特許第6979780号(P6979780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979780
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】原子炉建屋の解体方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/30 20060101AFI20211202BHJP
   E04G 23/08 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   G21F9/30 T
   E04G23/08 Z
   G21F9/30 535E
   G21F9/30 535C
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-63902(P2017-63902)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-165706(P2018-165706A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】509328928
【氏名又は名称】株式会社日立プラントコンストラクション
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】木尾 賢治
(72)【発明者】
【氏名】永江 良明
(72)【発明者】
【氏名】清水 徳雄
(72)【発明者】
【氏名】小畠 亨司
(72)【発明者】
【氏名】北原 隆
【審査官】 関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−249595(JP,A)
【文献】 特開2005−241527(JP,A)
【文献】 特開2012−093233(JP,A)
【文献】 特開平08−194097(JP,A)
【文献】 特開平08−283806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G23/00−23/08
G21F9/00−9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉圧力容器の炉内構造物を解体する第1工程と、
前記原子炉圧力容器の接続配管を撤去する第2工程と、
壁内側に前記原子炉圧力容器を配置した原子炉熱遮蔽壁の外周に切断手段のワイヤソーを巻き回して輪切り切断し、切断した前記原子炉熱遮蔽壁に吊金具を取り付けて、原子炉格納容器の上面開口から原子炉建屋の天井クレーンで吊り下した天秤の吊下げ手段に前記吊金具を接続して切断した前記原子炉熱遮蔽壁を前記天井クレーンで吊上げて搬出して解体する第3工程と、
前記原子炉圧力容器を解体する第4工程と、
前記原子炉格納容器を解体する第5工程と、
を有し、前記第3工程は、前記切断手段が架台と、前記架台上で前記原子炉熱遮蔽壁を輪切りする前記ワイヤソーと、前記ワイヤソーを巻き回した主プーリを有して前記原子炉建屋の操作エリアに配置した駆動部を備え、前記架台及び前記駆動部を切断途中で前記原子炉圧力容器を中心として前記原子炉熱遮蔽壁の外周に沿って旋回させながら切断することを特徴とする原子炉建屋の解体方法。
【請求項2】
原子炉熱遮蔽壁の上端面と対向する面を備え、原子炉建屋の天井クレーンで原子炉格納容器の上面開口から挿入可能な天秤と、
前記原子炉格納容器と前記原子炉熱遮蔽壁の間に配置して前記原子炉格納容器の仮足場上を走行又は前記天秤で吊り下げ可能な架台と、前記架台上で前記原子炉熱遮蔽壁を輪切りするワイヤソーと、前記ワイヤソーを巻き回した主プーリを有して前記原子炉建屋の操作エリアに配置した駆動部を有し、前記架台及び前記駆動部を切断途中で前記原子炉熱遮蔽壁の外周に沿って旋回可能とする切断手段と、
輪切りした前記原子炉熱遮蔽壁の上端面に取り付けた吊金具を吊下げ可能な吊下げ手段と、
を備えたことを特徴とする原子炉建屋の解体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉圧力容器を囲む原子炉熱遮蔽壁を備えた原子炉建屋の解体方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は原子炉建屋の主要部の概略断面図である。図示のように原子炉建屋1の内部には、原子炉格納容器2が配置されている。原子炉格納容器2内には、原子炉圧力容器3が収容されている。そして原子炉圧力容器3の周囲には原子炉熱遮蔽壁4が形成されている。原子炉建屋内1の上部は、操作エリア5とされ、エリア内には天井クレーン6が走行自在に取り付けてある。
このような原子力発電設備は、一般に耐用年数が経過すると廃炉となるため解体撤去が行われる。このとき解体作業に従事する作業者の被曝を防止し、放射性物質を外部に飛散させないように解体しなければならない。
【0003】
特許文献1に開示の解体方法は、原子炉格納容器の原子炉圧力容器の上部開口から容器内部へ切断手段を挿入して、内側から容器を切断し、切断した原子炉圧力容器を外部に搬出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−61396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のように、原子炉圧力容器を切断する際、容器の内部空間を利用すれば作業スペースを確保できる。このとき機械式切断の反力を把持するための機構が必要となるが、この機構の設置スペースも容易に確保できる。
一方、原子炉圧力容器を外側から切断することができれば、被曝及び放射性物質の飛散を低減しつつ解体工法の選択肢を広げることができる。
しかしながら、現状の原子炉圧力容器は、原子炉熱遮蔽壁との間のスペースが狭く、狭隘なスペースに切断手段を配置して外側から切断することは困難であり、解体工法が極めて限定的となっていた。
【0006】
そこで上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、原子炉圧力容器の解体工法の選択肢を拡げることができる原子炉建屋の解体方法及び装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、原子炉圧力容器の炉内構造物を解体する第1工程と、
前記原子炉圧力容器の接続配管を撤去する第2工程と、
壁内側に前記原子炉圧力容器を配置した原子炉熱遮蔽壁の外周に切断手段のワイヤソーを巻き回して輪切り切断し、切断した前記原子炉熱遮蔽壁に吊金具を取り付けて、原子炉格納容器の上面開口から原子炉建屋の天井クレーンで吊り下した天秤の吊下げ手段に前記吊金具を接続して切断した前記原子炉熱遮蔽壁を前記天井クレーンで吊上げて搬出して解体する第3工程と、
前記原子炉圧力容器を解体する第4工程と、
前記原子炉格納容器を解体する第5工程と、
を有し、前記第3工程は、前記切断手段が架台と、前記架台上で前記原子炉熱遮蔽壁を輪切りする前記ワイヤソーと、前記ワイヤソーを巻き回した主プーリを有して前記原子炉建屋の操作エリアに配置した駆動部を備え、前記架台及び前記駆動部を切断途中で前記原子炉圧力容器を中心として前記原子炉熱遮蔽壁の外周に沿って旋回させながら切断することを特徴とする原子炉建屋の解体方法を提供することにある。
上記第1の手段によれば、原子炉圧力容器よりも先に原子炉熱遮蔽壁を解体撤去することができるので、原子炉圧力容器を外側から切断するなど解体工法の選択肢を容易に広げることができる。
【0008】
上記課題を解決するための第2の手段として、本発明は、上記第1の手段において、前記第3の工程は、
切断手段のワイヤソーを前記原子炉熱遮蔽壁の外周に巻き回して輪切りする切断工程と、
切断した前記原子炉熱遮蔽壁に吊金具を取り付ける設置工程と、
前記原子炉格納容器の上面開口から前記原子炉建屋の天井クレーンで吊り下した天秤の吊下げ手段に前記吊金具を接続して切断した前記原子炉熱遮蔽壁を前記天井クレーンで吊上げる搬出工程と、
を有することを特徴とする原子炉建屋の解体方法を提供することにある。
上記第2の手段によれば、壁内側に原子炉圧力容器を残した状態で原子炉熱遮蔽壁の外側から切断して解体することができる。輪切り切断した遮蔽壁は遮蔽壁の上端に載置した状態であり、落下のおそれがない。
【0009】
上記課題を解決するための第3の手段として、本発明は、上記第2の手段において、前記切断工程は、前記原子炉圧力容器を中心として前記切断手段を前記原子炉熱遮蔽壁の外周に沿って旋回させながら行うことを特徴とする原子炉建屋の解体方法を提供することにある。
上記第3の手段によれば、切断工程をほぼ水平方向に沿って効率的に輪切り切断することができる。
【0010】
上記課題を解決するための第4の手段として、本発明は、原子炉熱遮蔽壁の上端面と対向する面を備え、原子炉建屋の天井クレーンで原子炉格納容器の上面開口から挿入可能な天秤と、
前記原子炉格納容器と前記原子炉熱遮蔽壁の間に配置して前記原子炉格納容器の仮足場上を走行又は前記天秤で吊り下げ可能な架台と、前記架台上で前記原子炉熱遮蔽壁を輪切りするワイヤソーと、前記ワイヤソーを巻き回した主プーリを有して前記原子炉建屋の操作エリアに配置した駆動部を有し、前記架台及び前記駆動部を切断途中で前記原子炉熱遮蔽壁の外周に沿って旋回可能とする切断手段と、
輪切りした前記原子炉熱遮蔽壁の上端面に取り付けた吊金具を吊下げ可能な吊下げ手段と、
を備えたことを特徴とする原子炉建屋の解体装置を提供することにある。
上記第4の手段によれば、壁内側に原子炉圧力容器を残した状態で原子炉熱遮蔽壁の外側から切断して解体することができる。輪切り切断した遮蔽壁は遮蔽壁の上端に載置した状態であり、落下のおそれがない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原子炉圧力容器よりも先に原子炉熱遮蔽壁を解体撤去することができ、原子炉圧力容器の解体工法の選択肢を広げることができる。また原子炉格納容器と原子炉熱遮蔽壁との間のスペースが僅かであり、かつ壁内側に原子炉圧力容器を残した状態で原子炉熱遮蔽壁の外側から切断して解体することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の原子炉建屋の解体方法の処理フロー図である。
図2】本発明の原子炉建屋の解体装置の構成概略図である。
図3】天秤の平面図である。
図4】変形例の天秤の平面図である。
図5】切断手段の説明図である。
図6】切断手段の変形例1の説明図である。
図7】切断手段の変形例2の説明図である。
図8】本発明の原子炉建屋の解体方法の説明図である。
図9】変形例の原子炉建屋の解体装置の構成概略図である。
図10】原子炉建屋の主要部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の原子炉建屋の解体方法及び装置の実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0014】
[原子炉建屋の解体装置10]
本発明の原子炉建屋の解体装置10は、原子炉圧力容器の外側に原子炉熱遮蔽壁が配置されている原子炉建屋において、壁内に原子炉圧力容器3を残した状態で原子炉熱遮蔽壁4を解体可能な装置である。図2は本発明の原子炉建屋の解体装置の構成概略図である。図示のように本発明の原子炉建屋の解体装置10は、天秤20と、切断手段40、吊下げ手段60を主な基本構成としている。
【0015】
[天秤20]
図3は天秤の平面図である。天秤20は、平面視で原子炉熱遮蔽壁4とほぼ同じ形状の円筒状で、原子炉熱遮蔽壁4の上端面と対向する面を備え、原子炉格納容器2の上面開口2aから挿入できる大きさに形成している。天秤20は、上面に天井クレーン6のチェーンと係止する吊金具を取付け、下面に後述する吊下げ手段60を複数備えている。また天秤20は、天井クレーン6との接続箇所に取り付けた旋回手段6aにより天井クレーン6で吊り下げた状態で、旋回可能に構成している。このような天秤20は、後述する切断手段40を原子炉熱遮蔽壁4の近傍へ搬入し、輪切り切断した原子炉熱遮蔽壁4を外部へ搬出することができる。
【0016】
また天秤20の形状は、この他、図4に示すように原子炉熱遮蔽壁4の上端面と対向する面を一部備えていれば、例えば平面視で十字形状に形成することもできる。十字形状の天秤20Aは原子炉熱遮蔽壁4と対向する4つの端部に吊下げ手段60を取り付けている。
【0017】
[切断手段40]
図5は切断手段の説明図であり、ワイヤソーを原子炉熱遮蔽壁4の外周に沿って巻き回した平面図である。切断手段40は、架台42と、駆動部401(図2参照)と、ワイヤソー48と、ガイド50を主な基本構成としている。
架台42は、回転軸を垂直方向に沿って配置した一対の水平プーリ44a,bと、回転軸を水平方向に沿って配置した一対の垂直プーリ46a,bを台上に取り付けている。そして水平プーリ44a,bは原子炉熱遮蔽壁4側に、垂直プーリ46a,bは原子炉格納容器2側に取り付けている。水平及び垂直プーリ44,46の上方には駆動部401を設けている。駆動部は操作エリア5に配置して、駆動モータに直結した主プーリと、複数の補助プーリ、余長巻取機構を備えている。また図5に示す水平プーリ44a,bは、テンション調整機構を有している。具体的なテンション調整機構の構成は、水平プーリ44a,bを互いに接近又は離間する方向に伸縮可能な一対のシリンダロッドである。このような構成の水平プーリ44a,bは、テンション調整機構により互いに接近させると、後述するワイヤソーのテンション(撓み)を解消して、原子炉熱遮蔽壁を切断することができる。
【0018】
ワイヤソー48は、原子炉熱遮蔽壁4の外周よりも長いループ状の切断用のワイヤーロープである。ワイヤソー48は、水平及び垂直プーリ44a,b,46a,bと駆動部401の主プーリ及び補助プーリに巻き回している。
ガイド50は、原子炉熱遮蔽壁4に巻き回したワイヤソーの位置決めを行うものである。具体的なガイド50の構成は、例えば、上下一対のアンカーを間にワイヤソーを挟んで遮蔽壁面に打ち込んで取り付けることができる。このようなガイド50は、中心の原子炉圧力容器3から放射状に原子炉熱遮蔽壁4の外周に沿って複数取り付けて、ワイヤソーをほぼ水平方向に巻き回すことができる。
なお本実施形態の切断手段40は、駆動部401を操作エリア5に配置して、架台42上に吊金具を取り付けて、天秤20の吊下げ手段に吊下げ可能に構成している。また切断手段40は、下面に車輪を取り付けて、平面上を走行自在に構成できる。切断手段40は、吊金具と車輪のいずれか一方またはいずれも備えていると良い。
【0019】
このような切断手段40は、原子炉格納容器2の内部の仮足場を利用して切断する場合には、車輪を取り付けて仮足場上を走行自在としている。また原子炉格納容器2の内部に仮足場がない場合には、架台42に吊金具を取り付けて、天秤20に取り付け又は後述する吊下げ手段60を介して吊り下げることができる。
図6は切断手段の変形例1の説明図である。変形例1の切断手段40aは架台42上の水平及び垂直プーリ44a,b、44a,bの構成に加えて、操作エリア5に設置した駆動部401側にテンション調整機構52と、移動式駆動プーリ54を備えている。テンション調整機構52は、前述同様にワイヤソーのテンションを解消するものであり、垂直プーリ46a,bと駆動部の間に一対の固定プーリ52a及び移動プーリ52bを備えた構成である。このような構成のテンション調整機構52は、移動プーリ52bが互いに接近又は離間する進退移動可能に構成しており、互いに接近することにより、ワイヤソーのテンションを解消することができる。
【0020】
移動式駆動プーリ54は駆動モータ54aと、駆動モータ54aのシャフトに接続した駆動プーリ54bと、駆動モータ54a及び駆動プーリ54bをシャフトの軸心と直交する方向にスライド移動可能なスライド部を備えている。
このような構成の変形例1の切断手段40aは、テンション調整機構52によりワイヤソーのテンションを解消可能とし、移動式駆動プーリ54によりワイヤソーの余長を吸収して解消し、同時に切断に要する張力を維持することができる。
【0021】
図7は切断手段の変形例2の説明図である。変形例2の切断手段40bは、架台42上の水平及び垂直プーリ44a,b、44a,bの構成に加えて、操作エリア5に設置した駆動部401側にテンション調整機構52と、駆動プーリ55と、余長調整機構56を備えている。
テンション調整機構52は、前述同様にワイヤソーのテンションを解消するものであり、垂直プーリ46a,bと駆動プーリ55の間に一対の固定プーリ52a及び移動プーリ52bを備えた構成である。このような構成のテンション調整機構52は、移動プーリ52bが互いに接近又は離間する進退移動可能に構成しており、互いに接近することにより、ワイヤソーのテンションを解消することができる。
駆動プーリ55は、一対のプーリ間にワイヤソーを挟んで、周回移動させるプーリである。
【0022】
余長調整機構56は、螺旋状に巻き回したワイヤソーを円周状に配置した複数のプーリ56aに巻き回している。また複数のプーリ56aは、軸心と直交する方向であって互いに接近又は離間する方向に移動可能なスライド部56bに取り付けている。このような構成の余長調整機構56は、ワイヤソーの余長を吸収して解消し、同時に切断に要する張力を維持することができる。
【0023】
[吊下げ手段60]
吊下げ手段60は、天秤20に複数取り付けたチェーンブロックである。本実施形態の吊下げ手段60は、一例として、天秤20の中心を通り互いに直交する直線上に4つ取り付けている。
このような吊下げ手段60は、切断手段40によって輪切り切断した原子炉熱遮蔽壁4を吊下げて上下方向の任意箇所に移動させたり、切断手段40の架台42を吊下げて上下方向の任意箇所に移動させたりすることができる。
【0024】
[原子炉建屋の解体方法]
次に本発明の原子炉建屋の解体方法について以下説明する。
図1は本発明の原子炉建屋の解体方法の処理フロー図である。
原子炉圧力容器の炉内構造物を解体する(第1工程:ステップ1)。原子炉圧力容器3内で原子燃料を配置するための支持構造物等を解体撤去する。
原子炉圧力容器に接続する接続配管を撤去する(第2工程:ステップ2)。
【0025】
壁内側に前記原子炉圧力容器を配置した原子炉熱遮蔽壁を解体する(第3工程:ステップ3)。図8は本発明の原子炉建屋の解体方法の説明図である。
同図(A)に示すように、切断手段40の駆動部401を操作エリア5に配置する。そして原子炉格納容器2の上面開口2aから架台42及びワイヤソー48を吊下げ手段60を介して吊下げた天秤20を原子炉建屋1の天井クレーン6で吊り下す(搬入工程)。
【0026】
原子炉熱遮蔽壁4の切断箇所近くの仮足場2bに架台42及びワイヤーソー48を設置し、吊下げ手段60から取り外す。なお仮足場2bは、円筒状の原子炉熱遮蔽壁4の外周を囲むように平面視で円筒状に形成されている。また仮足場2bは、原子炉熱遮蔽壁4を輪切り切断する原子炉格納容器2の壁面に着脱自在に形成している。
【0027】
同図(B)に示すように、ループ状のワイヤソー48を原子炉熱遮蔽壁4の外周に沿ってガイドを介して巻き回す。切断反力を受ける架台42を仮足場2b上に固定した後、操作エリア5の駆動部401の主ループを回転させて原子炉熱遮蔽壁4を輪切り切断する(切断工程)。
図5に示すように原子炉熱遮蔽壁4に巻き回したワイヤソーで輪切り切断するときにワイヤソーと遮蔽壁の接触力を均等に維持することは困難であり、切断進行が大きい箇所が現れる。この場合、原子炉熱遮蔽壁4の外周から数十センチの厚みを切断するなど任意の切断途中で、駆動部401を停止し、切断手段40を原子炉熱遮蔽壁4の外周に沿って架台42ごと仮足場2b上で旋回移動させる。
そして駆動部401の主ループを回転させて原子炉熱遮蔽壁4を再度輪切り切断する。
【0028】
このような切断手段40による切断と、外周に沿って架台42を旋回移動する位置ずらしを数回行うことにより、原子炉熱遮蔽壁4をほぼ水平方向に輪切り切断することができる。
同図(C)に示すように、輪切り切断した原子炉熱遮蔽壁4に吊金具62を取り付ける(設置工程)。本実施形態では、吊金具62を原子炉熱遮蔽壁4の上端面で、吊下げ手段60と対向する箇所に取り付けている。
【0029】
同図(D)に示すように、吊下げ手段60を吊金具62に係止した後、天井クレーン6により天秤20と共に輪切り切断した原子炉熱遮蔽壁4を吊り上げて外部へ搬出させる(搬出工程)。
輪切り切断した原子炉熱遮蔽壁4を搬出した後は、仮足場2bを下方へ移動させて再度搬入工程から搬出工程を繰り返し行い、原子炉熱遮蔽壁4の解体作業を行う。
【0030】
上記解体方法は、切断手段40を原子炉格納容器2の仮足場2bに設置して、仮足場2b上を移動させて切断工程を行う作業について説明した。次に原子炉格納容器2の仮足場がない場合について以下説明する。
図9は変形例の原子炉建屋の解体装置の構成概略図である。遮蔽壁を切断する際に生じる切断反力を受けるために天秤20に突っ張り手段70を取り付け、切断手段40B(駆動部、架台を含む一式)を天秤20に連結手段80を介して固定している。
【0031】
突っ張り手段70は、本体を天秤20に固定し、本体から伸縮するロッド先端が原子炉格納容器2の壁面と接触している。このような本体を天秤20の外周に複数設けて原子炉格納容器2の所定位置に固定することができる。
連結手段80は、所定の剛性を備えており、一端を天秤20に固定し、他端を切断手段40Bに固定した連結部材である。
このような変形例の原子炉建屋の解体装置を用いた原子炉建屋の解体方法は図1に示す処理フローと基本的に同一であるが、以下に示す搬入工程と切断工程が異なる。
【0032】
搬入工程は原子炉格納容器2の上面開口2aから天秤20を用いて、連結部材80で固定した切断手段40Bと、吊下げ手段60で吊り下げたワイヤソー48を原子炉建屋1の天井クレーン6で吊り下す。次に、突っ張り手段70で、天秤20を原子炉格納容器2に固定する。
駆動部の主ループを回転させて原子炉熱遮蔽壁4を輪切り切断する(切断工程)。ワイヤソー48により原子炉熱遮蔽壁4の外周から数十センチの厚みを切断するなど任意の切断途中で、駆動部401の主ループを停止する。切断手段40Bを原子炉熱遮蔽壁4の外周に沿って移動させる場合、突っ張り手段70による固定を解除して旋回手段6aを用いて天秤20を旋回させる。
そして駆動部の主ループを回転させて原子炉熱遮蔽壁4を再度輪切り切断する。
【0033】
このような切断手段40Bによる切断と、外周に沿って天秤20を旋回させて切断手段40Bを移動する位置ずらしを数回行うことにより、原子炉熱遮蔽壁4をほぼ水平方向に輪切り切断することができる。
設置工程及び搬出工程は同様に行う。
【0034】
原子炉熱遮蔽壁を解体した後、原子炉圧力容器を解体する(第4工程:ステップ4)。原子炉圧力容器3は、外側の原子炉熱遮蔽壁4が解体撤去されているため、従来工法のように内側に切断手段を配置して切断する工法に加えて、外側にも切断手段を設置するスペースがあり、切断工法の選択肢が広がっている。
【0035】
原子炉格納容器を解体する(第5工程:ステップ5)。
このような本発明の原子炉建屋の解体方法によれば、壁内部に原子炉圧力容器が設置された状態でも原子炉熱遮蔽壁を輪切り切断することができる。輪切り切断した遮蔽壁は遮蔽壁の上端に載置した状態であり、落下のおそれがない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、原子炉熱遮蔽壁、煙突のような円筒状構造物の輪切り切断作業を要する建設分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0037】
1………原子炉建屋、2………原子炉格納容器、2a………上面開口、2b………仮足場、3………原子炉圧力容器、4………原子炉熱遮蔽壁、5………操作エリア、6………天井クレーン、10………原子炉建屋の解体装置、20………天秤、22………吊金具、40………切断手段、42………架台、44a,b………水平プーリ、46a,b………垂直プーリ、48………ワイヤソー、50………ガイド、52………テンション調整機構、54………移動式駆動プーリ、55………駆動プーリ、56………余長調整機構、60………吊下げ手段、62………吊金具、70………突っ張り手段、80………連結手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10