害として検出するよう適合され、前記保護回路が、前記ヒューズを作動させ、切断するよう、前記過剰安定器電流として飽和安定器電流を出力するよう前記安定器を飽和状態にさせるよう、前記安定器からの前記AC電力において前記DC成分を生成するよう適合される請求項1に記載のレトロフィットランプ。
【請求項3】
前記照明負荷が、LED負荷を有する請求項2に記載のレトロフィットランプ。
【請求項4】
前記保護回路が、前記AC電力の前記相反する位相のうちの一方だけにおいて前記対の入力端子を短絡する一方で、前記相反する位相のうちの他方の位相において前記対の入力端子を短絡から切り離すよう適合され、
前記レトロフィットランプが、前記照明負荷と並列のシャントスイッチであって、前記照明負荷を通る電流を調整するように前記入力端子をシャントするよう適合されるシャントスイッチを更に有する請求項2又は3に記載のレトロフィットランプ。
【請求項5】
前記対の入力端子に接続される全波整流器を有し、前記全波整流器が、前記AC電力の正の位相の間、電流を伝導するための第1分岐と、前記AC電力の、逆の負の位相の間、電流を伝導するための第2分岐とを有し、前記保護回路が、前記全波整流器の一方の分岐だけに結合され、他方の分岐が、前記保護回路から切り離される請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレトロフィットランプ。
【請求項6】
前記全波整流器が、4ダイオード・ダイオードブリッジを有し、前記保護回路が、前記4ダイオード・ダイオードブリッジの前記一方の分岐のダイオードのうちの1つと並列の短絡回路を有する請求項5に記載のレトロフィットランプ。
【請求項7】
前記全波整流器が、ダイオードと能動スイッチとを含む能動同期ブリッジを有し、前記保護回路が、前記一方の分岐の前記ダイオードのうちの1つと並列の短絡回路を有する、又は前記保護回路が、前記一方の分岐の前記能動スイッチを有する請求項5に記載のレトロフィットランプ。
【請求項8】
前記保護回路が、DIACを有し、前記DIACが、前記障害検出回路も実施するよう適合される請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレトロフィットランプ。
【請求項9】
前記保護回路が、ダイオードと直列のシリコン制御整流器を有し、前記障害検出回路が、前記出力段に結合され、前記保護回路とは別である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレトロフィットランプ。
【請求項10】
前記出力段として前記照明負荷と並列にバッファコンデンサを更に有し、前記ヒューズが、前記バッファコンデンサを切り離し、それによって、保護するよう適合される請求項1乃至9のいずれか一項に記載のレトロフィットランプ。
【請求項11】
前記ヒューズの定格が、1Aから10Aまでの範囲内である請求項1乃至10のいずれか一項に記載のレトロフィットランプ。
【請求項12】
前記障害検出回路が、出力電圧が前記照明負荷の動作電圧よりも所定のマージンだけ高い場合に、前記保護回路を作動させるよう適合され、前記マージンが、少なくとも30%である請求項1乃至11のいずれか一項に記載のレトロフィットランプ。
【請求項13】
高輝度放電ランプのための電磁安定器と共に使用するための、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のレトロフィットランプ。
【請求項14】
放電照明デバイスの安定器と、
前記安定器に接続される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のレトロフィットランプとを有する照明システム。
【請求項15】
レトロフィットランプを、放電照明デバイスの安定器に接続されるときに保護するための保護方法であって、
前記安定器から前記レトロフィットランプの入力端子へのAC電力を受け取るステップと、
障害を検出するステップと、
前記障害が検出されるときに保護回路を作動させるステップと、
前記保護回路を使用して、前記AC電力の相反する位相において、対の前記入力端子の間の非対称伝導スキームを制御し、それによって、前記入力端子に接続されるときの前記安定器からの前記AC電力において、相反する位相において非対称電流を生成し、それによって、DC成分を生成して、前記安定器を飽和させるステップと、
前記安定器から飽和電流が受け取られるときに、ヒューズを作動させ、切断するステップとを有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、AC蛍光/放電安定器と共に使用するためのレトロフィットランプ、とりわけ、(LEDなどの)固体ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
工業用又は家庭用の建物を照明するために、管状の照明装置が、一般に使用される。一般に、このような管状照明装置は、水銀を含む蛍光管を有し、蛍光管を流れる電流が、管を発光させる。
【0003】
管状照明装置は、一般に、蛍光管に交流電流を供給するよう適合される電磁(インダクタベースの)又は電子(半導体スイッチベースの)安定器を有する。安定器は、暴走電流が蛍光灯に損傷を与えないことを確実にするよう、蛍光灯を流れる電流を調整する。幾つかの他のアプリケーションにおいては、管状ランプの代わりに、高輝度放電(HID)ランプも、電磁(インダクタベースの)又は電子(半導体スイッチベースの)安定器によって駆動される。
【0004】
最近では、蛍光管又はHIDランプをLED構成に置き換えることがますます望まれるようになってきている。これは、寿命の増大、より高い効率、及び(水銀などの)潜在的に危険な材料の使用の削減などの理由のためであり得る。従って、電子安定器の出力をLED構成に適した形態に変換し得る装置が必要である。
【0005】
最も単純なケースにおいては、LEDストリングは、高周波AC電力をDCに変換するためのダイオードブリッジと、リップル電流を平滑化するためのコンデンサとを使用して、安定器に接続されることができる。蛍光管又は(高輝度放電ランプであってもよい)ハイベイランプの燃焼/放電電圧に実質的に近いLEDストリング電圧が選ばれる場合に、LEDストリングは蛍光管又はハイベイランプと同様の電力と電流を受け取る。
【0006】
しかしながら、時として、LEDランプは、従来の安定器の電力定格よりも実質的に低い電力定格を有する。更に、LEDランプにおいては調光機能が望まれる。それ故、レトロフィットランプとしての使用のためのLEDランプは、安定器に適合する必要がある。安定器からLED構成をバイパスするシャントスイッチを使用してこの適合性を提供することが、US2013/221867A1などで知られている。安定器をスムーズに動作させるために、このシャントスイッチは安定器の出力を短絡する。シャントスイッチは、半サイクルごとに、或る特定の時間の間、短絡を供給して、出力電流を調整するよう機能する。LED電圧及びデューティサイクルを調節することによって、LED電流は制御されることができる。これは、調光機能を可能にするだけでなく、適合性を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のランプを改造してLEDランプを設置する際には、常に安全性が必須要件である。障害が発生する可能性があり、保護機構が設けられなければならない。本発明は、例えば、LEDストリングが開回路を示すように故障する場合に発生し得る問題を対象とする。このような場合には、平滑コンデンサに過大な電圧が印加される可能性がある。このコンデンサは、一般に、電解コンデンサであり、過電圧状態は電解液の漏れをもたらす可能性があり、これは、火災の危険などの安全性の問題が引き起こす可能性がある。他の障害が発生する可能性もある。
【0008】
この問題に対処するためのアプローチは、ドライバにおいて過電圧保護回路を使用するものである。しかしながら、依然として、保護の実施における遅延が、安全性の問題がもたらす可能性がある。
【0009】
ランプにおける障害事象、例えば、開回路LED故障によって引き起こされるLEDストリングにおける障害事象の場合には、ランプを保護するための保護システムの必要性が残っている。
【0010】
US20140320018A1は、LED回路と直列のDIAC構成要素を開示している。US20170006672A1も、整流器及びLEDと直列のTRIAC構成要素を開示している。WO2015014680A1は、管状LEDの一方の端部にある2つのピンの間のDIAC構成要素を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の概念は、様々なタイプのものであり得る障害を検出し、ランプが接続されている安定器を過剰/飽和状態にさせるように、安定器からレトロフィットランプへの電力供給を意図的に非対称にさせるものである。次いで、結果として生じる過剰/飽和電流が、ランプが安定器から完全に切り離されるようにランプのヒューズを作動させるために使用される。安定器からの入力電力がないことで、ランプにおいて危険な状況が起こり得る前に、過電圧保護などの障害保護が実施される。本発明は、照明負荷の開回路故障に耐えるためにとりわけ興味深い。本明細書においては、過剰という用語は、安定器が、過負荷をかけており、その限界を越える電流を出力することを意味するものではなく、それが、LEDランプが必要とするよりも高く、最も好ましくは、ヒューズを作動させるのに十分であることを意味するものである。
【0012】
本発明は、請求項によって規定されている。
【0013】
本発明の或る態様による例によれば、放電照明デバイスの安定器と共に使用するためのレトロフィットランプであり、
前記安定器からAC電力を受け取るために前記安定器に接続するよう適合される対の入力端子と、
照明負荷に接続され、前記AC電力から前記照明負荷に給電するよう適合される出力段と、
障害を検出するための障害検出回路とを有するレトロフィットランプであって、
前記レトロフィットランプが、
前記入力端子のうちの一方と直列のヒューズと、
前記障害検出回路によって作動され、前記入力端子に接続されるときの前記安定器からの前記AC電力において、相反する位相において非対称電流を生成し、それによって、DC成分を生成し、それによって、前記安定器に、前記ヒューズを通る過剰安定器電流を出力させて、前記ヒューズを作動させ、切断するために、前記AC電力の相反する位相において異なるように、前記対の入力端子の間の非対称伝導スキーム(asymmetrical conduction scheme)を制御するよう適合される保護回路とを更に有するレトロフィットランプが提供される。
【0014】
このランプ設計は、入力端子間の非対称伝導スキームを意図的に利用して、ヒューズが作動される時点まで、引き出される電流を(大きさにおいて)増加させる。この非対称性は、例えば、AC入力の一方の位相の間だけ、短絡を実施することによって、導入される。ヒューズを作動させることは、前記照明負荷の、前記安定器からの完全な絶縁を提供し、それによって、前記照明負荷と前記安定器との両方に安全保護機能を提供する。
【0015】
前記ランプは、好ましくは、前記安定器によって駆動される前記照明負荷を更に有する。前記障害検出回路は、例えば、前記出力段における過電圧を前記障害として検出するよう適合され、前記保護回路は、前記ヒューズを作動させ、切断するよう、前記過剰安定器電流として飽和安定器電流を出力するよう前記安定器を飽和状態にさせるよう、前記安定器からの前記AC電力において前記DC成分を生成するよう適合される。飽和は、大電流が流れ、それによって、前記ヒューズを飛ばすことをもたらすが、そうしないと、前記安定器の出力が、前記照明負荷と並列のバッファコンデンサの両端の電圧を増加させる。
【0016】
前記保護回路は、例えば、前記AC電力の前記相反する位相のうちの一方だけにおいて前記対の入力端子を短絡する一方で、前記相反する位相のうちの他方の位相において前記対の入力端子を短絡から切り離すよう適合される。前記切り離すは、対の入力端子が、短絡されず、依然として、下流段/出力段/LEDに接続されていることを意味する。従って、前記相反する位相においてインピーダンスが異なり、従って、前記相反する位相において電流が異なる。
【0017】
前記レトロフィットランプは、前記照明負荷と並列のシャントスイッチであって、前記照明負荷を通る電流を調整するように前記入力端子をシャントするよう適合されるシャントスイッチを更に有する。従って、本発明は、シャントスイッチドライバへの適用に適している。これは、放電安定器のためのLEDレトロフィットランプの一般的なアーキテクチャであり、前記シャントスイッチは、既に知られているように、更に調光機能を達成することができる。
【0018】
前記ランプは、好ましくは、前記対の入力端子に接続される全波整流器を有し、前記全波整流器は、前記AC電力の正の位相の間、電流を伝導するための第1分岐と、前記AC電力の負の位相の間、電流を伝導するための第2分岐とを有し、前記保護回路は、前記全波整流器の一方の分岐だけに結合され、他方の分岐が、前記保護回路から切り離される。このやり方においては、AC入力電力の2つ(即ち、正又は負)の位相のうちの一方だけが前記保護回路によって短絡され、それによって、所望の非対称性を導入する。
【0019】
前記全波整流器は、例えば、4ダイオード・ダイオードブリッジ(four-diode diode bridge)を有し、前記保護回路は、前記4ダイオード・ダイオードブリッジの前記一方の分岐のダイオードのうちの1つと並列の短絡回路を有する。従って、フルブリッジダイオード整流器の4つの分岐のうち1つしか、制御可能な短絡機能を実施するために保護回路を適用する必要がない。
【0020】
他の例においては、前記全波整流器は、前記ブリッジ内の能動スイッチがLED電流を調整するための上述のシャント機能を達成する同期/能動ブリッジを有してもよい。同じ能動スイッチはまた、安定器出力においてDC成分を生成するために、前記AC電力の相反する位相において異なるインピーダンスを形成するよう適合される。
【0021】
(2018年7月23日に出願されている)PCT/EP2018/069902は、シャントスイッチが、異常な駆動状態により生じるDC成分を除去するよう制御されるという反対のアプローチを開示していることに留意されたい。しかし、本願においては、DC成分が意図的に作成される。
【0022】
前記保護回路は、DIAC(Diode for Alternating Current)を有してもよい。前記DIACは、特定のブレークオーバー電圧によってトリガされ、次いで、大きな電流を流すことを可能にする。これは、前記DIACが、前記DIACのブレークオーバー電圧を用いた、とりわけ過電圧保護を提供するための電圧検出に基づく、障害保護と、前記DIACが導通状態のままである間に流れる電流を用いた、短絡機能とを実施することから、別の制御回路の必要性をなくす。従って、前記DIACはそれ自体で前記障害検出回路を実施し得る。
【0023】
前記DIACは、一方の位相の間、一方の分岐にだけ結合され、逆の位相の間、他方の分岐は、短絡機能なしで実施されることから、前記一方の分岐を通る電流は、大きい一方で、前記他方の分岐を通る電流は、既存の出力段バッファコンデンサにより小さい。従って、前記電流は非対称であり、DC成分が形成される。
【0024】
EM安定器は大きなインダクタンスを有する。前記電流が対称である場合、正及び負の電流が前記インダクタンスを磁化及び消磁し、故に、それは飽和しない。しかしながら、前記電流が非対称である場合、小さな電流は前記インダクタンスを消磁するのに十分ではなく、次の大きな電流が、飽和するまで、前記インダクタンスをより多く磁化する。飽和後は、前記インダクタンスは、もはや、前記入力電流を制限することができず、故に、前記安定器は、大きな電流を出力して、前記ヒューズを飛ばす。
【0025】
前記保護回路は、その代わりに、ダイオードと直列のシリコン制御整流器を有してもよい。前記シリコン制御整流器は、前記障害検出回路によって制御され得るゲート端子を有する。従って、この場合には、前記障害検出回路は、前記出力段に結合され、前記保護回路とは別である。
【0026】
前記レトロフィットランプは、好ましくは、前記出力段として前記照明負荷と並列にバッファコンデンサを更に有し、前記ヒューズは、前記バッファコンデンサを切り離し、それによって、保護するよう適合される。
【0027】
上で説明したように、前記ヒューズは、前記安定器からの飽和電流が前記保護回路によって引き起こされる際に、作動されるよう適合される。前記飽和電流の存在は、前記保護回路によって前記短絡機能が実施されていることを示す。次いで、前記ヒューズが、前記バッファコンデンサに損傷を与える前に、回路全体の保護を提供する。前記ヒューズの定格は、例えば、1Aから10Aまでの範囲内である。
【0028】
前記障害検出回路は、例えば、出力電圧が前記照明負荷の動作電圧よりも所定のマージンだけ高い場合に、前記保護回路を作動させるよう適合され、前記マージンは、少なくとも30%である。従って、保護は、前記動作電圧が許容レベルを超えるときにしか開始されず、従って、前記回路の通常動作中には有効にならない。この電圧増加は、前記照明負荷における開回路によって引き起こされ、これは、前記バッファコンデンサがその蓄積電圧を増加させることを可能にする。
【0029】
前記ランプは、例えば、高輝度放電ランプのための電磁安定器と共に使用するためのものである。前記照明負荷は、好ましくは、LED負荷を有する。
【0030】
本発明は、
放電照明デバイスの安定器と、
前記安定器に接続される、上で規定されているようなレトロフィットランプとを有する照明システムも提供する。
【0031】
本発明は、レトロフィットランプを、放電照明デバイスの安定器に接続されるときに保護するための過電圧保護方法であって、
前記安定器から前記レトロフィットランプの入力端子へのAC電力を受け取るステップと、
例えば前記照明負荷に供給される出力電圧の検出に基づいて、障害を検出するステップと、
前記障害が検出されるときに、例えば前記出力電圧が閾値に達するときに、保護回路を作動させるステップと、
前記保護回路を使用して、例えば前記AC電力の相反する位相のうちの一方だけにおいて短絡を実施することによって、前記AC電力の相反する位相において異なるように、前記対の入力端子の間の非対称伝導スキームを制御し、それによって、前記入力端子に接続されるときの前記安定器からの前記AC電力において、相反する位相において非対称電流を生成し、それによって、DC成分を生成して、前記安定器を飽和させるステップと、
前記安定器から飽和電流が受け取られるときに、ヒューズを作動させ、切断するステップとを有する方法も提供する。
【0032】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
ここで、添付図面を参照して本発明の例について詳細に説明する。
【
図1】安定器に接続される既知のLEDランプを示す。
【
図2】
図1の回路における、通常動作中の波形を示す。
【
図3】主電源入力の1つの半サイクルの遮断の影響を示す。
【
図4】電圧過負荷を防止するための回路の第1例を示す。
【
図5】電圧過負荷を防止するための回路の第2例を示す。
【
図6】電圧過負荷を防止するための回路の第3例を示す。
【
図7】電圧過負荷を防止するための回路の第4例を示す。
【
図8】
図7の回路内で使用される電圧検出回路の第1例を示す。
【
図9】
図7の回路内で使用される電圧検出回路の第2例を示す。
【
図10】
図7の回路内で使用される電圧検出回路の第3例を示す。
【
図11】回路の動作を説明するための第1電流及び電圧波形を示す。
【
図12】回路の動作を説明するための第2電流及び電圧波形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図を参照して本発明について説明する。
【0035】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0036】
本発明は、放電ランプ安定器と共に使用されるレトロフィットランプを提供する。障害状態が検出されるときに、安定器に飽和電流出力を供給させるように、安定器からの電力供給が、意図的に非対称にされる。これは、ランプが電源/安定器から絶縁されるようにヒューズを作動させ、ランプにおいて危険な状況が起こり得る前に、保護が実施される。本発明は、照明負荷の開回路故障に耐えるためにとりわけ興味深い。障害状態は、好ましくは、過電圧状態である。しかしながら、回路の他の部分において障害が発生する可能性がある。例えば、スイッチモード変換回路を備える多段ランプにおいては、変換回路において障害が発生する可能性がある。
【0037】
本発明は、シャントスイッチが、照明負荷と並列に設けられ、照明要素を通る電流を調整するようにランプの入力端子をシャントするよう適合されるドライバ・トポロジに適用されてもよい。この電流制御は、様々な安定器との適合性を可能にし、調光制御を供給するために使用される。
【0038】
前記シャントスイッチは、整流器ブリッジとLEDとの間に設けられてもよく、又はダイオードに取って代わるよう整流器ブリッジと一体化されてもよく、このアーキテクチャは、能動同期整流器(active synchronous rectifier)として知られている。以下の説明は、本発明の実施形態の原理を説明するために前者の実施形態を使用しているが、当業者は、本発明の概念がその代わりに能動同期整流器アーキテクチャに適用されてもよいことは理解している。
【0039】
本発明は、シャントスイッチ・トポロジ以外のドライバアーキテクチャに適用される可能性もある。
【0040】
図1は、電磁安定器12に接続されるシャントスイッチドライバを内蔵する既知のLEDランプ10を概略的に示している。安定器12は、(ACである)主電源入力Vinを受け取り、インダクタL及びコンデンサCとして概略的に表されている。安定器12は、一般に、電磁安定器である。安定器12は、ランプ10の入力端子14、16に接続する対の出力端子を有する。これらの端子の両端のランプ入力電圧「Vin lamp」、及び一方の端子に入る(且つ他方の端子から出る)入力電流「Iin lamp」がある。入力端子は、4つのダイオードD1、D2、D3、D4を有するフルブリッジ整流器に接続する。整流電力信号は、LED構成(「LED」)及び並列バッファコンデンサC1の形態の負荷18に電流を供給する。整流器の一方の出力端子と、LED構成LED及びコンデンサC1の並列の組み合わせの一方の端部との間には、ダイオードD5がある。このダイオードは、バッファコンデンサC1の、LED構成を介する放電以外の放電を防止する。この例においては、整流器の他方の出力端子と、LED構成LED及びコンデンサC1の並列の組み合わせの他方の端部との間には、電流検出抵抗器Rがある。
【0041】
負荷18と並列に、ゲート信号「gate」のパルス幅変調を使用して制御されるシャントスイッチM1がある。
【0042】
LEDランプ10への入力の各半サイクルにおいて、より具体的には、入力電流Iin lampの各半サイクルにおいて、シャントスイッチM1が、サイクルの一部分の間、負荷を短絡することによって、出力電流を調整する。平衡のとれた制御を供給するために、相反する極性の半サイクルにおいて同じシャント機能が実施される。
【0043】
図2は、
図1の回路における、通常動作中の波形を示している。
【0044】
一番上のグラフは、主電源入力Vinを示している。
【0045】
2番目のグラフは、ゲート信号を示している。ゲート信号がハイであるときは、MOSFET M1は導通しており、ランプ電圧Vin lampは、一番下のグラフにおいて示されているようにゼロになるよう短絡される(実際には、ランプ電圧Vin lampは、それでも、整流器ブリッジの順方向電圧にMOSFET M1の導通電圧を加えたものを有するが、それらは、相対的に非常に小さいので、ゼロとみなされる)。
【0046】
3番目のグラフは、電流Iin lampを示している。安定器のインダクタンスLの結果として、電流Iin lampは、入力電圧と同相ではない。3番目のグラフはまた、シャントスイッチが閉じられるときに、傾きの大きさにおいて初期増加を示している。MOSFET M1のゲート信号がハイであるときは、電流は、シャントされてLEDに流れ込まずに安定器に戻され、MOSFET M1のゲート信号がローであるときは、電流は、LEDに流れ込む。示されている例においては、各半サイクルの開始時(入力電流のゼロ交差時)に非シャント期間が発生し、次いで、シャント期間が続く。この順序は逆にされてもよく、ゼロ交差時にシャント期間が発生してもよく、次いで、非シャント期間が続く。
【0047】
4番目のグラフは、ランプ電流Iin lampの交差時点を検出するゼロ交差検出器(ZCD)信号を示している。これは、ゲート制御信号のタイミングを設定するために使用され、この例においては、ゲート制御信号の終了タイミングを規定する。この信号は、電流検出抵抗器Rを介して得られてもよく、又は整流器ダイオードのうちの1つにおける電圧検出を介して得られてもよい。
【0048】
一番下のグラフは、ランプ電圧Vin lampを示している。MOSFET M1が導通していないことを意味する、MOSFET M1のゲートがローであるときは、安定器が、LEDの一定の順方向電圧、AC周期の時間スケールにわたってのインダクタ及びコンデンサの平滑化機能の結果として、実質的に一定の電圧振幅をランプに供給することを可能にする。
【0049】
シャントスイッチ・トポロジに関する既知の問題は、異常な供給事象、例えば主電源に対する外乱がある場合には、不安定性及び飽和が生じ得ることである。例えば、半サイクルの電圧遮断がある場合には、電磁安定器は不平衡な状態になり、飽和する。これは、制御されていない高い電流をランプにもたらす可能性があり、電源/安定器のサーキットブレーカ機能がトリガされる可能性がある。シャントスイッチは、導通時、非常に低いインピーダンスを有し、高い電流をもたらすことから、この問題は、シャントスイッチ・トポロジの使用の結果である。従来のランプは、常に十分に高いインピーダンスを有することから、この高い電流は、従来のランプにとっては重要な問題ではない。
【0050】
通常、安定器は、励磁電流と減磁電流とが常に等しいように、時間的に平衡のとれた電圧で動作する。電源の遮断はこの平衡を崩す。このあり得る電流不均衡に対処するためのアプローチが提案されている。
【0051】
主電源入力Vinの半サイクルの遮断の影響は、
図3に示されている。或る正の半サイクルが欠けている(他の例においては、或る負の半サイクルが欠けていてもよい)。これの影響は、入力電流「Iin lamp」が、安定器インダクタによって正に向かわされず、一定のままであるというものである。一般に、主電源遮断中の電流は、一定のままである、又は電圧降下がないためにゆっくりと減少し得る。従って、安定器は、2つの連続した電流減少サイクルをもたらして、電流を安定器の飽和電流Isatを超えて負に減少させる(大きさは増加させる)。
【0052】
安定器のこの不平衡及び飽和は、制御されていない高い電流をランプにもたらし、電源(安定器)のサーキットブレーカがトリガする。この問題は、異常な主電源入力によって引き起こされ、従来技術においては、解決されるべき問題であると考えられていることに留意されたい。(2018年7月23日に出願されている)PCT/EP2018/069902においては、解決策が提案されている。
【0053】
本発明の実施形態は、障害の場合にランプによって意図的に不平衡が引き起こされ得るという認識に基づいており、ランプにおいて機械的な(ヒューズベースの)保護を作動させるために飽和が使用される。過電圧保護などの障害保護を実施するために、これが使用され得る。しかしながら、保護が望まれる任意の識別可能な障害が、保護のトリガするために使用され得る。
【0054】
本発明は、対の入力端子間の伝導を、AC電力の相反する位相において異なるように制御することによって、この不平衡をもたらす。本発明の或る実施態様においては、整流器ブリッジダイオードを1つ短絡することによって不平衡がもらされる。この場合も先と同様に、安定器における電圧降下が非対称になり、非常に高いDC電流成分を有する。例えば、必ずしも完全な短絡でなくても、異なる経路に異なるインピーダンスをもたらすことによって、必要とされる不平衡をもたらすための他のアプローチが使用されてもよい。
【0055】
例として、以下の説明は、検出され、飽和電流をトリガする障害として、出力における過電圧をベースにしているが、当業者は、過電流、過熱などのような他の障害も本発明の実施形態によって対処されることができることも理解し得る。
【0056】
図4は、蛍光灯管、又は水銀灯及びメタルハライドランプのような高輝度放電ランプなどの放電照明デバイスの安定器と共に使用されるレトロフィットランプの第1例を示している。
【0057】
図4は、
図1に対する修正例として示されている。
図1と同様に、安定器12からAC電力を受け取るために前記安定器に接続するよう適合される対の入力端子14、16があり、LED照明負荷18が安定器によって駆動される。シャントスイッチM1が、照明負荷と並列にあり、照明負荷を通る電流を調整するように入力端子をシャントするよう適合される。
【0058】
本発明は、入力端子14、16のうちの一方と直列のヒューズF1を供給する。それは、安定器を開回路によって照明負荷から絶縁することを可能にし、それによって、照明負荷、又はバッファコンデンサC1などの他の構成要素へのあらゆる(更なる)損傷を防止することを可能にする。ヒューズの定格は、例えば、1Aから10Aまでの範囲内である。前記定格は、正常に動作するときの定格安定器電流よりも高いが、DC成分が意図的に生成される場合の飽和安定器電流をカバーする必要がある。
【0059】
前記ランプは、この例においては、照明負荷18に供給される出力電圧を検出するための電圧検出回路として実施されている、障害検出回路を更に有する。更に、障害検出回路によって作動され、対の入力端子の間の伝導を、AC電力の相反する位相において異なるように制御するよう適合される保護回路がある。この例においては、AC電力の相反する位相のうちの一方においてだけ、対の入力端子の短絡を供給することによって、伝導が異なるよう制御される。伝導パターンが逆の位相におけるパターンと異なり、それによって、安定器出力においてDC成分が生成されることができる限り、伝導は、正/負の位相の全体においてなされてもよく、又は正/負の位相の一部だけにおいてなされてもよい。
【0060】
ヒューズは流れる電流に敏感である。とりわけに、ヒューズは、安定器からの飽和電流が保護回路によって引き起こされる際に、作動される(即ち、破壊される又は切れる)よう適合される。
【0061】
図4の例においては、電圧検出回路と保護回路との両方が、DIAC 40によって、即ち、単一の構成要素によって実施される。DIACは、前記DIACのブレークオーバー電圧VBOに達した後にだけ、電流を伝導するダイオードである。コンデンサC1において過電圧が発生するとき、DIAC 40における電圧は、コンデンサC1における電圧に、ダイオードD2及びD5の順方向電圧の合計を加えたものである。従って、電圧DIAC 40は、コンデンサC1の過電圧障害を検出することができる。DIAC 40のブレークダウンが発生するとき、ダイオード40が、負の動的抵抗の領域に入り、ダイオードの両端の電圧降下の減少、ダイオードを流れる電流の急増をもたらす。
【0062】
ダイオードを流れる電流が、保持電流IHと呼ばれる、デバイスに特徴的な値を下回るまで、ダイオードは導通状態のままである。この値を下回ると、ダイオードは、その高抵抗の非導通状態に戻るよう切り替わる。この動作は、双方向のものであるが、この回路においては、一方向の伝導だけが使用される。
【0063】
整流器は、AC電力の第1位相の間、電流を伝導するための第1分岐D1、D4と、AC電力の、逆の第2位相の間、電流を伝導するための第2分岐D2、D3とを有する。保護回路は、全波整流器の一方の分岐だけに結合される。この例においては、DIACは、ダイオードD4と並列に接続され、従って、分岐D1、D4に結合される。通常、ダイオードD4が、逆バイアスされ、従って、非導電性であるときに、DIAC 40が導電性にされる場合、短絡機能が実施される。一般に、DIACは、4ダイオード・ダイオードブリッジのダイオードの1つと並列の短絡回路として機能する。
【0064】
電流フローの経路が、入力16から、ダイオードD2を通って、照明負荷を通って、ダイオードD3を通って、入力14に至るもの(即ち、負の位相)であるとき、DIAC 40が伝導する場合には、この経路は短絡される。その場合、電流経路は、入力16から、DIAC 40を通って、ダイオードD3を通って、入力14に至るものとなる。
【0065】
LEDストリングに開回路がある場合、この負の位相の間、出力における電圧はダイオードD4及びDIAC 40の両端に存在する(D2及びD5の電圧降下を無視する)。従って、照明負荷18において過電圧事象がある場合には、DIAC 40は、負の位相の間だけオンになる。安定器のインピーダンスはほとんどなく、従って、安定器電流は大きい。安定器出力電流は、それでも、正の位相の間、ダイオードD1を通って、ダイオードD5、LEDと並列のコンデンサC1へ流れ、DIAC 40と並列のD4を介して流れて戻る。インピーダンスは大きく、従って、正の位相の間の電流は小さい。
【0066】
この短絡は、
図3を参照して上で説明したように非対称性をもたらし、その結果、安定器出力電流は飽和する。EM安定器、インダクタ、変圧器などの誘導性構成要素における非対称電流は、飽和傾向をもたらす。保護回路は、このやり方においては、安定器からのAC電力においてDC成分を生成して、安定器を飽和させるよう適合される。安定器からの飽和電流が、ヒューズを飛ばす。保護機構は、AC入力電力の約0.5乃至1.5サイクル内で有効になることができ、故に、電解バッファコンデンサは保護される。この保護機能は、安定器が動作するための短絡モードの代わりに、安定器が動作するための開回路モードを含む。ランプが故障したときに、安定器が短絡モードにされる場合には、安定器は、高い電力損失をもたらし、過熱、及び潜在的な火災の危険ももたらし得る。要するに、この観点から、安定器出力をオープンにする方が、安定器出力を短絡させるよりも良い。
【0067】
図5は、DIACがダイオードD3と並列に接続される代替例を示している。従って、それは、
図4の例とは逆の位相を短絡する。それは、ダイオードD3を短絡し、それによって、入力14から、DIAC 40を通って、ダイオードD4を通って、入力16に至る短絡経路を供給する。
【0068】
図6は、保護回路が、別個の電圧検出回路60を有すると共に、シリコン制御整流器S1を、随意にダイオードD6と直列に有する(D6は、過電圧保護のトリガ電圧を調節するために使用されることができる)代替例を示している。この保護回路は、ダイオードD3と並列にある。前記保護回路は、D3とは逆の極性を持ち、故に、トリガされるとき、D3の逆バイアス電流方向に伝導する。
【0069】
図7は、ダイオードD6と直列のシリコン制御整流器(SCR)S1から成る保護回路が、ダイオードD4と並列にある代替例を示している。
【0070】
電圧検出回路は、例えば、出力電圧がLEDの動作電圧よりも所定のマージンだけ高いときに、保護回路を作動させ、マージンは、少なくとも30%である。
【0071】
これは、DIAC設計の適切な選択によって、又は電圧検出回路60の制御下でのSCRへの適切な電流の注入によって、達成される。
【0072】
図8乃至10は、
図7のトポロジに適用されるような電圧検出回路60のための3つの可能な設計を示している。
【0073】
図8は、比較器U1によって基準と比較される電圧を得る、コンデンサC1と並列に接続される抵抗分割回路R1、R2を示している。
【0074】
図9は、コンデンサC1と並列の、ツェナーダイオードZ1と抵抗器R3との直列接続であって、高電圧側にあるツェナーダイオードZ1と、LEDストリングの陰極に接続される抵抗器R3とを備える直列接続を示している。これは、SCRのゲート端子のための電流を直接生成する。
【0075】
図10は、コンデンサC1と並列に接続される抵抗分割回路R1、R2を、基本的に
図8の比較器U1の機能を実施するディスクリート部品回路と一緒に示している。このディスクリート部品回路は、貯蔵コンデンサC2と、DIAC DIAと、出力抵抗分割回路R4、R5とを有する。
【0076】
多くの異なる電圧検出回路が考えられることが見られ得る。
【0077】
図11は、保護が必要になる前の、入力端子間の入力電圧Vinを上のグラフとして、安定器によって供給される電流I
Bを下のグラフとして示している。保護前の安定器出力電流は、負のピーク電流が正のピーク電流と同じであるように対称である。ピーク電流は約+/−1Aである。
【0078】
図12は、安定器電流が高非対称になったときの、入力端子間の入力電圧を上のグラフとして、安定器によって供給される電流を下のグラフとして示している。
図12は、保護機能が実施されようとしているときと、保護機能の実施後の幾らかの時間とを示している。安定器出力電流は、負のピーク電流はほぼゼロであるが、正のピーク電流はほぼ9Aという高さであるように、非対称である。この電磁安定器は飽和状態となり、ヒューズは9Aの電流において作動される/飛ばされるよう設計されている。
【0079】
ヒューズの所要定格電流及び電圧は、保護回路(例えば、DIAC)ではなく、主回路に依存する。ヒューズ電流は、一般に、1A乃至10Aの範囲内である。DIAC(又は他の保護回路)オフ状態のピーク電圧(peak off-state voltage)は、例えば、LEDストリング電圧よりも30%高く、電解バッファコンデンサC1のサージ電圧よりも低くない。DIAC(又は他の保護回路)のオン状態の電流は、当然、ヒューズの定格電流未満である必要がある。
【0080】
本発明は、無効電磁安定器(reactive electromagnetic ballast)、又は一定ワット数単巻変圧器(constant wattage autotransformer)(CWA)安定器に適用されてもよい。
【0081】
以上、所望の非対称性をもたらすための可能な短絡回路の2つの例を挙げた。トランジスタ又はトランジスタベースの回路などの、他のスイッチング回路が使用されてもよい。従って、整流器ダイオードのうちの1つをバイパスするよう機能する任意の適切なスイッチが使用されてもよい。
【0082】
図13は、レトロフィットランプを、放電照明デバイスの安定器に接続されるときに保護するための過電圧保護方法を示しており、前記方法は、
ステップ30において、安定器からレトロフィットランプの入力端子へのAC電力を受け取ること、
ステップ32において、シャントスイッチドライバ・トポロジの場合には、照明負荷を通る電流を調整するように入力端子をシャントすること、
ステップ34において、例えば照明負荷に供給される出力電圧を検出することによって、障害を検出すること、
ステップ36において、障害が検出されるときに、例えば検出出力電圧が閾値に達するときに、保護回路を作動させること、
ステップ38において、例えばAC電力の相反する位相のうちの一方においてだけ入力端子を短絡することによって、保護回路を使用して非対称性をもたらして、それによって、安定器からのAC電力においてDC成分を生成して、安定器を飽和させること、及び
ステップ40において、安定器から飽和電流が受け取られるときに、ヒューズを作動させることを有する。
【0083】
本発明は、シャントスイッチドライバ・トポロジにとって興味深いが、多段ドライバなどの他のドライバアーキテクチャに適用されてもよい。
【0084】
上記の例は、受動的構成要素、即ち、ダイオードを備える整流器ブリッジに基づいている。全波整流器は、ブリッジ内の能動スイッチ、即ち、トランジスタがLED電流を調整するための上述のシャント機能を達成する同期(能動)ブリッジを有してもよい。その場合、同じ能動スイッチが、安定器出力においてDC成分を生成するために、AC電力の相反する位相において異なるインピーダンスを形成するよう適合されることもある。
【0085】
上記の実施形態は、本発明を、過電圧保護の例で説明しているが、当業者は、本発明は、他のタイプの障害を保護するために使用されることができることを理解するだろう。それらの障害を検出する詳細な実施形態は既知である可能性があり、安定器を飽和させて飽和電流を生成するように相反する位相において異なるように入力端子の伝導を制御するという上述のやり方は再利用されることができる。
【0086】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する他の変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【要約】
レトロフィットランプは、安定器と共に使用するためのものである。AC電力の相反する位相において対の入力端子間の非対称伝導スキームを制御するために、障害状態が検出されるときに、安定器に過剰電流出力、好ましくは、飽和電流出力を供給させるように、安定器からの電力供給が、意図的に非対称にされる。これは、ランプにおいて危険な状況が起こり得る前に、保護が実施されるように、レトロフィットランプのヒューズを作動させる。安定器の出力を開放することは、安定器にとっても安全である。本発明は、照明負荷の開回路故障に耐えるためにとりわけ興味深い。