(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
心臓の房室を所定方向から撮像したX線透視画像に基づく第1の二次元画像に、前記房室の心壁上の所定の関心部位を示すマーカを重畳した第2の二次元画像を生成する画像処理部と、
前記所定方向から見た奥行き方向を含む、前記関心部位の位置情報を取得する取得部と、を備え、
前記画像処理部は、前記関心部位の位置情報に基づき、該関心部位を示すマーカの態様を異ならせることを特徴とする画像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている方法では、二方向からの心臓の撮像、二方向からの撮像により得られた2つのX線透視画像それぞれへの関心部位の記録、関心部位を記録した2つのX線透視画像を用いた三次元画像の再構築といった処理が必要となり、処理負荷の増加を招いてしまう。そのため、より簡易に関心部位を二次元画像上で三次元的に表現・記録する手法が求められている。
【0008】
上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、より簡易に心臓の房室の心壁上の関心部位を二次元画像上で三次元的に表現・記録することができる画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様としての画像処理装置は、心臓の房室を所定方向から撮像したX線透視画像に基づく第1の二次元画像に、前記房室の心壁上の所定の関心部位を示すマーカを重畳した第2の二次元画像を生成する画像処理部と、前記所定方向から見た奥行き方向を含む、前記関心部位の位置情報を取得する取得部と、を備え、前記画像処理部は、前記関心部位の位置情報に基づき、該関心部位を示すマーカの態様を異ならせる。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記位置情報には、前記関心部位が、前記所定方向から見て、前記房室の手前側の心壁上に存在するか、前記房室の奥側の心壁上に存在するかを示す情報が含まれ、前記画像処理部は、前記関心部位の位置情報に基づき、該関心部位が、前記房室の手前側の心壁上に存在するか、前記房室の奥側の心壁上に存在するかに応じて、前記関心部位を示すマーカの態様を異ならせる。
【0011】
本発明の1つの実施形態として、前記関心部位は、前記心臓の前記房室に挿入されたカテーテルを介して注入材が注入された注入部位である。
【0012】
本発明の1つの実施形態として、前記関心部位は、心筋の梗塞部位または前記心壁が薄壁化した薄壁部位である。
【0013】
本発明の1つの実施形態として、前記画像処理部は、前記心臓の前記房室の拡張期および収縮期の少なくとも一方のX線透視画像を取得し、該取得したX線透視画像に基づき、前記第1の二次元画像を生成する。
【0014】
本発明の1つの実施形態として、前記画像処理部は、前記心臓の前記房室の三次元構造を示す三次元構造データを取得し、該取得した三次元構造データおよび前記X線透視画像に基づき、前記第1の二次元画像を生成する。
【0015】
本発明の1つの実施形態として、前記画像処理部は、前記心臓の前記房室の心壁の心電位を示す心電位情報を取得し、該取得した心電位情報に示される心電位を前記第2の二次元画像にマッピングする。
【0016】
本発明の1つの実施形態として、前記画像処理部は、前記心臓の前記房室の心壁の壁運動を示す壁運動情報を取得し、該取得した壁運動情報に示される壁運動を前記第2の二次元画像にマッピングする。
【0017】
本発明の1つの実施形態として、前記画像処理部は、前記生成した第2の二次元画像を表示装置に表示することを特徴とする。
【0018】
本発明の1つの実施形態として、前記画像処理部は、前記生成した第2の二次元画像を前記X線透視画像に重畳して表示する。
【0019】
本発明の1つの実施形態として、前記画像処理部は、前記生成した第2の二次元画像を用いて、前記心臓の前記房室を三次元表示した三次元画像およびブルズアイ画像の少なくとも一方を生成する。
【0020】
本発明の1つの実施形態として、前記画像処理部は、前記生成した第2の二次元画像を記憶手段に記憶する。
【0021】
本発明の第2の態様としての画像処理方法は、画像処理装置が実行する画像処理方法であって、心臓の房室を所定方向から見た奥行き方向を含む、前記心臓の前記房室の心壁上の所定の関心部位の位置情報を取得するステップと、前記所定方向から前記心臓の前記房室を撮像したX線透視画像に基づく第1の二次元画像に、前記関心部位を示すマーカを重畳した第2の二次元画像を生成するステップと、を含み、前記関心部位の位置情報に基づき、該関心部位を示すマーカの態様を異ならせる。
【0022】
本発明の第3の態様としてのプログラムは、コンピュータを上記の画像処理装置として機能させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る画像処理装置、画像処理方法およびプログラムによれば、より簡易に心臓の房室の心壁上の関心部位を二次元画像上で三次元的に表現・記録することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。各図中、同一符号は、同一または同等の構成要素を示している。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置10の構成例を示す図である。本実施形態に係る画像処理装置10は、カテーテルを心臓の房室に挿入して、房室内の心筋に注入材を注入する手技などにおいて、カテーテルを介して注入材が注入された注入部位、梗塞部位、心壁が薄壁化した薄壁部位などの関心部位を表現・記録した二次元画像を生成するものである。なお、本発明は、上述した手技に限られるものではなく、房室内の心筋を焼灼するアブレーション手技、房室内の心筋の一部を採取して検査する心筋生検手技などにおける関心部位の表現・記録に適用することも可能である。以下では、カテーテルを用いて房室内の心筋に注入材を注入する手技に適用する場合を例として説明する。
【0027】
図1に示す画像処理装置10は、取得部11と、画像処理部12と、記憶部13とを備える。
【0028】
上述したように、カテーテルを心臓の房室に挿入して、房室内の心筋に注入材を注入する手技中には、心臓の房室が所定方向からX線透視装置により撮像される。そして、撮像により得られたX線透視画像が、術者などが視認可能なようにして表示装置20に表示される。取得部11は、X線透視装置により心臓の房室を撮像した所定方向から見た奥行き方向を含む、関心部位の位置情報を取得する。ここで、位置情報には、関心部位が、所定方向から見て、房室の手前側の心壁上に存在するか、房室の奥側の心壁上に存在するかを示す情報が含まれる。
【0029】
取得部11は、例えば、カテーテルを心臓に挿入する術者により判断された注入部位の位置に関する入力を、位置情報として取得する。また、取得部11は、カテーテルを用いて心臓の房室内の心筋に注入材を注入する手技中のX線透視画像を取得し、取得したX線透視画像の画像解析によりカテーテルの先端部の位置を特定することで、注入部位の位置情報を取得してもよい。
【0030】
図2は、カテーテルを挿入した心臓(左心室)のX線透視画像の一例である。
【0031】
図2に示すように、カテーテルの先端部に造影マーカを設けることで、X線透視画像において、カテーテルの先端部の位置を特定することができる。したがって、取得部11は、X線透視画像におけるカテーテルの先端部の造影マーカの位置に基づき、カテーテルの先端部の位置を特定することができる。取得部11は、注入材が注入されたタイミングでのカテーテルの先端部の位置に基づき、注入部位の位置情報を取得することができる。注入材が注入されたタイミングは、例えば、術者により判断され、画像処理装置10に入力される。
【0032】
本実施形態では、カテーテルの先端部のうち先端を含む位置に造影マーカが設けられている。カテーテルの先端部であることを特定するためには、例えは、カテーテルの先端部に、カテーテルの他の部分よりも大きい造影マーカ、カテーテルの他の部分よりもX線透視画像において濃く造影される造影マーカ、特殊な形状の造影マーカなどを設けることが考えられる。なお、X線透視画像からでは、カテーテルの先端部が、X線透視画像の撮像方向から見て、手前側の心壁に接触しているのか、奥側の心壁に接触しているのかを判別することができない場合がある。しかしながら、カテーテルに特定の形状の造影マーカを設けることで、X線透視画像から、カテーテルの先端部が、手前側の心壁に接触しているのか、奥側の心壁に接触しているのかを判別することができる。このような造影マーカの形状の詳細については後述する。
【0033】
また、取得部11は、超音波診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置などの撮像装置により心臓を撮像して得られる、心臓の三次元構造を示す三次元構造データに基づき予め特定された梗塞部位、薄壁部位などの位置情報を取得してもよい。取得部11は、例えば、三次元構造データに基づき術者などにより予め特定された梗塞部位、薄壁部位などの位置の入力を、位置情報として取得する。
【0034】
図1を再び参照すると、取得部11は、取得した関心部位の位置情報を画像処理部12に出力する。
【0035】
画像処理部12は、心臓の房室を所定方向から撮像したX線透視画像に基づく二次元画像に、房室の心壁上の所定の関心部位を示すマーカを重畳した二次元画像である記録画像を生成する。
【0036】
具体的には、画像処理部12は、例えば、心臓の房室を、被検者の体軸を中心として右方向に傾斜した方向から撮影したX線透視画像であるRAO(Right Anterior Oblique)画像に基づき、フォーマット図を生成する。画像処理部12は、例えば、RAO画像から心臓の房室の輪郭を抽出した二次元画像を、フォーマット図(第1の二次元画像)として生成する。そして、画像処理部12は、フォーマット図に、房室の心壁上の所定の関心部位を示すマーカを重畳した二次元画像である記録画像(第2の二次元画像)を生成する。
【0037】
ここで、画像処理部12は、取得部11により取得された関心部位の位置情報に基づき、その関心部位を示すマーカの態様を異ならせる。具体的には、上述したように、位置情報には、関心部位が、所定方向から見て、房室の手前側の心壁上に存在するか、房室の奥側の心壁上に存在するかを示す情報が含まれる。画像処理部12は、関心部位の位置情報に基づき、その関心部位が、所定方向から見て、房室の手前側の心壁上に存在するか、奥側の心壁上に存在するかに応じて、その関心部位を示すマーカの態様を異ならせる。
【0038】
図3は、画像処理部12が生成する記録画像の一例を示す図である。
図3においては、関心部位が、カテーテルを介して注入材が注入された、心筋における注入部位である例を示している。
【0039】
図3に示すように、画像処理部12は、例えば、注入部位が、所定方向から見て、手前側の心壁上に存在する場合には、その注入部位を示すマーカとして、丸印のマーカ12aを用いる。また、画像処理部12は、例えば、注入部位が、所定方向から見て、奥側の心壁上に存在する場合には、その注入部位を示すマーカとして、四角印のマーカ12bを用いる。こうすることで、注入部位の奥行き方向の情報についても、記録画像上で表現・記録することができる。
【0040】
また、画像処理部12は、各注入部位を示すマーカに、注入が行われた順番などを付加してもよい。
図3の例では、6箇所に注入が行われ、1番目、3番目、5番目の注入部位は、所定方向から見て、奥側の心壁上に存在し、2番目、4番目、6番目の注入部位は、所定方向から見て、手前側の心壁上に存在する。なお、奥行き方向の位置に応じたマーカの態様は、
図3に示す例に限られるものではなく、手前側と奥側とでマーカを識別可能であれば、種々の態様を用いることができる。また、例えば、関心部位の位置情報として、注入材を注入する候補の部位である候補部位の位置情報を取得し、候補部位を示すマーカに、実際に注入材を注入したか否かを示す情報(例えば、「OK」、「NG」)を付加してもよい。なお、候補部位の位置情報は、例えば、術前に超音波診断装置、X線CT装置、MRI装置、SPECT装置、PET装置などの撮像装置により心臓を撮像することで得られる三次元構造データに基づき取得することができる。
【0041】
図4は、画像処理部12が生成する記録画像の他の一例を示す図である。
図4においては、関心部位が、梗塞部位または薄壁部位である例を示している。
【0042】
図4に示すように、画像処理部12は、例えば、梗塞部位または薄壁部位が、所定方向から見て、手前側の心壁上に存在する場合には、その梗塞部位または薄壁部位を示すマーカとして、右上がりのハッチングが付されたマーカ12cを用いる。また、画像処理部12は、例えば、梗塞部位または薄壁部位が、所定方向から見て、奥側の心壁上に存在する場合には、その梗塞部位および薄壁部位を示すマーカとして、右下がりのハッチングが付されたマーカ12dを用いる。こうすることで、梗塞部位および薄壁部位の奥行き方向の情報についても、記録画像上で表現・記録することができる。
【0043】
なお、奥行き方向の位置に応じたマーカの態様は、
図4に示す例に限られるものではなく、手前側と奥側とでマーカを識別可能であれば、種々の態様を用いることができる。例えば、手前側の心壁上の梗塞部位または薄壁部位を示すマーカには、縦向きのハッチングを付し、奥側の心壁上の梗塞部位または薄壁部位を示すマーカには、横向きのハッチングを付してもよい。また、例えば、手前側の心壁上の梗塞部位または薄壁部位を示すマーカと、奥側の心壁上の梗塞部位または薄壁部位を示すマーカとで色を異ならせてもよい。また、例えば、手前側の心壁上の梗塞部位または薄壁部位を示すマーカと、奥側の心壁上の梗塞部位または薄壁部位を示すマーカとで異なる記号を用いてもよい。
【0044】
図1を再び参照すると、画像処理部12は、生成した記録画像を表示装置20に表示してもよい。また、画像処理部12は、生成した記録画像を、X線透視画像に重畳して表示装置20に表示してもよい。なお、表示装置20は、例えば、術者が視認可能に設けられたディスプレイ装置、あるいは、術者に装着されるヘッドマウントディスプレイなどである。また、表示装置20が据え置き型のディスプレイ装置である場合には、表示装置20に表示されたX線透視画像に、プロジェクタなどを用いて記録画像を投影し、X線透視画像と重畳して表示してもよい。
【0045】
また、画像処理部12は、生成した記録画像を記憶手段としての記憶部13に記憶させてもよい。なお、画像処理装置10が必ずしも記憶部13を備えている必要は無い。画像処理部12は、外部の記憶手段に記録画像を転送し、記憶させてもよい。
【0046】
上述したように、画像処理部12は、心臓の房室を所定方向から撮像したX線透視画像に基づきフォーマット図を生成する。ここで、画像処理部12は、房室をX線造影剤で造影したときの心臓の心電図波形から、拡張期および収縮期の少なくとも一方のX線透視画像を取得し、取得したX線透視画像における房室の輪郭に基づき、フォーマット図を作成する。また、画像処理部12は、拡張期および収縮期それぞれのX線透視画像を取得し、取得した拡張期および収縮期のX線透視画像における房室の輪郭に基づき、拡張期および収縮期それぞれのフォーマット図を生成してもよい。こうすることで、より正確な形状のフォーマット図を生成することができる。また、画像処理部12は、虚血性心筋症、拡張型心筋症、収縮型心筋症などのような、治療対象疾患として典型的な心臓の房室を所定方向から撮像したX線透視画像に基づいて生成されたフォーマット図を代表モデルとして使用してもよい。また、画像処理部12は、標準モデルとして、治療対象疾患を伴わない正常な心臓からフォーマット図を作成してもよい。
【0047】
また、画像処理部12は、心臓の房室の三次元構造を示す三次元構造データを取得し、取得した三次元構造データおよびX線透視画像に基づき、フォーマット図を生成してもよい。こうすることで、より正確なフォーマット図を生成することができる。なお、三次元構造情報は、超音波診断装置、X線CT装置、MRI装置、SPECT装置、PET装置などの撮像装置を用いて、予め取得することができる。
【0048】
また、画像処理部12は、房室の心壁の心電位を示す心電位情報を取得し、
図5に示すように、取得した心電位情報に示される心電位を記録画像にマッピングしてもよい。また、画像処理部12は、心電位を示す心壁が、所定方向から見て手前側の心壁であるのか、奥側の心壁であるのかに応じて、心電位を示す態様を異ならせてもよい。例えば、画像処理部12は、心電位を示す心壁が、所定方向から見て手前側の心壁であるのか、奥側の心壁であるのかに応じて、心電位を異なる色で表示してもよい。心電位情報を取得する方法としては、例えば、カテーテルの先端部に電極を設け、カテーテルの先端部の電極を心壁に接触させることで、心電位情報を取得する方法がある。
【0049】
また、画像処理部12は、房室の心壁の壁運動を示す壁運動情報を取得し、
図5に示すように、取得した壁運動情報に示される壁運動を記録画像にマッピングしてもよい。また、画像処理部12は、壁運動を示す心壁が、所定方向から見て手前側の心壁であるのか、奥側の心壁であるのかに応じて、壁運動を示す態様を異ならせてもよい。例えば、画像処理部12は、壁運動を示す心壁が、所定方向から見て手前側の心壁であるのか、奥側の心壁であるのかに応じて、壁運動を異なる色で表示してもよい。壁運動情報を取得する方法としては、例えば、カテーテルの先端部に造影マーカを設けて、カテーテルの先端部を心臓の心壁に接触させた状態でX線透視装置により心臓を撮像し、得られたX線透視画像における造影マーカの変位に基づき、カテーテルの先端部が接触する心壁の壁運動情報を取得する方法がある。
【0050】
また、画像処理部12は、関心部位の奥行き方向に関する情報を含む記録画像を用いて、心臓の房室を三次元表示した三次元画像、ブルズアイ画像などを生成し、表示装置20に表示するなどしてもよい。記録画像には、所定方向から見た奥行き方向の位置に関する情報が含まれている。すなわち、記録画像では、房室内の関心部位の位置が、三次元的に示されている。したがって、画像処理部12は、1つの記録画像から、三次元画像、ブルズアイ画像などを生成することができる。
【0051】
次に、本実施形態に係る画像処理装置10が実行する画像処理方法について、
図6を参照して説明する。
図6は、画像処理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0052】
まず、取得部11は、心臓の房室を所定方向から見た奥行き方向を含む、心臓の房室の心壁上の所定の関心部位の位置情報を取得する(ステップS11)。上述したように、取得部11は、例えば、術者などによる関心部位の位置に関する入力を、位置情報として取得する。また、取得部11は、例えば、カテーテルを用いて房室内の心筋に注入材を注入する手技中のX線透視画像の画像解析によりカテーテルの先端部の位置を特定することで、注入部位の位置情報を取得する。
【0053】
次に、画像処理部12は、所定方向から心臓の房室を撮像したX線透視画像に基づくフォーマット図(第1の二次元画像)(
図3等における輪郭線を参照)に、関心部位を示すマーカを重畳した記録画像(第2の二次元画像)(
図3等参照)を生成する。ここで、画像処理部12は、取得部11が取得した関心部位の位置情報に基づき、その関心部位を示すマーカの態様を異ならせる。より具体的には、画像処理部12は、関心部位の位置情報に基づき、その関心部位が、房室の手前側の心壁上に存在するか、房室の奥側の心壁上に存在するかに応じて、関心部位を示すマーカの態様を異ならせる。こうすることで、心臓の房室の心壁上の関心部位を二次元画像上で三次元的に表現・記録することができる。
【0054】
次に、カテーテルの先端部が、手前側の心壁に接触しているか、奥側の心壁に接触しているかをX線透視画像から判別するために、カテーテルの先端部に設けられる造影マーカの構成について説明する。
【0055】
図7は、上述した、先端部が、手前側の心壁に接触しているのか、奥側の心壁に接触しているのかを判別することができるカテーテル2の先端部2a近傍を示す図である。
図7に示すように、カテーテル2の造影マーカ3は、カテーテル2の中心軸線Oを含み、中心軸線Oと平行する任意の仮想面に対して、非対称な形状を有する。具体的に、
図7では、カテーテル2の中心軸線Oを含み、中心軸線Oと平行する仮想面の例示として、2つの仮想面Y1およびY2を示している。
図7に示すように、造影マーカ3は、仮想面Y1およびY2それぞれに対して、非対称な形状である。換言すれば、造影マーカ3は、カテーテル2の中心軸線Oを含み、中心軸線Oと平行する全ての仮想面に対して、面対称とならない形状を有している。以下、説明の便宜上、カテーテル2の中心軸線Oを含み、中心軸線Oと平行する任意の仮想面を単に「仮想面Y」と記載する。
【0056】
造影マーカ3をこのような構成とすることで、X線透視画像での造影マーカ3の見え方により、X線透視画像において投影面と直交する奥手前方向(以下、単に「奥手前方向A」と記載する。)のカテーテル2の動きを識別することができる。
【0057】
図7に示すように、本実施形態の造影マーカ3は、第1造影マーカ部4と、第2造影マーカ部5と、を備えている。第1造影マーカ部4は、仮想面Yのうち、周方向Bにおける第2造影マーカ部5の中間位置を通過する第1中間仮想面に対して非対称な形状を有する。また、第2造影マーカ部5は、仮想面Yのうち、周方向Bにおける第1造影マーカ部4の中間位置を通過する第2中間仮想面に対して非対称な形状を有する。本実施形態における「第1中間仮想面」は、
図7に示す仮想面Y1である。また、本実施形態における「第2中間仮想面」は、
図7に示す仮想面Y2である。
【0058】
本実施形態の第1造影マーカ部4は、カテーテル2の周方向Bの少なくとも一部の領域に亘って形成されている。より具体的に、本実施形態の第1造影マーカ部4は、周方向Bに線状に延在している。また、本実施形態の第1造影マーカ部4は、カテーテル2の先端部2aに設けられている。より具体的に、本実施形態の第1造影マーカ部4は、カテーテル2の先端面において、周方向Bに線状に形成されている。
【0059】
本実施形態の第2造影マーカ部5は、中心軸線Oと平行な中心軸線方向Cに沿って線状に延在している。
【0060】
以下、
図7に示す造影マーカ3の見え方により、奥手前方向Aでのカテーテル2の動きを識別する識別方法について説明する。
図8は、
図7に示す白抜き矢印P1の方向に向かってカテーテル2の先端部2aを見た場合(以下、単に「矢印P1の視点で見た場合」と記載する。)についての造影マーカ3の見え方を示す図である。
【0061】
図8(a)は、矢印P1の視点で見た場合に、カテーテル2の先端部2aが奥手前方向Aに変形していない状態、すなわち、カテーテル2の先端部2aが矢印P1の方向と直交する方向に延在している状態、を示している。
図8(a)に示す状態のカテーテル2の先端部2aは、矢印P1の視点で見た場合に、
図8(b)の状態に見える。
図8(b)に示すように、矢印P1の視点で見た場合には、造影マーカ3の第1造影マーカ部4は、中心軸線方向Cと直交する径方向Dに沿って直線状に延在する形状に見える。また、
図8(b)に示すように、矢印P1の視点で見た場合には、造影マーカ3の第2造影マーカ部5は、中心軸線方向Cに沿って直線状に延在する形状に見える。
【0062】
図8(c)は、矢印P1の視点で見た場合に、カテーテル2の先端部2aが、
図8(a)に示す状態と比較して、奥手前方向Aの手前方向A2(
図8(c)では下方向であり、矢印P1の視点で見た場合に視点に接近する方向)に変形した状態を示している。
図8(c)に示す状態のカテーテル2の先端部2aは、矢印P1の視点で見た場合に、
図8(d)の状態に見える。
図8(d)に示すように、矢印P1の視点で見た場合には、造影マーカ3の第1造影マーカ部4は、中心軸線方向Cの基端側に凸形となる円弧形状に見える。
図8(d)に示すように、矢印P1の視点で見た場合には、造影マーカ3の第2造影マーカ部5は、中心軸線方向Cに沿って直線状に延在する形状に見える。
図8(d)において中心軸線方向Cと直交する径方向Dにおける第2造影マーカ部5の位置は、
図8(b)の径方向Dにおける第2造影マーカ部5の位置と同じである。このように、
図8(d)における第1造影マーカ部4の形状は、
図8(b)における第1造影マーカ部4の形状と異なる。その一方で、
図8(d)における第2造影マーカ部5の位置および形状は、
図8(b)における第2造影マーカ部5の位置および形状と同じに見える。
【0063】
図8(e)は、矢印P1の視点で見た場合に、カテーテル2の先端部2aが、
図8(a)に示す状態と比較して、奥手前方向Aの奥行き方向A1(
図8(e)では上方向であり、矢印P1の視点で見た場合に視点から遠ざかる方向)に変形した状態を示している。
図8(e)に示す状態のカテーテル2の先端部2aは、矢印P1の視点で見た場合に、
図8(f)の状態に見える。
図8(f)に示すように、矢印P1の視点で見た場合には、造影マーカ3の第1造影マーカ部4は、中心軸線方向Cの先端側に凸形となる円弧形状に見える。
図8(f)に示すように、矢印P1の視点で見た場合には、造影マーカ3の第2造影マーカ部5は、中心軸線方向Cに沿って直線状に延在する形状に見える。
図8(f)において中心軸線方向Cと直交する径方向Dにおける第2造影マーカ部5の位置は、
図8(b)および
図8(d)の径方向Dにおける第2造影マーカ部5の位置と同じである。つまり、
図8(f)における第1造影マーカ部4の形状は、
図8(b)および
図8(d)における第1造影マーカ部4の形状と異なる。その一方で、
図8(f)における第2造影マーカ部5の位置および形状は、
図8(b)および
図8(d)における第2造影マーカ部5の位置および形状と同じである。
【0064】
したがって、
図7に示す矢印P1の方向からX線を透視することで取得されるX線透画像では、第1造影マーカ部4の形状の変化を見ることにより、カテーテル2の先端部2aの奥手前方向Aにおける動きを識別することができる。より具体的に、本実施形態では、第1造影マーカ部4の形状が中心軸線方向Cの基端側に凸形となる円弧状に見える場合には、奥手前方向Aの手前方向A2に動いていること、または、動いたこと、を識別することができる(
図8(c)、
図8(d)参照)。また、本実施形態では、第1造影マーカ部4の形状が中心軸線方向Cの先端側に凸形となる円弧状に見える場合には、奥手前方向Aの奥行き方向A1に動いていること、又は、動いたこと、を識別することができる(
図8(e)、
図8(f)参照)。
【0065】
図7に示す白抜き矢印P2の方向に向かってカテーテル2の先端部2aを見た場合、
図7に示す白抜き矢印P3の方向に向かってカテーテル2の先端部2aを見た場合、および、
図7に示す白抜き矢印P4の方向に向かってカテーテル2の先端部2aを見た場合にも同様に、各方向(矢印P2〜P4の方向)からX線を透視することで取得されるX線透画像では、第1造影マーカ部4の形状の変化、並びに、第1造影マーカ部4及び第2造影マーカ部5の位置関係、を見ることにより、カテーテル2の先端部2aの奥手前方向Aにおける動きを識別することができる。
【0066】
このように本実施形態によれば、画像処理装置10は、心臓の房室を所定方向から撮像したX線透視画像に基づくフォーマット図(第1の二次元画像)(
図3等における輪郭線を参照)に、房室の心壁上の所定の関心部位を示すマーカを重畳した記録画像(第2の二次元画像)(
図3等参照)を生成する画像処理部12と、所定方向から見た奥行き方向を含む、関心部位の位置情報を取得する取得部11と、を備える。画像処理部12は、関心部位の位置情報に基づき、その関心部位を示すマーカの態様を異ならせる。
【0067】
心臓の房室を所定方向から見た奥行き方向を含む、関心部位の位置情報に基づき、その関心部位のマーカの態様を異ならせることで、心臓の房室の心壁上の関心部位を、二次元画像上で三次元的に表現・記録する記録画像を生成することができる。さらに、複数の画像の再構成などの処理が不要であるため、より簡易に心臓の房室の心壁上の関心部位を二次元画像上で三次元的に表現・記録することができる。
【0068】
なお、実施形態では特に触れていないが、画像処理装置10は、コンピュータとプログラムとによっても実現することができる。また、当該プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD−ROMおよびDVD−ROMなどの記録媒体であってもよい。また、当該プログラムは、ネットワークを介して提供することも可能である。
【0069】
本発明は、上述した実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再構成可能であり、複数の構成部またはステップなどを1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。