(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0009】
本実施形態に係るレシートプリンタ10は、
図1に示すように、例えばPOS(Point of sales)端末等の商品情報処理装置1に備えられる。商品情報処理装置1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等において顧客が購入した商品の会計処理を行うものである。商品情報処理装置1は、図示していないPOSサーバとネットワークを介して接続され、POSサーバとの間で通信を行う。
【0010】
レシートプリンタ10は、顧客が購入した商品の情報(取引情報)をレシートに印字して排出する。レシートプリンタ10は、例えばサーマルプリンタ等の印刷装置から構成される。以下の説明では、
図2に示すように、レシートプリンタ10から排出されたレシートを受け取るユーザ(店員や顧客)側を「前側」、その反対側を「後側」と称する。
【0011】
図3に示すように、レシートプリンタ10は、ロール紙PRが着脱可能に設けられ、ロール紙PRから引き出された用紙がレシートSrとして用いられる。レシートプリンタ10は、搬送部14と、印刷部15と、カット部16と、排出口ガイド部17と、排出口18と、排出後ガイド部19とを備える。
【0012】
搬送部14は、排出口18までの搬送経路に設けられた搬送機構である。搬送部14は、ロール紙PRからのレシートSrの引き出しおよびレシートSrの排出口18に向けた搬送を行う。搬送部14は、例えば、駆動ローラと従動ローラとから構成される。駆動ローラは、
図11に示す制御部11の制御のもと回転する。従動ローラは、駆動ローラの回転に従って回転する。駆動ローラと従動ローラとは搬送経路を間に挟んで対向して設けられる。なお、
図3には、搬送部14は一箇所に配置されているが、複数箇所に配置されてもよい。
【0013】
印刷部15は、顧客が購入した商品の情報(取引情報)をレシートSrに印字する印刷機構である。印刷部15は、搬送部14とロール紙PRとの間に設けられている。また、印刷部15は、例えば、サーマル方式のプリントユニットから構成され、サーマルヘッド151とプラテンローラ152とを備える。
【0014】
サーマルヘッド151およびプラテンローラ152は、制御部11によって制御される。サーマルヘッド151は、プラテンローラ152と対向する位置に設けられる。サーマルヘッド151は、複数の発熱素子を有し、制御部11から受け取った制御信号に応じて発熱素子を発熱させることにより、レシートSrに取引情報を印字する。取引情報は、例えば1ドットライン毎に印字される。
【0015】
プラテンローラ152は、図示していないステッピングモータの回転力が変速ギアを介して伝達されることにより回転する。ステッピングモータは、制御部11から受け取った制御信号に応じて所定のステップ角単位で回転する。なお、搬送部14は、プラテンローラ152から構成されてもよい。つまり、ロール紙PRからのレシートSrの引き出しおよびレシートSrの排出口18に向けた搬送が、プラテンローラ152の回転により行われるよう構成されてもよい。
【0016】
カット部16は、ロール紙PRから引き出されたレシートSrを切断する切断機構である。カット部16は、搬送部14と排出口ガイド部17との間に設けられている。カット部16は、例えば、スライド式カッタから構成され、可動刃と固定刃とを備える。可動刃は、固定刃に摺動可能に設けられる。可動刃は、制御部11から受け取った制御信号に応じて摺動され、固定刃との間に配置されたレシートSrを切断する。
【0017】
カット部16は、フルカットとパーシャルカットとからなる2通りの切断方法によってレシートSrを切断する。フルカットは、排出対象のレシートSrを排出対象外のレシートSrから完全に分離する切断方法である。この場合、
図4(A)に示すように、排出対象のレシートSrの後端Erは、排出対象外のレシートSrから完全に分離される。一方、パーシャルカットは、排出対象のレシートSrを排出対象外のレシートSrから完全に分離せず、切断しない箇所を残す切断方法である。この場合、
図4(B)に示すように、排出対象のレシートSrの後端Erは、排出対象外のレシートSrとつながった非カット部NCを有する。なお、
図4(B)において、非カット部NCは、レシートSrの後端Erの中央に1箇所だけ形成されているが、非カット部NCが形成される位置、数量は任意に設定できる。
【0018】
図3に戻り、排出口ガイド部17は、排出対象のレシートSrを排出口18に向けて案内するガイド機構である。排出口ガイド部17は、排出口18よりも排出方向上流(排出口18の手前)に設けられている。例えば、排出口ガイド部17は、排出口18より後側の位置に設けられる。
【0019】
排出口ガイド部17は、係合部材171と被係合部材172とを備える。係合部材171と被係合部材172は、回転軸171a,172aを備え、それぞれ回転軸171a,172aを中心に回転可能に設けられている。係合部材171と被係合部材172は、制御部11から受け取った制御信号に応じて、回転軸171a,172aを中心に回転する。係合部材171と被係合部材172の回転により、排出口ガイド部17は、
図5に示すように、レシートSrをループ状に撓ませて排出口18に案内する第1の形態、または、
図6に示すように、レシートSrをループ状に撓ませずに排出口18に案内する第2の形態に切り替えられる。
【0020】
係合部材171と被係合部材172は、
図7に示すように、少なくとも一部が互いに噛合されるように形成されている。第1の形態の排出口ガイド部17は、係合部材171と被係合部材172とが噛み合って、
図8に示すようにV字状に配置される。また、このときの排出口ガイド部17は、V字の開放された方向がカット部16を向くように配置される。これにより、カット部16を通過したレシートSrの先端は、排出口ガイド部17のV字の閉じた部分に進入し、当該部分で挟持(クランプ)される。
【0021】
排出口ガイド部17にレシートSrの先端が挟持された状態で、さらにレシートSrが排出方向に搬送されると、レシートSrの先端と後端との間でレシートSrがループ状に撓み、
図5に示すように、当該撓んだ部分がレシートSrの先端および後端よりも先に排出口18から排出される。
【0022】
一方、第2の形態の排出口ガイド部17は、係合部材171と被係合部材172とが互いに離れ、カット部16を通過したレシートSrの搬送方向を変える。この場合、レシートSrは、その先端が排出口ガイド部17によって挟持されない。つまり、第2の形態の排出口ガイド部17は、
図6に示すように、レシートSrをループ状に撓ませず、レシートSrの先端から後端に順に排出されるようレシートSrを排出口18に案内する。
【0023】
排出後ガイド部19は、排出口18よりも排出方向下流に設けられ、一対のガイド片19a,19bを備える。ガイド片19a,19bは、排出口18から延設され、排出口18から排出されたレシートSrを案内、搬送するガイド路を構成する。排出後ガイド部19は、その搬送方向が後方(レシートプリンタ10の後側)を向くように形成されている。
【0024】
具体的には、
図5や
図6に示すように、排出後ガイド部19は、その搬送方向がレシートプリンタ10の後方を向くよう湾曲状に形成されている。これにより、排出口18からレシートプリンタ10の前側に向けて排出されたレシートSrは、レシートプリンタ10の後側の方向に傾き、
図5に示すように、レシートSrの後端が上面になり先端が下面となる。レシートSrは、一般的に、合計金額(購入金額)や預かり金額、つり銭等が最後の方に印字される。この場合、
図9に示すように、レシートプリンタ10は、レシートSrの後端側を上面にしてレシートSrを排出する。このため、ユーザは、レシートSrが排出された状態で合計金額等を確認できる。
【0025】
また、
図6に示すように、ループ状に撓ませずにレシートSrが排出される場合も、排出口18から排出されたレシートSrは、排出後ガイド部19によって、レシートプリンタ10の後側の方向に傾く。これにより、レシートSrは、取引情報が印字された面が上面、取引情報が印字されていない面が下面となる。この場合、
図10に示すように、レシートプリンタ10は、取引情報を上面にしてレシートSrを排出する。このため、ユーザは、レシートSrが排出された状態で全ての取引情報を確認できる。
【0026】
なお、レシートプリンタ10の前側に位置するガイド片19aは、透明または半透明な材料によって形成されてもよい。これにより、ユーザは、ガイド片19aに隠れたレシートSr後端に印字された取引情報を確認できる。
【0027】
また、
図11に示すように、レシートプリンタ10は、制御部11と、通信部12と、記憶部13とを備える。
【0028】
通信部12は、例えば、通信インタフェース装置から構成される。通信部12は、商品情報処理装置1の制御装置(プロセッサ等)との間で通信を行う。通信部12は、商品情報処理装置1から取引情報を含む印刷ジョブデータを受け取り、これを制御部11に供給する。
【0029】
記憶部13は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等の記憶装置から構成される。記憶部13は、制御部11が各種処理を行うためのプログラムおよびデータ、制御部11が各種処理を行うことにより生成、取得されたデータを記憶する。
【0030】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、CPUのメインメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)等から構成される。なお、制御部11は、一部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路から構成されてもよい。
【0031】
制御部11は、記憶部13に記憶されたプログラムを実行する。これにより、制御部11は、レシート長判別部11a、排出口ガイド制御部11bとして機能し、以下のレシート排出処理を実行する。
【0032】
以上のように構成されたレシートプリンタ10の制御部11は、商品情報処理装置1から通信部12を介して印刷ジョブデータを受け取った場合に、レシート排出処理を開始する。
【0033】
はじめに、レシート長判別部11aは、
図12に示すように、排出対象のレシートSrの長さが基準を満たすか否かを判別する(ACT101)。例えば、レシート長判別部11aは、印刷ジョブデータに含まれる取引情報を基に、排出対象のレシートSrの排出方向(副走査方向)の長さを求める。レシート長判別部11aは、求めた長さが予め定められた閾値より大きい場合に基準を満たすと判別し、求めた長さが閾値以下の場合に基準を満たさないと判別する。
【0034】
排出口ガイド制御部11bは、レシート長判別部11aによるACT101の判別結果に従って、排出口ガイド部17(回転軸171a,172a)を制御する。具体的には、レシート長判別部11aによって基準を満たすと判別された場合には(レシートSrの長さが閾値より大きい場合、ACT101;YES)、排出口ガイド制御部11bは、排出口ガイド部17を第1の形態とする(ACT102)。この場合、
図8に示すように、排出口ガイド部17の係合部材171と被係合部材172とは噛み合い、V字状に形成される。
【0035】
この状態で制御部11は、レシートSrの搬送を搬送部14に行わせ、レシートSrへの取引情報の印字を印刷部15に行わせる。カット部16を通過したレシートSrの先端は、排出口ガイド部17のV字の閉じた部分で挟持(クランプ)される。その後、さらにレシートSrが排出方向に搬送されると、
図5に示すように、レシートSrはループ状に撓み、当該撓んだ部分がレシートSrの先端および後端よりも先に排出口18から排出される。また、排出口18から排出されたレシートSrは、排出後ガイド部19によって、先端が下面、後端が上面にされて搬送される。
【0036】
制御部11は、レシートSrへの印字およびレシートSrの搬送を、取引情報の印刷が完了するまで継続して行う(ACT103;NO)。なお、レシートSrをループ状に撓ませる場合は、撓ませない場合よりもレシートSrの搬送方向の長さが半減されるので、排出スピードが遅くなる。そのため、レシートSrを撓ませる場合(排出口ガイド部17を第1の形態とする場合)は、レシートSrを撓ませない場合(排出口ガイド部17を第2の形態とする場合)よりも搬送速度を高速で行うようにしてもよい。この場合、レシートSrが排出されるまでの時間が短縮され、精算処理時間の短縮を図ることができる。
【0037】
取引情報の印刷が完了した場合(ACT103;YES)、制御部11は、カット部16を制御してフルカットを実行する(ACT104)。これにより、
図4(A)に示すように、排出対象のレシートSrは排出対象外のレシートSrから完全に分離される。以上により、レシート長が閾値よりも大きい場合(長い場合)の一連のレシート排出処理が終了する。
図9に示すように、レシートプリンタ10からは、レシートSrが撓んだ状態で後端が上面となって排出されるので、ユーザは、レシートSrが排出された状態で合計金額等を確認できる。
【0038】
一方、ACT101において、レシート長判別部11aによって基準を満たさないと判別された場合には(レシートSrの長さが閾値以下の場合、ACT101;NO)、排出口ガイド制御部11bは、排出口ガイド部17を第2の形態とする(ACT105)。
【0039】
この状態で制御部11は、上記ACT103と同様、レシートSrへの印字およびレシートSrの搬送を取引情報の印刷が完了するまで継続して行う(ACT106;NO)。これにより、
図6に示すように、カット部16を通過したレシートSrは、ループ状に撓まず、先端から後端に順に排出口18に案内される。また、排出口18から排出されたレシートSrは、排出後ガイド部19によって、取引情報の印字された面が上面にされて搬送される。
【0040】
取引情報の印刷が完了した場合(ACT106;YES)、制御部11は、カット部16を制御してパーシャルカットを実行する(ACT107)。これにより、
図4(B)に示すように、排出対象のレシートSrの後端に非カット部NCが形成され、排出対象外のレシートSrと不完全に分離される。これにより、排出されたレシートSrがレシートプリンタ10内部に落下等することがなく、紙詰まりを防止できる。以上により、レシート長が閾値以下の場合(短い場合)の一連のレシート排出処理が終了する。
図10に示すように、レシートプリンタ10からは、レシートSrに印字された取引情報が全て確認できるように排出され、ユーザは、レシートSrが排出された状態で合計金額等を確認できる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係るレシートプリンタ10によれば、排出口ガイド部17によって、搬送されるレシートSrの先端が狭持されると、レシートSrの先端と後端との間でレシートSrがループ状に撓む。そして、当該撓んだ部分がレシートSrの先端および後端よりも先に排出口18から排出される。これにより、排出されるレシートSrが長くても、ユーザは、レシートSrを容易に取り扱うことが可能となる。
【0042】
また、レシートプリンタ10では、排出後ガイド部19によって、排出口18から撓んだ状態で排出されたレシートSrの後端側が上面となり、先端側が下面となるように、レシートSrが排出方向下流に案内される。これにより、ユーザは、レシートSrを取り上げる前に合計金額等を確認することが可能となる。
【0043】
また、排出口ガイド部17は、レシートSrをループ状に撓ませて排出口18に案内する第1の形態と、レシートSrをループ状に撓ませずに排出口18に案内する第2の形態とに切り替え可能に設けられている。このため、レシートSrの排出態様を選択的に切り替えることができる。
【0044】
さらに、レシートプリンタ10は、排出口ガイド部17の第1の形態と第2の形態とを切り替えることができるので、排出対象のレシートSrの長さに応じて適切な態様でレシートSrを排出させることができる。
【0045】
また、排出後ガイド部19は、搬送されるレシートSrの方向がレシートプリンタ10の後方を向くように形成されている。このため、ユーザは、レシートSrが排出された状態で、レシートSrの後端に印字された合計金額等を確認できる。
【0046】
なお、上記実施形態は一例であり、種々の変更及び応用が可能である。例えば、排出後ガイド部19は、
図13に示すように、排出後ガイド部材191を備えてもよい。排出後ガイド部材191は、ガイド片19aに着脱可能であり、透明または半透明な材料によって形成される。排出後ガイド部材191が取り付けられた排出後ガイド部材191は、上記実施形態と同様、排出口18から排出されたレシートSrを、レシートプリンタ10の後方を向くようにし、レシートSrが排出された状態で合計金額等の取引情報をユーザが確認できるようにレシートSrを案内する。
【0047】
上記実施形態の排出口ガイド部17では、係合部材171と被係合部材172がそれぞれ回転軸171a,172aを中心に回転する。これに限らず、係合部材171と被係合部材172は、共通の回転軸を中心に回転する構成としてもよい。
【0048】
また、排出口ガイド部17の係合部材171と被係合部材172は、一方のみが回転することにより、第1の形態と第2の形態とが切り替えられるように構成されていてもよい。例えば、
図14および
図15に示すように、係合部材171に回転軸171aを設け、被係合部材172に弾性体172bを設けることとしてもよい。弾性体172bは、被係合部材172が係合部材171に向けて付勢されるように配置される。被係合部材172は、弾性体172bの付勢力によって僅かに移動する。
【0049】
このように構成された場合も、排出口ガイド部17は、
図14に示すように、レシートSrの先端を挿入、挟持(クランプ)する。この場合、レシートSrはループ状に撓んで排出口18から排出される。一方、第2の形態の排出口ガイド部17は、
図15に示すように、レシートSrの先端を挟持せず、搬送されたレシートSrが先端から後端に順に排出されるように、レシートSrを排出口18に案内する。
【0050】
また、排出口ガイド部17は、係合部材171と被係合部材172とが、回転以外の動作(例えば並行移動)を行うことによって、第1の形態と第2の形態とが切り替えられるように構成されていてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、排出口ガイド部17は、排出対象となるレシートSrの長さに応じて第1の形態または第2の形態に切り替えられたが、排出口ガイド部17の第1の形態と第2の形態の切り替えは、ユーザの操作に従って行われてもよい。例えば、レシートSrが短い場合でも排出口ガイド部17を第1の形態に制御し、ループ状に撓ませたレシートSrを排出してもよい。
【0052】
また、上記実施形態のレシートプリンタ10は、レシートSrの長さの判別結果に従って、予め定められた切断方法(フルカットまたはパーシャルカット)によってレシートSrを切断したが、レシートSrの長さに関係なく、予め定められた切断方法によりレシートSrを切断してもよい。
【0053】
その他、上記実施形態では、レシートプリンタ10がサーマルプリンタである場合を例に挙げて説明したが、レシートプリンタは、ドットインパクト方式、インクジェット方式、電子写真方式のプリンタであってもよい。
【0054】
本発明の実施形態をいくつか説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。