【文献】
Niramol Juntarachat et al.,Identification by GC-O and GC-MS of New Odorous Compounds in Natural Rubber,Journal of Applied Polymer,2013年,P1863-1872
【文献】
HOVEN V. et al.,Geruche aus NK-Bestimmung chemischer Bestandteile,Gummi Fasern Kunststoffe,2004年12月,Vol.57, No.12,pp.783-790
【文献】
SAKDAPIPANICH J. and INSOM K.,High-Resolution Gas Chromatography-Mass Spectrometry,Kautschuk Gummi Kunststoffe,2006年07月,Vol.59, No.7/8,pp.382-387
【文献】
HOVEN V. et al.,DETERMINATION OF CHEMICAL COMPONENTS THAT CAUSE MALODOR FROM NATURAL RUBBER,Rubber Chemistry and Technology,2003年11月,Vol.76, No.5,pp.1128-1144
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天然ゴム中の、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、n−酪酸、イソ吉草酸、2−メチルブタン酸、n−吉草酸、ヘキサン酸、フェニル酢酸、スカトール、2−ピロリドン、及び2−ピペリドンの含有量を定量する定量工程と、
前記定量工程で得られた各成分の含有量に寄与率を掛けて補正し、各成分の臭い指数を得る補正工程と、
前記補正工程で得られた各成分の臭い指数を合計して臭気成分指数を算出する算出工程と、
を含むことを特徴とする、天然ゴムの臭気を分析及び評価する方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の天然ゴムの臭気を分析及び評価する方法を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
【0013】
本発明の天然ゴムの臭気を分析及び評価する方法は、
天然ゴム中の、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、n−酪酸、イソ吉草酸、2−メチルブタン酸、n−吉草酸、ヘキサン酸、フェニル酢酸、スカトール(「3−メチルインドール」とも呼ばれる)、2−ピロリドン(「2−ピロリジノン」、「γ−ブチロラクタム」とも呼ばれる)、及び2−ピペリドン(「2−ピペリジノン」、「δ−バレロラクタム」とも呼ばれる)の含有量を定量する定量工程と、
前記定量工程で得られた各成分の含有量に寄与率を掛けて補正し、各成分の臭い指数を得る補正工程と、
前記補正工程で得られた各成分の臭い指数を合計して臭気成分指数を算出する算出工程と、
を含むことを特徴とする。
【0014】
上述のように、上記特許文献1は、臭気への寄与の大きい成分として、イソ吉草酸アルデヒド、プロピオン酸、酪酸、及びN−吉草酸を挙げているが、本発明者は、より精度の高い評価方法を開発するために、天然ゴム中の臭気への寄与の大きい成分を検討した。その結果、天然ゴム中の、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、n−酪酸、イソ吉草酸、2−メチルブタン酸、n−吉草酸、ヘキサン酸、フェニル酢酸、スカトール、2−ピロリドン、及び2−ピペリドンの12種類の化合物が、臭気への寄与が大きいことを見出した。
また、各成分の臭気への影響は、それぞれ異なるため、臭気の評価を高精度化するには、各成分の含有量に寄与率を掛けて補正する必要があり、補正して得た各成分の臭い指数を合計して算出した臭気成分指数が、実際の天然ゴムの臭気との相関が高いことが分かった。
従って、本発明の方法によれば、官能評価を行わずとも、天然ゴムの臭気を客観的に高精度で分析及び評価することができる。
【0015】
本発明の天然ゴムの臭気を分析及び評価する方法では、まず、天然ゴム中の、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、n−酪酸、イソ吉草酸、2−メチルブタン酸、n−吉草酸、ヘキサン酸、フェニル酢酸、スカトール、2−ピロリドン、及び2−ピペリドンの含有量を定量する定量工程を行う。
ここで、本発明においては、前記定量工程を、種々の分析法を用いて行うことができる。例えば、該定量工程に用いることができる分析法としては、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィー等が挙げられる。これらの中でも、本発明においては、前記定量工程を、ガスクロマトグラフィーを用いて行うことが好ましい。定量工程をガスクロマトグラフィーを用いて行うことで、定量工程を簡便に且つ精度良く行うことができる。
【0016】
前記ガスクロマトグラフィーに使用するガスクロマトグラフ(GC)は、特に限定されない。また、ガスクロマトグラフに利用するカラムは、上述の化合物を分離できればよく、特に限定されない。また、ガスクロマトグラフの分析条件、例えば、昇温プログラム、キャリアガスの種類及び流速等は、前記12種類の化合物の保持時間の差を確保して、十分に分離する観点から、適宜設定できる。
【0017】
前記定量工程においては、サンプルとなる天然ゴムを加熱して、天然ゴム中の、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、n−酪酸、イソ吉草酸、2−メチルブタン酸、n−吉草酸、ヘキサン酸、フェニル酢酸、スカトール、2−ピロリドン、及び2−ピペリドンの揮発を促進することが好ましい。加熱条件として、加熱温度は40〜250℃の範囲が好ましく、100〜220℃の範囲が更に好ましく、また、加熱時間は1〜30分の範囲が好ましく、5〜25分の範囲が更に好ましい。
【0018】
本発明においては、前記ガスクロマトグラフィーを、サーマルディソープション(加熱脱着)−ガスクロマトグラフ(TDU−GC)を用いて行うことが好ましい。該サーマルディソープション−ガスクロマトグラフは、分析対象成分の加熱脱着が可能なサーマルディソープション機構を具えるガスクロマトグラフであり、分析対象成分を冷却して濃縮し、濃縮した分析対象成分を加熱脱着して、ガスクロマトグラフに導入することで、分析の精度を向上させることができる。該サーマルディソープション−ガスクロマトグラフは、上記特許文献1が採用しているヘッドスペース−ガスクロマトグラフ(HS−GC)に比べて、感度が高く、また、化合物の熱分解を少なくできるため、定量工程の精度が更に向上し、その結果として、より高い精度で、天然ゴムの臭気を客観的に評価することが可能となる。
【0019】
前記ガスクロマトグラフィーにおいて、使用する検出器に特に制限はなく、熱伝導度型検出器(TCD)、水素炎イオン化検出器(FID)、質量分析計(MS)等を利用できるが、これらの中でも、質量分析計(MS)を使用することが好ましい。ガスクロマトグラフィーの検出器として、質量分析計(MS)を利用することで、前記12種類の化合物の含有量を高い精度で分析することができる。
【0020】
前記定量工程には、
図1に示すような、分析装置を用いることが好ましい。
図1は、本発明の方法の一実施態様に用いた分析装置の概略図である。
図1に示す分析装置は、冷却加熱部1と、ガスクロマトグラフ2と、質量分析計3と、を具えており、冷却加熱部1には、天然ゴムサンプルを収容する容器4と連結するための流路5が配設されている。
ここで、冷却加熱部1には、上述したサーマルディソープション機構を利用することができる。また、前記天然ゴムサンプルを収容する容器4としては、サンプル瓶等が挙げられる。
【0021】
図1において、前記天然ゴムサンプルを収容する容器4には、更に、ガス導入路6が配設されており、また、容器4は、該容器4を所定の温度に加熱するための加熱機構7に設置されている。天然ゴム中の、前記12種類の化合物の含有量の定量においては、ガス導入路6を介して、容器4にキャリアガスを導入し、容器4に導入されたキャリアガスは、容器4中の天然ゴム8から揮発した化合物を随伴して、流路5を経て冷却加熱部1に導入される。
冷却加熱部1においては、該冷却加熱部1を冷却モードとして、天然ゴム8から揮発した化合物を含むガスを冷却し、天然ゴム8から揮発した化合物を液化又は固化して、濃縮する。分析対象の化合物を濃縮した後に分析することで、定量工程の分析精度を大幅に向上させることが可能となる。
【0022】
前記濃縮が十分に進んだ後、冷却加熱部1を加熱モードとして、天然ゴム8から揮発し濃縮された化合物を気化(加熱脱着)させ、キャリアガスと共に、ガスクロマトグラフ2に導入する。ガスクロマトグラフ2においては、カラムにより、天然ゴム8から揮発した化合物を成分毎に分離し、分離された各化合物を質量分析計3で分析する。こうして、
図1に示す分析装置によれば、天然ゴム中の、前記12種類の化合物の含有量を高い精度で定量することができる。
【0023】
本発明の天然ゴムの臭気を分析及び評価する方法では、前記定量工程で得られた各成分の含有量に寄与率を掛けて補正し、各成分の臭い指数を得る補正工程を行う。ここで、寄与率の算出方法は、特に限定されるものではなく、該寄与率は、最終的に得られる臭気成分指数と、実際の天然ゴムの臭気との相関が高くなるように設定することが好ましい。
【0024】
本発明の一実施態様においては、(1)各成分の閾値濃度(人の嗅覚閾値、希釈により人が臭いを感じなくなる濃度、ppm(v/v))を求め、(2)閾値濃度が最も高い化合物の閾値濃度の10倍で、各成分の閾値濃度を除し、最大値が0.1になるように指数化し、(3)得られた指数の逆数を算出し、更に、(4)該逆数の常用対数をとって、寄与率を算出する。ここで、各成分の閾値濃度は、官能評価を行って求めた値でもよいし、文献等に記載の値でもよい。なお、最大値が0.1になるように指数化することで、閾値濃度が最も高い化合物の寄与率を1として、計算を簡略化できる。また、寄与率に逆数を反映することで、閾値濃度の低い成分の寄与率を高くでき、また、逆数を対数化することで、数値の振れ幅を小さくして、最終的に得られる臭気成分指数と、実際の天然ゴムの臭気との相関が高くなるような寄与率を得ることができる。
【0025】
本発明の天然ゴムの臭気を分析及び評価する方法では、前記補正工程で得られた各成分の臭い指数を合計して臭気成分指数を算出する算出工程を行う。
ここで、酢酸の含有量をA、プロピオン酸の含有量をB、イソ酪酸の含有量をC、n−酪酸の含有量をD、イソ吉草酸の含有量をE、2−メチルブタン酸の含有量をF、n−吉草酸の含有量をG、ヘキサン酸の含有量をH、フェニル酢酸の含有量をI、スカトールの含有量をJ、2−ピロリドンの含有量をK、2−ピペリドンの含有量をLとし、
また、酢酸の寄与率をa、プロピオン酸の寄与率をb、イソ酪酸の寄与率をc、n−酪酸の寄与率をd、イソ吉草酸の寄与率をe、2−メチルブタン酸の寄与率をf、n−吉草酸の寄与率をg、ヘキサン酸の寄与率をh、フェニル酢酸の寄与率をi、スカトールの寄与率をj、2−ピロリドンの寄与率をk、2−ピペリドンの寄与率をlとすると、
酢酸の臭い指数はa×A、プロピオン酸の臭い指数はb×B、イソ酪酸の臭い指数はc×C、n−酪酸の臭い指数はd×D、イソ吉草酸の臭い指数はe×E、2−メチルブタン酸の臭い指数はf×F、n−吉草酸の臭い指数はg×G、ヘキサン酸の臭い指数はh×H、フェニル酢酸の臭い指数はi×I、スカトールの臭い指数はj×J、2−ピロリドンの臭い指数はk×K、2−ピペリドンの臭い指数はl×Lとなるため、
臭気成分指数は、以下の式で表される。
臭気成分指数=a×A+b×B+c×C+d×D+e×E+f×F+g×G+h×H+i×I+j×J+k×K+l×L
上記のようにして算出された臭気成分指数は、実際の天然ゴムの臭気との相関が高いため、該臭気成分指数を求めることで、官能評価を行わずとも、天然ゴムの臭気を客観的に高精度で分析及び評価することができる。
【0026】
本発明の天然ゴムの臭気を分析及び評価する方法は、上述の、定量工程、補正工程、算出工程を含むことを要するが、更に、他の工程を含んでもよい。
【0027】
本発明の方法を適用できる天然ゴムは、特に限定されず、カップランプ、ラテックス凝固ゴム等、種々の形態の素原料に由来する種々の天然ゴムを対象とすることができる。
【0028】
上述のように、本発明の天然ゴムの臭気を分析及び評価する方法は、天然ゴムの臭気を客観的に高精度で分析及び評価することができるため、本発明の方法を利用することで、臭気レベルによる天然ゴムの使い分けや、臭気対策等を先行して実施して、天然ゴムに由来する臭気の問題を未然に防ぐことが可能となる。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
<寄与率の算出>
官能評価により、各成分の閾値濃度(人の嗅覚閾値、希釈により人が臭いを感じなくなる濃度、ppm(v/v))を求めた。
なお、イソ酪酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸については、一般財団法人日本環境衛生センター(JESC)による文献(「三点比較式臭袋法による臭気物質の閾値測定結果」,日本環境衛生センター所報,No.17,1990,P.77−89)に記載の値を利用した。
【0031】
次に、閾値濃度が最も高い化合物の閾値濃度の10倍で、各成分の閾値濃度を除し、最大値が0.1になるように指数化した。具体的には、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、n−酪酸、イソ吉草酸、2−メチルブタン酸、n−吉草酸、ヘキサン酸、フェニル酢酸、スカトール、2−ピロリドン、及び2−ピペリドンの中で、2−ピペリドンの閾値濃度が最も高く、200ppmであったため、各成分の閾値濃度を2000で除した。
次に、得られた指数の逆数を算出し、更に、得られた逆数の常用対数を算出して、寄与率とした。
【0032】
一例として、酢酸は、閾値濃度が0.125ppmであったため、2000で除して得られる指数は0.000063となり、その逆数は16000で、その常用対数は4.2であるため、寄与率は4.2となる。
また、プロピオン酸は、閾値濃度が0.256ppmであったため、2000で除して得られる指数は0.000128となり、その逆数は7813で、その常用対数は3.9であるため、寄与率は3.9となる。
同様に他の成分についても、寄与率を求めたところ、イソ酪酸の寄与率は6.1であり、n−酪酸の寄与率は4.6であり、イソ吉草酸の寄与率は7.4であり、2−メチルブタン酸の寄与率は4.2であり、n−吉草酸の寄与率は4.8であり、ヘキサン酸の寄与率は6.5であり、フェニル酢酸の寄与率は4.4であり、スカトールの寄与率は4.3であり、2−ピロリドンの寄与率は1.1であった。
なお、閾値濃度が最も高い2−ピペリドンの寄与率は1.0である。各成分の寄与率を表1に示す。
【0033】
<含有量の定量>
図1に示す構成の分析装置(TDU−GC−MS)を用いて、サンプルの天然ゴム中の、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、n−酪酸、イソ吉草酸、2−メチルブタン酸、n−吉草酸、ヘキサン酸、フェニル酢酸、スカトール、2−ピロリドン、及び2−ピペリドンの含有量を定量した。
なお、サンプルとしては、以下の三種を用いた。
(1)SIR 10CV: 標準インドネシア産ゴム
(2)SIR 20: 標準インドネシア産ゴム
(3)SIR 10: 標準インドネシア産ゴム
また、分析に使用したサーマルディソープション−ガスクロマトグラフ−質量分析計(TDU−GC−MS)は、GERSTEL社製の商品名「Thermal Desorption Unit」およびAgilent社製の商品名「7890B GC」、「5977A MSD」である。
また、ガスクロマトグラフに使用したカラムは、Agilent社製の商品名「HP−5」である。
なお、標準物質としては、ヘキサン酸メチルエステルを使用した。
【0034】
具体的には、各サンプルを容器に入れ、200℃に加熱しつつ、キャリアガスとして、ヘリウムを0.7mL/minの流速で流し、サーマルディソープション機構を冷却モードとして、液体窒素によりサンプルから揮発した成分を冷却し濃縮した。
揮発成分の冷却濃縮を5分間行った後、サーマルディソープション機構を加熱モードとして、濃縮した揮発成分を気化させ、ガスクロマトグラフ(GC)に注入し、質量分析計(MS)を用いて定量した。各成分の含有量は、揮発成分と共にガスクロマトグラフ(GC)に導入した一定量の標準物質(ヘキサン酸メチルエステル)のピーク面積値にて、サンプル中の各成分のピーク面積値を除したものとして算出した。サンプル中の各成分の含有量を表1に示す。
【0035】
<臭気成分指数の算出>
上記のようにして得られた寄与率を用い、定量工程で得られた各成分の含有量に寄与率を掛けて補正し、各成分の臭い指数を得た。更に、各成分の臭い指数を合計して、下記の式:
臭気成分指数=a×A+b×B+c×C+d×D+e×E+f×F+g×G+h×H+i×I+j×J+k×K+l×L
に従って、臭気成分指数を求めた。
なお、式中、Aは酢酸の含有量、Bはプロピオン酸の含有量、Cはイソ酪酸の含有量、Dはn−酪酸の含有量、Eはイソ吉草酸の含有量、Fは2−メチルブタン酸の含有量、Gはn−吉草酸の含有量、Hはヘキサン酸の含有量、Iはフェニル酢酸の含有量、Jはスカトールの含有量、Kは2−ピロリドンの含有量、Lは2−ピペリドンの含有量を示し、
aは酢酸の寄与率、bはプロピオン酸の寄与率、cはイソ酪酸の寄与率、dはn−酪酸の寄与率、eはイソ吉草酸の寄与率、fは2−メチルブタン酸の寄与率、gはn−吉草酸の寄与率、hはヘキサン酸の寄与率、iはフェニル酢酸の寄与率、jはスカトールの寄与率、kは2−ピロリドンの寄与率、lは2−ピペリドンの寄与率を示す。結果を表1に示す。
【0036】
<比較臭気成分指数の算出>
比較のため、上記12化合物の内、プロピオン酸、n−酪酸、n−吉草酸の、含有量及び寄与率から、下記の式:
比較臭気成分指数=b×B+d×D+g×G
に従って、比較臭気成分指数を求めた。結果を表1に示す。
【0037】
<官能評価による非容認率の算出>
上記天然ゴムサンプルに対して、官能評価を実施した。なお、官能評価に参加した人数は、33人とした。
具体的には、各天然ゴムサンプルを混練機に投入し、素練りを行い、素練り中の混練機排気口および素練り後排出されたゴムからガスを採取した。採取したガスを活性炭処理した無臭空気で30000倍(体積基準)に希釈し、希釈したガスを評価参加者に嗅いでもらい、臭いを容認できない人の割合(非容認率)を求めた。結果を表1に示す。
【0038】
<相関係数の算出>
上記のようにして得られた非容認率と、臭気成分指数又は比較臭気成分指数と、から近似曲線を作成し、相関係数(R
2)を求めた。
非容認率と本発明に従う臭気成分指数(12成分から算出)との関係を表わすグラフを
図2Aに示す。また、非容認率と比較臭気成分指数(3成分のみから算出)との関係を表わすグラフを
図2Bに示す。
【0039】
【表1】
【0040】
図2Aから、本発明に従い、天然ゴム中の、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、n−酪酸、イソ吉草酸、2−メチルブタン酸、n−吉草酸、ヘキサン酸、フェニル酢酸、スカトール、2−ピロリドン、及び2−ピペリドンの、12成分の含有量を基に、補正工程及び算出工程を経て得た臭気成分指数は、官能評価の結果との相関が非常に高いことが分かる。
一方、
図2Bから、プロピオン酸、n−酪酸、n−吉草酸の、3成分の含有量から算出した比較臭気成分指数は、官能評価の結果との相関が低いことが分かる。
これらの結果から、本発明の方法によれば、天然ゴムの臭気を客観的に高精度で分析及び評価できることが分かる。