特許第6979945号(P6979945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979945
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】受動的NOx吸着体
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/74 20060101AFI20211202BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20211202BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20211202BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20211202BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20211202BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20211202BHJP
   B01J 20/06 20060101ALI20211202BHJP
   B01J 29/80 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   B01J29/74 AZAB
   F01N3/08 A
   F01N3/10 A
   F01N3/28 301P
   F01N3/24 E
   F01N3/08 B
   F01N3/28 301C
   F01N3/28 301G
   B01D53/94 280
   B01D53/94 245
   B01D53/94 222
   B01J20/06 A
   B01J29/80 A
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2018-517312(P2018-517312)
(86)(22)【出願日】2016年10月5日
(65)【公表番号】特表2018-538123(P2018-538123A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】GB2016053089
(87)【国際公開番号】WO2017060692
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年9月13日
(31)【優先権主張番号】1517579.7
(32)【優先日】2015年10月6日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チッフィー, アンドリュー フランシス
(72)【発明者】
【氏名】コアー, ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル−ドウニー, ローラ
(72)【発明者】
【氏名】モロー, フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン, マシュー
【審査官】 若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−006660(JP,A)
【文献】 特表2014−519975(JP,A)
【文献】 特開2000−102728(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0273452(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/080220(WO,A1)
【文献】 特表2014−506182(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0176455(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/73
53/86−53/90
53/94
53/96
B01J 21/00−38/74
F01N 3/00
3/02
3/04−3/38
9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーンバーンエンジンからの排ガスを処理するためのNO吸収体触媒であって、
貴金属と貴金属を含有する小細孔モレキュラーシーブとを含むモレキュラーシーブ触媒であって、貴金属がパラジウムを含む、モレキュラーシーブ触媒;
モレキュラーシーブ触媒を保護するための酸素吸蔵材料;及び
入口端と出口端とを有する基材
を含み、
第1の層と第2の層とを含み、第1の層が酸素吸蔵材料を含み、第2の層がモレキュラーシーブ触媒を含み、かつ、第1の層が第2の層の上に配置されている、
吸収体触媒。
【請求項2】
小細孔モレキュラーシーブが、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG、ZON、及びこれらのいずれか2つ以上の混合又は連晶からなる群より選択される骨格型を有する、請求項1に記載のNO吸収体触媒。
【請求項3】
小細孔モレキュラーシーブがAEI又はCHAである骨格型を有する、請求項2に記載のNO吸収体触媒。
【請求項4】
小細孔モレキュラーシーブが、アルミノシリケート骨格を有し、10から200のシリカのアルミナに対するモル比を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のNO吸収体触媒。
【請求項5】
モレキュラーシーブ触媒を保護するための酸素吸蔵材料が、セリウム及び/又はマンガン化合物の酸化物を含み、マンガン化合物がマンガン又はマンガンアルミネートの酸化物を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のNO吸収体触媒。
【請求項6】
酸素吸蔵材料がセリウムの酸化物を含む、請求項5に記載のNO吸収体触媒。
【請求項7】
酸素吸蔵材料が、セリウムの酸化物に担持されたパラジウム及び任意選択的に白金を含む、請求項6に記載のNO吸収体触媒。
【請求項8】
リーンNOトラップ(LNT)領域をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載のNO吸収体触媒。
【請求項9】
基材がフロースルーモノリス又はフィルターモノリスである、請求項1からのいずれか一項に記載のNO吸収体触媒。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載のNO吸収体触媒とエミッションコントロールデバイスとを備える排気システム。
【請求項11】
エミッションコントロールデバイスが、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、リーンNOトラップ(LNT)、リーンNO触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選択されるエミッションコントロールデバイスからなる群より選択される、請求項10に記載の排気システム。
【請求項12】
リーンバーンエンジンと、請求項1からのいずれか一項に記載のNO吸収体触媒又は請求項10又は請求項11に記載の排気システムとを備える車両。
【請求項13】
リーンバーンエンジンが、≦50ppmの硫黄を含むディーゼル燃料で作動するように構成されている、請求項12に記載の車両。
【請求項14】
リーンバーンエンジンからの排気ガスを処理する方法であって、排気ガスを請求項1からのいずれか一項に記載のNO吸収体触媒と接触させること、又は排気ガスを請求項10又は請求項11に記載の排気システムに通過させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーンバーンエンジンのためのNO吸収体、及びNO吸収体触媒を備えたリーンバーンエンジンのための排気システムに関する。本発明はまた、リーンバーンエンジンからの排気ガスを処理するための、NO吸収体触媒の使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンなどのリーンバーンエンジンは、世界中の政府間機関によって禁止の立法措置が取られる少なくとも四分類の汚染物質、すなわち一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、及びパティキュレート・マター(PM)を一般に含有する排出ガスを生じさせる。
【0003】
窒素酸化物(NO)の処理のための様々なエミッションコントロールデバイスが存在する。これらの装置には、例えば選択的触媒還元(SCR)触媒、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、リーンNO触媒[例えば炭化水素(HC)SCR触媒]、リーンNOトラップ(LNT)NO[No吸蔵触媒(NSC)又はNO吸着体触媒(NAC)としても知られている]、及び受動的NO吸着体(PNA)が含まれる。
【0004】
SCR触媒又はSCRFTM触媒は通常、有効作用温度に達すると、還元によってNOを処理するために高い効率を達成する。しかしながら、これらの触媒又は装置は、エンジンが冷えた状態(「コールドスタート」期間)から始動されている場合、又は長時間アイドリングしている場合など、有効作用温度未満では比較的非効率でありうる。
【0005】
NOの放出を低減又は防止するための別の一般的なタイプのエミッションコントロールデバイスは、リーンNOトラップ(LNT)である。通常運転中、リーンバーンエンジンは、「リーン」組成を有する排出ガスを生じさせる。LNTは、「リーン」排出ガス.中に存在する窒素酸化物(NO)を吸蔵又はトラップすることができる。LNTは、NOとLNTのNO貯蔵成分との間の化学反応によって排出ガス中に存在するNOを吸蔵又はトラップして無機硝酸塩を形成する。LNTによって吸蔵されうるNOの量は、存在するNO吸蔵成分の量によって制限される。最終的に、理想的には下流のSCR又はSCRFTM触媒が有効作用温度に達したときに、吸蔵されたNOをLNTのNO吸蔵成分から放出することが必要である。吸蔵されたNOのLNTからの放出は通常、リッチ条件下でリーンバーンエンジンを運転して、「リッチ」組成を有する排出ガスを生じさせることによって達成される。この条件下でNO吸蔵成分の無機硝酸塩が分解して、NOを改質する。リッチ条件下でLNTをパージするこの要件は、追加の燃料の燃焼によって二酸化炭素(CO)の量を増加させるため、このタイプのエミッションコントロールデバイスの欠点である。LNTはまた、低温でのNO吸蔵効率が悪い傾向にある。
【0006】
NOのための比較的新しいタイプのエミッションコントロールデバイスは、受動的Nox吸着体(PNA)である。PNAは、比較的低い排気ガス温度(例えば200℃未満)でNOを吸蔵又は吸着(通常は吸着)することができ、比較的高い温度でNOを放出する。PNAのNo吸蔵及び排出メカニズムは、熱的に制御され、吸蔵されたNoを排出するためのリッチパージを要するLNTのそれとは異なる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、モレキュラーシーブ触媒を含む受動的NO吸着体(PNA)に関する。このタイプのPNAは低温、典型的にはLNTのNO吸蔵温度よりも遥かに低い温度でNOを吸蔵することができることがわかっている。このような低温NO吸蔵は、リーンバーンエンジンが冷えた状態(「コールドスタート」期間)から始動されている場合、又は長時間アイドリングしている場合に有利である。
【0008】
モレキュラーシーブ触媒を含むPNAのNO吸蔵活性は、PNAがリッチ排ガス組成物に曝されると破壊されうることが発見されている。本発明は、この問題の認識に基づいており、その解決策を提供するものである。
【0009】
リーンバーンエンジンが過酷な加速条件にさらされると、リッチ排気ガス組成物が瞬間的に生成されることがある。このようにして生成された排気ガス組成物へのPNAの反復曝露は、そのNO貯蔵活性の著しい劣化又は破壊をもたらしうる。
【0010】
さらに又はあるいは、モレキュラーシーブ触媒を含むPNAは、LNTと併せて使用することができる。例えば、PNAのNO放出温度は、下流のSCR又はSCRFTM触媒の有効作用温度よりも低い温度でありうる。しかし、PNAのNO放出温度は、LNTのNO吸蔵温度と重複する可能性がある。PNAは、NOの吸蔵及び処理のための広い温度ウィンドーを提供するために、LNT及びSCR又はSCRFTM触媒(例えばPNA+LNT+SCR又はSCRFTMをこの順序で備える排気システム)と併せて用いることもできる。LNTからNoを放出させるために使用されるリッチパージは、PNAのNo吸蔵活性を破壊する可能性がある。
【0011】
本発明は、ディーゼルエンジンなどのリーンバーンエンジンからの排気ガスを処理するためのNO吸収体触媒を提供する。このNO吸収体触媒は、
貴金属と貴金属を含有するモレキュラーシーブとを含むモレキュラーシーブ触媒;
酸素吸蔵材料;及び
入口端と出口端とを有する基材
を含む。
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、特にモレキュラーシーブ触媒がリッチ排気ガス条件に曝された場合に、モレキュラーシーブ触媒が失活する(すなわちNO吸蔵に対して失活)のを低減又は防止するために酸素吸蔵材料が使用可能であることを見出した。このようなリッチ排気ガス条件は、リーンバーンエンジンが1.0未満の空気−燃料当量比(ラムダ「λ」として知られている)で燃焼を行うときに生成されうる。
【0013】
本発明は、ディーゼルエンジンなどのリーンバーンエンジン用の排気システムをさらに提供する。この排気システムは、本発明のNO吸収体触媒と、エミッションコントロールデバイスとを備える。
【0014】
本発明のさらなる態様は、車両に関する。車両は、リーンバーンエンジンと、本発明のNO吸収体触媒又は排気システムのいずれかとを備える。
【0015】
本発明はまた、リーンバーンエンジンからの排気ガスを処理する方法にも関する。本方法は、排気ガスを本発明のNO吸収体触媒と接触させることか、又は排気ガスを本発明の排気システムに通過させることのいずれかを含む。
【0016】
本発明はさらに、モレキュラーシーブ触媒が排気ガスに曝された場合などの、モレキュラーシーブ触媒を失活から保護するための酸素吸蔵材料の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1から5は、本発明のNO吸収体触媒の略図である。各図において、左側は基材の入口端を表し右側は基材の出口端を表す。
図1】基材(3)の上に配置されている、1つの領域内に酸素吸蔵材料(1)とモレキュラーシーブ触媒(2)とを有するNO吸収体触媒を示す。
図2】酸素吸蔵材料(1)を含む第1のゾーンと、モレキュラーシーブ触媒(2)を含む第2のゾーンとを有するNO吸収体触媒を示す。
図3】酸素吸蔵材料(1)を含む第1の領域と、モレキュラーシーブ触媒(2)を含む第2の領域/ゾーンとを有するNO吸収体触媒を示す。第1の領域と第2の領域/ゾーンとの間には、重なる部分がある。第1の領域の一部は、第2の領域/ゾーン(2の上に配置される。第1の領域と第2の領域/ゾーンの両方とも、基材(3)の上に配置される。
図4】酸素吸蔵材料(1)を含む第1の領域/ゾーンと、モレキュラーシーブ触媒(2)を含む第2の領域とを有するNO吸収体触媒を示す。第1の領域/ゾーンと第2の領域との間には、重なる部分がある。第2の領域の一部は、第1の領域/ゾーンの上に配置される。第1の領域/ゾーンと第2の領域の両方とも、基材(3)の上に配置される。
図5】モレキュラーシーブ触媒(2)を含む第2の層の上に配置された、酸素吸蔵材料(1)を含む第1の層を有するNO吸収体触媒を示す。第2の層は基材(3)の上に配置される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のNO吸収体触媒は、受動的Nox吸収体(PNA)としての使用のためのものである。No吸収体触媒は、貴金属とモレキュラーシーブとを含むモレキュラーシーブ触媒を含むか、又は本質的にそれからなり、この場合、モレキュラーシーブは貴金属、酸素吸蔵材料;及び入口端と出口端とを有する基材を含有する。
【0019】
モレキュラーシーブ触媒は、貴金属及びモレキュラーシーブを含む。モレキュラーシーブ触媒は、受動的NO吸収体(PNA)触媒である(すなわちPNA活性を有する)。モレキュラーシーブ触媒は、国際公開第2012/166868号に記載の方法に従って調製することができる。
【0020】
貴金属は典型的には、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、及びこれらの2種以上の混合物からなる群より選択される。好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びロジウム(Rh)からなる群より選択される。さらに好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びこれらの混合物からなる群より選択される。
【0021】
一般に、貴金属は、パラジウム(Pd)及び、任意選択的に、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)及びルテニウム(Ru)からなる群より選択される第2の金属を含むか、又はこれらからなることが好ましい。好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)及び、任意選択的に、白金(Pt)及びロジウム(Rh)からなる群から選択される第2の金属を含むか、又はこれらからなる。さらにいっそう好ましくは、貴金属は、パラジウム(Pd)及び任意選択的に白金(Pt)を含むか、又はこれらからなる。さらに好ましくは、モレキュラーシーブ触媒は、唯一の貴金属としてパラジウムを含む。
【0022】
貴金属がパラジウム(Pd)及び第2の金属を含むか又はこれらからなる場合には、パラジウム(Pd)の第2の金属に対する質量比は>1:1である。さらに好ましくは、パラジウム(Pd)の第2の金属に対する質量比は>1:1であり、パラジウム(Pd)の第2の金属に対するモル比は>1:1である。
【0023】
モレキュラーシーブ触媒は、卑金属をさらに含んでいてもよい。よって、モレキュラーシーブ触媒は、貴金属、モレキュラーシーブ及び任意選択的に卑金属を含むか、又は本質的にそれらからなる。モレキュラーシーブは、貴金属及び任意選択的に卑金属を含有する。
【0024】
卑金属は、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)、並びにこれらの2種以上の混合物からなる群より選択されうる。卑金属は、鉄、銅及びコバルト、さらに好ましくは鉄及び銅からなる群より選択されることが好ましい。さらにいっそう好ましくは、卑金属は、鉄である。
【0025】
あるいは、モレキュラーシーブ触媒は、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)、並びにこれらの2種以上の混合物からなる群より選択される卑金属などの卑金属を実質的に含まない場合がある。よって、モレキュラーシーブ触媒は、卑金属を含まない場合がある。
【0026】
一般に、モレキュラーシーブ触媒は卑金属を含まないことが好ましい。
【0027】
モレキュラーシーブ触媒はバリウム(Ba)を実質的に含まないことが好ましい場合があり、さらに好ましくはモレキュラーシーブ触媒はアルカリ土類金属を実質的に含まない。よって、モレキュラーシーブ触媒はバリウムを含まない場合があり、好ましくはモレキュラーシーブ触媒はアルカリ土類金属を含まない。
【0028】
典型的には、モレキュラーシーブはアルミニウム、ケイ素、及び/又はリンで構成される。モレキュラーシーブは、一般に、酸素原子の共有によって連結されたSiO、AlO、及び/又はPOの三次元配置(例えば骨格)を有する。モレキュラーシーブは、アニオン骨格を有しうる。アニオン骨格の電荷は、アルカリ及び/又はアルカリ土類元素(例えばNa、K、Mg、Ca、Sr及びBa)のカチオン、アンモニウムカチオン及び/又はプロトンなどのカチオンによって相殺されうる。
【0029】
典型的には、モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格、アルミノホスフェート骨格又はシリコ−アルミノホスフェート骨格を有する。モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格又はアルミノホスフェート骨格を有してもよい。モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格又はシリコ−アルミノホスフェート骨格を有することが好ましい。さらに好ましくは、モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格を有する。
【0030】
モレキュラーシーブがアルミノシリケート骨格を有する場合、モレキュラーシーブは、好ましくはゼオライトである。
【0031】
モレキュラーシーブは、貴金属を含有する。貴金属は典型的には、モレキュラーシーブに担持されている。例えば、イオン交換などによってモレキュラーシーブ上に貴金属をロードし、担持させてもよい。よって、モレキュラーシーブ触媒は、貴金属及びモレキュラーシーブを含むか、又は本質的にそれらからなっていてよく、この場合モレキュラーシーブは貴金属を含有し、貴金属はイオン交換によってモレキュラーシーブ上にロードされ、及び/又は担持される。
【0032】
一般に、モレキュラーシーブは、金属置換モレキュラーシーブ(例えばアルミノシリケート又はアルミノホスフェート骨格を有する金属置換されたモレキュラーシーブ)であってもよい。金属置換モレキュラーシーブの金属は、貴金属でありうる(例えばモレキュラーシーブは、貴金属置換されたモレキュラーシーブである)。よって、貴金属を含有するモレキュラーシーブは、貴金属置換モレキュラーシーブでありうる。モレキュラーシーブ触媒が卑金属を含む場合、モレキュラーシーブは、貴金属及び卑金属置換ゼオライトモレキュラーシーブであってもよい。誤解を避けるために、用語「金属置換(された)」は、「イオン交換(された)」と同義である。
【0033】
モレキュラーシーブ触媒は一般に、モレキュラーシーブの細孔の内側に位置する貴金属を少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、さらに好ましくは少なくとも10重量%(例えば少なくとも25重量%など)、さらにいっそう好ましくは少なくとも50重量%有する(すなわちモレキュラーシーブ触媒の貴金属の量)。
【0034】
モレキュラーシーブは、小細孔モレキュラーシーブ(すなわち最大環サイズが8つの四面体原子を有するモレキュラーシーブ)、中細孔モレキュラーシーブ(すなわち最大環サイズが10の四面体原子を有するモレキュラーシーブ)、及び大細孔モレキュラーシーブ(すなわち最大環サイズが12の四面体原子を有するモレキュラーシーブ)から選択されうる。さらに好ましくは、モレキュラーシーブは、小細孔モレキュラーシーブ及び中細孔モレキュラーシーブから選択される。
【0035】
第1のモレキュラーシーブ触媒の実施態様において、モレキュラーシーブは、小細孔モレキュラーシーブである。小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらのいずれか2種以上の混合物又は連晶からなる群より選択される骨格型を好ましくは有する。連晶は、KFI−SIV、ITE−RTH、AEW−UEI、AEI−CHA、及びAEI−SAVから好ましくは選択される。さらに好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、AEI、CHA又はAEI−CHA連晶の骨格型を有する。さらにいっそう好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、AEI又はCHA、特にAEIである骨格型を有する。
【0036】
好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格又はシリコ−アルミノホスフェート骨格を有する。とりわけ小細孔モレキュラーシーブがAEI、CHA又はAEI−CHA連晶、特にAEI又はCHAである骨格型を有する場合、小細孔モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格をさらに好ましくは有する(すなわちモレキュラーシーブはゼオライトである)。
【0037】
第2のモレキュラーシーブ触媒の実施態様では、モレキュラーシーブは、AEI、MFI、EMT、ERI、MOR、FER、BEA、FAU、CHA、LEV、MWW、CON及びEUO、並びにこれらの2種以上の混合物からなる群より選択される骨格型を有する。
【0038】
第3のモレキュラーシーブ触媒の実施態様では、モレキュラーシーブは、中細孔モレキュラーシーブである。中細孔モレキュラーシーブは、好ましくはMFI、FER、MWW及びEUOからなる群より選択される骨格型、さらに好ましくはMFIの骨格型を有する。
【0039】
第4のモレキュラーシーブ触媒の実施態様では、モレキュラーシーブは、大細孔モレキュラーシーブである。大細孔モレキュラーシーブは、好ましくはCON、BEA、FAU、MOR及びEMTからなる群より選択される骨格型を有し、さらに好ましくはBEAの骨格型を有する。
【0040】
第1から第4のモレキュラーシーブ触媒の実施態様のそれぞれにおいて、モレキュラーシーブは、アルミノシリケート骨格を好ましくは有する(例えばモレキュラーシーブはゼオライトである)。前述の三文字コードの各々は、「ゼオライト命名に関するIUPAC委員会」及び/又は「国際ゼオライト学会の構造委員会」に従った骨格型を表す。
【0041】
第1から第4のモレキュラーシーブ触媒の実施態様のそれぞれにおいて、モレキュラーシーブ(例えば大細孔、中細孔又は小細孔)は少なくとも2つの異なる骨格型の連晶ではない骨格を有するのが一般に好ましい。
【0042】
モレキュラーシーブは典型的には、10から200(例えば10から40)、例えば10から100など、さらに好ましくは15から80(例えば15から30)のシリカ対アルミナのモル比(SAR)を有する。SARは一般に、アルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)又はシリコ−アルミノホスフェート骨格、好ましくはアルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)を有する分子に関する。
【0043】
第1、第3及び第4のモレキュラーシーブ触媒の実施態様(及び第2のモレキュラーシーブ触媒の実施態様のいくつかの骨格型についても)は、特にモレキュラーシーブがゼオライトの場合、750cm−1から1050cm−1の範囲の特徴的な吸収ピークを(モレキュラーシーブ自体の吸収ピークに加えて)有する赤外線スペクトルを有しうる。好ましくは、特徴的な吸収ピークは、800cm−1から1000cm−1の範囲であり、さらに好ましくは850cm−1から975cm−1の範囲である。
【0044】
第1のモレキュラーシーブ触媒の実施態様のモレキュラーシーブ触媒は、有利な受動的NO吸着体(PNA)活性を有することが分かっている。モレキュラーシーブ触媒は、リーンバーンエンジンの始動直後などの排気ガス温度が比較的冷たいときに、NOを吸蔵するのに使用することができる。モレキュラーシーブ触媒によるNO吸蔵は、低温(例えば200℃未満)で起こる。リーンバーンエンジンが温まるにつれて、排気ガス温度が上昇し、モレキュラーシーブ触媒の温度も上昇する。モレキュラーシーブ触媒は、吸着したNOを、より高い温度(例えば200℃以上)で放出する。
【0045】
意外にも、モレキュラーシーブ触媒、特に第2のモレキュラーシーブ触媒の実施態様のモレキュラーシーブ触媒は、コールドスタート触媒活性を有することがわかっている。このような活性は、比較的低い排気ガス温度(例えば200℃未満)でNO及び炭化水素(HC)を吸着することにより、コールドスタート期間中の排気を低減することができる。吸着されたNO及び/又はHCは、NO及び/又はHCを酸化するための他の触媒成分又はエミッションコントロールデバイスの有効温度にモレキュラーシーブ触媒の温度が近いか又はそれ以上のときに、放出されうる。
【0046】
本発明のNO吸収体触媒は、酸素吸蔵材料を含む。酸素吸蔵材料は、モレキュラーシーブ触媒を、特にNOに対して失活することから保護するのに適している。酸素吸蔵材料は、リッチ組成を有する排気ガスからモレキュラーシーブ触媒を保護するのに適している。酸素吸蔵材料は、酸化及び還元条件下で酸素を吸蔵及び放出する能力を有する。理論に束縛されるものではなないが、リッチ排気ガス条件下で、過剰な汚染物質は、酸素吸蔵材料によって提供される酸素を用いて酸化されうると考えられている。結果として得られるガス組成は、それほどリッチではなく、したがってモレキュラーシーブ触媒に対して失活が少ない。
【0047】
典型的には、酸素吸蔵材料は、セリウム及び/又はマンガン化合物の酸化物を含むか、又はそれらからなり、そのマンガン化合物は、マンガン又はマンガンアルミネートの酸化物を含むか、又はそれからなる。好ましくは、セリウムの酸化物は、セリア(CeO)である。マンガンの酸化物は、酸化マンガン(II)(MnO)、酸化マンガン(III)(Mn)、酸化マンガン(II、III)(MnO.Mn[Mnと記載されることもある])、及び酸化マンガン(IV)(MnO)からなる群より選択されうる。マンガンアルミネートは、MnAlである。
【0048】
酸素吸蔵材料は、第2の酸化物をさらに含みうる。この文脈における「第2」という用語は、存在しうるセリウムの酸化物又はマンガンの酸化物から該酸化物を区別するラベルである。用語「第2の酸化物」は、「第1の酸化物」の存在を必要としない。
【0049】
第2の酸化物は、ジルコニア、アルミナ、ランタン、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択されうる。第2の酸化物は、特に酸素吸蔵材料がセリウムの酸化物を含む場合、ジルコニア又はジルコニアとアルミナの組み合わせであることが好ましい場合がある。
【0050】
(i)セリウムの酸化物及び/又はマンガン化合物と(ii)第2の酸化物とを含む場合の酸素吸蔵材料は、特に(i)がセリウムの酸化物であるとき、(i)と(ii)との混合又は複合酸化物でありうる。
【0051】
典型的には、混合又は複合酸化物は、
(a)20から95重量%のセリウムの酸化物及び/又はマンガン化合物、好ましくはセリウムの酸化物(例えばCeO)、及び
(b)5から80重量%の第2の酸化物
から本質的になる。
【0052】
混合又は複合酸化物は、(a)50から95重量%のセリウムの酸化物及び/又はマンガン化合物、好ましくはセリウムの酸化物(例えばCeO)と(b)5から50重量%の第2の酸化物から、さらに好ましくは(a)35から80重量%のセリウムの酸化物及び/又はマンガン化合物と(b)20から65重量%の第2の酸化物[例えば(a)55から80重量%のセリウムの酸化物及び/又はマンガン化合物と(b)20から45重量%の第2の酸化物]から、さらにいっそう好ましくは(a)45から75重量%のセリウムの酸化物及び/又はマンガン化合物と(b)25から55重量%の第2の酸化物から本質的になるのが好ましい。
【0053】
一般に、酸素吸蔵材料は、セリウムの酸化物、特にセリアを含むか、又は本質的にそれからなるのが好ましい。
【0054】
セリウムの酸化物(例えばCeO)、マンガン化合物又は混合若しくは複合酸化物にはドーパントがドープされてもよい。ドーパントの総量は、(セリウムの酸化物(例えばCeO)、マンガン化合物又は混合若しくは複合酸化物の)典型的には0.25から5重量%、好ましくは0.5から20重量%(例えば0.5から3重量%又は5から20重量%)、さらに好ましくは1から15重量%(例えば約1重量%)である。ドーパントを含めることにより、熱安定性を付与することができる。
【0055】
ドーパントは、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、ネオジム(Nd)、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選択される元素又はその酸化物でありうる。元素は、タングステン(W)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、ネオジム(Nd)、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選択されうる。
【0056】
さらに好ましくは、元素は、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、ネオジム(Nd)、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選択される。さらにいっそう好ましくは、元素は、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、及びこれらの2種以上の組み合わせ、例えばプラセオジム(Pr)、又はランタン(La)とジルコニウム(Zr)との組み合わせからなる群より選択される。
【0057】
セリウムの酸化物(例えばCeO)、マンガン化合物又は混合若しくは複合酸化物にはドーパントがドープされないことが好ましい場合がある。
【0058】
一般に、酸素吸蔵材料は、セリウムの酸化物、特にセリア(すなわち混合又は複合酸化物ではないセリア)を含むか、又は本質的にそれからなるのが好ましい。
【0059】
典型的には、酸素吸蔵材料は、セリウムの酸化物及び/又はマンガン化合物、特にセリウムの酸化物に担持された白金及び/又はパラジウムを含むか、又は本質的にそれらからなる。白金及び/又はパラジウムは好ましくは、セリウムの酸化物及び/又はマンガン化合物に直接担持されている(すなわち白金及び/又はパラジウムは、セリウムの酸化物の表面に直接接触している)。白金及び/又はパラジウムがセリウムの酸化物及び/又はマンガン化合物に担持されている場合、酸素吸蔵材料の活性、特に酸素吸蔵活性が高められ、酸素吸蔵材料はより強力な保護をモレキュラーシーブ触媒に提供しうる。
【0060】
好ましくは、酸素吸蔵材料は、セリウムの酸化物及び/又はマンガン化合物、特にセリウムの酸化物に担持されたパラジウム及び任意選択的に白金を含むか、又は本質的にそれらからなる。白金及び任意選択的にパラジウムがセリア(すなわち混合又は複合酸化物ではないセリア)に担持されているのが好ましい。
【0061】
酸素吸蔵材料が白金及びパラジウムを含む場合、白金対パラジウムの質量比は、好ましくは10:1から1:10、さらに好ましくは8:1から1:8、さらにいっそう好ましくは5:1から1:5である。
【0062】
本発明のNO吸収体触媒は、酸素吸蔵材料によるモレキュラーシーブ触媒の保護を容易にするいくつかの配置のうちの1つを有しうる。
【0063】
第1の配置では、NO吸収体触媒は、モレキュラーシーブ触媒と酸素吸蔵材料との混合物を含むか、又は本質的にそれからなる。NO吸収体触媒は、モレキュラーシーブ触媒と酸素吸蔵材料とを含んでいるか又は本質的にそれらからなる領域(すなわちモレキュラーシーブ触媒と酸素吸蔵材料は同じ領域内に存在する)を含むか又は本質的にそれからなってもよい。
【0064】
NO吸収体触媒の第1の配置の例を図1に示す。
【0065】
該領域は、基材上に配置又は担持されてもよい。該領域は、基材上に直接配置又は担持されている(すなわち領域は基材の表面と接触している)ことが好ましい。
【0066】
第1の配置では、該領域は、ゾーンである。ゾーンは、典型的には基材の長さの10から90%(例えば10から45%)、好ましくは基材の長さの15から75%(例えば15から40%)、さらに好ましくは基材の長さの20から70%(例えば30から65%、例えば25から45%など)、なおさらに好ましくは25から65%(例えば35から50%)の長さを有する。
【0067】
あるいは、該領域は、層である。この層は、基材の全長(すなわち実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって広がる。
【0068】
第1の配置において、酸素吸蔵材料は、セリウムの酸化物及び/又はマンガン化合物、特にセリウムの酸化物に担持された白金及び/又はパラジウムを含むか、又は本質的にそれらからなるのが好ましい。さらに好ましくは、酸素吸蔵材料は、セリウムの酸化物に担持されたパラジウムを含むか又は本質的にそれからなる。
【0069】
第1の配置において、領域は好ましくは、ロジウム、並びに/又はアルカリ金属、アルカリ希土類金属及び/若しくは希土類金属の酸化物、炭酸塩若しくは水酸化物(セリウムの酸化物(すなわち第2のNO吸収体材料からのもの)を除く)を含んでいるか若しくは本質的にそれらからなるNO吸蔵成分を実質的に含まない。
【0070】
酸素吸蔵材料がモレキュラーシーブ触媒と混合される場合、酸素吸蔵材料は、リッチ排ガス組成物への曝露時にモレキュラーシーブ触媒が失活することから保護することができる。
【0071】
第2の配置では、NO吸収体触媒は、第2の領域の上流に配置された第1の領域を含む。第一の領域は、酸素吸蔵材料を含むか、又は本質的にそれからなる。第2の領域は、モレキュラーシーブ触媒を含むか、又は本質的にそれからなる。
【0072】
第2の配置では、第1の領域及び/又は第2の領域は、基材上に配置又は担持されうる。
【0073】
NO吸収体触媒の第2の配置の例を図2から4に示す。
【0074】
第2の領域は、基材上に直接配置されてよい(すなわち第2の領域は基材の表面と接触している)。第1の領域は、
(a)第2の領域上に配置又は担持され、及び/又は
(b)基材上に直接配置され[すなわち第1の領域は基材の表面と接触している]、及び/又は
(c)第2の領域と接触している[すなわち第1の領域は第2の領域に隣接又は当接する]。
【0075】
第1の領域は第1のゾーンであってよく、第2の領域は第2のゾーンであってよい(図2の配置参照)。第1のゾーンは、第2のゾーンに隣接してもよい。好ましくは、第1のゾーンは、第2のゾーンと接触している。
【0076】
第1のゾーンが第2のゾーンに隣接する、かつ/又は接触している場合、第1のゾーンと第2のゾーンとの組み合わせは、層(例えば単層)として基材上に配置又は担持されうる。よって、層(例えば単層)は、第1及び第2のゾーンが隣接するか又は互いに接触している場合に、基材上に形成されうる。このような配置は背圧の問題を回避しうる。
【0077】
第1の領域の一部は、第2の領域上に配置又は担持されうる(例えば第1の領域は第2の領域と重なってよい)。例えば、図3に示す配置を参照されたい。第2の領域は第2のゾーンであってよく、第1の領域は第1の層又は第1のゾーンであってよい。
【0078】
第1の領域が第2の領域上に配置又は担持される場合、好ましくは第1の領域の一部は、第2の領域上に直接配置される(すなわち第1の領域は第2の領域の表面と接触している)。
【0079】
あるいは、第2の領域の一部は、第1の領域上に配置又は担持されうる(例えば第2の領域は第1の領域と重なってよい)。例えば、図4に示す配置を参照されたい。第1の領域は第1のゾーンであってよく、第2の領域は第2の層又は第2のゾーンであってよい。
【0080】
第2の領域の一部が第1の領域上に配置又は担持される場合、好ましくは第2の領域の一部は、第1の領域上に直接配置される(すなわち第2の領域は第1の領域の表面と接触している)。
【0081】
典型的には、第2の配置のNO吸収体触媒において、第2の領域は、基材の出口端に配置され、第1の領域は、基材の入口端などの、第2の領域の上流に配置される。
【0082】
第2の配置では、第2の領域は第2の層であってよく、第1の領域は第1のゾーンであってよく、ここで第1のゾーンは第2の層上に配置される。好ましくは、第1のゾーンは、第2の層上に直接配置される(すなわち第1のゾーンは第2の層の表面と接触している)。
【0083】
第1のゾーンが第2の層上に配置又は担持される場合、第1のゾーンの全長が第2の層上に配置又は担持されることが好ましい。第1のゾーンの長さは、第2の層の長さより短い。第1のゾーンは、基材の入口端で第2の層上に配置されるのが好ましい。
【0084】
第3の配置では、NO吸収体触媒は、第2の層上に配置された第1の層を含む(例えば、図5の配置参照)。好ましくは、第1の層は、第2の層上に直接配置される(すなわち第1の層は第2の層の表面と接触している)。
【0085】
本発明のNO吸収体触媒の第2及び第3の配置は、酸素吸蔵材料がモレキュラーシーブ触媒より先にすべて又はほとんどの入口排気ガスと接触するように配置されているため有利である。排気ガスがリッチ組成を有する場合、これらの配置は、モレキュラーシーブ触媒の不活性化の可能性を低減する。
【0086】
誤解を避けるために、第1の領域は、第2の領域とは異なる(すなわち異なる組成)。
【0087】
一般に、第2及び第3の配置に関して、第1の領域が第1のゾーンである場合、第1のゾーンは、典型的には基材の長さの10から90%(例えば10から45%)、好ましくは基材の長さの15から75%(例えば15から40%)、さらに好ましくは基材の長さの20から70%(例えば30から65%、例えば25から45%など)、なおさらに好ましくは25から65%(例えば35から50%)の長さを有する。
【0088】
第2の領域が第2のゾーンである場合、第2のゾーンは一般に、基材の長さの10から90%(例えば10から45%)、好ましくは基材の長さの15から75%(例えば15から40%)、さらに好ましくは基材の長さの20から70%(例えば30から65%、例えば25から45%など)、なおさらに好ましくは25から65%(例えば35から50%)の長さを有する。
【0089】
第2及び第3の配置において、第1の領域が第1の層である場合、第1の層は典型的には、基材の全長(すなわち実質的に全長)にわたって、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって広がる。
【0090】
一般に、第2の領域が第2の層である場合、第2の層は典型的に、基材の全長(すなわち実質的に全長)にわたって、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって広がる。
【0091】
第2及び第3の配置において、第1の領域は好ましくは、ロジウム、並びに/又はアルカリ金属、アルカリ希土類金属及び/若しくは希土類金属の酸化物、炭酸塩若しくは水酸化物(セリウムの酸化物(すなわち第2のNO吸収体材料からのもの)を除く)を含んでいるか若しくは本質的にそれらからなるNO吸蔵成分を実質的に含まない。さらに好ましくは、第1の領域は、ロジウム、並びに/又はアルカリ金属、アルカリ希土類金属及び/若しくは希土類金属の酸化物、炭酸塩若しくは水酸化物(セリウムの酸化物(すなわち酸素吸蔵材料からのもの)を除く)を含んでいるか若しくは本質的にそれらからなるNO吸蔵成分を含まない。よって、第1の領域は好ましくは、リーンNOトラップ(LNT)領域(すなわちリーンNOトラップ活性を有する領域)ではない。
【0092】
第2及び第3の配置では、第1の領域が実質的に白金を含まないことが好ましい場合がある。さらに好ましくは、第1の領域は、白金を含まない。
【0093】
さらに又はあるいは、第2及び第3の配置において、第2の領域は好ましくは、ロジウム、並びに/又はアルカリ金属、アルカリ希土類金属及び/若しくは希土類金属の酸化物、炭酸塩若しくは水酸化物(セリウムの酸化物(すなわち第2のNO吸収体材料からのもの)を除く)を含んでいるか若しくは本質的にそれらからなるNO吸蔵成分を実質的に含まない。さらに好ましくは、第2の領域は、ロジウム、並びに/又はアルカリ金属、アルカリ希土類金属及び/若しくは希土類金属の酸化物、炭酸塩若しくは水酸化物を含んでいるか若しくは本質的にそれらからなるNO吸蔵成分を含まない。よって、第2の領域は好ましくは、リーンNOトラップ(LNT)領域(すなわちリーンNOトラップ活性を有する領域)ではない。
【0094】
一般に、第2及び第3の配置において、第2の領域がセリアなどのセリウムの酸化物を実質的に含まないことが好ましい。よって、第2の領域は、セリアなどのセリウムの酸化物を含まない場合がある。
【0095】
本発明の第4の配置では、NO吸収体触媒は、上記第1から第3の配置のいずれか1つにおいて定義されている配置を有し、リーンNOトラップ(LNT))領域をさらに含む。リーンNOトラップ(LNT))領域は、リーンNOトラップ活性を有する。
【0096】
LNT領域は、LNTゾーンでありうる。LNTゾーンは、典型的には基材の長さの10から90%(例えば10から45%)、好ましくは基材の長さの15から75%(例えば15から40%)、さらに好ましくは基材の長さの20から60%(例えば30から55%、例えば25から45%など)、なおさらに好ましくは25から50%(例えば25から40%)の長さを有する。
【0097】
あるいは、LNT領域は、LNT層であってもよい。LNT層は、基材の全長(すなわち実質的に全長)、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって広がってもよい。
【0098】
LNT領域は、好ましくはモレキュラーシーブ触媒及び酸素吸蔵材料の上流に配置される。LNT領域は基材の入口端に配置されるのが好ましい。さらに好ましくは、LNT領域は、基材の入口端に配置されているLNTゾーンである。
【0099】
第1から第4の配置のいずれか1つを含めた本発明のNO吸収体触媒は、SCR触媒(例えばSCR触媒を含む領域)、特に、セリウム(Ce)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、バナジウム(V)又はこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選択される金属を含むSCR触媒を好ましくは含まない。
【0100】
上記の領域、ゾーン及び層は、ウオッシュコートを作製して基材上に塗布するための、当該技術分野で知られている従来の方法を用いて調製することができる(例えば本発明者らの国際公開第99/47260号、国際公開第2007/077462号及び国際公開第2011/080525号を参照のこと)。
【0101】
第1の配置の領域及び第2及び第3の配置の第2の領域は、典型的には総ロード量≧1g ft−3、好ましくは>1g ft−3、さらに好ましくは>2g ft−3の貴金属(すなわち第1の領域のモレキュラーシーブ触媒)を含む。
【0102】
一般に、第1の配置の領域は、総ロード量5から550g ft−3、好ましくは15から400g ft−3(例えば75から350g ft−3)、さらに好ましくは25から300g ft−3(例えば50から250g ft−3)、なおさらに好ましくは30から150g ft−3の貴金属(例えば酸素吸蔵材料とモレキュラーシーブ触媒の両方を含む)を含む。
【0103】
第2から第3の配置の場合、第2の領域は、典型的には総ロード量1から250g ft−3、好ましくは5から150g ft−3、さらに好ましくは10から100g ft−3の貴金属(すなわち第2の領域のモレキュラーシーブ触媒)を含む。
【0104】
第1の領域は、第2から第3の配置において、典型的には総ロード量5から300g ft−3の白金族金属(例えば酸素吸蔵材料の白金及び/又はパラジウム)を有する。第1の領域は、総ロード量10から250g ft−3(例えば75から175g ft−3)、さらに好ましくは15から200g ft−3(例えば50から150g ft−3)、なおさらに好ましくは20から150g ft−3のPGMを有することが好ましい。
【0105】
第1の配置の領域又は第2及び第3の配置の第2の領域は、0.1から4.5g in−3(例えば0.25から4.2g in−3)、好ましくは0.3から3.8g in−3、なおさらに好ましくは0.5から3.0g in−3(1から2.75g in−3又は0.75から1.5g in−3)、さらにいっそう好ましくは0.6から2.5g in−3(例えば0.75から2.3g in−3)の量のセリウムの酸化物(例えば酸素吸蔵材料のセリウムの酸化物の量)を含みうる。
【0106】
第2から第3の配置において、第1の領域は、炭化水素吸着材をさらに含んでもよい。
【0107】
炭化水素吸着材は、典型的にはゼオライト、好ましくは貴金属及び/又は卑金属を含まないゼオライトである。ゼオライトは、中細孔ゼオライト(例えば最大環サイズが10の四面体原子であるゼオライト)又は大細孔ゼオライト(例えば最大環サイズが12の四面体原子であるゼオライト)であることが好ましい。ゼオライトは、小細孔ゼオライト(例えば最大環サイズが8の四面体原子であるゼオライト)ではないことが好ましい場合がある。
【0108】
適切なゼオライト又はゼオライトの種類の例には、フージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、フェリエライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、AEIゼオライト、ZSM−5ゼオライト、ZSM−12ゼオライト、ZSM−20ゼオライト、ZSM−34ゼオライト、CHAゼオライト、SSZ−3ゼオライト、SAPO−5ゼオライト、オフレタイト、ベータゼオライト又は銅CHAゼオライトが含まれる。ゼオライトは、好ましくはZSM−5型、ベータゼオライト又はY型ゼオライトである。
【0109】
第1の領域が炭化水素吸着剤を含む場合、炭化水素吸着剤の総量は、0.05から3.00g in−3、特に0.10から2.00g in−3、さらに特には0.2から1.0g in−3である。炭化水素吸着剤の全量は、例えば0.8から1.75g in−3、例えば1.0から1.5g in−3であってもよい。
【0110】
第1の配置の領域又は第2及び第3の配置の第1の領域は、炭化水素吸着材、特にゼオライトを実質的に含まないことが一般的に好ましい。よって、第1の配置の領域又は第2及び第3の配置の第1の領域は、炭化水素吸着材を含まない場合がある。
【0111】
さらに、第2及び第3の配置において、第1の領域が上述のモレキュラーシーブ触媒などのモレキュラーシーブ触媒を実質的に含まないことが好ましい場合がある。よって、第1の領域はモレキュラーシーブ触媒を含まない場合がある。
【0112】
本発明のNO吸収体触媒は、入口端と出口端とを有する基材を含む。
【0113】
基材は、典型的には複数のチャネル(例えば排気ガスを通すための)を有する。一般に、基材は、セラミック材料又は金属材料である。
【0114】
基材は、コーディエライト(SiO−Al−MgO)、炭化ケイ素(SiC)、Fe−Cr−Al合金、Ni−Cr−Al合金又はステンレス鋼合金でできているか、又はこれらで構成されていることが好ましい。
【0115】
典型的には、基材はモノリスである(本明細書では基材モノリスとも称される)。このようなモノリスは、当該技術分野でよく知られている。基材モノリスは、フロースルーモノリス又はフィルターモノリスである。
【0116】
フロースルーモノリスは、貫通する複数のチャネルを有するハニカムモノリス(例えば金属製又はセラミック製のハニカムモノリス)を典型的には含み、各チャネルは入口端及び出口端で開いている。
【0117】
フィルターモノリスは、複数の入口チャネルと複数の出口チャネルとを通常含み、入口チャネルは上流端部(すなわち排気ガスの入口側)で開放され、下流端部(すなわち排気ガスの出口側)で塞栓されるか封止され、出口チャネルは上流端部で塞栓されるか封止され、下流端部で開放されており、各入口チャネルは、多孔質構造によって出口チャネルから隔てられている。
【0118】
モノリスがフィルターモノリスである場合、フィルターモノリスはウォールフロー型フィルターであることが好ましい。ウォールフロー型フィルターでは、各入口チャネルが、多孔質構造の壁によって出口チャネルから交互に隔てられ、逆もまた同様である。入口チャネルと出口チャネルは、ハニカム配列で配置されていることが好ましい。ハニカム配列が存在する場合、入口チャネルと垂直方向及び横方向に隣接するチャネルが上流端部で塞栓され、逆もまた同じである(すなわち、出口チャネルと垂直方向及び横方向に隣接するチャネルは下流端部で塞栓される)ことが好ましい。いずれの端部から見ても、交互に塞栓及び開放されているチャネルの端部は、チェス盤の外観を呈する。
【0119】
原則として、基材は、如何なる形状又は大きさであってもよい。しかしながら、基材の形状及び大きさは通常、触媒中の触媒活性材料の排気ガスへの曝露を最適化するように選択される。基材は、例えば管、繊維又は粒子の形状を有してもよい。適切な担持基材の例としては、モノリスハニカムコーディエライト型の基材、モノリスハニカムSiC型の基材、層状繊維又は編地型の基材、発泡体型の基材、クロスフロー型の基材、金属ワイヤーメッシュ型の基材、金属多孔体型の基材、及びセラミック粒子型の基材が挙げられる。
【0120】
基材は、電気加熱可能な基材であってもよい(すなわち、電気加熱可能な基材は、使用中に電気的に加熱する基材である)。基材が電気加熱可能な基材である場合、本発明のNO吸収体触媒は、電力接続、好ましくは少なくとも2つの電力接続、さらに好ましくは2つのみの電力接続を有する。各電力接続は、電気加熱可能な基材及び電源に電気的に接続されうる。NO吸収体触媒は、抵抗器を通った電流が電気エネルギーを熱エネルギーに変換する、ジュール加熱によって加熱されうる。
【0121】
電気加熱可能な基材は、第1の領域から吸蔵NOを放出するのに用いることができる。よって、電気加熱可能な基材のスイッチをオンにすると、NO吸収体触媒は加熱され、モレキュラーシーブの温度は、そのNO放出温度まで上昇させることができる。適切な電気加熱可能な基材の例は、米国特許第4300956号、米国特許第5146743号及び米国特許第6513324号に記載されている。
【0122】
一般に、電気加熱可能な基材は金属を含む。金属は、電力接続又は電力接続に電気的に接続されうる。
【0123】
典型的には、電気加熱可能な基材は、電気加熱可能なハニカム基材である。電気加熱可能な基材は、使用の際に、電気加熱式のハニカム基材でありうる。
【0124】
電気加熱可能な基材は、電気加熱可能な基材モノリス(例えば金属モノリス)を含みうる。モノリスは波形の金属板又は金属箔を含みうる。波形の金属板又は金属箔は、圧延、巻回又は積層されうる。波形金属板が圧延又は巻回される場合には、波形金属板は、コイル、らせん形状又は同心円パターンへと圧延又は巻回されうる。
【0125】
電気加熱可能な基材の金属、金属モノリス、及び/又は波形の金属板若しくは箔は、FecralloyTMなどのアルミニウムフェライト鋼を含みうる。
【0126】
本発明はまた、NO吸収体触媒とエミッションコントロールデバイスとを備えた排気システムも提供する。エミッションコントロールデバイスの例には、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、リーンNOトラップ(LNT)、リーンNO触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)及びこれらの2種以上の組み合わせが含まれる。このようなエミッションコントロールデバイスは、当該技術分野でよく知られている。
【0127】
排気システムは、リーンNOトラップ(LNT)、アンモニアスリップ触媒(ASC)、ディーゼル微粒子フィルター(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選択されるエミッションコントロールデバイスを備えることが好ましい。さらに好ましくは、エミッションコントロールデバイスは、リーンNOトラップ(LNT)、選択的触媒還元(SCR)触媒、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選択される。
【0128】
一般に、本発明の排気システムは、排気ガス中に炭化水素を導入するための手段をさらに備えていてもよい。
【0129】
排気ガス中に炭化水素を導入するための手段は、(例えばリッチな排気ガスを生成するための)炭化水素供給装置を備えていてもよく、又はそれからなっていてもよい。炭化水素供給装置は、典型的にはLNTからNO(例えば吸蔵NO)を放出するために排気ガス中に炭化水素を噴射するように構成された、エンジンマネジメントシステムに電子的に接続されてもよい(すなわち、別個のエミッションコントロールデバイスとして、又は本発明のNO吸蔵触媒の第4の配置の一部として)。
【0130】
炭化水素供給装置は、噴射装置であってもよい。炭化水素供給装置又は噴射装置は、排気ガスに燃料を噴射するのに適している。炭化水素供給装置は典型的には、リーンバーンエンジンの排気出口の下流に配置される。炭化水素供給装置は、本発明のNO吸収体触媒の上流にあっても下流にあってもよい。
【0131】
リーンバーンエンジンは、炭化水素供給装置の代わりに又はそれに加えて、エンジンマネジメントシステム(例えばエンジンコントロールユニット[ECU])を備えていてもよい。エンジンマネジメントシステムは、典型的にはLNTから(すなわち別個のエミッションコントロールデバイスとして、又は本発明のNO吸蔵触媒の第4の配置の一部として)NO(例えば吸蔵NO)を放出するための、炭化水素の筒内噴射用に構成されてもよい。
【0132】
エンジンマネジメントシステムは一般に、排気システム内のセンサーに接続されており、センサーはLNTの状態を監視する。このようなセンサーは、LNTの下流に配置されうる。センサーは、LNTの出口で排気ガスのNO組成を監視することができる。
【0133】
一般に、炭化水素は、燃料、好ましくはディーゼル燃料である。炭化水素がディーセル燃料などの燃料である場合、燃料は、≦50ppmの硫黄、さらに好ましくは≦15ppmの硫黄、例えば≦10ppmの硫黄、さらにいっそう好ましくは≦5ppmの硫黄を含むことが好ましい。
【0134】
本発明のNO吸収体触媒の第1から第3の配置において、炭化水素供給装置は、本発明のNO吸収体触媒の上流に配置されてもよい。
【0135】
本発明の排気システムがSCR触媒又はSCRFTM触媒を備える場合、排気システムは、窒素系還元剤、例えばアンモニア又は尿素若しくはギ酸アンモニウムなどのアンモニア前駆体、好ましくは尿素を、酸化触媒の下流及びSCR触媒又はSCRFTM触媒の上流で排気ガスに噴射するための噴射装置をさらに備えていてもよい。このような噴射装置は、窒素系還元剤前駆体の供給源(例えばタンク)に流体接続されうる。前駆体の排気ガスへのバルブ制御された投入は、適切にプログラミングされたエンジン管理手段及び排気ガスの組成を監視するセンサーによって供給される閉ループ又は開ループフィードバックによって調節することができる。アンモニアはまた、カルバミン酸アンモニウム(固体)を加熱することによって生成されてもよく、生成されたアンモニアは排気ガス中に噴射することができる。
【0136】
窒素系還元剤を噴射するための噴射装置の代わりに又はそれに加えて、アンモニアは、LNTからNO(例えば吸蔵NO)を放出するための炭化水素の筒内噴射のために構成されたエンジンマネジメントシステムなどの炭化水素供給装置を排気システムがさらに備える場合などに、in situ(例えばSCR触媒又はSCRFTM触媒の上流に配されたLNTのリッチ再生の間に)で生成されうる。
【0137】
SCR触媒又はSCRFTM触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド系及び第VIII族遷移金属(例えばFe)のうち少なくとも1種類からなる群より選択される金属を含んでいてもよく、この金属は耐火性酸化物又はモレキュラーシーブ上に担持される。金属は、好ましくはCe、Fe、Cu及びこれらのいずれか2種類以上の組み合わせから選択され、さらに好ましくは金属はFe又はCuである。
【0138】
SCR触媒又はSCRFTM触媒用の耐火性酸化物は、Al、TiO、CeO、SiO、ZrO、及びこれらの2種以上を含有する混合酸化物からなる群より選択されうる。非ゼオライト触媒はまた、酸化タングステン(例えばV/WO/TiO、WO/CeZrO、WO/ZrO又はFe/WO/ZrO)も含みうる。
【0139】
SCR触媒、SCRFTM触媒又はこれらのウオッシュコートがアルミノシリケートゼオライト又はSAPOなどの少なくとも1種類のモレキュラーシーブを含む場合が、特に好ましい。少なくとも1種類のモレキュラーシーブは、小細孔、中細孔又は大細孔モレキュラーシーブでありうる。本明細書において「小細孔モレキュラーシーブ」とは、CHAなど、最大環サイズ8を有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「中細孔モレキュラーシーブ」とは、ZSM−5など、最大環サイズ10を有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「大細孔モレキュラーシーブ」とは、ベータなど、最大環サイズ12を有するモレキュラーシーブを意味する。小細孔モレキュラーシーブはSCR触媒における使用にとって潜在的に有利である。
【0140】
SCR触媒又はSCRFTM触媒にとって好ましいモレキュラーシーブは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ZSM−34を含むERI、モルデナイト、フェリエライト、ベータを含むBEA、Y、CHA、Nu−3を含むLEV、MCM−22、及びEU−1からなる群より選択される合成アルミノシリケートゼオライトモレキュラーシーブであり、好ましくはAEI又はCHAであり、約10から約50、例えば約15から約40のシリカ対アルミナ比を有する。
【0141】
本発明の第1の排気システムの実施態様において、排気システムは、本発明のNO吸収体触媒(NO吸収体触媒の第1から第4の配置のいずれか1つを含む)とリーンNOトラップ(LNT)[すなわちNO吸収体触媒とは別基材上のLNT]とを備える。このような配置は、PNA/LNTと称される。典型的には、NO吸収体触媒の後にリーンNOトラップ(LNT)が続く(例えば、NO吸収体触媒がLNTの上流にある)。よって、例えばNO吸収体触媒の出口は、リーンNOトラップ(LNT)の入口に接続されており、好ましくは(例えば介在するエミッションコントロールデバイスなしで)直接接続されている。NO吸収体触媒とLNTの間に炭化水素供給装置があってもよい。
【0142】
第2の排気システムの実施態様は、本発明のNO吸収体触媒(NO吸収体触媒の第1から第4の配置のいずれか1つを含む)と選択的触媒還元(SCR)触媒とを備える排気システムに関する。このような配置は、PNA/SCRと称される。典型的には、NO吸収体触媒の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、NO吸収体触媒がSCR触媒の上流にある)。よって、例えばNO吸収体触媒の出口は、SCR触媒の入口に接続されており、好ましくは(例えば介在するエミッションコントロールデバイスなしで)直接接続されている。
【0143】
窒素系還元剤の噴射装置は、NO吸収体触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒との間に配置してもよい。よって、NO吸収体触媒の後に窒素系還元剤の噴射装置が続いてもよく(例えば、NO吸収体触媒が噴射装置の上流にある)、窒素系還元剤の噴射装置の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、噴射装置がSCR触媒の上流にある)。
【0144】
第2の排気システムの実施態様において、(例えばNo吸収体触媒の)基材はフィルターモノリスであることが好ましい場合がある。
【0145】
第3の排気システムの実施態様は、本発明のNO吸収体触媒(NO吸収体触媒の第1から第4の配置のいずれか1つを含む)と選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒とを含む。このような配置は、PNA/SCRFTMと称される。典型的には、NO吸収体触媒の後に選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒が続く(例えば、NO吸収体触媒がSCRF触媒の上流にある)。よって、例えばNO吸収体触媒の出口は、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒の入口に接続されており、好ましくは(例えば介在するエミッションコントロールデバイスなしで)直接接続されている。
【0146】
窒素系還元剤の噴射装置は、NO吸収体触媒と選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒との間に配置してもよい。よって、NO吸収体触媒の後に窒素系還元剤の噴射装置が続いてもよく(例えば、NO吸収体触媒が噴射装置の上流にある)、窒素系還元剤の噴射装置の後に選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒が続いてもよい(例えば、噴射装置がSCRF触媒の上流にある)。
【0147】
第4の排気システムの実施態様は、本発明のNO吸収体触媒(NO吸収体触媒の第1から第4の配置のいずれか1つを含む)、リーンNOトラップ(LNT)、及び選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒のいずれかを備える排気システムに関する。これらの配置は、PNA/LNT/SCR配置又はPNA/LNT/SCRFTM配置と称される。典型的には、NO吸収体触媒の後にリーンNOトラップ(LNT)が続く(例えば、NO吸収体触媒がLNTの上流にある)。典型的には、リーンNOトラップ(LNT)の後に選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒のいずれかが続く(例えば、LNTがSCRF触媒又はSCRF触媒の上流にある)。NO吸収体触媒とLNTとの間に炭化水素供給装置があってもよい。
【0148】
窒素系還元剤の噴射装置は、リーンNOトラップ(LNT)と選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒のいずれかとの間に配置してもよい。よって、リーンNOトラップ(LNT)の後に窒素系還元剤の噴射装置が続いてもよく(例えば、LNTが噴射装置の上流にある)、窒素系還元剤の噴射装置の後に選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒のいずれかが続いてもよい(例えば、噴射装置がSCR触媒又はSCRF触媒の上流にある)。
【0149】
第5の排気システムの実施態様は、本発明のNO吸収体触媒(NO吸収体触媒の第1から第4の配置のいずれか1つを含む)と、触媒化スートフィルター(CSF)と、選択的触媒還元(SCR)触媒とを備える排気システムに関する。このような配置は、PNA/CSF/SCRと称される。典型的には、NO吸収体触媒の後に触媒化スートフィルター(CSF)が続く(例えば、NO吸収体触媒はCSFの上流にある)。典型的には、触媒化スートフィルターの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、CSFはSCR触媒の上流にある)。
【0150】
窒素系還元剤の噴射装置は、触媒化スートフィルター(CSF)と選択的触媒還元(SCR)触媒との間に配置してもよい。よって、触媒化スートフィルター(CSF)の後に窒素系還元剤の噴射装置が続いてもよく(例えば、CSFは噴射装置の上流にある)、窒素系還元剤の噴射装置の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、噴射装置はSCR触媒の上流にある)。
【0151】
上述の第2から第5の排気システムの実施態様の各々において、ASC触媒をSCR触媒又はSCRFTM触媒の下流に(すなわち別個の基材モノリスとして)配置することができ、又はさらに好ましくは、SCR触媒を備える基材モノリスの下流又は終端のゾーンをASC用の担体として使用することができる。
【0152】
本発明の排気システム(第1から第5の排気システムの実施態様を含む)は、炭化水素(例えば燃料)を排気ガス中に導入するための手段もさらに備えうる。排気ガス中に炭化水素を導入するための手段が炭化水素供給装置である場合、炭化水素供給装置は、(上に別段の定めのない限り)本発明のNO吸収体触媒の下流にあることが一般に好ましい。
【0153】
本発明の排気システムは、リーンNOトラップ(LNT)を、特にNO吸収体触媒の上流、例えばNO吸収体触媒のすぐ上流の(例えば介在するエミッションコントロールデバイスのない)リーンNOトラップ(LNT)を備えていないことが好ましい場合がある。
【0154】
本発明のNO吸収体触媒のPNA活性により、NO、特にNOを低い排気温度で吸蔵することが可能になる。NO吸収体触媒は、比較的高い排気ガス温度でNOをNOに酸化することが可能である。したがって、本発明のNO吸収体触媒を、排気システムの一部としてのある特定の種類のエミッションコントロールデバイスと組み合わせることは有利である。
【0155】
本発明の別の態様は、車両又は装置に関する。車両又は装置は、リーンバーンエンジンを備える。好ましくは、リーンバーンエンジンは、ディーゼルエンジンである。
【0156】
ディーゼルエンジンは、均一予混合圧縮着火(HCCI)エンジン、予混合圧縮着火(PCCI)エンジン又は低温燃焼(LTC)エンジンでありうる。ディーゼルエンジンは、通常の(すなわち従来の)ディーゼルエンジンであることが好ましい。
【0157】
リーンバーンエンジンは、燃料、好ましくはディーゼル燃料で動くように構成され又は適合させられており、≦50ppmの硫黄、さらに好ましくは≦15ppmの硫黄、例えば≦10ppmの硫黄、さらにいっそう好ましくは≦5ppmの硫黄を含むことが好ましい。
【0158】
車両は、米国又は欧州の法律で規定されているような、軽量ディーゼル車両(LDV)であってよい。軽量ディーゼル車両は、典型的には<2840kgの重量、さらに好ましくは<2610kgの重量を有する。
【0159】
米国では、軽量ディーゼル車両(LDV)とは、≦8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車両を指す。欧州では、軽量ディーゼル車両(LDV)という用語は、(i)運転席の他に8席以下の座席を備え、5トン以下の最大質量を有する乗用車、及び(ii)12トン以下の最大質量を有する貨物輸送車両を指す。
【0160】
あるいは、車両は、米国の法律で規定されているような、>8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車などの大型ディーゼル車両(HDV)であってもよい。
【0161】
本発明はまた、リーンバーンエンジンからの排気ガスを処理する方法にも関する。本方法は、
(a)第1の温度範囲で、排気ガスを本発明のNO吸収体触媒と接触させて、NOを吸蔵する工程;及び
(b)第2の温度範囲で、NOをNO吸収体触媒から放出する工程
を含み、
第2の温度範囲が第1の温度範囲より高い(例えば第2の温度範囲の中間点は、第1の温度範囲の中間点より高い)
方法である。
【0162】
第2の温度範囲は、第1の温度範囲とは重複しないことが好ましい。第1の温度範囲の上限と第2の温度範囲の下限との間には隔たりが存在しうる。
【0163】
典型的には、NO吸収体触媒は、200℃を超える温度でNOを放出する。これは、第2の温度範囲の下限である。好ましくは、NO吸収体触媒は、220℃以上の温度、例えば230℃以上、240℃以上、250℃以上又は260℃以上の温度でNOを放出する。
【0164】
NO吸収体触媒は、250℃以下の温度でNOを吸収又は吸蔵する。これは、第1の温度範囲の上限である。好ましくは、NO吸収体触媒は、220℃以下の温度、例えば200℃以下、190℃以下、180℃以下又は175℃以下などの温度でNOを吸収又は貯蔵する。
【0165】
NO吸収体触媒は、一酸化窒素(NO)を優先的に吸収又は吸蔵しうる。よって、この文脈においてNOを吸収、吸蔵又は放出することについての言及は、一酸化窒素(NO)を吸収、吸蔵又は放出することを意味しうる。NOの優先的な吸収又は吸蔵は、排気ガス中のNO:NO比を低下させる。
【0166】
本発明はさらに、モレキュラーシーブ触媒が排気ガス、好ましくはリッチ排気ガスに曝された場合などの、モレキュラーシーブ触媒を失活から保護するための酸素吸蔵材料の使用に関する。この文脈における「失活」という用語は、NO吸収の低下を意味する。リッチ排気ガスは、燃焼が1.0未満の空気−燃料当量比(ラムダ「λ」として知られている)で行われるときに、リーンバーンエンジンによって通常生成されうる。
【0167】
定義
本明細書で用いられる「領域」という用語は、基材上のウオッシュコートのエリアを指す。例えば、「領域」は、基材上に「層」又は「ゾーン」として配置又は担持されうる。基材上のウオッシュコートのエリア又は配置は一般に、基材にウオッシュコートを塗布する工程の間、制御される。一般に、「領域」は、明確な境界又は縁を有する(すなわち一般的な分析技術を用いて、1つの領域を別の領域から区別することが可能である)。
【0168】
「ウオッシュコート」という用語は、当該技術分野ではよく知られており、通常は触媒の製造中に基材に塗布される接着性コーティングを指す。
【0169】
典型的には、「領域」は、実質的に一様な長さを有する。この文脈において「実質的に一様な長さ」についての言及は、平均値から10%を超えて逸脱しない長さ(例えば最長の長さと最短の長さの差)のことを指し、好ましくは5%を超えて逸脱しない長さ、さらに好ましくは1%を超えて逸脱しない長さのことを指す。
【0170】
各「領域」は、実質的に一様な組成を有する(すなわち領域の一部をその領域の別の部分と比較した場合に、ウオッシュコートの組成に実質的な差がない)ことが好ましい。この文脈において、実質的に一様な組成とは、領域の一部をその領域の別の部分と比較した場合に、組成の差異が5%以下、通常は2.5%以下、最も一般的には1%以下である物質(例えば領域)を指す。
【0171】
本明細書で用いられる「ゾーン」という用語は、基材の全長未満の長さ、例えば基材の全長の75%以下の長さを有する領域をいう。「ゾーン」は、典型的には、基材の全長の少なくとも5%(例えば5%以上)の長さ(すなわち実質的に均一な長さ)を有する。
【0172】
基材の全長とは、入口端と出口端(例えば基材の対向端部)との間の距離である。
【0173】
本明細書で用いられる「基材の入口端に配置されたゾーン」とは、基材の出口端よりも基材の入口端に近い、基材に配置又は担持されたゾーンを指す。よって、ゾーンの中間点(すなわちゾーンの長さの半分の地点)は、基材の出口端よりも基材の入口端に近い。同様に、本明細書で用いられる「基材の出口端に配置されたゾーン」とは、基材の入口端よりも基材の出口端に近い、基材に配置又は担持されたゾーンを指す。よって、ゾーンの中間点(すなわちゾーンの長さの半分の地点)は、基材の入口端よりも基材の出口端に近い。
【0174】
基材がウォールフロー型フィルターの場合には、「基材の入口端に配置されたゾーン」とは一般に、基材に配置又は担持された以下のゾーンを指す:
(a)基材の入口チャネルの閉塞端(例えば遮断端又は塞栓端)よりも入口チャネルの入口端(例えば開放端)に近いゾーン、及び/又は
(b)基材の出口チャネルの出口端(例えば開放端)よりも出口チャネルの閉塞端(例えば遮断端又は塞栓端)に近いゾーン。
【0175】
よって、ゾーンの中間点(すなわちゾーンの長さの半分の地点)は、(a)基材の入口チャネルの閉塞端よりも入口チャネルの入口端に近い、及び/又は(b)基材の出口チャネルの出口端よりも出口チャネルの閉塞端に近い。
【0176】
同様に、基材がウォールフロー型フィルターである場合の「基材の出口端に配置されたゾーン」とは、基材に配置又は担持された以下のゾーンを指す:
(a)基材の出口チャネルの閉塞端(例えば遮断端又は塞栓端)よりも出口チャネルの出口端(例えば開放端)に近いゾーン、及び/又は
(b)基材の入口チャネルの入口端(例えば開放端)よりも入口チャネルの閉塞端(例えば遮断端又は塞栓端)に近いゾーン。
【0177】
よって、ゾーンの中間点(すなわちゾーンの長さの半分の地点)は、(a)基材の出口チャネルの閉塞端よりも出口チャネルの出口端に近い、及び/又は(b)基材の入口チャネルの入口端よりも入口チャネルの閉塞端に近い。
【0178】
ゾーンがウォールフロー型フィルターの壁の中に存在する(すなわちゾーンがインウォールである)場合、ゾーンは、(a)と(b)の両方を満たしうる。
【0179】
本明細書で用いられる頭字語「PGM」とは、「白金族金属」を指す。用語「白金族金属」とは、一般的に、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtからなる群より選択される金属、好ましくはRu、Rh、Pd、Ir及びPtからなる群より選択される金属のことを指す。一般に、用語「PGM」とは、好ましくはRh、Pt及びPdからなる群より選択される金属のことを指す。
【0180】
本明細書で用いられる用語「吸着体」は、特にNO吸着体の文脈において、吸着のみによる化学物質(例えばNO)の吸蔵又は捕捉に限定して解釈されるべきではない。本明細書で用いられる用語「吸着体」は「吸収体」と同義である。
【0181】
本明細書で用いられる「混合酸化物」という用語は通常、当該技術分野で従来から知られているような、単一相の酸化物の混合物を指す。本明細書で用いられる「複合酸化物」という用語は通常、当該技術分野で従来から知られているような、二相以上の相を有する酸化物の組成物を指す。
【0182】
本明細書で用いられる「本質的になる」という表現は、特定した材料及び、発明の特徴の基本的特性に実質的に影響を及ぼさない任意の他の材料又は工程(例えば少量の不純物など)を含むように発明特徴の範囲を限定する。表現「本質的に〜からなる」は、表現「〜からなる」を包含する。
材料に関して、典型的には領域、層又はゾーンの含量の文脈において本明細書で用いられる表現「実質的に含まない」とは、例えば≦5重量%、好ましくは≦2重量%、さらに好ましくは≦1重量%といった、少量の材料を意味する。表現「〜を実質的に含まない」は、表現「〜を含まない」を包含する。
【0183】
本明細書で用いられる重量%で表されるドーパントの量、特に総量についての言及は、担体材料又はその耐火性金属酸化物の重量のことを指す。
【実施例】
【0184】
次に、以下の非限定的な実施例によって本発明を例証する。
【0185】
実施例1
CHA構造を有する小細孔ゼオライトのスラリーに硝酸Pdを加え、攪拌した。アルミナバインダーを加え、その後、確立されたコーティング技術を用いて1平方インチ当たり400セルの構造を有するコーディエライトフロースルーモノリスにスラリーを塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。Pd交換ゼオライトを含有するコーティングが得られた。このコーティングのPdローディングは、80g ft−3であった。
【0186】
実施例2
CHA構造を有する小細孔ゼオライトのスラリーに硝酸Pdを加え、攪拌した。アルミナバインダーを加え、その後、確立されたコーティング技術を用いて1平方インチ当たり400セルの構造を有するコーディエライトフロースルーモノリスにスラリーを塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。Pd交換ゼオライトを含有するコーティングが得られた。このコーティングのPdローディングは、80g ft−3であった。
【0187】
酸化セリウムを用いて、第2のスラリーを調製した。適切な量の可溶性白金及びパラジウム塩を添加し、スラリーを攪拌して均質化した。アルミナバインダーを添加し、確立されたコーティング技術を用いて、得られたウオッシュコートを第二の層としてフロースルーモノリスに塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。このコーティングのPtローディングは40g ft−3、Pdローディングは20g ft−3であった。
【0188】
実験結果
実施例1及び2の触媒はそれぞれ、ベンチに載せた1.6リットルのディーゼルエンジンに取り付けられた。このエンジンを動かして、模擬的な乗用車の世界統一排出ガス試験法(simulated World Harmonised Light Duty Test Cycles)(WLTC)を実施した。排出は、触媒前後で測定した。各触媒のNO吸収性能は、触媒前の累積NO放出と触媒後の累積NO排出の差として決定された。触媒前後の累積NO排出量の差は、触媒によって吸収されたNOに起因すると考えられる。最初の試験は、フレッシュな状態の触媒で行った。
【0189】
その後、実施例1及び2の触媒はそれぞれ、該エンジンでのリーン/リッチサイクルに30サイクル曝された。各サイクルは、ラムダ0.95で、300秒のリーン運転、続いて10秒のリッチ運転で構成された。触媒入口における排気ガス温度は、リーン運転中250℃に制御された。その後、WLTCサイクルを実行することによって、触媒のNO吸収性能を再評価した。
【0190】
以下の表1は、フレッシュな状態とリーン/サイクルサイクルへの曝露後の実施例1及び2の触媒の、500秒時点でのWLTC試験へのNO吸収性能を示す。
【0191】
実施例1の触媒は、リーン/リッチサイクルへの曝露後に吸収されるNOの量の有意な減少を示す。対照的に、(酸素吸蔵材料を含む)実施例2の触媒は、リーン/リッチサイクルへの曝露後に吸収されるNO量のわずかな減少を示す。本発明による実施例2の触媒は、リッチ排気ガス条件への暴露に対してより抵抗性である。
【0192】
実施例3
AEI構造を有する小細孔ゼオライトのスラリーに硝酸Pdを加え、攪拌した。アルミナバインダーを加え、その後、確立されたコーティング技術を用いて1平方インチ当たり400セルを有するコーディエライトフロースルーモノリスにスラリーを塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。Pd交換ゼオライトを含有するコーティングが得られた。このコーティングのPdローディングは、80g ft−3であった。
【0193】
90<20ミクロンまで粉砕したシリカ−アルミナ粉末を使用して第2のスラリーを調製した。ベータゼオライト、続いて硝酸ビスマス溶液及び適量の可溶性Pt塩を添加して、スラリーがゼオライト26%及びシリカ−アルミナ74%で構成されるようにした。混合物を撹拌して均質化し、その後確立されたコーティング技術を用いてフロースルーモノリスの入口端に塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。このコーティングのPtローディングは、68g ft−3であった。
【0194】
90<20ミクロンまで粉砕したMnドープシリカ−アルミナ粉末を使用して、第3のスラリーを調製した。可溶性白金塩を加え、混合物を攪拌して均質化した。確立されたコーティング技術を用いて、フロースルーモノリスの出口端のチャネルにスラリーを塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。このコーティングのPtローディングは、68g ft−3であった。
【0195】
実施例4
AEI構造を有する小細孔ゼオライトのスラリーに硝酸Pdを加え、攪拌した。アルミナバインダーを加え、その後、確立されたコーティング技術を用いて1平方インチ当たり400セルを有するコーディエライトフロースルーモノリスにスラリーを塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。Pd交換ゼオライトを含有するコーティングが得られた。このコーティングのPdローディングは、80g ft−3であった。
【0196】
酸化プラセオジムをドープしたセリア(Pr11の10質量%)を用いて第2のスラリーを調製した。白金硝酸溶液、続いて10質量%のアルミナバインダーを添加した。スラリーを撹拌して均質化し、確立されたコーティング技術を用いてフロースルーモノリスに塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。このコーティングのPtローディングは、50g ft−3であった。
【0197】
90<20ミクロンまで粉砕したシリカ−アルミナ粉末を使用して第3のスラリーを調製した。ベータゼオライト、続いて硝酸ビスマス溶液及び適量の可溶性Pt塩を添加して、スラリーがゼオライト33%及びシリカ−アルミナ67%で構成されるようにした。混合物を撹拌して均質化し、その後確立されたコーティング技術を用いてフロースルーモノリスの入口端に塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。このコーティングのPtローディングは、68g ft−3であった。
【0198】
90<20ミクロンまで粉砕したMnドープシリカ−アルミナ粉末を使用して、第4のスラリーを調製した。可溶性白金塩を加え、混合物を攪拌して均質化した。確立されたコーティング技術を用いて、フロースルーモノリスの出口端のチャネルにスラリーを塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。このコーティングのPtローディングは、68g ft−3であった。
【0199】
実施例5
AEI構造を有する小細孔ゼオライトのスラリーに硝酸Pdを加え、攪拌した。アルミナバインダーを加え、その後、確立されたコーティング技術を用いて1平方インチ当たり400セルを有するコーディエライトフロースルーモノリスにスラリーを塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。Pd交換ゼオライトを含有するコーティングが得られた。このコーティングのPdローディングは、80g ft−3であった。
【0200】
ジルコニアとランタナをドープしたセリア(ZrOが10質量%、Laが5質量%)を用いて第2のスラリーを調製した。白金硝酸溶液、続いて10質量%のアルミナバインダーを添加した。スラリーを撹拌して均質化し、確立されたコーティング技術を用いてフロースルーモノリスに塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。このコーティングのPtローディングは、50g ft−3であった。
【0201】
90<20ミクロンまで粉砕したシリカ−アルミナ粉末を使用して第3のスラリーを調製した。ベータゼオライト、続いて硝酸ビスマス溶液及び適量の可溶性Pt塩を添加して、スラリーがゼオライト33%及びシリカ−アルミナ67%で構成されるようにした。混合物を撹拌して均質化し、その後確立されたコーティング技術を用いてフロースルーモノリスの入口端に塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。このコーティングのPtローディングは、68g ft−3であった。
【0202】
90<20ミクロンまで粉砕したMnドープシリカ−アルミナ粉末を使用して、第4のスラリーを調製した。可溶性白金塩を加え、混合物を攪拌して均質化した。確立されたコーティング技術を用いて、フロースルーモノリスの出口端のチャネルにスラリーを塗布した。コーティングを乾燥させ、500℃で焼成した。このコーティングのPtローディングは、68g ft−3であった。
【0203】
実験結果
実施例3、4及び5の触媒を、10%水を用いて750℃で15時間、水熱劣化させた。ベンチに取り付けたディーゼルエンジンを使用して、模擬WLTC排出サイクルで、これらを性能試験した。排出は、触媒前後で測定した。各触媒のNO吸着性能は、触媒前の累積NO放出と触媒後の累積NO排出との差として決定された。触媒前後の累積NO排出量の差は、触媒によって吸着されたNOに起因すると考えられる。
【0204】
以下の表2は、1000秒時点での各触媒のWLTC試験への水熱劣化後NO吸着性能を示す。
【0205】
表2の結果は、実施例3から5の触媒が水熱老化後も同様のNO吸着性能を有することを示している。
【0206】
その後、実施例3、4及び5の触媒をディーゼルエンジンからのリッチ排気ガスに曝露した。260℃の触媒入口温度で100秒のリーン排気ガス曝露を含む処理サイクルに、ラムダ0.95での2秒のリッチ排気ガス曝露(ECUが要求する4秒間のリッチ燃焼によって生成され、酸素がシステムからパージされる)が続いた。リーン/リッチ処理サイクルを200回繰り返して、400秒の総累積リッチガス曝露を得た。リッチガス曝露後、実施例3、4及び5の触媒を、模擬WLTC排出サイクルで再び性能試験した。
【0207】
以下の表3は、累積400秒のリッチ排気ガス曝露後の各触媒のNO吸着性能を示す。
【0208】
表3の結果を表2の結果と比較することにより、実施例3の触媒が実施例4及び5の触媒よりも、リッチ排気ガスへの曝露後にNO吸着性能の大きな低下を被ることが分かる。実施例4及び5は、リッチ排気ガスへの曝露後のNO吸着性能のわずかな変化のみを示す。実施例4及び5は、酸素吸蔵能力を有する希土類酸化物ドープセリア材料を含む。
【0209】
疑義を避けるために、本明細書で引用したすべての文献の全内容は、参照により本願に援用される。
図1
図2
図3
図4
図5