特許第6979761号(P6979761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6979761セラミックマトリックス複合材構成要素及びセラミックマトリックス複合材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979761
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】セラミックマトリックス複合材構成要素及びセラミックマトリックス複合材
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/80 20060101AFI20211202BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20211202BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20211202BHJP
   F01D 5/28 20060101ALI20211202BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20211202BHJP
   B23H 9/10 20060101ALI20211202BHJP
   B23H 9/14 20060101ALI20211202BHJP
   B23K 26/382 20140101ALI20211202BHJP
   B23K 26/402 20140101ALI20211202BHJP
   C04B 41/88 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   C04B35/80 600
   F02C7/00 C
   F02C7/00 D
   F02C7/28 E
   F01D5/28
   F01D25/00 X
   F01D25/00 L
   B23H9/10
   B23H9/14
   B23K26/382
   B23K26/402
   C04B41/88 U
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-205594(P2016-205594)
(22)【出願日】2016年10月20日
(65)【公開番号】特開2017-105698(P2017-105698A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2019年10月10日
(31)【優先権主張番号】14/926,718
(32)【優先日】2015年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ・ジョン・キトルソン
(72)【発明者】
【氏名】ビクター・ジョン・モーガン
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/041823(WO,A1)
【文献】 特開2013−256402(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/140835(US,A1)
【文献】 カナダ国特許出願公開第2883758(CA,A1)
【文献】 特開2005−205902(JP,A)
【文献】 特表2016−522348(JP,A)
【文献】 特開2015−000485(JP,A)
【文献】 特開2014−159099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00−35/84、41/85−41/91
F02C 7/00,7/28
F01D 5/28,25/00
B23H 9/10、9/14
B23K 26/382、26/402
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックマトリックス複合材構成要素(10)を製造する方法(500)であって、当該方法が、
複数のセラミックマトリックス複合材プライ(60)を互いに重ねて配置してその内部にキャビティ(70)を形成するステップであって、前記キャビティ(70)の少なくとも一部が、0.080インチ(2.03mm)未満の水力直径である終端直径(510)を含む、ステップと、
前記複数のセラミックマトリックス複合材プライ(60)を緻密化して緻密体を形成するステップであって、緻密化によって、記キャビティ(70)の前記終端直径(510)を含む部分が緻密化材料で充填される、ステップと
を含み、前記緻密体内に前記キャビティが存在する、方法(500)。
【請求項2】
前記キャビティが、前記緻密体内に完全に囲まれる、請求項1に記載の方法(500)。
【請求項3】
前記キャビティが、テーパー付き幾何形状を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法(500)。
【請求項4】
前記キャビティを形成するステップが、レーザ穿孔、放電加工、カッティング及び機械加工からなる群から選択される方法に基づいている、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法(500)。
【請求項5】
前記複数のセラミックマトリックス複合材プライ(60)を互いに重ねて配置してその内部に前記キャビティ(70)を形成するステップが、前記複数のセラミックマトリックス複合材プライ(60)の各々にボイド(502)を形成し、該ボイド(502)を前記それぞれのセラミックマトリックス複合材プライ(60)において整列させて、前記構成要素(10)にキャビティ(70)を少なくとも部分的に画成するようにするステップを含み、前記整列が、前記複数のセラミックマトリックス複合材プライ(60)を整列させることを含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方法(500)。
【請求項6】
前記緻密化が、溶融浸透又は化学蒸着を含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の方法(500)。
【請求項7】
前記セラミックマトリックス複合材プライが、予備含浸されたセラミックマトリックス複合材プライである、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の方法(500)。
【請求項8】
前記緻密化材料がケイ素である、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法(500)。
【請求項9】
前記セラミックマトリックス複合材構成要素(10)が、ブレード、シュラウド、ノズル、燃焼器、ノズル端壁びブレードプラットフォーム(26)からなる群から選択される、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の方法(500)。
【請求項10】
前記キャビティが、冷却流体のための冷却チャンネルを形成する、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に、発電用ガスタービンに関し、より具体的には、ガスタービンの高温ガス経路タービン構成要素のためのセラミックマトリックス複合材構成要素を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超合金材料から形成されるタービンブレード及びベーンと同様に、CMCブレード及びベーンは、主として、構成要素の軽量化、遠心荷重の低減び作動温度の低温下のためキャビティ及び冷却ボイド(空隙)を備えている。これらの特徴要素は、通常、取り外し可能工具と使い捨て工具の組合せを用いてCMC構成要素にて形成される。金属及びCMC高温ガス経路ハードウェアの両方を冷却するためには、冷却流要件及び熱勾配/応力を低減する理由から、内部冷却チャンネルが有利である。
【0003】
炭化ケイ素(SiC)セラミックマトリックス複合材(CMC)材料は、タービンブレード、ベーン、ノズル及びバケットなど、ガスタービンエンジンの特定の構成要素向けの材料として提案されてきた。Silicomp、溶融浸透(MI)、化学蒸気浸透(CVI)、ポリマー膨張熱分解(PIP)び酸化物/酸化物プロセスを始めとする、SiC構成要素を製造するための様々な方法が知られている。これらの製造技術は、互いに大きく異なっているが、各々様々な処理段階で加熱を含むプロセスによってニアネットシェイプ部品を生成するために、ハンドレイアップ及び治工具又はダイの使用を伴っている
【0004】
CMC構成要素に内部通路又はキャビティを形成する現行の製造方法は、バーンアウトサイクルの際に内部通路から「溶出」させるか或いは除去する必要ある材料を使用している。キャビティを有するCMC構成要素の形成は、プリフォームの使用を含めて、数多くステップまれる。最初に、複数のセラミックプライ(その幾つかは、強化材料を含むことができ、或いはマトリックス予備含浸る)を、構成要素の所望の最終形状又はニアネット形状並びに所望の機械的特性をもたらすようにマンドレル又はモールド上で所定のパターンにレイアップする。マンドレルは一般に、スズ、ビニルは他の溶融可能材料のような材料から選択される。レイアッププライは、SiCのようなマトリックス材料予備含浸(プリプレグ)してもよいし、或いはプライのレイアップ後にマトリックス含浸してもよいMCプリフォームの緻密化の前にバーンアウトサイクルによりマンドレルを除去る。バーンアウトサイクルにおいて、CMCプリフォームが反転され、スズ、ビニル又は他の溶融可能材料のようなマンドレル形成材料は、プリフォームCMCの開放先端から溶出されて、開放先端領域が残る
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,257,809号明細書
【発明の概要】
【0006】
1つの実施形態において、セラミックマトリックス複合材構成要素を製造する方法が開示される。本方法は、複数のセラミックマトリックス複合材プライを互いに重ねて配置して、キャビティを形成するステップを含む。キャビティの少なくとも一部は、緻密化材料を浸透させることができるほど十分に小さい終端直径を含む。複数のセラミックマトリックス複合材プライを緻密化して緻密体を形成する。緻密化により、ャビティの終端直径を含む部分が緻密化材料で充填され、緻密体内にキャビティが存在するようになる。
【0007】
別の実施形態において、セラミックマトリックス複合材構成要素が開示される。セラミックマトリックス複合材は、緻密体を形成する複数のセラミックマトリックス複合材プライを含む。複数のセラミックマトリックス複合材プライは、緻密体内にキャビティを形成する。キャビティの一部は、浸透した緻密化材料を有する終端直径を含む。
【0008】
本発明の他の特徴及び利点は、例証として本発明の原理を示す添付図面を参照しながら、以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のセラミックマトリックス複合材(CMC)構成要素の斜視図。
図2】本開示による、図1矢視2−2面図。
図3】本開示による、図1矢視3−3面図。
図4】本開示による構成要素の斜視図。
図5】本開示の実施形態による、CMC構成要素を形成するプロセスの概略的斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
可能な限り、図面全体を通じて同じ要素を示すために同じ参照符号が使用される。
【0011】
本開示の実施形態は、例えば、本明細書で開示される特徴の1上を含まない概念と比較して、壁貫通熱勾配を低減する壁近傍冷却並びに高温ガス経路ハードウェアのより効率的な冷却を可能にし、また、部品の冷却要求及び流量を軽減する能力を有するより効率的な冷却を可能にする。本開示の実施形態はまた、より少ない冷却流で高いタービン性能を得ることを可能にする。加えて、本開示の構成要素はより低い熱勾配を有し、結果として、より小さな応力、長寿命び製品寿命コストの低減、並びにより優れた設計の柔軟性をもたらす。本開示による方法は、低コストで複雑さが低減され、コスト及び時間のかかる冷却チャンネルの浸出を必要としない。更に、本開示による方法は、加工処理後に冷却チャンネルに残る残留犠牲材料のリスクがない。
【0012】
本発明の様々な実施形態の構成要素について紹介する際に、単数形で記載したものは、その構成要素が以上存在することを意味す備える」、「含む」び「有する」という用語は内包的なものであり、記載した構成要素以外の追加の構成要素が存在していてもよいことを意味する。
【0013】
出力を発生させるのに使用されるシステムは、限定されるものではないが、発電用の陸用航空機転用エンジンのようなガスタービン、蒸気タービンび他のタービン組立体を含む。特定の用途において、ターボ機械(例えば、タービン、圧縮機びポンプ)を含む発電システム及び他の機械は、過酷な摩耗条件に晒される構成要素を含む場合がある。例えば、ブレード、バケット、ケーシング、ロータホイール、シャフト、シュラウド、ノズルびその他特定の発電システム構成要素は、高及び高回転環境で作動する場合がある。これらの構成要素は、セラミックマトリックス複合材を用いて製造され、これらの構成要素はまた、冷却通路を含むことができる。本開示は、冷却通路を含むセラミックマトリックス複合材(CMC)構成要素を形成する方法を提供する。本開示の例示的な実施形態は、図1はタービンブレードとして示されているが、本開示は、例示の構造に限定されない。
【0014】
図1は、限定されるものではないが、タービンブレード又はタービンベーンなどの構成要素10の斜視図である。図1は、タービンブレードを示しているが、本開示による他の好適な構成要素には、限定されるものではないが、ライナ、ブレード、シュラウド、ノズル、燃焼器、ノズル端壁、ブレードプラットフォームは他の高温ガス経路構成要素が挙げられる。構成要素10は、好ましくは、セラミックマトリックス複合材(CMC)材料から形成される。構成要素10の材料には、限定されるものではないが、アルミナ、ムライト、窒化ホウ素、炭化ホウ素、サイアロン(ケイ素、アルミニウム、酸素び窒素)、金属間化合物びこれらの組合せなどの酸化物のCMCを含む。構成要素10の材料の好適な実施例は、限定されるものではないが、AN−720(酸化物−酸化物、カリフォルニア州サンディエゴ所在のCOI Ceramics, Inc.,から入手可能)はハイブリッド酸化物CMC材料を含む。構成要素10を作るのに使用される材料の好適な実施例は、限定されるものではないが、種々のバインダーと共にSiC及び炭素マトリックスが含浸されたSiC繊維を含む。構成要素10は、高温排気ガスの流れが導かれる翼形部22を含む。翼形部22は、先端30からダブテール24まで延在する。構成要素10は、ダブテール24によってタービンディスク(図示せず)に装着され、該ダブテール24は、翼形部22から下向きに延在してタービンディスク上のスロットに係合する。プラットフォーム26は、翼形部22がダブテール24に接合される領域から横方向外向きに延在する。構成要素10は、図2に示すように、翼形部22の内部に沿って延在する少なくとも1つのプレナム50を含む。発電システムの作動中、冷却空気の流れは、プレナム50を通って導かれて、翼形部22の温度を低下させる。
【0015】
図2は、形成された構成要素10の内部キャビティ70を示す、図1の構成要素10の矢視2−2断面図である。複数のセラミックマトリックス複合材プライ60(明確にするために少数しかしていない周囲を囲んで内部キャビティ70を形成する。図2に示すように、セラミックマトリックス複合材プライ60は、セラミックマトリックス複合材プライ60内に形成され且つこれらプライ60間に延在するキャビティ70を含む。また、図2で分かるように、構成要素内に形成されるキャビティは、テーパー付き幾何形状を含む。テーパー付き幾何形状は、セラミックマトリックス複合材プライの一方部で大きな直径を含み、セラミックマトリックス複合材プライ60の反対側の端部小さな直径を含む。
【0016】
図3、図の構成要素10の矢視3−3断面図であり、キャビティ70が内部に形成されたセラミックマトリックス複合材プライ60を示す。キャビティ70は、セラミックマトリックス複合材プライ60を通って延在して、体の流れを通すことができる十分な開口を形成する。
【0017】
セラミックマトリックス複合材プライ60及びキャビティ70の配列は、概略的に示され、例示の目的で拡大されている。セラミックマトリックス複合材プライ及びボイドのサイズ及び幾何形状は、図13に示すものに限定されない。加えて、キャビティ70は、構成要素10の内部にあるように図示されているが、別の実施形態では、キャビティ70は、プレナム50、構成要素10の外部にある他のキャビティ70はこれらの組合せに開放されて流体連通している。
【0018】
図4は、本開示による構成要素10の斜視図を示し、成要素10の内部にキャビティ70が存在している。図4に示すように、構成要素10は、キャビティ70において又は閉塞部を形成する緻密化されたマトリックス材料402を含む。キャビティ70は、構成要素10内に中空で且つ流体の流れを可能にする部分と、流体の流れを阻止又は実質的に阻止する緻密化されたマトリックス材料402の部分とを含むテーパー付き幾何形状を含む。
【0019】
図5は、本開示による、内部キャビティ70(同様に図4を参照)を有するCMC構成要素10を形成するプロセスを概略的に示している。図5に示すように、構成要素10は、レイアップ技術を用いて形成される。プロセス500は、セラミックマトリックス複合材プライ60を用意するステップを含む(ステップ501)。セラミックマトリックス複合材プライ60は、単一のプライ、又は積層スタックに形成された連続プライのような複数のプライとすることができる。プライ60の1つの実施例は、限定されるものではないが、例えば、製織炭素繊維、バインダー材料及びコーティングSiC繊維を含む、プリプレグ複合材プライを含む。プライ60用の他の好適な材料は、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシウム、シリカ、ムライトび/又はスピネルを含有する酸化物、ケイ素、ホウ素び/又はチタンを含有する炭化物、ケイ素を含有する窒化物びホウ素を含む。プライ60で使用するのに好適な他の公知の繊維は、Nextel(ネクステル)、Nicalon(ニカロン)、Hi−Nicalon、TyrannoびSylramic繊維を含む。セラミックマトリックス複合材プライ60を用意するステップの後、セラミックマトリックス複合材プライ60にボイド502形成る(ステップ503)。ボイド502は、CMC材料開口を形成するのに好適な技術を用いて形成される。ボイドの幾何形状は、冷却流を受け取るため、円形、湾曲、楕円、直線状は他の好適な幾何形状を含む任意の好適な幾何形状を含む。1つの実施形態において、ボイド502は直線状スロットである。好適なボイド形成技術は、セラミックマトリックス複合材プライ60のセラミックマトリックス複合材のレーザ穿孔、放電加工びカッティング又は機械加工を含む。1つの実施形態において、ボイド502は、図5に示ように連続シート状に形成される。別の実施形態において、ボイド502は、縁部に沿ってカット又は除去した部分を各々有する複数のプライ60開口を不連続的に形成し、それらのプライ60を貼り合わせてボイド502を形成することによって形成される。セラミックマトリックス複合材プライ60の各々におけるボイド502は、形成されキャビティの寸法の1つに終端直径510がもたらされるように構成される。終端直径510は、密化のマトリックス材料が流動しかつ固化しキャビティ70の又は閉塞部を形成することができる直径である。「終端直径」という用語用いるが、断面の直径は、特定の断面幾何形状に基づく水力直径であり、水力直径は濡れ縁と断面積の関数であ
【0020】
セラミックマトリックス複合材プライ60にボイド502形成た後、ラミックマトリックス複合材プライ504、506び508、それぞれのセラミックマトリックス複合材プライ60のボイドが整列して、キャビティの少なくとも一部に沿って終端直径をもたらす幾何形状を有するキャビティ70を画成するように、互いに配置する(ステップ505)。整列したボイド502のスタックにより、キャビティ70が形成される。この整列は、ボイド502が、隣接するセラミックマトリックス複合材プライに対応する幾何形状を有し、かつボイドの直径が変化するように整列してキャビティ70内のある地点で終端直径510を含ようにる。図5に示すように、終端直径510は、重力方向に対してスタック512の底部からキャビティ70に沿って所定距離515の地点にある。本開示は、図5に示すセラミックマトリックス複合材プライ60の数に限定されない。セラミックマトリックス複合材プライ60の数は、構成要素10の所望のサイズ及び構成に基づいて変化し、特に限定されるものではない。図5には図示ていないが、1つの実施形態において、キャビティ70は、複数のセラミックマトリックス複合材プライ60のスタック512形成される。キャビティ70の形成は、限定されるものではないが、レーザ穿孔、放電加工びカッティング又は機械加工などの形成技術によるものとすることができる。
【0021】
キャビティの終端直径510は、マトリックス材料が細管力に応じてキャビティ70内に移動し固化して栓又は閉塞部をもたらすのに十分に小さな寸法を有するキャビティ内の寸法として定義される。1つの実施形態において、終端直径510は、1000分の約80(0.080インチ)未満の水力直径である。1つの実施形態において、キャビティは、1000分の約5(0.005インチ)〜1000分の約80(0.080インチ)、1000分の約20(0.020インチ)〜1000分の約75(0.075インチ)、又は1000分の約30(0.030インチ)〜1000分の約70(0.070インチ)の範囲である。
【0022】
キャビティ70は、該キャビティを囲むセラミックマトリックス複合材プライスタック512において形成される(ステップ507)。スタック512オートクレーブ配置して、オートクレーブサイクルを完遂する(ステップ509)。スタック512は、ラミック複合材材料産業で用いられる典型的なオートクレーブ圧力及び温度サイクルに付される。オートクレーブ処理は、プライに残存す揮発性物質を放出させるがオートクレーブ条件はプライ材料に応じて変更することができる。オートクレーブ後、バーンアウトプロセスを実施して、スタック512内に残留するマンドレル材料又は追加のバインダーを除去する。バーンアウトプロセスは、一般に、約426〜648(約800〜1200°F)の温度で実施される。
【0023】
バーンアウト後、緻密化のためプリフォーム構成要素真空炉内に配置する(ステップ511)。緻密化は、限定されるものではないが、Silicomp、溶融浸透(MI)、化学蒸気浸透(CVI)、ポリマー膨張熱分解(PIP)び酸化物/酸化物プロセスを始めとする公知の緻密化技術を用いて実施される。緻密化は、ケイ素又は他の溶浸材料がプリフォーム構成要素内に溶融浸透できるようにするため、1200を超える温度の設定大気を有する真空炉内で実施することができる。図5に示すように、1つの好適な緻密化方法は、溶融マトリックス材料スタック512内に吸引させて固化せしめる溶融浸透である。スタックは、マトリックス材料が浸透しかつ固化して緻密化マトリックス材料402の又は閉塞部を形成することができるようなキャビティ70の終端直径510を含む。ただし、キャビティ70の内部中空部分517は、緻密化後放されたまま中空であり、冷却流体の流れを通するのに十分である。緻密化後、緻密化されたスタック512又は緻密体は、図4に示すように内部キャビティ70を含み、構成要素10の少なくとも一部を形成する。
【0024】
1つの実施形態において、キャビティ70の内部の中空部分517は、構成要素10において十分に大きく且つ開放されており、冷却材又は他の流体がそこを通って導かれて構成要素10に冷却をもたらすことができるただし終端直径510を有するセラミックマトリックス複合材プライ60形成された緻密化マトリックス材料402は、冷却材又は他の流体の流れを実質的に阻止する閉塞部を形成する。例えば、図5に示すプロセスに従って製造されるキャビティ70は閉鎖され、構成要素10の内部にある。1つの実施形態において、構成要素10に機械加工又は他の方法で開口形成して、キャビティへと通じる入口及び/又は出口を提供する。冷却用のキャビティ70は、送給孔及び高温ガス経路ダンプ孔のような開口を機械加工又は他の方法で構成要素10内に形成することによって、プレナム50、構成要素の外部にある他のキャビティ70との間の送給及び/又は排出を可能にすることができる。
【0025】
別の実施形態において、キャビティ70は、該キャビティ70の全体又は大部分が終端直径510を含んでいて、溶融マトリックス材料513の流れ促進又は強化、緻密化の際にマトリックス材料の分配より速及び/又はより均一になるように、形成することもできる。
【0026】
1つの実施形態において、キャビティの端部における複数のセラミックマトリックス複合材プライの繊維は、キャビティの中心軸に対して10度よりも大きな角度を形成する。
【0027】
1以上の実施形態を参照し本発明を説明してきたが、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、様々な変更をなすことができ本発明の要素を均等物で置き換えることができることは当業者には明らかであろうさらに、本発明の本質的な技術的範囲内で、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるべく数多くの修正を加えることができる。従って、本発明は、本発明を実施するための最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属するあらゆる実施形態を包含する
【0028】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
セラミックマトリックス複合材構成要素を製造する方法であって、
複数のセラミックマトリックス複合材プライを互いに重ねて配置して、緻密化材料を浸透させることができるほど十分に小さい終端直径をその一部が含むキャビティを形成するステップと、
上記複数のセラミックマトリックス複合材プライを緻密化して緻密体を形成するステップと、
を含み、上記緻密化により、上記終端直径を有する上記キャビティの一部が緻密化材料で充填され、上記緻密体内に上記キャビティが存在する、方法。
[実施態様2]
上記キャビティが、上記緻密体内に完全に密封される、実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
上記キャビティが、テーパー付き幾何形状を含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様4]
上記テーパー付き幾何形状が、上記複数のセラミックマトリックス複合材プライの少なくとも一部の間にボイド幾何形状の差違を含む、実施態様3に記載の方法。
[実施態様5]
上記セラミックマトリックス複合材プライが、予備含浸されたセラミックマトリックス複合材プライである、実施態様1に記載の方法。
[実施態様6]
上記キャビティを形成するステップが、レーザ穿孔、放電加工、カッティング及び機械加工からなる群から選択される方法に基づいている、実施態様1に記載の方法。
[実施態様7]
上記複数のセラミックマトリックス複合材プライを互いに重ねて配置して上記キャビティを形成するステップが、上記複数のセラミックマトリックス複合材プライの各々にボイドを形成し、該ボイドを上記それぞれのセラミックマトリックス複合材プライにおいて整列させて、上記構成要素にキャビティを少なくとも部分的に画成するようにするステップを含み、上記整列が、上記複数のセラミックマトリックス複合材プライを整列させることを含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様8]
上記緻密化が、溶融浸透又は化学蒸着を含む、実施態様1に記載の方法。
[実施態様9]
上記キャビティの端部での上記複数のセラミックマトリックス複合材プライの繊維が、上記キャビティの中心軸に対して10度よりも大きな角度を形成する、実施態様1に記載の方法。
[実施態様10]
上記緻密化材料がケイ素である、実施態様1に記載の方法。
[実施態様11]
上記終端直径は、毛細管力によりケイ素が吸い込まれる直径よりも小さい、実施態様1に記載の方法。
[実施態様12]
上記セラミックマトリックス複合材構成要素が、ライナ、ブレード、シュラウド、ノズル、燃焼器、ノズル端壁びブレードプラットフォームからなる群から選択される、実施態様1に記載の方法。
[実施態様13]
セラミックマトリックス複合材構成要素であって、
緻密体を形成する複数のセラミックマトリックス複合材プライを備え、該複数のセラミックマトリックス複合材プライが、上記緻密体内にキャビティを形成し、該キャビティの一部が、溶浸された緻密化材料を有する終端直径を含む、セラミックマトリックス複合材構成要素。
[実施態様14]
上記キャビティが、緻密体内に完全に密封される、実施態様8に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
[実施態様15]
上記キャビティが、テーパー付き幾何形状を含む、実施態様8に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
[実施態様16]
上記テーパー付き幾何形状が、上記複数のセラミックマトリックス複合材プライの少なくとも一部の間にボイド幾何形状の差違を含む、実施態様14に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
[実施態様17]
直線状の境界が、レーザ穿孔された境界、放電加工された境界、カッティング境界及び機械加工境界からなる群から選択された境界である、実施態様8に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
[実施態様18]
高温ガス経路タービン構成要素が、ライナ、ブレード、シュラウド、ノズル、燃焼器、ノズル端壁びブレードプラットフォームからなる群から選択される、実施態様8に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
[実施態様19]
上記キャビティの端部での上記複数のセラミックマトリックス複合材プライの繊維が、上記キャビティの中心軸に対して10度よりも大きな角度を形成する、実施態様8に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
[実施態様20]
上記終端直径は、毛細管力によりケイ素が吸い込まれる直径よりも小さい、実施態様8に記載のセラミックマトリックス複合材構成要素。
【符号の説明】
【0029】
10 構成要素
22 翼形部
24 ダブテール
26 プラットフォーム
30 先端
50 プレナム
60 セラミックマトリックス複合材プライ
70 キャビティ
402 緻密化されたマトリックス材料
500 プロセス
502 ボイド
504 セラミックマトリックス複合材プライ
506 セラミックマトリックス複合材プライ
508 セラミックマトリックス複合材プライ
510 終端直径
512 スタック
513 溶融マトリックス材料
515 距離
517 内部中空部分
図1
図2
図3
図4
図5