(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなX線検査装置においては、第1物性を有する第1部分、及び第2物性を有する第2部分を含む物品を検査対象として、X線の減衰特性において当該物品と差が少ない異物を検出すべき場合がある。例えば、赤身と脂身とを含む牛肉を検査対象として、異物として骨片を検出するような場合である。
【0005】
本発明は、第1物性を有する第1部分、及び第2物性を有する第2部分を含む物品において、異物を精度良く検出することができるX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のX線検査装置は、第1物性を有する第1部分、及び第2物性を有する第2部分を含む物品にX線を照射するX線照射部と、物品を透過した第1エネルギー帯のX線、及び物品を透過した第2エネルギー帯のX線を検出するX線検出部と、第1エネルギー帯のX線の第1検出結果、及び第2エネルギー帯のX線の第2検出結果に基づいて、物品に異物が含まれているか否かを判定する処理部と、を備え、処理部は、物品について取得された第1検出結果及び第2検出結果を用いて第1処理を実施することにより、第1部分に異物が含まれているか否かを判定し、物品について取得された第1検出結果及び第2検出結果を用いて第2処理を実施することにより、第2部分に異物が含まれているか否かを判定し、第1処理は、予め第1部分について取得された第1検出結果及び第2検出結果を合わせ込む処理であり、第2処理は、予め第2部分について取得された第1検出結果及び第2検出結果を合わせ込む処理である。
【0007】
このX線検査装置では、第1部分に異物が含まれているか否かを判定するために、予め第1部分について取得された第1検出結果及び第2検出結果を合わせ込む第1処理が実施される。また、第2部分に異物が含まれているか否かを判定するために、予め第2部分について取得された第1検出結果及び第2検出結果を合わせ込む第2処理が実施される。これらにより、例えば、第1部分に異物が含まれているか否か、及び第2部分に異物が含まれているか否かを判定するために、第1検出結果及び第2検出結果を合わせ込む同一の処理が実施される場合に比べ、異物を精度良く検出することができる。よって、このX線検査装置によれば、第1物性を有する第1部分、及び第2物性を有する第2部分を含む物品において、異物を精度良く検出することができる。
【0008】
本発明のX線検査装置では、第1処理は、予め第1部分について取得された第1検出結果及び第2検出結果において対応する画素間の輝度値を輝度値ごとに合わせ込む処理であり、第2処理は、予め第2部分について取得された第1検出結果及び第2検出結果において対応する画素間の輝度値を輝度値ごとに合わせ込む処理であってもよい。これによれば、第1部分に異物が含まれているか否か、及び第2部分に異物が含まれているか否かを好適に判定することができる。
【0009】
本発明のX線検査装置では、処理部は、物品について取得された第1検出結果及び第2検出結果を用いて、物品の全体に対応する領域について第1処理を実施することにより、第1部分に異物が含まれているか否かを判定し、物品について取得された第1検出結果及び第2検出結果を用いて、物品の全体に対応する領域について第2処理を実施することにより、第2部分に異物が含まれているか否かを判定してもよい。これによれば、第1部分に異物が含まれているか否か、及び第2部分に異物が含まれているか否かを簡易に且つ精度良く判定することができる。
【0010】
本発明のX線検査装置では、処理部は、物品について取得された第1検出結果及び第2検出結果の少なくとも1つに基づいて、当該物品において第1部分に対応する第1領域及び第2部分に対応する第2領域を抽出し、物品について取得された第1検出結果及び第2検出結果を用いて、第1領域について第1処理を実施することにより、第1部分に異物が含まれているか否かを判定し、物品について取得された第1検出結果及び第2検出結果を用いて、第2領域について第2処理を実施することにより、第2部分に異物が含まれているか否かを判定してもよい。これによれば、第1部分に異物が含まれているか否か、及び第2部分に異物が含まれているか否かをより精度良く判定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1物性を有する第1部分、及び第2物性を有する第2部分を含む物品において、異物を精度良く検出することができるX線検査装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1に示されるように、X線検査装置1は、装置本体2と、支持脚3と、シールドボックス4と、搬送部5と、X線照射部6と、X線検出部7と、表示操作部8と、制御部10と、を備えている。X線検査装置1は、物品Gを搬送しつつ物品GのX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づいて物品Gの検査(例えば、収納数検査、異物混入検査、欠品検査、割れ欠け検査等)を行う。検査前の物品Gは、搬入コンベア51によってX線検査装置1に搬入される。検査後の物品Gは、搬出コンベア52によってX線検査装置1から搬出される。X線検査装置1によって不良品と判定された物品Gは、搬出コンベア52の下流に配置された振分装置(図示省略)よって生産ライン外に振り分けられる。X線検査装置1によって良品と判定された物品Gは、当該振分装置をそのまま通過する。
【0015】
装置本体2は、制御部10等を収容している。支持脚3は、装置本体2を支持している。シールドボックス4は、装置本体2に設けられている。シールドボックス4は、外部へのX線の漏洩を防止する。シールドボックス4の内部には、X線による物品Gの検査が実施される検査領域Rが設けられている。シールドボックス4には、搬入口4a及び搬出口4bが形成されている。検査前の物品Gは、搬入コンベア51から搬入口4aを介して検査領域Rに搬入される。検査後の物品Gは、検査領域Rから搬出口4bを介して搬出コンベア52に搬出される。搬入口4a及び搬出口4bのそれぞれには、X線の漏洩を防止するX線遮蔽カーテン(図示省略)が設けられている。
【0016】
搬送部5は、シールドボックス4内に配置されている。搬送部5は、搬入口4aから検査領域Rを介して搬出口4bまで、搬送方向Aに沿って物品Gを搬送する。搬送部5は、例えば、搬入口4aと搬出口4bとの間に掛け渡されたベルトコンベアである。
【0017】
図1及び
図2に示されるように、X線照射部6は、シールドボックス4内に配置されている。X線照射部6は、搬送部5によって搬送される物品GにX線を照射する。X線照射部6は、例えば、X線を出射するX線管と、X線管から出射されたX線を搬送方向Aに垂直な面内において扇状に広げるコリメータと、を有している。
【0018】
X線検出部7は、シールドボックス4内に配置されている。X線検出部7は、第1ラインセンサ11と、第2ラインセンサ12と、を有している。第1ラインセンサ11及び第2ラインセンサ12は、それぞれ、搬送方向Aに垂直な水平方向に沿って一次元に配列されたX線検出素子によって構成されている。第1ラインセンサ11は、物品G及び搬送部5の搬送ベルトを透過した低エネルギー帯(第1エネルギー帯)のX線を検出する。第2ラインセンサ12は、物品G、搬送部5の搬送ベルト及び第1ラインセンサ11を透過した高エネルギー帯(第2エネルギー帯)のX線を検出する。
【0019】
図1に示されるように、表示操作部8は、装置本体2に設けられている。表示操作部8は、各種情報を表示すると共に、各種条件の入力を受け付ける。表示操作部8は、例えば、液晶ディスプレイであり、タッチパネルとしての操作画面を表示する。この場合、オペレータは、表示操作部8を介して各種条件を入力することができる。
【0020】
制御部10は、装置本体2内に配置されている。制御部10は、X線検査装置1の各部の動作を制御する。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されている。制御部10には、X線検出部7の第1ラインセンサ11(
図2参照)から低エネルギー帯のX線の検出結果(第1検出結果)が入力されると共に、X線検出部7の第2ラインセンサ12(
図2参照)から高エネルギー帯のX線の検出結果(第2検出結果)が入力される。制御部10は、低エネルギー帯のX線の検出結果、及び高エネルギー帯のX線の検出結果に基づいて、物品Gに異物が含まれているか否かを判定する処理部として機能する。
【0021】
以上のように構成されたX線検査装置1において実施される異物検出処理の一例について説明する。以下の例は、
図5の(a)に示されるように、第1物性を有する第1部分P1(例えば赤身)及び第2物性を有する第2部分P2(例えば脂身)を含む物品G(例えば牛肉)を検査対象として、異物F(例えば骨片)を検出する例である。なお、第1物性及び第2物性とは、X線の減衰特性(エネルギー特性)が互いに異なる物性を意味する。
【0022】
まず、第1部分P1のみを含む物品Gを用意し、当該物品GをX線検査装置1に掛ける。これにより、
図3の(a)に示されるように、第1部分P1のみを含む物品Gについて、低エネルギー帯のX線の検出結果(破線)及び高エネルギー帯のX線の検出結果(実線)が取得される。
図3の(a)は、第1部分P1のみを含む物品GのX線透過画像における輝度値のヒストグラムであり、縦軸の度数は、当該物品GのX線透過画像における画素数に相当する。
【0023】
続いて、制御部10は、等しい度数Fにおいて、高エネルギー帯のX線の輝度値LHを低エネルギー帯のX線の輝度値LLに合わせるための乗数を算出する。制御部10は、当該乗数の算出を全ての度数について実施することにより、
図3の(b)に示されるように、高エネルギー帯のX線の輝度値と乗数との関係を取得し、当該関係を記憶する。
【0024】
これにより、制御部10は、第1部分P1について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果に対し輝度値ごとに乗数を掛けて輝度値を補正し、補正した高エネルギー帯のX線の検出結果と、第1部分P1について取得された低エネルギー帯のX線の検出結果との差分を画素ごとに取る第1処理を実施することが可能となる。つまり、第1処理は、予め第1部分P1について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果において対応する画素間の輝度値を輝度値ごとに合わせ込む処理といえる。更に、第1処理は、予め第1部分P1について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を合わせ込む処理といえる。
【0025】
以上の第1処理の実施の準備を行う一方で、第2部分P2のみを含む物品Gを用意し、当該物品GをX線検査装置1に掛ける。これにより、
図4の(a)に示されるように、第2部分P2のみを含む物品Gについて、低エネルギー帯のX線の検出結果(破線)及び高エネルギー帯のX線の検出結果(実線)が取得される。
図4の(a)は、第2部分P2のみを含む物品GのX線透過画像における輝度値のヒストグラムであり、縦軸の度数は、当該物品GのX線透過画像における画素数に相当する。
【0026】
続いて、制御部10は、等しい度数Fにおいて、高エネルギー帯のX線の輝度値LHを低エネルギー帯のX線の輝度値LLに合わせるための乗数を算出する。制御部10は、当該乗数の算出を全ての度数について実施することにより、
図4の(b)に示されるように、高エネルギー帯のX線の輝度値と乗数との関係を取得し、当該関係を記憶する。
【0027】
これにより、制御部10は、第2部分P2について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果に対し輝度値ごとに乗数を掛けて輝度値を補正し、補正した高エネルギー帯のX線の検出結果と、第2部分P2について取得された低エネルギー帯のX線の検出結果との差分を画素ごとに取る第2処理を実施することが可能となる。つまり、第2処理は、予め第2部分P2について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果において対応する画素間の輝度値を輝度値ごとに合わせ込む処理といえる。更に、第2処理は、予め第2部分P2について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を合わせ込む処理といえる。
【0028】
以上の第1処理の実施の準備及び第2処理の実施の準備を行った後に、
図5に示されるように、第1物性を有する第1部分P1及び第2物性を有する第2部分P2を含む物品Gの検査を開始する。
【0029】
まず、制御部10は、第1部分P1及び第2部分P2を含む物品Gについて取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を用いて、物品Gの全体に対応する領域について第1処理を実施することにより、
図5の(b)に示されるように、輝度値の差分を取得する。続いて、制御部10は、当該輝度値の差分と予め設定された第1閾値T1とを比較し、第1閾値T1を超えた領域を、異物Fに対応する領域と判定する。このように、制御部10は、第1部分P1及び第2部分P2を含む物品Gについて取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を用いて、物品Gの全体に対応する領域について第1処理を実施することにより、第1部分P1に異物Fが含まれているか否かを判定する。
【0030】
その一方で、制御部10は、第1部分P1及び第2部分P2を含む物品Gについて取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果(上述したものと同一の検出結果)を用いて、物品Gの全体に対応する領域について第2処理を実施することにより、
図5の(c)に示されるように、輝度値の差分を取得する。続いて、制御部10は、当該輝度値の差分と予め設定された第2閾値T2とを比較し、第2閾値T2を超えた領域を、異物Fに対応する領域と判定する。このように、制御部10は、第1部分P1及び第2部分P2を含む物品Gについて取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を用いて、物品Gの全体に対応する領域について第2処理を実施することにより、第2部分P2に異物Fが含まれているか否かを判定する。
【0031】
図5の(b)及び(c)には、
図5の(a)に示される一点鎖線上に位置する画素の輝度値の差分が示されている。
図5の(b)では、第1部分P1に相当する領域において、第2部分P2に相当する領域よりもノイズが小さくなっており、第1部分P1に含まれる異物Fに相当する領域において、輝度値の差分が第1閾値T1を超えている(すなわち、第1部分P1に含まれる異物Fが検出されている)。これは、
図5の(b)に示される輝度値の差分が、予め第1部分P1について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を合わせ込む第1処理を実施した結果だからである。
【0032】
その一方で、
図5の(c)では、第2部分P2に相当する領域において、第1部分P1に相当する領域よりもノイズが小さくなっており、第2部分P2に含まれる異物Fに相当する領域において、輝度値の差分が第2閾値T2を超えている(すなわち、第2部分P2に含まれる異物Fが検出されている)。これは、
図5の(c)に示される輝度値の差分が、予め第2部分P2について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を合わせ込む第2処理を実施した結果だからである。
【0033】
以上説明したように、X線検査装置1では、第1部分P1に異物Fが含まれているか否かを判定するために、予め第1部分P1について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を合わせ込む第1処理が実施される。また、第2部分P2に異物Fが含まれているか否かを判定するために、予め第2部分P2について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を合わせ込む第2処理が実施される。これらにより、例えば、第1部分P1に異物Fが含まれているか否か、及び第2部分P2に異物Fが含まれているか否かを判定するために、高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を合わせ込む同一の処理が実施される場合に比べ、異物Fが第1部分P1に含まれているか第2部分P2に含まれているかにかかわらず、異物Fを精度良く検出することができる。よって、X線検査装置1によれば、第1物性を有する第1部分P1、及び第2物性を有する第2部分P2を含む物品Gにおいて、異物Fを精度良く検出することができる。
【0034】
一例として、第1処理は、予め第1部分P1について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果において対応する画素間の輝度値を輝度値ごとに合わせ込む処理である。また、第2処理は、予め第2部分P2について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果において対応する画素間の輝度値を輝度値ごとに合わせ込む処理である。これにより、第1部分P1に異物Fが含まれているか否か、及び第2部分P2に異物Fが含まれているか否かを好適に判定することができる。
【0035】
制御部10は、物品Gについて取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を用いて、物品Gの全体に対応する領域について第1処理を実施することにより、第1部分P1に異物Fが含まれているか否かを判定する。また、制御部10は、物品Gについて取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を用いて、物品Gの全体に対応する領域について第2処理を実施することにより、第2部分P2に異物Fが含まれているか否かを判定する。これにより、第1部分P1に異物Fが含まれているか否か、及び第2部分P2に異物Fが含まれているか否かを簡易に且つ精度良く判定することができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、制御部10は、物品Gについて取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を用いて、第1部分P1に対応する第1領域について第1処理を実施することにより、第1部分P1に異物Fが含まれているか否かを判定し、物品Gについて取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を用いて、第2部分P2に対応する第2領域について第2処理を実施することにより、第2部分P2に異物Fが含まれているか否かを判定してもよい。この場合、制御部10は、物品Gについて取得された高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果の少なくとも1つに基づいて、物品Gにおいて第1部分P1に対応する第1領域及び第2部分P2に対応する第2領域を予め抽出する。これによれば、第1部分P1に異物Fが含まれているか否か、及び第2部分P2に異物Fが含まれているか否かをより精度良く判定することができる。
【0037】
また、物品Gについては、例えば、2種類の食品が互いに隔てられた状態で1つのパッケージに収容されているような場合に、一方の種類の食品を第1部分P1と捉え、他方の種類の食品を第2部分P2と捉えることができる。つまり、第1物性を有する第1部分P1及び第2物性を有する第2部分P2は、物品Gにおいて一体として存在する場合に限定されず、例えば1つのパッケージ内において、別々に存在する場合もある。
【0038】
なお、第1部分P1及び第2部分P2が別々に存在する場合には、第2部分P2に対応する第2領域にマスク処理を施した状態で、第1部分P1に対応する第1領域について第1処理を実施することにより、第1部分P1に異物Fが含まれているか否かを判定し、第1部分P1に対応する第1領域にマスク処理を施した状態で、第2部分P2に対応する第2領域について第2処理を実施することにより、第2部分P2に異物Fが含まれているか否かを判定することが、有効である。また、例えば、X線の減衰特性が内容物とは異なる容器内に当該内容物が検査対象として収容されているような場合には、当該容器の縁、仕切り等に相当する領域にマスク処理を施した上で、当該内容物に異物Fが含まれているか否かを判定することができる。
【0039】
また、制御部10は、等しい度数Fにおいて、低エネルギー帯のX線の輝度値LLを高エネルギー帯のX線の輝度値LHに合わせるための乗数を算出し、当該乗数の算出を全ての度数について実施することにより、低エネルギー帯のX線の輝度値と乗数との関係を取得し、当該関係を記憶してもよい。その場合、制御部10は、第1部分P1について取得された低エネルギー帯のX線の検出結果に対し輝度値ごとに乗数を掛けて輝度値を補正し、補正した低エネルギー帯のX線の検出結果と、第1部分P1について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果との差分を画素ごとに取る第1処理を実施する。また、制御部10は、第2部分P2について取得された低エネルギー帯のX線の検出結果に対し輝度値ごとに乗数を掛けて輝度値を補正し、補正した低エネルギー帯のX線の検出結果と、第2部分P2について取得された高エネルギー帯のX線の検出結果との差分を画素ごとに取る第2処理を実施する。
【0040】
また、互いに異なる3つ以上の物性を有する3つ以上の部分を含む物品Gを検査対象とすることも可能である。その場合にも、それぞれの部分について、高エネルギー帯のX線の検出結果及び低エネルギー帯のX線の検出結果を合わせ込む処理を予め準備すればよい。