(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979918
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】ヒト老化細胞賦活剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20211202BHJP
A61K 31/22 20060101ALI20211202BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20211202BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20211202BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20211202BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20211202BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20211202BHJP
C12P 7/42 20060101ALN20211202BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K31/22
A61K47/10
A61P17/00
A61P43/00 107
A61Q19/00
A61Q19/08
!C12P7/42
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-69595(P2018-69595)
(22)【出願日】2018年3月30日
(65)【公開番号】特開2019-178120(P2019-178120A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2020年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雅行
(72)【発明者】
【氏名】西村 拓
(72)【発明者】
【氏名】盤若 明日香
【審査官】
池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−200883(JP,A)
【文献】
特開平10−095730(JP,A)
【文献】
特表2016−512207(JP,A)
【文献】
特開2018−000032(JP,A)
【文献】
特開昭63−112998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A61P 17/00−17/18
A61P 43/00
A61K 31/00−31/327
A61K 47/00−47/69
C12P 1/00−41/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化1に示す3ヒドロキシ酪酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも一種以上を含有してなるヒト老化細胞賦活剤。
【化1】
但しRはC1〜C4のアルキル基から選ばれるいずれか一種である。
【請求項2】
前記3ヒドロキシ酪酸アルキルエステルがR体である請求項1に記載のヒト老化細胞賦活剤。
【請求項3】
前記3ヒドロキシ酪酸アルキルエステルが3ヒドロキシ酪酸エチルである請求項1または2に記載のヒト老化細胞賦活剤。
【請求項4】
水系基材に化1に示す前記3ヒドロキシ酪酸アルキルエステルを16μg/mL以上含有する組成物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒト老化細胞賦活剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト老化細胞賦活剤に関する。
【背景技術】
【0002】
3−ヒドロキシ酪酸(3HB)を含むヒドロキシアルカン酸やその塩は生体親和性が高く、糖質に代わる画期的なエネルギー源として期待されている。また、3HBは単なるエネルギー源という役割だけでなく、様々な遺伝子の発現やタンパク質の活性に影響するシグナル伝達物質としての作用があることがわかってきた。3HBは、例えば、遺伝子発現調節作用によって、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害することによって認知機能や、長期持続記憶を改善することが知られ、アルツハイマーの予防に有効性が確認されている。例えば、ココナツオイルに多く含まれる中鎖脂肪酸の摂取および体内での代謝により生成される3HBが、脳や体内において糖質をうまく利用できないアルツハイマー病、糖尿病の患者の症状を改善させる効果を持つことが知られている。また、3HBは体内において糖質よりも速やかにエネルギーに変換されること、細胞への脂肪や糖の吸収を抑制する効果を有することから、アスリート向けのエネルギー物質、ダイエット・健康食品分野への応用が期待できる。更にはこれらヒドロキシアルカン酸は嫌気的条件でも容易に生分解を受ける数少ないポリマーの原料としても期待されている(非特許文献1参照)。
【0003】
3HBの製造方法として、各種微生物にポリ3−ヒドロキシ酪酸(以下PHBと称する場合がある)を生産させたのち、得られたPHBを酵素等により分解する方法が知られている(特許文献1)。また、このような微生物としてハロモナス菌が、好気条件でPHBを蓄積し、微好気条件に移行することでPHBを分解して生成した3HBを培地中に分泌産生することが見出されている(特許文献2)。
【0004】
一方、従来より、皮膚の老化に伴う変化(しわ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等)の原因として、コラーゲンやエラスチン等の真皮マトリックスの線維減少や変性等が知られている。この変化を誘導する因子として、コラゲナーゼMMP1(マトリックスメタロプロテアーゼ)は、皮膚の真皮マトリックスの主な構成成分であるコラーゲンを分解する酵素として知られているが、その発現は紫外線の照射により大きく増加し、コラーゲンの減少変性の原因となり、皮膚のシワの形成等の大きな要因の一つになると考えられている。コラゲナーゼMMP1の活性を阻害すると、コラーゲンを保護して真皮マトリックスを保護し、皮膚の老化を防ぐことにつながる。従来、コラゲナーゼMMP1の活性阻害物質として、アセンヤク、柿、ワレモコウ、ペパーミント等の植物抽出物が有効であることが報告されている(特許文献3参照)。また、近年3HBがヒト老化細胞賦活効果を発揮しうる物質として検討されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−168595号公報
【特許文献2】特開2013−081403号公報
【特許文献3】特開2000−159631号公報
【特許文献4】特開2017−200883号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】H. Yagi et al.,Polymer Degradation and Stability, 110, 2014, P.278
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、3HBは本来コラゲナーゼMMP1の活性阻害物質として有効であり、細胞賦活効果を発揮すると考えられるのにもかかわらず、実際にその効果を発揮させることが困難であった。
【0008】
そこで、上述の問題点を解消すべく、3HBのヒト老化細胞賦活効果をさらに向上したヒト老化細胞賦活剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明のヒト老化細胞賦活剤の特徴構成は、化1に示す3ヒドロキシ酪酸アルキルエステル(3HBアルキルエステル)から選ばれる少なくとも一種以上を含有してなる点にある。
【0010】
【化1】
但しRはC1〜C4のアルキル基(3HBメチルエステル、3HBエチルエステル、3HBn−プロピルエステル、3HBイソプロピルエステル、3HBn−ブチルエステル、3HBsec−ブチルエステル、3HBtert−ブチルエステル)から選ばれる一つである。
【0011】
また、3HBアルキルエステルがR体であることが好ましく、3HBアルキルエステルが3HBエチルであることが好ましい。
また、水系基材に化1に示す3ヒドロキシ酪酸アルキルエステルを16μg/mL以上含有する組成物の形態としてもよい。
【0012】
本発明者らは、鋭意研究の結果、化1の3HBアルキルエステルによると、3HBに比べて3HBの有するコラーゲン産生促進効果を更に高められることを見出した。その結果、化1の3HBアルキルエステルを従来の3HBよりも効果の高いヒト老化細胞賦活剤として用いることができるようになった。
【0013】
また、3ヒドロキシ酪酸アルキルエステルがR体であると発酵生産された3HBを利用することができ、生産性、安全性の上で有利と考えられるまた、3HBエチルであれば、生産性、安全性の面で最も有利であると考えられる。また、3HBアルキルエステルを16μg/mL以上含有すれば、コラーゲン産生促進効果が十分発揮されることが実験的に明らかになっているため、16μg/mL(16ppm)以上とすることが好ましい。また、コラーゲン産生促進効果は、3HBアルキルエステル含有量を増加させても十分に発揮されるため、含有量の上限は問わないが、3HBアルキルエステルによる細胞毒性が生じない範囲で適宜設定することができ、実用上25%を超えないことが好ましい。さらに好ましくは、10%未満である。
【発明の効果】
【0014】
従って、従来よりも効果の高いヒト老化細胞賦活剤を提供することができた。具体的には、このようなヒト老化細胞賦活剤は、たとえば、化粧料組成物等に添加された細胞賦活化粧料等の形態で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】3HBナトリウムを用いたコラーゲン産生試験結果
【
図2】3HBエチルエステルを用いたコラーゲン産生試験結果
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明のヒト老化細胞賦活剤を説明する。尚、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
【0017】
〔ヒト老化細胞賦活剤〕
本発明の実施例にかかるヒト老化細胞賦活剤は、化1に示す3ヒドロキシ酪酸アルキルエステル(3HBアルキルエステル)を含有してなる組成物である。
【0018】
具体的には、3HBメチルエステル(化1におけるRがC1=メチル)、3HBエチルエステル(化1におけるRがC2=エチル)、3HBn−プロピルエステル、3HBイソプロピルエステル(化1におけるRがC3=プロピル)、3HBn−ブチルエステル、3HBsec−ブチルエステル、3HBtert−ブチルエステル、(化1におけるRがC4=ブチル)から選ばれる少なくとも一種の3HBアルキルエステルを精製水に0.001〜25%溶解した溶液の化粧料組成物として用いることができる。
【0019】
3HBメチルエステル、3HBエチルエステル、3HBn−プロピルエステル、3HBイソプロピルエステル、3HBn−ブチルエステル、3HBsec−ブチルエステル、3HBtert−ブチルエステルは、製造方法に制限はなく、化学的、生物的いずれの公知の方法において合成することができるが、本発明者らにより、生物発酵由来で得られた3HBやPHBから、より簡易に光学活性の高い製品としての3HBアルキルエステルを製造することが提案されており、具体的には、以下のようにして3HBエチルエステルを生物発酵由来で簡便に製造することができる。
【0020】
〔3HBアルキルエステルの製造〕
3ヒドロキシ酪酸(3HB)生産菌から3HBを発酵生成した発酵液を得る発酵工程と、発酵液の溶媒としての水分を留去して、3HBに対するエステル化剤としてのアルコール溶媒に置換することにより3HBを含有するアルコール溶液を得るアルコール置換工程と、アルコール溶液に触媒を添加し、加熱して粗3HBアルキルエステルを得る反応工程と、得られた粗3HBアルキルエステルを蒸留により精製する蒸留工程と、を順に行う。
【0021】
ここで、3HB生産菌として、3HB生産性のハロモナス菌を用い、発酵工程として、ハロモナス菌を好気発酵する好気発酵工程と、好気発酵工程によりポリヒドロキシ酪酸(PHB)を蓄積した前記ハロモナス菌を微好気発酵する微好気発酵工程とを行う。
【0022】
また、発酵液から3HB生産菌を除去するろ過工程を行うとともに、発酵液のpHをpH1〜6に調整するpH調整工程を行う。
【0023】
尚、エステル化剤としてのアルコール溶媒としては、C1〜C4のアルコールが用いられる。炭素数が1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールtert−ブタノールから選ばれる一価のアルコールが挙げられる。
【0024】
また、アルコール置換工程で、発酵液中の水分を10%以下にまで低下させる。発酵液中の水分は、より好ましくは、5%以下にまで低下させ、さらに好ましくは、1%以下にまで低下させる。また、反応工程においては、エステル化反応時に生成する水を反応系外に除去しながら反応を行うことにより、良好な反応性を維持して反応工程を持続することができる。
【0025】
さらに、アルコール置換工程にて析出したアルコール不溶物を除去する不溶物除去工程を行う。
【0026】
〔発酵工程〕
発酵工程は、3HB生産菌から3HBを発酵生成した発酵液を得るものである。具体的には、糖質を含む培養液を収容した発酵容器に3HB生産性のハロモナス菌を添加して、まず撹拌通気しつつ好気発酵工程を行う。これにより、ハロモナス菌により糖質を資化させ、PHBを生産させることができ、ハロモナス菌体内にPHBを蓄積する。次に、糖類がほぼ完全に消費されたころに、発酵容器内への通気を停止して微好気発酵工程を行う。これにより、ハロモナス菌は体内に蓄積したPHBを分解消費して発酵液中に3HBを放出する。その結果、3HB及び菌体を含有する発酵液が得られる。
【0027】
〔ろ過工程〕
ろ過工程では、得られた発酵液中の菌体成分を濾過して除去する。具体的には、発酵液は精密ろ過膜(MF膜)によりろ過する。すると簡便に菌体を除去することができ、主に3HBを含有する発酵液とすることができる。ここで、菌体をろ過するのにMF膜を用いたが、3HBと菌体とを分離可能な手段であれば、種々公知のろ過膜を採用してろ過工程を行うことができる。このろ過工程においては、タンパク質成分等、比較的高分子の溶解成分まで除去することもできるが、本実施例においては、後述の不溶物除去工程を行う関係上、必要以上に精度の高い濾過を行う必要がなく、MF膜を用いた簡便な濾過操作を行うことで十分な夾雑物除去効果を達成することができた。
【0028】
〔pH調整工程〕
pH調整工程は、発酵液のpHをpH1〜6に調整して、発酵液中の3HBを遊離酸の形態として、アルコール溶液中に移行させやすくするものである。具体的には、ろ過工程で得られた発酵液は、3HBを4.8質量%含有するものであった。pH調整工程では、この発酵液2000gを12規定の塩酸を用いてpH=3.0に調整した。これにより発酵液中で塩として存在する3HBについても遊離酸の形態に変換することができる。尚、本実施形態において3HBの濃度は高速液体クロマトグラフ法により決定している(以下も同じ)。
【0029】
ここで、pH調整工程には種々の酸を用いることができるが、3HBアルキルエステルの精製に悪影響の生じにくい無機酸を用いることが好ましく、さらには、塩酸のような揮発性の酸とすることが好ましい。また、pHは1〜6の酸性領域にまで調整すればよいが、好ましくは、3HBがほぼ遊離酸として存在するpH3程度になるまで酸を添加し、pHを調整することが、3HBの収率の面からは好ましい。
【0030】
〔アルコール置換工程〕
アルコール置換工程では、発酵液の溶媒としての水分を留去して、3HBに対するエステル化剤としてのアルコール溶媒に置換する。具体的には、pH調整した発酵液をエバポレーターを用いて水を留去し、濃縮したところ、188.6gの濃縮液が得られた。この時点での濃縮液の水分率はカールフィッシャー水分計で0.4%であった。続いてこの濃縮液に、3HBに対するエステル化剤としてのエタノール254.8gを加え濃縮液に含まれる3HBをアルコール中に移行させ、アルコール溶液を得るアルコール置換工程を行った。尚、濃縮液の主成分は不純物を含んでいるために結晶化しなかった3HBであると考えられる。
【0031】
〔不溶物除去工程〕
得られたアルコール溶液は、アルコールに不溶の種々夾雑物を含有しているので、ろ過して除去する不溶物除去工程を行った。3HBについては、アルコール溶媒に高濃度に溶解可能であるので、アルコール溶媒中に移行しているため、夾雑物としては、発酵液由来の発酵生成物として高分子量のたんぱく質や、無機塩等が含まれる。不要物除去工程を行うと、褐色透明のアルコール溶液が得られた。ろ過には、MF膜等の簡便な分離膜を用いることができる。
【0032】
〔反応工程1〕
得られたアルコール溶液に、エステル化反応用触媒としての濃硫酸9.6gを加えて還流条件で2時間エステル化を行う反応工程を行った。反応中、生成した水分は、二相分離器を用いて系内から留去した。得られた反応液を蒸留により分留したところ、収率は78%で(R)3HBエチルエステルが得られた。得られた3HBエチルエステルの純度をガスクロマトグラフにて測定すると、99%を超えていた。
【0033】
尚、上記実施の形態では、エステル化剤としてのアルコール溶媒として、エタノールを用い、3HBエチルエステルの製造を行ったが、アルコール溶媒としては、他に、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールから選ばれる少なくとも一種以上のアルコールが用いられる。
【0034】
具体的には、たとえば、n−ブタノールを用いた場合、以下のように(R)3−ヒドロキシ酪酸ブチル(3HBn−ブチルエステル)を合成することができ、3HBメチルエステル、3HBn−プロピルエステル、3HBイソプロピルエステル、3HBsec−ブチルエステル、3HBtert−ブチルエステルについても同様に得ることができる。
【0035】
〔反応工程2〕
アルコール置換工程において、エタノールを254.8g用いたのに代えて、n−ブタノールを409.8g用い、以下同様に、不溶物除去工程を経て、反応工程を行った。得られた反応液を蒸留により分留したところ、収率は65%で(R)3−ヒドロキシ酪酸ブチルが得られた。得られた生成物の純度をガスクロマトグラフにて測定すると、99%を超えていた。
【0036】
また、このようにして得られた3ヒドロキシ酪酸アルキルエステル(3HBアルキルエステル)を含有してなるヒト老化細胞賦活剤には、他に、pH調整剤、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコール類や、NMF成分である乳酸塩、尿素やヒアルロン酸ナトリウム、増粘剤としてのキサンタンガムや、グァーガム等を併せて含有していてもよい。ただし、3HBアルキルエステルを主成分として含有していることが好ましい。また、レシチン等の保湿成分や、酸化チタン、タルク、カオリン等の無機粒子を含有してもよく、水性基材にエタノール等のアルコール類や、植物油成分等の油性基材や、界面活性剤を混合して含んでいてもよい。
【0037】
さらに具体的には、たとえば下記処方にて、ヒト老化細胞賦活剤としての化粧料組成物を構成することができる。
【0038】
(処方) (%)
(1)3HBエチルエステル 15.0
(2)防腐剤 0.1
(3)重炭酸ナトリウム 1
(4)香料 適量
(5)界面活性剤 2.0
(6)植物油 0.1
【0039】
ヒト老化細胞賦活剤としてのヒト老化細胞賦活化粧料は、上記化粧料組成物を主成分として含有し、通常の化粧料に含まれる任意の付加成分を含有してもよい。たとえば、パラフィン、セタノール、シクロデキストリン、ステアリン酸、コポリマー等の安定化剤、カオリンやタルク、カーボンブラック、カルミン等の顔料、脂肪酸石鹸等の起泡剤、炭酸マグネシウム、多孔質粒子等の吸着材、アラントイン、グリチルリチン酸2カリウム、カミツレエキス、アロエエキス、シャクヤクエキス等の抗炎剤、ビタミンC、プラセンタエキス等の細胞賦活剤、パラベン(パラオキシ安息香酸メチル)、ローズマリーエキス、フェノキシエタノール等の殺菌、抗菌成分、柿渋、みょうばん等の脱臭成分、トコフェロール等の酸化防止剤ローズマリーエキス、カミツレエキス、セージエキス、ユーカリエキス等の保存料等の成分は、種々公知の成分を任意の処方で含有することができる。
【0040】
具体的には下記処方にて、ヒト老化細胞賦活化粧料を構成することができる。
【0041】
(処方) (%)
(1)上記化粧料組成物 1.0
(2)エチルアルコール 15.0
(3)防腐剤 0.1
(4)ヒアルロン酸 0.01
(5)香料 適量
(6)クエン酸 0.1
(7)クエン酸ナトリウム 0.3
(8)1,3−ブチレングリコール4.0
(9)精製水 残量
pH 6.0
【0042】
〔3HBアルキルエステルのヒト細胞賦活効果の検証〕
3HBアルキルエステルのヒト細胞賦活効果の検証のため、ヒト線維芽細胞の培養液に対して3HBナトリウム、3HBエチルエステルをそれぞれ所定濃度で添加した場合のコラーゲン産生促進効果を比較した。ヒト線維芽細胞としては、ヒト正常線維芽細胞(正常細胞)と、ヒト老化線維芽細胞(老化細胞)とを用い効果を比較した。比較試験の方法について以下順に説明する。
【0043】
(老化細胞の作成)
ヒト正常線維芽細胞に過酸化水素により老化を誘導し、老化細胞(Senescence fibroblast)を作成した。
【0044】
(コラーゲン産生試験)
細胞を、培養液として0.5%FBS含有DMEMを用いて、2.0×104cells/wellの細胞密度で96穴プレートに播種した。翌日培養液を所定濃度のサンプルを含む0.5%FBS含有DMEMに交換し、24時間処理した。
【0045】
サンプルとしては、3HBナトリウム、3HBエチルエステルを用いた。
【0046】
(コラーゲン産生量の測定)
培地を回収し、ELISAにてTypeIコラーゲン含有量を測定した。また、細胞を0.5%TritonX−100溶液にて溶解し、BCA法により総タンパク量を測定した。これらに基づき、細胞による単位タンパク量あたりのコラーゲン量(測定値)を求めた。これらを比較すると、
図1、2のようになった。
【0047】
(結果)
図1、2より、3HBエチルエステルは、3HBナトリウムに比べて老化細胞に対するコラーゲン産生促進効果がきわめて高いことが明らかになった。これは、3HBや3HBナトリウムは水溶性が高いため、細胞内に浸透しにくく、本来3HBが有する賦活効果を効率よく発現することが困難であったのに対し、3HBエチルエステルは、3HBがエステル化により極性が低下し、細胞内への浸透が容易になったことに起因するものと考えられる。また、3HBと3HBナトリウムとは、酸とその塩の関係にあり、細胞に作用する際には、水溶液中のアニオンとして作用するものと考えられるため、3HBのコラーゲン産生促進効果と、3HBナトリウムによるコラーゲン産生促進効果とは、同等と考えられる。また3HBエチルエステルの他、3HBメチルエステル、3HBn−プロピルエステル、3HBイソプロピルエステル、3HBn−ブチルエステル、3HBsec−ブチルエステル、3HBtert−ブチルエステルについても3HBエチルエステルと同様の傾向がみられることが定性的に確認されており、3HBエチルエステルは、3HBナトリウムに比べて老化細胞に対するコラーゲン産生促進効果がきわめて高いと考えられる。
【0048】
また、上記実験結果より、3ヒドロキシ酪酸アルキルエステル(3HBアルキルエステル)を16μg/mL以上含有すると、十分なヒト老化細胞賦活効果を発揮することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のヒト老化細胞賦活剤は、たとえば、化粧料組成物等に添加されたヒト老化細胞賦活化粧料等の形態で提供することができる。