(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979697
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】寛骨臼カップ摘出器
(51)【国際特許分類】
A61F 2/34 20060101AFI20211202BHJP
【FI】
A61F2/34
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-504950(P2018-504950)
(86)(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公表番号】特表2018-523522(P2018-523522A)
(43)【公表日】2018年8月23日
(86)【国際出願番号】US2016042445
(87)【国際公開番号】WO2017019332
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2019年7月4日
(31)【優先権主張番号】62/197,224
(32)【優先日】2015年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518028206
【氏名又は名称】ヒップ イノベーション テクノロジー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100069431
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 成則
(72)【発明者】
【氏名】ターマニーニ、 ゼーファー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァニエル、ブリアン
(72)【発明者】
【氏名】アムブレヒト、アダム
【審査官】
土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0184964(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0116007(US,A1)
【文献】
特表2013−521864(JP,A)
【文献】
特表2005−516662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/34
A61B 17/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寛骨臼から寛骨臼カップを除去する寛骨臼カップ摘出器であって、前記寛骨臼カップはリバース・ヒップ・プロテーゼの構成要素であり、前記寛骨臼カップの凹面から延在している茎部に取り付けられている寛骨臼ボールを含み、
前記寛骨臼カップ摘出器は、
シャフトと、
その近位端で前記シャフトの遠位端に同心円状に取り付けられている摘出器カップであり、その遠位端に、前記寛骨臼ボール上に関節のように接合接触されるような大きさに作製されている凹面を有する、摘出器カップと、
前記シャフトに取り付けられている近位端と、前記寛骨臼カップの凸面に隣接してまたはごく近接して移動するような大きさに作製されている遠位部分とを有する刃であり、前記寛骨臼カップの前記凸面は前記寛骨臼と接触している、刃と、
前記摘出器カップを前記シャフトに取り付けるのに使用される、取り外し可能なドライバー・レンチと、
を含む、寛骨臼カップ摘出器。
【請求項2】
前記摘出器カップは、スナップ嵌合によって前記シャフトの遠位端に取り付けられている、請求項1に記載の寛骨臼カップ摘出器。
【請求項3】
前記摘出器カップは、ねじ込み継手によって前記シャフトの遠位端に取り付けられている、請求項1に記載の寛骨臼カップ摘出器。
【請求項4】
前記シャフト内に移動可能に配置されておりかつ前記寛骨臼カップ摘出器への下向きの圧力を維持しながら前記寛骨臼カップ摘出器の回転を容易にするようになされているレバー・アームをさらに含む、請求項1に記載の寛骨臼カップ摘出器。
【請求項5】
寛骨臼から寛骨臼カップを除去する寛骨臼カップ摘出器であって、前記寛骨臼カップはリバース・ヒップ・プロテーゼの構成要素であり、前記寛骨臼カップの凹面から延在している茎部に取り付けられている寛骨臼ボールを含み、
前記寛骨臼カップ摘出器は、
中心軸を有し、近位端および遠位端を有するシャフトと、
その近位端で前記シャフトの遠位端に同心円状に取り付けられている摘出器カップであり、その遠位端に、前記寛骨臼ボール上に関節のように接合接触されるような大きさに作製されている凹面を有する、摘出器カップと、
前記摘出器カップへの下向きの圧力を維持しながら該シャフトの回転を容易にする可動レバー・アームと、を有するハンドルであって、前記摘出器カップは、前記寛骨臼ボール上に関節のように接合接触されるような大きさに作製されている凹面を有する、ハンドルと、
前記シャフトに取り付けられている近位端と、前記寛骨臼カップの凸面に隣接してまたはごく近接して移動するような大きさに作製されている遠位部分とを有する刃であり、前記寛骨臼カップの前記凸面は前記寛骨臼と接触している、刃と、
前記摘出器カップを前記シャフトに取り付けるのに使用される、取り外し可能なドライバー・レンチと、
を含む、寛骨臼カップ摘出器。
【請求項6】
前記摘出器カップは、スナップ嵌合によって前記シャフトの遠位端に取り付けられている、請求項5に記載の寛骨臼カップ摘出器。
【請求項7】
前記摘出器カップは、ねじ込み継手によって前記シャフトの遠位端に取り付けられている、請求項5に記載の寛骨臼カップ摘出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リバース・ヒップ・プロテーゼ(reverse hip prosthesis)に関連して使用される外科的器械に関する。より詳細には、本発明は、寛骨臼から寛骨臼カップを摘出する手術道具に関する。
【背景技術】
【0002】
リバース・ヒップ・プロテーゼは、米国特許第8,313,531(B2)号および同第8,540,779(B2)号に記載されている。また、該プロテーゼおよび改定外科手術法が米国特許第8,992,627(B2)号に記載されている。これら3つの特許の開示は、その内容が参照により本明細書に援用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8,313,531(B2)号
【特許文献2】米国特許第8,540,779(B2)号
【特許文献3】米国特許第8,992,627(B2)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、摘出過程の前にかなりの骨内部成長がある場合にも、最小限の骨の損傷でまたは骨の損傷なしで、寛骨臼から寛骨臼カップを摘出するのに用いられる手術道具および外科手技を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前段で参照されている特許文献に記載されている通り、寛骨臼ボール(acetabular ball)は、寛骨臼カップの凹面の底部から延在している茎部上に取り付けられている。本発明の手術道具は、外科医が、該道具を寛骨臼ボール上で慎重に回転させて、刃に寛骨臼から寛骨臼カップを分離させながら、寛骨臼ボールに道具の遠位端を押し付けることにより、寛骨臼カップを除去することを可能にする。本開示では、時々、本発明の手術道具を説明するために、用語「寛骨臼カップ摘出器」が用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】埋め込まれた寛骨臼カップ上に配置されている本発明の手術道具の立面図。
【
図5】本発明の手術道具と共に使用されるドライバの立面図。
【
図6】本発明の手術道具と共に使用されるハンドルの立面図。
【
図7】本発明の手術道具と共に使用される刃の立面図。
【
図8】本発明の手術道具と共に使用される摘出器カップの立面図。
【
図9】
図3の寛骨臼カップ摘出器および
図5のドライバの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の手術道具である寛骨臼カップ摘出器1は、
図3に立面で、
図4に斜視で、示されている。
図1および
図2、立面図および斜視図それぞれでは、該摘出器1は、寛骨臼カップ3の茎部11に取り付けられている寛骨臼ボール5上に配置されている。寛骨臼カップ3は寛骨臼の骨(acetabular bone)4内に埋め込まれている。摘出器カップ2は寛骨臼ボール5と関節のような接合接触をして(in articulating contact with)おり、刃6の遠位端は、寛骨臼カップ3の凸外面と骨4との間に配置されている。
【0008】
本発明の外科手術法では、摘出器カップ2は、寛骨臼ボール5上で慎重に回転させられて、刃6を寛骨臼カップ3の凸面に沿ってまたはごく近接して移動させ、それにより、刃6が寛骨臼カップ3と寛骨臼との間にあるように、刃6を該凸面の周囲でかつ前記凸面に隣接してまたはごく近接して回転させる。この動きは、寛骨臼の骨4が寛骨臼カップ3から分離されるようにする。
【0009】
したがって、外科医は、摘出器カップ2が寛骨臼ボール5に接触するように、かつ刃6の遠位部分が、寛骨臼カップ3の凸面に隣接したまたはごく近接した位置において、寛骨臼の骨4内へ移動させられるように、寛骨臼カップ摘出器1を下方に押す。
【0010】
骨4内にある刃6の遠位部分の深さは、寛骨臼カップ摘出器1が回転させられると、維持される。刃6は、
図7において「L」で示された刃の部分の長さが変化するように、様々な大きさで生産される。異なる長さの複数の刃が使用されることが可能であり、常時、最短の刃長で始動し、次いで次の最長の長さ等を使用する。
【0011】
例えば、3つの刃が使用された場合、最短の長さの刃は最初に使用され、寛骨臼カップ3と骨4との間での、刃の少なくとも1つの完全な回転が完了される。換言すれば、刃6は、寛骨臼カップの周囲で少なくとも360度回転させられる。
【0012】
次いで、次の最長の刃長が使用され、寛骨臼カップ3と骨4との間での、刃の少なくとも1つの完全な回転が完了される。この過程は、次の最長の刃すなわち3つの刃の最長のもので繰り返され、それにより、寛骨臼カップ3が骨4の中から取り除かれるくらいに寛骨臼カップ3が十分に緩められるように、寛骨臼カップ3と骨4との間の接続を緩める。
【0013】
刃6が寛骨臼カップ3の凸面に隣接してまたはごく近接して移動するので、除去過程の前にかなりの骨内部成長がある場合にも、骨の損傷が最小限に抑えられる。該過程は、骨への損傷のリスクを最小限に抑えるために慎重に実施される。
【0014】
摘出器カップ2および刃6に加えて、寛骨臼カップ摘出器1は、
図6に示されている通り、シャフト8と可動レバー・アーム9とで作製されているハンドル7で構成されている。該レバー・アーム9は、寛骨臼カップ摘出器1への下向きの圧力を維持しながら、寛骨臼カップ摘出器1の回転を容易にする。
【0015】
図5に立面で示されているドライバ・レンチ(driver wrench)10は、摘出器カップ2aをハンドル7のシャフト8に固定するのにかつそれから取り外すのに使用される。摘出器カップ2aは、
図9の断面図に示されているシャフト8a内へ螺合される随意の実施形態である(
図8の摘出器カップ2はシャフト8内へスナップ嵌合される)。固定操作および取外し操作においてこれらの要素の位置を示す断面図が
図9に示されている。
【0016】
本発明の外科手術法では、寛骨臼カップ3から骨4内へ延在している任意のねじまたは他のコネクタが除去される。必要に応じて、寛骨臼ボール5が、該ねじへアクセスするために除去される。次に、寛骨臼ボール5が寛骨臼カップの茎部上に置き戻され、カップ除去過程が継続される。
【0017】
次いで、摘出器カップ2が寛骨臼ボール5と接触するまで、刃6が寛骨臼カップの凸面に隣接した骨内へ押し込まれる。摘出器カップ2を寛骨臼ボール5に押し付けながら、寛骨臼カップ摘出器1は寛骨臼ボール5上で回転させられ、それにより、刃6は、寛骨臼カップ3と骨4との間の接続を緩める。前段で説明されているように長さが増大する刃6の使用後に、寛骨臼カップ3が骨4から十分に緩められると、寛骨臼カップは骨の中から取り除かれる。
【0018】
本発明の寛骨臼カップ除去道具は、他の手術道具および/またはインプラントを含むキット内に含まれていてもよい。