特許第6979785号(P6979785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979785
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】スピニングリール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/01 20060101AFI20211202BHJP
【FI】
   A01K89/01 E
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-86998(P2017-86998)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-183091(P2018-183091A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】池袋 哲史
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−333705(JP,A)
【文献】 特開2014−147320(JP,A)
【文献】 特開2002−186387(JP,A)
【文献】 実開昭55−131673(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0020424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00−89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータの回転に伴ってスプールに釣り糸を巻き付け可能なスピニングリールであって、
前記スプールが装着されたスプール軸と、
前記スプール軸の軸回りに配置され、前記ロータが回転不能に装着されたピニオンギアと、
前記ピニオンギアの軸方向の一端側で前記スプール軸に回転可能に配置され、前記スプール軸を支持する筒状のカラー部材と、
前記カラー部材を収容するようにして配置され、前記ピニオンギアに螺合する筒状のナットと、
前記カラー部材の外周面と前記ナットの内周面との間に配置された弾性部材と、
を備えた、
スピニングリール。
【請求項2】
前記カラー部材の前記一端側に配置され、前記カラー部材を前記スプール軸から抜け止めする抜け止め部材をさらに備え、
前記カラー部材は、前記ピニオンギアの前記一端側の端面に接触可能な小径部、及び前記抜け止め部に接触可能であり前記小径部の外径よりも大径の大径部、を有し、
前記弾性部材は、前記カラー部材の前記小径部の外周面と前記ナットの内周面との間に配置されている、
請求項1に記載のスピニングリール。
【請求項3】
前記抜け止め部材は、前記スプール軸と前記カラー部材との間をシールするシール部材である、
請求項2に記載のスピニングリール。
【請求項4】
前記ナットの外周部に配置され、前記ナットを回り止めするリテーナをさらに備え、
前記ナットは、前記カラー部材を収容する頭部、及び前記ピニオンギアに螺合する雌ねじ部、を有し、
前記リテーナは、径方向内側に延び軸方向において前記ナットの頭部に対向する延出部を有し、
前記抜け止め部材は、前記リテーナの延出部と前記ナットとの間で、軸方向に移動不能に装着されている、
請求項2又は3に記載のスピニングリール。
【請求項5】
前記カラー部材は、前記ピニオンギアの軸方向の一端に接触可能な大径部、及び前記大径部の外径よりも小径の小径部、を有し、
前記ナットは、前記カラー部材の前記大径部の外径よりも小径の抜け止め部、及び前記カラー部材の前記大径部の外径よりも大径の段差部、を有し、
前記ナットの抜け止め部は、前記カラー部材の前記小径部に対向して配置され、
前記ナットの段差部は、前記カラー部材の前記大径部に対向して配置され、
前記弾性部材は、前記カラー部材の前記大径部と前記ナットの前記段差部との間に配置されている、
請求項1に記載のスピニングリール。
【請求項6】
前記カラー部材は、前記ピニオンギアの前記一端側の端面と前記ナットの抜け止め部とによって軸方向の移動が規制されている、
請求項5に記載のスピニングリール。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記ピニオンギアの前記一端側の端面と前記ナットの抜け止め部とによって軸方向の移動が規制されている、
請求項5又は6に記載のスピニングリール。
【請求項8】
前記カラー部材は含油焼結金属からなる、
請求項1から7のいずれか1項に記載のスピニングリール。
【請求項9】
前記弾性部材はOリングである、
請求項1から8のいずれか1項に記載のスピニングリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピニングリールに関する。
【背景技術】
【0002】
スピニングリールは、ロータの回転に伴ってスプールに釣り糸が巻き付けられる。スピニングリールは、スプールが装着されたスプール軸と、ロータが回転不能に装着されたピニオンギアと、を備えている。スプール軸は、前後方向に延びてリール本体に設けられ、ピニオンギアの内部を貫通している。スプール軸は、ハンドルの回転に伴ってリール本体を前後方向に往復移動する。
【0003】
スプール軸がハンドルの回転に伴ってリール本体を前後方向に往復移動するとき、スプール軸とピニオンギアとが摩擦すると、ピニオンギアの回転性能が低下してしまう。このピニオンギアの回転性能の低下を抑えるために、例えば特許文献1には、ピニオンギアの先端側にスプール軸を支持するカラー部材が配置されている。カラー部材は、ピニオンギアの内周面とスプール軸の外周面との間に所定の隙間ができるようにスプール軸を支持している。これにより、スプール軸とピニオンギアとの接触面積が減少して、スプール軸とピニオンギアとの間で生じる摩擦力の増加が抑えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−284465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、スプール軸を支持するカラー部材は、内周面を高い精度で加工する必要がある。特許文献1では、このようなカラー部材に対してナットやピニオンギアを当接させ、カラー部材の軸方向及び径方向の移動を規制している。
【0006】
しかし、特許文献1のような構成では、ピニオンギアが回転したとき、ピニオンギアの先端面とカラー部材とが摩擦して、ピニオンギアの回転性能の低下を招く恐れがある。また、特許文献1では、カラー部材に対するナットの径方向の移動が許容されていないため、スプール軸の曲がりやナット等の芯ずれ、傾きを許容することができない。このため、スプール軸の曲がりや、スプール軸の軸回りに配置された部材に芯ずれや傾きが生じた場合、これらの部材とカラー部材との間で生じる摩擦力が増大して、ピニオンギアの回転性能が低下したり、スプール軸の前後方向の移動に不具合を招いたりする恐れがある。
【0007】
本発明の課題は、スピニングリールにおいて、ピニオンギアの回転性能の低下を抑え、またスプール軸を前後方向にスムーズに移動させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係るスピニングリールは、ロータの回転に伴ってスプールに釣り糸を巻き付け可能であって、スプールが装着されたスプール軸と、ピニオンギアと、カラー部材と、ナットと、弾性部材と、を備えている。ピニオンギアは、スプール軸の軸回りに配置され、ロータが回転不能に装着されている。カラー部材は、筒状であり、ピニオンギアの軸方向の一端側でスプール軸に回転可能に配置され、スプール軸を支持している。ナットは、筒状であり、カラー部材を収容するようにして配置され、ピニオンギアに螺合する。弾性部材は、カラー部材の外周面とナットの内周面との間に配置されている。
【0009】
このスピニングリールでは、スプール軸を支持するカラー部材とナットとの間に弾性部材が配置されている。このため、カラー部材とナットとの間に隙間を設け、カラー部材を、弾性部材を介してナットに支持させることができる。したがって、カラー部材の内周面を高い精度で加工してスプール軸を精度良く支持できるようにした場合であっても、カラー部材とナットとの間の隙間及び弾性部材の弾性変形により、スプール軸の曲がり、及びスプール軸の軸回りに配置されたナットなどの芯ずれや傾きを許容することができる。また、カラー部材の軸方向の移動についても、弾性部材を介して規制することができる。したがって、カラー部材とピニオンギアやスプール軸との間で生じる摩擦力が抑えられ、その結果ピニオンギアの回転性能の低下を抑えることができ、しかもスプール軸の移動をスムーズにすることができる。
【0010】
好ましくは、カラー部材の一端側に配置され、カラー部材をスプール軸から抜け止めする抜け止め部材をさらに備えている。カラー部材は、ピニオンギアの一端側の端面に接触可能な小径部、及び抜け止め部に接触可能であり小径部の外径よりも大径の大径部、を有し、弾性部材は、カラー部材の小径部の外周面とナットの内周面との間に配置されている。この場合は、簡単な構造でカラー部材および弾性部材をスプール軸から抜け止めすることができる。
【0011】
好ましくは、抜け止め部材は、スプール軸とカラー部材との間をシールするシール部材である。この場合は、抜け止め部材がシール部材としての機能を兼ねることができる。
【0012】
好ましくは、ナットの外周部に配置され、ナットを回り止めするリテーナをさらに備えている。ナットは、カラー部材を収容する頭部、及びピニオンギアに螺合する雌ねじ部、を有している。リテーナは、径方向内側に延び軸方向においてナットの頭部に対向する延出部を有し、抜け止め部材は、リテーナの延出部とナットの頭部との間で、軸方向に移動不能に装着されている。この場合は、抜け止め部材をリテーナとナットとの間で固定することができる。
【0013】
好ましくは、カラー部材は、ピニオンギアの軸方向の一端に接触可能な大径部、及び大径部の外径よりも小径の小径部、を有している。ナットは、カラー部材の大径部の外径よりも小径の抜け止め部、及びカラー部材の大径部の外径よりも大径の段差部、有している。ナットの抜け止め部は、カラー部材の小径部に対向して配置されている。ナットの段差部は、カラー部材の大径部に対向して配置されている。弾性部材は、カラー部材の大径部とナットの段差部との間に配置されている。この場合は、簡単な構造でカラー部材および弾性部材をスプール軸から抜け止めすることができる。
【0014】
好ましくは、カラー部材は、ピニオンギアの一端側の端面とナットの抜け止め部とによって軸方向の移動が規制されている。この場合は、簡単な構造でカラー部材の軸方向の移動を規制することができる。
【0015】
好ましくは、弾性部材は、ピニオンギアの一端側の端面とナットの抜け止め部とによって軸方向の移動が規制されている。この場合は、簡単な構造で弾性部材の軸方向の移動を規制することができる。
【0016】
好ましくは、カラー部材は含油焼結金属からなる。この場合は、カラー部材の滑りがさらによくなるため、カラー部材と、カラー部材に接触する部材との間で生じる摩擦力を抑えることができる。
【0017】
好ましくは、弾性部材はOリングである。この場合は、弾性部材の装着が容易になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スピニングリールにおいて、ピニオンギアの回転性能の低下を抑え、またスプール軸を前後方向にスムーズに移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態が採用されたスピニングリールの縦断面図。
図2図1の部分拡大図。
図3】他の実施形態に係る図2に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態が採用されたスピニングリール100の縦断面図である。スピニングリール100は、リール本体1と、スプール軸2と、スプール3と、ロータ4と、ピニオンギア5と、を備えている。なお、以下の説明において、前後とは、釣りを行うときに、釣糸が送り出される方向を前、その反対方向を後という。具体的には、図1及び図2において軸方向の左側を前、右側を後と規定する。また、左右とは、スピニングリール100を後方から見たときの左右をいう。
【0021】
リール本体1は、内部空間を有しており、内部空間には、ロータ駆動機構6やスプール3に釣り糸を均一に巻き付けるオシレーティング機構7などが収容されている。リール本体1の右側部には、ハンドル8が回転可能に装着されている。
【0022】
スプール軸2は、前後方向に延びてリール本体1に設けられている。スプール軸2は、ピニオンギア5の内部を貫通している。
【0023】
スプール3は、外周に釣り糸が巻き付けられる部材である。スプール3は、スプール軸2の先端に螺合するつまみ部材10によってスプール軸2に固定されている。スプール3は、ハンドル8の回転に伴ってスプール軸2とともにリール本体1を前後方向に往復移動する。
【0024】
ロータ4は、スプール3に釣り糸を巻き付けるための部材である。ロータ4は、ハンドル8の回転に伴ってスプール3の中心軸を中心に回転する。
【0025】
ピニオンギア5は、スプール軸2の軸回りに配置されている。ピニオンギア5には、ロータ4が回転不能に装着されている。詳細には、後述するように、ピニオンギア5の前端外周面に形成された雄ねじ5a(図2参照)に螺合するナット11によってピニオンギア5にロータ4が回転不能に装着されている。ピニオンギア5は、軸受12と軸受13とによってリール本体1に回転自在に支持されている。
【0026】
ピニオンギア5の前端側には、スプール軸2を支持する筒状のカラー部材15がスプール軸2に回転可能に配置されている。カラー部材15は、含油焼結金属からなる部材であり、これによりカラー部材15の摺動性が高まり、カラー部材15とスプール軸2との摩擦が抑えられている。
【0027】
カラー部材15は、図2に示すように、径方向において、スプール軸2の外周面とピニオンギア5の内周面との間に所定の隙間Aができるように、スプール軸2を支持している。この隙間Aを設けて、ピニオンギア5とスプール軸との接触面積を減らすことで、ピニオンギア5とスプール軸2との摩擦が抑えられている。
【0028】
カラー部材15は、小径部15aと、大径部15bと、を有している。小径部15aは、後端面がピニオンギア5の前端面に接触可能に配置されている。小径部15aは、外径がピニオンギア5の外径よりも小径に形成されている。
【0029】
大径部15bは、外径が小径部15aの外径よりも大径であり、小径部15aからスプール軸2に沿って前方に延びて形成されている。なお、大径部15b及び小径部15aの内径は互いに等しい。
【0030】
カラー部材15の外周部には、筒状のナット11がカラー部材15を収容するようにして配置されている。ナット11は、内周部にカラー部材15が収容される頭部11aと、ナット11の後部内周面に形成された雌ねじ部11bと、を有している。雌ねじ部11bは、ピニオンギア5の前端外周面に形成された雄ねじ5aと螺合している。
【0031】
ナット11は、ナット11の外周部に配置されたリテーナ16によって回り止めされている。リテーナ16は、複数のねじ部材17によってロータ4に固定されている。リテーナ16は、径方向内側に向かって延びる延出部16aを有している。延出部16aは、リテーナ16の前方に形成され、軸方向においてナット11の頭部11aに対向して配置されている。
【0032】
軸方向において、リテーナ16の延出部16aとナット11の頭部11aとの間には、シール部材18が配置されている。シール部材18は、リテーナ16の延出部16a及びナットの頭部11aに挟持されて軸方向に移動不能である。シール部材18は、本実施形態ではゴム製のリップシールであり、カラー部材15の前方でスプール軸2に接触して、スプール軸2とカラー部材15との間をシールしている。
【0033】
シール部材18は、後方にカラー部材15の大径部15bに接触可能な接触部18aを有している。接触部18aからピニオンギア5の前端面までの軸方向長さは、カラー部材15の軸方向長さよりも長く形成されており、両者の間には隙間Bが設けられている。カラー部材は、接触部18aとピニオンギア5の前端面との間で、この隙間Bの分だけ軸方向に移動可能である。言い換えると、カラー部材15は、シール部材18とピニオンギア5とによって軸方向の移動が規制されており、これによりスプール軸2から抜け止めされている。
【0034】
また、カラー部材15は、シール部材18の接触部18aとピニオンギア5の前端面との間で軸方向に移動可能であるが、後述するように、カラー部材15の小径部15aには弾性部材20が配置されているため、弾性部材20が弾性変形してカラー部材15とピニオンギア5、もしくはカラー部材15とシール部材18とが接触しても、互いの接触圧力が小さい。このため、これらの部材が接触したときに生じる摩擦力を最小限に抑えることができ、ピニオンギア5の回転性能の低下を抑えることができる。
【0035】
カラー部材15の小径部15aの外周面とナット11の内周面との間には、弾性部材20が配置されている。弾性部材20は、弾性変形可能な例えばゴム製の部材であり、本実施形態ではOリングである。カラー部材15は、この弾性部材20を介して、ナット11の内周面とカラー部材15の大径部15bの外周面との間に所定の隙間Cができるようにナット11に支持されている。なお、隙間Cの隙間は、隙間Aと同程度、もしくは隙間Aよりも小さくなるように構成されている。
【0036】
軸方向に関して、弾性部材20は、ナット11の大径部15bとピニオンギア5の前端面との間に配置されている。言い換えると、弾性部材20は、大径部15bとピニオンギア5の前端面とによって軸方向の移動が規制されており、これにより、弾性部材20がスプール軸2から抜け止めされている。
【0037】
このように弾性部材20を配置することで、弾性部材20の弾性変形に伴ってナット11に対してカラー部材15が径方向に移動可能になっている。これにより、スプール軸2の曲がり、及びスプール軸2の軸回りに配置されたカラー部材15やナット11などの芯ずれや傾きを許容することができる。したがって、カラー部材15とスプール軸2との間で生じる摩擦力の増大を抑えることができる。その結果、ピニオンギア5の回転性能の低下を抑え、またスプール軸を前後方向にスムーズに移動させることができる。
【0038】
なお、カラー部材15が径方向に大きく移動しようとしたときは、カラー部材15の大径部15bの外周面がナット11の内周面に接触することで、カラー部材15の径方向の移動が規制される。
【0039】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係るカラー部材周面の部分拡大図を示している。第2実施形態では、ナット111及びカラー部材115の構成が第1実施形態と異なっている。以下では、第1実施形態と異なる構成について詳細に説明する。
【0040】
カラー部材115は、第1実施形態と同様に、径方向において、スプール軸2の外周面とピニオンギア5の内周面との間に所定の隙間Aができるように、スプール軸2を支持している。
【0041】
カラー部材15は、大径部115bと、小径部115aと、を有している。大径部115bは、後端面がピニオンギア5の前端面に接触可能に配置されている。大径部115bは、外径がピニオンギア5の外径よりも小径に形成されている。
【0042】
小径部115aは、外径が大径部115bの外径よりも小径であり、大径部115bからスプール軸2に沿って前方に延びて形成されている。なお、小径部115a及び大径部115bの内径は互いに等しい。
【0043】
カラー部材15の外周部には、筒状のナット111がカラー部材115を収容するようにして配置されている。ナット111は、抜け止め部111aと、雌ねじ部111bと、段差部111cと、を有している。雌ねじ部111bは、第1実施形態と同様の構成であり、ピニオンギア5の雄ねじ5aと螺合している。
【0044】
抜け止め部111aは、ナット111の前方内周面に形成されている。抜け止め部111aは、カラー部材115の大径部115bの外径よりも小径であり、カラー部材115の小径部115aに対向して配置されている。抜け止め部111aとカラー部材115の小径部115aとの間には、径方向において、所定の隙間Cが設けられている。
【0045】
段差部111cは、抜け止め部111aと雌ねじ部111bとの間のナット111の内周面に形成されている。段差部111cは、カラー部材115の大径部115bの外径よりも大径に形成されている。段差部111cは、カラー部材115の大径部115bに対向して配置されている。また、段差部111cの軸方向長さは、カラー部材115の大径部115bの軸方向長さよりも長く形成されており、両者の間には隙間Bが設けられている。
【0046】
ナット111とカラー部材115とを上記構成にすることで、簡単な構成でカラー部材15をスプール軸2から抜け止めすることができる。詳細には、ナットの抜け止め部111aは、段差部111cとの段差によって形成された段差壁111dを有している。カラー部材115の大径部115bは、この段差壁111d及びピニオンギア5の先端に接触可能である。すなわち、カラー部材115は、段差壁111dとピニオンギア5の先端との間で、隙間Bの分だけ軸方向に移動可能に配置されている。さらに言い換えると、カラー部材115の大径部115bは、段差壁111dと、ピニオンギア5の先端とによって軸方向の移動が規制されており、これにより、カラー部材115がスプール軸2から抜け止めされている。
【0047】
本実施形態では、カラー部材115の外周面とナット111の内周面との間に、弾性部材20が配置されている。詳細には、カラー部材115の大径部115bの外周面とナット111の段差部111cとの間に弾性部材20が配置されている。これにより、弾性部材20の弾性変形に伴ってナット111に対してカラー部材115が径方向に移動可能であり、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
前記実施形態では、ナット111に抜け止め部111a及び段差部111cを、カラー部材115に大径部115b及び小径部115aを設けていたが、必ずしもこれらを設ける必要はない。抜け止め部111a、段差部111c、大径部115b及び小径部115aを設けずに、ナット111の内周面とカラー部材115の外周面との間に弾性部材を配置してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 リール本体
2 スプール軸
3 スプール
4 ロータ
5 ピニオンギア
11,111 ナット
11a 頭部
11b,111b 雌ねじ部
15,115 カラー部材
15a,115a 小径部
15b,115b 大径部
20 弾性部材
111a 抜け止め部
111c 段差部
100 スピニングリール
図1
図2
図3