【文献】
ITAKO, Kazutaka et al.,Proposition of Novel Real Time Hot-Spot Detection Method for PV Generation System,17 IEEE International Conference on Smart Grid and Smart Cities (ICSGSC),IEEE,2017年07月23日,pp.99-102,DOI: 10.1109/ICSGSC.2017.8038557
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
【0012】
ここでは、まず、本発明の太陽電池の動作電圧制御方法の基本的な考え方について説明する。
【0013】
図1は、太陽電池ストリングの等価回路を示す。
図1に示す太陽電池ストリングは、直列に接続されたN個の太陽電池モジュールからなる。太陽電池ストリングを構成する太陽電池モジュールは、直列に接続された複数のセルからなり、その一部に、結晶欠陥を有するセル(以下、欠陥セルという)を含んでいる。ここで、
図1に示す等価回路では、欠陥のないセル(以下、正常セルという)を電流源とダイオードの並列回路に見立てる一方で、欠陥セルを電流源とダイオードの並列回路ならびにその逆方向リーク電流のコンダクタンスG
Hに見立てている。
【0014】
ここで、欠陥セルに陰が付加された場合を考える。影が付加された部分の面積比率をα(0〜1.0)とし、陰が付加されていないときの欠陥セルの短絡電流をI
SCとすると、陰が付加されたときの欠陥セルの短絡電流は(1−α)I
SCとなる。ここで、
図1(a)に示すように、太陽電池ストリングの出力電流I
PV(以下、ストリング電流I
PVという)が欠陥セルの短絡電流(1−α)I
SCを超えない間は、コンダクタンスG
Hに電流が流れないので、ホットスポットは発生しない。以下、この状態をモード1とする。
【0015】
一方、
図1(b)に示すように、ストリング電流I
PVが欠陥セルの短絡電流(1−α)I
SCを超えると、その超過分がコンダクタンスG
Hを流れるようになる。その結果、セルの欠陥部分が局部的に発熱し、ホットスポットが発生する。以下、ストリング電流I
PVの増加に従ってホットスポットの発熱が増大する状態をモード2とする。
【0016】
その後、コンダクタンスG
Hに電流が流れ続け、欠陥セルの端子電圧V
HSの負方向の電圧が正常セルの発生電圧よりも大きくなると、その時点で、欠陥セルを含む太陽電池モジュールに並列に設けられたバイパスダイオードが順バイアスされる。その結果、欠陥セルのダイオードがオン状態となり、コンダクタンスG
Hでの発熱が最大となった状態が維持される。以下、この状態をモード3とする。
【0017】
図2は、影の面積比率α=0.75のときの太陽電池ストリングのP−V曲線(太実線)と、欠陥セルで消費される電力(以下、ホットスポット電力という)に係るP−V曲線(細実線)を合わせて示している。
図2から分かるように、欠陥セルに影が付加されているときに、太陽電池モジュールを最大電力点電圧V
OPで動作させると、ホットスポット電力が最大になり危険である。一方、ホットスポット電力がゼロになる動作点X(モード1とモード2の境界)で太陽電池モジュールを動作させることができれば、ホットスポットを回避することができ、且つ、その条件下での最大電力を確保することが可能となる。
【0018】
上述した考え方に基づき、本発明は、欠陥セルに影が付加されているときに、ホットスポット電力が常にゼロになるように、太陽電池ストリングの動作電圧を制御する方法、ならびに、その方法を実行する動作電圧制御装置を開示するものである。
【0019】
以上、本発明の基本的な考え方について説明してきたが、続いて、本発明の動作電圧制御装置の実施形態について説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図3は、本発明の第1実施形態である太陽電池の動作電圧制御装置100が実装された太陽光発電システム1000のシステム構成を示す。
図3に示すように、太陽光発電システム1000は、太陽電池ストリング(以下、PVストリングという場合がある。)50と、PVストリング50の出力電圧を測定する電圧計52と、PVストリング50の出力電流を検出する電流計53と、パワーコンディショナー(PCS)30とを含んで構成されており、PCS30には、インダクタ22、スイッチ素子23、ダイオード24および平滑コンデンサ25を備えるDC−DCコンバータ20と、本実施形態の動作電圧制御装置100が搭載されている。
【0021】
本実施形態の動作電圧制御装置100は、電圧計52および電流計53から入力される電圧値および電流値に基づいて所定の演算を実行し、その演算結果に基づいてスイッチ素子23のオン・オフをPWM制御することにより、PVストリング50を動作電圧を制御する装置であり、I−V特性取得部12と、偏導関数算出部13と、影発生判定部14と、ホットスポット発生判定部15と、動作電圧設定部16と、動作電圧制御部17と、MPPT制御部18とを含んで構成される。
【0022】
I−V特性取得部12は、電圧計52および電流計53から入力される検出値に基づいて、PVストリング50のI−V特性を取得する手段である。
【0023】
偏導関数算出部13は、I−V特性取得部12が取得したI−V特性に基づいて、PVストリング50に係る出力電流I
PVの出力電圧V
PVに対する偏導関数を算出する手段である。
【0024】
影発生判定部14は、偏導関数算出部13が算出した偏導関数の変曲点の有無を判定する手段である。
【0025】
ホットスポット発生判定部15は、偏導関数に変曲点があった場合に、PVストリング50の開放電圧V
OCSから所定のマージンを減算した電圧に対応する偏導関数の値が所定の閾値を超えているか否かを判定する手段である。
【0026】
動作電圧設定部16は、偏導関数の値が所定の閾値を超えている場合に、変曲点に対応する電圧をPVストリング50の動作電圧として設定する手段である。
【0027】
動作電圧制御部17は、PVストリング50の出力電圧が、設定された動作電圧を追跡するように制御する手段である。
【0028】
MPPT制御部18は、電圧計52および電流計53から入力される検出値に基づいて、山登り法により、最大電力動作点を追跡制御する手段である。
【0029】
なお、動作電圧制御装置100を構成する上述した手段は、ハードウェアまたはソフトウェアまたはそれらの組み合わせによって実現することができ、上述した手段の一部または全部をソフトウェアによって実現する場合は、動作電圧制御装置100に搭載されるコンピュータが、所定のプログラムを実行することにより、上述した各手段として機能する。
【0030】
以上、本実施形態の動作電圧制御装置100の機能構成について説明してきたが、続いて、動作電圧制御装置100が実行する処理について説明する。なお、以下の説明においては、適宜、
図3を参照するものとする
【0031】
本実施形態の動作電圧制御装置100は、所定の周期で定期的に、PVストリング50が安全に動作しうる動作電圧(以下、安全動作電圧という)を設定するための処理を実行する。以下、
図4に示すフローチャートに基づいて安全動作電圧設定処理を説明する。
【0032】
まずステップ101では、I−V特性取得部12が、予め設定されたスキャン周期の到来を監視し(ステップ101、No)、スキャン周期の到来を検知すると(ステップ101、Yes)、処理はステップ102に進む。
【0033】
続くステップ102では、I−V特性取得部12がPVストリング50をスキャンして、PVストリング50のI−V特性(電流電圧曲線)を取得する。具体的には、スイッチ素子23のオン・オフ制御により、PVストリング50の負極および正極の端子間を開放状態から短絡状態に変化させ、その間に電圧計52および電流計53が検出した出力電圧V
PVおよび出力電流I
PVに基づいてI−V特性を導出する。
【0034】
図5(a)〜(c)は、ステップ102で取得されるI−V特性を示す。ここで、
図5(a)は、欠陥セルのないPVストリング(以下、正常ストリングという。)に影が付加されていない場合に取得されるI−V特性を示し、
図5(b)は、正常ストリングに影が付加されている場合に取得されるI−V特性を示し、
図5(c)は、欠陥セルを含むPVストリング(以下、欠陥ストリングという。)の欠陥セルに影が付加されている場合に取得されるI−V特性を示す。
図5(c)に示すように、欠陥セルに影が付加されている場合のI−V曲線では、先の述べたモード2に対応する部分が負の傾きを持った直線として現れる。
【0035】
続くステップ103では、偏導関数算出部13が、ステップ102で取得したI−V特性に基づいて、PVストリング50のストリング電流I
PVのストリング電圧V
PVに対する偏導関数を算出する。
【0036】
続くステップ104では、影発生判定部14が、ステップ103で取得した偏導関数に変曲点があるか否かを判定する。その結果、変曲点がある場合は(ステップ104、Yes)、処理はステップ105に進み、変曲点がない場合は(ステップ104、No)、処理はステップ108に進んで、ホットスポットフラグをOFFにする。
【0037】
図6(a)は、正常ストリングに影が付加されていない場合に、ステップ103で取得される偏導関数を示す。この場合、偏導関数に変曲点が存在しないので、ホットスポットフラグはOFFに設定される。
【0038】
図6(b)は、正常ストリングに影が付加されている場合に取得される偏導関数を示し、
図6(c)は、欠陥ストリングの欠陥セルに影が付加されている場合に取得される偏導関数を示す。
図6(b)、(c)に示すように、この場合は、いずれの偏導関数にも変曲点が存在するので、処理はステップ105に進む。
【0039】
続くステップ105では、ホットスポット発生判定部15が、PVストリング50の開放電圧V
OCSから所定のマージンMを減算した電圧V
GHに対応する偏導関数の値|∂I/∂V|がゼロを超えているか否かを判定する。なお、このゼロは、閾値の一例であってこの値に限るものではなく、ゼロに所定のマージンを加算した値を閾値として使用して判定を行ってもよい。また、ここでいうマージンMは、例えば、PVストリング50を構成する1つのPVモジュールの公称開放電圧V
OCの1/2に相当する値とすることができる。
【0040】
ステップ105の判定の結果、ゼロを超えていない場合は(ステップ105、No)、処理はステップ108に進んで、ホットスポットフラグをOFFにし、ゼロを超えている場合は(ステップ105、Yes)、処理はステップ106に進んで、ホットスポットフラグをONにする。
【0041】
正常ストリングに影が付加されている場合は、
図7(a)に示すように、電圧V
GHに対応する偏導関数の値|∂I/∂V|はゼロを超えないので、ホットスポットフラグはOFFに設定される。一方、欠陥ストリングの欠陥セルに影が付加されている場合は、
図7(b)に示すように、電圧V
GHに対応する偏導関数の値|∂I/∂V|がゼロを超えるので、ホットスポットフラグはONに設定される。
【0042】
ホットスポットフラグをONに設定した場合は、続くステップ107において、動作電圧設定部16が、PVストリング50の動作電圧として、先のステップ104で判定した変曲点に対応する電圧V
Xを安全動作電圧に設定する。ここで、
図7(b)に示すように、偏導関数に2つの変曲点が存在するときは、対応する2つの電圧のうち、高い方の電圧(この場合、変曲点Bに対応する電圧V
X)を安全動作電圧に設定する。このとき設定される安全動作電圧V
Xは、
図2に示した動作点Xに対応する電圧V
Xに相当する。
【0043】
上述したように、本実施形態においては、システムの運用中に定期的に実行される安全動作電圧設定処理によって、ホットスポットフラグがONまたはOFFのいずれかに設定され、ホットスポットフラグがONに設定された場合は、安全動作電圧が設定されることになる。
【0044】
一方で、動作電圧制御部17は、ホットスポットフラグがONに設定されている場合にのみ起動し、PVストリング50の出力電圧V
PVが、設定された安全動作電圧V
Xを追従するように、スイッチ素子23のオン・オフ制御(PWM制御)を行う。
【0045】
一方で、MPPT制御部18は、ホットスポットフラグがOFFに設定されている場合にのみ起動し、山登り法により、PVストリング50の出力電力P
PVが、PVストリング50の最大電力動作点P
maxを追従するように、スイッチ素子23のオン・オフ制御(PWM制御)を行う。
【0046】
以上、説明したように、本実施形態によれば、太陽光発電システム1000の運用中にホットスポットが発生しうる状況(すなわち、欠陥セルに影が付加される状況)に至った場合であっても、不良モジュール(パネル)を交換するなどの処置が施されるまでの間、ホットスポットの発生を回避しつつ、その条件下での最大の電力を安全に供給し続けることが可能となる。
【0047】
なお、本実施形態においては、ホットスポットの回避のみを考慮する場合、電圧V
Xを下回らない電圧、すなわち、PVストリング50の開放電圧V
OCSと電圧V
Xの間の任意の電圧を安全動作電圧として設定すればよい。
【0048】
また、本実施形態の変形例では、上述したMPPT制御部18の機能を、動作電圧制御部17に代替させることも可能である。この場合、動作電圧制御部17は、先のステップ101で取得したI−V特性に基づいて、PVストリング50の最大電力動作点P
maxに対応する最大電力点電圧V
OPを取得し、ホットスポットフラグがOFFに設定されている場合には、PVストリング50の出力電圧V
PVが、取得した最大電力点電圧V
OPを追従するように、スイッチ素子23のオン・オフ制御(PWM制御)を行う。
【0049】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態である動作電圧制御装置200が実装された太陽光発電システム2000のシステム構成を示す。本実施形態の動作電圧制御装置200は、既存のPCS40に対して追加的に設けることができるように構成された装置であり、第1実施形態の動作電圧制御装置100とは、MPPT制御部18を欠いている点、ならびに、動作電圧設定部16がホットスポットフラグのON/OFF状態を示す信号(以下、ホットスポットフラグ信号という)をPCS40に対して送信するように構成されている点において異なり、その余の構成は共通する。
【0050】
本実施形態では、ホットスポットフラグがONに設定されている場合に、動作電圧制御装置200がPCS40にホットスポットフラグ信号(ON)を送信する。これを受けて、PCS40側のMPPT制御部26がMPPT制御を中断する一方で、動作電圧制御部17は、PVストリング50の出力電圧V
PVが、設定された安全動作電圧V
Xを追従するように、スイッチ素子23のオン・オフ制御(PWM制御)を行う。
【0051】
ホットスポットフラグがOFFに設定されている場合には、動作電圧制御部17がPMW制御を中断する一方で、動作電圧制御装置200がPCS40にホットスポットフラグ信号(OFF)を送信する。これを受けて、PCS40側のMPPT制御部26は、山登り法により、PVストリング50の出力電力P
PVが、PVストリング50の最大電力動作点P
maxを追従するように、スイッチ素子23のオン・オフ制御(PWM制御)を行う。
【0052】
以上、説明したように、本実施形態の動作電圧制御装置200は、ホットスポットを回避する目的で、既存のPCSに対して追加的に設けることができる。
【0053】
以上、本発明を第1および第2実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、さらに、太陽電池の異常状態検知方法およびそれを実行する装置として観念することができる。以下、異常状態検知装置に係る第3の実施形態について説明する。
【0054】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態である異常状態検知装置300が実装された太陽光発電システム3000のシステム構成を示す。本実施形態の異常状態検知装置300は、既存のPCS40に対して追加的に設けることができるように構成された装置であり、第2実施形態の動作電圧制御装置200とは、動作電圧設定部16および動作電圧制御部17を欠いている点において異なり、その余の構成は共通する。
【0055】
以下、本実施形態の異常状態検知装置300が実行する処理の内容を
図10に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、ステップ101乃至104およびステップ105の処理は、
図4で説明した内容と同じなので詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態では、予め設定されたスキャン周期の到来に応答して(ステップ101、Yes)、I−V特性取得部12がPVストリング50のI−V特性を取得し(ステップ102)、偏導関数算出部13が、取得したI−V特性に基づいて、PVストリング50のストリング電流I
PVのストリング電圧V
PVに対する偏導関数を算出する(ステップ103)。
【0057】
これを受けて、本実施形態では、影発生判定部14が、偏導関数に変曲点があるか否かを判定し(ステップ104)、その判定結果に応じて、PVモジュールに影が付加されている状態であるか否かを検知して、各状態を示す状態信号1を外部に出力する。具体的には、変曲点がある場合は(ステップ104、Yes)、状態信号1のON信号(PVモジュールに影が付加されている状態を示す信号)を出力し(ステップ120)、変曲点がない場合は(ステップ104、No)、状態信号1のOFF信号(PVモジュールに影が付加されていない状態を示す信号)を出力する(ステップ122)。
【0058】
影発生判定部14が状態信号1のON信号を出力したことを受けて(ステップ120)、本実施形態では、ホットスポット発生判定部15が、電圧V
GHに対応する偏導関数の値|∂I/∂V|がゼロを超えているか否かを判定し(ステップ105)、その判定結果に応じて、ホットスポットが発生しうる状態であるか否かを検知して、各状態を示す状態信号2を外部に出力する。具体的には、ゼロを超えている場合は(ステップ105、Yes)、状態信号2のON信号(ホットスポットが発生しうる状態を示す信号)を出力し(ステップ121)、ゼロを超えていない場合は(ステップ105、No)、状態信号2のOFF信号(ホットスポットが発生しない状態を示す信号)を出力する(ステップ123)。
【0059】
なお、本実施形態では、上述した状態信号1、2の出力先として、システムの異常を警報する警報装置やシステムの状態を監視するモニタリング装置など、状態信号1、2を制御信号として使用する任意の外部装置を想定することができる。
【0060】
以上、説明したように、本実施形態によれば、太陽光発電システム3000の運用中に発生した異常(影やホットスポット)をリアルタイムに検知して、それを外部に通知することが可能となる。
【0061】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、上述した実施形態の組み合わせなど、当業者が推考しうるその他の実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【実施例】
【0062】
以下、本発明の動作電圧制御装置について、実施例を用いてより具体的に説明を行なうが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
【0063】
正常なPVモジュール(50W)と欠陥セルを含むPVモジュール(50W)を直列に接続したPVストリングに対して、本発明の動作電圧制御装置を実装し、以下の手順で検証実験を行った。本実験では、実施例として、欠陥セルに影(α=0.75)が付加される形でPVモジュールに光を照射し、上述した動作電圧設定処理を4秒間隔で実行した。一方、比較例として、実施例と同様の条件で、PVストリングに対して光を照射し、MPPT制御のみを実行した。
【0064】
図11(a)は、実施例の結果として、PVストリングのP−V曲線(太実線)と、欠陥セルのホットスポット電力に係るP−V曲線(細実線)を合わせて示している。
図11(a)に示すように、実施例では、最大電力点電圧が約20Vであったのに対して、安全動作電圧は約37Vとなった。
【0065】
一方、
図11(b)は、実施例の結果として、PVストリングの動作波形(電流:太実線、電圧:細実線)を示す。
図11(b)に示すように、実施例では、MPPT制御によって、動作電圧が最大電力点電圧(約20V)に一旦落ち着いたが、32秒時点で動作電圧設定処理が実行された結果、動作電圧が最大電力点電圧(約20V)から安全動作電圧(約37V)に移行した。
【0066】
図12(a)は、比較例における欠陥セルを含むPVモジュールのサーモグラフィ写真を示し、
図12(b)は、実施例における欠陥セルを含むPVモジュールのサーモグラフィ写真を示す。MPPT制御のみを実行した比較例では、
図12(a)に示すように、欠陥セルにホットスポットが発生しており、ホットスポット点の温度はJISの規格で定めるセル動作温度の上限(50℃±10℃)を超えて、約101.9℃まで上昇した。一方、実施例では、
図12(b)に示すように、ホットスポットは発生せず、セルの温度は29.8℃(常温)に維持された。