特許第6979574号(P6979574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6979574ディスプレイ製造装置および製造方法、ディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979574
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】ディスプレイ製造装置および製造方法、ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20211202BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20211202BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   G09F9/00 342
   G09F9/00 302
   G02F1/1333
   C09J201/00
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-537558(P2019-537558)
(86)(22)【出願日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】JP2018006348
(87)【国際公開番号】WO2019038955
(87)【国際公開日】20190228
【審査請求日】2020年11月10日
(31)【優先権主張番号】特願2017-161815(P2017-161815)
(32)【優先日】2017年8月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】小倉 基誠
(72)【発明者】
【氏名】森田 久人
(72)【発明者】
【氏名】薦田 大介
【審査官】 塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−072447(JP,A)
【文献】 特開2003−005194(JP,A)
【文献】 特開2013−015760(JP,A)
【文献】 特開平05−253526(JP,A)
【文献】 特開平10−046110(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0124412(KR,A)
【文献】 韓国特許第10−1489317(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
G02F 1/13
G02F 1/1333
C09J 5/00
C09J 201/00
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対して透明パネルを貼り合わせるためのディスプレイ製造装置であって、
前記表示パネルのフロント面と前記透明パネルとを接着するための光硬化型接着剤を、前記表示パネルのフロント面と前記ベゼルとに跨るように且つ前記ベゼルの内周端に沿うように吐出して他の部分に比べて低い低隆起部分を備えるダムを形成するディスペンサ装置と、
前記ダムを硬化させる光を出射する少なくとも1つの光照射装置と、を含み、
前記少なくとも1つの光照射装置が、前記表示パネルのフロント面に対して鋭角な方向であって且つ前記フロント面と前記ベゼルとの隙間に侵入した光硬化型接着剤に光が到達する方向に、光を出射する、ディスプレイ製造装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光照射装置から出射された光の前記表示パネルのフロント面に写る光スポットの少なくとも一部が前記表示パネルのフロント面と前記ベゼルとの隙間に存在するように、前記少なくとも1つの光照射装置が配置されている、請求項1に記載のディスプレイ製造装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光照射装置の光軸が前記表示パネルのフロント面と前記ベゼルとの隙間に進入するように、前記少なくとも1つの光照射装置が配置されている、請求項2に記載のディスプレイ製造装置。
【請求項4】
フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対して透明パネルを貼り合わせるためのディスプレイ製造装置であって、
前記表示パネルのフロント面と前記透明パネルとを接着するための光硬化型接着剤を、前記表示パネルのフロント面と前記ベゼルとに跨るように且つ前記ベゼルの内周端に沿うように吐出してダムを形成するディスペンサ装置と、
前記ダムを硬化させる光を出射する少なくとも1つの光照射装置と、
前記表示パネルのフロント面に対して平行に且つ前記ベゼルの内周端に沿って前記表示パネルに対して相対移動する移動ヘッドと、を含み、
前記少なくとも1つの光照射装置が、前記表示パネルのフロント面に対して鋭角な方向であって且つ前記フロント面と前記ベゼルとの隙間に侵入した光硬化型接着剤に光が到達する方向に、光を出射し、
前記移動ヘッドに前記ディスペンサ装置と前記少なくとも1つの光照射装置とが搭載されており、
前記ベゼルの内周端が矩形形状であって、
前記少なくとも1つの光照射装置は、2つの光照射装置からなり、
前記移動ヘッドが、前記2つの光照射装置を搭載するとともに、前記ディスペンサ装置における接着剤吐出口の中心を通過して且つ前記表示パネルのフロント面に対して垂直な旋回中心線を中心にして90度旋回可能に構成され、
前記2つの光照射装置が、前記移動ヘッドの旋回中心線を基準として180度回転対称に前記移動ヘッドに搭載されている、ディスプレイ製造装置。
【請求項5】
前記移動ヘッドの移動速度が調節可能に構成されている、請求項に記載のディスプレイ製造装置。
【請求項6】
前記表示パネルのフロント面は、前記少なくとも1つの光照射装置の光軸と交わる交点を有し、前記移動ヘッドが、前記ディスペンサ装置の接着剤吐出口と前記交点との間に配置された遮光板を備える、請求項4または5に記載のディスプレイ製造装置。
【請求項7】
前記ベゼルの内周端が矩形形状であって、
前記低隆起部分は、前記矩形形状の四隅に形成される、請求項記載のディスプレイ製造装置。
【請求項8】
フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対して透明パネルを貼り合わせるディスプレイ製造方法であって、
前記表示パネルのフロント面と前記透明パネルとを接着するための光硬化型接着剤を、前記表示パネルのフロント面と前記ベゼルとに跨るように且つ前記ベゼルの内周端に沿うようにディスペンサ装置から吐出して他の部分に比べて低い低隆起部分を備えるダムを形成し、
光照射装置からの光によってダムを硬化し、
前記光照射装置が、前記表示パネルのフロント面に対して鋭角な方向であって且つ前記表示パネルのフロント面と前記ベゼルとの隙間に侵入した光硬化型接着剤に光が到達する方向に、光を出射する、ディスプレイ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶ディスプレイなどのディスプレイを製造する製造装置および製造方法と、そのディスプレイとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に記載するように、画像を表示する表示パネルに対してカバーパネルやタッチパネルなどの透明パネルを接着剤を介して貼り合わせることが行われている。特許文献1には、その貼り合わせ方法の一例としてダムアンドフィル法が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のダムアンドフィル法では、まず、透明パネルが貼り合わせられる表示パネルのフロント面に、粘度が高い第1の光硬化型接着剤によって環状のダム(土手)を形成する。次に、光を照射してダムを硬化させる。続いて、硬化したダム内に粘度が低い別の第2の光硬化型接着剤を充填する。その第2の光硬化型接着剤とダムとを覆うように、透明パネルがダム上に載置される。そして、ダム内の第2の光硬化型接着剤を硬化させることにより、透明パネルが表示パネルに貼り合わせられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−88455号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、近年、大型ディスプレイに使用される大型の表示パネルにも、タッチパネルなどの透明パネルを貼り合わせすることが望まれている。しかしながら、大型の表示パネルの場合、そのたわみを抑制するために、ベゼルが取り付けられていることが多い。具体的には、金属製のベゼルが、表示パネルのフロント面の外周部分を覆い、それにより表示パネルのたわみ剛性を向上させている。
【0006】
このようなベゼル付きの表示パネルの場合、ダムアンドフィル法の実行中に、ダム内に充填された粘度が低い接着剤が、ダムを越えて表示パネルのフロント面とベゼルとの隙間に流入する可能性がある。隙間に流入した低粘度の接着剤が、表示パネルとベゼルとを備える表示モジュール内の基板や光学部品などに到達する可能性がある。接着剤が基板や光学部品に到達すると、基板のショートや光学経路上での汚れによる表示面の不良が発生し、最終的には、ディスプレイの信頼性が低下する。また、隙間に入り込んだ接着剤が光硬化型の樹脂であった場合には、紫外線が届かないため市場に出たのちも固まることがなく、市場不良の原因にもなる。
【0007】
そこで、本開示は、フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対してカバーパネルやタッチパネルなどの透明パネルを適切に貼り付け、高い信頼性のディスプレイを製造する技術を提供する。
【0008】
本開示の一態様によれば、フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対して透明パネルを貼り合わせるためのディスプレイ製造装置であって、表示パネルのフロント面と透明パネルとを接着するための光硬化型接着剤を、表示パネルのフロント面とベゼルとに跨るように且つベゼルの内周端に沿うように吐出してダムを形成するディスペンサ装置と、ダムを硬化させる光を出射する少なくとも1つの光照射装置と、を含み、少なくとも1つの光照射装置が、表示パネルのフロント面に対して鋭角な方向であって且つフロント面とベゼルとの隙間に侵入した光硬化型接着剤に光が到達する方向に、光を出射する、ディスプレイ製造装置が提供される。
【0009】
また、別の態様によれば、フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対して透明パネルを貼り合わせるディスプレイ製造方法であって、表示パネルのフロント面と透明パネルとを接着するための光硬化型接着剤を、表示パネルのフロント面とベゼルとに跨るように且つベゼルの内周端に沿うようにディスペンサ装置から吐出してダムを形成し、光照射装置からの光によってダムを硬化し、光照射装置が、表示パネルのフロント面に対して鋭角な方向であって且つ表示パネルのフロント面とベゼルとの隙間に侵入した光硬化型接着剤に光が到達する方向に、光を出射する、ディスプレイ製造方法が提供される。
【0010】
そして、さらに別の態様によれば、表示パネルと、表示パネルのフロント面の外周部分を覆うように設けられたベゼルと、表示パネルのフロント面とベゼルとに跨るように且つベゼルの内周端に沿うようにダム状に配置され、光硬化型接着剤である第1の接着剤と、ダム内に充満された第2の接着剤と、表示パネルのフロント面に対して第1および第2の接着剤を介して貼り合わせられた透明パネルと、を有するディスプレイが提供される。
【0011】
本開示によれば、フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対してカバーパネルやタッチパネルなどの透明パネルを適切に貼り付け、高い信頼性のディスプレイを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施の形態に係るディスプレイの概略的断面図である。
図2図2は、表示ユニットの概略的断面図である。
図3図3は、表示モジュールの概略的断面図である。
図4図4は、表示モジュールにダムを形成する方法を示す斜視図である。
図5図5は、ダムを形成中のディスプレイ製造装置の移動ヘッドを概略的に示す図である。
図6図6は、ディスペンサ装置と光照射装置の位置関係を示す上面図である。
図7図7は、ディスペンサ装置と光照射装置の位置関係を示す斜視図である。
図8図8は、2つの光照射装置による第1の接着剤の硬化方法を示す斜視図である。
図9図9は、ダム形成中の状態を示す概略的斜視図である。
図10図10は、比較例のダムが形成された表示モジュールの一部の概略的断面図である。
図11図11は、別の実施の形態に係る光照射装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の一態様のディスプレイ製造装置は、フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対して透明パネルを貼り合わせるためのディスプレイ製造装置であって、表示パネルのフロント面と透明パネルとを接着するための光硬化型接着剤を、表示パネルのフロント面とベゼルとに跨るように且つベゼルの内周端に沿うように吐出してダムを形成するディスペンサ装置と、ダムを硬化させる光を出射する少なくとも1つの光照射装置と、を含み、少なくとも1つの光照射装置が、表示パネルのフロント面に対して鋭角な方向であって且つフロント面とベゼルとの隙間に侵入した光硬化型接着剤に光が到達する方向に、光を出射する。
【0014】
このような態様によれば、フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対してカバーパネルやタッチパネルなどの透明パネルを適切に貼り付け、高い信頼性のディスプレイを製造することができる。
【0015】
例えば、少なくとも1つの光照射装置から出射された光の表示パネルのフロント面に写る光スポットの少なくとも一部が表示パネルのフロント面とベゼルとの隙間に存在するように、少なくとも1つの光照射装置が配置されている。
【0016】
例えば、少なくとも1つの光照射装置の光軸が表示パネルのフロント面とベゼルとの隙間に進入するように、少なくとも1つの光照射装置が配置されている。
【0017】
例えば、ディスプレイ製造装置は、表示パネルのフロント面に対して平行に且つベゼルの内周端に沿って表示パネルに対して相対移動する移動ヘッドを有し、移動ヘッドにディスペンサ装置と少なくとも1つの光照射装置とが搭載されている。
【0018】
例えば、ベゼルの内周端が矩形形状であって、少なくとも1つの光照射装置は、2つの光照射装置からなり、移動ヘッドが、2つの光照射装置を搭載するとともに、ディスペンサ装置における接着剤吐出口の中心を通過して且つ表示パネルのフロント面に対して垂直な旋回中心線を中心にして90度旋回可能に構成され、2つの光照射装置が、移動ヘッドの旋回中心線を基準として180度回転対称に移動ヘッドに搭載されている。
【0019】
例えば、移動ヘッドの移動速度が調節可能に構成されている。
【0020】
例えば、表示パネルのフロント面は、少なくとも1つの光照射装置の光軸と交わる交点を有し、移動ヘッドが、ディスペンサ装置の接着剤吐出口と交点との間に配置された遮光板を備える。
【0021】
例えば、ディスペンサ装置が、他の部分に比べて低い低隆起部分を備えるダムを形成する。
【0022】
例えば、ベゼルの内周端が矩形形状であって、低隆起部分が、矩形形状の四隅に形成されている。
【0023】
本開示の別の態様のディスプレイ製造方法は、フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対して透明パネルを貼り合わせるディスプレイ製造方法であって、表示パネルのフロント面と透明パネルとを接着するための光硬化型接着剤を、表示パネルのフロント面とベゼルとに跨るように且つベゼルの内周端に沿うようにディスペンサ装置から吐出してダムを形成し、光照射装置からの光によってダムを硬化し、光照射装置が、表示パネルのフロント面に対して鋭角な方向であって且つ表示パネルのフロント面とベゼルとの隙間に侵入した光硬化型接着剤に光が到達する方向に、光を出射する。
【0024】
このような構成によれば、フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対してカバーパネルやタッチパネルなどの透明パネルを適切に貼り付け、高い信頼性のディスプレイを製造することができる。
【0025】
本開示のさらに別の態様のディスプレイは、表示パネルと、表示パネルのフロント面の外周部分を覆うように設けられたベゼルと、表示パネルのフロント面とベゼルとに跨るように且つベゼルの内周端に沿うようにダム状に配置され、光硬化型接着剤である第1の接着剤と、ダム内に充満された第2の接着剤と、表示パネルのフロント面に対して第1および第2の接着剤を介して貼り合わせられた透明パネルと、を有する。
【0026】
このような構成によれば、ディスプレイは高い信頼性を備えることができる。
【0027】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0028】
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するものであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0029】
図1は、本開示の一実施の形態に係るディスプレイの概略的な断面図である。図2は、ディスプレイに組み込まれた表示ユニットの概略的な断面図である。図3は、表示ユニットに含まれる表示モジュールの概略的な断面図である。なお、図に示すX−Y−Z直交座標系は、本開示の理解を助けるものであって、本開示を限定するものではない。X軸方向はディスプレイの長手方向を示し、Y軸方向は短手方向を示し、Z軸方向は厚さ方向を示している。
【0030】
図1に示すディスプレイ10は、本実施の形態の場合、例えば液晶ディスプレイであって、表示ユニット12と、表示ユニット12を保持するハウジング14とを有する。ハウジング14内には、表示ユニット12を制御する、例えば画像データを外部から取得して表示ユニット12に表示させるコントローラ(図示せず)が収容されている。
【0031】
図2に示すように、表示ユニット12は、表示モジュール20と、表示モジュール20に貼り合わせられた透明パネル22とを備える。
【0032】
図3に示すように、表示モジュール20は、画像を表示する液晶表示パネル24と、液晶表示パネル24のたわみを抑制する金属製のベゼル26と、ボトムフレーム28と、ボトムフレーム28内に収容されたサブフレーム30とを有する。
【0033】
液晶表示パネル24は、薄板状であって、ディスプレイ10が視聴者に呈示する画像を表示する。また、液晶表示パネル24は、その外周部分がベゼル26の裏側に設けられたクッション部材32とサブフレーム30に設けられたクッション部材34とによって挟持されている。これにより、液晶表示パネル24が保持され、液晶表示パネル24の割れ、他の部品との擦れ、組み付け時の部品間に発生する局部応力の発生が抑制される。
【0034】
ベゼル26は、液晶表示パネル24のフロント面(視聴者側面)24aの外周部分を覆う天板部26aと、天板部26aの外周端から立設する側壁部26bとを備える。ベゼル26の側壁部26b内に、ボトムフレーム28が係合する。
【0035】
ボトムフレーム28内には、サブフレーム30以外にも、例えば、LED36、LED36の出射光を液晶表示パネル24のバック面24bに案内する導光板38、導光板38から液晶表示パネル24に向かう光を光学調整する光学シート40、背面側に光を出光させ光量ロスをなくすための反射シート42などが収容されている。
【0036】
図2に示すように、表示モジュール20の液晶表示パネル24のフロント面24aに、透明パネル22が貼り付けられている。本実施の形態の場合、透明パネル22は、タッチパネルであって、タッチセンサーガラス44と、タッチセンサーガラス44を覆うカバーガラス46とを備える。これにより、本実施の形態の場合、ディスプレイ10は、タッチスクリーン装置として機能する。
【0037】
液晶表示パネル24と透明パネル22は、接着層50を介して接着されて貼り合わせられている。具体的には、ダムアンドフィル法を用いて、液晶表示パネル24に透明パネル22が貼り合わせられる。このダムアンドフィル法について、図4図9を参照しながら説明する。具体的には、ダムアンドフィル法を用いて表示モジュール20に透明パネル22を貼り合わせるディスプレイ製造装置について説明する。
【0038】
本実施の形態の場合、ダムアンドフィル法において、第1の接着剤52と第2の接着剤54とが使用される。第1の接着剤52は、盛ることが可能な粘度を備える光硬化型接着剤であって、例えば紫外線照射によって硬化するUV硬化接着剤である。他には熱で硬化する熱硬化型樹脂や常温で硬化する常温硬化型樹脂なども使用可能である。第2の接着剤54は、第1の接着剤52に比べて粘度が低く、流動性が高い接着剤である。なお、第2の接着剤54は、第1の接着剤52と同様に光硬化型であってもよいし、時間の経過とともに硬化する、例えば常温硬化型接着剤などであってもよい。
【0039】
図4に示すように、ダムアンドフィル法において、第1の接着剤52のダム(土手)56が、液晶表示パネル24のフロント面24a上に形成される。
【0040】
具体的には、図5および図6に示すように、ディスプレイ製造装置が、第1の接着剤52を吐出するディスペンサ装置100と、第1および第2の光照射装置102A、102Bと、これらを搭載した移動ヘッド104とを有する。
【0041】
なお、ディスプレイ製造装置は、これら以外の構成要素、例えば、表示モジュール20が載置されるステージ、透明パネル22を表示モジュール20に向かって搬送する搬送装置など、表示モジュール20に透明パネル22を貼り合わせるために使用される複数の構成要素を有する。しかしながら、本明細書では、本実施の形態に係る構成要素である、すなわち、第1の接着剤52のダム56の形成に関する構成要素であるディスペンサ装置100と第1および第2の光照射装置102A、102Bとを中心に本実施の形態について説明を行う。
【0042】
ディスペンサ装置100は、第1の接着剤52を液晶表示パネル24に吐出してダム56を形成する。
【0043】
ダム56は、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26の天板部26aに跨るように第1の接着剤52を吐出することによって作製される。また、第1の接着剤52をベゼル26の内周端(天板部26aの内側端面)26cに沿って吐出することにより、ダム56が環状に形成されている。なお、図6においては、第1の接着剤52(ダム56)は、クロスハッチングで示されている。また、液晶表示パネル24のフロント面24aにおけるアクティブエリア(画像が表示されるエリア)24cを避けて、すなわち、アクティブエリア24cの境界(破線)よりも外側に第1の接着剤52が吐出されている。
【0044】
図5に示すように、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26の天板部26aに跨るように第1の接着剤52を吐出することにより、フロント面24aとベゼル26との間に第1の接着剤52が侵入する。
【0045】
具体的に説明すると、図3に示すように、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26の天板部26aとの間には、クッション部材32が設けられているケースが多い。そのため、フロント面24aとベゼル26との間に隙間Gが発生する。クッション部材が設けられていなくても、フロント面24aとベゼル26との擦れや接触によるパネル表示面への画質ムラをなくすために、隙間をあけた設計にされているケースもある。この隙間Gに第1の接着剤52が侵入する。補足すると、第1の接着剤52は、一般的にその粘度が高いために、液晶表示パネル24の外周を越えて流れ落ちることはなく、隙間G内で留まる。ベゼル26の内周端26cからの第1の接着剤52の侵入距離は、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26との間の距離によって決まる。例えば、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26との間の距離が約1mmである場合、ベゼル26の内周端26cから約1mmの距離まで、第1の接着剤52は侵入する。
【0046】
ダム56、すなわち吐出された第1の接着剤52を硬化させるために、図5に示すように、ディスプレイ製造装置は、第1および第2の光照射装置102A、102Bを有する。
【0047】
本実施の形態の場合、図5に示すように、ディスペンサ装置100と第1および第2の光照射装置102A、102Bは、ディスプレイ製造装置の移動ヘッド104に搭載されている。移動ヘッド104は、液晶表示パネル24のフロント面24aに対して平行に移動可能(X軸方向およびY軸方向に移動可能)に構成されている。移動ヘッド104がベゼル26の内周端26cに沿って周回することにより、移動ヘッド104に搭載されているディスペンサ装置100が第1の接着剤52をベゼル26の内周端26cに沿って吐出することができる。
【0048】
また、理由は後述するが、移動ヘッド104は、図5に示すように、第1の接着剤52を吐出するディスペンサ装置100の接着剤吐出口100aの中心を通過して液晶表示パネル24のフロント面24aに対して垂直な(すなわちZ軸方向に延在する)旋回中心線Cを中心として旋回可能に構成されている。
【0049】
移動ヘッド104に搭載された第1および第2の光照射装置102A、102Bは、同一の光照射装置であって、第1の接着剤52を硬化させる光を出射するように構成されている。第1の接着剤52が例えばUV硬化接着剤の場合、第1および第2の光照射装置102A、102Bは紫外線を出射する。
【0050】
また、図5に示すように、第1および第2の光照射装置102A、102Bそれぞれは、移動ヘッド104に対して異なる姿勢で搭載されている。すなわち、図4図6、および図7に示すように、ディスペンサ装置100に対して第1および第2の光照射装置102A、102Bそれぞれは異なる姿勢をとるように配置されている。
【0051】
まず、移動ヘッド104(ディスペンサ装置100)に対する第1の光照射装置102Aの位置や姿勢について説明する。
【0052】
上述したように、第1の接着剤52は、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26との隙間に侵入する。その隙間に侵入した第1の接着剤52を硬化させることができるように、第1の光照射装置102Aは配置されている。
【0053】
具体的には、図5に示すように、第1の光照射装置102Aは、液晶表示パネル24のフロント面24aに対して鋭角な方向であって且つフロント面24aとベゼル26との隙間に侵入した第1の接着剤52に光が到達する方向に光を出射するように配置されている。
【0054】
より具体的には、本実施の形態の場合、図5に示すように、第1の光照射装置102Aは、その光軸Laが液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26との隙間に進入するように配置されている。なお、図5においては、光照射装置102A、102Bの光軸Laを一点鎖線で示し、照射された光LLを実線で示している。したがって、図面において光軸Laの一点鎖線で記載している場合、その光軸Laを備える光照射装置は、光を出射していない状態であることを図示したものである。
【0055】
本実施の形態の場合、第1の光照射装置102Aの光軸Laは、液晶表示パネル24のフロント面24aに対して角度αで傾いている。角度αは、90度未満の角度であって、液晶表示パネル24とベゼル26との隙間への第1の接着剤52の侵入距離(ベゼル26の内周端26cからの距離)が大きくなればなるほど、小さく設定される。なお、ミラーを介して光照射装置からの照射光を表示パネルのフロント面に対して平行にし、その照射光をフロント面とベゼルとの間に進入させてもよい。したがって、角度αは、0度以上90度未満の角度、すなわち鋭角である。
【0056】
また、本実施の形態の場合、図6に示すように、液晶表示パネル24のフロント面24aの法線方向(Z軸方向)に見た場合に第1の光照射装置102Aの光軸Laがベゼル26の内周端26cに対して直交するように、第1の光照射装置102Aは配置されている。
【0057】
さらにまた、本実施の形態の場合、第1の光照射装置102Aとディスペンサ装置100は、水平方向に互いに距離をあけている。具体的には、図6に示すように、第1の光照射装置102Aの光軸Laとディスペンサ装置100の接着剤吐出口100aの中心を通過する旋回中心線Cとが距離Dをあけて離れるように、第1の光照射装置102Aがディスペンサ装置100に対して配置されている。すなわち、幾何学的に言えば、図6に示すように、光軸Laと旋回中心線Cとに直交して且つベゼル26の内周端26cに対して平行な仮想直線VL上で、光軸Laと旋回中心線Cが距離Dをあけて離れている。
【0058】
このような相対的な位置関係により、第1の接着剤52は、フロント面24aに付着した後に硬化される。具体的には、図6に示すように、ディスペンサ装置100が第1の光照射装置102Aに先行するように移動ヘッド104が移動する(移動ヘッド104が矢印A方向に移動する)。ディスペンサ装置100は、その接着剤吐出口100aから第1の接着剤52を連続的に吐出する。これにより第1の接着剤52がフロント面24aに付着する。第1の光照射装置102Aは、照射光LLによって第1の接着剤52を連続的に硬化させる。したがって、ダム56が連続的に形成される。また、図5に示すように、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26との隙間に侵入した第1の接着剤52が硬化される。
【0059】
第1の光照射装置102Aは液晶表示パネル24のフロント面24aに対して斜め方向に照射光LLを出射している。そのため、フロント面24aに対して直交方向に照射光が出射される場合に比べて、フロント面24aで乱反射が起こりやすい。その乱反射した光がディスペンサ装置100の接着剤吐出口100a内に進入し、ディスペンサ装置100内の第1の接着剤52が硬化する可能性がある。また、ディスペンサ装置100の接着剤吐出口100aから出た位置ですぐに硬化が発生し、硬化した接着剤の塊が接着剤吐出口100aに付着するという不具合が発生する可能性がある。この場合、所定の設定寸法どおりの安定した形状の塗布を実施できなくなる。その対処として、図4図6に示すように、液晶表示パネル24のフロント面24aは、第1の光照射装置102Aの光軸Laと交わる交点を有する。ディスペンサ装置100の接着剤吐出口100aとその交点との間に、遮光板106が配置されている。この遮光板106も、ディスペンサ装置100の第1の光照射装置102Aと同様に、移動ヘッド104に搭載されている。なお、ディスペンサ装置100と第1の光照射装置102Aとが十分に離れている場合(距離Dが十分に大きい場合)、遮光板106を省略することができる。またさらに、図5においては遮光板がディスペンサ装置の周囲についているが、第1の光照射装置102Aの周りにつけても同様の効果が得られる。
【0060】
一方、第2の光照射装置102Bは、図5および図6に示すように、さらに図7に示すように、移動ヘッド104の旋回中心線Cを基準として、第1の光照射装置102Aに対して180度回転対称に移動ヘッド104に搭載されている。第2の光照射装置102Bが存在し、その第2の光照射装置102Bが旋回中心線Cを基準として第1の光照射装置102Aに対して180度回転対称に配置されている理由について説明する。
【0061】
図4に示すように、液晶表示パネル24のフロント面24aの法線方向(Z軸方向)に見た場合、表示モジュール20は矩形状である。そのため、ベゼル26の内周端26cも矩形状である。したがって、その内周端26cに沿って第1の接着剤52を吐出して硬化するために、ディスペンサ装置100と第1および第2の光照射装置102A、102Bは、すなわち移動ヘッド104は、矩形状の周回パスPに沿って移動する。
【0062】
移動ヘッド104の周回パスPは、4つの直線パスP1、P2、P3、およびP4と、3つの90度コーナーC1、C2、およびC3とによって実現される。
【0063】
このよう周回パスPを移動する移動ヘッド104が、第1の光照射装置102Aのみを搭載する場合を考える。この場合、第1の光照射装置102Aは、移動ヘッド104が4つの直線パスP1、P2、P3、P4それぞれを移動している間に、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26との隙間に向かって照射光LLを出射する必要がある。そのためには、直線パスの間の3つのコーナーC1、C2、C3それぞれにおいて、移動ヘッド104が旋回中心線Cを中心にして90度ずつ旋回する必要がある。したがって、移動ヘッド104は、旋回中心線Cを中心にして270度回転可能に設計される必要がある。
【0064】
しかしながら、移動ヘッド104の270度の旋回は、ディスプレイ製造装置の構造上の問題を引き起こす可能性がある。例えば、ディスペンサ装置100は、移動ヘッド104の外部から第1の接着剤52の供給を受けるためのチューブを有する。また、第1の光照射装置102Aは、光源から光を受けるための光ファイバー部を有する。移動ヘッド104を270度旋回させる場合、第1の接着剤52を供給するチューブと第1の光照射装置102Aの光ファイバー部とが接触し回転が円滑に行えなくなることがある。また、ディスペンサ装置100は、ディスペンサ装置100に駆動電力を供給するための電力線や制御信号を送るための信号線を有する。移動ヘッド104を270度旋回させる場合、チューブと電力線および信号線との接触、および、これによる断線などのおそれも考えられる。また、光ファイバー自体にも曲げ曲率指定があり、一般的には自由自在に曲げられるものではない。そのため、移動ヘッド104の回転により大きくファイバーが曲がった場合、ファイバー自身の破損にもつながる。
【0065】
この対処として、移動ヘッド104に、その旋回中心線Cを基準として第1の光照射装置102Aに対して180度回転対称に第2の光照射装置102Bが搭載されている。これにより、移動ヘッド104は、90度旋回するだけで済む。
【0066】
具体的に説明すると、図8に示すように、直線パスP1では、ディスペンサ装置100に後続する第1の光照射装置102Aが照射光LLを出射してディスペンサ装置100から吐出された第1の接着剤52を硬化する。
【0067】
次に、コーナーC1で、移動ヘッド104が90度正転し(図において時計周り方向に旋回し)、直線パスP2に入る。直線パスP2では、ディスペンサ装置100に後続する第1の光照射装置102Aが照射光LLを出射して第1の接着剤52を硬化する。
【0068】
続いて、コーナーC2で、移動ヘッド104が90度逆転し(図において反時計回り方向に旋回し)、直線パスP3に入る。すなわち、移動ヘッド104は、直線パスP1移動時と同一の状態に戻る。
【0069】
直線パスP3では、第1の光照射装置102Aではなく、ディスペンサ装置100に後続する第2の光照射装置102Bが照射光LLを出射して第1の接着剤52を硬化する。すなわち、直線パスP1においてはディスペンサ装置100に対して先行していた第2の光照射装置102Bが、直線パスP1と平行で移動方向が逆である直線パスP3ではディスペンサ装置100に対して後続する。一方で、直線パスP1においてはディスペンサ装置100に対して後続していた第1の光照射装置102Aが、直線パスP3ではディスペンサ装置100に対して先行する。したがって、直線パスP1と異なり、直線パスP3では、第1の光照射装置102Aに代わって、第2の光照射装置102Bが第1の接着剤52を硬化させる役割を担う。
【0070】
そして、コーナーCで、移動ヘッド104が90度正転し、直線パスP4に入る。すなわち、移動ヘッド104は、直線パスP2移動時と同一の状態になる。
【0071】
直線パスP4では、ディスペンサ装置100に後続する第2の光照射装置102Bが照射光LLを出射して第1の接着剤52を硬化する。
【0072】
このように、移動ヘッド104の旋回中心線Cを基準として第1および第2の光照射装置102A、102Bが180度回転対称に搭載されている、このために、移動ヘッド104は270度旋回する必要がなく、90度の旋回のみで済む。したがって、チューブ、電力線、信号線、光ファイバーなどが、270度旋回する場合に比べて、移動ヘッド104の旋回によって互いに接触することが少なくなり、ひいては断線などのトラブルの発生を抑えることができる。
【0073】
このようなディスペンサ装置100と第1および第2の光照射装置102A、102Bとにより、図9に示すように、第1の接着剤52の矩形状(環状)のダム56が形成される。そして、このダム56内に、第2の接着剤54が充填される。例えば、ディスペンサ装置100と異なる第2のディスペンサ装置(図示せず)を使用して、第2の接着剤54がフロント面24aのダム56で囲まれた領域内に充填される。
【0074】
第2の接着剤54が充填された後、ダム56と第2の接着剤54上に透明パネル22が載置される。例えば、透明パネル22は、ロボットアームなどの搬送装置(図示せず)によってストック位置から搬送されて載置される。その後、透明パネル22が載置された表示モジュール20は、減圧チャンバー内に搬送される。減圧チャンバー内の空気が外部に抜かれることにより、透明パネル22と表示モジュール20との間の空気が抜ける。その状態で透明パネル22と表示モジュール20は所定の貼り合わせ位置に載置される。こうすることで貼り合わせ時の気泡の混入を抑制することができる。貼り合わされた透明パネル22と表示モジュール20は、その後の工程である前面への紫外線照射ラインに運ばれる。光照射により第2の接着剤54が硬化すると、第1および第2の接着剤52、54を介して透明パネル22と表示モジュール20の液晶表示パネル24とが貼り合わせられた完成品が得られる。
【0075】
なお、図9に示すように、液晶表示パネル24のフロント面24aからの高さについて、ダム56は、他の部分の高さH0に比べて低い高さH1を備える低隆起部分56aを備えてもよい。この低隆起部分56aと透明パネル22との間の隙間により、透明パネル22と表示モジュール20との貼り合わせ中、これらの間の空気がよりスムーズに抜ける。その結果、貼り合わせられた透明パネル22と液晶表示パネル24との間に気泡が残留することがより抑制される。低隆起部分56aと透明パネル22との間の隙間は、最終的には、すなわち透明パネル22と表示モジュール20の貼り合わせが完了した後には第2の接着剤54が低隆起部分56aのほぼ直上まで広がってくることにより塞がっている。
【0076】
ダム56において低隆起部分56aを形成するために、移動ヘッド104の移動速度が調節可能に構成されている。ディスペンサ装置100の接着剤吐出速度が一定の状態で、他の部分に比べて高速に移動ヘッド104が移動することにより、他の部分に比べて低隆起部分56aでの第1の接着剤52の吐出量が減少する。その結果として、他の部分に比べて低い低隆起部分56aが形成される。もしくは塗布ヘッドからの吐出速度が変更されることにより、同様に低隆起部分56aの形成が可能である。なお、低隆起部分56aが形成されるダム56の部分は、コーナー部分であってもよく、また、複数あってもよい。例えば、低隆起部分56aは、周回パスPの四隅(コーナーC1、C2、C3およびC4)の付近に形成される。これにより、透明パネル22と表示モジュール20との貼り合わせにおいて、四隅から空気が抜け、貼合面の気泡をより除去することができる。
【0077】
また、図9に示すように、ダム56は、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26の天板部26aとに跨って形成されている。それにより、ダム56は、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26の天板部26aとの隙間を塞ぐシールとして機能する。
【0078】
図10は、本実施の形態のダム56とは異なる、参考例のダム56Rを示している。ダム56Rは、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26の天板部26aとに跨って形成されておらず、液晶表示パネル24上のみに形成されている。そのため、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26の天板部26aとの隙間が塞がれていない。したがって、ダム56Rを越えた硬化前の第2の接着剤54が、その隙間に侵入する可能性がある。そして、その侵入した第2の接着剤54が内部の光学シートや導光板などに到達し表示不良を引き起こす可能性がある。
【0079】
したがって、図9に示すように、第1の接着剤52のダム56がシールとしても機能することにより、フロント面24aのダム56に囲まれた領域内に充填された硬化前の第2の接着剤54が液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26の天板部26aとの隙間に侵入することが抑制される。また、その隙間を塞ぐシール部材を別途用意する必要がなくなる。その結果、高い信頼性を備え(第2の接着剤54が光学シートや導光板などに到達しておらず)、部品点数が少ない(シール部材を必要としない)ために製造コストが低い、ディスプレイ10を作製することができる。
【0080】
以上、本実施の形態によれば、ディスプレイ10の製造において、フロント面24aの外周部分がベゼル26に覆われている液晶表示パネル24に対して、透明パネル22を適切にかつ簡易なプロセスで貼り付けることができる。また、それにより、ディスプレイ10は高い信頼性を備えることができる。
【0081】
なお、本開示の実施形態は、上述の実施の形態に限らない。
【0082】
例えば、上述の実施の形態の場合、図5に示すように、ディスプレイ製造装置において、1つの移動ヘッド104に姿勢が互いに異なる(180度回転対称に配置された)第1および第2の光照射装置102A、102Bが搭載されている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。
【0083】
例えば、移動ヘッドが2つあって、それぞれに1つずつ光照射装置が搭載されてもよい。この場合、例えば、図4に示す周回パスPにおいて、直線パスP1、P2に沿って一方の移動ヘッドが移動し、それに搭載された光照射装置が第1の接着剤のダムに向かって照射光を出射する。それと同時に、残りの直線パスP3、P4に沿って他方の移動ヘッドが移動し、それに搭載された光照射装置が第1の接着剤のダムに向かって照射光を出射する。この場合、上述の実施の形態のように1つの移動ヘッドに2つの光照射装置が搭載されている場合に比べて、ダムの形成時間を半分にすることができる。特に、この方法は、大型ディスプレイの場合に有益である。
【0084】
また、上述の実施の形態の場合、図5に示すように、第1の光照射装置102Aの光軸Laが液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26との隙間に進入するように、第1の光照射装置102Aは配置(搭載)されている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、図11に示す別の実施の形態では、ダムがない状態において、第1の光照射装置102Aから出射された光の液晶表示パネル24のフロント面24aに写る光スポットLSの少なくとも一部がフロント面24aとベゼル26との隙間に存在する。このような第1の光照射装置102Aの配置でも、液晶表示パネル24のフロント面24aとベゼル26との隙間に侵入した第1の接着剤52を硬化することができる。
【0085】
さらに、上述の実施の形態の場合、ディスプレイは、液晶表示パネルを備える液晶ディスプレイであったが、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、ディスプレイは、有機ELディスプレイであってもよい。
【0086】
さらにまた、上述の実施の形態の場合、透明パネルはタッチパネルであったが、代わりとして、カバーガラスなどのカバーパネルであってもよい。ベゼルについてもパネル面の直上を覆う部品に限定されることはなく、すなわちディスプレイの筐体やその他のディスプレイの外周部を覆う部品であっても上記効果が得られる。
【0087】
すなわち、広義には、本開示に係る一実施の形態は、フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対して透明パネルを貼り合わせるためのディスプレイ製造装置であって、表示パネルのフロント面と透明パネルとを接着するための光硬化型接着剤を、表示パネルのフロント面とベゼルとに跨るように且つベゼルの内周端に沿うように吐出してダムを形成するディスペンサ装置と、ダムを硬化させる光を出射する少なくとも1つの光照射装置と、を含み、少なくとも1つの光照射装置が、表示パネルのフロント面に対して鋭角な方向であって且つフロント面とベゼルとの隙間に侵入した光硬化型接着剤に光が到達する方向に、光を出射する、ディスプレイ製造装置である。
【0088】
また、広義には、本開示に係る別の実施の形態は、フロント面の外周部分がベゼルに覆われている表示パネルに対して透明パネルを貼り合わせるディスプレイ製造方法であって、表示パネルのフロント面と透明パネルとを接着するための光硬化型接着剤を、表示パネルのフロント面とベゼルとに跨るように且つベゼルの内周端に沿うようにディスペンサ装置から吐出してダムを形成し、光照射装置からの光によってダムを硬化し、光照射装置が、表示パネルのフロント面に対して鋭角な方向であって且つ表示パネルのフロント面とベゼルとの隙間に侵入した光硬化型接着剤に光が到達する方向に、光を出射する、ディスプレイ製造方法である。
【0089】
さらに、広義には、本開示に係るさらに別の実施の形態は、表示パネルと、表示パネルのフロント面の外周部分を覆うように設けられたベゼルと、表示パネルのフロント面とベゼルとに跨るように且つベゼルの内周端に沿うようにダム状に配置され、光硬化型接着剤である第1の接着剤と、ダム内に充満された第2の接着剤と、表示パネルのフロント面に対して第1および第2の接着剤を介して貼り合わせられた透明パネルと、を有するディスプレイである。
【0090】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0091】
また、前述の実施形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本開示は、表示パネルに透明パネルが貼り合わせられるディスプレイ、その製造装置、およびその製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
22 透明パネル
24 表示パネル(液晶表示パネル)
24a フロント面
26 ベゼル
52 光硬化型接着剤(第1の接着剤)
56 ダム
100 ディスペンサ装置
102A 光照射装置
102B 光照射装置
LL 光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11