【実施例】
【0046】
実施例1:化合物1〜13の合成
化合物1〜13は、下記スキーム1に示す合成経路に従って調製した。列挙した試薬において、TEAはトリエチルアミンであり、KOAcは酢酸カリウムであり、Pd(PPh
3)
4はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)であり、DMAcはN,N−ジメチルアセトアミドであり、CsFはフッ化セシウムであり、HClは塩酸であり、NaHCO
3は重炭酸ナトリウムであり、NaHは水素化ナトリウムであり、NMPは1−メチル−2−ピロリジノンであり、KOHは水酸化カリウムであり、DMSOはジメチルスルホキシドである。
【化10】
スキーム1. 試薬及び条件:(a)TEA、CH
2Cl
2、0℃〜室温;(b)KOAc、Pd(PPh
3)
4、DMAc、150℃(Py=ピリジン−2−イルの場合に、KOAcはCsFに置き換えられる);(c)12N HCl、H
2O、還流;(d)NaHCO
3、H
2O、室温;(e)NaH、NMP、0℃;(f)DMSO、RH、100℃、又はRH=4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリンの場合にジグリム、KOH、160℃;及び(g)6N HCl、0℃。
【0047】
工程I. 2,2−ジメチル−N−チアゾール−2−イル−プロピオンアミドBの合成
無水CH
2Cl
2(250mL)中の2−アミノチアゾールA(300mmol)及びトリエチルアミン(330mmol)の混合物に、0℃でトリメチルアセチルクロリド(310mmol)を添加し、混合物を室温、アルゴン雰囲気下で1時間撹拌した。混合物を6N HCl(60mL)で洗浄し、有機層を分離し、硫酸マグネシウム(MgSO
4)で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、表題の生成物Bをオフホワイト色の固体として得た(72%)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ11.75(s,1H)、7.46(d,J=6.0Hz,1H)、7.17(d,J=6.0Hz,1H)、1.22(s,9H);MS(ES
+)m/z C
8H
12N
2OSについての算出値:184.07;実測値:185.1(M+H
+)。
【0048】
工程II. 化合物C(Py=ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル及びピリミジン−5−イル)の合成
N,N−ジメチルアセトアミド(60mL)中の2,2−ジメチル−N−チアゾール−2−イル−プロピオンアミドB(30mmol)、クロロピリジン(30mmol)、酢酸カリウム(120mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.5mmol)の混合物を150℃、アルゴン雰囲気下で24時間加熱した。溶媒の大部分を蒸留(120℃/160mmHg)によって除去し、残渣を水(250mL)で洗浄した。沈殿物を濾過によって回収し、10%CH
3OH/CH
2Cl
2(200mL)に再溶解し、セライトパッドに通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(1%MeOH/CH
2Cl
2)によって精製して、所望の生成物をオフホワイト色の固体として得た(40%〜85%)。
【0049】
工程II. 化合物C(Py=ピリジン−2−イル)の合成
ジメチルスルホキシド(20mL)中の2,2−ジメチル−N−チアゾール−2−イル−プロピオンアミドB(10mmol)、クロロピリジン(10mmol)、フッ化セシウム(20mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.5mmol)の混合物を160℃、アルゴン雰囲気下で16時間加熱した。得られた混合物を0.5N HCl(150mL)及びCH
2Cl
2(150mL)で分配した。有機層を分離し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(3%アセトン/CH
2Cl
2)によって精製して、所望の生成物を淡褐色の固体として得た(20%)。
【0050】
Cの1つのみを、そのNMRスペクトル及び質量を示すために選択した。
【化11】
2,2−ジメチル−N−(5−ピリジン−4−イル−チアゾール−2−イル)−プロピオンアミド。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ9.28(bs,1H)、8.61(dd,J=4.8、1.6Hz,2H)、7.84(s,1H)、7.42(dd,J=4.8、1.6Hz,2H)、1.38(s,9H);MS(ES
+)m/z C
13H
15N
3OSについての算出値:261.09;実測値:262.1(M+H
+)。
【0051】
工程III. 化合物Dの合成
水(5mL)中のC(5mmol)及び12N HCl(5mL)の混合物を2時間加熱還流した。溶媒の大部分を減圧下で除去し、残渣をCH
3OH(15mL)で希釈した。溶媒の大部分を蒸留によって除去し、残渣を真空で乾燥させ、Dの塩酸塩を淡褐色の固体として得た。
【0052】
水(30mL)中の上記の固体の撹拌懸濁液を、室温で重炭酸ナトリウムによりpH=7に調整し、混合物を50℃で2時間撹拌した。沈殿物を濾過によって回収し、真空で乾燥させ、所望の生成物Dを淡褐色の固体として得た(85%〜90%)。
【0053】
Dの1つのみを、そのNMRスペクトル及び質量を示すために選択した。
【化12】
5−ピリジン−4−イル−チアゾール−2−イルアミン。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ8.41(dd,J=4.8、1.5Hz,2H)、7.73(s,1H)、7.48(s,2H)、7.35(dd,J=4.8、1.5Hz,2H);MS(ES
+)m/z C
8H
7N
3Sについての算出値:177.04;実測値:178.1(M+H
+)。
【0054】
工程IV. 化合物Eの合成
1−メチル−2−ピロリジノン(20mL)中のD又は市販の4−ピリジン−3−イル−チアゾール−2−イルアミン(4mmol)及び4,6−ジクロロ−2−メチルピリミジン(8mmol)の混合物に、0℃で水素化ナトリウム(油中60%、10mmol)を添加し、混合物を0℃、アルゴン雰囲気下で1時間撹拌した。反応を水(100mL)により0℃でクエンチし、6N HClでpH=2に調整した。スラリーを重炭酸ナトリウムでpH=7に調整し、沈殿物を濾過によって回収し、水(50mL)で洗浄し、真空で乾燥させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(20%EtOAc/CH
2Cl
2、次いで5%→10%のMeOH/CH
2Cl
2の勾配)によって精製して、所望の生成物Eを褐色の固体として得た(45%〜60%)。
【0055】
Eの1つのみを、そのNMRスペクトル及び質量を示すために選択した。
【化13】
(6−クロロ−2−メチル−ピリミジン−4−イル)−(5−ピリジン−4−イル−チアゾール−2−イル)−アミン。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ12.15(s,1H)、8.53(dd,J=4.5、1.5Hz,2H)、8.18(s,1H)、7.59(dd,J=4.5、1.5Hz,2H)、6.90(s,1H)、2.59(s,3H);MS(ES
+)m/z C
13H
10ClN
5Sについての算出値:303.03;実測値:304.1(M+H
+)。
【0056】
工程V. 化合物1〜4及び7〜13の合成
ジメチルスルホキシド(2mL)中の化合物E(2mmol)及び1−エチルピペラジン(8mmol)の混合物を100℃で1時間加熱した。室温まで冷却した後、混合物を水(50mL)で希釈した。沈殿物を濾過によって回収し、水(10mL)で洗浄し、真空で乾燥させた。残渣を酸化アルミニウムクロマトグラフィー(0.5%→1.5%のMeOH/CH
2Cl
2の勾配)によって精製して、化合物1〜4及び7〜13の各々の遊離塩基をオフホワイト色の固体として得た。
【0057】
撹拌した6N HCl(10mL)に0℃で上記の固体を添加し、溶液を0.45μm PVDF膜に通して濾過した。撹拌した濾液にアセトン(40mL)を1時間にわたって滴加し、0℃で更に1時間撹拌した。沈殿物を濾過によって回収し、アセトン(15mL)で洗浄し、真空で乾燥させ、化合物1〜4及び7〜13の各々のHCl塩を黄色の固体として得た(90%〜95%)。
[6−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−(5−ピリジン−4−イル−チアゾール−2−イル)−アミン塩酸塩(化合物1)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ11.55(bs,1H)、8.72(d,J=5.6Hz,2H)、8.61(s,1H)、8.14(d,J=5.2Hz,2H)、6.27(s,1H)、4.35(d,J=13.2Hz,2H)、3.55(d,J=12.0Hz,2H)、3.45(t,J=13.0Hz,2H)、3.13(t,J=5.8Hz,2H)、3.02(q,J=10.0Hz,2H)、2.50(s,3H)、1.28(t,J=6.8Hz,3H);MS(ES
+)m/z C
19H
23N
7Sについての算出値:381.17;実測値:382.2(M+H
+)。
{6−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−2−メチル−ピリミジン−4−イル}−(5−ピリジン−4−イル−チアゾール−2−イル)−アミン塩酸塩(化合物2)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ11.89(bs,1H)、8.73(d,J=6.3Hz,2H)、8.62(s,1H)、8.15(d,J=5.7Hz,2H)、6.26(s,1H)、4.95(d,J=47.4Hz,2H)、4.38(s,2H、水のピークと重複)、3.70〜3.35(m、6H)、3.18(bs,2H)、2.50(s,3H);MS(ES
+)m/z C
19H
22FN
7Sについての算出値:399.16;実測値:400.1(M+H
+)。
2−{4−[2−メチル−6−(5−ピリジン−4−イル−チアゾール−2−イルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−ピペラジン−1−イル}−エタノール塩酸塩(化合物3)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ11.03(s,1H)、8.73(d,J=7.2Hz,2H)、8.63(s,1H)、8.15(d,J=7.2Hz,2H)、6.26(s,1H)、4.34(d,J=12.4Hz,2H)、3.82(t,J=5.2Hz,2H)、3.62(d,J=12.0Hz,2H)、3.43(t,J=12.4Hz,2H)、3.30〜3.09(m、4H)、2.49(s,3H);MS(ES
+)m/z C
19H
23N
7OSについての算出値:397.17;実測値:398.1(M+H
+)。
[6−(4−ジメチルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−(5−ピリジン−4−イル−チアゾール−2−イル)−アミン塩酸塩(化合物4)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ11.07(s,1H)、8.73(d,J=6.9Hz,2H)、8.62(s,1H)、8.15(d,J=6.9Hz,2H)、6.25(s,1H)、4.43(d,J=12.9Hz,2H)、3.44(quin、J=5.2Hz,1H)、2.94(t,J=12.5Hz,2H)、2.69(d,J=4.5Hz,6H)、2.49(s,3H)、2.15(d,J=10.5Hz,2H)、1.60(q,J=11.0Hz,2H);MS(ES
+)m/z C
20H
25N
7Sについての算出値:395.19;実測値:396.1(M+H
+)。
[6−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−(5−ピリジン−3−イル−チアゾール−2−イル)−アミン塩酸塩(化合物7)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ11.23(bs,1H)、9.15(s,1H)、8.68(d,J=5.2Hz,1H)、8.60(d,J=8.0Hz,1H)、8.19(s,1H)、7.93(t,J=6.2Hz,1H)、6.21(s,1H)、4.35(d,J=14.4Hz,2H)、3.55(d,J=11.6Hz,2H)、3.40(t,J=13.2Hz,2H)、3.13(t,J=5.8Hz,2H)、3.01(q,J=6.9Hz,2H)、2.50(s,3H)、1.28(t,J=6.6Hz,3H);MS(ES
+)m/z C
19H
23N
7Sについての算出値:381.17;実測値:382.2(M+H
+)。
{6−[4−(2−フルオロ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−2−メチル−ピリミジン−4−イル}−(5−ピリジン−3−イル−チアゾール−2−イル)−アミン塩酸塩(化合物8)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ11.80(bs,1H)、9.16(s,1H)、8.68(d,J=5.6Hz,1H)、8.62(d,J=8.0Hz,1H)、8.20(s,1H)、7.95(t,J=6.8Hz,1H)、6.22(s,1H)、4.98(d,J=46.8Hz,2H)、4.34(bs,2H)、3.70〜3.35(m、6H)、3.16(bs,2H)、2.49(s,3H);MS(ES
+)m/z C
19H
22FN
7Sについての算出値:399.16;実測値:400.1(M+H
+)。
2−{4−[2−メチル−6−(5−ピリジン−3−イル−チアゾール−2−イルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−ピペラジン−1−イル}−エタノール塩酸塩(化合物9)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ11.02(bs,1H)、9.18(s,1H)、8.69(s,1H)、8.64(d,J=7.6Hz,1H)、8.22(s,1H)、7.96(d,J=5.2Hz,1H)、6.25(s,1H)、4.33(d,J=11.2Hz,2H)、3.80(s,1H)、3.60(d,J=11.6Hz,2H)、3.19(s,2H)、3.13(s,2H)、2.48(s,3H);MS(ES
+)m/z C
19H
23N
7OSについての算出値:397.17;実測値:398.1(M+H
+)。
[6−(4−ジメチルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−(5−ピリジン−3−イル−チアゾール−2−イル)−アミン塩酸塩(化合物10)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ11.27(bs,1H)、9.18(s,1H)、8.69(d,J=5.2Hz,1H)、8.64(d,J=8.0Hz,1H)、8.23(s,1H)、7.97(t,J=6.8Hz,1H)、6.36(bs,1H)、4.42(d,J=8.8Hz,2H)、3.43(bs,1H)、2.99(t,J=12.4Hz,2H)、2.68(s,3H)、2.67(s,3H)、2.55(s,3H)、2.17(d,J=10.8Hz,2H)、1.64(q,J=9.2Hz,2H);MS(ES
+)m/z C
20H
25N
7Sについての算出値:395.19;実測値:396.2(M+H
+)。
[6−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−(5−ピリジン−2−イル−チアゾール−2−イル)−アミン塩酸塩(化合物11)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ11.34(s,1H)、8.54(d,J=4.8Hz,1H)、8.32(s,1H)、8.01〜7.96(m、2H)、7.40〜7.34(m、1H)、6.31(s,1H)、4.37(d,J=13.2Hz,2H)、3.62〜3.38(m、4H)、3.20〜2.90(m、4H)、2.47(s,3H)、1.26(t,J=7.4Hz,3H);MS(ES
+)m/z C
19H
23N
7Sについての算出値:381.17;実測値:382.2(M+H
+)。
[6−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−(5−ピリミジン−5−イル−チアゾール−2−イル)−アミン塩酸塩(化合物12)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ11.35(bs,1H)、9.20〜9.03(m、3H)、8.09(s,1H)、6.28(s,1H)、4.40(s,2H)、3.56(d,J=12.4Hz,2H)、3.44(d,J=7.4Hz,2H)、3.13(bs,2H)、3.02(d,J=8.0Hz,2H)、1.28(bs,3H);MS(ES
+)m/z C
18H
22N
8Sについての算出値:382.17;実測値:383.3(M+H
+)。
[6−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−2−メチル−ピリミジン−4−イル]−(4−ピリジン−3−イル−チアゾール−2−イル)−アミン塩酸塩(化合物13)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ11.80(bs,1H)、11.54(bs,1H)、9.28(s,1H)、8.94(d,J=8.4Hz,1H)、8.84(d,J=5.2Hz,1H)、8.15〜8.07(m、2H)、6.31(bs,2H)、4.35(d,J=14.0Hz,2H)、3.55(d,J=12.0Hz,2H)、3.45(t,J=13.0Hz,2H)、3.15〜3.07(m、2H)、3.00(q,J=10.0Hz,2H)、2.49(s,3H)、1.27(t,J=7.4Hz,3H);MS(ES
+)m/z C
19H
23N
7Sについての算出値:381.17;実測値:382.1(M+H
+)。
【0058】
工程V. 化合物5及び6の合成
ジグリム(1mL)中の化合物E(1mmol)及び4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン(4mmol)の混合物に、100℃で水酸化カリウム(10mmol)を添加し、混合物を160℃、アルゴン雰囲気下で10分間撹拌した。反応を水(20mL)により0℃でクエンチし、6N HClでpH=2に調整した。スラリーを重炭酸ナトリウムでpH=7に調整し、沈殿物を濾過によって回収し、水(10mL)で洗浄し、真空で乾燥させた。残渣を酸化アルミニウムクロマトグラフィー(0.5%→1.5%のMeOH/CH
2Cl
2の勾配)によって精製して、化合物6の遊離塩基をオフホワイト色の固体として得た。
【0059】
MeOH(10mL)中の上記の固体の懸濁液に、0℃で6N HCl(1mL)を撹拌しながら添加した。溶媒の大部分を減圧下で除去し、残渣をEtOH(10mL)で処理した。沈殿物を濾過によって回収し、アセトン(10mL)で洗浄し、真空で乾燥させ、化合物5及び6の各々のHCl塩を黄色の固体として得た(45%〜50%)。
[2−メチル−6−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−ピリミジン−4−イル]−(5−ピリジン−4−イル−チアゾール−2−イル)−アミン塩酸塩(化合物5)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ11.61(s,1H)、8.74(d,J=5.2Hz,2H)、8.64(s,1H)、8.17(d,J=5.2Hz,2H)、6.37(s,1H)、4.72(s,2H)、4.00〜3.80(m、4H)、3.64〜3.42(m、4H)、3.16(bs,2H)、2.59(s,3H);MS(ES
+)m/z C
19H
22N
6O
2Sについての算出値:398.15;実測値:399.2(M+H
+)。
[2−メチル−6−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−ピリミジン−4−イル]−(5−ピリジン−3−イル−チアゾール−2−イル)−アミン塩酸塩(化合物6)。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ11.51(bs,1H)、9.20(s,1H)、8.71(d,J=5.6Hz,1H)、8.66(d,J=8.4Hz,1H)、8.24(s,1H)、7.98(dd,J=8.0、5.6Hz,1H)、6.35(s,1H)、4.72(t,J=4.8Hz,2H)、3.96(d,J=10.8Hz,2H)、3.85(t,J=12.0Hz,2H)、3.55(bs,2H)、3.47(d,J=12.4Hz,2H)、3.19(bs,2H)、2.59(s,3H);MS(ES
+)m/z C
19H
22N
6O
2Sについての算出値:398.15;実測値:399.1(M+H
+)。
【0060】
実施例2:FLT3活性の阻害
研究を以下のように行い、実施例1に従って調製した或る特定の化合物をFLT3活性の阻害において試験した。
【0061】
FLT3キナーゼ触媒ドメイン(残基Y567〜S993)を含有するGST−FLT3−KD
WTを、pBac−PAK8−GST−FLT3−KDプラスミドを含有するバキュロウイルスをトランスフェクトしたSf9昆虫細胞において発現させた。FLT3
WTキナーゼ−Gloアッセイを96ウェルプレートにおいて30℃で4時間行い、化合物を以下の構成要素:75ngのGST−FLT3−KD
WTタンパク質、25mM HEPES(pH7.4)、4mM MnCl
2、10mM MgCl
2、2mM DTT、0.02%Triton X−100、0.1mg/mlウシ血清アルブミン、25μM Her2ペプチド基質、0.5mM Na
3VO
4及び1μM ATPを含む50μlの最終容量で試験した。インキュベーション後に、50μlのKinase−Glo Plus試薬(Promega、米国ウィスコンシン州マディソン)を各ウェルに添加し、混合物を25℃で20分間インキュベートした。各反応混合物の70μLアリコートを黒色マイクロタイタープレートに移し、発光をWallac Vector 1420マルチラベルカウンター(PerkinElmer、米国コネチカット州シェルトン)で測定した。
【0062】
複数の化合物を試験した。予期せぬことに、化合物1〜11は、100nM未満のIC
50(応答が半減する阻害剤の濃度)値を示した。
【0063】
実施例3:VEGFR2活性の阻害
研究を以下のように行い、実施例1に従って調製した或る特定の化合物をVEGFR2活性の阻害において試験した。VEGFR2がVEGFRの3つの主要サブタイプの1つであることに留意されたい。
【0064】
キナーゼドメインを含有する組み換えGST−VEGFR2(残基V789〜V1356)をSf9昆虫細胞において発現させた。キナーゼアッセイを、96ウェルプレートにおいて以下の構成要素:25mM HEPES(pH7.4)、10mM MgCl
2、4mM MnCl
2、0.5mM Na
3VO
4、2mM DTT、0.02%Triton X100、0.01%BSA、1μM ATP、2μMポリGlu4:Tyrペプチド、50ng〜100ngの組み換えVEGFR2を含む50μlの反応物の最終容量で試験化合物を用いて30℃で120分間行った。インキュベーション後に、50μlのKinase−Glo Plus試薬(Promega、米国ウィスコンシン州マディソン)を各ウェルに添加し、混合物を25℃で20分間インキュベートした。各反応混合物の70μLアリコートを黒色マイクロタイタープレートに移し、発光をWallac Vector 1420マルチラベルカウンター(PerkinElmer、米国コネチカット州シェルトン)で測定した。
【0065】
複数の化合物をVEGFR2アッセイにおいて試験した。化合物1、9及び10は予期せぬことに、30nM未満のIC
50値を示した。
【0066】
実施例4:c−Kit活性の阻害
研究を以下のように行い、実施例1に従って調製した或る特定の化合物をc−Kit活性の阻害において試験した。
【0067】
Sf9バキュロウイルス−昆虫細胞発現系において発現させたN末端Hisタグ付きヒトc−Kit(残基T544〜V976)組換えタンパク質を、c−Kit ADP Kinase−Gloアッセイのために精製した。c−Kit−ADP Kinase−Gloアッセイを40mM Tris(pH7.4)、20mM MgCl
2、2mM MnCl
2、2mM DTT、0.01%BSA、20μM ATP、20μMポリ(Glu,Tyr)4:1ペプチド、0.1mM Na
3VO
4、250ngの組み換えc−Kitタンパク質及び指定濃度の試験化合物を含む10μlの最終容量で96ウェルプレートにおいて30℃で150分間行った。25℃で5μlのADP−Glo(商標)試薬(Promega、米国ウィスコンシン州マディソン)を添加し、40分間インキュベーションすることによって反応を停止させ、続いて10μlのキナーゼ検出試薬を添加し、更に30分間インキュベートした。最後に、各反応混合物の30μLアリコートを黒色マイクロタイタープレートに移し、発光をWallac Vector 1420マルチラベルカウンター(PerkinElmer、米国コネチカット州シェルトン)で測定した。
【0068】
複数の化合物を試験した。予期せぬことに、化合物1〜7及び11〜12は、100nM未満のIC
50値を示した。
【0069】
実施例5:in vitro抗癌活性
研究を以下のように行い、実施例1に従って調製した或る特定の化合物のin vitro抗癌活性を、細胞株及びMTS細胞生存性アッセイ(MTSは、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウムを表す)を用いて評価した。
【0070】
白血病細胞株MOLM−13、MV4:11及びKasumin−1は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC、米国バージニア州マナサス)から購入した。ヒト消化管間質腫瘍GIST−T1細胞株は、コスモ・バイオ株式会社(日本、東京都)から購入した。全ての白血病細胞株を10%ウシ胎仔血清(FBS)、10U/mlペニシリン及び10g/mlストレプトマイシンを添加したRPMI 1640培地中、37℃及び5%CO
2で維持した。細胞株GIST−T1は、10%FBS、0.01%非必須アミノ酸、10U/mlペニシリン及び10g/mlストレプトマイシンを添加したDMEM培地中で培養した。
【0071】
GIST882、GIST48及びGIST430細胞は全て、37℃及び5%CO
2で維持したインキュベーター内で培養した。GIST882は、20%ウシ胎仔血清(FBS)を添加したRPMI−1640中で培養した。GIST48は、20%FBS、0.5%Mitoシーラムエクステンダー(BD Bioscience、355006)及び1%ウシ脳下垂体抽出物(BD Bioscience、354123)を添加したF10を用いて培養した。GIST430は、20%FBSを添加したIMDM中で培養した。GIST882、GIST430及びGIST48細胞は、Jonathan A. Fletcher博士(ハーバードメディカルスクール(Harvard Medical School)、米国)によって提供された。
【0072】
MOLM−13、MV4:11及びKasumin−1のMTSアッセイ
細胞を96ウェル培養プレートに1×10
4細胞/100μl/ウェルの密度にて三連で播種し、1nM〜10μMの範囲の指定濃度の試験化合物で72時間処理した。比色CellTiter 96(商標) Aqueous One Solution Cell Proliferationアッセイ(MTSアッセイ;Promega、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いて細胞毒性を決定した。492nmでの光学密度を、マイクロプレート光度計(Victor2;Perkin-Elmer、米国マサチューセッツ州ウォルサム)を用いて測定した。細胞を試験化合物で72時間処理した場合のIC
50値をMTSアッセイによって決定し、GraphPad Prism 6で算出した。各実験を三連とした。
【0073】
GIST−T1のMTSアッセイ
GIST−T1細胞を96ウェル培養プレートに8000細胞/100μl/ウェルの密度にて三連で播種し、1nM〜10μMの範囲の指定濃度の試験化合物で72時間処理した。比色CellTiter 96(商標) Aqueous One Solution Cell Proliferationアッセイ(MTSアッセイ;Promega、米国ウィスコンシン州マディソン)を用いて細胞毒性を決定した。492nmでの光学密度を、マイクロプレート光度計(Victor2;Perkin-Elmer、米国マサチューセッツ州ウォルサム)を用いて測定した。細胞を試験化合物で72時間処理した場合のIC
50値をMTSアッセイによって決定し、GraphPad Prism 6で算出した。各実験を三連とした。
【0074】
GIST882、GIST48及びGIST430のMTSアッセイ
GIST細胞(4×10
4個)を異なる用量の化合物で処理した。処理したGIST882細胞は144時間インキュベートし、GIST48及びGIST430細胞は5%CO
2中、37℃で120時間インキュベートした。細胞をメチレンブルー(Clontech、米国カリフォルニア州)と共に1時間インキュベートすることによって細胞増殖を決定した。吸光度は、SpectraMax M5マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、米国)を用いて450nmで測定した。
【0075】
或る特定の式(I)の化合物のGI
50(細胞増殖の最大阻害の50%についての濃度)値を下記表に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
その他の実施形態
本明細書に開示される全ての特徴は、あらゆる組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に開示される各々の特徴は、同じ目的、同等の目的又は同様の目的にかなう代替となる特徴によって置き換えられてもよい。このように、特に明示的に述べられない限り、開示される各々の特徴は、包括的な一連の同等の特徴又は同様の特徴のうちの単なる一例である。
【0078】
上記明細書から、当業者であれば、本発明の本質的な特性を容易に特定することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な使用法及び条件に適合するために本発明の様々な変更及び修正を行うことができる。このように、その他の実施形態も添付の特許請求の範囲内である。