特許第6979947号(P6979947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979947
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】近接プローブの作成方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6804 20180101AFI20211202BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20211202BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20211202BHJP
   G01N 21/64 20060101ALN20211202BHJP
【FI】
   C12Q1/6804 Z
   C12Q1/6813 ZZNA
   G01N33/53 M
   G01N33/53 N
   !G01N21/64 F
【請求項の数】21
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2018-520544(P2018-520544)
(86)(22)【出願日】2016年10月21日
(65)【公表番号】特表2018-533944(P2018-533944A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】EP2016075360
(87)【国際公開番号】WO2017068116
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2019年8月30日
(31)【優先権主張番号】1518655.4
(32)【優先日】2015年10月21日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517014583
【氏名又は名称】オリンク プロテオミクス エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フレドリクソン、ヨハン エリク シモン
(72)【発明者】
【氏名】ルンドベルグ、クラス マーティン
【審査官】 高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−504880(JP,A)
【文献】 特表2003−524419(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/005649(WO,A2)
【文献】 国際公開第2012/071428(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C12Q
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の近接プローブ対を製造する方法であって、各近接プローブ対は、第1の近接プローブと第2の近接プローブとを含み、各近接プローブ対は異なる標的分析物に結合することができ、各近接プローブは、分析物結合ドメインと、部分的に二本鎖である核酸ドメインとを含み、近接プローブ対における各近接プローブは、標的分析物に対して同時に結合することができ、一対の近接プローブの前記核酸ドメインは、前記一対の近接プローブが標的分析物に結合する際に、互いにハイブリダイゼーションすることによって相互作用するか、または、一つ以上の共通のオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションすることによって相互作用することができるものであって、該方法は、
a.第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドを複数の第1の分析物結合部のそれぞれに接合させて第1のユニバーサル接合体のセットを形成するステップと、
b.第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドを複数の第2の分析物結合部のそれぞれに接合させて第2のユニバーサル接合体のセットを形成するステップと、
c.前記第1のユニバーサル接合体セットの各第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドに、複数の異なる第1のタグオリゴヌクレオチドであって、そのそれぞれが、すべての第1のタグオリゴヌクレオチドに共通し、かつ前記第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第1のユニバーサル相補ドメインと、異なる第1のタグオリゴヌクレオチドのそれぞれに特有であるユニーク配列を含み、かつ第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第1のユニークドメインとを含む、複数の異なる第1のタグオリゴヌクレオチドのうちの1つをハイブリダイズさせることで、複数の第1の近接プローブを形成するステップと、
d.前記第2のユニバーサル接合体セットの各第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドに、複数の異なる第2の同系タグオリゴヌクレオチドであって、そのそれぞれが、すべての第2のタグオリゴヌクレオチドに共通し、かつ前記第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第2のユニバーサル相補ドメインと、異なる第2のタグオリゴヌクレオチドのそれぞれに特有であるユニーク配列を含み、かつ第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第2のユニークドメインとを含む、複数の異なる第2の同系タグオリゴヌクレオチドのうちの1つをハイブリダイズさせることで、複数の第2の近接プローブを形成するステップと、
e.該複数の第1の近接プローブから第1の近接プローブと、該複数の第2の近接プローブから同系の第2の近接プローブとをそれぞれ複数選択することによって、複数の近接プローブ対を提供するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび前記第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドは、異なるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび前記第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドは、同じものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のタグオリゴヌクレオチドおよび前記第2のタグオリゴヌクレオチドは、互いにハイブリダイゼーションすることによって相互作用することができる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のタグオリゴヌクレオチドおよび前記第2のタグオリゴヌクレオチドは、遊離の3’末端を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のタグオリゴヌクレオチドおよび前記第2のタグオリゴヌクレオチドは、3’末端に互いに相補的な領域を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のタグオリゴヌクレオチドは前記第2のタグオリゴヌクレオチドを伸長の鋳型として伸長されることができるか、および/または、前記第2のタグオリゴヌクレオチドは前記第1のタグオリゴヌクレオチドを伸長の鋳型として伸長されることができる、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のタグオリゴヌクレオチドは、遊離の3’末端を有し、前記第2のタグオリゴヌクレオチドは、遊離の5’末端を有し、前記第1のタグオリゴヌクレオチドおよび前記第2のタグオリゴヌクレオチドは、各々の遊離末端で共通のスプリントオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のタグオリゴヌクレオチドおよび前記第2のタグオリゴヌクレオチドは、一つの環状化可能なオリゴヌクレオチド分子の環状化の鋳型として働くか、または、一対の環状化可能なオリゴヌクレオチド分子の環状化の鋳型として働き、
(i)前記第1のタグオリゴヌクレオチドは、前記環状化可能なオリゴヌクレオチド分子の5’末端および3’末端に相補的な領域を有し、前記5’末端および3’末端をライゲーションのために並置させており、前記第2のタグオリゴヌクレオチドは、環状化分子のローリングサークル増幅のためのプライマーとして作用することができるように、前記環状化可能なオリゴヌクレオチドの5’末端と3’末端との間の領域に相補的な領域を有している、または、
(ii)前記第1のタグオリゴヌクレオチド、または、前記第1のタグオリゴヌクレオチドおよび前記第2のタグオリゴヌクレオチドは、一対の環状化可能なオリゴヌクレオチド分子の第1の環状化可能なオリゴヌクレオチド分子および2の環状化可能なオリゴヌクレオチド分子の5’末端および3’末端に相補的な領域を有し、前記5’末端および3’末端をライゲーションのために並置させており、前記第1のタグオリゴヌクレオチドおよび前記第2のタグオリゴヌクレオチドのうち一つは、環状化分子のローリングサークル増幅のためのプライマーとして作用することができるように、前記一対の環状化可能なオリゴヌクレオチド分子の第1の環状化可能なオリゴヌクレオチド分子または第2の環状化可能なオリゴヌクレオチド分子に相補的な領域を有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記各第1の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドは、その同系の第2の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドとのみ相互作用することができる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記各第1の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドは、2つ以上の前記第2の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドと相互作用することができる、請求項1〜9のいずれかに記載の方法
【請求項12】
前記各第1の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドは、すべての前記第2の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドと相互作用することができる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のタグオリゴヌクレオチドおよび/または前記第2のタグオリゴヌクレオチドは、特定の標的分析物に特異的で、かつ該特定の標的分析物を表すユニークタグ配列を含み、該配列を用いて試料中に存在する特定の標的分析物を特定してもよい、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のタグオリゴヌクレオチドおよび/または前記第2のタグオリゴヌクレオチドは、前記近接プローブ対に共通のユニバーサルタグ配列を含み、該配列を用いて、前記タグオリゴヌクレオチド間の相互作用の結果形成される前記核酸分子を処理または増幅してもよい、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の近接プローブおよび前記第2の近接プローブは、異なる分析物結合ドメインを含み、同じ分子の2つの異なる領域に同時に結合してもよい、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の近接プローブおよび前記第2の近接プローブは、生体分子複合体における別個の2つの分子に結合する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の近接プローブおよび前記第2の近接プローブは、異なる分析物結合ドメインを含み、ヘテロ複合体における別個の2つの分子に同時に結合してもよい、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、同じ分析物結合ドメインを含み、ホモ複合体における別個の2つの分子に同時に結合してもよい、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記分析物結合ドメインは、タンパク質である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記分析物結合ドメインは、抗体である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
複数の近接プローブ対であって、各近接プローブ対は、第1の近接プローブと第2の近接プローブとを含み、各近接プローブ対は異なる標的分析物に結合することができ、各近接プローブは、分析物結合ドメインと、部分的に二本鎖である核酸ドメインとを含み、近接プローブ対における各近接プローブは、標的分析物に対して同時に結合することができ、一対の近接プローブの前記核酸ドメインは、前記一対の近接プローブが標的分析物に結合する際に、互いにハイブリダイゼーションすることによって相互作用するか、または、一つ以上の共通のオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションすることによって相互作用することができるものであって、
a.前記複数の第1の近接プローブは、それぞれ、第1の分析物結合部に接合した第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドと、前記第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした複数の異なる第1のタグオリゴヌクレオチドのうちの1つとを含み、異なる第1のタグオリゴヌクレオチドは、それぞれ、すべての第1のタグオリゴヌクレオチドに共通し、かつ第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第1のユニバーサル相補ドメインと、異なる第1のタグオリゴヌクレオチドのそれぞれに特有であるユニーク配列を含み、かつ第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第1のユニークドメインとを含んでおり、
b.前記複数の第2の近接プローブは、それぞれ、第2の分析物結合部に接合した第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドと、前記第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした複数の異なる第2の同系タグオリゴヌクレオチドのうちの1つとを含み、異なる第2のタグオリゴヌクレオチドは、それぞれ、すべての第2のタグオリゴヌクレオチドに共通し、かつ第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第2のユニバーサル相補ドメインと、異なる第2のタグオリゴヌクレオチドのそれぞれに特有であるユニーク配列を含み、かつ第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第2のユニークドメインとを含んでおり、
各近接プローブ対の該第1のユニークドメインおよび第2のユニークドメインは、互いとの前記相互作用、または、共通のオリゴヌクレオチドとの前記相互作用を仲介することが可能な同系ドメインであり、これによって、該近接プローブが標的分析物に結合した際に、前記第1の近接プローブおよび前記第2の近接プローブの核酸ドメインが相互作用できる、複数の近接プローブ対。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接プローブを使用する試料中の分析物の検出アッセイ向けのプローブ(近接プローブ)の製造方法に関する。特に、本発明は、異なる標的分析物に対する結合特異性を有し、かつ異なる核酸ドメインを含む、複数の近接プローブ対を作成する改良された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、近接プローブは、例えば第1の近接プローブおよび第2の近接プローブなどの対として用いられ、また、一般に、対に含まれる近接プローブは、それぞれ、標的分析物に対する特異性を有する分析物結合ドメイン(analyte-binding domain)と、分析物結合ドメインに連結された核酸ドメインなどの機能性ドメインとを含む。しかしながら、近接アッセイには、近接プローブを2つより多く、例えば3つ、組み合わせて用いることができるものも存在する。分析物結合ドメインは、例えば、核酸「アプタマー」とすることもできるし(Fredrikssonら、(2002)Nat Biotech 20:473〜477)、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体などのタンパク質性のものとすることもできる(Gullbergら、(2004)Proc Natl Acad Sci USA 101:8420〜8424)。各近接プローブ対における分析物結合ドメインは、それぞれ、単一の分子からなるものであってもよいし相互作用した分子の複合体からなるものであってもよい分析物上の、異なる結合部位に対する特異性を有していてもよいし、例えば標的分析物が多量体として存在するような場合には、同じ特異性を有していてもよい。
【0003】
近接アッセイは、「近接プロービング」の原理に依拠するものであり、ここで、分析物は、複数(すなわち、2つ以上、一般には2つまたは3つ)のプローブの結合によって検出され、プローブが分析物と結合することで近接すると(故に「近接プローブ」である)、シグナルが生成される。近接アッセイにおけるシグナルの生成には、核酸ドメイン間の相互作用、および/または試料に付加されているか、もしくは他のプローブに保持されている、さらなる機能部(functional moiety)が関与する。一対の(または一組の)近接プローブのうちの両方(またはすべて)が、同じ分析物分子上の各部位に結合するか、または複合体内の異なる分析物に結合する場合に主に起こる、一対の(または一組の)近接プローブの近接によって、機能性ドメイン(例えば、核酸ドメイン)が直接または間接に相互作用すると、検出されることによって試料中における標的抗原の存在を示すことができる検出可能なシグナル(すなわち、これまで試料中に存在していなかった核酸配列)を生成することができる。したがって、シグナルの生成は、プローブ間の(より具体的には、これらのプローブが保持している核酸またはその他の機能部/機能性ドメインによる)相互作用に依存しており、典型的には、例えば、ライゲーション反応(核酸ドメインが互いにライゲーションするか、または核酸ドメインが、別途添加された1つ以上のオリゴヌクレオチドのライゲーションのための鋳型として働く、ライゲーション反応)および/または伸長反応(例えば、核酸ドメインのうちの少なくとも1つの伸長反応)を可能にする核酸ドメインの直接的または間接的な相互作用によって、核酸の二本鎖を1つ以上形成することが必要とされ、これによって検出可能なシグナルが生成される。よって、シグナルは、必要なプローブの両方(またはすべて)が分析物に結合した場合にのみ生成され、これによって検出システムの特異性が向上する。近接プロービングという概念は、近年開発されたものであり、今ではこの原理に基づく多くのアッセイが、当該技術において知られている。例えば、近接プローブを使用する検出アッセイとしては、近接伸長アッセイ(PEA)、近接ライゲーションアッセイ(PLA)(US6878515、WO01/61037)、インサイチュPLA(WO9949079)(細胞試料または組織試料におけるインサイチュで、局所的な様式で分子を検出するのに用いられるPLAであり、核酸ドメインのうちの1つ以上が、添加された1つ以上(典型的には2つ)のオリゴヌクレオチドの鋳型として働くライゲーションによって環状核酸分子が形成され、環状分子は、核酸ドメインによって開始されるローリングサークル増幅によって増幅され、これによって増幅産物が近接プローブ、ひいては分析物に局所化される)、および近接HCR(PCT/EP2015/052340)などが挙げられる。
【0004】
近接度に基づく検出アッセイ(proximity-based detection assays)に用いられるプローブの製造には、分析物結合ドメインに核酸ドメイン(または核酸部)を接合(conjugation)(すなわち、連結(coupling)または結合(linking))させることが必要である。核酸ドメイン(すなわち、試料中の別の核酸ドメインまたは核酸分子と相互作用して検出可能なシグナルを生じる機能性ドメイン)は、典型的には、分析物結合ドメインに(例えば、共有結合によって)接合して、近接プローブを形成する。しかしながら、核酸ドメイン(機能性ドメイン)は、典型的には、各分析物結合ドメインに直接接続されるので、特定の核酸ドメインおよび分析物結合ドメインを含む各近接プローブの製造には、典型的には、核酸分子の活性化と、それに続く各分析物結合ドメインへの接合とが必要である。したがって、新規の近接プローブが必要になる度に、新規のオリゴヌクレオチド分子を活性化して、所要の分析物結合ドメインに接合させる。このことは、近接度に基づく検出アッセイに用いられる新規の試薬の作成に関する時間およびコストを増大させ、ハイスループットな(例えば、多重の)近接検出アッセイの展開を妨げる重大な要因となる。
【0005】
さらに、オリゴヌクレオチドの活性化効率(ひいては、分析物結合ドメインへの核酸ドメインの接合効率)は、変動することが知られている。プローブを製造する度に、オリゴヌクレオチドを個別に活性化し、各分析物結合ドメインに接合させる場合は、異なる近接プローブ(例えば、異なる核酸ドメインに接合した分析物結合ドメイン)が、確実に同レベルのオリゴヌクレオチドを含んでいるようにすることは困難なことがある。したがって、近接検出アッセイにおいて、異なる標的分析物の検出効率は一定ではなく、そのため、試料中でレベルが異なる分析物を比較することはできない。
【0006】
上記方法によって作成されるプローブを、個別のバッチ間において一致させることも同様の理由で困難であるので、近接検出アッセイの再現性に影響があり、行い得る研究の規模が制限される。
【0007】
現在の製造方法では、例えば、プローブ(またはプローブ対)を、異なる近接検出形式で用いるために、または異なる検出試薬と共に用いるために、または異なるプローブと組み合わせて用いるために、検出アッセイ向けの、配列に基づく特異性を変化させる(すなわち、検出アッセイで用いられる特定の近接プローブの分析物結合ドメインに接合する核酸ドメインを変化させる)直接的な方法も提供されない。現在のところ、新規の近接プローブ、すなわち分析物結合ドメインと、異なる核酸ドメインとを含む近接プローブを作成するには、新規の配列を有する新規のオリゴヌクレオチド分子を活性化して分析物結合ドメインに接合させることが必要である。上記したように、このことは、近接度に基づく検出アッセイに用いられる新規の試薬の作成に関する時間およびコストを増大させる。
【発明の概要】
【0008】
本発明では、近接度に基づく検出アッセイに用いられるプローブの製造における上記の制限を克服しようとしており、近接プローブを製造する改良された方法が提供される。より具体的には、本発明は、近接度に基づく検出アッセイに用いられ得る一対の近接プローブを製造する改良された方法を提供するものである。
【0009】
最も広義には、本発明は、一対の近接プローブを製造する方法を提供するものであり、該近接プローブ対は、第1の近接プローブと第2の近接プローブとを含み、各近接プローブは、分析物結合ドメインと、部分的に二本鎖である核酸ドメインとを含み、近接プローブ対における各近接プローブは、標的分析物に対して同時に結合することができ、一対の近接プローブの前記核酸ドメインは、前記一対の近接プローブが標的分析物に結合する際に、直接的または間接的に相互作用することができる、近接プローブ対であって、該方法は、
a.第1のユニバーサルオリゴヌクレオチド(universal oligonucleotide)を第1の分析物結合部(analyte binding moiety)に接合させて第1のユニバーサル接合体(universal conjugate)を形成するステップと、
b.第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドを第2の分析物結合部に接合させて第2のユニバーサル接合体を形成するステップと、
c.第1のユニバーサル接合体の第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドに、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第1のユニバーサル相補ドメイン(universal complement domain)と、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第1のユニークドメイン(unique domain)とを含む第1のタグオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることで、第1の近接プローブを形成するステップと、
d.第2のユニバーサル接合体の第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドに、第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第2のユニバーサル相補ドメインと、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第2のユニークドメインとを含む第2の同系(cognate)タグオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることで、第2の近接プローブを形成するステップであり、該第1のユニークドメインおよび第2のユニークドメインは、互いとの相互作用を直接的または間接的に仲介することが可能であり、これによって第1の近接プローブおよび第2の近接プローブの核酸ドメインが相互作用できるステップと、
e.第1の近接プローブおよび第2の近接プローブを選択することによって、一対の近接プローブを提供するステップを含む、方法である。
【0010】
選択ステップ(e)は、一対のプローブをマッチングさせて、近接プローブの組み合わせを作る(または提供する)ステップである。換言すると、ステップ(e)は、第1の近接プローブと、同系の第2の近接プローブとを対にするステップであってもよい。以下でさらに述べるように、同系の近接プローブは、互いに相互作用することができる核酸ドメインを含む。したがって、ステップ(e)は、第1の近接プローブと第2の近接プローブとを組み合わせて、近接プローブ対を作る、または近接プローブ対を得るステップと見なしてもよい。しかしながら、この点においては、その組み合わせは、理論上可能なものであって、(例えば、第1の近接プローブと第2の近接プローブとの物理的混合物を作るために)必ずしも2つの近接プローブを物理的に組み合わせることを必要としない、または組み合わせないということは、理解されるであろう。第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、このプローブを用いる近接アッセイを実行する際、使用時に(例えば、物理的混合物として)組み合わされてもよい。別の実施形態においては、第1の近接プローブと第2の近接プローブとを組み合わせた対は、必ずしも物理的混合物に提供または使用される必要なく、共に近接アッセイに用いられてもよい。換言すると、それらは、どちらも近接アッセイに用いられてもよいが、試験試料に別々に提供または添加されてもよい。したがって、近接プローブの組み合わせまたはその対においては、2つのプローブは、混合物に提供される必要はなく、別々に提供することができる。さらに、近接プローブ対は、近接プローブのより大きいセットまたはパネル(例えば、ライブラリ)の一部として提供することができる。例えば、セットまたはライブラリにおける一対の近接プローブは、例えば本発明に係る一対の近接プローブとして、共に用いられるように指定されていてもよい。
【0011】
類推すると、タグオリゴヌクレオチドのセットまたはライブラリにおける第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドの対は、例えば本発明に係る一対の近接プローブの一部として、共に用いられるように指定されていてもよいし、理論上、対にされていてもよい。
【0012】
したがって、本発明は、また、一対の近接プローブを提供するものであり、該対は、第1の近接プローブと第2の近接プローブとを含むものであって、各近接プローブは、分析物結合ドメインと、部分的に二本鎖である核酸ドメインとを含み、対における各近接プローブは、標的分析物に対して同時に結合することができ、一対の近接プローブの前記核酸ドメインは、前記一対の近接プローブが標的分析物に結合する際に、直接的または間接的に相互作用することができる、対であって、
a.該第1の近接プローブは、第1の分析物結合部に接合した第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドと、前記第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした第1のタグオリゴヌクレオチドとを含み、前記第1のタグオリゴヌクレオチドは、前記第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第1のユニバーサル相補ドメインと、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第1のユニークドメインとを含んでおり、
b.該第2の近接プローブは、第2の分析物結合部に接合した第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドと、前記第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした第2の同系タグオリゴヌクレオチドとを含み、前記第2のタグオリゴヌクレオチドは、前記第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第2のユニバーサル相補ドメインと、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第2のユニークドメインとを含んでおり、
該第1のユニークドメインおよび第2のユニークドメインは、互いとの相互作用を直接的または間接的に仲介することが可能な同系ドメインであり、これによって、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブが標的分析物に結合した際に、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブの核酸ドメインが相互作用できる。
【0013】
本発明の方法およびキットにおいては、前記第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0014】
このような一対の近接プローブは、「ハイブリダイズしたプローブ」、すなわち、タグオリゴヌクレオチドがユニバーサル接合体にハイブリダイズしたプローブとして知られている場合もある。
【0015】
本明細書で述べる一対の近接プローブは、特定の標的分析物に対する特異性を有し、かつ該プローブが標的分析物に結合した際に、相互作用することができる核酸ドメインを含む、第1の近接プローブと同系の第2の近接プローブとを含む。しかしながら、上記の通り、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、例えば製造後、物理的に組み合わされる必要はなく、別々に製造および/または選択および/または取得された第1の近接プローブおよび第2の近接プローブが、一対の近接プローブを成すということが考慮され得る。したがって、一対の近接プローブのそれぞれは、別々に選択および別々に(例えば、別々の部分試料として、または、別別の容器中)提供されてもよいが、それでも、本発明に係る一対の近接プローブの構成要素と見なされる。
【0016】
上記概説した近接プローブの製造に関する問題は、多くの近接度に基づく検出アッセイが、多重で行われるように、すなわち、試料中の1つ以上の標的分析物を同時に、または並行して、検出するために変更されてきたことを考慮すると(例えば、WO2012/057689の方法を参照)、複雑化する。試料中の複数の標的分析物を検出するには、それぞれを試料中で別々に検出することができる検出可能な複数の異なるシグナルを生じさせることが必要である。これは、典型的には、近接プローブの対を複数用いることで達成され、各近接プローブ対は、異なる標的分析物結合特異性を有し、かつ、少なくとも1つのユニークオリゴヌクレオチド配列(すなわち、検出アッセイに用いられる別のプローブの核酸ドメインに存在しない、またはそのような核酸ドメインを示さない、配列)を有する核酸ドメインを含む。
【0017】
このような方法では、典型的には、近接プローブ対を複数製造することが必要であり、したがって、現在のところ、複数の異なるオリゴヌクレオチド分子を、別々に化学的に活性化し、活性化された複数の異なるオリゴヌクレオチド分子を、複数の異なる標的結合部に別々に接合させることが必要である。上記の通り、必要なプローブの数に応じて、近接プローブの作成に関する時間およびコストが増大する。したがって、このことが、近接度に基づく検出アッセイの多重化された態様を増加させることに対する重大な障壁となっていることは、明らかであろう。
【0018】
したがって、本発明の方法を多重に用いて、近接プローブ対を複数作成する改良された方法を提供してもよい。異なるオリゴヌクレオチド分子を、複数の第1の分析物結合部(ドメイン)のそれぞれと、複数の第2の分析物結合部(ドメイン)のそれぞれとに接合させる(これには、複数の異なるオリゴヌクレオチドドメインを化学的に活性化させることが必要である)代わりに、単一の第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび単一の第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドを、それぞれ、複数の第1の分析物結合ドメインおよび第2の分析物結合ドメインのそれぞれに接合させてもよい。第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドが同じものである場合、ユニバーサルオリゴヌクレオチドのうち1種類のみが活性化される必要がある。したがって、本方法は、単一のユニバーサルオリゴヌクレオチド(第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドが同じものである場合)または異なる第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドの2つを化学的に活性化するだけでよいので、複数の近接プローブ対を製造するのに必要な活性化反応および接合反応の数を減少させる。したがって、本方法は、複数の近接プローブ対の製造に関する障害の多くを克服し、複数の近接プローブ対を製造するための、効率的で、低コストで、高品質な製造方法を提供する。
【0019】
したがって、本発明は、上記概説した方法によって複数の近接プローブ対を製造する方法を提供するものであり、各近接プローブ対は、第1の近接プローブと第2の近接プローブとを含み、各近接プローブ対は、異なる標的分析物に結合することができるものであって、該方法は、
a.第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドを複数の第1の分析物結合部のそれぞれに接合させて第1のユニバーサル接合体のセットを形成するステップと、
b.第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドを複数の第2の分析物結合部のそれぞれに接合させて第2のユニバーサル接合体のセットを形成するステップと、
c.前記第1のユニバーサル接合体セットの第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドに、複数の異なる第1のタグオリゴヌクレオチドであって、そのそれぞれが、すべての第1のタグオリゴヌクレオチドに共通し、かつ前記第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第1のユニバーサル相補ドメインと、異なる第1のタグオリゴヌクレオチドのそれぞれに特有であり、かつ第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第1のユニークドメインとを含む、複数の異なる第1のタグオリゴヌクレオチドのうちの1つをハイブリダイズさせることで、複数の第1の近接プローブを形成するステップと、
d.前記第2のユニバーサル接合体セットの第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドに、複数の異なる第2の同系タグオリゴヌクレオチドであって、そのそれぞれが、すべての第2のタグオリゴヌクレオチドに共通し、かつ前記第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第2のユニバーサル相補ドメインと、異なる第2のタグオリゴヌクレオチドのそれぞれに特有であり、かつ第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第2のユニークドメインとを含む、複数の異なる第2の同系タグオリゴヌクレオチドのうちの1つをハイブリダイズさせることで、複数の第2の近接プローブを形成することと、
e.該複数の第1の近接プローブから第1の近接プローブと、該複数の第2の近接プローブから第2の同系近接プローブとをそれぞれ複数選択することによって、複数の近接プローブ対を提供するステップとを含む、方法である。
【0020】
したがって、本方法は、ユニバーサルオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは2つのみを化学的に活性化して、それぞれが異なる標的分析物結合特異性を同時にかつ並行して有する複数の異なる標的分析物結合部のそれぞれに対して、別々に接合させる必要がある、複数の近接プローブ対を作成するための方法を提供するものである。したがって、複数の異なるオリゴヌクレオチド(核酸ドメイン)を一対の分析物結合ドメインに接合させる代わりに、ユニバーサルオリゴヌクレオチドのうちの1つまたは2つのみを接合させて、一対の(第1および第2の)ユニバーサル接合体を形成する。その後、これらのユニバーサル接合体を用いて、異なるタグオリゴヌクレオチドをユニバーサル接合体にハイブリダイズすることによって、異なる核酸ドメインを有する複数の異なる近接プローブを調製してもよい。必要な個別の反応が少なくなる(すなわち、1つまたは2つのみ)ので、大きなバッチでこれを行ってもよく、これによって、オリゴヌクレオチド分子を近接プローブに接合させるために、一致の度合いをはるかに大きくすることができる。したがって、各分析物結合ドメインが、ほぼ同じ程度までユニバーサルオリゴヌクレオチドに連結されるので、バッチ間の一致度と複数のオリゴヌクレオチドにおける一致度の両方が、向上され得る。タグオリゴヌクレオチドも、同等のオリゴヌクレオチドを分析物結合ドメインに接合させるのに必要な量よりもはるかに少量のオリゴヌクレオチドを用いて、ユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得るので、各タグオリゴヌクレオチドは、現行の方法を用いることで可能な規模よりも、小規模で合成されてもよい。これによって、近接プローブの作成に関するコストがさらに減少する。
【0021】
「分析物結合部」および「分析物結合ドメイン」なる語は、同じ意味を表し、本明細書において交換可能に用いられる。しかしながら、一実施形態においては、分析物結合部は、近接プローブの分析物結合ドメインを形成するためにユニバーサルオリゴヌクレオチドが結合(接合)される部分と見なされる場合がある。したがって、分析物結合ドメインは、ユニバーサルオリゴヌクレオチド、または近接プローブの核酸ドメインに結合される分析物結合部と見なされてもよい。
【0022】
さらに、本発明によって、検出アッセイに用いられる特定の標的分析物検出アッセイに関する核酸ドメインの直接的な「切り替え」が可能になる。ユニークドメインを含むタグオリゴヌクレオチドは、共有結合的接合ではなく、ユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な領域を介したハイブリダイゼーションによって、分析物結合ドメインにのみ結合されるので、タグオリゴヌクレオチドとユニバーサルオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを(例えば、加熱によって)阻害するような条件を与えることによって、タグオリゴヌクレオチドを分析物結合ドメインから解離させることは、容易だと考えられる。その代わりに、さらなる異なるタグオリゴヌクレオチドを、次にユニバーサルドメインにハイブリダイズさせてもよい。このことは、例えば、特定のアッセイ向けの配列特異性を変化させるために(例えば、その配列の検出が困難であったり、またはその配列が試料中に存在する異なる非同系配列と相互作用したりする場合)、または、特定の分析物を検出するために行われ得るアッセイを、例えば近接伸長アッセイから近接ライゲーションアッセイに変更するために、行われてもよい。本発明の方法によって製造されたプローブを用いて行われ得るアッセイについては、以下でより詳細に説明するが、当業者であれば、所与のアッセイに用いるのに適したものとするために、タグオリゴヌクレオチドのユニークドメインをどのように設計し得るかを理解するであろう。
【0023】
ユニバーサルオリゴヌクレオチドは、特有かつ特異的な配列を含むタグオリゴヌクレオチド(例えば、複数のタグオリゴヌクレオチドのうちの1つ)が、第1のユニバーサル接合体または第2のユニバーサル接合体にハイブリダイズすることを可能にするユニバーサルアダプター(すなわち、第1のユニバーサルアダプターおよび第2のユニバーサルアダプター)と見なされてもよい。これによって、ユニークドメインとユニバーサルドメインとを含む複数の第1のタグオリゴヌクレオチドおよび複数の第2のタグオリゴヌクレオチドは、それぞれ、第1の分析物結合ドメインおよび第2の分析物結合ドメインに接合した第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドまたは第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドのセットのそれぞれにハイブリダイズして、その結果、複数のプローブ対が得られてもよい。ここで、各対は異なる標的分析物結合特異性を有し、かつ、近接プローブ対が各標的分析物に結合する際に、直接的または間接的に相互作用することができる核酸ドメインを含む。ユニバーサル相補ドメイン(ひいては、ユニバーサルオリゴヌクレオチド)は、ユニバーサルハイブリダイゼーション部位と見なされてもよい。
【0024】
さらなる態様においては、本発明は、上記のように定義された複数の近接プローブ対を提供するものであり、各近接プローブ対は、第1の近接プローブと第2の近接プローブとを含み、各近接プローブ対は、異なる標的分析物に結合することができるものであって、
a.前記複数の第1の近接プローブは、それぞれ、第1の分析物結合部に接合した第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドと、前記第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした複数の異なる第1のタグオリゴヌクレオチドのうちの1つとを含み、異なる第1のタグオリゴヌクレオチドは、それぞれ、すべての第1のタグオリゴヌクレオチドに共通し、かつ第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第1のユニバーサル相補ドメインと、異なる第1のタグオリゴヌクレオチドのそれぞれに特有であり、かつ第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第1のユニークドメインとを含んでおり、
b.前記複数の第2の近接プローブは、それぞれ、第2の分析物結合部に接合した第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドと、前記第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした複数の異なる第2の同系タグオリゴヌクレオチドのうちの1つとを含み、異なる第2のタグオリゴヌクレオチドは、それぞれ、すべての第2のタグオリゴヌクレオチドに共通し、かつ第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的な第2のユニバーサル相補ドメインと、異なる第2のタグオリゴヌクレオチドのそれぞれに特有であり、かつ第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができない第2のユニークドメインとを含んでおり、
各近接プローブ対の該第1のユニークドメインおよび第2のユニークドメインは、互いとの相互作用を直接的または間接的に仲介することが可能な同系ドメインであり、これによって、該近接プローブが標的分析物に結合した際に、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブの核酸ドメインが相互作用できる。
【0025】
一対の近接プローブは、標的分析物に同時に結合することができ、これによって、核酸ドメインが近接する。したがって、一対の近接プローブの第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、対になっている、または互いに同系であると見なされてもよい。換言すると、近接プローブ対の第1の構成要素および第2の構成要素を、「マッチしている」と表現してもよい。したがって、第1の近接プローブは、同系のまたはマッチした近接プローブ、すなわち、試料中の同じ標的分析物に結合できる分析物結合ドメインを有する対の第2の近接プローブに関連して、言及されてもよい。特に、これらは、「一対の」近接プローブと見なすために物理的に組み合わされる必要がないので、第1の近接プローブと、それとは別の第2の同系近接プローブとが、一対の近接プローブとなっている。したがって、本明細書で用いられる「同系の」または「マッチした」なる語は、近接プローブが、近接アッセイに共に用いられる機能対を形成している、またはそのような機能対の一部である、ということを単に意味している。より具体的には、「同系の」または「マッチした」核酸ドメイン、タグオリゴヌクレオチド、またはユニークドメインは、直接的または間接的に、互いに相互作用することができ、すなわち、一対の相互作用ドメインまたは相互作用オリゴヌクレオチドである。換言すると、それらは、直接的または間接的に、互いに相互作用して、シグナルを生じるか、またはシグナルの生成を導き、より具体的には、標的分析物(近接アッセイの標的である分析物)を検出し得るシグナルを生じるか、またはそのようなシグナルの生成を導く。
【0026】
第1の近接プローブおよび第2の近接プローブ(または、複数の第1の近接プローブおよび第2の近接プローブのそれぞれ)は、本明細書で述べる方法によって選択され(または得られ)、これによって、同系近接プローブ対(または、複数の同系近接プローブ対)が得られる。しかしながら、本発明に係るマッチした近接プローブ対は、同系近接プローブ対と見なすために、(例えば、混合によって)物理的に組み合わされる必要はなく、したがって、本発明に係る第1の近接プローブおよび第2の近接プローブ(すなわち、第1のユニバーサルドメインおよび第2のユニバーサルドメインと、それらに接合したヌクレオチドドメインとを含んでいる)は、別々に選択されて、別々に(例えば、別々の容器中、別々の部分試料として)提供されてもよい。例えば、一対の近接プローブは、別々に選択され、試料中の特定の標的分析物を検出することを望んで用いられる場合にのみ組み合わされてもよい。それでもなお、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、物理的に組み合わされているかどうかにかかわらず、一対の近接プローブと見なされるはずである。
【0027】
同様に、複数の第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、それぞれ、別々に選択されるか、または別々に提供され、それでもなお、それぞれ、複数の第1の近接プローブまたは複数の第2の近接プローブとされてもよい。
【0028】
近接プローブの分析物結合ドメインは、標的分子に選択的に結合できる分子であればどのようなものであってもよい。例えば、結合ドメインは、抗体(この語は、本明細書において、あらゆる種類の抗体または抗体由来の分子を含んで広義に用いられ、したがって、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、抗体断片(例えば、FabまたはFv)またはこれらの誘導体(例えば、scFvまたは二重特異性抗体)を含む)、レクチン、可溶性細胞表面受容体、またはファージディスプレイもしくはリボソームディスプレイによりコンビナトリアルに生成されたタンパク質などのタンパク質や、ペプチド、炭水化物、アプタマーまたは標的核酸に相補的な配列を含む核酸分子などの核酸、あるいはこれらの組み合わせから選択されてもよい。本発明の好ましい実施形態においては、分析物結合ドメインは、タンパク質であり、好ましくは抗体、またはその誘導体もしくは断片である。
【0029】
本発明の特定の態様においては、試料中の2つ以上の異なる標的分析物に結合できる近接プローブ対を含む、本発明の複数の近接プローブ対において、複数の近接プローブ対の各近接プローブ対は、好ましくは、異なる標的分析物に対する結合特異性を有している。換言すると、各々の第1の近接プローブおよびその同系の第2の近接プローブは、異なる標的分析物に結合することができ、複数の近接プローブ対のうち、1つの第1の近接プローブおよびその同系の第2の近接プローブのみが、特定の標的分析物に結合することができる。
【0030】
本明細書で説明する近接プローブの核酸ドメイン(すなわち、ユニバーサルオリゴヌクレオチドとタグオリゴヌクレオチドとを含む)は、ユニバーサルオリゴヌクレオチドを介して、近接プローブの分析物結合ドメインに接合する。ユニバーサルオリゴヌクレオチドは、その5’末端または3’末端によって、分析物結合ドメインに接合してもよく、したがって、ユニバーサルオリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端は、必要に応じて、タグオリゴヌクレオチドの相補配列に自由にハイブリダイズしてもよい(すなわち、タグオリゴヌクレオチドは、必要に応じて、遊離の3’末端または5’末端を有していてもよい)。
【0031】
タグオリゴヌクレオチドは、ユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的なユニバーサル相補ドメインを含み、それによって、ワトソン−クリック型の塩基対合または類似の塩基対合を介して、逆平行(antiparallel)にユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。本発明の一態様においては、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドは、異なるものであってもよく、すなわち、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドは、第1の分析物結合部に接合し、異なる第2のオリゴヌクレオチドは、第2の分析物結合部に接合してもよい。したがって、第1のユニバーサル接合体および第2のユニバーサル接合体は、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドがそれぞれ分析物結合部に接合した後、異なるユニバーサルオリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。このような態様においては、第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドのユニバーサル相補ドメインも異なっており、それぞれ、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドに相補的である。
【0032】
しかしながら、本発明の別の態様においては、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドは、同じものであってもよく、すなわち、同じユニバーサルオリゴヌクレオチドが第1の分析物結合ドメインおよび第2の分析物結合ドメインに接合してもよい。換言すると、第1のユニバーサル接合体および第2のユニバーサル接合体は、ユニバーサルオリゴヌクレオチドが分析物結合部に接合した後、同じユニバーサルオリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。したがって、このような態様においては、第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドのユニバーサル相補ドメインも同じものであり、同じユニバーサルオリゴヌクレオチド配列に相補的である。
【0033】
タグオリゴヌクレオチドは、ユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズできないユニークドメインをさらに含む。したがって、ユニバーサル相補ドメインは、検出アッセイにおいてタグオリゴヌクレオチドが機能することをどのように必要とされているかに応じて(すなわち、ユニークドメインが、タグオリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端のいずれに位置することを必要とされているかに応じて)、タグオリゴヌクレオチドの5’末端に向けて位置してもよいし、3’末端に向けて位置してもよい。したがって、近接プローブの核酸ドメインは、部分的に二本鎖であり、すなわち、二本鎖領域(タグオリゴヌクレオチドのユニバーサル相補ドメインにハイブリダイズしたユニバーサルオリゴヌクレオチドを含む)と一本鎖領域(遊離3’末端または遊離5’末端を有するタグオリゴヌクレオチドのユニークドメインを含む)とを含む。換言すると、近接プローブは、遊離の一本鎖末端(タグオリゴヌクレオチドのユニークドメイン)を含むものと見なされてもよく、この一本鎖末端は、以下でより詳細に述べるように、試料中に存在する別のオリゴヌクレオチド分子(例えば、別の近接プローブの核酸ドメインまたは一般的なハイブリダイゼーションの鋳型など)と相互作用するのに利用可能である。
【0034】
以下でより詳細に説明するように、ユニークドメインは、複数のドメインまたは「機能性領域」を含んでいてもよい。したがって、ユニークドメインは、複数の異なるドメインまたは領域(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の異なるドメイン)を含んでいてもよい。これは、プローブを用いる近接アッセイがどのようなものであるか、近接プローブの相互作用をどのように検出するのか、近接プローブの相互作用による産物を増幅させるのかどうか、アッセイを多重に行うのかどうかなどによって決まってもよい。例えば、ユニークドメインは、例えば固定化などのためのユニバーサルプライマーまたはユニバーサル配列用のプライマー結合部位などの共通ドメイン/共通領域またはユニバーサルドメイン/ユニバーサル領域を1つ以上と、ユニーク領域またはユニーク配列(例えば、タグ配列)を1つ以上、含有していてもよい。代表例においては、ユニークドメインは、共通配列またはユニバーサル配列を1つと、ユニーク配列を2つ、含有していてもよい。
【0035】
さらなる実施形態においては、タグオリゴヌクレオチドは、ユニークドメインおよび/またはユニバーサルドメインもしくは共通ドメインであってもよい追加ドメインを1つ以上含有していてもよい。
【0036】
上記のように、一対の近接プローブの核酸ドメインは、相互作用するように設計されており、したがって、一対の近接プローブの第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドは、互いに「同系である」または「マッチしている」(または対合している)と見なされてもよい。すなわち、共通の標的分析物にどちらも結合することができる同系の近接プローブ対またはマッチした近接プローブ対は、近接プローブ対が標的分析物に結合した際に、互いに近接すると、直接的または間接的に相互作用できる第1のタグオリゴヌクレオチドと第2のタグオリゴヌクレオチドとを含む。
【0037】
したがって、第2の近接プローブの第2のタグオリゴヌクレオチドは、対において、第1の近接プローブの第1のタグオリゴヌクレオチドと「同系である」または「マッチしている」または「対合している」と見なされてもよく、タグオリゴヌクレオチドは、対応する同系パートナーとのみ相互作用し、別の近接プローブ由来のタグオリゴヌクレオチド、すなわち同系パートナーではないオリゴヌクレオチドとは(直接的にも間接的にも)相互作用しない。核酸が、「同系である」と説明される場合であっても、これは、必ずしも、各オリゴヌクレオチドが、多少なりとも相同であること、または互いに関連していること、あるいは各オリゴヌクレオチドが特徴(例えば、構造的特徴または配列の特徴)を共有していることを意味するものではなく、むしろ、「同系である」なる語は、タグオリゴヌクレオチドが、近接プローブ対の他の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドと相互作用できることを意味する。しかしながら、いくつかの実施形態においては、以下でより詳細に説明するように、核酸ドメイン、より具体的には核酸ドメインのユニークドメインは、互いにハイブリダイズし得るように、互いに相補的であってもよい。
【0038】
本発明の特定の態様においては、第1の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドは、その同系パートナー、すなわち、同じ標的分析物に結合する第2の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドとのみ、相互作用することができる。したがって、一実施形態においては、タグオリゴヌクレオチドは、試料中に存在するさらなる近接プローブの核酸ドメインと相互作用できなくてもよい。
【0039】
複数の近接プローブにおいて、近接プローブのタグオリゴヌクレオチドが、非同系近接プローブ由来のタグオリゴヌクレオチド、すなわち、異なる標的分析物に結合できる近接プローブ由来のタグオリゴヌクレオチドと(直接的または間接的に)相互作用しないことが望ましい場合がある。したがって、第1のタグオリゴヌクレオチドが、好ましくは、同系近接プローブの第2のタグオリゴヌクレオチドとのみ結合することができてもよいし、同系のプローブ対のタグオリゴヌクレオチドが、そのプローブ対に特異的な(例えば、そのプローブ対に特有である、または専用である)相補核酸分子または相補オリゴヌクレオチド(例えばハイブリダイゼーションの鋳型)とのみ結合でき、異なる近接プローブ対に提供された相補核酸分子または相補オリゴヌクレオチドとは結合できなくてもよい。換言すると、第1のタグオリゴヌクレオチドは、同系の第2のタグオリゴヌクレオチドとのみ相互作用してもよい。したがって、一実施形態においては、複数の近接プローブ対において、各第1のタグオリゴヌクレオチドは、単一の第2のタグオリゴヌクレオチドとのみ相互作用することができる。
【0040】
しかしながら、ある実施形態においては、複数の近接プローブ対において、特定の第1のタグオリゴヌクレオチドが、複数の第2のタグオリゴヌクレオチドと相互作用できることが望ましく、またはその逆も望ましく、あるいは、実際には、複数の第1のタグオリゴヌクレオチドが、複数の第2のタグオリゴヌクレオチドと相互作用できることが望ましい。したがって、その代わりに、複数の第1のタグオリゴヌクレオチドは、同じ第2のタグオリゴヌクレオチドと相互作用することができてもよい。同様に、複数の第1のタグヌクレオチドは、それぞれ、複数の第2のタグヌクレオチドと相互作用することができてもよい。換言すると、複数の近接プローブ対において、少なくとも1つの第1のタグオリゴヌクレオチドは、複数の第2のタグオリゴヌクレオチドと相互作用することができてもよい。このことは、例えば、標的分析物が(例えば、2つのタンパク質間、または2つのタンパク質サブユニット間の)相互作用または複合体であり、異なる相互作用/複合体が可能であり、多くの異なるタンパク質またはサブユニットうちのどれが相互作用しているのか、または複合体を形成しているのかを検出または決定することが望まれるような場合に、有用である場合がある。複数の近接プローブが用いられてもよく、各近接プローブは複合体または相互作用に含まれている可能性がある構成要素のうちの1つに結合することができ、また、該プローブは、相互作用または複合体に含まれている可能性がある異なる構成要素、または別の構成要素に結合できる多くの(複数の)第2の近接プローブと対合していてもよい(または同系であってもよい)。近接プローブが、複数の他の(例えば、第2の)近接プローブと対合する、または同系であることが望ましい場合がある別の状況が存在していてもよい。そのような場合、どのプローブ(例えば、分析物/分析物結合部位/複合体または相互作用の構成要素のどれかに特異的である)が、他の、すなわち第2の、どのプローブと対合しているのか(換言すると、どのプローブが近接した状態で、標的分析物に結合しているのか)を識別することが望ましい場合がある。したがって、このような場合、タグオリゴヌクレオチドのユニークドメインは、ユニーク配列に加えて、共通配列または共通ドメインを含んでいてもよい。換言すると、ユニークドメインは、その全体が特有なものでなくてもよい。
【0041】
したがって、タグオリゴヌクレオチドのユニークドメインは、共通配列とユニーク配列とを含んでいてもよい。特定の実施形態においては、共通配列(または共通ドメイン)は、第1のタグオリゴヌクレオチドと第2のタグオリゴヌクレオチドとの相互作用を仲介してもよく(ひいては、核酸ドメインの相互作用を仲介してもよく)、ユニーク配列は、近接プローブを識別または特定する(すなわち、タグ付けする)のに用いられてもよい。したがって、ユニーク配列は、タグ配列(もしくは、タグドメイン)または識別配列(もしくは、識別ドメイン)と見なされてもよい。
【0042】
したがって、本発明の特定の実施形態においては、複数の近接プローブ対において、各々の第1のタグオリゴヌクレオチドは、それぞれ、そのユニークドメインに共通配列を含んでいてもよく、各々の第2のタグオリゴヌクレオチドは、それぞれ、そのユニークドメインに共通配列を含んでいてもよく、共通配列(好ましくは、各ユニークドメインの遊離末端に位置している)は、タグオリゴヌクレオチド間の相互作用を仲介することができる。
【0043】
本発明のタグオリゴヌクレオチドは、同様に、当該技術分野において公知の近接プローブ、すなわち、分析物結合ドメインへの機能性核酸分子の直接的な接合という従来手段によって製造されたプローブ、の核酸ドメインと見なされてもよい。したがって、タグオリゴヌクレオチドにおいては、当該技術分野において既に公知の近接プローブの核酸ドメインと同様に、その遊離末端が相互作用してもよい。
【0044】
一対の近接プローブの核酸ドメインの遊離末端(すなわち、タグオリゴヌクレオチドの遊離末端)間の相互作用は、直接的なものであってもよいし、間接的なものであってもよい。例えば、いくつかの実施形態においては、タグオリゴヌクレオチドの遊離末端は、互いに相補的な領域を含んでいてもよく、すなわち、それらの遊離末端は、互いに、ワトソン−クリック型の塩基対合またはその他の塩基対合によって、逆平行にハイブリダイズし、それによって、二本鎖領域を形成することができる。あるいは、核酸ドメインは、間接的に相互作用してもよく、すなわち、その相互作用は、試料に添加され、核酸ドメインの1つ以上にハイブリダイズできる、さらなる核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)によって仲介されてもよい。したがって、一実施形態においては、さらなる核酸分子、すなわち、添加された核酸分子は、核酸ドメインに対する共通の鋳型、より具体的には共通のハイブリダイゼーションの鋳型(例えば、核酸ドメインのいずれも、より具体的には、核酸ドメインのタグオリゴヌクレオチド/ユニークドメインがハイブリダイズし得る、共通の分子)と見なされてもよい。共通の鋳型は、ライゲーション反応の鋳型として、例えば核酸ドメイン(タグオリゴヌクレオチド)が互いにライゲーションする反応の鋳型として、働いてもよい。あるいは、核酸ドメインは、特に、RCA反応を用いた増幅によって検出することができる環状核酸分子を形成する分子内ライゲーションまたは分子間ライゲーションにおいて、添加された1つ以上のオリゴヌクレオチドのライゲーション用のライゲーション鋳型として、共に働いてもよい。さらなる実施形態においては、1つ以上の核酸ドメイン(タグオリゴヌクレオチド)が、ライゲーションの鋳型として働いてもよく、また、1つの核酸ドメインが、例えばRCA用のプライマーとして働くなど、別の(または、追加的な)様式で、相互作用に寄与してもよいし、相互作用を仲介してもよい。したがって、タグオリゴヌクレオチド間の相互作用を仲介する手段は、以下でより詳細に説明するように、本発明の近接プローブを必要とする検出方法に応じて、選択されてもよい。
【0045】
一実施形態においては、少なくとも1つのタグオリゴヌクレオチドのユニークドメインが、遊離の3’末端を有しており、これは、プローブが、近接した状態で標的分析物に結合した際に、対における他の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドのユニークドメイン内の相補領域に、直接的または間接的に(すなわち、さらなるオリゴヌクレオチド分子に仲介されて)、ハイブリダイズし、それによって二本鎖を形成することができる。該遊離の3’末端は、相補領域を介して、互いに直接ハイブリダイズしてもよい。
【0046】
他のハイブリダイゼーションの形態も可能であって、例えば、一方の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドが遊離の3’末端を有し、他方の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドが遊離の5’末端を有しており、タグオリゴヌクレオチド(より具体的には、タグオリゴヌクレオチドの一部)が、互いにハイブリダイズしてもよいし、共通のハイブリダイゼーションの鋳型にハイブリダイズしてもよいし、あるいは、遊離の3’末端を有する2つのタグオリゴヌクレオチド(より具体的には、その一部)が、共通のハイブリダイゼーションの鋳型(例えば、添加されたオリゴヌクレオチド分子)にハイブリダイズしてもよく、いずれの場合も、ハイブリダイゼーションの後、利用可能な3’末端が少なくとも1つ存在している。プローブがどのように相互作用し得るかの様々な例が、WO2012/104261に示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0047】
好ましい実施形態においては、ハイブリダイゼーションの後、ハイブリダイズした分子(例えば、タグオリゴヌクレオチド/ユニークドメイン)の一つ以上が、ポリメラーゼが触媒する鎖伸長反応によって伸長され、伸長産物が検出されてもよい。このような相互作用は、いわゆる近接伸長反応(PEA)の基礎を成している。したがって、本発明の近接プローブ、または本発明によって製造された近接プローブは、好ましくは、PEAに用いられる。PEAについては、WO2012104261、WO0161037、およびWO2013113699において、より詳細に説明されている。
【0048】
上記のように、本発明のプローブは、ライゲーションに基づく近接依存アッセイ(すなわち、近接ライゲーションアッセイ、PLA)に用いられてもよい(すなわち、少なくとも第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、核酸ドメインを含み、その間の相互作用は、ライゲーション反応を含んでいる)。一般的には、プローブの核酸ドメインは、ライゲーション反応を仲介してもよい(例えば、直接的または間接的に、関与してもよい)。このようなライゲーション反応は、近接プローブ対の核酸ドメインのライゲーションを含んでいてもよく、かつ/または核酸ドメインが、ライゲーション反応の鋳型として働いてもよい。
【0049】
一形態においては、核酸ドメインは、相互作用を仲介するスプリントオリゴヌクレオチド(具体的には、ライゲーションの場合、ドメインにハイブリダイズするスプリントオリゴヌクレオチドは、ライゲーション反応の鋳型として働き得る)(共通の鋳型)の1つ以上に結合してもよく、スプリントが、相互作用の補助を行うか、またはこれを仲介する。他の形態/実施形態においては、スプリントは、第3の近接プローブの核酸ドメインとして提供されてもよい。核酸ドメインは、直接的または間接的に、互いにライゲーションしてもよい。直接的なライゲーションの場合、ドメインの末端は、互いに隣り合うスプリントにハイブリダイズし、その結果、直接的に、互いにライゲーションし得る。間接的なライゲーションの場合、ドメインの末端は、隙間をあけてスプリントにハイブリダイズし、その隙間を、核酸ドメインの末端がそれぞれライゲーションするさらなるギャップオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることによって埋めてもよいし、ハイブリダイズしている核酸ドメインの3’末端を、ライゲーションの前に伸長させることによって埋めてもよい。したがって、PLAは、伸長反応を含んでいてもよく、少なくとも部分的に、PEAと見なされてもよい。そのような「隙間を埋める」("gap-fill")実施形態を含む、様々なPLAの実施形態が、例えばWO01/61037やWO2007/107743、WO9949079、WO03012119などの文献において、よく説明されている。
【0050】
さらなる具体例においては、近接プローブの核酸ドメイン(具体的には、核酸ドメインのユニークドメイン(または遊離末端))の1つ以上は、添加された1つ以上のオリゴヌクレオチドのライゲーションの鋳型として働いてもよい。そのような一実施形態においては、第1の添加オリゴヌクレオチドが、両方の核酸ドメインにハイブリダイズしてもよく、また、核酸ドメインのうちの1つにのみ、例えば、各ドメインに対して1つずつ、ハイブリダイズし、それぞれが第1のオリゴヌクレオチドの各末端に隣接する、さらなるオリゴヌクレオチドを1つ以上、添加してもよく、それらは、核酸ドメインが鋳型として働く反応において、第1のオリゴヌクレオチドとライゲーションしてもよい。
【0051】
別の実施形態においては、添加オリゴヌクレオチドは、ライゲーション反応によって環状化されてもよい。したがって、例えば、ユニバーサルオリゴヌクレオチドを介して各プローブの分析物結合ドメインに接続された、一対の近接プローブの核酸ドメインは、それぞれ、添加された直鎖状オリゴヌクレオチド(「パドロックプローブ」と同類)の(i)5’末端および3’末端と、(ii)該末端間の領域とに対して相補的であってもよい。該添加オリゴヌクレオチドと結合することによって、プローブは、直接的に相互作用していると言ってもよい。近接プローブ対の両方のプローブが、同じ分析物に結合することによって近接する場合、各プローブの核酸ドメインは、添加オリゴヌクレオチドの各部分にハイブリダイズすることができる。添加オリゴヌクレオチドの5’末端および3’末端に対して相補的である核酸ドメインは、該末端の並列ハイブリダイゼーション(juxtaposed hybridisation)およびライゲーション(適切なリガーゼ酵素を添加した場合)の鋳型として働き、その結果、添加オリゴヌクレオチドは環状化される。この環状化オリゴヌクレオチドは、次いで、他の核酸ドメインをプライマーとして用いるローリングサークル増幅法(RCA)によって検出されるが、添加オリゴヌクレオチドのライゲーションした末端間の領域にハイブリダイズする、対における他のプローブの核酸ドメインは、遊離の3’末端を有している。
【0052】
1つの添加オリゴヌクレオチドを、共にライゲーションして環状となり得る2つのオリゴヌクレオチドで置き換えることができる(そのようなライゲーションは、一方または両方の核酸ドメインが鋳型として働いてもよいが、ドメインのうちの一方は、プライマーとして働く遊離の3’末端を有している)ということは、理解されるであろう。
【0053】
本発明の特定の実施形態においては、一対の近接プローブの少なくとも1つのタグオリゴヌクレオチドのユニークドメインは、例えば、ステムループ構造またはヘアピン構造などの二次構造領域を1つ以上含んでいてもよい。該二次構造領域は、同系のタグオリゴヌクレオチド対を相互作用させるために、例えば酵素切断などの簡便な手段によって変性されてもよい。二次構造領域を含むプローブを変性させる(unfolding)方法は、WO2012/152942でより詳細に述べられており、その内容はすべて参照により本明細書に援用される。特に好ましい態様においては、一対の近接プローブが近接結合した際に、第1のタグオリゴヌクレオチドのユニークドメインが、例えばステムループ構造に侵入することによって、そのような二次構造領域のいずれかと相互作用し、それによって、変性させてもよい。したがって、二次構造領域は、準安定な二次構造、すなわち、熱力学的には不安定だが、動力学的には安定である二次構造であると見なされてもよい。
【0054】
本明細書で用いられる「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズする」なる語は、ワトソン−クリック型の塩基対合またはその他の塩基対合によって二本鎖を形成するのに十分相補的であるヌクレオチド間に、二本鎖を形成することをいう。2つのヌクレオチド配列は、これらの分子が、塩基対を構成できる相同性を共有している場合に、互いに「相補的」である。したがって、タグオリゴヌクレオチドにおける相補領域とは、各ユニバーサルオリゴヌクレオチド(すなわち、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドまたは第2のユニバーサルオリゴヌクレオチド)と分子間二本鎖を形成することができるタグオリゴヌクレオチドの一部(ユニバーサル相補ドメイン)のことをいう。同様に、一対のタグオリゴヌクレオチドのユニークドメインは、近接プローブ対が標的分析物に結合した際に、直接的または間接的に相互作用してもよく、ひいては、該相互作用によって、2つのタグオリゴヌクレオチドの遊離末端間、または2つのタグオリゴヌクレオチドおよび第3のオリゴヌクレオチド分子(例えば、スプリントオリゴヌクレオチドまたは一般的な核酸分子)の遊離末端間のいずれかに、分子間二本鎖が形成されてもよい。
【0055】
「相補的な」ヌクレオチド配列は、特異的に組み合わされ、適切なハイブリダイゼーション条件下で安定な二本鎖を形成する。例えば、第1の配列の一部が、第2の配列の一部に逆平行に結合することができる場合に、2つの配列は相補的であり、ここで、各配列の3’末端はもう一方の配列の5’末端に結合し、一方の配列のA、T(U)、G、およびCが、それぞれ、もう一方の配列のT(U)、A、C、およびGとアライメントされる。RNA配列は、相補的なG=UまたはU=G塩基対も含み得る。したがって、2つの配列は、本発明において「相補的」であるために、相同性が完璧である必要はない。通常、2つの配列は、分子の規定された長さにおいて、ヌクレオチドの少なくとも約85%(好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%)が、塩基対を構成する場合に、十分に相補的である。
【0056】
近接度に基づく検出アッセイにおける分析物の検出は、試料中に分析物が存在していること、および一対の近接プローブが分析物に結合した際に、このようなプローブ間の相互作用を検出することに依存する。したがって、プローブ間(より具体的には、同系の各核酸ドメイン間)の相互作用は、近接依存であり、近接プローブが分析物に共に結合することで、近接状態となり、その結果、近接プローブ(より具体的には、プローブの核酸ドメイン)が相互作用し得る。
【0057】
近接プローブ対の第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも一方は、好ましくは、そのユニークドメインに、その特定の近接プローブ対(ユニークタグ配列)の標的となる特定の標的分析物に特異的で、かつその標的分析物を表す配列を含む。これは、上述した「ユニーク配列」であってもよい。近接プローブ対の核酸ドメインの相互作用によって、これまで試料中に存在しておらず、また、上述したユニークタグ配列、すなわち、特異的に検出できる(例えば、異なる近接プローブ対由来の検出可能なシグナルと区別できる)検出可能なシグナルを含む、核酸配列が生じてもよい。したがって、一般論としては、一対の近接プローブの核酸ドメイン間(すなわち、第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドの遊離末端間)の相互作用によって、分析物を検出するために検出され得る核酸産物(検出可能なシグナル)が生じる。したがって、分析物は、該検出可能なシグナルを検出することによって、検出されてもよい。
【0058】
逆に、複数の近接プローブ対において、各近接プローブ対は、そのユニークドメインに、各近接プローブ対に共通の(すなわち、共有された)配列(ユニバーサルタグ配列)を含んでいてもよい。該配列は、例えば、近接プローブ間の相互作用の結果形成される核酸分子の増幅を可能にするプライマー結合部位として用いられてもよいし、生じた核酸分子を固定化するか、または別のやり方で扱うもしくは処理するのに用いられてもよい。
【0059】
タグオリゴヌクレオチドが相互作用する際に生じる検出可能なシグナルは、直接的に検出されてもよいし、間接的に検出されてもよい。シグナルの直接的な検出は、例えば、蛍光物質、蛍光タンパク質、放射性同位体、色原体などの比色検出ラベル、磁性粒子、炭素、銀、または金などの粒子、量子ドット、酵素のうちのいずれか1つ以上から選択され得るがこれらに限定されないラベルを含む検出用オリゴヌクレオチドを用いて行われてもよい。したがって、マーカーのラベルは、直接的に「シグナルを与える」ものであってもよい。
【0060】
あるいは、検出は間接的であってもよく、このことは、検出可能なシグナルが、検出可能になるように処理または増強されなければならないことを意味する。例えば、検出可能なシグナルは、さらなる処理を必要としてもよく、例えば、当該技術分野において公知の適切な方法によって増幅されてもよい。したがって、相互作用の結果生じた、または形成された、ライゲーション産物および/または伸長産物などの核酸分子は、増幅されてもよい。増幅は、必要に応じて、直線的であってもよいし、幾何級数的であってもよく、ここで、対象となる代表的な増幅プロトコールとしては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温増幅、ローリングサークル増幅法(RCA)、および超分岐RCAなどの周知の変形などが挙げられるが、これらに限定されない。他の核酸増幅法として、ループ介在等温増幅(LAMP)、スマート増幅法(SMAP)、核酸配列に基づく増幅法(NASBA)、またはリガーゼ連鎖反応(LCR)などが挙げられ得る。検出ステップが増幅を含む場合、増幅産物が検出され、それによって、標的分析物が検出されてもよい。
【0061】
以下でより詳細に説明するように、増幅産物は、非特異的に検出されてもよいし、特異的に検出されてもよい。対象となる代表的な非特異的検出プロトコールとしては、例えばインターカレーションによって二本鎖DNAを選択的に検出するシグナル生成システムを採用するプロトコールが挙げられる。このような実施形態において用途を見出す代表的な検出可能な分子としては、核酸と複合化した際に蛍光が増強される、モノマーまたはホモダイマーもしくはヘテロダイマーを含む、フェナントリジニウム色素などの蛍光核酸染色剤が挙げられる。フェナントリジニウム色素の例としては、エチジウムホモダイマー、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、および他のアルキル置換フェナントリジニウム色素が挙げられる。本発明の他の実施形態においては、核酸染色剤は、アクリジンオレンジ、アクリジンホモダイマー、エチジウム−アクリジンヘテロダイマー、または9−アミノ−6−クロロ−2−メトキシアクリジンなどの、アクリジン色素またはそのホモダイマーもしくはヘテロダイマーであるか、これらを含むものである。本発明のまた他の実施形態においては、核酸染色剤は、ヘキスト33258、ヘキスト33342、ヘキスト34580(BIOPROBES 34、モレキュラー・プローブ社(Molecular Probes, Inc.)、ユージーン、オレゴン州(2000年5月))、DAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)、またはDIPI(4’,6−(ジイミダゾリン−2−イル)−2−フェニルインドール)などのインドール色素及びイミダゾール色素である。他の許容される核酸染色剤としては、7−アミノアクチノマイシンD、ヒドロキシスチルバミジン、LDS751、選択されたソラーレン(フロクマリン)、スチリル色素、ルテニウム錯体などの金属錯体、および遷移金属錯体(例えば、Tb3+およびEu3+を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のある実施形態においては、核酸染色剤は、核酸と会合した際に蛍光が増強される、シアニン色素またはシアニン色素のホモダイマーもしくはヘテロダイマーである。Leeによる米国特許第4,883,867号(1989)、Yueらによる米国特許第5,582,977号(1996)、Yueらによる米国特許第5,321,130号(1994)、およびYueらによる米国特許第5,410,030号(1995)(特許4つ全て参照により援用される)に記載のいずれかの色素が用いられてもよく、TOTO、BOBO、POPO、YOYO、TO−PRO、BO−PRO、PO−PRO、およびYO−PROという商標で市販されている、モレキュラー・プローブ社(ユージーン、オレゴン州)による核酸染色剤が挙げられる。Hauglandらによる米国特許第5,436,134号(1995)、Yueらによる米国特許第5,658,751号(1997)、およびHauglandらによる米国特許第5,863,753号(1999)(特許3つ全て参照により援用される)に記載のいずれかの色素が用いられてもよく、サイバーグリーン(SYBR Green)、エヴァグリーン(EvaGreen)、SYTO、SYTOX、ピコグリーン(PICOGREEN)、オリグリーン(OLIGREEN)、およびリボグリーン(RIBOGREEN)という商標で市販されている、モレキュラー・プローブ社(ユージーン、オレゴン州)による核酸染色剤が挙げられる。本発明のさらに他の実施形態においては、核酸染色剤は、核酸と会合した際に蛍光が増強される、アザベンゾオキサゾール、アザベンゾイミダゾール、またはアザベンゾチアゾールなどの、アザベンザゾリウムまたはポリアザベンザゾリウムヘテロ環を含むモノマー、ホモダイマーまたはヘテロダイマーのシアニン色素であり、SYTO、SYTOX、JOJO、JO−PRO、LOLO、LO−PROという商標で市販されている、モレキュラー・プローブ社(ユージーン、オレゴン州)による核酸染色剤が挙げられる。
【0062】
ユニバーサルオリゴヌクレオチドは、ユニバーサル相補ドメインを介したタグオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な長さであれば、いずれの長さであってもよい。したがって、ユニバーサルオリゴヌクレオチドは、長さが5〜40ntであってもよく、好ましくは15〜30ntである。特定の実施形態においては、ユニバーサルオリゴヌクレオチドは、長さが約20ntであってもよく、例えば、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、21nt、22nt、23nt、24nt、または25ntであってもよい。しかしながら、本発明のある実施形態においては異なる配列であってもよい第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドは、長さが異なっていてもよいし、同じであってもよい。タグオリゴヌクレオチドのユニバーサル相補ドメインは、好ましくは、ユニバーサルオリゴヌクレオチドと同じ長さであってもよいが、ユニバーサル相補ドメインは、ユニバーサルオリゴヌクレオチドの全体にハイブリダイズする必要はなく、ある実施形態においては、その一部にのみハイブリダイズしてもよい。
【0063】
ユニバーサルオリゴヌクレオチドと、タグオリゴヌクレオチドのユニバーサル相補ドメインとの間の相互作用は、安定であるべきであり、すなわち、形成される二本鎖は、検出反応条件下において解離しない。好ましい実施形態においては、形成される二本鎖の融解温度(Tm)は、45℃よりも高い。例えば、Tmは、50℃以上であってもよいし、55℃より高くてもよいし、60℃より高くてもよいし、65℃より高くてもよい。好ましくは、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドが異なる場合、第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドと、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドとの間に形成されるそれぞれの二本鎖のTm値は、同程度(すなわち、その差が10℃以内、好ましくは5℃以内)または同じである。所与のヌクレオチド配列のTm値を算出する方法および式は、当該技術分野において公知である。例えば、おおよそのTm値は、式:Tm=4℃×(G+C)+2℃×(A+T/U)を用いて算出され得る。Tm値を算出するためのソフトウェアも知られている。
【0064】
本発明のさらなる好ましい実施形態においては、複数の近接プローブ対が多重検出の形態で用いられる場合、タグオリゴヌクレオチドの一方または両方が、さらなる解析または検出ステップにおいて用いられ得るユニバーサルタグ配列を含んでいてもよい。一実施形態においては、これは、ユニバーサルプライマー結合部位を含んでいてもよく、すなわち、その結果、一般的な単一のフォワード増幅プライマーおよび/またはリバース増幅プライマーが、本明細書において概説される検出方法のいずれかにおいて、複数の近接プローブ対の相互作用によって生じる複数の核酸分子を増幅させるのに用いられてもよい。他の実施形態においては、ユニバーサルタグ配列は、近接プローブおよび/または検出可能なシグナルを分離するための結合部位を含んでいてもよい。例えば、ユニバーサルタグ配列は、固定化されていてもよく、例えば、固体表面または固体支持体に配されたキャプチャーオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができてもよいし、例えばもう一方が支持体/表面に配されているアフィニティ結合対の構成要素などの、接続手段によって、固体表面または固体支持体に配されていてもよい。
【0065】
「複数の」なる語は、1よりも大きいこと、すなわち、2以上であることを意味する。したがって、複数の近接プローブ対とは、2つ以上の近接プローブ対のことをいい、それぞれの近接プローブ対は異なる標的分析物に結合することができる。好ましくは、少なくとも3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、または9つ以上の近接プローブ対のことをいい、またはそれ以上、例えば、10個以上、20個以上、50個以上、100個以上、200個以上、500個以上、1000個以上の近接プローブ対のことをいう。同様に、「多重の」または「多重化された」なる語は、上述したように、一度に1つより多い物品に対して、同時にかつ並行してある手法(例えば、分析物の検出または一対のプローブの製造)を行うことをいう。したがって、代表例においては、複数の近接プローブ対は、複数の異なる標的分析物を多重検出するために用いられてもよい。
【0066】
上記のように、近接度に基づく検出アッセイにおいて標的分析物が検出されるためには、一対の近接プローブが共通の標的に結合し、これによって、各核酸ドメイン(より具体的には、本ケースにおいては、タグオリゴヌクレオチドの遊離末端またはユニークドメイン)を近接状態とし、相互作用させる。したがって、標的分析物に対する特異性を有する適切な分析物結合ドメインが見出され得るならば、標的分析物の性質は、本発明を限定しない。
【0067】
「分析物」は、検出アッセイにおいて検出されることが望まれるいかなる物質(例えば、分子)または物体であってもよい。分析物は、アッセイ法の「標的」と見なされてもよい。したがって、分析物は、例えば、ペプチドもしくはタンパク質または核酸分子、あるいは有機分子および無機分子を含む低分子などの、検出されることが望まれ得るいかなる生体分子または化合物であってもよい。分析物は、細胞であってもよいし、ウイルスを含む微生物であってもよいし、これらの断片または産物であってもよい。したがって、分析物は、特異的な結合パートナー(例えば、アフィニティ結合パートナー)を開発できるいかなる物質または物体であってもよいことがわかるであろう。必要とされることは、分析物が、一対の近接プローブを結合できるということだけである。
【0068】
近接プローブを使用するアッセイは、タンパク質またはポリペプチドを検出するのに特に役立っている。したがって、特定の対象となる分析物は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、もしくはプリオンなどのタンパク質性の分子、またはタンパク質成分もしくはポリペプチド成分などを含む分子、あるいはこれらの断片を含んでいてもよい。
【0069】
検出される標的分析物に応じて、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブが、いずれも同じ分析物結合ドメインを含んでいてもよいし、近接プローブ対における各近接プローブの分析物結合ドメインが、異なっていてもよい。
【0070】
一実施形態においては、本発明の一対の近接プローブは、単一の分子を含む標的分析物を検出するのに用いられてもよく、すなわち、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、異なる分析物結合ドメインを含んで、標的分析物の2つの異なる領域(またはエピトープ)に同時に結合してもよく、すなわち、単一の標的分析物には、2つの異なる(同系)近接プローブが同時に結合してもよい。したがって、標的分析物は、多エピトープであると考えてもよく、すなわち、それぞれが異なる近接プローブの標的になり得る複数のエピトープを含んでいると考えてもよい。したがって、本実施形態においては、一対の近接プローブ(第1の近接プローブと第2の近接プローブとを含む)は、互いに異なり、また異なる結合特異性を有する、第1の分析物結合ドメインと第2の分析物結合ドメインとを含む。したがって、本発明は、本発明のプローブを用いて標的分析物を検出する方法を提供し、前記標的分析物は、単一分子であり、前記第1の近接プローブおよび第2の近接プローブの分析物結合ドメインは、異なっており、前記第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、前記標的分析物内の異なるエピトープに結合する。
【0071】
さらなる実施形態においては、本発明の一対のプローブは、互いに共有結合していてもよいし、していなくてもよい、また、同じであってもよいし、異なっていてもよい、2つ以上の分子サブユニットの複合体を検出するのに用いられてもよい。したがって、このような複合分析物は、細胞または微生物だけでなく、タンパク質複合体またはタンパク質相互作用であってもよい。したがって、このような複合物または相互作用は、ホモ多量体であってもよいし、ヘテロ多量体であってもよい。タンパク質などの分子の会合体、例えば、同じタンパク質の会合体または異なるタンパク質の会合体が、標的分析物であってもよい。分析物は、タンパク質またはペプチドと、DNAまたはRNAなどの核酸分子との複合体であってもよい。特定の対象としては、タンパク質と核酸との相互作用、例えば、転写因子などの制御因子とDNAまたはRNAとの相互作用であってもよい。
【0072】
第1の態様においては、複合体は、2つ以上の異なる生体分子を含んでいてもよく、すなわち、標的分析物は、ヘテロダイマーなどのヘテロ多量体であってもよい。本実施形態においては、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、異なる分析物結合ドメインを含んでおり、複合体の2つの異なる成分に同時に結合してもよい。例えば、AおよびBという成分を含む生体複合体においては、第1の近接プローブが成分Aに結合し、第2の近接プローブが成分Bに結合してもよい。本実施形態においては、一対の近接プローブは、互いに異なり、また異なる結合特異性を有する、第1の分析物結合ドメインと第2の分析物結合ドメインとを含む。したがって、本発明は、本発明のプローブを用いて標的分析物を検出する方法を提供し、前記標的分析物は、ヘテロ生体複合体であり、前記第1の近接プローブおよび第2の近接プローブの分析物結合ドメインは、異なっており、前記第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、該複合体の第1の成分および第2の成分に結合する。
【0073】
さらなる態様においては、生体複合体は、ホモダイマーなどのホモ多量体、すなわち、同じ生体分子の2つ以上のコピーを含む生体複合体である。本実施形態においては、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、いずれも同じ分析物結合ドメインを含んでおり、生体複合体において、分析物の2つの別個のコピーの同じ領域に、同時に結合してもよい。したがって、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、同じ分析物結合ドメインを含んでいてもよく、これらは、それぞれ、異なる(すなわち、第1および第2の)ユニバーサルオリゴヌクレオチドに接合する。換言すると、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドは、同じ第1の分析物結合ドメインおよび第2の分析物結合ドメイン、すなわち、第1の分析物結合ドメインは第2の分析物結合ドメインでもあるのだが、これらに別々に接合してもよい。したがって、本実施形態においては、本願の製造方法のステップ(a)およびステップ(b)において形成される第1のユニバーサル接合体および第2のユニバーサル接合体は、いずれも、同じ分析物結合ドメインと、それらに連結された異なる(すなわち、第1および第2の)ユニバーサルオリゴヌクレオチド分子とを有している。したがって、適切な第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドが、第1の接合体および第2の接合体にハイブリダイズして、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブを形成してもよい。したがって、本発明は、本発明のプローブを用いて標的分析物を検出する方法を提供し、前記標的分析物は、ホモ生体複合体であり、前記第1の近接プローブの分析結合ドメインおよび第2の近接プローブの分析結合ドメインは、同じであり、前記第1の近接プローブおよび第2の近接プローブは、多量体の成分のそれぞれの同じ領域に結合する。
【0074】
本発明のプローブは、あらゆる試料中の標的分析物を検出するのに用いられ得る。生体試料および臨床試料の全て、例えば、生物のあらゆる細胞試料もしくは組織試料、またはそれら由来の体液もしくは標本だけでなく、細胞培養物、細胞標本、細胞破砕液などの試料が含まれる。土壌試料および水試料、または食品試料などの環境試料も含まれる。試料は、新たに調製されたものであってもよいし、例えば保存用に、以前に簡便な手法で処理されたものであってもよい。
【0075】
したがって、代表的な試料としては、例えば食品および関連製品、臨床試料および環境試料などを含む、生体分子またはその他の所望の分析物もしくは標的分析物を含むあらゆる物質が挙げられる。試料は、すべての原核細胞または真核細胞、ウイルス、バクテリオファージ、マイコプラズマ、プロトプラスト、およびオルガネラを含む、あらゆるウイルス物質または細胞物質を含有していてもよい、生体試料であってもよい。したがって、このような生体物質は、すべての種類の哺乳類細胞および非哺乳類細胞、植物細胞、藍藻を含む藻類、菌類、細菌類、原生動物などを含み得る。したがって、代表的な試料としては、全血や、血漿、血清、およびバッフィコートなどの血液由来の産物、血球、尿、糞便、脳脊髄液またはその他の体液(例えば、呼吸器の分泌物、唾液、乳など)、組織、生検組織、細胞培養物、細胞懸濁液、細胞培養成分の調整済みの培地またはその他の試料などが挙げられる。試料は、例えば細胞破砕、精製、分析物の単離などの、簡便な、または所望の手法によって前処理されることで、本発明の方法において用いるために調製されてもよい。
【0076】
所望の手段または簡便な手段であって、直接的な手段であってもよいし、例えば結合基を介する間接的な手段であってもよい、当該技術分野において公知の手段によって、ユニバーサルオリゴヌクレオチドが分析物結合ドメインに連結されてもよい。例えば、ドメインは、共有結合(例えば、化学的な架橋)によって互いに会合していてもよいし、ストレプトアビジン−ビオチンベースの連結(ビオチンが一方のドメイン、特にオリゴヌクレオチドドメインに配され、ストレプトアビジンが他方に配される)を介するなど、非共有結合的な会合によって会合していてもよい。
【0077】
ユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび分析物結合ドメインは、化学結合によって直接的に結合しているか、または結合基を介して間接的に結合しているかのいずれかである。結合基が用いられる場合、このような基は、結合基による核酸ドメインと分析物結合ドメインとの共有的な結合を行うように選択される。多くの実施形態において、結合基は、存在する場合には、生物学的に不活性なものである。代表的な実施形態においては、一般的に、結合基は、約50ダルトン以上であり、通常は約100ダルトン以上であり、1000ダルトン以上の大きさであってもよく、例えば、結合基がスペーサーを含有している場合は、最大1000000ダルトンであってもよいが、一般的には約500ダルトンを越えず、通常は約300ダルトンを越えない。一般的に、このようなリンカーは、そのいずれかの末端に、核酸ドメインまたは分析物結合ドメインに共有結合できる反応性官能基を有するスペーサー基を含有している。対象となるスペーサー基は、不飽和脂肪族炭化水素鎖、酸素(ポリエチレングリコールなどのエーテル)または窒素(ポリアミン)などのヘテロ原子を含有するスペーサー、ペプチド、炭水化物、ヘテロ原子を含有していてもよい環状系または非環状系を含み得る。スペーサー基は、金属イオンが存在することによって、2つ以上のリガンドが配位結合して複合体を形成するように、金属と結合するリガンドを含んでいてもよい。具体的なスペーサーの構成要素としては、1,4−ジアミノヘキサン、キシレンジアミン、テレフタル酸、3,6−ジオキサオクタン二酸、エチレンジアミン−N,N−二酢酸、1,1’−エチレンビス(5−オキソ−3−ピロリジンカルボキシル酸)、4,4’−エチレンジピペリジンが挙げられる。
【0078】
潜在的な反応性官能基としては、求核官能基(アミン、アルコール、チオール、ヒドラジン)、求電子官能基(アルデヒド、エステル、ビニルケトン、エポキシド、イソシアネート、マレイミド)、環状付加反応が可能な官能基、ジスルフィド結合の形成が可能な官能基、金属に結合可能な官能基などが挙げられる。具体例としては、一級アミン、二級アミン、ヒドロキサム酸、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミジルカーボネート、オキシカルボニルイミダゾール、ニトロフェニルエステル、トリフルオロエチルエステル、グリシジルエーテル、ビニルスルホン、およびマレイミドが挙げられる。
【0079】
主題の近接プローブにおいて用途を見出し得る具体的なリンカー基としては、アジドベンゾイルヒドラジド、N−[4−(p−アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−[2’−ピリジルジチオ]プロピオアミド)、スベリン酸ビス−スルホスクシンイミジル、アジプイミド酸ジメチル、酒石酸ジスクシンイミジル、N−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジド安息香酸、N−スクシンイミジル[4−アジドフェニル]−1,3’−ジチオプロピオン酸、N−スクシンイミジル[4−ヨードアセチル]アミノ安息香酸、グルタルアルデヒド、スクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシル酸、3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(SPDP)、4−(Nマレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシル酸、およびN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(SMCC)などのヘテロ官能性化合物が挙げられる。
【0080】
近接プローブの核酸ドメインは、リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドからなっていてもよいし、ワトソン−クリック型の塩基対相互作用または類似の塩基対相互作用に加わることができる合成ヌクレオチド残基であってもよい。したがって、核酸ドメインは、DNAであってもよいし、RNAであってもよいし、それらの組み合わせでもよいし、PNAまたは非ヌクレオチド骨格を含有しない誘導体などの改変体であってもよい。
【0081】
上記のように、本発明の方法によって製造された近接プローブは、当該技術分野において公知の近接プローブ、すなわち、官能性または反応性のオリゴヌクレオチドドメインが、分析物結合部に直接接合している近接プローブと同様に見なされ、処理され、または用いられることが望ましい。近接検出アッセイにおけるハイブリダイゼーションプローブと、従来の近接プローブ(すなわち、当該技術分野において公知のプローブ)との比較は、以下で述べる。したがって、本発明の方法で作成した近接プローブは、近接度に基づくあらゆる検出アッセイにおいて、通常の方法で用いられ得ることは明らかであろう。したがって、タグオリゴヌクレオチドは、直接的または間接的に、必要とされるように相互作用できる核酸配列を含むように、設計されてもよい。
【0082】
好ましい一実施形態においては、本発明のプローブは、近接伸長アッセイで用いられるのに適していてもよい。本実施形態においては、少なくとも一方のタグオリゴヌクレオチドが、遊離の3’末端を有しており、これは、プローブが標的分析物に近接状態で結合する際に、対におけるもう一方の近接プローブの核酸ドメインのユニークドメイン内にある相補的な領域に、直接的または間接的に(すなわち、さらなるオリゴヌクレオチド分子に仲介されて)、ハイブリダイズすることができ、それによって、二本鎖を形成する。次いで、例えば米国特許第7,306,904号および米国特許第6,511,809号に説明されているように、DNAポリメラーゼ酵素が、もう一方の近接プローブの核酸ドメイン(またはそれにハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド分子)を伸長の鋳型として、dNTPを添加することによってユニークドメインの3’末端を伸長し、これによって、それ自身が検出可能なシグナルであってもよいし、検出可能なシグナルを提供するのに用いられてもよい、伸長産物を形成する。したがって、伸長産物を検出することによって、標的分析物が検出される。伸長の鋳型として用いられる分子は、本実施形態においては、直鎖状である。
【0083】
特定の実施形態においては、第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドのいずれもが、遊離の3’末端を有していてもよい(すなわち、第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドのユニークドメインは、遊離の3’末端を有していてもよい)。該遊離の3’末端は、相補的な領域を介して、互いに、直接ハイブリダイズしてもよく、少なくとも一方の(いくつかの実施形態においては、両方の)タグオリゴヌクレオチドの3’末端は、もう一方の近接プローブの核酸ドメインを伸長の鋳型として、DNAポリメラーゼで伸長されてもよい。したがって、一実施形態においては、第1のタグオリゴヌクレオチドの3’末端は、第2のタグオリゴヌクレオチドの3’末端に相補的な領域を含んでいてもよい。上記のように、タグオリゴヌクレオチドの末端(例えば、3’末端)における相補的な領域は、その全長にわたって100%相補的である必要はない。したがって、例えば、相補的な領域において1つ以上のミスマッチが存在することは、許容され得る。ミスマッチは、相補的な領域の内部に存在していてもよいし、かつ/または、タグオリゴヌクレオチドの3’末端を含む末端部に存在していてもよい。したがって、いくつかの実施形態においては、タグオリゴヌクレオチドの3’末端の末端ヌクレオチド(例えば、末端の1〜3個のヌクレオチド)は、相補的でなくてもよい。必要とされるのは、生産的なハイブリダイゼーションであり、これは、例えば伸長反応(例えば、一方のタグオリゴヌクレオチドを鋳型として用いる他方のタグオリゴヌクレオチドの伸長)を起こすために、タグオリゴヌクレオチドを相互作用させるのに十分なものである。
【0084】
相補的な領域(すなわち、タグオリゴヌクレオチドの「重複部分」またはハイブリダイズしている領域)の長さは、変動してもよい。例えば、ユニバーサル相補ドメインがユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしている上記の範囲内にあってもよい。あるいは、例えば、5〜20ヌクレオチド、5〜15ヌクレオチド、5〜12ヌクレオチド、または5〜10ヌクレオチドの長さであってもよいし、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、または7ヌクレオチドのうちのいずれかの長さから、20ヌクレオチド、18ヌクレオチド、15ヌクレオチド、12ヌクレオチド、10ヌクレオチド、または9ヌクレオチドのうちのいずれかの長さまでの範囲であってもよい。
【0085】
他のハイブリダイゼーションの形態および伸長の形態も可能であり、例えば、一方の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドが遊離の3’末端を有し、他方が遊離の5’末端を有しており、タグオリゴヌクレオチド(より具体的には、タグオリゴヌクレオチドの一部)が、互いにハイブリダイズしてもよいし、共通のハイブリダイゼーションの鋳型にハイブリダイズしてもよいし、あるいは、遊離の3’末端を有する2つのタグオリゴヌクレオチド(より具体的には、その一部)が、共通のハイブリダイゼーションの鋳型(例えば、添加オリゴヌクレオチド分子)にハイブリダイズしてもよく、いずれの場合も、ハイブリダイゼーションの後に、少なくとも1つの3’末端が利用可能であり、これは、伸長されて検出可能な伸長産物を形成し得る。近接伸長アッセイの様々な例は、WO2012/104261に説明されている。しかしながら、このような実施形態においては、第1のタグオリゴヌクレオチドの3’末端は、試料中に存在する第3の(スプリント)オリゴヌクレオチドにおける領域に相補的な領域を含んでいてもよい。共通のハイブリダイゼーションの鋳型または第3のオリゴヌクレオチドは、好ましくは直鎖状である。
【0086】
さらなる態様においては、本発明のプローブは、近接ライゲーションアッセイに用いられるのに適していてもよい。このような態様においては、一方の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドが遊離の3’末端を有し、他方の近接プローブのタグオリゴヌクレオチドが遊離の5’末端を有していてもよく、各タグオリゴヌクレオチドの該遊離末端は、試料中の第3の(スプリント)オリゴヌクレオチドに相補的な領域を含んでいてもよい。したがって、換言すると、タグオリゴヌクレオチドは、タグオリゴヌクレオチドの遊離末端の(直接的または間接的な)ライゲーションの鋳型として働き得るさらなるオリゴヌクレオチド分子(ライゲーションの鋳型)に相補的な領域を含んでいてもよい。タグオリゴヌクレオチドの末端は、第1のタグオリゴヌクレオチドの遊離の3’末端と第2のタグオリゴヌクレオチド遊離の5’末端とが、互いに直接隣接するように、該さらなるオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、それによって直接ライゲーションしてもよいし、あるいは、各遊離末端が、「ギャップ」オリゴヌクレオチドの一方の末端にライゲーションするように、ギャップオリゴヌクレオチドによって埋められる空間を空けてライゲーションの鋳型にハイブリダイズする場合は、ライゲーションは間接的であってもよい。いくつかの実施形態においては、遊離末端間の空間は、例えば、ライゲーションの鋳型を伸長の鋳型として用いるポリメラーゼ反応によって、遊離の3’末端を伸長することで「埋められ」てもよい。いったん遊離の3’末端が伸長して、遊離の5’末端に隣接すると、2つの末端はライゲーション反応によって接続され得る。
【0087】
またさらなる態様においては、本発明のプローブは、インサイチュ(in situ)近接ライゲーションアッセイ(インサイチュPLA)で用いられるのに適していてもよい。以上で説明してきたように、本発明のプローブは、オリゴヌクレオチド分子(または、例えば骨格およびスプリントオリゴヌクレオチド分子などの一対のオリゴヌクレオチド)の環状化の鋳型として働いてもよい。したがって、代表例においては、タグオリゴヌクレオチドは、それぞれ、添加された直鎖状オリゴヌクレオチド(「パドロックプローブ」と同類)の(i)5’末端および3’末端と、(ii)該末端間の領域とに対して相補的な領域を有していてもよい。適切なポリメラーゼを添加すると、試料中における分析物の存在が、環状化オリゴヌクレオチドのローリングサークル増幅法(RCA)によって検出され得、これは、場合によっては、一方のタグオリゴヌクレオチドの3’末端をプライマーとして開始され得る。コンカテマーRCA(concatemeric RCA)の産物は、近接プローブが近接状態で結合した場合にのみ形成され得るが、これによって、分析物の検出のための「代理」マーカーが提供される。
【0088】
PCT/EP2015/052340で説明されているような、近接ハイブリダイゼーション連鎖反応(近接−HCR)などの他の近接度に基づく検出アッセイが、当該技術分野において知られている。第1のタグオリゴヌクレオチドは、その遊離末端に、第2のタグオリゴヌクレオチドの末端に存在しない、第2のタグオリゴヌクレオチドのユニークドメインの領域に相補的な領域を含んでいてもよく、すなわち、第2のタグオリゴヌクレオチドの遊離末端は、第1のタグオリゴヌクレオチドには結合しないままであって、それによってHCRを開始することができてもよい。
【0089】
したがって、本発明の近接プローブは、あらゆる簡便なまたは所望の近接度に基づく検出アッセイで用いられ得、よって、当業者であれば、第1の接合体および第2の接合体にハイブリダイズする第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドが、行われる検出アッセイに応じて、適切なユニークドメインを含むように設計され得ることを理解するであろう。
【0090】
本発明は、以下の実施例および図面を参照して、さらによく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1図1は、一対の従来の近接プローブと、一対のハイブリダイゼーション近接プローブとを比較する模式図を示す。図1Aは、従来の近接プローブであり、機能性ドメイン(核酸ドメイン)が分析物結合ドメインに直接接合している。図2Bは、ユニバーサルオリゴヌクレオチドが各近接プローブに接合した近接プローブであり、ユニバーサル相補ドメインを含むタグオリゴヌクレオチドが、各ユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしている。
図2図2は、一対の従来の近接プローブと、一対のハイブリダイゼーション近接プローブとの比較を示し、用いられ得るオリゴヌクレオチド配列の例を提供する。図2Aは、従来の近接プローブであり、3’末端に、相補的な領域を含んでいる。図2Bは、各近接プローブに5’末端で接合しているユニバーサルオリゴヌクレオチドと、5’末端の相補的な領域でユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、3’末端の相補的な領域を介して直接相互作用できるタグオリゴヌクレオチドとを含む、近接プローブである。
図3図3は、一対の従来の近接プローブの製造方法と、一対のハイブリダイゼーション近接プローブの製造方法との比較を示す。図3Aでは、オリゴヌクレオチドを活性化し、各分析物結合ドメインに接合させて、近接プローブ対を形成している。図3Bでは、ユニバーサルオリゴヌクレオチドを活性化し、各分析物結合ドメインに接合させて、第1のユニバーサル接合体および第2のユニバーサル接合体を形成し、タグオリゴヌクレオチドが各ユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズして、近接プローブ対を形成している。
図4図4は、従来の方法を用いて複数の近接プローブ対を製造する方法と、本明細書で説明する方法によって複数の近接プローブ対を製造する方法との比較を示す。図4Aでは、近接プローブ対のそれぞれに対して第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドを活性化し、分析物結合ドメインに接合させる。合計6つのオリゴヌクレオチドを活性化して、3つの近接プローブ対を作成する。図4Bでは、第1のユニバーサルオリゴヌクレオチドおよび第2のユニバーサルオリゴヌクレオチドを活性化し、第1の近接プローブおよび第2の近接プローブに接合させる。第1のタグオリゴヌクレオチドおよび第2のタグオリゴヌクレオチドが、各ユニバーサルオリゴヌクレオチドにハイブリダイズして、複数の近接プローブ対を形成する。合計2つのオリゴヌクレオチドを活性化して、3つの近接プローブ対を作成する。
図5図5は、従来の近接プローブ対を用いた場合と比較した、異なるタグオリゴヌクレオチド配列を含む3つの異なる近接プローブ(ハイブリダイゼーションプローブ)対を用いる近接伸長アッセイにおける、マクロファージコロニー刺激因子1(CSF−1)の検出を示す。図5Aは、3つの異なる近接プローブ対であり、それぞれの近接プローブ対は、異なるタグオリゴヌクレオチド対を含むが、分析物結合ドメインは同じである。図5Bは、従来の近接プローブである。図5Cは、図5Aおよび図5Bの近接プローブを用いるCSF−1の検出の滴定結果である。試験に用いたハイブリダイゼーションプローブは、すべて、レベルが同等であるシグナルを生じ(ハイブリダイゼーション配列対#1〜#3)、近接度に基づく検出アッセイは、従来の近接プローブまたはハイブリダイゼーションプローブを用いた場合に(配列#4対配列#1〜#3)、感度が同等である。
【実施例】
【0092】
(実施例1−近接プローブの製造プロトコール)
10μlの抗体(PBS中2μg/μlで再構成)を、室温で30分間、20倍モル過剰のジベンジルシクロオクチン−NHSエステル(DBCO−NHSエステル、CLK−A102N、イエナ・バイオサイエンス社(Jena Bioscience);DBCO−NHSエステルの4mM溶液の0.67μlを新たにDMSOに溶解させた)と共に活性化した。DBCO活性化抗体を、ゼバ(Zeba)スピン脱塩カラム(7K MWCO、サーモ・サイエンティフィック社(Thermo Scientific))で精製して、未反応のDBCO−NHSエステルを除いた。精製後、活性化抗体を、4倍モル過剰のアジド変性オリゴヌクレオチド(ユニバーサルオリゴヌクレオチド1およびユニバーサルオリゴヌクレオチド2)と混合し、4℃で一晩インキュベートした。
【0093】
タグオリゴヌクレオチドをTEバッファー中で再構成し、4倍モル過剰でユニバーサル接合体に加えた。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、室温で30分間、ハイブリダイズさせた。
【0094】
(実施例2−一対の近接プローブを用いた標的分析物の検出)
近接伸長アッセイにおいて、ユニバーサルオリゴヌクレオチドと3つの異なるタグオリゴヌクレオチド対とを含む3つの異なる近接プローブ(ハイブリダイゼーションプローブ)対、および機能性ドメインが分析物結合ドメインに直接接合された第4の近接プローブ対を用いて、ユニバーサルオリゴヌクレオチド法を用いて作成したプローブが、近接度に基づく検出アッセイにおいて、従来の近接プローブほど効果的であるかどうかを調べた。
【0095】
各近接プローブ対について滴定曲線を得るために、プロシーク(Proseek)のプロトコール(オーリンクAB(Olink AB)を用い、メーカーの説明書に従って、一連の異なる濃度でCSF−1を検出した(図5C参照)。各ハイブリダイゼーションプローブ対は、標的分析物の検出において同等に効果的であることがわかり、また、各ハイブリダイゼーションプローブ対は、機能性核酸分子が分析物結合ドメインに直接接合した近接プローブと、同様に働くことがわかった。このことは、ハイブリダイゼーションプローブが、近接度に基づく検出アッセイにおいて有用な試薬であり得ることを示している。
【0096】
【表1】
【0097】
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
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