特許第6979884号(P6979884)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6979884医療処置ユニット、歯科医療処置ユニットに供給するための、プロセス水供給ユニット、及び操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979884
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】医療処置ユニット、歯科医療処置ユニットに供給するための、プロセス水供給ユニット、及び操作方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/00 20060101AFI20211202BHJP
   A61C 17/02 20060101ALI20211202BHJP
   A61C 1/08 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   A61C17/00 E
   A61C17/02 Z
   A61C1/08 S
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-568452(P2017-568452)
(86)(22)【出願日】2016年6月29日
(65)【公表番号】特表2018-525070(P2018-525070A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】EP2016065157
(87)【国際公開番号】WO2017001486
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年5月17日
(31)【優先権主張番号】102015212248.4
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518000914
【氏名又は名称】ブルー セイフティ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】BLUE SAFETY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】パペンブロック, ジャン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー, セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】モンニンホフ, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】マース, マティアス
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−012146(JP,A)
【文献】 特開平07−116182(JP,A)
【文献】 国際公開第99/048817(WO,A2)
【文献】 特開2004−313786(JP,A)
【文献】 特開2001−299774(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0437271(EP,A1)
【文献】 実開昭58−139126(JP,U)
【文献】 特開昭62−240047(JP,A)
【文献】 実開平03−085018(JP,U)
【文献】 特開2009−005941(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0036033(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−0585493(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/00
A61C 17/02
A61C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置ユニット(200)に、殺生物剤を含むプロセス水(BW)を供給するための、プロセス水供給ユニット(100)であって、
プロセス水(BW)を貯蔵するための加圧水コンテナ(90);
前記加圧水コンテナ(90)を受容するためのコンテナ容器(80);及び
前記コンテナ容器(80)を収容する円筒状リッド部(60);
を備え、
前記コンテナ容器(80)は、
プロセス水供給ユニット(100)を圧縮空気源(300)に連結するための圧縮空気入口(10);
圧縮空気連結部(20)であって、圧縮空気入口(10)から出てくる圧縮空気(DL)を加圧水コンテナ(90)に導入するための圧縮空気連結部(20);
プロセス水連結部(30)であって、圧縮空気(DL)によって加圧水コンテナ(90)からプロセス水(BW)を、医療処置ユニット(200)に分配するための、プロセス水連結部(30);
滅菌空気フィルター(50)であって、滅菌空気フィルター(50)が、圧縮空気入口(10)と圧縮空気連結部(20)との間の圧縮空気通路に、一体化されている滅菌空気フィルター(50)、;及び
円状板状ベースプレート(70)であって、前記プロセス水連結部(30)及び前記圧縮空気連結部(20)が、前記円状板状ベースプレート(70)を通過する円状板状ベースプレート(70);
を備え、
前記円状板状ベースプレート(70)は、前記円筒状リッド部(60)内に配置される、
プロセス水供給ユニット(100)。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセス水供給ユニット(100)であって、前記圧縮空気入口(10)と前記圧縮空気連結部(20)との間の前記圧縮空気通路を遮断/開放するためのスイッチ(40)をさらに含む、プロセス水供給ユニット(100)。
【請求項3】
スイッチ(40)が、滅菌空気フィルター(50)の下流又は上流にある、請求項2に記載のプロセス水供給ユニット(100)。
【請求項4】
板状ベースプレート(70)が円周シール(75)を有し、加圧水コンテナ(90)がコンテナ容器(80)に締結されると、円周シール(75)が加圧水コンテナ(90)を周囲からシールする、請求項1〜のいずれか一項に記載のプロセス水供給ユニット(100)。
【請求項5】
円筒状リッド部(60)が、内周に、少なくとも1つのラッチ要素(61)を有し、加圧水コンテナ(90)の対応するラッチ要素(91)がラッチ要素(61)に係合して、加圧水コンテナ(90)をコンテナ容器(80)に保持することができる、請求項1〜のいずれか一項に記載のプロセス水供給ユニット(100)。
【請求項6】
プロセス水連結部(30)の上流に配置された、滅菌水フィルターをさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のプロセス水供給ユニット(100)。
【請求項7】
加圧水コンテナ(90)が、100ml〜5000ml、好ましくは1000ml〜1300mlの容積を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のプロセス水供給ユニット(100)。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載のプロセス水供給ユニット(100)を含む、歯科医療処置ユニット(200)。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか一項に記載のプロセス水供給ユニット(100)を含む、ENT処置ユニット。
【請求項10】
プロセス水供給ユニット、請求項1〜のいずれか一項に記載のプロセス水供給ユニットを操作するための方法であって、以下のステップを有する、方法:
圧縮空気を、前記圧縮空気源(300)から、前記プロセス水供給ユニット(100)の前記滅菌空気フィルター(50)に、案内するステップ;
前記滅菌空気フィルター(50)によってろ過された前記圧縮空気を、加圧水コンテナ(90)に導入するステップ;
ここで、処置プロセスの間、前記加圧水コンテナ(90)は、プロセス水(BW)で満たされ、その結果、前記プロセス水(BW)がプロセス水連結部(30)を介して分配され;及び
ここで、清掃段階の間、前記加圧水コンテナ(90)は、プロセス水を実質的に含まず、その結果、前記滅菌空気フィルター(50)の下流のプロセス水通路が、前記滅菌空気フィルター(50)によってろ過された前記圧縮空気(DL)のブローによってきれいにされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療処置ユニットに、プロセス水、好ましくは殺生物剤を含有するプロセス水を供給するための、プロセス水供給ユニット及び操作方法に関する。本発明はさらに、歯科医療処置ユニットに関する。この歯科医療処置ユニットは、ドリルの形態の回転器具であることができ、又はこのようなドリルを有することができる。プロセス水は典型的には、器具を冷却するために及び患者の口腔をリンスするために使用される。
【背景技術】
【0002】
先行技術のプロセス水供給ユニットは、加圧水コンテナを受容するためのコンテナ容器、及びプロセス水供給ユニットを、外部圧縮空気源に、例えば歯科診療の圧縮空気コンプレッサーに連結するための、圧縮空気入口を有する。さらに、圧縮空気連結部が設けられ、この圧縮空気連結部を介して、圧縮空気入口から出てくる圧縮空気を加圧水コンテナに導入することができる。さらに、既知のプロセス水供給ユニットは、プロセス水連結部を有し、このプロセス水連結部を介して、加圧水コンテナに導入された圧縮空気によって加圧水コンテナから送達されるべきプロセス水を、歯科医療処置ユニットに分配することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に安全で安価な、プロセス水供給ユニット、歯科医療処置ユニット及び操作方法を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
プロセス水供給ユニットに関して、本目的は、プロセス水供給ユニットが滅菌空気フィルターを有し、この滅菌空気フィルターが、圧縮空気入口と圧縮空気連結部との間の圧縮空気通路に、又は外部圧縮空気源と圧縮空気入口との間の圧縮空気通路に、一体化されているという点において、達成される。
【0005】
本発明は、歯科診療において、圧縮空気が典型的には、中央圧縮空気コンプレッサーによって生成されるという認識を含む。それ故に、その中にあるほこりの粒子及び微生物が吸い込まれ、圧縮空気ラインのシステムを介して処置ユニットに供給され、それ故に患者に供給されるというリスクが存在する。この欠点を回避するために、一体化された空気フィルターを有するコンプレッサーが先行技術において提案されてきた。
【0006】
これから出発して、本発明に係るプロセス水供給ユニットは、滅菌空気フィルターを有する。それ故に、感染に対する防御を、処置部位で直接、有利に提供することができる。圧縮空気ラインのシステムに対する及び/又はコンプレッサーに対する損傷、又はそれらの不適切な保守を、有効に補償することができる。それ故に、本発明に係るプロセス水供給ユニットは、特に安全である。
【0007】
1つの好ましい構成において、滅菌空気フィルターが、<90μm(マイクロメートル)の孔径を有する。孔径が<50μm、特に好ましくは<10μmである場合が有利であることが判明している。1つの特に好ましい構成において、滅菌空気フィルターが、<0.2μmの孔径を有する。
【0008】
特に小型のプロセス水供給ユニットを提供するために、滅菌空気フィルターが、プロセス水供給ユニットのハウジング容積の内側に配置される場合が有利であることが判明している。滅菌空気フィルターは、特に好ましくは、圧縮空気入口と圧縮空気連結部との間の圧縮空気通路に一体化されている。代替的に、滅菌空気フィルターは、プロセス水供給ユニットのハウジング容積の外側に配置することができる。次いで、滅菌空気フィルターは好ましくは、プロセス水供給ユニットのハウジング容積又はハウジング上に、又はその近くに、配置される。
【0009】
滅菌空気フィルターが、外部圧縮空気源と圧縮空気連結部との間の圧縮空気通路に一体化されている場合、滅菌空気フィルターは好ましくは、外部圧縮空気源をプロセス水供給ユニットの圧縮空気連結部に連結する圧縮空気ホースの端部に配置される。
【0010】
外部圧縮空気源、すなわち例えばコンプレッサーと、滅菌空気フィルターとの間の圧縮空気通路は好ましくは、追加のフィルター要素が装備されない、すなわちフィルターを含まない。滅菌空気フィルターを外部圧縮空気源と圧縮空気連結部との間の圧縮空気通路の端部に直ぐ配置する代わりに、滅菌空気フィルターを圧縮空気連結部の近傍に配置することができる。
【0011】
プロセス水供給ユニットの外側に配置される滅菌空気フィルターと、プロセス水供給ユニットのハウジング上に又はその中にある圧縮空気連結部との間の圧縮空気ラインの長さは、好ましくは<5m、好ましくは<2m、より好ましくは<1mである。
【0012】
1つの好ましい構成において、プロセス水供給ユニットはスイッチを有し、このスイッチによって、圧縮空気入口と圧縮空気連結部との間の圧縮空気通路を遮断及び/又は開放することができる。スイッチは好ましくは、滅菌空気フィルターの下流、好ましくは直ぐ下流にある。代替的に、スイッチは、滅菌空気フィルターの上流にあることができる。
【0013】
プロセス水供給ユニットは、円筒状リッド部を有することができる。円筒状リッド部は好ましくは、滅菌空気フィルターを、好ましくは完全に、取り囲む。プロセス水供給ユニットは、板状ベースプレートを有することができる。板状ベースプレートは、加圧水コンテナを受容するためのコンテナ容器を、少なくとも部分的に形成することができる。プロセス水連結部及び圧縮空気連結部は、少なくとも部分的に、板状ベースプレートを通過することができる。
【0014】
板状ベースプレートが円周シールを有する、又は円周シールが板状ベースプレートに設けられる場合が有利であることが判明している。円周シールは、加圧水コンテナがコンテナ容器に締結されると、加圧水コンテナを周囲からシールすることができる。円周シールは好ましくはシールリングである。
【0015】
1つの特に好ましい構成において、板状ベースプレートが、円筒状リッド部の完全に内側に配置される。このことによって、プロセス水供給ユニットの、特に小型で清掃しやすい構造が実現する。
【0016】
円筒状リッド部は、その内周に、少なくとも1つのラッチ要素を有することができ、このラッチ要素に、加圧水コンテナの対応するラッチ要素が係合して、加圧水コンテナをコンテナ容器に保持することができる。ラッチ要素は好ましくは、円筒状リッド部の内周に、傾斜板として、又は傾斜板の形態で、構成される。複数のラッチ要素を、好ましくは互いに均一に間隔をあけて、円筒状リッド部の内周に、配置することができる。傾斜板の形態の3つのラッチ要素は、好ましくは、円筒状リッド部の内周に配置される。
【0017】
加圧水コンテナ(これは、好ましくは円筒の形態で構成される)が、その外周に少なくとも1つの対応するラッチ要素を有する場合が有利であることが判明している。対応するラッチ要素は好ましくは、ラッチ突起であり、このラッチ突起は、円筒状リッド部の内周の、傾斜板の形態のラッチ要素に係合するように構成される。複数の、好ましくは3つの、対応するラッチ要素は、加圧水コンテナの側面に設けることができる。
【0018】
別の好ましい構成において、プロセス水供給ユニットは滅菌水フィルターを有する。滅菌水フィルターは、プロセス水連結部の(好ましくは直ぐ)上流又は下流にあることができる。1つの好ましい構成において、滅菌水フィルターは、<90μm(マイクロメートル)の孔径を有する。孔径が、<50μm、特に好ましくは<10μmである場合が有利であることが判明している。1つの特に好ましい構成において、滅菌水フィルターは、<0.2μmの孔径を有する。
【0019】
滅菌水フィルターは特に好ましくは、プロセス水供給ユニットにおいて、プロセス水通路の端部に配置される。プロセス水供給ユニットに設けられた殺生物剤を含まないプロセス水は、それがプロセス水供給ユニットから出てくるときに、設けられた滅菌水フィルターによって有効に滅菌することができる。滅菌水フィルターはもちろん、殺生物剤を含有するプロセス水が使用される場合にも設けることができる。
【0020】
1つの特に好ましい構成において、プロセス水を貯蔵するための加圧水コンテナがプロセス水供給ユニットに包含される。加圧水コンテナが100ml〜5000ml(ミリリットル)の容積を有する場合が有利であることが判明している。加圧水コンテナの容積は、1000ml〜2000ml、好ましくは1000ml〜1300mlであることができる。加圧水コンテナは好ましくは、円筒の形態で構成される。加圧水コンテナは特に好ましくは、少なくとも3バールまで、好ましくは5バールまで、耐圧性である。加圧水コンテナは好ましくは、オートクレーブすることができる。加圧水コンテナは、例えば、プラスチック又は金属から成ることができる。
【0021】
本目的は、前述のプロセス水供給ユニットを有する歯科医療処置ユニットによっても達成される。同様に、本目的は、歯科医療処置ユニットにおいて前述のプロセス水供給ユニットを使用することによって達成される。
【0022】
本目的は、前述のプロセス水供給ユニットを有するENT(耳鼻咽喉)処置ユニットによっても、ENT処置ユニットにおいて前述のタイプのプロセス水供給ユニットを使用することによっても、達成される。
【0023】
歯科医療処置ユニット(歯科ユニット)の1つの好ましい構成において、プロセス水供給ユニットのプロセス水連結部が、歯科医療処置ユニットのプロセス水取水口に連結される。プロセス水は、歯科医療処置ユニットのプロセス水取水口を介して、歯科医療処置ユニットのリンスヘッド又はドリルに供給することができる。
【0024】
別の好ましい構成において、プロセス水供給ユニットの圧縮空気入口が、歯科医療処置ユニットの圧縮空気出口に連結される。歯科医療処置ユニットはそれ自体で、圧縮空気源としてコンプレッサーなどを有することができる。あるいは、歯科医療処置ユニットに、コンプレッサー又は中央圧縮空気システムを介して供給することができる。
【0025】
歯科医療処置ユニットの場合、滅菌空気フィルターはまた、好ましくは、包括的なプロセス水供給ユニットのハウジングの内側に配置される。代替的に又はさらに、滅菌空気フィルターを、プロセス水供給ユニットのハウジングの外側の、圧縮空気通路に、より精密には、歯科医療処置ユニットの圧縮空気出口とプロセス水供給ユニットの圧縮空気入口との間の圧縮空気ホースに、配置することができる。
【0026】
プロセス水供給ユニットを有する本発明に係るENT処置ユニットは、歯科医療処置ユニットにしたがって、さらに発展させることができる。
【0027】
本発明の別の態様によれば、本目的は、プロセス水供給ユニット、特に、前述のプロセス水供給ユニットを操作するための方法によって達成される。この方法は、以下のステップを有する。
特に、ろ過されていない圧縮空気を、圧縮空気源から、プロセス水供給ユニットの滅菌空気フィルターに、案内するステップ;
プロセス水供給ユニットの滅菌空気フィルターによってろ過された圧縮空気を、加圧水コンテナに導入するステップ;
ここで、加圧水コンテナは、処置の間、プロセス水、好ましくは殺生物剤を含有するプロセス水で満たされ、その結果、プロセス水がプロセス水供給ユニットのプロセス水連結部を介して分配され;及び/又は
ここで、加圧水コンテナは、清掃段階の間、プロセス水を実質的に含まず、その結果、滅菌空気フィルターの下流の空気通路が、滅菌空気フィルターによってろ過された圧縮空気によるブローによってきれいにされる。
【0028】
本発明に係る方法の結果、一方では、プロセス水が、実質的に細菌を含まない圧縮空気によって、加圧水コンテナから放出されることができる。他方では、プロセス水供給ユニットの下流の歯科医療処置ユニットが、清掃段階において、滅菌圧縮空気でのブローによってきれいにされることができる。この目的のために、加圧水コンテナは、空の、又はプロセス水を含まない、プロセス水供給ユニットに締結され、圧縮空気で作動される。次いで、滅菌圧縮空気は、歯科医療処置ユニットに連結されるプロセス水連結部(これを介して、処置操作の間にプロセス水が案内される)を介して、プロセス水連結部の下流の通路に進む。歯科医療処置ユニット又はENT処置ユニットは、滅菌空気で有利にブロー乾燥することができる。ブロー乾燥は、例えば、夜間又は週末が望ましい。これは、それらの期間の間、ENT処置ユニット又は歯科医療処置ユニットの構成要素又はホース(これらは、ブロー乾燥しなければ水を含む)中に、プロセス水が停滞する可能性を除外する目的のためである。これは、バイオフィルムによる望ましくないコロニー形成を防止することができる。それ故に、滅菌空気フィルターによって生成される滅菌空気は、微生物及び栄養物(これらは典型的には、ろ過されていない圧縮空気を介して持ち込まれる)によってそれぞれの処置ユニットが汚染されるのを有効に防止する。
【0029】
本発明に係る方法は、プロセス水供給ユニット及び/又は医療処置ユニットを参照して説明される特徴によって、さらに発展させることができる。
【0030】
ここで、本発明の実施形態例を、図面を用いて以下に説明する。本発明のさらなる利点、特徴及び詳細を、好ましい実施形態例の以下の説明によって、図面を用いて示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明に係るプロセス水供給ユニットの一実施形態例の略図を示す。
【0032】
図2図2は、図1のプロセス水供給ユニットの内部図の略図を示す。
【0033】
図3図3は、図2の図の下面図を示す。
【0034】
図4図4は、図1のプロセス水供給ユニットの円筒状リッド部の略図を示す。
【0035】
図5図5は、ベースプレートが挿入された図4の円筒状リッド部を示す。
【0036】
図6図6は、図1のプロセス水供給ユニットの加圧水コンテナの透視図を示す。
【0037】
図7図7は、プロセス供給ユニットを有する歯科医療処置ユニットの第1の実施形態例を示す。
【0038】
図8図8は、プロセス水供給ユニットを有する歯科医療処置ユニットの第2の実施形態例を示す。
【0039】
図9図9は、本発明に係るプロセス水供給ユニットを操作するための方法の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
プロセス水供給ユニット100が、図1に示される。プロセス水供給ユニット100は、円筒状リッド部60を有する。プロセス水供給ユニット100を圧縮空気源300に連結するための圧縮空気入口10が、リッド部60に配置される(図7参照)。さらに、プロセス水連結部30が円筒状リッド部60に設けられ、このプロセス水連結部を介して、プロセス水を医療処置ユニット200に分配することができる(図7参照)。
【0041】
プロセス水供給ユニット100はコンテナ容器80を有し、ここで示される実施形態例において、円筒の形態で構成される加圧水コンテナ90がコンテナ容器80に配置される。プロセス水連結部30を介して分配されるべき、殺生物剤を含有するプロセス水BWが、加圧水コンテナ90に充填される。圧縮空気入口10の圧縮空気は、円筒状リッド部60に設けられたスイッチ40を介して開放することができ、プロセス水コンテナ90に設けられたプロセス水BWは、圧縮空気DLによって、プロセス水連結部30の外に、導くことができる。
【0042】
図2は、図1のプロセス水供給ユニット100の内部図を示す。明確にするために、円筒状リッド部60(図1参照)は示されていない。図1のプロセス水供給ユニットは圧縮空気入口10を含み、これを介して圧縮空気DLは、プロセス水供給ユニット100に包含される滅菌空気フィルター50に、流入することができる。ここで示される実施形態例において、滅菌空気フィルター50が、ハウジング容積の内側に、又はより正確には、円筒状リッド部60の容積の内側に、配置される(図1参照)。
【0043】
プロセス水供給ユニット100は、圧縮空気連結部20をさらに有し、これを介して、圧縮空気入口10から出てくる圧縮空気DLが流れることができる。ここで示される実施形態例において、プロセス水供給ユニット100は板状ベースプレート70を有する。圧縮空気連結部20は、少なくとも部分的に、ベースプレートを通過することができる。同様に、プロセス水供給ユニット100はプロセス水連結部30を有し、このプロセス水連結部30は、示されるように、板状ベースプレート70を部分的に通過する。
【0044】
加圧水コンテナを受容するためのコンテナ容器80(図1参照)は、ここでは、板状ベースプレート70によって形成される。このことは、加圧水コンテナ90がコンテナ容器80に配置されると、板状ベースプレート70の下側に突出するプロセス水連結部30及び板状ベースプレート70の下側に突出する圧縮空気連結部20が、加圧水コンテナ90の容積に突き出ることを意味する。
【0045】
図2から推測できるように、滅菌空気フィルター50は、圧縮空気入口10の直ぐ下流にある。滅菌空気フィルター50の直ぐ下流に位置するのはスイッチ40であり、このスイッチ40によって、圧縮空気入口10と圧縮空気連結部20との間の圧縮空気通路を遮断及び開放することができる。
【0046】
本発明に係るプロセス水供給ユニット100の機能が、以下により詳細に説明される。圧縮空気源から出てくる圧縮空気DLは、矢印の方向で圧縮空気入口10に入る。圧縮空気入口10に入る圧縮空気DLは、実質的にろ過されていない。すなわち圧縮空気DLは、依然として細菌を含有している可能性がある。圧縮空気通路のさらなる進行の中で、圧縮空気DLは、この場合、<0.2μmの孔径を有する滅菌空気フィルター50を通って進む。圧縮空気DLは、ホース連結を介し、スイッチ40(これは、ここで示される実施形態例において、開位置で示されている)に進み続ける。したがって、圧縮空気DLは、妨げられずに、圧縮空気連結部20の方向に、流れ続けることができ、圧縮空気連結部20を介して加圧水コンテナ90に入ることができる(図1参照)。
【0047】
プロセス水BWは、変位の原理にしたがい、加圧水コンテナ90に導入された圧縮空気DLによって、板状ベースプレート70の下側のプロセス水連結部30内に、矢印の方向に押圧され、板状ベースプレート70の上に位置するプロセス水連結部30の部分から出てくる。歯科医療処置ユニット200に通じるプロセス水供給ライン230は、典型的には、板状ベースプレート70の上側に位置するプロセス水連結部30の部分に連結される(図7参照)。
【0048】
圧縮空気入口10の入口は、図1に示されるように、円筒状リッド部60に必ずしも配置されないことに注意されたい。むしろ、円筒状リッド部60はまた、貫通開口部を有することもでき、この貫通開口部を介して、圧縮空気入口10に連結することが意図される圧縮空気ホースが、その中を通って案内されることとなる。したがって、プロセス水連結部についても同様のことが言える。
【0049】
図3は、図2のプロセス水供給ユニット100を、下面図で、すなわち、加圧水コンテナ90の方向から見て示す。板状ベースプレート70の下側にはっきりと見えるのは、加圧水コンテナ90に突き出ている、圧縮空気連結部20のセクション又はプロセス水連結部30のセクションである(組み立てられている場合)。圧縮空気DLの流れ方向及びプロセス水BWの流れ方向は、矢印の方向によって示されている。
【0050】
板状ベースプレート70は、その下面に、円周シール75(この場合はシールリング)、を有する。加圧水コンテナ90は、図1に示されるように円筒状リッド部60に配置されると、円周シール75によって周囲からシールされる。
【0051】
次いで、図4は、円筒状リッド部60を下面図で示す。圧縮空気入口10又はプロセス連結部30に通じる連結ホースを通して案内するための開口部が、円筒状リッド部60の上部に示されている。
【0052】
円筒状リッド部60に軸方向に配向されたウェブ62は、板状ベースプレート70を支持するのに役立ち(図5参照)、円筒状リッド部の内周に延在する。ウェブ62のうちの1つは、下側に凹部63を有し、この凹部63は、板状ベースプレート70を、円筒状リッド部60内に、正しい回転位置で挿入することを可能にする。ブリッジ65(これも、円筒状リッド部60の内側に設けられる)は、板状ベースプレート70を円筒状リッド部60にねじ留めするのに役立つ。
【0053】
加圧水コンテナを円筒状リッド部60に保持することができるように、傾斜板の形態のラッチ要素61が、円筒状リッド部の内周60に配置される。このことは、図6を参照して以下により精密に説明される。
【0054】
次いで、図5は、板状ベースプレート70が挿入された図4の円筒状リッド部60を示す。板状ベースプレート70は貫通開口部76を有し、これを介して板状ベースプレート70を、円筒状リッド部60のウェブ65(図4参照)にねじ留めすることができる。図5から推測できるように、板状ベースプレート70は、円筒状リッド部60の完全に内側に配置される。滅菌空気フィルター(ここでは示されず)は、板状ベースプレート70の上側に位置し、同様に、円筒状リッド部60の完全に内側に配置される。下側の凹部63(図4参照)と相互作用する、板状ベースプレート70の対応する凹部73は、板状ベースプレート70を、円筒状リッド部60内に、正しい回転位置で挿入するのに役立つ。
【0055】
ここで、加圧水コンテナ90の締結を、図6を参照してより精密に説明する。表現上の理由で、円筒状リッド部60(図1及び5参照)は、図6では示されていない。むしろ、リッド部の2つのラッチ要素61のみが、円筒状リッド部のパーツとして、図6において配置される。
【0056】
合計で、3つのラッチ要素61が、外周側に設けられており、図6では、そのうち2つのみが見える。円筒状リッド部のラッチ要素61はこの場合、傾斜板の形態で構成される。ここで示される実施形態例において、加圧水コンテナ90は円筒の形態で構成され、環状つば97を有する。この環状つば97は、板状ベースプレート70(図5参照)上に載ることが意図される。ラッチ突起の形態のラッチ要素91は、つば97に配置され、円筒状リッド部のラッチ要素61(これは、傾斜板の形態で構成される)に対応する。
【0057】
加圧水コンテナ90をプロセス水供給ユニット100のコンテナ容器に配置するために、加圧水コンテナ90は、円筒状リッド部60と同軸に保持され、円筒状リッド部60内に押し込まれる。この場合時計回りの方向の、わずかな回転運動によって、加圧水コンテナ90の対応するラッチ要素91を、円筒状リッド部のラッチ要素61とラッチ連結させることができる。ここで示される実施形態例において、加圧水コンテナ90を円筒状リッド部60に係合させるために、20°未満の回転が必要とされる。その結果として、加圧水コンテナ90を、特に迅速に、有利に交換することができる。
【0058】
加圧水コンテナ90と板状圧力プレート70との間のシールを保証するために、円周溝95が加圧水コンテナ90のつば97上に構成され、円周シール75(図3参照)が円周溝95に係合することができる。円周シール75は、板状ベースプレート70に必ずしも配置されない。むしろ、円周シール75は、別個のシールリングとしても設けることができる。
【0059】
図7は、歯科医療処置ユニット200及び圧縮空気源300に連結される、本発明に係るプロセス水供給ユニット100を示す。コンプレッサーの形態の圧縮空気源300は、圧縮空気供給ライン310を介して、プロセス水供給ユニット100の圧縮空気入口10に連結される。そのため、圧縮空気源300から出てくる圧縮空気DLは、圧縮空気入口10に流入することができる。
【0060】
圧縮空気DLが導入される結果、加圧水コンテナ90中に位置するプロセス水BWが、プロセス水供給ライン230を介して、医療処置ユニット200(この場合歯科ユニット)に供給される。歯科ユニットとして設けられる医療処置ユニット200において、プロセス水BWは次に、ドリル又はリンスヘッドに供給される。図7に示される実施形態例において、本発明にしたがって設けられる滅菌空気フィルター50は、プロセス水供給ユニット100のハウジングの内側に配置される。
【0061】
図8は、医療処置ユニット200に結合されたプロセス水供給ユニット100を示す。図7を参照して説明された実施形態例とは対照的に、本発明にしたがって設けられる滅菌空気フィルター50は、圧縮空気源300(これは、プロセス水供給ユニット100の外部にある)と、圧縮空気入口10との間の圧縮空気通路に配置される。
【0062】
滅菌空気フィルター50及び圧縮空気源300は、圧縮空気供給ライン310(これは、この場合、2メートルよりも短い)を介して、互いに連結される。滅菌空気フィルター50は、出口側で、圧縮空気入口10に、フィルターライン311(これは、この場合、2メートルよりも短い)を介して連結される。圧縮空気源300(この場合、医療処置ユニット200の圧縮空気連結部)は、中央圧縮空気コンプレッサー400によって圧力が供給される。
【0063】
実質的にろ過されていない圧縮空気が、圧縮空気源300を介して、滅菌空気フィルター50に供給され、この滅菌空気フィルター50から、前記圧縮空気が圧縮空気入口10に進む。既に述べたとおり、プロセス水BWは、加圧水コンテナ90から、プロセス水ライン230を介して、歯科医療処置ユニット200に進む。歯科医療処置ユニット200に連結されているのはリンスヘッド210であり、このリンスヘッド210にプロセス水が導入される。
【0064】
図7及び8に示される実施形態例(ここでは、プロセス水供給ユニット100が医療処置ユニット200の外側に配置される)の代わりに、プロセス水供給ユニット100は、処置ユニット200のハウジングの内側にも、もちろん配置することができる。
【0065】
図9は、例として、本発明に係るプロセス供給ユニットを操作するための方法を示す。
【0066】
第1のステップS1において、特に、ろ過されていない圧縮空気が、圧縮空気源からプロセス水供給ユニットの滅菌空気フィルターに案内される。
【0067】
後続のステップS2において、プロセス水供給ユニットの滅菌空気フィルターによってろ過された圧縮空気が、加圧水コンテナに導入される。
【0068】
ステップS3(これは典型的には、処置プロセスのフレームワーク内で実施される)において、加圧水コンテナは、プロセス水、好ましくは殺生物剤を含有するプロセス水で満たされ、その結果、プロセス水は、プロセス水供給デバイスのプロセス水連結部を介して、例えば歯科医療処置ユニットのリンスヘッド又はドリルに、分配される。
【0069】
代替的又は追加のステップS4において、加圧水コンテナは、清掃段階の間、プロセス水を実質的に含まず、その結果、滅菌空気フィルター又はそのプロセス水連結部の下流のプロセス水通路は、滅菌空気フィルターによってろ過された圧縮空気によるブローによってきれいにされる。
【符号の説明】
【0070】
<参照番号のリスト>
10 圧縮空気入口
20 圧縮空気連結部
30 プロセス水連結部
40 スイッチ
50 滅菌空気フィルター
60 円筒状リッド部
61 リッド部のラッチ要素
62 ウェブ
63 凹部
65 ブリッジ
70 板状ベースプレート
73 ベースプレートの凹部
75 円周シール
76 貫通開口部
80 コンテナ容器
90 加圧水コンテナ
91 加圧水コンテナのラッチ要素
95 円周溝
97 加圧水コンテナのつば
100 プロセス水供給ユニット
200 医療処置ユニット
230 プロセス水供給ライン
300 圧縮空気源
310 圧縮空気供給ライン
320 フィルターライン
400 中央圧縮空気コンプレッサー
BW プロセス水
DL 圧縮空気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9