特許第6979612号(P6979612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6979612多孔質膜支持体、気体分離膜複合体、多孔質膜支持体の製造方法及び気体分離膜複合体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979612
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】多孔質膜支持体、気体分離膜複合体、多孔質膜支持体の製造方法及び気体分離膜複合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 69/10 20060101AFI20211202BHJP
   B01D 71/26 20060101ALI20211202BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20211202BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20211202BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20211202BHJP
   B01D 71/44 20060101ALI20211202BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20211202BHJP
   B01D 71/70 20060101ALI20211202BHJP
   B01D 71/40 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   B01D69/10
   B01D71/26
   B01D71/68
   B01D53/22
   B01D69/12
   B01D71/44
   B01D69/00
   B01D71/70 500
   B01D71/40
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-68361(P2017-68361)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-167220(P2018-167220A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222255
【氏名又は名称】東洋クロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 浩之
(72)【発明者】
【氏名】畠中 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】高木 直樹
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−296822(JP,A)
【文献】 特表平09−511461(JP,A)
【文献】 特表平08−511040(JP,A)
【文献】 特開2003−190768(JP,A)
【文献】 特開2014−208327(JP,A)
【文献】 特開2018−023955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00−71/82
B01D 53/22
C02F 1/44
B32B 27/12
C08L 27/12−27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥水剤を含有する不織布と、
前記不織布の一面に設けられ、ポリエーテルスルホンを含有する多孔質膜と、
を備え、
前記多孔質膜は、前記不織布の前記一面に形成された空洞層と、前記空洞層に形成された緻密層と、を含み、
前記不織布の前記一面の水に対する接触角は、70°以上100°以下である
多孔質膜支持体。
【請求項2】
前記不織布は、ポリエステル、ポリフェニレンスルファイド、ポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドからなる群から選択される少なくとも一種の繊維を含有する
請求項1に記載の多孔質膜支持体。
【請求項3】
前記不織布は、200℃以上の融点を有する繊維を少なくとも一種含有する
請求項1又は2に記載の多孔質膜支持体。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の多孔質膜支持体と、
気体分離膜と、を備え、
前記気体分離膜は、前記多孔質膜支持体における、前記多孔質膜の前記不織布とは反対側の面に配置される
気体分離膜複合体。
【請求項5】
不織布に撥水剤を塗布する工程と、
前記不織布の一面にポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程と、
前記ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された前記不織布を、水凝固液に浸漬することにより前記不織布上に、前記不織布側から空洞層と緻密層とをこの順に含む多孔質膜を形成する工程と、を含み、
前記撥水剤を塗布する工程後の前記不織布の前記一面の水に対する接触角は、70°以上100°以下である
多孔質膜支持体の製造方法。
【請求項6】
一面及び前記一面の反対側の面を有する不織布の、前記反対側の面にのみ撥水剤を塗布する工程と、
前記不織布の前記一面にポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程と、
前記ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された前記不織布を、水凝固液に浸漬することにより前記不織布上に、前記不織布側から空洞層と緻密層とをこの順に含む多孔質膜を形成する工程と、を含む、
多孔質膜支持体の製造方法。
【請求項7】
不織布に撥水剤を塗布する工程と、
前記不織布の一面にポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程と、
前記ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された前記不織布を、水凝固液に浸漬し、前記不織布上に、前記不織布側から空洞層と緻密層とをこの順に含み、かつ、ポリエーテルスルホンを含有する多孔質膜を形成する工程と、
前記多孔質膜の前記不織布とは反対側の面に気体分離膜を形成する工程と、を含み、
前記撥水剤を塗布する工程後の前記不織布の前記一面の水に対する接触角は、70°以上100°以下である
気体分離膜複合体の製造方法。
【請求項8】
一面及び前記一面の反対側の面を有する不織布の、前記反対側の面にのみ撥水剤を塗布する工程と、
前記不織布の前記一面にポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程と、
前記ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された前記不織布を、水凝固液に浸漬し、前記不織布上に、前記不織布側から空洞層と緻密層とをこの順に含み、かつ、ポリエーテルスルホンを含有する多孔質膜を形成する工程と、
前記多孔質膜の前記不織布とは反対側の面に気体分離膜を形成する工程と、を含む、
気体分離膜複合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質膜支持体、気体分離膜複合体、多孔質膜支持体の製造方法及び気体分離膜複合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃焼機器、空調機器、医療機器等の分野において、空気等の二種類以上の気体が混合した混合気体から、例えば酸素や窒素等の特定の気体を分離、濃縮するための気体分離膜の研究が行われている。
【0003】
気体分離膜による気体分離法では、気体分離膜を気体が透過する際の透過速度の差を利用して、特定の気体を分離濃縮する。気体分離膜を用いて気体を分離濃縮する場合、気体の透過量は、気体分離膜の膜厚に反比例する。気体の透過量を高くするため、通常、気体分離膜の膜厚は小さく、気体分離膜を単独で取り扱うことができない。そこで、気体分離膜を支持するための支持体が用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、表面孔径が0.5μm以下の緻密層と内部に繊維状補強材を配した孔径0.5μm以上の空洞層からなる多孔質支持体上に気体分離膜を積層することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−296822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で用いられる多孔質支持体は、その製造途中で繊維状補強材中にポリエーテルスルホン樹脂溶液が染み込みすぎるため、多孔質支持体中の緻密層と空洞層とが安定的に形成されないおそれがある。例えば、多孔質支持体中の緻密層が多くなりすぎると、多孔質支持体における圧力損失が大きくなり、多孔質支持体上に気体分離膜を積層した場合の気体分離性能が低下してしまう。また、多孔質支持体中の空洞層が多くなりすぎると、多孔質支持体上に積層した気体分離膜が破断するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、圧力損失が低く、気体分離膜を良好に積層することのできる多孔質膜支持体、この多孔質膜支持体を含む気体分離膜複合体、多孔質膜支持体の製造方法及び気体分離膜複合体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る多孔質膜支持体は、撥水剤を含有する不織布と、前記不織布の一面に設けられ、ポリエーテルスルホンを含有する多孔質膜と、を備える。
【0009】
本発明に係る気体分離膜複合体は、前記多孔質膜支持体と、気体分離膜と、を備え、前記気体分離膜は、前記多孔質膜支持体における、前記多孔質膜の前記不織布とは反対側の面に配置される。
【0010】
本発明に係る多孔質膜支持体の製造方法は、不織布に撥水剤を塗布する工程と、前記不織布の一面にポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程と、前記ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された前記不織布を、水凝固液に浸漬する工程と、を含む。
【0011】
本発明に係る気体分離膜複合体の製造方法は、不織布に撥水剤を塗布する工程と、前記不織布の一面にポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程と、前記ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された前記不織布を、水凝固液に浸漬し、前記不織布上にポリエーテルスルホンを含有する多孔質膜を形成する工程と、前記多孔質膜の前記不織布とは反対側の面に気体分離膜を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、圧力損失が低く、気体分離膜を良好に積層することのできる多孔質膜支持体、この多孔質膜支持体を含む気体分離膜複合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る多孔質膜支持体の断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る気体分離膜複合体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る多孔質膜支持体2の断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る気体分離膜複合体1の断面図である。
【0015】
[本実施形態に係る多孔質膜支持体2]
本実施形態に係る多孔質膜支持体2は、図1に示すように、撥水剤を含有する不織布3と、不織布3の一面3Aに設けられ、ポリエーテルスルホンを含有する多孔質膜4と、を備える。
【0016】
本実施形態では、不織布3が撥水剤を含有することで、不織布3の一面3Aに設けられる多孔質膜4において、緻密層41と空洞層42とが安定的に形成され、多孔質膜支持体2の圧力損失を低くすることができるとともに、多孔質膜支持体2の多孔質膜4上に気体分離膜5を良好に積層することができる。
【0017】
具体的には、不織布3が撥水剤を含有するため、不織布3の一面3Aに多孔質膜4を形成するために、ポリエーテルスルホン含有溶液を不織布3の一面3Aに塗工する際に、ポリエーテルスルホン含有溶液が不織布3に染み込みすぎることを防ぐことができる。ポリエーテルスルホン含有溶液が不織布3に染み込みすぎるとは、例えば、ポリエーテルスルホン含有溶液が不織布3の一面3Aとは反対側の表面3Bまで到達することをいう。ポリエーテルスルホン含有溶液が不織布3に染み込みすぎると、多孔質膜4において、緻密層41と空洞層42とが安定的に形成されない。例えば、不織布3の一面3A上に多孔質膜4が十分に形成されず不織布3と多孔質膜4とが一体化してしまったり、不織布3の一面3A上に多孔質膜4が形成された場合でも、多孔質膜4中の緻密層41及び空洞層42のうちの一方の割合が多すぎたり、緻密層41の表面4A(多孔質膜4の表面4A)が平滑でなくなったりする。表面4Aが十分に平滑でないと、気体分離膜5を多孔質膜4の表面4Aに良好に形成することができない。また、多孔質膜4中の空洞層42の割合が多すぎると、緻密層41の表面4Aの表面孔径が大きくなるおそれがある。この場合、多孔質膜4上に形成される気体分離膜5は薄膜であるため、気体を分離濃縮する際に生じる差圧によって気体分離膜5が破断するおそれがある。また、多孔質膜4中の緻密層41の割合が多すぎると、多孔質膜4における空孔率が低くなり、多孔質膜支持体2の圧力損失が大きくなりやすい。気体分離膜複合体1を用いて気体を分離濃縮する際に必要となる差圧の一部は、多孔質膜支持体2の圧力損失として失われるため、多孔質膜支持体2の圧力損失が大きくなると、気体分離膜複合体1の気体分離性能が低下してしまう。すなわち、多孔質膜支持体2の圧力損失が低いと、気体を分離濃縮する際に、気体分離膜複合体1に十分な差圧を生じさせることができ、気体分離性能を向上させることができる。
【0018】
多孔質膜支持体2は、不織布3を備える。不織布3は、多孔質膜支持体2に高い強度を付与することができるため、多孔質膜支持体2は、多孔質膜支持体2上に形成される気体分離膜5を良好に支持することができる。
【0019】
不織布3は、例えば機械的又は化学的作用によって、繊維を織らずに絡み合わせた布状の材料である。不織布3は、例えば、ポリエステル、ポリフェニレンスルファイド、ポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミド等の繊維からなっていてよい。不織布3は、これらの繊維のうちの一種類のみからなっていてもよく、二種類以上の繊維を含む混合繊維からなっていてもよい。
【0020】
不織布3はポリエステル(融点約265℃)、ポリフェニレンスルファイド(融点約295℃)、ポリアミド(融点約225℃)、ポリイミド(融点約260℃)、及びポリアミドイミド(融点約300℃)からなる群から選択される少なくとも一種の繊維を含有することが好ましい。この場合、不織布3を含む多孔質膜支持体2は、より優れた耐熱性を有することができる。不織布3は、ポリエステル繊維を含有することがより好ましく、ポリエチレンテレフタラート繊維を含有することがさらに好ましい。
【0021】
不織布3は、200℃以上の融点を有する繊維を少なくとも一種含有することが好ましい。この場合、不織布3を含む多孔質膜支持体2はより優れた耐熱性を有することができるため、多孔質膜支持体2を備える気体分離膜複合体1を、高温の環境下、例えば自動車等の内部に配置される燃焼機器等に用いることができる。不織布3は、225℃以上の融点を有する繊維を少なくとも一種含有することがより好ましい。不織布3を構成する繊維の融点の上限は特に限定されないが、不織布3は、例えば350℃以下の融点を有する繊維からなっていてよい。不織布3は、200℃以上の融点を有する繊維と200℃未満の融点を有する繊維との両方を含有してもよく、200℃以上の融点を有する繊維のみを含有してもよい。不織布3が200℃以上の融点を有する繊維のみを含有する場合、不織布3を含む多孔質膜支持体2は特に優れた耐熱性を有することができる。
【0022】
不織布3の厚みは、10〜500μmの範囲内であることが好ましい。不織布3の厚みがこの範囲内であることで、多孔質膜支持体2に十分な強度を付与することができる。不織布3の厚みは、50〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
【0023】
不織布3は撥水剤を含有する。不織布3が撥水剤を含有することで、不織布3の一面3Aに多孔質膜4を形成する際に、多孔質膜4の形成に用いられるポリエーテルスルホン含有溶液が不織布3に染み込みすぎることを防ぐことができ、多孔質膜4において緻密層41と空洞層42とが安定して形成される。このため、不織布3と多孔質膜4とを備える多孔質膜支持体2の圧力損失を低くするとともに、多孔質膜支持体2の多孔質膜4上に気体分離膜5を良好に形成することができる。
【0024】
撥水剤としては、例えば、シリコーン系撥水剤、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤とフッ素系撥水剤との混合撥水剤等を用いることができる。撥水剤として、フッ素系撥水剤を用いることが好ましく、フルオロメタアクリレートポリマを含有する撥水剤を用いることが特に好ましい。
【0025】
撥水剤の含有量は特に限定されず、不織布3の多孔質膜4が設けられる面3Aが十分な撥水性を発揮するよう適宜調整される。不織布3の一面3Aの撥水性が高すぎると、不織布3と多孔質膜4との密着性が低下してしまう。また、不織布3の一面3Aの撥水性が低すぎると、多孔質膜4の緻密層41と空洞層42とが安定的に形成されない。このため、撥水剤の含有量は、不織布3と多孔質膜4との密着性を損なわず、緻密層41と空洞層42とが安定的に形成されるよう、撥水剤の撥水性能に応じて適宜調整されることが好ましい。
【0026】
不織布3は、不織布3に撥水剤を塗布することによって撥水剤を含有できる。撥水剤を、不織布3の一面3Aに塗布してもよく、一面3Aとは反対側の面3Bに塗布してもよく、不織布3の両面3A及び3Bに塗布してもよい。ただし、不織布の一面3Aに直接撥水剤を塗布すると、撥水性が高くなり不織布3と多孔質膜4との密着性が低下しやすくなるため、撥水剤は、不織布3の一面3Aとは反対側の面4Bにのみ塗布されることが好ましい。
【0027】
不織布3の一面3Aの水に対する接触角は、70°以上100°以下であることが好ましい。この場合、不織布3と多孔質膜4との密着性が特に良好である。さらに、多孔質膜4中の緻密層41と空洞層42とが安定的に形成されているため、多孔質膜支持体2の圧力損失がより低くなるとともに、多孔質膜支持体2の多孔質膜4上に気体分離膜5をより良好に形成することができる。不織布3の一面3Aの水に対する接触角は、75°以上100°以下であることがより好ましい。接触角の測定は、例えば、市販の接触角計を用いて行うことができる。
【0028】
多孔質膜4は、ポリエーテルスルホンを含有する。多孔質膜4がポリエーテルスルホンを含有することで、多孔質膜4の緻密層41と空洞層42とが安定的に形成される。
【0029】
多孔質膜4は、後述するように、例えば、ポリエーテルスルホンを溶媒に溶解させたポリエーテルスルホン含有溶液を不織布3の一面3A上に塗工し、ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された不織布3を、水凝固液に浸漬することで形成することができる。ポリエーテルスルホン含有溶液を不織布3の一面3A上に塗工すると、塗工されたポリエーテルスルホン含有溶液の表面から溶媒が揮発し、乾燥状態になる。この乾燥状態となる表層部分が緻密層41を構成すると考えられる。次に、ポリエーテルスルホン含有溶液を塗工した不織布3を水凝固液中に浸漬すると、塗工されたポリエーテルスルホン含有溶液中の揮発せずに残存した溶媒が、水凝固液の成分と置換する。これにより、溶媒が残存していた部分に空隙が形成されることで、多孔質膜4における空洞層42が形成されると考えられる。
【0030】
ポリエーテルスルホン含有溶液の溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を用いることができる。ポリエーテルスルホン含有溶液の溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)であることが好ましい。なお、ポリエーテルスルホン含有溶液中のポリエーテルスルホンの濃度は、特に限定されず、不織布3に良好に塗工することができる粘度を有するように、適宜調整される。ポリエーテルスルホン含有溶液中のポリエーテルスルホンの濃度は、例えば、1質量%〜40質量%の範囲内であってよい。
【0031】
緻密層41は、例えば、平均表面孔径が0.5μm以下である層とすることができる。すなわち、緻密層41の表面(多孔質膜4の表面4A)の平均表面孔径は0.5μm以下であることが好ましい。この場合、緻密層41の表面4A上に形成される気体分離膜5は破断しにくくなり、良好に形成されうる。さらに、多孔質膜4の緻密層41と気体分離膜5との密着性が高くなる。緻密層41の平均表面孔径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて得られる画像を使用して算出することができる。
【0032】
空洞層42は、例えば、内部に形成される空隙の平均孔径が0.5μm以上である層とすることができる。この場合、多孔質膜4の圧力損失を低くすることができ、多孔質膜4を含む多孔質膜支持体2の圧力損失も低くなる。空洞層42の平均孔径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて得られる画像を使用して算出することができる。
【0033】
緻密層41及び空洞層42の厚みは特に限定されない。緻密層41の厚みは、例えば、0.1〜2μmの範囲内であってよい。空洞層42の厚みは、例えば、10〜40μmの範囲内であってよい。
【0034】
多孔質膜4の厚みは、10〜50μmの範囲内であることが好ましい。この場合、多孔質膜4の圧力損失を低くするとともに、十分な強度を確保することができる。多孔質膜4の厚みは、15〜30μmの範囲内であることがより好ましい。
【0035】
多孔質膜4の不織布3とは反対側の面4Aの算術平均粗さRaは、1〜20nmの範囲内であることが好ましい。多孔質膜4の不織布3とは反対側の面4Aの算術平均粗さRaが20nm以下である場合、多孔質膜4の表面4Aが十分に平滑であるため、気体分離膜5を良好に積層することができ、気体分離膜5が破断することを防ぐことができる。多孔質膜4の不織布3とは反対側の面4Aの算術平均粗さRaが1nm以上である場合、多孔質膜4と気体分離膜5との密着性を確保することができ、気体分離膜5が多孔質膜4から剥離することを防ぐことができる。多孔質膜4の不織布3とは反対側の面4Aの算術平均粗さRaは、5〜15nmの範囲内であることがより好ましい。本願における算術平均粗さRaは、JIS B0601:2013に準拠する。なお、算術平均粗さRaは、例えば、走査型プローブ顕微鏡、レーザー顕微鏡、市販の表面粗さ測定機等を用いて測定することができる。
【0036】
多孔質膜支持体2に酸素を流速5cm/秒で通過させたときの圧力損失が、8.0kPa(60mmHg)以下であることが好ましい。この場合、気体分離膜複合体1を用いて気体を分離濃縮する際に、気体分離膜複合体1中の気体分離膜5に十分な差圧を生じさせることができ、気体分離性能が向上する。多孔質膜支持体2に酸素を流速5cm/秒で通過させたときの圧力損失が、4.0kPa(30mmHg)以下であることがより好ましい。多孔質膜支持体2に酸素を流速5cm/秒で通過させたときの圧力損失の下限は特に限定されず、低いほど好ましい。多孔質膜支持体2に酸素を流速5cm/秒で通過させたときの圧力損失は、理想的には0kPa(0mmHg)であることが好ましい。なお、圧力損失とは、気体が膜を透過する際に抵抗によって生じるエネルギー損失のことをいう。多孔質膜支持体2の圧力損失は、例えば、圧力センサー等を用いて多孔質膜支持体2の両側(表面4A側と表面3B側)の圧力を計測し、その圧力差を算出することによって求めることができる。
【0037】
多孔質膜支持体2の厚みは、20〜550μmの範囲内であることが好ましい。この場合、多孔質膜支持体2は、気体分離膜5を支持するのに十分な強度を有するとともに、低い圧力損失を有することができる。多孔質膜支持体2の厚みは、60〜350μmの範囲内であることがより好ましい。
【0038】
[本実施形態に係る気体分離膜複合体1]
本実施形態に係る気体分離膜複合体1は、多孔質膜支持体2と、気体分離膜5と、を備え、気体分離膜5は、多孔質膜支持体2における、多孔質膜4の不織布3とは反対側の面4Aに配置される。
【0039】
本実施形態では、気体分離膜複合体1が、圧力損失の低い多孔質膜支持体2を備えることで、気体分離膜複合体1を用いて気体を分離濃縮する際に必要となる差圧の一部が、多孔質膜支持体2の圧力損失として失われにくくなり、気体分離膜5に十分な差圧を生じさせることができ、気体分離膜複合体1の気体分離性能が向上する。
【0040】
気体分離膜5は、二種類以上の気体が混合した混合気体から、特定の気体を選択的に分離、濃縮することができる。気体の種類によって気体分離膜5を透過する速度に違いがあるため、この速度の違いによって気体を分離濃縮することができる。例えば、酸素が気体分離膜5を透過する速度が、窒素が気体分離膜5を透過する速度よりも速い場合、酸素と窒素とを含む空気から酸素を分離濃縮することで酸素富化空気を得ることができる。
【0041】
気体分離膜5は、一層で構成されていてもよく、二層以上の複数の層から構成されていてもよい。気体分離膜5が複数の層から構成される場合、気体分離膜5は、気体を分離するための分離層と、分離層を保護するための保護層とを含んでもよい。
【0042】
気体分離膜5の材料は、特に限定されず、分離濃縮する気体の透過係数が高くなるように適宜選択することができる。
【0043】
気体分離膜5は、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリフマル酸エステル、シロキサン系化合物、一置換ポリジフェニルアセチレン、二置換ポリジフェニルアセチレンからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。この場合、気体分離膜5は、例えば酸素等の気体に対する高い透過係数を有するため、気体分離膜複合体1の気体分離性能が向上する。
【0044】
気体分離膜5は、必要に応じて、酸化防止剤、着色剤、充填材、可塑剤等の添加剤をさらに含有してもよい。
【0045】
気体分離膜5の厚みは、0.05〜0.2μmの範囲内であることが好ましい。この場合、気体の透過量が高くなり、気体分離膜複合体1の気体分離性能が高まる。気体分離膜5の厚みは、0.08〜0.12μmの範囲内であることがより好ましい。なお、気体分離膜5が複数の層からなる場合、気体分離膜5の厚みとは、気体分離膜5を構成するそれぞれの層の厚みの合計を意味する。
【0046】
気体分離膜複合体1の厚みは、特に限定されないが、例えば、20〜550μmの範囲内であることが好ましく、60〜350μmの範囲内であることがより好ましい。
【0047】
[本実施形態に係る多孔質膜支持体2の製造方法]
本実施形態の多孔質膜支持体2の製造方法は、不織布3に撥水剤を塗布する工程と、不織布3の一面3Aにポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程と、ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された不織布3を、水凝固液に浸漬する工程と、を含む。
【0048】
本実施形態では、不織布3に撥水剤を塗布することで、不織布3の一面3Aにポリエーテルスルホン含有溶液を塗工しても、不織布3にポリエーテルスルホン含有溶液が染み込みすぎないため、多孔質膜4中に緻密層41と空洞層42が安定的に形成される。
【0049】
不織布3に撥水剤を塗布する工程では、撥水剤を、不織布3の少なくとも一方の表面に塗布する。撥水剤を、不織布3Aの一面3Aに塗布してもよく、一面3Aとは反対側の面3Bに塗布してもよく、不織布3の両面3A及び3Bに塗布してもよい。また、不織布3を撥水剤に含浸してもよい。ただし、不織布3を撥水剤に含浸する場合や、不織布3の一面3Aに直接撥水剤を塗布する場合、不織布3の一面3Aの撥水性が高くなりすぎるおそれがあるため、撥水剤は、不織布3の一面3Aとは反対側の面4Bにのみ塗布されることが好ましい。
【0050】
不織布3にポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程では、例えばガラス板等の非付着性基盤上に不織布3を固定し、アプリケーターを用いて不織布3の一面3Aにポリエーテルスルホン含有溶液を均一に塗工する。塗工されたポリエーテルスルホン含有溶液の厚みは、60〜300μmの範囲内であることが好ましい。
【0051】
不織布3にポリエーテルスルホン含有溶液を塗工した後、ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された不織布3を、室温で約1〜60秒放置してもよい。これにより、塗工されたポリエーテルスルホン含有溶液の表面から溶媒が揮発し、表面が乾燥することで、緻密層41の一部が形成される。
【0052】
ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された不織布3を、水凝固液に浸漬する工程では、ポリエーテルスルホン含有溶液中に残存する溶媒が水凝固液の成分によって置換される。不織布3を水凝固液に浸漬した後に、不織布3を水等により洗浄してもよい。その後、非付着性基盤からポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された不織布3を剥離し、公知の方法で乾燥させることで、ポリエーテルスルホン含有溶液に残存していた溶媒が空隙となり、緻密層41の一部と空洞層42とが形成される。これにより、不織布3上に、緻密層41と空洞層42とを有する多孔質膜4を備える多孔質膜支持体2が作製される。
【0053】
水凝固液の成分は特に限定されないが、水凝固液は、例えば水、ジメチルホルムアミド等を含有できる。
【0054】
撥水剤を塗布する工程後の不織布3の一面3Aの水に対する接触角は、70°以上100°以下であることが好ましい。この場合、不織布3の一面3Aにポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程において、ポリエーテルスルホン含有溶液が不織布3に染み込みすぎることを防ぐことができる。また、不織布3の一面3Aがポリエーテルスルホン含有溶液を弾きすぎることも防ぐことができる。このため、多孔質膜4の緻密層41と空洞層42とがより安定的に形成されやすくなる。撥水剤を塗布する工程後の不織布3の一面3Aの水に対する接触角は、75°以上100°以下であることがより好ましい。
【0055】
多孔質膜支持体2は、不織布3に撥水剤を塗布する工程、不織布3の一面3Aにポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程、ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された不織布3を水凝固液に浸漬する工程、必要に応じて不織布3を洗浄する工程、及び不織布3を乾燥させる工程を連続的に経由させることで、連続的に製造されてもよい。
【0056】
[本実施形態に係る気体分離膜複合体1の製造方法]
本実施形態に係る気体分離膜複合体1の製造方法は、不織布3に撥水剤を塗布する工程と、不織布3の一面3Aにポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程と、ポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された不織布3を、水凝固液に浸漬し、不織布3上にポリエーテルスルホンを含有する多孔質膜4を形成する工程と、多孔質膜4の不織布3とは反対側の面4Aに気体分離膜5を形成する工程と、を含む。
【0057】
本実施形態では、緻密層41と空洞層42とが安定的に形成された多孔質膜4上に気体分離膜5を設けるため、気体分離膜5を良好に形成することができるとともに、高い気体分離性能を有する気体分離膜複合体1を製造することができる。
【0058】
不織布3に撥水剤を塗布する工程、不織布3の一面3Aにポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する工程、及びポリエーテルスルホン含有溶液が塗工された不織布3を、水凝固液に浸漬し、不織布3上にポリエーテルスルホンを含有する多孔質膜4を形成する工程については、上述の多孔質膜支持体2の製造方法と同様の方法を用いることができる。
【0059】
多孔質膜4の不織布3とは反対側の面4Aに気体分離膜5を形成する工程では、例えば、気体分離膜5の材料を含有する溶液を水面に展開し、気体分離膜5の薄膜を形成し、多孔質膜4の面4Aに積層することにより気体分離膜5を形成することができる。また、気体分離膜5は、多孔質膜4の表面4Aを気体分離膜5の材料を含有する溶液でコーティングすることで形成されてもよい。
【0060】
多孔質膜支持体2の製造と、気体分離膜5の形成とが連続的に行われてもよく、この場合、気体分離膜複合体1を連続的に製造することができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、本発明は、この実施例のみには制限されない。
【0062】
1.多孔質膜支持体2
1−1.多孔質膜支持体2の作製
次のようにして実施例1及び2の多孔質膜支持体2を作製した。不織布3として、ポリエチレンテレフタラート繊維からなる不織布(厚み115μm、坪量100g/m)を準備した。この不織布3の表面3Bに撥水剤を20g/mの塗布量で塗布した。次いで、不織布3をガラス板に固定し、不織布3の撥水剤を塗布した面3Bとは反対側の表面3Aに、アプリケーターを用いてポリエーテルスルホン含有溶液(濃度16.5質量%、溶媒ジメチルホルムアミド)を厚み25μmとなるよう塗工した。ポリエーテルスルホン含有溶液を塗工した不織布3をガラス板と共に水凝固液に浸漬した。ガラス板上の不織布3を水で洗浄した後、ガラス板から不織布3を剥離し、乾燥させた。これにより不織布3の表面3A上に多孔質膜4が形成された多孔質膜支持体2を得た。
【0063】
比較例1及び2では、不織布3に撥水剤を塗布せずに、その他は実施例1及び2と同様の方法で多孔質膜支持体2を得た。比較例3及び4では、不織布3としてポリプロピレン(融点約160℃)及びポリエチレン(融点約95℃)の混合繊維からなる不織布(厚み160μm、坪量85g/m)を用い、不織布3に撥水剤を塗布せずに、その他は実施例1及び2と同様の方法で多孔質膜支持体2を得た。
【0064】
1−2.多孔質膜支持体2における水接触角の測定
実施例1及び2において、撥水剤を塗布した後の不織布3の表面3A及び表面3Bの水接触角を、接触角計(協和界面科学株式会社製)を用い、純水を用いた液滴法により測定した。比較例1〜4においては、撥水剤を塗布していないため、ポリエーテルスルホン含有溶液を塗工する前の不織布3の表面3A及び3Bの水接触角を上記の方法により測定した。
【0065】
1−3.多孔質膜支持体2における算術平均粗さRaの測定
全実施例及び比較例において、多孔質膜支持体2の表面4A(多孔質膜4の表面4A)の算術平均粗さRaを、走査型プローブ顕微鏡(株式会社島津製作所製、SPM−9600)を用いて測定した。
【0066】
1−4.多孔質膜支持体2の圧力損失の測定
全実施例及び比較例において、次のようにして多孔質膜支持体2の圧力損失を測定した。バルブから多孔質膜支持体2へと一方向に酸素が流れる装置を準備し、多孔質膜4がバルブ側になるように多孔質膜支持体2を配置した。この装置を用いて、バルブの上流と多孔質膜支持体2の下流との圧力差を98.0kPa(735mmHg)に設定した。多孔質膜支持体2の単位面積10.2cmあたりに1秒間に酸素5cmを透過するようにバルブを調節し、多孔質膜支持体2の上流(バルブの下流)と多孔質膜支持体2の下流の圧力差を、マノメーター(ホダカ株式会社製、HT−1500NH)を用いて測定した。
【0067】
2.気体分離膜複合体1の作製
次のようにして実施例1、比較例1、及び比較例3の気体分離膜複合体1を作製した。テトラヒドロフランと1−クロロブタンとが6:94の質量比で混合された有機溶媒中に、ポリ(1−(p−トリメチルシリルフェニル)−2−フェニルアセチレン)0.42質量%、ポリフマル酸エステル0.04質量%、及びポリジメチルシロキサンとスチレンとの共重合体0.02質量%を含有する分離膜形成用溶液を準備した。この分離膜形成用溶液を、水面に展開することで薄膜の分離膜を形成し、この分離膜を4層積層することで気体分離膜5を得た。この気体分離膜5を多孔質膜支持体2の表面4Aに積層することで気体分離膜複合体1を作製した。
【0068】
次のようにして実施例2、比較例2、及び比較例4の気体分離膜複合体1を作製した。実施例1、比較例1、及び比較例3で用いた分離膜形成用溶液を用いて、上記と同様の方法で分離膜を形成し、この分離膜を4層積層した。テトラヒドロフランと1−クロロブタンとが5:95の質量比で混合された有機溶媒中に、ポリフマル酸エステル0.04質量%及びポリジメチルシロキサンとスチレンとの共重合体3.77質量%を含有する保護膜形成用溶液を準備した。次いで、実施例1、比較例3、及び比較例5で用いた分離膜形成用溶液を用いて、上記と同様の方法で分離膜を形成し、この分離膜を4層積層した後、保護膜形成用溶液を用いて、4層積層された分離膜上に、保護膜を2層積層した。これにより、分離膜4層と保護膜2層とからなる気体分離膜5を得た。この気体分離膜5を多孔質膜支持体2の表面4Aに積層することで気体分離膜複合体1を作製した。
【0069】
2−1.気体分離膜複合体1の気体透過量の測定
全実施例及び比較例の気体分離膜複合体1の酸素及び窒素の透過量は、気体分離膜複合体1の両側の圧力差を98.0kPa(735mmHg)とした場合に、5cmの酸素又は窒素が面積10.2cmの気体分離膜複合体1を通過するのに要する時間より算出した。また、窒素の透過量に対する酸素の透過量の比を、気体分離比として算出した。
【0070】
2−2.気体分離膜複合体1の耐熱性評価
次のようにして実施例2及び比較例4の気体分離膜複合体1の耐熱性を評価した。気体分離膜複合体1を、温度105℃の環境下に1000時間放置した後、酸素の透過量を上記と同様の方法で測定し、酸素の透過量の変化率を算出した。なお、マイナスの変化率は、酸素の透過量が減少したことを示す。
【0071】
2−3.気体分離膜複合体1の耐湿性評価
次のようにして実施例2及び比較例4の気体分離膜複合体1の耐湿性を評価した。気体分離膜複合体1を、湿度85%及び温度85℃の環境下に1000時間放置した後、酸素の透過量を上記と同様の方法で測定し、酸素の透過量の変化率を算出した。なお、マイナスの変化率は、酸素の透過量が減少したことを示す。
【0072】
【表1】
【符号の説明】
【0073】
1 気体分離膜複合体
2 多孔質膜支持体
3 不織布
4 多孔質膜
5 気体分離膜
図1
図2