特許第6979585号(P6979585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979585
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/34 20060101AFI20211202BHJP
   H02S 20/32 20140101ALI20211202BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20211202BHJP
【FI】
   B63B35/34 Z
   H02S20/32
   H02S20/10 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-257014(P2016-257014)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-108772(P2018-108772A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126398
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】新實 誉也
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第205281268(CN,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0083442(KR,A)
【文献】 特開2016−007874(JP,A)
【文献】 特開2014−139032(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0146127(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第106100548(CN,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0134807(KR,A)
【文献】 中国特許出願公開第109347424(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第106385228(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第105974927(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/34
H02S 20/32
H02S 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネル用のフロートを連結したフロート集合体を水上に浮かせ、牽引により太陽に追尾させる太陽光発電装置であって、
前記フロート集合体は、一方向において隣接する前記フロート間がプラスチック成形体であり水面から離間して設置された通路ジョイントで連結されるとともに、前記一方向と直交する方向において、前記フロート間が水面から離間して形成されているひさし状の端部を連結することで連結されており、
これにより、前記フロート集合体は、各前記フロートが隣接する前記フロートと互いに所定の間隔を有して連結されるとともに、
前記フロート集合体に牽引用ロープが連結され、前記牽引用ロープを牽引操作することにより前記フロート集合体が水上で回転されることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記フロート間の間隔は不変であることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
1つの前記フロートに1つのソーラーパネルが設置されていることを特徴とする請求項1または2記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記フロート集合体が略矩形状であり、その4隅に前記牽引用のロープが連結されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記フロート集合体が略矩形状であり、その1つの辺の両端位置に前記牽引用ロープが連結されるとともに、前記辺と対向する辺の略中央位置に前記牽引用ロープが連結されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーパネルにより発電を行う太陽光発電装置に関するものであり、特に、水上に浮かせたフロート集合体にソーラーパネルを設置した太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光を電力に変換する太陽光発電装置では、光電変換デバイスとしてソーラーパネル(太陽電池パネル、太陽電池モジュールとも称される)が用いられている。ソーラーパネルは、主に建築物の屋根や壁面、地面等に設置されているが、近年、遊休化している池や湖等の水上への設置も行われるようになってきている。
【0003】
水上にソーラーパネルを設置する場合、ソーラーパネルを水上に浮かせるためのフロートが用いられ、フロート上にソーラーパネルが設置される(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2014−511043号公報
【特許文献2】特開2015−217771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、太陽光発電においては、ソーラーパネルの向きが重要であり、ソーラーパネルを太陽に追尾させることで発電効率が大幅に上昇する。そこで、太陽追尾機構を有する太陽光発電システムが各方面で検討されているが、大掛かりなものが多く、多大な設備投資が必要である。また、太陽追尾のために多くの発電電力を消費してしまい、必ずしも発電効率を十分に向上させることができないという問題もある。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、簡易な構成でありながら太陽追尾が可能であり、多大な設備投資が不要で、太陽追尾のための電力消費を抑えることが可能な太陽光発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するために、本発明の太陽光発電装置は、ソーラーパネル用のフロートを連結したフロート集合体を水上に浮かせ、牽引により太陽に追尾させる太陽光発電装置であって、前記フロート集合体は、一方向において隣接する前記フロート間がプラスチック成形体であり水面から離間して設置された通路ジョイントで連結されるとともに、前記一方向と直交する方向において、前記フロート間が水面から離間して形成されているひさし状の端部を連結することで連結されており、これにより、前記フロート集合体は、各前記フロートが隣接する前記フロートと互いに所定の間隔を有して連結されるとともに、前記フロート集合体に牽引用ロープが連結され、前記牽引用ロープを牽引操作することにより前記フロート集合体が水上で回転されることを特徴とする。
【0008】
本発明の太陽光発電装置は、水上に浮かせたフロート集合体を牽引して回転させ、太陽に追尾させるものである。水上に浮かせたフロート集合体は、例えば地上に設置される太陽光発電装置に比べて移動が容易であり、しかも、各フロートが隣接するフロートと互いに所定の間隔を有して連結されていることから、回転に際して水の抵抗も少ない。したがって、例えばロープで牽引するだけで容易に太陽に追尾させることが可能であり、装置構成が簡易で、しかも太陽追尾のための消費電力も最小限に抑えられる。
【0009】
また、本発明の太陽光発電装置においては、フロート間の間隔は不変とされている。フロート間の間隔が伸縮等により変化すると、フロート間を流れる水流に影響を与え、水に対する抵抗が変化する。これに対して、フロート間の間隔が不変(一定)であると、水流に影響を与えることがなくなり、水に対する抵抗が常に小さい状態とされる。
【0010】
さらに、本発明の太陽光発電装置においては、1つのフロートに1つのソーラーパネルが設置されている。1つのフロートに対して1つのソーラーパネルを設置することで、フロート集合体全体のレイアウトの自由度が高まり、効率良く発電できるような設計(レイアウト)が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成でありながら太陽追尾が可能であり、多大な設備投資が不要で、太陽光追尾のための電力消費を抑えることが可能な太陽光発電装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】フロート集合体の概略斜視図である。
図2】フロートにソーラーパネルが取り付けられた状態を示す概略斜視図である。
図3】フロートの概略概略斜視図である。
図4】支持部が立ち上げられた状態のフロートの概略斜視図である。
図5】フロートを通路ジョイントで接続した状態を示す概略平面図である。
図6】(A)〜(E)は、それぞれフロート集合体への牽引用ロープの連結例を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した太陽光発電装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本実施形態の太陽光発電装置は、水上に浮かべたフロートにソーラーパネルを設置したものであり、これを複数連結してフロート集合体とし、太陽に追尾させるものである。図1は、フロート集合体1の一例を示すものであり、プラスチックの成形体として形成されるフロート10の上にソーラーパネル50が設置されるとともに、各フロート10が、フロート10と同様、プラスチック成形体として形成される通路ジョイント60により連結されている。
【0015】
ここで、通路ジョイント60は、各フロート10の上面においてフロート10と結合されており、通路ジョイント60の連結方向においてフロート10が所定の間隔で結合され、したがって隣接するフロート10間には所定の間隙が形成されている。
【0016】
一方、前記通路ジョイント60による連結方向と直交する方向の連結は、各フロート10のひさし状の端部間を連結することで行っている。フロート10を浮かせた時にひさし状の端部は水面から離間していることから、当該方向(通路ジョイント60による連結方向と直交する方向)においても、各フロート10間には間隙が形成されることになる。
【0017】
以上の構成のフロート集合体1では、所定の連結方向において、プラスチック成形体として形成される通路ジョイント60により連結されるとともに、これと直交する方向において、フロート10のひさし状の端部間が連結されており、いずれの間隔も一定に保たれている(不変である)。したがって、水に対する抵抗が常に小さい状態とされる。
【0018】
また、前記フロート集合体1では、通路ジョイント60で連結されており、フロート10間の間隔を大きく取ることができる。フロート10間の間隔が大きくなることで、フロート集合体1が波の影響を受け難くなり、浮かべている位置から不用意に動くことが防止できる。通常、フロート集合体1は、波で動かないようにアンカーを設置したり陸と繋ぎとめたりしており、満潮干潮差や雨天前後の水嵩の変動を想定し、係留にアソビを設けている。このアソビに起因してフロート集合体1が波等の影響で動いてしまうと、後述の太陽追尾において予定通り動かすことができず、発電効率を向上させることが難しくなる。前記フロート集合体1は、フロート10間の間隔が大きいことから、波等による水の流れを受け流し易く、不用意に動いてしまうことがない。
【0019】
本実施形態の太陽光発電装置は、前述のフロート集合体1を太陽に追尾させるものであり、フロート集合体1が水上に浮かべられていることから、例えば地上に設置される場合に比べて、小さな力でこれを回転させ、太陽に追尾させることが可能である。また、連結される各フロート10間には、隙間が形成されており、図1に矢印で示すように、水が通るようになっている。したがって、フロート集合体1を回転させる際に、水の抵抗を弱くすることができ、より小さい力で回転させることが可能となる。なお、図1において、矢印がフロート上を通っているように図示されているが、当該矢印は水が通る方向を示すためのものであり、実際の水の流れはフロート10間の水面において発生する。
【0020】
以下、フロート集合体1を構成するフロート10や通路ジョイント60、フロート10上に載置されるソーラーパネル50について詳述する。
【0021】
図2は、フロート10にソーラーパネル50を設置した状態を示す図であり、図3,4はフロート10からソーラーパネル50を外した状態を示す図である。
【0022】
図2及び図3図4に示すフロート10は、多数のフロート10が通路ジョイント60(図5参照)で連結されて、ソーラーパネル50を設置するフロート集合体1を構成する。フロート集合体1は、例えば数千個(多いものでは1万個)ものフロート10が集合する部分であり、そのフロート集合体1に用いられているフロート10のうち、一部のフロート10には、ソーラーパネル50を設置せず、ソーラーパネル50の保守点検を行うための通路とされている。また、通路は、ソーラーパネル50からのケーブルを敷設するのにも利用されている。
【0023】
フロート集合体1は、風等の影響で移動しないようにすることも重要となる。このため、例えばソーラーパネル50が設置されていない通路等として使用されているフロート10を利用して、アンカーロープ等の係留部材が係留できるように、フロート10が、アンカーロープ等の係留部材が係留できる構成を有していてもよい。
【0024】
フロート10は、図3及び図4に示すように、ソーラーパネル50の一対の長手側のうちの一端部51を支持する支持部11と、ソーラーパネル50のもう一方の長手側の他端部52を受ける受け部12とを備えている。なお、支持部11の高さは、ソーラーパネル50の発電効率を考慮してソーラーパネル50が適切な傾斜状態に設置されるように設計される。
【0025】
ソーラーパネル50の一端部51には、支持部11に支持されるアルミ製の台座が設けられており、この台座が支持部11上に支持される。
【0026】
一方、フロート10は、ソーラーパネル50の一端部51側を支持部11に固定する一端側の固定金具13を備えている。そして、ソーラーパネル50は、この一端側の固定金具13と支持部11との間に挟まれて挟持されることで固定される。金属製の固定金具13を用いることにより、エラストマー等の弾性による狭持と異なり、より強固にソーラーパネル50を狭持することができる。
【0027】
ソーラーパネル50の他端部52にも、一端部51に設けられているアルミ製の台座と同様のアルミ製の台座が設けられている。そして、フロート10は、受け部12に受けられるソーラーパネル50の他端部52側(他端側)をフロート10に固定する2つの他端側の固定金具14を備えており、この他端側の固定金具14によって、ソーラーパネル50の他端側がフロート10に固定される。
【0028】
フロート10は、例えば、溶融状態の筒状のパリソンを複数の分割金型で挟んで膨らますブロー成形によって製造され、成形材料には、各種の熱可塑性樹脂を使用することができるが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。
【0029】
フロート10は、図3及び図4に示すように、全体の外形が矩形状(長方形状)をしており、パーティングラインPLを含む側壁部15と、上側に位置する表面壁16と、下側に位置する裏面壁17とを有し、内部に気体(空気等)を収容する中空部を有する構造になっている。
【0030】
フロート10は、裏面壁17と表面壁16とを合わせて構成されたソーラーパネル50を支持するための支持部11が形成されている。図3には、支持部11を図1に示すように立ち上げる前の状態が示されており、この支持部11の周囲の一端側の辺24以外の3辺21,22,23が切断されて、一端側の辺24をヒンジとして、開口部26を形成するように、表面壁16側(ソーラーパネル50が配置される側)に立ち上げ可能になっている。
【0031】
ソーラーパネル50を設置する時には、図4に示すように、ヒンジとなる辺24側の開口部26の内壁面25に当接するように支持部11が表面壁16側に立ち上げられて、ヒンジとなる一端側の辺24と対向する側の辺22側でソーラーパネル50の一端側の下側が支持されるようにソーラーパネル50が設置される。
【0032】
なお、支持部11のヒンジとなる一端側の辺24と対向する側の辺22側には、ソーラーパネル50の一端部51側を受ける受けリブが設けられている。具体的には、この受けリブの部分は、裏面壁17を表面壁16側に近づけて段差構造を設けるようにしており、ソーラーパネル50のフロート10への設置に際して、ソーラーパネル50の一端部51側が受けられるようになっており、ソーラーパネル50の一端部51側が支持部11を超えて一端側にずれることがないようになっている。
【0033】
このように支持部11を構成すると、支持部11の近傍には、開口部26が位置することになるが、この開口部26の内壁面が構造的な撓みを抑制する壁面となるため、撓みが発生し難い。また、支持部11がヒンジ構造でフロート10の本体と繋がっている構造のため、フロート10に撓みが発生しても、支持部11はその影響を受け難く、さらに、支持部11が裏面壁17と表面壁16をあまり離間させずに合わせるようにして剛性が高められた部分であることも相まって、撓みの影響で変形をきたすことがないようになっている。
【0034】
次に、ソーラーパネル50の固定方法について説明すると、図2に示すように、ソーラーパネル50は、ソーラーパネル50の一端部51側が、一端側の固定金具13によって支持部11に対して固定されるようにしてフロート10に固定される。
【0035】
一端側の固定金具13は、ヒンジと対向する側であって、支持部11が立ち上げられた状態でフロート10の一端側を向く支持部11の面11aに固定される他方の面を有する固定部13bと、固定部13bにほぼ直交する方向に固定部13bから延びるように設けられ、支持部11とでソーラーパネル50を挟持する一方の面を有する挟持部13aと、を備えるL字アングル状の固定金具である。
【0036】
そして、図2に示すように、一端側の固定金具13は、支持部11に対して4つのネジ13cでネジ止めされるようになっているが、このうち中央寄りの2つのネジ13cに対する一端側の固定金具13に設けられたネジ13cを通すネジ孔は上下方向に長穴になっている。
【0037】
このため、この中央寄りの2つのネジ13cで一端側の固定金具13を支持部11に対して仮止めした状態のときには、挟持部13aと支持部11の間の距離が変更可能に一端側の固定金具13を支持部11に対してスライドさせることができるようになっている。
【0038】
したがって、一端側の固定金具13を支持部11に仮止めした状態として、一端側の固定金具13の挟持部13aと支持部11の間にソーラーパネル50を挿入する隙間ができるように一端側の固定金具13をスライドさせておき、その隙間にソーラーパネル50を挿入した後、ソーラーパネル50が支持部11と一端側の固定金具13の挟持部13aで挟持されるように、再び、一端側の固定金具13をスライドさせて、中央寄りの2つのネジ13cを本締めする。
【0039】
そして、中央寄りの2つのネジ13cを本締めした後に、さらに、外側の2つのネジ13cで一端側の固定金具13を支持部11に固定するようにすれば、ソーラーパネル50の一端部51側(一端側)のフロート10への固定が完了する。
【0040】
他端側の固定金具14は、図示は省略するが、一端側がソーラーパネル50の下側に配置される下側金具と、一端側がソーラーパネル50の上側に配置される上側金具とからなり、それら下側金具及び上側金具の他端側がネジで、他端側の固定金具14を取り付ける取付部19に共止めされるようになっている。
【0041】
このように、下側金具と上側金具をネジで共止めする固定形態にしておくと、下側金具と上側金具はネジを取り外すだけでフロート10から外すことができる。また、下側金具と上側金具をフロート10に固定するときにもネジを取り付けるだけでよい。
【0042】
したがって、下側金具と上側金具が個別にフロート10に対して固定されている場合に比べ、下側金具と上側金具の取り付け及び取り外しの作業が簡単に行えるので、ソーラーパネル50が故障したとき等に、新しいソーラーパネル50に交換する作業性を向上させることができる。
【0043】
なお、本実施形態の太陽光発電装置では、1つのフロート10に1つのソーラーパネル50が設置される。これにより、フロート集合体全体のレイアウトの自由度が高まり、効率良く発電できるような設計(レイアウト)が可能となる。
【0044】
上述したフロート10は、単体で使用されるのではなく、多数のフロート10が、図5に示すように、メンテナンス等を行うときに通路となる通路ジョイント60で連結されてフロート集合体1(図1参照)を構成する。
【0045】
具体的には、フロート10は、支持部11に近い側のフロート10の第1端部10a側に通路ジョイント60に係合する一対の係合突起部61が形成されており、通路ジョイント60は、裏面側にその係合突起部61に係合する係合凹部(図示せず)を有している。
【0046】
また、フロート10は、ソーラーパネル50の他端部52側(他端側)を受ける受け部12に近い側のフロート10の第2端部10b側に通路ジョイント60を連結する連結ボルト62を通すボルト孔62aを備えている。さらに、フロート10は、フロート10の第2端部10b側の一部と第1端部10a側の一部を重ねるようにしたときに、フロート10の第1端部10a側にも、第2端部10b側のボルト孔62aに対応したボルト孔62bが設けられている。
【0047】
そして、図5に示すように、通路ジョイント60は、そのボルト孔62a及びボルト孔62bに対応したボルト孔63を備えている。したがって、一方のフロート10に対してその一方のフロート10の係合突起部61に通路ジョイント60が係合されるとともに、一方のフロート10の第1端部10a側のボルト孔62bと他方のフロート10の第2端部10b側のボルト孔62aと通路ジョイント60のボルト孔63を連結ボルト62で連結するようにして、多数のフロート10が通路ジョイント60を介して連結された状態となるようになっている。
【0048】
なお、図5に示すように、通路ジョイント60は、一方のフロート10と他方のフロート10を連結する部分に対してフロート10の並び方向(Z軸参照)と直交する方向(W軸参照)に対称に一対配置され、一方の通路ジョイント60(60A参照)の一端60aは上述した一方と他方のフロート10に連結されるが、一方の通路ジョイント60の他端60bは、別のフロート10の一方と他方のフロート10の連結部分に連結される。
【0049】
また、一対設けられた他方の通路ジョイント60(60B参照)の他端60bは上述した一方と他方のフロート10に連結されるが、他方の通路ジョイント60(60B参照)の一端60aは別のフロート10の一方と他方のフロート10の連結部分に連結される。このようにして、通路ジョイント60を介して次々にフロート10が連結され、フロート集合体1が構成されるようになっている。
【0050】
本実施形態の太陽光発電装置では、以上のように構成されたフロート集合体1を水上で回転させることにより太陽に追尾させ、発電効率を向上するようにしている。
【0051】
図6(A)〜(E)は、フロート集合体1を回転操作するための牽引用ロープの連結例を示すものである。フロート集合体1は、水に浮かんでおり、水に対する抵抗が小さいことから、小さい力で回転操作することが可能である。
【0052】
例えば図6(A)は、矩形状のフロート集合体1の4隅に牽引用ロープ101,102,103,104を連結し、長辺側で牽引用ロープ101,102、及び牽引用ロープ103,104をそれぞれクロスさせた例である。この場合、牽引用ロープ101と牽引用ロープ103を引っ張れば、フロート集合体1は、時計回り方向に回転する。牽引用ロープ102と牽引用ロープ104を引っ張れば、フロート集合体1は、反時計回り方向に回転する。例えば、図中上側の長辺を北に向け、下側の長辺を南に向け、前記牽引用ロープ101〜104を操作することによりフロート集合体1を回転させれば、ソーラーパネル50を太陽に追尾させることが可能である。
【0053】
図6(B)は、矩形状のフロート集合体1の4隅に牽引用ロープ101,102,103,104を連結し、短辺側で牽引用ロープ101,102、及び牽引用ロープ103,104をそれぞれクロスさせた例である。牽引用ロープ101と牽引用ロープ103を引っ張れば、フロート集合体1は、反時計回り方向に回転する。牽引用ロープ102と牽引用ロープ104を引っ張れば、フロート集合体1は、時計回り方向に回転する。
【0054】
図6(C)は、矩形状のフロート集合体1の4隅に牽引用ロープ101,102,103,104を連結し、一方の長辺側の牽引用ロープ101,102を互いに反対方向に引っ張るようにするとともに、他方の長辺側の牽引用ロープ103,104をそれぞれクロスさせた例である。牽引用ロープ101と牽引用ロープ104を引っ張れば、フロート集合体1は、反時計回り方向に回転する。牽引用ロープ102と牽引用ロープ103を引っ張れば、フロート集合体1は、時計回り方向に回転する。
【0055】
図6(D)と図6(E)は、牽引用ロープをフロート集合体1の3箇所に連結した例である。図6(D)は、矩形状のフロート集合体1の一方の長辺の中央に牽引用ロープ101を連結するとともに、他方の長辺の両端に牽引用ロープ102,103を連結してクロスさせた例である。図6(E)は、矩形状のフロート集合体1の一方の長辺の中央に牽引用ロープ101を連結するとともに、他方の長辺の両端に牽引用ロープ102,103を連結し、前記牽引用ロープ101とは反対方向に引っ張るようにした例である。いずれの場合も、長辺の中央に連結された牽引用ロープ101を中心に、牽引用ロープ102,103のいずれかを引っ張ることにより、長辺の中央に連結された牽引用ロープ101を中心に、フロート集合体1が時計回り方向あるいは反時計回り方向に回転する。
【0056】
本実施形態の太陽光発電装置では、水の抵抗の少ないフロート集合体1を牽引用ロープで引っ張るだけで太陽に追尾させている。太陽追尾のための設備としては、牽引用ロープとそれを引っ張る駆動機構のみであり、回転に必要な力も小さなものであるので、駆動機構も最小限でよい。したがって、装置を大掛かりなものとする必要がなく、簡易な構成とすることができ、設備投資も最小限で済む。また、太陽追尾のために必要な力が小さくて済むことから、電力消費も最小限で済み、太陽追尾による発電効率の向上と相俟って、実質的な発電効率を大幅に向上することができる。
【0057】
以上、本発明を適用した実施形態についてを説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限られるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 フロート集合体
10 フロート
50 ソーラーパネル
60 通路ジョイント
101,102,103,104 牽引用ロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6