【実施例】
【0027】
以下の例では、追加のプロセス、システム及び方法が、航空機用の複合部品を製造するために形成ツールを用いるシステムに照らして説明される。
【0028】
図16は、例示的実施形態における積層板形成システム1600のブロック図である。積層板形成システム1600は、レイアップツール1610、突起1620、硬化ツール1630、及び積層板1640を含む。レイアップツール1610は、稜線1612まで上に向かって上昇する面1614及び1616を含む。
図16がブロック図であるので、面1614及び1616と稜線1612との間の正確な幾何学形状関係は、完全に提示することができない。したがって、面1614及び1616は、この図では単に稜線1612下方に置かれたブロック要素として示されている。レイアップツール1610はまた、垂直側面1618を含む。突起1620は、レイアップツール1610の頂部に位置する。積層板1640は、レイアップツール1610及び突起1620上にレイアップされ、積層板1640は、突起1620頂部に収束型フランジ1648、ウェブ1642、及び発散型フランジ1647を含む。更に、レイアップツール1610は、線1619を含み、断片1640を断片1650から分離する。硬化ツール1630は、積層板1640の頂部でレイアップツール1610と接合する。この実施形態では、硬化ツール1630は、側面1638を含み、また積層板1640の発散型フランジ1647が上部で掃引されることになる側面1637も含む。硬化ツール1630はまた、稜線1632と、面1634と、及び面1636とを更に備える。
【0029】
より具体的には図面を参照しながら、
図17に示された航空機の製造及び保守方法、及び
図18に示された航空機1702に照らして、本開示の実施形態が説明され得る。製造前段階では、例示的方法1700は、航空機1702の仕様及び設計1704と、材料の調達1706とを含み得る。製造段階では、航空機1702の構成要素及びサブアセンブリの製造1708とシステムインテグレーション1710とが行われる。その後、航空機1702は、認可及び納品1712を経て運航1714に供され得る。顧客による運航中、航空機1702には、改造、再構成、改修なども含み得る、定期的な整備及び保守1716が予定されている。方法1700の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実行され、又は実施され得る。本明細書の目的のために、システムインテグレータとは、限定しないが、任意の数の航空機製造者及び主要システムの下請業者を含んでもよく、第三者とは、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでもよく、オペレータとは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってもよい。
【0030】
図18に示すように、例示的方法1700によって製造された航空機1702は、複数のシステム1720及び内装1722を備えた機体1717を含み得る。高レベルシステム1720の例は、推進システム1724、電気システム1726、油圧システム1728、及び環境システム1730のうちの一又は複数を含む。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙産業の例を示しているが、本発明の原理は、自動車産業などの他の産業にも適用され得る。
【0031】
本明細書において実施される装置及び方法は、製造及び保守方法1700の任意の一又は複数の段階において用いられ得る。例えば、製造段階1708に対応する構成要素又はサブアセンブリは、航空機1702の運航期間中に製造される構成要素又はサブアセンブリと類似の方法で作製又は製造され得る。また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせは、例えば、航空機1702の組立てを実質的に効率化するか、又は航空機17022のコストを削減することにより、製造段階1708及び1710で利用され得る。同様に、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせは、航空機1702の運航中に、例えば限定するものではないが、整備及び保守1716に利用され得る。例えば、本明細書に記載の技術及びシステムは、ステップ1706、1708、1710、1714、及び/若しくは1716に使用され、並びに/又は機体1717及び/若しくは内装1722に使用されてもよい。
【0032】
1つの実施形態では、積層板100は、機体1717のストリンガとして動作する複合部品に硬化され、構成要素及びサブアセンブリの製造1108中に製造される。この複合部品は次に、システムインテグレーション1110で航空機に組み立てられ、その後、摩耗により複合部品が使用不能となるまで、運航1114において用いられ得る。次に、整備及び保守1116において、複合部品が処分され、新しい積層板がレイアップされ、硬化されて、古い複合部品が交換される。形成ツール600及び1000は、複合部品に硬化する追加的積層板を形成するために、構成要素及びサブアセンブリの製造1108を介して用いられ得る。
【0033】
図示された又は本明細書に記載の種々の制御要素(例えば、電気構成要素又は電子構成要素)の何れかが、ハードウェア、プロセッサ実装ソフトウェア、プロセッサ実装ファームウェア、又はこれらの幾つかの組み合わせとして実装され得る。例えば、ある要素が専用ハードウェアとして実装され得る。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、 「コントローラ」、又は幾つかの類似用語で称され得る。プロセッサによって提供される場合、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又はそのうちの幾つかが共有であり得る複数の個別のプロセッサによって、機能が提供され得る。更に、「プロセッサ」又は「コントローラ」の語の明確な使用は、ソフトウェアの実行が可能なハードウェアのみを表すと解釈されるべきでなく、非限定的に、デジタル信号 プロセッサ(DSP) ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC) もしくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェア記憶用のリードオンリメモリ (ROM)、ランダムアクセスメモリ (RAM)、不揮発性ストレージ、ロジックもしくは何らかの他の物理的ハードウェアコンポーネントもしくはモジュールなどを黙示的に含み得る。
【0034】
また、ある要素が、その要素の機能を実施するためにプロセッサ又はコンピュータによって実行可能な指令として実装され得る。指令の幾つかの例は、ソフトウェア、プログラムコード、及びファームウェアである。指令は、その要素の機能を実施するようにプロセッサに指示するためにプロセッサによって実行されるときに動作可能である。指令はプロセッサが可読なストレージデバイスに記憶され得る。ストレージデバイスの幾つかの例は、デジタルもしくはソリッドステートメモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は光学可読デジタルデータ記憶媒体である。
【0035】
ゆえに、要約すると、本発明の第1の態様により、
A1. 稜線(612)で互いに交差するように上昇する第1の上面(614)及び第2の上面(616)を有するレイアップツール(600)であって、稜線の一部の上部に突起を更に有するレイアップ(600)を提供することと、
積層板(100)を上面及び突起の上にレイアップすることと、
硬化ツール(1000)をレイアップツールの上部に接合することと、
積層板の発散型フランジ(130)をレイアップツールから硬化ツールの垂直側面(1030)に上に向かって掃引することと
を含む方法が提供される。
A2. また、硬化ツールが、突起によって覆われていない稜線の一部に沿って2つの上面と接合し、これにより積層板の発散型フランジが露出した突起の上部に保持されるように寸法が決定されている下面(1014、1016)を有している、段落A1の方法が提供される。
A3. また、積層板の収束型フランジ(120)をレイアップツールの垂直側面(1020)にレイアップすることを更に含む、段落A1の方法が提供される。
A4. また、積層板が、稜線に対してレイアップツール上に対称にレイアップされる、段落A1の方法が提供される。
A5. また、積層板の発散型フランジを上に向かって掃引することが、発散型フランジでの発散を引き起こす、段落A1の方法が提供される。
A6. また、発散型フランジを掃引しつつ、一定の圧力を発散型フランジに印加することを更に含む、段落A1の方法が提供される。
A7. また、積層板を複合部品内に硬化させることを更に含む、段落A1の方法が提供される。
本発明の更なる態様によれば、
B1. 複合部品に硬化されることになる積層板(100)と、
積層板を成形するためのレイアップツール(600)であって、
稜線(612)で互いに交差するように上昇し、積層板のウェブ(110)を支持する第1の上面(614)及び第2の上面(616)と、
積層板の発散型フランジ(130)を支持する稜線の一部の上部における突起(800)と、
レイアップツールの上部における硬化ツール(1000)であって、
2つの上面と接合し、積層板の発散型フランジを露出した状態に維持する下部(1014、1016)と、
積層板の発散型フランジが垂直側面(1030)まで上に向かって折り曲げられる垂直側面(1030)と
を備える硬化ツールと
を備えるレイアップツールと
を備えるシステムが提供される。
B2. また、突起のサイズが、稜線に沿った距離に基づき大きくなる、段落B1のシステムが提供される。
B3. また、突起のサイズが、発散型フランジが垂直側面まで上に向かって折り曲げられるときに発生することになる発散の量に一致する、段落B1のシステムが提供される。
B4. また、下部が、突起によって覆われていない稜線の一部に沿って2つの上面と接合している、段落B1のシステムが提供される。
本発明の更なる態様によれば、
C1. 複合部品に硬化されることになる積層板(100)を成形するためのレイアップツール(600)であって、
稜線(612)で互いに交差するように上昇し、積層板のウェブ(110)を受容する第1の上面(614)及び第2の上面(616)と、
積層板の発散型フランジ(130)を受容する稜線の一部の上部における突起と、
レイアップツールの上部における硬化ツール(1000)であって、
2つの上面と接合し、積層板の発散型フランジを露出した状態に維持する下部(1014、1016)と、
積層板の発散型フランジが上に向かって折り曲げられるときに、積層板の発散型フランジを受容する垂直側面(1030)と
を備える硬化ツールと
を備えるレイアップツール(600)
を備えるシステムが提供される。
C2. また、突起のサイズが、稜線に沿った距離に基づき大きくなる、段落C1のシステムが提供される。
C3. また、突起のサイズが、発散型フランジが垂直側面まで上に向かって折り曲げられるときに発生することになる発散の量に一致する、段落C1のシステムが提供される。
C4. また、突起が、稜線に対して対称である、段落C1のシステムが提供される。
C5. また、上面が、稜線に向かって対称に上昇する、段落C1のシステムが提供される。
C6. また、上面が、10度未満の角度で稜線まで上に向かって傾斜する、段落C1のシステムが提供される。
C7. また、突起サイズが、第2の部分が側面まで上に向かって折り曲げられるときに発散型フランジで発生することになる発散の量に一致する、段落C1のシステムが提供される。
C8. また、稜線が真っすぐである、段落C1のシステムが提供される。
C9. また、下部が、線で互いに交差する2つの下面(1014、1016)を備える、段落C1のシステムが提供される。
C10. また、レイアップツールが、積層板の収束型フランジを受容するように寸法が決定された垂直側面を更に備える、段落C1のシステムが提供される。
【0036】
特定の実施形態が本明細書に記載されたが、本開示の範囲はそれらの特定の実施形態に限定されるものではない。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲及びその全ての均等物によって規定されるものである。