(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979589
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】調光卓
(51)【国際特許分類】
H05B 47/155 20200101AFI20211202BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20211202BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20211202BHJP
F21W 131/406 20060101ALN20211202BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B45/10
H05B45/20
F21W131:406
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-34441(P2018-34441)
(22)【出願日】2018年2月28日
(65)【公開番号】特開2019-149328(P2019-149328A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2020年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣渡 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】大田 憲司
【審査官】
田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−149326(JP,A)
【文献】
特開2014−099289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H05B 45/00
F21W 131/406
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演出照明されるシーンに関するシーン情報と、演出照明に用いられる複数の照明器具に関する輝度情報および色情報とが入力される入力部と、
前記輝度情報および色情報を前記シーン情報に関連づけて記憶する記憶部と、
前記照明器具を前記シーン情報に対応する輝度及び色で発光させるための制御信号を生成する制御部と、
前記制御部によって生成された制御信号を前記照明器具に出力する出力部と、を備え、
前記色情報として番号、記号又はこれらの組合せによって特定されるカラーフィルタ情報を前記入力部から入力することができ、
前記制御部は、前記輝度情報と前記カラーフィルタ情報とに基づいて前記制御信号を生成し、
前記カラーフィルタ情報は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各設定値のグループから成り、
前記制御信号は、前記輝度情報と前記各設定値の積として導出される、
調光卓。
【請求項2】
前記輝度情報および前記カラーフィルタ情報は各シーンごとに設定および記憶されている、請求項1に記載の調光卓。
【請求項3】
前記カラーフィルタ情報はR(赤)、G(緑)、B(青)の各設定値のグループを番号、文字又はこれらの組合せで特定するものであり、前記カラーフィルタ情報番号、文字又はこれらの組合せは多数の色見本表示データにそれぞれ対応して前記記憶部に記憶されている中から前記入力部によって選択することができる、請求項1または2に記載の調光卓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調光卓に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に、ステージ照明および調光卓の一例を示す。このステージ照明は、例えば、3つの照明器具L1,L2,L3によって構成される。照明器具L1,L2,L3が単独で又は組み合わせてステージS(または舞台など)を照明することで、演出照明が行われる。
【0003】
各照明器具L1,L2,L3の点灯、調光、消灯は、調光卓100から送信される調光信号によって制御される。調光信号は、調光卓100から各照明器具L1,L2,L3に無線送信されてもよいし、信号ケーブルを介して送信されてもよい。
【0004】
調光卓100は3つのフェーダF1,F2,F3を備えている。3つのフェーダF1,F2,F3は、
図6に示すように、3つの照明器具L1,L2,L3にそれぞれ対応している。
図6では、照明器具L1,L2,L3がその下に示されたフェーダF1,F2,F3に対応することが示されている。
【0005】
照明器具L1,L2,L3には、白色光を照射するハロゲンランプが用いられる場合がある。この場合、各照明器具L1,L2,L3にカラーフィルタ部材を取り付け、カラーフィルタ部材の色に応じた光を照明することが一般的であった。具体例としては、照明器具L1には赤色(R)のカラーフィルタ部材CF−Rを取り付けて、照明器具L1を赤色照明として用いる。また、照明器具L2には緑色(G)のカラーフィルタ部材CF−Gを取り付けて、照明器具L2を緑色照明として用いる。さらに、照明器具L3には青色(B)のカラーフィルタ部材CF−Bを取り付けて、照明器具L3を青色照明として用いる。
【0006】
フェーダF1は、操作ノブをスロットに沿って
図6中の上下方向にスライド操作することで、照明器具L1の輝度(又は明るさ)を調整することができる。より詳しくは、操作ノブを
図6中のスロット下端位置に操作すると、照明器具L1が消灯(すなわち輝度0%)し、操作ノブを
図6中のスロット上端位置に操作すると、照明器具L1がフル点灯(すなわち輝度100%)で点灯する。このことはフェーダ2,3についても同様であり、操作ノブをスライド操作することで、照明器具L2,L3の輝度を0%から100%の間でそれぞれ調整することができる。
【0007】
図7は、シーン情報と、各照明器具L1,L2,L3との対応テーブルを示す図である。シーン1では、照明器具L1が輝度80%で照明し、照明器具L2は輝度50%で照明し、照明器具L3は消灯している。そして、シーン2では、照明器具L1が輝度80%のままで照明し、照明器具L2は輝度50%のままで照明し、照明器具L3は輝度50%で照明する。そして、シーン3では、照明器具L1が輝度30%に変更され、照明器具L2は輝度50%のままで照明し、照明器具L3は輝度50%のままで照明する。そして、シーン4では、照明器具L1が消灯され、照明器具L2は輝度50%のままで照明し、照明器具L3は輝度100%に変更して照明する。このような各照明器具L1,L2,L3の輝度はシーンが変わるごとに、予め決められた対応テーブルにしたがってオペレータが調光卓100を用いて手動操作で変更する。
【0008】
図8は、別の従来例である照明器具L1,L2,L3と、調光卓のフェーダF1〜F9とを対応させて示す図である。
図8に示す各照明器具L1,L2,L3は、赤色発光部Rと、緑色発光部Gと、青色発光部Bをそれぞれ備える。各発光部R,G,Bは例えばLED(Light−Emitting Diode)等の半導体発光素子によって好適に構成される。
【0009】
これらの照明器具L1,L2,L3を調光操作するための調光卓には、
図8に示すように、各照明器具L1,L2,L3に対応してそれぞれ3つずつのフェーダF1〜F9が設けられている。フェーダF1〜F3は照明器具L1の3色の発光部R,G,Bにそれぞれ対応し、フェーダF4〜F6は照明器具L2の3色の発光部R,G,Bにそれぞれ対応し、フェーダF7〜F9は照明器具L3の3色の発光部R,G,Bにそれぞれ対応する。これにより、照明器具L1の調光操作はフェーダF1〜F3を用いて行い、照明器具L2の調光操作はフェーダF4〜F6を用いて行い、照明器具L1の調光操作はフェーダF7〜F9を用いて行うことになる。
【0010】
図9は、シーン情報と
図8に示した照明器具の3色発光部の輝度との対応テーブルを示す図である。照明器具L1が赤色照明として用いられ、照明器具L2が緑色照明として用いられ、照明器具L3が青色照明として用いられる点は
図7に示した対応テーブルと同じである。
【0011】
図9に示すように、照明器具L1の赤色発光部Rの輝度は、シーン1で80%、シーン2で80%、シーン3で30%、シーン4で0%にそれぞれ設定される。この場合、照明器具L1の緑色発光部Gおよび青色発光部Bの輝度はシーン1〜4の全てにおいて0%であり、消灯したままとなる。したがって、この場合における照明器具L1の輝度の設定および変更はフェーダF1のみの操作で行われ、フェーダF2,F3の操作は不要である。
【0012】
また、照明器具L2については、緑色発光部Gの輝度がシーン1〜4の全てにおいて50%に設定され、他の赤色発光部Rおよび青色発光部Bの輝度はシーン1〜4の全てにおいて0%である。したがって、この場合における照明器具L2の輝度の設定および変更はフェーダF5のみの操作で行われ、フェーダF4,F6の操作は不要である。
【0013】
さらに、照明器具L3については、青色発光部Bの輝度がシーン1で0%、シーン2で50%、シーン3で50%、シーン4で100%にそれぞれ設定される。この場合、他の赤色発光部Rおよび緑色発光部Gの輝度はシーン1〜4の全てにおいて0%である。したがって、この場合における照明器具L3の輝度の設定および変更はフェーダF9のみの操作で行われ、フェーダF7,F8の操作は不要である。
【0014】
特許文献1には、シーンを作成する調光卓が開示されている。この調光卓は、ディスプレイ、制御部、および、ポインティングデバイスを有する。そして、制御部は、ディスプレイにシーン記憶領域を表示する機能を持つ。シーン記憶領域は、シーンの再生順序に関する再生順序情報を表示する。ポインティングデバイスに対応する入力操作の位置に応じた出力信号を入力部に入力する。この調光卓によれば、シーンを効率的に作成することに貢献できると特許文献1には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2015−88340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記において
図5〜
図7を参照して説明した従来例の調光卓および照明器具では、各照明器具の照明色が各照明器具に取り付けられたカラーフィルタ部材によって決まるため、シーン中に各照明器具についての照明色の変更が行えず、シーンからシーンへの移り変わり時(または暗転時)にカラーフィルタ部材を取り替える必要があり、照明色の変更が容易ではなかった。
【0017】
また、上記において
図8及び
図9を参照して説明した別の従来例の調光卓および照明器具では、各照明器具が3色発光部をそれぞれ有しているものの単色専用の照明器具として用いられる場合には、調光卓に操作不要となるフェーダが多く存在することになり、各シーンに対応した演出照明の設定や変更の作業が煩雑になるという問題があった。
【0018】
さらに、上記特許文献1に記載される調光卓では、オペレータがシーンの再生順序を視認しながらシーンを作成することは記載されているが、各シーンにおいて使用する照明器具の輝度や色彩の設定や変更については記載されていない。
【0019】
本開示の目的は、各シーンの演出照明における各照明器具の光の色彩を容易に設定および変更することができる調光卓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示に係る調光卓は、演出照明されるシーンに関するシーン情報と、演出照明に用いられる複数の照明器具に関する輝度情報および色情報とが入力される入力部と、輝度情報および色情報をシーン情報に関連づけて記憶する記憶部と、照明器具をシーン情報に対応する輝度及び色で発光させるための制御信号を生成する制御部と、制御部によって生成された制御信号を照明器具に出力する出力部と、を備える。色情報として番号、文字又はこれらの組合せによって特定されるカラーフィルタ情報を入力部から入力することができる。制御部は、輝度情報とカラーフィルタ情報とに基づいて制御信号を生成する。
【発明の効果】
【0021】
本開示に係る調光卓によれば、各シーンの演出照明における各照明器具の光の色彩を容易に設定および変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の一実施形態である調光卓の機能ブロック図である。
【
図2】(a)は3つの照明器具、(b)は(a)に示した各照明器具に対応するカラーフィルタデータの一例を概念的に示す図、(c)は(a)に示した各照明器具に対応するフェーダを示す図である。
【
図3】シーン情報と、
図2に示した各照明器具の輝度情報と、カラーフィルタ情報との対応テーブルを示す図である。
【
図4】カラーフィルタデータの別の例を概念的に示す図である。
【
図5】従来例の演出照明用の照明器具と調光卓を示す図である。
【
図6】
図5中の各照明器具と調光卓のフェーダとを対応させて示す図である。
【
図7】シーン情報と
図5に示した各照明器具の輝度との対応テーブルを示す図である。
【
図8】別の従来例の演出照明用の照明器具と調光卓のフェーダとを対応させて示す図である。
【
図9】シーン情報と
図8に示した照明器具の3色発光部の輝度との対応テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0024】
図1は、本開示の一実施形態である調光卓10の機能ブロック図である。
図1に示すように、調光卓10は、複数の照明器具L1,L2,L3に対して制御信号を出力して、点灯、消灯、調光等の制御を行う照明制御装置である。
図1では3つの照明器具L1,L2,L3を例示するが、調光卓10によって制御される照明器具の数は適宜に変更可能である。
【0025】
調光卓10は、操作部12、入力部14、制御部16、記憶部18、ディスプレイ部20、および、出力部22を備える。
【0026】
操作部12は、フェーダ部12a、テンキー部12b、電源ボタン12cを含む。フェーダ部12aには、後述するように3つのフェーダF1,F2,F3が含まれる(
図2(c)参照)。各フェーダF1,F2,F3は、照明器具L1,L2,L3に対応している。なお、後述するようにディスプレイ部20がタッチパネルで構成される場合、ディスプレイ部20もまた操作部として機能することができる。また、操作部12には、シーン選択部等が含まれてもよい。
【0027】
調光卓10のオペレータは、フェーダF1,F2,F3を介して各照明器具L1,L2,L3の輝度情報をシーンごとに設定および変更することがきる。また、オペレータは、テンキー部12bを用いて各照明器具L1,L2,L3の輝度情報や色情報などを各シーンごとに設定および変更することがきる。電源ボタン12cは、オペレータによって操作されることで、調光卓10の電源がオンまたはオフされる電源スイッチである。
【0028】
入力部14は、操作部12のフェーダ部12a、テンキー部12b等から入力された情報を制御部16へ出力する。入力部14は、操作部12と制御部16とを接続する接続ポートや接続ラインによって構成することができる。
【0029】
制御部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成することができる。制御部16は、照明器具L1,L2,L3の点灯状態を制御するプログラムを記憶部18から読み出して実行することができる。
【0030】
具体的には、制御部16は、操作部12から入力部14を介して入力された各照明器具L1,L2,L3に関する輝度情報および色情報などをシーンごとに関連づけて記憶部18に記憶させる。また、制御部16は、記憶部18に記憶されている輝度情報および色情報に基づいて各シーンごとの照明器具L1,L2,L3の制御信号を生成する機能を有する。
【0031】
記憶部18は、上述したように、各照明器具L1,L2,L3に関する輝度情報および色情報などをシーンごとに関連づけて記憶する機能を有する。また、記憶部18には、照明器具L1,L2,L3の制御に必要な制御プログラムやデータを予め記憶させておくことができる。詳しくは後述するが、記憶部18には、各照明器具L1,L2,L3から照明される光の色情報がカラーフィルタ情報として予め記憶されている。
【0032】
ディスプレイ部20は、例えば、液晶表示部によって好適に構成される。ディスプレイ部20には、制御部16からの表示信号に応じた画像が表示される。具体的には、各シーンごとの演出照明に関する設定を行うとき、シーンと各照明器具L1,L2,L3の輝度情報およびカラーフィルタ情報とを対応づけるテーブルが表示される。
【0033】
出力部22は、制御部16で生成された制御信号を受け取って、各照明器具L1,L2,L3に出力する機能を有する。出力部22から各照明器具L1,L2,L3への制御信号の出力は無線送信によって行われるのが好適である。この場合、無線送信される制御信号には各照明器具L1,L2,L3に設定されているアドレス情報が含まれ、各照明器具L1,L2,L3が自器に向けられた制御信号を正確に受信できるようにするのが好ましい。
【0034】
図2において、(a)は3つの照明器具L1,L2,L3、(b)は(a)に示した各照明器具L1,L2,L3に対応するカラーフィルタ情報の一例を概念的に示す図、(c)は(a)に示した各照明器具L1,L2,L3に対応するフェーダF1,F2,F3を示す図である。
【0035】
図2(a)に示すように、本実施形態の調光卓10によって制御される照明器具L1,L2,L3は、赤色発光部Rと、緑色発光部Gと、青色発光部Bをそれぞれ備える。各発光部R,G,Bは例えばLED等の半導体発光素子によって好適に構成される。
【0036】
図2(b)には、3つのカラーフィルタ情報CF1,CF2,CF3が示されている。
図2では、カラーフィルタ情報CF1が照明器具L1に適用され、カラーフィルタ情報CF2が照明器具L2に適用され、カラーフィルタ情報CF3が照明器具L3に適用される例が示されている。
【0037】
各カラーフィルタ情報CF1,CF2,CF3は、各照明器具L1,L2,L3から照射される光の色情報を規定するデータである。具体的には、カラーフィルタ情報はR(赤)、G(緑)、B(青)の各設定値のグループを番号、文字又はこれらの組合せで特定するものである。
【0038】
図2(b)の例では、カラーフィルタ情報CF1は、R(赤)の設定値が100%で、他のG(緑)およびB(青)の設定値が0%のグループに設定されている。すなわち、カラーフィルタ情報CF1が照明器具L1に適用された場合には、赤色発光部Rのみがフル点灯状態で発光する赤色専用の照明器具となる。
【0039】
カラーフィルタ情報CF2は、G(緑)の設定値が100%で、他のR(赤)およびB(青)の設定値が0%のグループに設定されている。すなわち、カラーフィルタ情報CF2が照明器具L2に適用された場合には、緑色発光部Gのみがフル点灯状態で発光する緑色専用の照明器具となる。
【0040】
カラーフィルタ情報CF3は、B(青)の設定値が100%で、他のR(赤)およびG(緑)の設定値が0%のグループに設定されている。すなわち、カラーフィルタ情報CF3が照明器具L3に適用された場合には、青色発光部Bのみがフル点灯状態で発光する青色専用の照明器具となる。
【0041】
図2(c)に示すように、操作部12のフェーダ部12aに含まれる3つのフェーダF1,F2,F3は、
図2(a)に示す3つの照明器具L1,L2,L3にそれぞれ対応している。これにより、フェーダF1によって照明器具L1の輝度情報を設定および変更することができる。同様に、フェーダF2によって照明器具L2の輝度情報を設定および変更することができ、フェーダF3によって照明器具L3の輝度情報を設定および変更することができる。
【0042】
図3は、シーン情報と、
図2に示した各照明器具L1,L2,L3の輝度情報と、カラーフィルタ情報との対応テーブルを示す図である。
図3では、シーン情報がシーン番号として表す例が示されている。なお、シーン情報は、シーンA、シーンB、・・・といった文字で表されてもよい。
【0043】
調光卓10のディスプレイ部20には、
図3に示すような対応テーブルが表示され、この表示画面においてオペレータは各シーンごとに照明器具L1,L2,L3の輝度情報およびカラーフィルタ情報を設定することができる。
【0044】
具体的には、
図3に示す例では、照明器具L1のカラーフィルタ欄にはカラーフィルタ情報「CF1」を入力し、照明器具L2のカラーフィルタ欄にはカラーフィルタ情報「CF2」を入力し、照明器具L3のカラーフィルタ欄にはカラーフィルタ情報「CF3」を入力する。これにより、照明器具L1から照射される光の色が赤色に設定され、照明器具L2から照射される光の色が緑色に設定され、照明器具L3から照射される光の色が青色に設定される。
【0045】
本実施形態ではカラーフィルタ情報をアルファベットの文字と番号の組合せで特定する例について説明するが、これに限定されるものではなく、カラーフィルタ情報は番号のみで特定してもよいし、アルファベット等の文字だけ(例えば、A、B、C、・・・など)で特定されてもよい。
【0046】
記憶部18には、多数のカラーフィルタ情報が予め準備されて記憶されている。具体的には、
図2(b)では、赤色のカラーフィルタ情報CF1、緑色のカラーフィルタ情報CF2、青色のカラーフィルタ情報CF3の例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、
図4に示すように、薄い赤色のカラーフィルタ情報CF4(R90、G10、B10)や、黄色のカラーフィルタ情報CF5(R80、G80、B0)や、紫色のカラーフィルタ情報CF6(R80、G0、B70)などを予め準備して記憶させておいてもよい。
【0047】
このようなカラーフィルタ情報の入力は、多数の色についてそれぞれ設定されているカラーフィルタ情報の番号、文字、又はこれらの組合せを指定することによって実行できる。具体的には、ディスプレイ部20上の対応テーブルの表示画面において、オペレータが入力したいカラーフィルタの欄をタッチすると多数の色見本表示データが表示され、その色見本表示データで所望の色見本をタッチすると、その色に対応するカラーフィルタ情報の番号、文字、又はこれらの組合せが入力されるように構成することができる。このように構成すれば、オペレータはカラーフィルタ情報の入力を視認しながら所望の色を容易に選択することができる。
【0048】
オペレータは、
図3に示した対応テーブルにおいて、各照明器具L1,L2,L3の輝度情報を入力する。具体的には、ディスプレイ部20上の対応テーブルの表示画面において、オペレータが入力したい輝度の欄をタッチして選択し、操作部12のテンキー部12bやフェーダ部12aなどを用いて入力することがきる。
【0049】
図3に示した例において、赤色専用として用いられる照明器具L1の輝度は、シーン1および2で80%、シーン3で30%、シーン4で0%に設定されている。また、緑色専用として用いられる照明器具L2の輝度は、全てのシーン1〜4で50%に設定されている。また、青色専用として用いられる照明器具L3の輝度は、シーン1で0%、シーン2および3で50%、シーン4で100%に設定されている。なお、これらの各シーンにおける照明器具L1,L2,L3の輝度は、
図7および
図9に示した照明器具L1,L2,L3の輝度と同じ値として説明した。
【0050】
オペレータによって
図3に示すような対応テーブルの入力が完了すると、対応テーブルは記憶部18に記憶される。制御部16は、シーンの切り替えの合図であるキュー(Cue)に応じて、記憶部18に記憶されている対応テーブルを参照して各照明器具L1,L2,L3のための制御信号CS1,CS2,CS3を生成する。そして、これらの制御信号CS1,CS2,CS3は、出力部22から照明器具L1,L2,L3に送信される。これにより、照明器具L1,L2,L3は、予め設定された対応テーブルの輝度情報およびカラーフィルタ情報にしたがって点灯状態が制御され、各シーンごとに演出照明が実行される。
【0051】
ここで、制御部16は、輝度情報と、カラーフィルタ情報に含まれるRGBの各設定値との積として導出し、その導出された値を照明器具L1,L2,L3の出力値となる制御信号CS1,CS2,CS3とすることができる。
【0052】
具体的には、シーン1における照明器具L1について見ると、輝度80%で、カラーフィルタ情報CF1のRGBの各設定値は100%(すなわち、1)、0、0であるため、照明器具L1の制御信号CS1は赤色発光部Rを80%で発光させる指示となる信号だけを含むものとして生成される。
【0053】
また、シーン1〜4における照明器具L2について見ると、輝度50%で、カラーフィルタ情報CF2のRGBの各設定値は0、100%(すなわち1)、0であるため、照明器具L2の制御信号CS2は緑色発光部Gを50%で発光させる指示となる信号だけを含むものとして生成される。
【0054】
さらに、シーン4における照明器具L3について見ると、輝度100%で、カラーフィルタ情報CF3のRGBの各設定値は0、0、100%(すなわち1)であるため、照明器具L3の制御信号CS3は青色発光部Bを100%で発光させる指示となる信号だけを含むものとして生成される。
【0055】
上述したように、本実施形態の調光卓10は、演出照明されるシーンに関するシーン情報と、演出照明に用いられる複数の照明器具L1,L2,L3に関する輝度情報および色情報とが入力される入力部14と、輝度情報および色情報をシーン情報に関連づけて記憶する記憶部18と、照明器具L1,L2,L3をシーン情報に対応する輝度及び色で発光させるための制御信号を生成する制御部16と、制御部16によって生成された制御信号CS1,CS2,CS3を照明器具に出力する出力部22とを備える。色情報として番号、文字又はこれらの組合せによって特定されるカラーフィルタ情報CF1,CF2,CF3を入力部14から入力することができる。制御部16は、輝度情報とカラーフィルタ情報CF1,CF2,CF3とに基づいて制御信号CS1,CS2,CS3を生成する。この構成によれば、色情報として番号、文字又はこれらの組合せによって簡単に特定されるカラーフィルタ情報CF1,CF2,CF3を入力部14から入力するだけで、各シーンの演出照明における各照明器具L1,L2,L3の光の色彩を容易に設定および変更することができる。
【0056】
また、本実施形態の調光卓10では、輝度情報およびカラーフィルタ情報は各シーンごとに設定および記憶されている。これにより、各シーンの演出照明における照明器具L1,L2,L3の光の色彩を各シーンごとに容易に設定および変更することができる。
【0057】
さらに、本実施形態の調光卓10では、カラーフィルタ情報はR(赤)、G(緑)、B(青)の各設定値のグループ
を番号、文字又はこれらの組合せで特定するものであり、カラーフィルタ情報番号、文字又はこれらの組合せは多数の色見本表示データにそれぞれ対応して記憶部に記憶されている中から入力部14によって選択することができる。
【0058】
なお、本開示に係る調光卓は、上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0059】
10,100 調光卓、12 操作部、12a フェーダ部、12b テンキー部、12c電源ボタン、14 入力部、16 制御部、18 記憶部、20 ディスプレイ部、22 出力部、CF1−CF6 カラーフィルタ情報、F1−F9 フェーダ、L1,L2,L3 照明器具。