【実施例1】
【0021】
図1は、本発明に係る食材調理容器の一実施例を示すもので、
図1(A)は、その断面図、
図1(B)は、その中蓋の上面図である。
【0022】
図1(A)、(B)に示す実施例1の食材調理容器100おいて、この食材調理容器100は、蓋体10と容器本体20から構成され、容器本体20の中間部には中板30が設けられ、この中板30により画成される、中板30の上面と蓋体10の下面との間の上の第1の空間40と、容器本体20の底面と中板30の下面との間の下の第2の空間50とからなる2重構造に形成される。
【0023】
そして、上の第1の空間40には、調理対象である食材41と、袋詰めされた野菜類、肉、小エビなどのフリーズドライした袋詰加薬42及び袋詰めされた液体若しくは粉末のソース43等が収容され、下の第2の空間50には、吸水剤51が収容される。ここで、吸水剤51としては、吸水により膨張する周知の吸水剤を用いることができる。
【0024】
ここで、上記中板30は、容器本体20と一体成形するように構成してもよいが、
図1(A)に示すように、容器本体20の上部に収容される上置き容器70の底面として構成することができ、このように構成するとこの食材調理容器100の製造工程を低減することができ、また、全体の製造コストを安く抑えることができる。
【0025】
また、上の第1の空間40に収容される食材41としては、例えば湯戻しした後に湯切りして食するカップ焼きそばを想定しているが、カップ焼きそば以外の湯戻しして食するカップ春雨、カップスパゲティ、生麺タイプのカップラーメン、カップうどん、及びカップ等に収容された餃子、シウマイ等の飲茶食材、又は水戻しして食するカップそば、カップうどん等であってもよい。
【0026】
容器本体20の中間部に設けられる上記中板30には、
図1(B)に示すように、複数の貫通孔31と、この貫通孔31を上から塞ぐ剥離シール32が貼設されている。この剥離シール32には、上の第1の空間40に収容された食材41の湯切り時若しくは水切り時に、外部から把持される延材部33が設けられている。なお、上記延材部33の代わりに剥離シール32に取り付けた紐等を設けるようにしてもよい。
【0027】
上の第1の空間40の食材41の湯切り時若しくは水切り時には、容器本体20の外部から延材部33を把持して引くことにより、剥離シール32を第1の空間40側から剥がして貫通孔31を開き、第1の空間40の湯又は水をこの貫通孔31を通って、第2の空間50に導いて、吸水剤51に吸収させる。
【0028】
さて、この発明に係る食材調理容器100には、上記貫通孔31を通った湯切り若しくは水切り後に、上記貫通孔31を下から閉じるための閉機構が設けられている。
【0029】
この閉機構は、中板30の上記貫通孔31が形成された箇所に対応して配設され、一端が中板30の下面に固設され、他端が自由端を形成している弾性体からなるシート材34から構成される。このシート材34は、湯切り若しくは水切りに際しては、その弾性力により貫通孔31を開いたままに維持するが、湯切り若しくは水切りに係る湯又は水が第2の空間50に流れ、吸水剤51に吸収されて、この吸水剤51は膨張すると、この吸水剤51の膨張に伴って、シート材34はその弾性力に抗して上に押し上げられ、貫通孔31を自動的に閉じるように機能する。
【0030】
また、第2の空間50の上部には、上記湯切り若しくは水切りに際して第1の空間40から第2の空間50への湯又は水の流れを容易にするための空気抜き孔52が設けられている。
【0031】
そして、この空気抜き孔52にも吸水剤51の膨張により空気抜き孔52を閉じる空気抜き孔閉機構が設けられている。この空気抜き孔閉機構は、第2の空間50の側内面の空気抜き孔52が形成された箇所に対応して配設され、一端が第2の空間50の側内面に固設され、他端が自由端を形成している弾性体からなる空気抜き孔用シート材53により構成される。
【0032】
図2は、上記貫通孔31を湯切り若しくは水切り後に閉じる閉機構の詳細を説明する断面図である。
【0033】
図2(A)に示すように、上記湯戻し、若しくは水戻し湯切り、若しくは水切り前においては、中板30の貫通孔31は、その上面側から貼られた剥離シール32により閉じられている。
【0034】
この状態において、剥離シール32が第1の空間40側から剥がされると、湯切り若しくは水切りに係る湯又は水は、
図2(B)に示すように、貫通孔31を通って第1の空間40から第2の空間50に流れる。この第2の空間50に流れた湯又は水は、第2の空間50内に収容されている吸水剤51に吸水される。
【0035】
第2の空間50内に収容されている吸水剤51は、湯切り、若しくは水切りに係る湯又は水の吸収により膨張し、
図2(C)に示すように、シート材34の弾性力に抗して、シート材34を下から上に押し上げ、その結果、貫通孔31は、シート材34により塞がれ、貫通孔31は閉じられることになる。
【0036】
図3、
図4は、
図1に示した食材調理容器100を用いた食材41の調理方法を説明する図である。
【0037】
図3(A)に示すように、この食材調理容器100の第1の空間40には、調理対象である食材41と、袋詰加薬42及び液体又は粉末ソース43等が収容され、第2の空間50には、吸水剤41が収容されている。
【0038】
この状態で、蓋体10を開け、袋詰加薬42及び液体又は粉末ソース43を取り出し、剥離シール32の延在部33の一端を容器本体20の外縁部から容器外に出し、
図3(B)に示すように、第1の空間40に必要な湯又は水60を注ぎ、第1の空間40内の食材41の湯戻し若しくは水戻しを行う。なお、ここで、袋詰加薬42を袋から取り出して第1の空間40内に投入し、袋詰加薬42の湯戻し若しくは水戻しを同時に行うようにしてもよい。
【0039】
第1の空間40内の湯又は水60が所定量に達すると、容器本体20に蓋体10を乗せて蓋をする。
【0040】
所要時間経過して、第1の空間40内の食材41等の湯戻し若しくは水戻しが完了すると、
図3(C)に示すように、容器本体20から蓋体10を外す。そして、剥離シール32の延在部33を引くことにより、剥離シール32を剥離し、中板30の貫通孔31を開く。これにより、第1の空間40内の湯又は水60は、貫通孔31を通って第2の空間50に流れ、湯切り若しくは水切りが行われる。
【0041】
この時、中板30の上記貫通孔31に対応して配設されたシート材34は、その弾性力で貫通孔31の下面から離間しており、また、第2の空間50の上部に形成された空気抜き孔52は、空気抜き孔用シート材53のその弾性力で開いた状態になっている。
【0042】
この空気抜き孔52の存在により、第1の空間40内の湯切り若しくは水切り係る湯又は水60は、容易に中板30の貫通孔31を通って下に流れることができ、容器全体を傾けたりしなくて確実かつ有効な湯切り若しくは水切りを行うことができる。
【0043】
第1の空間40から第2の空間50に流れ込んだ湯切りに係る湯又は水60は、
図4(D)に示すように、第2の空間40内の吸水剤51により吸収され、吸水剤51は徐々に膨張する。
【0044】
この吸水剤51の膨張により、シート材34は下から上に押し上げられ、
図4(E)に示すように、中板30の上記貫通孔31は、このシート材34により下から閉じられ、同様に、空気抜き孔52も空気抜き孔用シート材53により閉じられる。
【0045】
その後、
図4(F)に示すように、先に取り出した液体又は粉末ソース53を袋から取り出し、湯切り若しくは水切りした食材41に振り掛け混ぜることによりこの食材41の調理が終了する。
【0046】
上記構成によると、中板30の上記貫通孔31は、湯切り若しくは水切り後に、シート材34により閉じられるので、第2の空間50の吸水剤51に吸収された湯又は水が湯切り若しくは水切りした食材41に逆流して触れる虞は生じず、また、吸水剤51から発生するガス等も湯切り若しくは水切りした食材41に触れる虞もない。
【0047】
また、湯切り若しくは水切りした食材41に振り掛け混ぜる調味料等が液体であったとしても、この液体の調味料等が中板30の上記貫通孔31を通して第2の空間50に流れ、湯切り若しくは水切りした食材41が十分に味付けができないという不都合も解消できる。
【0048】
図5は、上記貫通孔31を湯切り若しくは水切り後に閉じる閉機構の詳細の他の構成例を説明する断面図である。
【0049】
図5においては、中板30の上記貫通孔31に対応して配設されるシート材34の上面に、上記貫通孔31に対応して形成され、該貫通孔31にそれぞれ嵌合する突起部35を有している。その他の構成は
図2に示した構成と同様である。
【0050】
すなわち、
図5(A)の状態で、剥離シール32が第1の空間40側から剥がされると、湯切り若しくは水切りに係る湯又は水は、
図5(B)に示すように、貫通孔31を通って第1の空間40から第2の空間50に流れ、この第2の空間50に流れた湯又は水は、第2の空間50内に収容されている吸水剤51に吸水される。
【0051】
第2の空間50内に収容されている吸水剤51は、湯切り、若しくは水切りに係る湯又は水の吸収により膨張し、
図5(C)に示すように、シート材34を下から上に押し上げられ、その結果、貫通孔31は、シート材34により塞がれ、貫通孔31は閉じられる。
【0052】
ここで、シート材34には、中板30の貫通孔31に対応して突起部35が形成されているので、
図5(C)の状態において、シート材34の突起部35は、中板30の貫通孔31に嵌合し、これにより貫通孔31をより確実に閉じることができる。
【0053】
なお、
図1に示した空気抜き孔閉機構を構成する空気抜き孔用シート材53の上面にも、
図5と同様に、空気抜き孔52に対応する突起部を設けて、空気抜き孔52が閉じられる場合に、この突起部を空気抜き孔52に嵌合させて、空気抜き孔52が確実に閉じられるように構成してもよい。
【実施例2】
【0054】
図6は、本発明に係る食材調理容器の他の実施例を示す断面図である。なお、
図6において、
図1に示した食材調理容器と同様の機能を有する部分には説明の便宜上
図1で用いた符号と同じ符号を付する。
【0055】
図1に示した実施例1の食材調理容器100においては、剥離シール32を中板30の上面側に貼設し、湯切り若しくは水切りに際してはこの剥離シール32を中板30の上面側から剥がすように構成したのに対して、
図6に示す実施例2の食材調理容器200においては、剥離シール32を中板30の下面側に貼設し、剥離シール32を中板30の下面側から剥がすように構成されている。
【0056】
また、
図6に示す実施例2の食材調理容器200においては、剥離シール32を剥がしを容易にするために、剥離シール32の延在部33を食材調理容器200の中央側で折り返して剥離シール32に接続するとともに、容器本体20に収容される上置き容器70と容器本体20の側壁との間の間隙からこの延在部33を容器外部に引き出すように構成されている。
【0057】
この構成によると、この延在部33を把持して引くことにより、剥離シール32はこの食材調理容器200の中央側から順次剥がされることになり、また、この場合、上置き容器70と容器本体20の側壁との間の間隙は、
図1に示した空気抜き孔52と同様の作用を行うことになるので、
図1に示した食材調理容器100に形成した空気抜き孔52及びこの空気抜き孔52を閉じる空気抜き孔用シート材53からなる空気抜き孔閉機構は不要になる。
【0058】
その他の構成は、
図1に示した実施例1の食材調理容器100と同様である。
【0059】
すなわち、
図6に示した実施例2の食材調理容器200は、蓋体10と容器本体20から構成され、容器本体20の中間部には上置き容器70の底面としての中板30が設けられ、この中板30により画成される、中板30の上面と蓋体10の下面との間の上の第1の空間40と、容器本体20の底面と中板30の下面との間の下の第2の空間50とからなる2重構造に形成される。
【0060】
そして、上の第1の空間40には、調理対象である食材41と、袋詰めされた野菜類、肉、小エビなどのフリーズドライした袋詰加薬42及び袋詰めされた液体若しくは粉末のソース43等が収容され、下の第2の空間50には、吸水剤51が収容される。
【0061】
第1の空間40の食材41の湯切り時若しくは水切り時には、容器本体20の外部から延材部33を把持して引くことにより、剥離シール32を第2の空間50側から剥がして貫通孔31を開き、第1の空間40の湯又は水をこの貫通孔31を通って、第2の空間50に導いて、吸水剤51に吸収させる。
【0062】
また、
図2に示した構成と同様に、中板30の貫通孔31が形成された箇所に対応して貫通孔31を下から閉じるための閉機構としてのシート材34が設けられており、このシート材34は、一端が中板30の下面に固設され、他端が自由端を形成している弾性体からなり、湯切り若しくは水切りに際しては、その弾性力により貫通孔31を開いたままに維持するが、湯切り若しくは水切りが終了すると、第1の空間40から第2の空間50に流れた湯又は水の吸収により吸水剤51が膨張し、この吸水剤51の膨張に伴ってシート材34が上に押し上げられ、貫通孔31を自動的に閉じられる。
【0063】
上記構成によっても、
図3及び
図4で説明したと同様に第1の空間40の食材の調理を行うことができ、中板30の上記貫通孔31は、湯切り若しくは水切り後に、シート材34により閉じられるので、第2の空間50の吸水剤51に吸収された湯又は水が湯切り若しくは水切りした食材41に逆流して触れる虞は生じず、また、吸水剤51から発生するガス等も湯切り若しくは水切りした食材41に触れる虞もない。
【0064】
また、湯切り若しくは水切りした食材41に振り掛け混ぜる調味料等が液体であったとしても、この液体の調味料等が中板30の上記貫通孔31を通して第2の空間50に流れ、十分に味付けができないという不都合も解消できる。
【0065】
なお、この構成においても、
図5に示したように、シート材34の上面に、上記貫通孔31に対応して形成され、該貫通孔31にそれぞれ嵌合する突起部35を設け、貫通孔31をより確実に閉じるように構成してもよい。
【0066】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内であれば、当業者の通常の創作能力によって多くの変形が可能である。
【0067】
例えば、上記実施例1及び2において、閉機構は、中板30の上記貫通孔31が形成された箇所に対応して配設され、一端が中板30の下面に固設され、他端が自由端を形成している弾性体からなるシート材34から構成したが、このシート材34を、中板30の上記貫通孔31が形成された箇所に対応する中板30の下面の両端箇所で多少の余裕をもって固設し、湯切り、若しくは水切りに係る湯又は水は、上記余裕をもった箇所から第2の空間50に流れ、湯切り、若しくは水切り終了時には上記シート材34を上記吸水剤51の膨張により上に押し上げて貫通孔31を閉じるように構成してもよい。
【0068】
また、このシート材34を、中板30の上記貫通孔31が形成された箇所に対応する中板30の下面の3か所以上で多少の余裕をもって固設し、湯切り、若しくは水切りに係る湯又は水は、上記余裕をもった箇所から第2の空間50に流れ、湯切り、若しくは水切り終了時には上記シート材34を上記吸水剤51の膨張により上に押し上げて貫通孔31を閉じるように構成してもよい。
【0069】
さらに、第2の空間50内に、両端が自由端となるシート材を配設し、湯切り、若しくは水切り終了時には上記シート材を上記吸水剤51の膨張により上に押し上げて貫通孔31を閉じるように構成してもよい。