(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィードバック回路は、可変の前記基準電位を生成する基準電圧源を有し、調光比に応じて前記基準電位を生成することによって、前記電圧源の出力電流を前記調光比に応じて制御する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明光通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した照明光通信装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0011】
図8Aは、本発明者の知見に係る比較例1における照明光通信装置の構成例を示すブロック図である。同図の照明光通信装置は、電源回路52、負荷回路53、平滑コンデンサ65および変調器100を備える。
【0012】
電源回路52は、商用電源60からの入力を整流ブリッジ62で全波整流し、平滑手段を内蔵したDC−DCコンバータ64に入力され、その出力両端間に平滑コンデンサ65が接続されている。また平滑コンデンサ65と並列に、照明光を発する発光ダイオードを含む負荷回路53と電流検出用の抵抗であるインピーダンス回路73の直列回路が形成される。検出抵抗であるインピーダンス回路73の両端電圧がフィードバック回路67を介して、DC−DCコンバータ64の制御部に帰還され、DC−DCコンバータ64は、出力電流の平均を一定に保とうとする定電流電源として機能する。
【0013】
なおフィードバック回路67は、誤差増幅器69、基準電圧源72、当該誤差増幅器69の反転入力端子と出力端子の間に接続された抵抗71及びコンデンサ70等で形成される。
【0014】
このような構成において、基準電圧源72が生成する基準電位を可変することで調光機能を得ることができる。即ち100%点灯時の基準電位の値を小さくすると、インピーダンス回路73の電圧降下が低下してLED負荷電流が減少する。
【0015】
このような電源回路52を用いて光通信を行う場合、負荷回路53と直列に変調器100を設け、変調制御部3は、変調制御部3で生成した2値の通信信号(断続信号とも呼ぶ)で断続スイッチ2の断続を駆動し、LED電流を断続する。
【0016】
図8Bは、比較例1における変調器100の構成例を示す回路図である。この変調器100は、断続スイッチ2と変調制御部3を備える。変調制御部3は、信号源301、駆動回路302および補助電源回路303をそなえる。信号源301は上記の通信信号を生成する。駆動回路302は、信号源301からの通信信号を、断続スイッチ2のオン及びオフを駆動する信号として断続スイッチ2に供給するバッファ回路である。補助電源回路303は、信号源301および駆動回路302に動作電力を供給する。補助電源回路303は、既設の照明器具に後付けで光通信機能を付加可能にすることや断続スイッチ2の駆動が容易なことから、負荷回路53及び断続スイッチ2の直列回路と並列に設けられる。補助電源回路303は降圧コンバータで構成され、スイッチ素子304、その駆動回路305、インダクター307、回生ダイオード306、平滑コンデンサ308などから成る。
【0017】
図9は、比較例1における断続信号およびLED電流の波形を模式的に示す図である。同図の(a)断続信号は信号源301に生成される通信信号である。(b)LED電流は、負荷回路53を流れる電流である。
【0018】
図中のレベル0は、比較例1の照明光通信装置が変調器100を備えず、LED電流の断続を行わない場合のLED電流(平均値)を表す。
【0019】
2値の断続信号(a)により断続スイッチ2を断続すると、負荷回路53を流れる電流は、
図9の(b)LED電流のようにオーバーシュートを伴うパルス状の波形となる。この場合、断続の周期がフィードバック回路67の積分回路時定数よりも十分に短くすれば、波形の如何に係わらずその平均値はフィードバック制御によって断続しない場合のレベル0に等しい。
【0020】
図中のレベル1は、
図8Bに示した変調器100を流れる内部電流の平均値を示す。
【0021】
図中のレベル2は、比較例1の照明光通信装置においてLED電流の断続を行う場合のLED電流(平均値)を表す。上記の内部電流は負荷回路53を介さないため、その分だけLED電流の平均値が減少することになる。つまり、レベル2=(レベル0)−(レベル1)になっている。フィードバック回路67は、どの経路を流れた電流かに係わらず、その合成電流の平均値が所定の値になるように制御するので、当該内部電流が多いほどLED電流の減少分も多くなる。LED電流の平均値の減少は、照明光の見た目の明るさの減少の原因となる。
【0022】
図10は、比較例1において調光目盛りに対するLED電流の大きさを示す図である。調光目盛りは、ユーザによる調光操作を受け付け回転式またはスライド式のつまみの位置を示す。ここでは、調光目盛り10は調光比100%を、調光目盛り0は調光比0%に対応する。
【0023】
図10では、100%点灯時(調光目盛10)の平均電流が約210mAとなる負荷回路53並びに電源回路52を前提とし、(A)変調器100がある場合と(B)ない場合において、調光度合い(調光目盛10から0まで)とLED電流の平均値との関係を実測した結果を示す。ちなみに用いた変調器100の内部電流は約6mAである。
【0024】
図10の上段に示すように、(A)と(B)とでそれほど顕著な差異とはいえないまでも、(B)と比べて(A)(変調器100がある場合)は調光目盛り全領域にわたって内部電流分だけ線図が下方シフトしている。
【0025】
図10の下段は、上段における調光目盛り5(14%調光)以下の領域を拡大したものである。(A)(変調器100がある場合)、調光目盛り1〜4付近の滑らかな調光特性が損なわれ、(A)と(B)とでは調光目盛りが同じ値であっても明るさが異なっていることが分かる。
【0026】
図11は、比較例1における調光比に対するLED電流の大きさを示す図である。
図11は、
図10と同じ条件で、調光器からの信号(調光電圧)と調光比の関係を実測した結果を示している。調光電圧の0〜5Vは、調光目盛り10〜0に対応し、比例している。調光比(%)は、100%点灯(調光目盛り10、調光電圧0V)でのLED電流の平均値に対する電流の比をとしている。(B)変調器100のない場合(
図11の上段)に対して、(A)変調器100のある場合(
図11の下段)は調光電圧が3.3V以上での制御性が損なわれていることが分かる。つまり、暗い領域での調光特性が損なわれている。このように、(A)可視光用通信用の変調器を備える場合と(B)備えない場合とで、特に暗い領域での調光特性が異なってしまう。別源すれば、可視光用通信用の変調器を備えることによって調光特性が損なわれてしまうという問題がある。
【0027】
図12Aは、本発明者の知見に係る比較例2における照明光通信装置の構成例を示すブロック図である。
図12Aは、
図8Aと比べて、電流検出抵抗4が追加された点と、駆動回路302の構成が異なる点とが異なっている。以下では主に異なる点を説明する。
【0028】
電流検出抵抗4は、負荷回路53および断続スイッチ2と直列に接続にされ、LED電流(ここでは電流検出抵抗4自身を流れる電流と同じ)の大きさを検出するための抵抗である。
【0029】
駆動回路302は、信号源301からの通信信号を、断続スイッチ2のオンおよびオフを駆動する信号として断続スイッチ2に供給する機能と、電流検出抵抗4で検出された電位に基づいて、断続スイッチ2の電流を抑制する機能とを有している。
【0030】
図12Bは、比較例2における変調器100の構成例を示す回路図である。断続スイッチ2は、演算増幅器309によって駆動され、演算増幅器309の+入力には基準電圧源310の基準電位が、−入力には電流検出抵抗4の電圧降下を抵抗311と抵抗312で分圧した電位が入力される。これにより、駆動回路302は、断続スイッチ2のオン期間に流れる電流が所望のレベルを超えないように抑制する。所望のレベルは基準電圧源310の基準電位によって定まる。所望レベルおよび基準電位は、例えば、
図9の(b)のようなLED電流の波形におけるオーバーシュートを抑制するように設定される。
【0031】
図13は、比較例2における断続信号およびLED電流の波形を模式的に示す図である。
【0032】
同図のレベル0は、比較例2の照明光通信装置が変調器100を備えず、LED電流の断続を行わない場合のLED電流(平均値)を示す。2値の断続信号(a)により負荷電流を断続すると、LED電流(b)は同図のように矩形波の電流波形となる。
【0033】
図中のレベル1は、
図12Bに示した補助電源回路303へ流れ込む内部電流の平均値を示す。この電流は負荷回路53を介さないため、その分だけLED電流の平均値が減少することになる。つまり、LED電流の断続を行う場合のLED電流(平均値)は、レベル2=(レベル0)−(レベル1)になっている。このようなLED電流の平均値の減少は、照明光の見た目の明るさの減少の原因となる。
【0034】
図12Bで示したような、電流抑制機能を付加して断続する場合も、調光目盛りとLED電流の関係、調光比と調光電圧の関係は
図10及び
図11とほぼ同様となる。変調器100がある場合、深い調光領域(つまり暗い領域)における滑らかな調光特性が損なわれる。
【0035】
続いて、上記課題について、
図14を用いて補足説明する。
図14は、比較例2における変調器100内部の電流経路を示す図である。
図14は、
図12Aに、各部の電流経路を追記している。電圧源(DC−DCコンバータ64)の出力電流は、負荷回路53側に流れる電流i1と変調器100の変調制御部3に流れる電流i2に分流する。これら電流は合流して電流検出抵抗用のインピーダンス回路73を流れる。つまり、インピーダンス回路73には電流(i1+i2)が流れる。その電圧降下は、LED電流の大きさを示す信号として、フィードバック回路67を介して電圧源(DC−DCコンバータ64)の出力を制御する。このように、比較例2の照明光通信装置においても、変調器100を備えない場合に比べてその内部電流i2の分だけLED電流が減少する。その結果、比較例2の照明光通信装置においても、可視光通信を行わない場合と比べて可視光通信を行う場合に調光特性が損なわれる。
【0036】
このような課題を解決するために、本発明の一態様における照明光通信装置は、電圧源と、前記電圧源に接続される平滑回路と、前記電圧源に接続され、発光ダイオードを含む負荷回路と、前記負荷回路と直列に接続される断続スイッチと、前記負荷回路および前記断続スイッチと直列に接続されるインピーダンス回路と、前記インピーダンス回路両端の電圧降下と基準電位との誤差を、前記電圧源の出力が所望の値になるよう制御するフィードバック信号として、前記電圧源にフィードバックするフィードバック回路と、2値の通信信号を生成する信号源と、前記通信信号に従って前記断続スイッチの断続を駆動する駆動回路と、電気的に絶縁した状態で電力を伝達する絶縁回路と、前記電圧源の2つの出力端子間に接続され補助電源電圧を生成し、生成した補助電源電圧に基づく電力を、前記絶縁手段を介して前記断続スイッチ及び前記駆動回路に供給する補助電源回路とを備える。
【0037】
(実施の形態1)
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0038】
図1Aは、実施の形態1における照明光通信装置の構成例を示すブロック図である。
図1Aは、
図12Aと比べて、変調器100の代わりに変調器1を備える点が異なっている。変調器1は、内部に絶縁回路を有する点で変調器100と大きく異なっている。
【0039】
図1Aにおいて照明光通信装置は、電源回路52、負荷回路53、平滑コンデンサ65および変調器1を備える。
【0040】
電源回路52は、整流ブリッジ62、DC−DCコンバータ64(電圧源)、フィードバック回路67、およびインピーダンス回路73を備える。変調器1は、断続スイッチ2、変調制御部3、および電流検出抵抗4を備える。電源回路52は、商用電源(例えば、交流100V)を整流ブリッジ62で全波整流し、コンデンサ63で平滑した後、DC−DCコンバータ64で所望の直流電圧に変換する。DC−DCコンバータ64の出力両端間に平滑コンデンサ65が接続されている。また平滑コンデンサ65と並列に、負荷回路53、変調器1に内蔵された断続スイッチ2および検出抵抗4の直列回路が接続されている。
【0041】
フィードバック回路67は、誤差増幅器69と、誤差増幅器69のプラス入力端子に接続された基準電圧源72と、誤差増幅器69のマイナス入力端子に接続された入力抵抗68と、誤差増幅器69の出力端子と誤差増幅器69のマイナス入力端子間に接続された利得調整用の抵抗71、および位相補償用のコンデンサ70備える。フィードバック回路67は、インピーダンス回路73の電圧降下と基準電圧源72の電圧との高低を誤差増幅器69で比較し、その差分を増幅し、DC−DCコンバータ64に帰還する。つまり、インピーダンス回路73の電圧降下と基準電圧源72の基準電圧とが一致するよう、DC−DCコンバータ64にフィードバック制御をかけている。このフィードバック制御により、電源回路52は、出力電流の平均値を一定に保とうとする定電流電源として機能する。
【0042】
なおフィードバック回路67内の基準電圧源72の基準電位を可変することで調光機能を実現することができる。即ち100%点灯時の基準電位に対して、その値を小さくすると、フィードバック制御によってLED電流が減少する。
【0043】
変調器1は、負荷回路53と直列に接続され、2値の断続信号に従って断続スイッチ2を駆動し、LED電流を断続することにより、照明光を変調する。変調器1は、内部に絶縁回路を備えることによって、変調器1内部電流をインピーダンス回路73に極力流さないように構成される。
【0044】
次に、変調器1の構成について説明する。
【0045】
図1Bは、実施の形態1における変調器1の構成例を示す回路図である。同図の変調器1は、断続スイッチ2、電流検出抵抗4、および変調制御部3を備える。
【0046】
断続スイッチ2は、負荷回路53を流れるLED電流を断続することによって照明光に通信信号を重畳する変調を行う。断続スイッチ2の断続は、変調制御部3によって制御される。
【0047】
電流検出抵抗4は、負荷回路53および断続スイッチ2と直列に接続にされ、LED電流(ここでは電流検出抵抗4自身を流れる電流と同じ)の大きさを検出するための抵抗である。
【0048】
変調制御部3は、絶縁回路300、信号源301、駆動回路302、および補助電源回路303を備え、負荷回路53が発する照明光を変調するために断続スイッチ2の断続を制御する。
図1B中の端子T1およびT2は、DC−DCコンバータ64の2つの出力端子に接続される。つまり、端子T1は、DC−DCコンバータ64の高電圧側の出力端子に接続される。端子T2は、DC−DCコンバータ64のグランドレベルの出力端子に接続される。また、端子T3は、負荷回路53に接続される。端子T4は、インピーダンス回路73の一端、およびフィードバック回路67の入力抵抗68の一端に接続される。
【0049】
絶縁回路300は、電気的に絶縁した状態で電力を伝達する回路である。
図1Bにおける絶縁回路300の回路例は、矩形波発振器30、ドライバー31、コンデンサ32、絶縁トランス33、ダイオード34、ダイオード35、コンデンサ36、コンデンサ37、および三端子レギュレータ5を備える。矩形波発振器30は、矩形波を発振し、ドライバー31を介して絶縁トランス33の一次巻線側に矩形波を供給する。言い換えれば、矩形波発振器30は、絶縁トランス33の一次巻線に電力を供給する。矩形波発振器30は、例えば、矩形波の周波数を任意に設定可能な自走式の発振回路でよい。矩形波の周波数は、絶縁トランス33の小型化を図るには適度に高い周波数が好ましい。絶縁トランス33の一端にはドライバー31から矩形波が入力される。絶縁トランス33の一次巻線の他端(グランド側)にはカップリング用にコンデンサ32が付加される。絶縁トランス33の二次巻線の出力は、ダイオード34、35、コンデンサ36、37で倍電圧整流され、一次巻線とは絶縁された直流電圧が得られる。二次巻線の直流電圧は、三端子レギュレータ5を介して信号源301および駆動回路302に供給される。
【0050】
信号源301は、2値の通信信号(断続信号とも呼ぶ)を生成する。2値の通信信号は、照明光通信装置に固有のIDを示すID信号であってもよいし、外部の装置から入力された信号に基づく通信信号であってもよい。
図1Bの信号源301は、絶縁トランス33の二次巻線から三端子レギュレータ5を介して電力供給を受ける。また、信号源301は、例えば、論理回路を含むハードウェアにより構成してもよいし、マイコンを含むハードウェアおよびソフトウェアにより構成してもよい。
【0051】
駆動回路302は、通信信号に従って断続スイッチ2の断続を駆動し、かつ、電流検出抵抗4で検出された電位に基づいて断続スイッチ2の電流を抑制する。電流の抑制については、駆動回路302は、断続スイッチ2のオン期間に流れる電流が所望のレベルを超えないように抑制する。所望のレベルは基準電圧源310の基準電位によって定まる。所望レベルおよび基準電位は、例えば、負荷回路53を流れるLED電流の波形におけるオーバーシュートを抑制するように設定される。具体的には、駆動回路302は、演算増幅器309を中心に構成される。この演算増幅器309は、演算増幅器309の+入力には基準電圧源310の基準電位が、−入力には電流検出抵抗4の電圧降下を抵抗311と抵抗312で分圧した電圧が入力される。
【0052】
補助電源回路303は、DC−DCコンバータ64の2つの出力端子間に接続され補助電源電圧を生成し、生成した補助電源電圧に基づく電力を、絶縁回路300を介して断続スイッチ2および駆動回路302に供給する。
図1Bでは、補助電源回路303は、絶縁回路300を介して信号源301にも電力を供給する。そのため、補助電源回路303は、スイッチ素子304、その駆動回路305、回生ダイオード306、インダクター307、平滑コンデンサ308を備え、いわゆるバックコンバータを形成している。
【0053】
なお、矩形波発振器30は任意の周波数で絶縁トランス33を駆動できるので、絶縁トランス33の設計が容易で、小型化の最適設計を可能とする。
【0054】
次に、照明光通信装置内の電流経路について説明する。
【0055】
図2Aは、実施の形態1における照明光通信装置内の電流経路を示す図である。
図2Aは、
図1Aに電流経路を追記したものである。DC−DCコンバータ64の出力電流は、負荷回路53に流れるLED電流i1と、変調器1に流れる電流i2に分流する。この電流i2は、LED電流i1を検出するインピーダンス回路73を介さないので、フィードバック制御によってLED電流が低減することはない。
図2Bは、実施の形態1における変調器1内の電流経路を示す図である。
図2Bは、
図1Bに電流経路を追記したものである。変調器1に流れる内部電流i2は、絶縁トランス33の一次巻線側の回路を経由してDC−DCコンバータ64のグランドに流れ込み、インピーダンス回路773を介さないので、LED電流を低減する要因とはならない。。絶縁トランス33の二次巻線側の電流i3は、信号源301および駆動回路302を流れる。変調器1をながれる内部電流i2は、DC−DCコンバータ64のグランドに流れ込むことがない。その結果、内部電流i2は、LED電流を低減する要因とはならない。
【0056】
図3は、実施の形態1における調光目盛りに対するLED電流の大きさを示す図である。縦軸はLED電流を示す。横軸の「調光目盛り」は、ユーザによる調光操作を受け付けて調光信号を出力する調光器における、例えば回転式またはスライド式のつまみの位置を示す。調光目盛り10は調光比100%を、調光目盛り0は調光比0%に対応するものとする。
【0057】
図3は、100%点灯時(調光目盛10)の平均電流が約210mAとなる負荷回路53並びに電源回路52を用いて、変調器1がある場合とない場合において、調光度合い(調光目盛10から0まで)とLED電流の平均値の関係を実測した結果である。ちなみに用いた変調器1の内部電流は約6mAであった。
図3の上段に示すように、変調器1の有無による差異は認められない。
図3の下段は、上段の調光目盛り5(14%調光)以下の領域を拡大したものである。深い調光領域においても変調器の有無による差異は認められず、滑らかな調光特性が損なわれることはない。本実施形態における照明光通信装置は、
図3では変調器1がある場合に調光特性を損なっていない。
【0058】
図4は、実施の形態1における調光比に対するLED電流の大きさを示す図である。縦軸の調光電圧は、0V(100%の明るさ)〜5V(0%の明るさ)の範囲で明るさを指示する電圧である。横軸の調光比は、100%の明るさでのLED電流に対する電流の比を表す。
図4は、
図3と同じ条件で、調光器からの信号(調光電圧)と調光比の関係を実測した結果を示している。ここでは100%点灯(調光目盛り10、調光電圧0V)でのLED電流の平均値に対する比を調光比(%)として、調光電圧を可変した場合の調光比をプロットしている。この図からも、変調器1の有無による調光特性への影響は認められない。本実施形態における照明光通信装置は、変調器1がある場合に調光特性を損なっていない。
【0059】
以上説明してきたように実施の形態1における照明光通信装置は、電圧源64と、電圧源64に接続される平滑回路65と、電圧源64に接続され、発光ダイオードを含む負荷回路53と、負荷回路53と直列に接続される断続スイッチ2と、負荷回路53および断続スイッチ2と直列に接続されるインピーダンス回路73と、インピーダンス回路73/73a両端の電圧降下と基準電位との誤差をフィードバック信号として電圧源64にフィードバックするフィードバック回路67と、2値の通信信号を生成する信号源301と、通信信号に従って断続スイッチの断続を駆動する駆動回路302と、電気的に絶縁した状態で電力を伝達する絶縁回路300と、電圧源64の2つの出力端子間に接続され補助電源電圧を生成し、生成した補助電源電圧に基づく電力を、絶縁回路300を介して断続スイッチ2および駆動回路302に供給する補助電源回路303と、を備える。
【0060】
これによれば、可視光通信を行わない場合と比べて可視光通信を行う場合の調光特性が損なわれることを低減することができる。
【0061】
ここで、補助電源回路303は、絶縁回路300を介して信号源301に電力を供給してもよい。
【0062】
これによれば、さらに、信号源301と駆動回路302のグランドレベルが同じなので、信号源301および駆動回路302の回路設計が容易であり、回路構成を単純化できる。
【0063】
ここで、駆動回路302は、断続スイッチ2の断続を駆動し、かつ、断続スイッチ2のオン期間に流れる電流が所望のレベルを超えないように抑制してもよい。
【0064】
これによれば、さらに、LED電流波形のオーバーシュートを抑制することができる。
【0065】
ここで、フィードバック回路67は、可変の基準電位を生成する基準電圧源72を有し、調光比に応じて基準電位を生成することによって、電圧源64の出力電流を調光比に応じて制御してもよい。
【0066】
これによれば、フィードバック回路67内の基準電圧源72の基準電圧によって調光するので、調光機能を実現するために複雑な回路を追加する必要がない。すなわち、調光機能を簡単な回路(つまり可変の基準電圧源72)で容易に実現することができる。
【0067】
ここで、インピーダンス回路73は、電圧降下を生成する抵抗素子であってもよい。
【0068】
これによれば、さらに、インピーダンス回路73を簡単な回路で構成することができる。
【0069】
(実施の形態2)
実施の形態1では信号源301のグランドレベルが絶縁側(つまり絶縁トランス33の二次巻線側)のグランドレベルと同じである例を示した。これに対して、実施の形態2では、信号源301のグランドレベルが非絶縁側(つまり絶縁トランス33の一次巻線側)のグランドレベルと同じである例について説明する。
【0070】
図5は、実施の形態2における変調器1の構成例を示す回路図である。
図5は、
図1Bと比較して、補助電源回路303に三端子レギュレータ5aが追加された点と、信号源301が絶縁回路300の配置が絶縁側から非絶縁側(つまり絶縁トランス33の二次巻線側から一次巻線側)に変更された点と、通信信号をレベルシフトするレベルシフタ回路320が追加された点とが異なっている。以下異なる点を中心に説明する。
【0071】
補助電源回路303内の三端子レギュレータ5aは、補助電源回路303で生成された補助電源電圧に基づいて安定した電源電圧を信号源301に供給する。
【0072】
信号源301は、非絶縁側(つまり絶縁トランス33の一次巻線側)のグランドレベルを基準に動作する。この信号源301は、マイコンにより構成され、通信信号の生成だけでなく、調光信号を入力し調光信号に応じた制御も行うことができる。
【0073】
レベルシフタ回路320は、信号源301により生成された通信信号をレベルシフトして駆動回路302に出力する。そのため、レベルシフタ回路320は、抵抗40、NPNトランジスタ41、42、抵抗43、NPNトランジスタ44、45、抵抗46、バッファ47を備える。信号源301からの断続信号(つまり通信信号)は抵抗40を介して、ミラー構成に接続された2つのNPNトランジスタ41、42に供給され、抵抗43を介してミラー構成に接続された2つのPNPトランジスタ44、45に供給される。供給された断続信号は、PNPトランジスタ45のコレクタ側に接続された抵抗46両端の電圧として生成され(つまりレベルシフトされ)、バッファ47を介して駆動回路302に供給される。
【0074】
図5において、実施の形態1の
図1Bと主に異なるのは、信号源301を駆動回路302の前段で絶縁回路300の絶縁側(つまり絶縁トランス33の二次巻線側)から、非絶縁側(つまり絶縁トランス33の一次巻線側)に配置を変更したことである。これは、信号源301内のマイコンによる、調光に伴う変調器の制御性を高めることを目的としている。外部調光器からの調光信号は、電源回路52の回路グランド電位を基準に供給される。例えば、信号源301が調光レベルに応じて変調条件を変えるような用途においては、調光信号を取り込む信号源301内のマイコンは、調光信号と同じグランドを起点に構成するのが合理的である。この場合、信号源301内のマイコンから出力される断続信号を、グランド電位の異なる断続スイッチ2側に合わせる必要があるので、レベルシフタ回路320を設けている。
【0075】
断続信号をレベルシフトする代わりに、外部からの調光信号をレベルシフトすることも可能であるが、調光信号がアナログ信号としてのDCレベルで与えられると、その場合のレベルシフタはDCレベルを正確に伝達する必要がある。これに対して、
図5のように断続信号をレベルシフトする場合は断続信号の変化のタイミングの伝達で足り、レベルシフタ回路320の設計および回路構成が容易となる。
【0076】
図6は、実施の形態2における変調器1内の電流経路を示す図である。
図6は、
図5に電流経路を追記したものである。補助電源回路303に入力される分流i2は電源回路52のグランドに流れ込むのでLED電流を低減する要因とはならない。また絶縁トランス33の出力側に流れる電流i3は、その大部分は駆動回路302を流れるだけであるが、その一部はレベルシフタ回路320に電流i4として分流し、負荷電流検出用のインピーダンス回路73を逆方向に流れると予想される。従って、この電流i4だけLED電流が増加するが、断続信号の伝達に必要なレベルシフタ回路320の電流i4は極めて小さい値とすることが可能である。具体例として、レベルシフタ回路の電流i4を100nA程度に設定して、調光特性を実測した結果、実施の形態1で示した調光特性(
図3、
図4)と差異が認められなかった。
【0077】
以上説明してきたように実施の形態2における照明光通信装置において、補助電源回路303は、絶縁回路300を介さないで信号源301に電力を供給し、照明光通信装置は、さらに、信号源301により生成された通信信号をレベルシフトして駆動回路302に出力するレベルシフタ回路320を備える。
【0078】
これによれば、可視光通信を行わない場合と比べて可視光通信を行う場合の調光特性が損なわれることを低減することができる。しかも、信号源301のグランドが調光信号と同じ絶縁回路300の非絶縁側(絶縁トランス33の一次巻線の入力側)のグランドなので、信号源301は調光動作に応じた変調動作を実施することが容易になり、信号源301の制御性を高めることができる。
【0079】
(実施の形態3)
実施の形態3では、インピーダンス回路73にLED電流を調光信号に応じたレベルに抑制する機能を追加する例について説明する。
【0080】
図7は、実施の形態3における照明光通信装置の構成例を示すブロック図である。
図7は、
図1Bと比較して、フィードバック回路67内の基準電圧源72が調光信号に応じた可変から固定に変更された点と、インピーダンス回路73の代わりにインピーダンス回路73aを備える点とが異なっている。以下、異なる点を中心に説明する。
【0081】
フィードバック回路67内の基準電圧源72は、可変である必要がなく固定としている。これは、本実施の形態では調光機能は、フィードバック回路67ではなくインピーダンス回路73aで実現するためである。
【0082】
インピーダンス回路73aは、LED電流の大きさを自身の電圧降下として示す電流検出機能を有し、さらに、調光信号に応じたレベルにLED電流を抑制する調光機能を有する。そのためインピーダンス回路73aは、MOSFET74、電流検出抵抗77、演算増幅器75、基準電圧源76を備える。上記電流検出抵抗77の電圧降下がLED電流の大きさを示す信号として演算増幅器75の−入力端子に、また基準電圧源76の基準順位が演算増幅器の+入力端子に接続される。MOSFET74および電流検出抵抗77からなる直列回路の両端電圧はフィードバック回路67を介して、DC−DCコンバータ64の制御部に帰還される。DC−DCコンバータ64はフィードバック制御により出力電流の平均を一定に保とうとする定電流電源として機能する。このような構成において、基準電圧源76の基準電位を可変することで容易に調光機能を実現することができる。即ち100%点灯時の基準電圧源76の基準電位の値を小さくするとインピーダンス回路73aが電流を制限してその両端電圧が上昇しょうとするが、フィードバック回路によってその両端電圧が最適になるようにDC−DCコンバータ64の出力が制御される。変調器1は内部に絶縁回路300を有し、変調器1の内部電流によってLED電流が減少するのを防ぐ。変調器1の具体的な構成や動作は、実施の形態1の
図1Bと同様である。なお、変調器1は、実施の形態2の
図5と同じであってもよい。
【0083】
以上説明してきたように実施の形態3における照明光通信装置は、インピーダンス回路73aは、電圧降下を発生し、かつ、調光比に応じて自身を流れる電流を制限する。
【0084】
これによれば、可視光通信を行わない場合と比べて可視光通信を行う場合の調光特性が損なわれることを低減することができる。しかも、フィードバック回路67内の基準電圧源72を可変にする場合と比べて、インピーダンス回路73a内の基準電圧源76の基準電位を可変することで、より容易により繊細に調光機能を実現することができる。
【0085】
ここで、インピーダンス回路73aは、負荷回路53および断続スイッチ2と直列に接続されたトランジスタ(MOSFET74)と、トランジスタ(MOSFET74)と直列に接続され、負荷回路53を流れる電流の大きさを電圧降下として検出するための電流検出抵抗77と、調光比に応じて基準電位を生成する基準電圧生成回路76と、電圧降下と基準電圧との誤差に応じた制御信号を生成し、トランジスタ(MOSFET74)に制御信号を供給する誤差増幅器75とを備えてもよい。
【0086】
なお、
図1Aにおいて、負荷回路53、変調器1、インピーダンス回路73は、この順に直列接続されているが、異なる順であってもよい。また、
図7において、負荷回路53、変調器1、インピーダンス回路73aは、この順に直列接続されているが、異なる順であってもよい。
【0087】
また、
図7の変調器1に含まれる駆動回路302は、
図1Bおよび
図5の駆動回路302における電流抑制機能を有していなくてもよく、例えば
図8Bのような単純なバッファ回路であってもよい。
【0088】
なお、
図1A、
図7の変調器1は、照明光通信装置に着脱可能にしてもよい。
【0089】
以上、複数の実施の形態に係る照明光通信装置について説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0090】
例えば、上記実施の形態に係る照明光通信装置に含まれる各処理部の一部又は全ては集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0091】
上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0092】
また、上記回路図に示す回路構成は、一例であり、本発明は上記回路構成に限定されない。つまり、上記回路構成と同様に、本発明の特徴的な機能を実現できる回路も本発明に含まれる。例えば、上記回路構成と同様の機能を実現できる範囲で、ある素子に対して、直列又は並列に、スイッチング素子(トランジスタ)、抵抗素子、又は容量素子等の素子を接続したものも本発明に含まれる。言い換えると、上記実施の形態における「接続される」とは、2つの端子(ノード)が直接接続される場合に限定されるものではなく、同様の機能が実現できる範囲において、当該2つの端子(ノード)が、素子を介して接続される場合も含む。