特許第6979949号(P6979949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6979949紡績機用のダブルグリッパを備えたドッファ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979949
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】紡績機用のダブルグリッパを備えたドッファ装置
(51)【国際特許分類】
   D01H 9/04 20060101AFI20211202BHJP
   D01H 9/02 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   D01H9/04 F
   D01H9/02 A
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-526202(P2018-526202)
(86)(22)【出願日】2016年11月8日
(65)【公表番号】特表2018-538456(P2018-538456A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】IB2016056705
(87)【国際公開番号】WO2017085588
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年10月30日
(31)【優先権主張番号】01687/15
(32)【優先日】2015年11月19日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】590005597
【氏名又は名称】マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト ネーゲリ
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−225335(JP,A)
【文献】 特開2009−167586(JP,A)
【文献】 米国特許第01496079(US,A)
【文献】 特開昭63−135528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H 9/04
D01H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
満管のボビンを紡績機のスピンドルから取り外すためおよび空の巻管を前記スピンドルに装着するための、複数の紡績ユニットを備えた紡績機用のドッファ装置(1)であって、
それぞれ1つの紡績ユニットに対応配置されている複数のグリップ装置(10,11,12)が設けられていて、該グリップ装置(10,11,12)は、回転可能なグリップユニット(20,21,22)を有しており、
該グリップユニット(20,21,22)は、前記満管のボビンを把持するためのボビングリッパ(40,41,42)と、前記空の巻管を把持するための巻管グリッパ(30,31,32)とを含んでおり、
前記グリップユニット(20,21,22)は、前記スピンドルにおける前記ボビンを把持可能な把持位置と、前記巻管を前記スピンドルに装着可能な装着位置との間において回転可能であり、
前記ボビングリッパ(40,41,42)は、下方に向かって開放したボビン収容部を有していて、かつ前記巻管グリッパ(30,31,32)は、下方に向かって開放した巻管収容部を有しており、前記ボビン収容部および前記巻管収容部は、把持のために上から前記ボビンもしくは前記巻管に被せ嵌め可能であり、
前記巻管グリッパ(30)および前記ボビングリッパ(40)は、円筒形にまたは円錐形に形成されていて、かつ空気力式に作動可能であり、
回転軸線(D)を中心にして前記グリップユニット(20,21,22)を回転させるための回転装置が設けられており、該回転装置は、互いに隣接した2つの前記グリップユニット(20,21,22)を時間的に互いにずらして回転させることができ、
前記ボビングリッパ(40,41,42)は、ボビングリッパ軸線(S)を有していて、かつ前記巻管グリッパ(30,31,32)は、巻管グリッパ軸線(H)を有しており、前記ボビングリッパ軸線(S)と前記巻管グリッパ軸線(H)とは、互いに角度を成して配置されている、
紡績機用のドッファ装置(1)。
【請求項2】
前記グリップユニット(20,21,22)はそれぞれ、2つのインジケータ(130,131)を有しており、該インジケータ(130,131)によって、前記回転装置の位置がベース体(80)を通して視認可能である、請求項1記載のドッファ装置(1)。
【請求項3】
前記回転装置は、前記グリップ装置(10,11,12)に結合された歯車(53,63,66)を含んでいる、請求項1または2記載のドッファ装置(1)。
【請求項4】
前記グリップ装置(10,11,12)は、前記グリップユニット(20,21,22)を前記把持位置および/または前記装着位置において前記スピンドルに対して位置決めする位置決め手段(70〜73)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のドッファ装置(1)。
【請求項5】
前記回転装置は、過負荷防止装置を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のドッファ装置(1)。
【請求項6】
前記角度は、4°〜10°である、請求項1から5までのいずれか1項記載のドッファ装置(1)。
【請求項7】
前記回転装置は、歯付きベルト(121)によって駆動される、請求項1から5までのいずれか1項記載のドッファ装置(1)。
【請求項8】
前記回転軸線(D)と前記ボビングリッパ軸線(S)との間における角度は、前記回転軸線(D)と前記巻管グリッパ軸線(H)との間における角度に等しい、請求項1から7までのいずれか1項記載のドッファ装置(1)。
【請求項9】
前記回転軸線(D)は、前記ボビングリッパ軸線(S)と前記回転軸線(D)との間における角度だけ、固定平面(B)に対する垂線に対して傾けられており、これによって前記把持位置において前記ボビングリッパ軸線(S)は、鉛直方向に、ひいては前記スピンドルの軸線に対して平行に位置している、請求項1から8までのいずれか1項記載のドッファ装置(1)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1つに記載のドッファ装置(1)を用いて、満管のボビンを紡績機のスピンドルから取り外すためおよび空の巻管を前記スピンドルに装着するための方法であって、
前記ドッファ装置()は、前記紡績機のそれぞれ1つの紡績ユニットに対応配置された、回転可能なグリップユニット(20,21,22)を有する複数のグリップ装置(10,11,12)を備えており、
該グリップユニット(20,21,22)は、前記スピンドルにおける前記ボビンを把持可能な把持位置と、前記巻管を前記スピンドルに装着可能な装着位置との間において回転可能であり、
前記グリップユニット(20,21,22)は、前記満管のボビンを把持するためのボビングリッパ(40,41,42)と、前記空の巻管を把持するための巻管グリッパ(30,31,32)とを有しており、かつ前記グリップユニット(20,21,22)を回転させるための回転装置を含んでおり、
下方に向かって開放した前記巻管グリッパ(30,31,32)は、前記空の巻管に上から係合し、
下方に向かって開放した前記ボビングリッパ(40,41,42)は、前記満管のボビンに上から係合し、かつ前記スピンドルから取り外し、
前記グリップユニット(20,21,22)は、前記把持位置から前記装着位置に回転させられ、
前記下方に向かって開放した巻管グリッパ(30,31,32)は、前記空の巻管を前記スピンドルに上から装着し、
互いに隣接した2つのグリップユニット(20,21,22)は、時間的に互いにずらされて回転させられ、
前記巻管グリッパ(30)および前記ボビングリッパ(40)は、ダイヤフラム(100)を用いて空気力式に作動させられる、
満管のボビンを紡績機のスピンドルから取り外すためおよび空の巻管を前記スピンドルに装着するための方法。
【請求項11】
前記グリップユニット(20,21,22)はそれぞれ、2つのインジケータ(130,132)を有していて、前記回転装置の位置が、ベース体(80)を通して表示される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記グリップユニット(20,21,22)は、前記グリップ装置(10,11,12)に対応配置された位置決め手段(70〜73)を用いて、前記把持位置および/または前記装着位置において前記スピンドルに対して位置決めされる、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記回転装置は、歯付きベルト(121)によって作動させられる、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
満管のボビンを紡績機のスピンドルから取り外すためおよび空の巻管を前記スピンドルに装着するための、請求項1から9までのいずれか1つに記載のドッファ装置(1)用のグリップ装置(10,11,12)であって、
回転軸線(D)を中心にして回転可能なグリップユニット(20,21,22)が設けられており、
該グリップユニット(20,21,22)は、前記スピンドルにおける前記ボビンを把持可能な把持位置と、前記巻管を前記スピンドルに装着可能な装着位置との間において回転可能であり、
互いに隣接した2つの前記グリップユニット(20,21,22)を時間的に互いにずらして回転させることができる回転装置(2,3,4,7,9,50〜55,60〜66,121)が設けられており、
前記グリップユニット(20,21,22)は、ボビングリッパ(40,41,42)を有していて、該ボビングリッパ(40,41,42)は、前記満管のボビンを把持するための、ボビングリッパ軸線(S)を備えた下方に向かって開放したボビン収容部を含んでおり、
前記グリップユニット(20,21,22)は、巻管グリッパ(30,31,32)を有していて、該巻管グリッパ(30,31,32)は、前記空の巻管を把持するための、巻管グリッパ軸線(H)を備えた下方に向かって開放した巻管収容部を含んでおり、
前記巻管グリッパ(30)および前記ボビングリッパ(40)は、ダイヤフラム(100)を用いて空気力式に作動可能である、
グリップ装置(10,11,12)。
【請求項15】
前記グリップユニット(20,21,22)はそれぞれ、2つのインジケータ(130,131)を有しており、該インジケータ(130,131)によってベース体(80)を通して前記回転装置の位置が視認可能である、請求項14記載のグリップ装置(10,11,12)。
【請求項16】
位置決め手段(70〜73)が設けられており、該位置決め手段(70〜73)は、前記グリップユニット(20,21,22)を前記把持位置および/または前記装着位置において、前記スピンドルに対して正確に位置決めする、請求項14または15記載のグリップ装置(10,11,12)。
【請求項17】
ベース体(80,83)が、少なくとも1つの別の歯車(60〜65)を有しており、該別の歯車(60〜65)もしくは前記別の歯車(60〜65)のうちの1つの歯車が、第1の歯車(50〜55)に噛み合っていて、かつ/または前記歯車(50〜55,60〜65)のうちの少なくとも1つが、前記位置決め手段(70〜73)を有している、請求項16記載のグリップ装置(10,11,12)。
【請求項18】
前記回転装置は、歯付きベルト(121)によって駆動可能である、請求項14から17までのいずれか1項記載のグリップ装置(10,11,12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前提部に記載された、複数の紡績ユニットを備えた紡績機用のドッファ装置に関する。本発明はさらに、ドッファ装置を用いて、満管のボビンを紡績機のスピンドルから取り外すためおよび空の巻管をスピンドルに装着するための方法、およびドッファ装置用のグリップ装置に関する。
【0002】
従来の技術
紡績機用のドッファ装置は、良く知られている。通常このときドッファ装置は、複数のグリップ装置を有しているので、それぞれの紡績ユニットにはグリップ装置が対応配置されている。多くの場合このようなグリップ装置はグリッパを有しており、このグリッパは、最初に満管のボビンをスピンドルから取り外し、取り外されたボビンを例えばコンベヤベルトのピンに下ろす。次いでグリッパは、空の巻管を、例えばコンベヤベルトのピンから把持して、空の巻管をスピンドルに装着する。そのためにボビンの取外しと巻管の装着との間において、ドッファ装置の、グリップ装置が配置されているビームは、紡績ユニットからコンベヤベルトに移動させられ、かつ再び紡績ユニットに戻し移動させられねばならない。ドッファ装置の大きさに基づいて、この運動は多くの場合時間が掛かり、このことは、紡績時間の損失を意味する。
【0003】
独国特許出願公開第3640002号明細書(DE3640002A1)に記載された、この問題を解決するためのグリップ装置を備えたドッファ装置では、グリップ装置がそれぞれ、巻管およびボビンを把持するための、制御可能な2つのグリップエレメントを備えている。このときグリップエレメントは、調節駆動装置を用いて駆動される回転板に収容されている。ドッフィング過程のために、最初に第1のグリップエレメントが空の巻管を把持する。次いでドッファ装置のビームは、グリップ装置を空の巻管と一緒に紡績ユニットに向かって移動させる。いまや紡績ユニットにおいては、第2のグリップエレメントが満管のボビンをスピンドルから取り外す。次いで調節駆動装置が回転板を回転させ、これによって空の巻管を備えた第1のグリップエレメントは、スピンドルの上方において位置決めされる。その後で第1のグリップエレメントは、空の巻管をスピンドルに装着する。この動作が行われた場合に、紡績工程を継続することができる。このドッファ装置によって、紡績ユニットの停止中におけるビームの大きな移動距離が回避され、ひいては時間が節約される。しかしながらこのドッファ装置の欠点としては、回転板を備えたグリップ装置が、今日の多くの紡績機の2つの紡績ユニットの間におけるスペースよりも、紡績機の長手方向軸線の方向において比較的大きなスペースを必要とするということがある。
【0004】
仏国特許出願公開第589966号明細書(FR589966)に開示されたドッファダブルグリッパは、完成したコップを側部において収容し、空の巻管と共に装着する。しかしながらこの実施形態の欠点は、巻管/コップの下側における固定形態にある。それというのは、このことには安定性に問題があるからである。
【0005】
発明の開示
ゆえに本発明の課題は、制限されたスペース提供においても迅速なドッフィング過程を可能にするドッファ装置、方法および所属のグリップ装置を提供することである。
【0006】
本発明の課題はまた、故障時においてオペレータに簡単化された取扱いを可能にするドッファ装置、方法および所属のグリップ装置を提供することである。
【0007】
本発明の課題はまた、巻管およびボビンの確実な保持を可能にするドッファ装置、方法および所属のグリップ装置を提供することである。
【0008】
この課題は、独立請求項に記載の特徴を備えたドッファ装置、ドッファ装置を用いて満管のボビンを紡績機のスピンドルから取り外すためおよび空の巻管をスピンドルに装着するための方法、およびドッファ装置用のグリップ装置によって解決される。従属請求項は、好適な実施形態の対象である。
【0009】
満管のボビンを紡績機のスピンドルから取り外すためおよび空の巻管をスピンドルに装着するための、複数の紡績ユニットを備えた紡績機用のドッファ装置が提案される。このドッファ装置は、このとき少なくとも1つのビームと複数のグリップ装置とを有しており、これによってそれぞれの紡績ユニットにはグリップ装置が対応配置されている。このときグリップ装置は、少なくとも1つのビームに固定されている。さらに少なくとも1つのビームは、グリップ装置をドッフィング過程のために重要な位置に、例えば空の巻管を収容するためおよび満管のボビンを取り外すためにコンベヤベルトに、かつ満管のボビンを取り外すためおよび空の巻管を装着するためにスピンドルに、もたらすことができるように可動である。
【0010】
グリップ装置は、それぞれベース体と回転可能なグリップユニットとを有している。このときグリップユニットは、ボビングリッパと巻管グリッパとを含んでいる。ボビングリッパは、満管のボビンを把持するように、かつ巻管グリッパは、空の巻管を把持するように形成されている。
【0011】
最後にドッファ装置は、グリップユニットを回転させるための回転装置を有している。これによってグリップユニットは、スピンドルにおけるボビンを把持可能な把持位置と、巻管をスピンドルに装着可能な装着位置との間において回転することができる。
【0012】
本発明によれば回転装置は、複数の回転手段と1つの駆動手段とを含んでいる。このときそれぞれのグリップ装置には、複数の回転手段のうちの1つの回転手段が対応配置されていて、かつ駆動手段は複数のグリップ装置に対応配置されている。さらに回転装置は、互いに隣接した2つのグリップユニットを時間的に互いにずらして回転させることができるように構成されている。つまり互いに隣接したグリップユニットが同時に回転させられないと、一方のグリップユニットの回転が他方のグリップユニットの回転を阻止することはない。これによって、迅速なドッフィング過程を、制限されたスペース提供時においても可能にするドッファ装置の構造が可能になる。本発明によれば、ドッファ装置は、歯付きベルトによって駆動可能である。
【0013】
本発明の好適な発展形態では、それぞれのグリップユニットは、2つのインジケータを有しており、該インジケータによって、回転装置の位置がベース体を通して視認可能である。故障が発生しており、かつオペレータがグリップユニットを再びクリップまたは設置しなくてはならない場合に、このようにしてオペレータは適正な位置を外部から認識することができる。2つのインジケータは、互いに隣接したグリップユニットにおいて交互にセットされていなくてはならず、その結果グリップユニットを位置決めすること、および欠けているグリップユニットを適正に設置することができる。
【0014】
好ましくは、ボビングリッパは、下方に向かって開放したボビン収容部を有していて、かつ巻管グリッパは、下方に向かって開放した巻管収容部を有しており、ボビン収容部および巻管収容部は、把持のために上からボビンもしくは巻管に被せ嵌め可能である。巻管グリッパおよびボビングリッパは、円筒形に形成されていても、または円錐形に形成されていてもよい。円錐形の構成には、特に巻管およびボビンが空気力式に作動させられている場合に、巻管およびボビンを比較的良好に保持するという利点がある。それというのは、ダイヤフラムは巻管およびボビンに比較的良好に適合するからである。
【0015】
本発明の好適な発展形態では、グリップ装置は位置決め手段を有している。これらの位置決め手段は、グリップユニットを把持位置および/または装着位置においてスピンドルに関して正確に位置決めするという目的を有している。このとき位置決めの必要な精度は、ボビングリッパもしくは巻管グリッパの構成に依存している。すなわちボビングリッパもしくは巻管グリッパが、例えば、ボビンもしくは巻管をボビン収容部もしくは巻管収容部の方向において案内するホッパ形状の領域を有している場合に、完璧な位置からの僅かな偏差が許容可能である。つまり把持位置もしくは装着位置における位置決めは、ボビンの把持もしくは巻管の装着が常に問題なく機能するように正確であることが望ましく、このことは紡績機およびドッファ装置の詳細に依存している。そして良好に位置決めされたグリップユニットによって、満管のボビンの取外しもしくは空の巻管の装着を正確に実施することができ、このことは、摩擦のないドッフィング過程を促進する。
【0016】
好ましくは、駆動手段はモータおよび駆動ベルトを含んでいる。このとき、それぞれのグリップ装置にモータが配置されていて、これらのモータを、該モータが、互いに隣接した2つのグリップユニットを時間的に互いにずらして回転させるように制御することが可能である。しかしながら1つのモータが複数の駆動ベルトを駆動することも可能であり、このように構成されていると、駆動ベルトにおけるグリップユニットの回転は、中央において制御され、このような構成は、多くのグリップ装置が設けられている場合のために、比較的安価な択一的な構成である。
【0017】
また、回転手段が歯車を含んでいて、かつ駆動手段が少なくとも1つの歯付領域を有していると好適である。このとき歯車は、グリップ装置に結合されていて、かつ駆動手段の歯付領域は、歯車に係合している。形状結合式の結合によって、グリップユニットの確実な操作が保証され、歯付領域の直線運動は、歯車の回転運動に変換される。
【0018】
さらに、回転手段および/または駆動手段が、過負荷防止装置を有していると好適である。このように構成されていると、グリップ装置がロックされている場合に対して、グリップ装置または駆動手段における重大な損傷を阻止することができる。さらに過負荷防止装置によって、1つのグリップ装置がロックされている場合に、他のグリップ装置のためのドッフィング過程を継続することが可能である。過負荷防止装置は、好ましくは滑りクラッチであり、それというのは、滑りクラッチは、安価であり、かつその目的を確実に達成するからである。
【0019】
本発明の別の好適な発展形態では、歯車は歯なし領域を有している。このような構成では、駆動手段が移動させられる場合に、歯車の歯付領域が次の歯車に係合しているか、または歯車の歯なし領域が次の歯車のところを通過しているかに応じて、幾つかのグリップユニットにおいては回転が行われ、かつ他のグリップユニットでは、回転が行われない。グリップユニットの歯車が、1つのグリップユニットにおいて回転が行われかつ隣接したグリップユニットにおいては後の時点において初めて回転が行われるように調節されると、回転装置の提案された機能は再び満たされている。
【0020】
さらに、上に記載したドッファ装置を用いて、満管のボビンを紡績機のスピンドルから取り外すためおよび空の巻管をスピンドルに装着するための方法が提案される。このときドッファ装置は、少なくとも1つのビーム、複数のグリップ装置および1つの回転装置を含んでいる。このときグリップ装置は、紡績機のそれぞれ1つの紡績ユニットに対応配置されている。それぞれのグリップ装置は、ベース体および回転可能なグリップユニットを有している。このときグリップユニットは、スピンドルにおけるボビンを把持可能な把持位置と、巻管をスピンドルに装着可能な装着位置との間において回転可能であり、このときこの回転は、回転装置によって実施される。それぞれのグリップユニットは、空の巻管を把持するための巻管グリッパと、満管のボビンを把持するためのボビングリッパとを有している。
【0021】
ドッフィング過程時に、最初に巻管グリッパは空の巻管を把持する。次いでボビングリッパは、満管のボビンを把持してスピンドルから取り外す。さらにグリップユニットは、把持位置から装着位置に回転させられ、これによって巻管グリッパは、空の巻管をスピンドルに装着することができる。本発明によれば、このとき把持位置から装着位置への回転は、互いに隣接した2つのグリップユニットが、時間的に互いにずらされて回転させられるように行われる。このようにすると、制限されたスペース提供においても、互いに隣接したグリップユニットが回転時に相互に阻止し合うことはなくなり、迅速なドッフィング過程が可能になる。本発明によればドッファ装置は、歯付きベルトによって駆動される。
【0022】
グリップユニットの時間的に互いにずらされた回転は、グリップユニットが2つのグループに対応配置されている場合に、良好に実現することができる。このとき互いに隣接した2つのグリップユニットはそれぞれ、異なったグループに属しており、つまりグリップユニットは、交互に1つのグループと他のグループとに属している。このときグリップユニットの回転時に、1つのグループのグリップユニットは同時に回転させられるが、他のグループのグリップユニットに対しては時間的にずらされて回転させられる。このようにグリップユニットを2つのグループに分割することによって、互いに隣接したグリップユニットを時間的に互いにずらして回転させることが、簡単に、しかしながら極めて効果的に保証される。
【0023】
本発明の好適な発展形態では、それぞれのグリップユニットは、2つのインジケータを有しており、これらのインジケータによって、回転装置の位置がベース体を通して視認可能である。故障が発生しており、かつオペレータがグリップユニットを再びクリップまたは設置しなくてはならない場合に、このようにしてオペレータは適正な位置を外部から認識することができる。2つのインジケータは、互いに隣接したグリップユニットにおいて交互にセットされていなくてはならず、その結果グリップユニットを位置決めすること、および欠けているグリップユニットを適正に設置することができる。
【0024】
本発明の好適な発展形態では、グリップ装置は位置決め手段を有している。これらの位置決め手段を用いて、グリップユニットは、把持位置および/または装着位置においてスピンドルに関して正確に位置決めされる。良好に位置決めされたグリップユニットによって、満管のボビンの取外しもしくは空の巻管の装着を正確に実施することができ、このことは、摩擦のないドッフィング過程を促進する。
【0025】
さらに、上に記載したドッファ装置用のグリップ装置が提案される。グリップ装置は、満管のボビンを紡績機のスピンドルから取り外すためおよび空の巻管をスピンドルに装着するために構成されている。グリップ装置は、ベース体と、回転軸線を中心にして回転可能なグリップユニットとを有している。このときグリップユニットは、スピンドルにおけるボビンを把持可能な把持位置と、巻管をスピンドルに装着可能な装着位置との間において回転可能である。グリップユニットは、満管のボビンを把持するためのボビングリッパと、空の巻管を把持するための巻管グリッパとを含んでいる。
【0026】
本発明によれば、グリップユニットを把持位置および/または装着位置においてスピンドルに関して正確に位置決めする位置決め手段が設けられている。ボビングリッパもしくは巻管グリッパが正確に位置決めされていると、満管のボビンの取外しもしくは空の巻管の装着を正確に実施することができ、このことは、摩擦のないドッフィング過程を促進する。
【0027】
さらに、グリップユニットが第1の歯車を有していると好適である。この歯車を介して、回転運動を最適に制御することができる。
【0028】
さらに、ベース体が少なくとも1つの別の歯車を有していると好適であり、このときこの別の歯車もしくは複数の別の歯車のうちの1つの別の歯車は、第1の歯車に噛み合っている。このように構成されていると、回転運動を簡単かつ効果的に実施すること、および伝達することができる。特に、歯車のうちの少なくとも1つの歯車が位置決め手段を有していると好適である。つまり歯車における位置決め手段によって、回転運動の始点および/または終点を極めて良好にかつ正確に決定することができる。
【0029】
本発明の好適な発展形態では、歯車のうちの1つの歯車が、歯なし領域を有している。この歯なし領域が、次の歯車のところを通過する場合、次の歯車は一緒に回転させられない。つまり歯なし領域を巧みに配置することによって、グリップユニットが1つの時点においては回転させられ、かつ後の時点においては回転させられないということ、もしくは1つの時点においては回転させられず、かつ後の時点においては回転させられるということを、達成することができる。このことは、すべてのグリップユニットが同時に回転させられるのではない、ドッファ装置の特別な構造を可能にする。
【0030】
さらに、過負荷防止装置が設けられていると好適である。このように構成されていると、グリップ装置がロックされている場合に対して、グリップ装置において、またはグリップ装置を駆動する駆動手段においても重大な損傷を阻止することができる。さらに過負荷防止装置によって、1つのグリップ装置がロックされている場合に、他のグリップ装置のためのドッフィング過程を継続することができる。好ましくは、過負荷防止装置は滑りクラッチである。それというのは、滑りクラッチは安価であり、かつその目的を確実に達成するからである。
【0031】
原則的に、本発明は、特定のボビングリッパまたは巻管グリッパに制限されるものではない。しかしながら、ボビングリッパおよび巻管グリッパの形状が、ボビンもしくは巻管の幾何学形状に適合させられていると好適である。それというのは、このときボビンもしくは巻管を特に良好に把持することができるからである。ボビンおよび巻管は、通常円筒形であるので、このことは、ボビングリッパが円筒形のボビン収容部を有していて、かつ巻管グリッパが円筒形の巻管収容部を有していることを意味する。しかしながら本発明の枠内において、円錐形のグリッパも可能である。
【0032】
このときボビン収容部は、ボビングリッパ軸線およびボビングリッパ直径を有していて、かつ巻管収容部は、巻管グリッパ軸線および巻管グリッパ直径を有している。このときボビングリッパ軸線と巻管グリッパ軸線とは、互いに角度を成して配置されている。この角度は、好ましくは4°〜10°、特に好ましくは8°である。ここで述べた角度よりもさらに小さい角度の場合、ボビンおよび巻管が同時に把持される場合にボビンと巻管とが互いに接触するおそれがあり、またはボビングリッパと巻管グリッパとの間における間隔が、接触を阻止するために拡大されねばならず、このようなことはまた、比較的大きなスペースを必要とすることになる。上に述べた角度よりも大きな角度の場合には、グリップユニットの回転時に、紡績機の部分または隣接したグリッパとの衝突のおそれが高まり、このようなことは、本発明によって回避されることが試みられる。したがって、上に述べた角度範囲が理想的であるということが判明している。
【0033】
さらに、巻管グリッパ直径とボビングリッパ直径とが等しいこと、および特に巻管グリッパとボビングリッパとがほぼ同一であることが好適である。このことは、製造コストを節減するのみならず、交換部品の取扱いを容易にし、さらに、ボビングリッパおよび巻管グリッパがそれぞれのドッフィング過程後にその課題を交換するように、つまりボビングリッパが巻管グリッパになり、かつ巻管グリッパがボビングリッパになるように、グリップ装置を作動させることをも可能にする。
【0034】
最後に、回転軸線とボビングリッパ軸線との間における角度が、回転軸線と巻管グリッパ軸線との間における角度と等しいと好適である。このように構成されていると、グリップユニットの回転後に、ボビングリッパと巻管グリッパとの位置が正確に交換されていることを達成することができ、このことは、次いで空の巻管の迅速な装着を促進する。
【0035】
次に、以下に記載の実施形態において、本発明のさらなる利点について記載する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1a】ドッファ装置の一部を示す平面図である。
図1b図1aに示したドッファ装置の一部を後の時点において示す平面図である。
図2a】グリップ装置を示す側面図である。
図2b】グリップユニットを概略的に示す側面図である。
図3a】別のドッファ装置の一部を示す平面図である。
図3b図3aに示したドッファ装置の一部を後の時点において示す平面図である。
図4a】別のドッファ装置の一部を示す平面図である。
図4b】別のドッファ装置の一部を示す正面図である。
図5】2つのインジケータを備えたベース体を示す図である。
【0037】
発明を実施する形態
図1aには、紡績機用のドッファ装置1の一部が平面図で示されている。このとき2つの歯付領域3,4を含む駆動ロッド2の一部と、3つのグリップ装置10,11,12とが示されている。グリップ装置10,11,12は、巻管グリッパ30,31,32とボビングリッパ40,41,42とを備えたグリップユニット20,21,22を含んでいる。さらにグリップユニット20,21,22に不動に結合された第1の歯車50,51,52が設けられている。グリップ装置10,11,12はさらに、第1の歯車50,51,52に係合する別の歯車60,61,62を有している。このとき第1および別の歯車50,51,52,60,61,62には、平らに面取りされた箇所70,71,72,73が設けられており、これらの箇所70,71,72,73は、位置決め手段として機能し、かつグリップユニット20,21,22を把持位置および装着位置において正確に位置決めする。図面を見易くするために、グリップ装置12のための平らに面取りされた箇所70,71,72,73にだけ符号が付されている。
【0038】
ドッフィング過程のために、いまやグリップ装置10,11,12は、ここには示されていないビームによって、巻管グリッパ30,31,32が空の巻管を把持できるように移動させられる。次いでグリップ装置10,11,12は、紡績機のスピンドルの上方に、ボビングリッパ40,41,42がスピンドルから満管のボビンを把持できるように移動させられる。次いで満管のボビンが、スピンドルから取り外される。いまや駆動ロッド2は、矢印Aの方向に移動させられる。このとき歯付領域3,4は、最初にグリップ装置10,11,12の歯車60,62に係合し、これによってグリップユニット20,22が回転させられる。このときグリップユニット20,22の回転は、良好に可能である。それというのは、グリップユニット21は回転させられず、グリップユニット20,21,22は結果として相互に阻止し合わないからである。
【0039】
図1bには、後の時点におけるドッファ装置の一部が示されている。グリップユニット20,22は、ここでは既に装着位置に回転させられており、このとき把持位置との比較において、巻管グリッパ30,32およびボビングリッパ40,42は、それらの位置が交換させられている。歯付領域3は、いまや歯車61に係合していて、矢印Aの方向における駆動ロッド2の移動によって、グリップユニット21はさらに回転させられる。グリップユニット20,22がグリップユニット21と同時に回転させられないことによって、グリップユニット20,22がグリップユニット21を回転時において阻止することはない。
【0040】
図2aには、グリップ装置10が側面図で示されている。同様に図2aにおいては、ドッファ装置の駆動ロッド2、歯付領域3およびビーム5が視認可能である。グリップ装置10のベース体80は、2つの脚81,82を有しており、両脚81,82は、ベース体80をビーム5に固定平面Bにおいて固定している。第1の歯車50は、記載したように、グリップユニット20に結合されており、これに対して、第1の歯車50と歯付領域3に係合している別の歯車60は、ベース体80に結合されている。歯付領域3を備えた駆動ロッド2が移動させられると、別の歯車60および第1の歯車50、ひいてはグリップユニット20も回転する。このときグリップユニット20は、回転軸線Dを中心にして回転する。ここにはまたさらに巻管グリッパ軸線Hおよびボビングリッパ軸線Sが示されており、このとき巻管グリッパ軸線Hと回転軸線Dとの間における角度、およびボビングリッパ軸線Sと回転軸線Dとの間における角度は、それぞれ4°である。巻管グリッパ軸線Hとボビングリッパ軸線Sとの間における角度は、したがって8°である。さらに回転軸線Dは、ボビングリッパ軸線Sと回転軸線Dとの間における角度だけ、つまり4°だけ、固定平面Bに対する垂線に対して傾けられており、これによって把持位置においてボビングリッパ軸線Sは、鉛直に、ひいてはスピンドルの軸線に対して平行に位置している。次いで装着位置へのグリップユニット20の回転後には、巻管グリッパ軸線Hが鉛直に、ひいてはスピンドルの軸線に対して平行に位置している。
【0041】
巻管グリッパ30およびボビングリッパ40を備えたグリップユニット20は、図2bに詳しく示されている。この実施形態において巻管グリッパ30はクランプエレメント90を備えており、かつボビングリッパ40はダイヤフラム100を備えている。しかしながらまた本発明の代わりに、グリッパの他の組合せおよび他のグリッパ型式も可能である。
【0042】
クランプエレメント90は、グリップの良いクランプ領域91を有しており、かつ軸92を中心にして回転可能に支持されている。軸92の、クランプ領域91とは反対に位置している側において、ピン93および戻しばね94がクランプエレメント90に作用する。このときピン93は、空気管路95に接続されている。いまや巻管を把持したい場合に、ピン93は空気管路95を介してクランプエレメント90に押圧され、これによってクランプ領域91は巻管をしっかりと保持する。次いで巻管を再び放したい場合には、空気管路95内における圧力が低減され、戻しばね94はクランプエレメント90を引き戻し、巻管を解放する。
【0043】
ボビングリッパ40ではダイヤフラム100が空気管路101に接続されている。ボビンを把持したい場合に、ダイヤフラム100は空気管路101を介して膨張させられ、かつボビンを取り囲む。次いで再びボビンを放したい場合には、空気管路101における空気圧、ひいてはダイヤフラム100における空気圧が低減され、ボビンは再び解放される。
【0044】
別の実施形態(図示せず)では、巻管グリッパおよびボビングリッパが空気力式に作動させられる。巻管グリッパおよびボビングリッパは、円錐形に形成されていてよい(図示せず)。円錐形の構成は、特に巻管およびボビンが空気力式に作動させられている場合に、巻管およびボビンを比較的良好に保持するという利点を有している。それというのはこのとき、ダイヤフラムは巻管およびボビンに比較的良好に適合するからである。
【0045】
図3aには、本発明に係るドッファ装置6の別の実施形態の一部が平面図で示されている。以下の記載において、図1aおよび図1bに示された第1実施形態の構成および/または作用形式との比較において同一および/または少なくとも同等である特徴に対しては、同じ符号が使用される。これらの特徴について再度詳説されない場合には、これらの特徴の構成および/または作用形式は、上において既に記載した特徴の構成および作用形式に相当する。
【0046】
この実施形態においては、連続して歯を備えた駆動ロッド7が設けられている。この駆動ロッド7は、グリップ装置10,11,12のベース体に結合された別の歯車63,64,65に係合する。これらの別の歯車63,64,65は他方において、グリップユニット20,21,22に結合された第1の歯車53,54,55に係合している。互いに隣接したグリップユニット20,21,22を本発明のように時間的にずらして回転させるために、別の歯車63,64,65は連続して歯を備えておらず、歯なし領域110,111,112を有している。このときこの歯なし領域111は、歯なし領域110,112との比較において異なった位置に位置決めされている。
【0047】
いまや駆動ロッド7が矢印Aの方向に移動させられると、グリップ装置10,12では最初に歯なし領域110,112が第1の歯車53,55のところを通過し、その結果グリップユニット20,22は回転させられない。これに対してグリップ装置11では、別の歯車64が第1の歯車54に係合し、グリップユニット21を回転させる。図3bには、この回転中におけるドッファ装置が示されている。グリップユニット20,22は回転していないので、グリップユニット21は回転のために十分なスペースを有している。
【0048】
第2の歯車64の歯なし領域111はこのとき、グリップユニット21が回転し終わったときに、第1の歯車54に到達するように設計されている。次いで別の歯車63,65も第1の歯車53,55に係合し始め、グリップユニット21が回転していない間に、グリップユニット20,22を回転させる。
【0049】
図4aには、本発明に係るドッファ装置120の別の実施形態の一部が平面図で示されている。以下の記載において、図1aおよび図1bもしくは図3aおよび図3bに示された第1実施形態もしくは第2実施形態の構成および/または作用形式との比較において同一および/または少なくとも同等である特徴に対しては、同じ符号が使用される。これらの特徴について再度詳説されない場合には、これらの特徴の構成および/または作用形式は、上において既に記載した特徴の構成および作用形式に相当する。
【0050】
図3aに示された実施形態との比較において、図4aに示された実施形態では、駆動ロッドの代わりに駆動ベルト121が使用される。さらに、さらに別の歯車66が設けられており、この別の歯車66は、別の歯車63と駆動ベルト121に噛み合っている。別の歯車66の図示の変速比によって、駆動ベルト121からもたらすことができる引張り力は低減される。
【0051】
図4bには、本発明に係るドッファ装置8の別の実施形態の一部が正面図で示されている。以下の記載において、図1aおよび図1bおよび図3aおよび図3bもしくは図4aに示された第1実施形態、第2実施形態もしくは第3実施形態の構成および/または作用形式との比較において同一および/または少なくとも同等である特徴に対しては、同じ符号が使用される。これらの特徴について再度詳説されない場合には、これらの特徴の構成および/または作用形式は、上において既に記載した特徴の構成および作用形式に相当する。
【0052】
この実施形態は、連続して歯を備えた駆動ロッド7,9を有している。さらに第2の歯車60,61は、グリップ装置10,11のベース体80,83に、第2の歯車60が駆動ロッド7に係合しかつ第2の歯車61が駆動ロッド9に係合するように配置されている。図面を見易くするために、ここでは、それぞれの第2の歯車60,61に係合する第1の歯車は図示されていない。ドッフィング過程時にこのとき最初に駆動ロッド7が移動させられ、これによってグリップユニット20が回転する。グリップユニット21は同時には回転しないので、グリップユニット20は回転のために十分なスペースを有している。グリップユニットの回転が終わるや否や、駆動ロッド7は停止させられ、駆動ロッド9が移動させられる。いまやグリップユニット21が回転する。
【0053】
図5には、本発明に係る2つのインジケータ130,131を備えたベース体80が示されている。両インジケータ130,131は、上側に取り付けられており、かつどの箇所にグリップユニット20が位置しているかをオペレータに表示する。故障が発生しており、かつオペレータがグリップユニットを再びクリップまたは設置しなくてはならない場合に、このようにしてオペレータは適正な位置を外部から認識することができる。2つのインジケータ130,131は、互いに隣接したグリップユニット20において交互にセットされていなくてはならず、その結果グリップユニットを位置決めすること、および欠けているグリップユニットを適正に設置することができる。このとき上に述べた実施形態において、歯車50,51,53(図1a、図1b),63,64,65(図3a、図3b)等には、それぞれ、確定された箇所においてずらされて隆起した箇所132,133があり、これらの箇所132,133は、インジケータ130,131と共働する。
【0054】
本発明は、図示および記載の実施形態に制限されるものではない。請求項の枠内における変更は、特徴が種々様々な実施形態において図示および記載されているとしても、これらの特徴の組合せと同様に可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 ドッファ装置
2 駆動ロッド
3,4 歯付領域
5 ビーム
6 ドッファ装置
7 連続して歯を備えた駆動ロッド
8 ドッファ装置
9 連続して歯を備えた駆動ロッド
10〜12 グリップ装置
20〜22 グリップユニット
30〜32 巻管グリッパ
40〜42 ボビングリッパ
50〜55 第1の歯車
60〜65 別の歯車
70〜73 平らに面取りされた箇所
80 ベース体
81,82 脚
83 ベース体
90,91 クランプエレメント
92 軸
93 ピン
94 戻しばね
100 ダイヤフラム
101 空気管路
110,111,112 歯なし領域
120 ドッファ装置
121 駆動ベルト
130 インジケータ
131 インジケータ
132 隆起した箇所
133 隆起した箇所
A 移動方向
B 固定平面
D 回転軸線
H 巻管グリッパ軸線
S ボビングリッパ軸線
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5