特許第6979965号(P6979965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979965
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】工作機械のチャック装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 39/00 20060101AFI20211202BHJP
   F16L 9/18 20060101ALI20211202BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   F16L39/00
   F16L9/18
   B23Q11/10 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-547024(P2018-547024)
(86)(22)【出願日】2016年10月28日
(86)【国際出願番号】JP2016082047
(87)【国際公開番号】WO2018078791
(87)【国際公開日】20180503
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100125737
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】木村 敏隆
(72)【発明者】
【氏名】松島 英
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正人
(72)【発明者】
【氏名】今道 健信
(72)【発明者】
【氏名】三浦 卓也
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−170604(JP,A)
【文献】 特開2011−252571(JP,A)
【文献】 特開2007−177848(JP,A)
【文献】 特開昭64−083994(JP,A)
【文献】 特開昭62−055314(JP,A)
【文献】 米国特許第05497809(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 39/00
F16L 9/18
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外パイプと、
前記外パイプと同軸状に配置され、前記外パイプよりも端部が突出した内パイプと、
軸方向の一端部に径方向の外側に広がった引掛け部が形成され、前記外パイプと前記内パイプとの間に、前記引掛け部が前記外パイプ側の端部に当たり位置決めされた状態で差し込まれ、前記外パイプの内側面と前記内パイプの外側面とに接して、両面の間隔を周状で一定にするための筒状部材であり、軸方向両端をつなぐ一または二以上の流路が形成された同軸パイプの組付け用ブシュと、
前記外パイプと前記内パイプの各外径に合わせて内径が階段状に変化する貫通孔が形成され、そこに前記外パイプと前記内パイプとが嵌まり込む受ブロックと、
を備えた工作機械のチャック装置。
【請求項2】
前記流路は、前記組付け用ブシュの筒状部を軸方向に貫いた孔または溝である請求項1に記載する工作機械のチャック装置。
【請求項3】
前記流路は、前記組付け用ブシュの筒状部に形成されたネジ溝である請求項1に記載する工作機械のチャック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパイプを同軸状に一体的に組付けるために使用される同軸パイプの組付け用ブシュに関する。
【背景技術】
【0002】
径の異なる複数のパイプを同軸状に重ねて配置し、中心の円形断面の流路や各パイプ間に形成された環状断面の流路を、エアなどの流体が流されるようにした構成がある。このような構成は、例えば工作機械に使用されるチャック装置に見られる。そうしたチャック装置は、回転を伝達するスピンドル内にクーラントやエアを供給するパイプが組付けられている。下記特許文献1は、スピンドル内にクーラント供給路が設けられたものであり、筒形状のスピンドル内にクーラントパイプが挿入された構成が開示されている。具体的には、回転体であるスピンドルが軸受を介して組み付けられ、その中のクーラントパイプは、ブシュを介して軸方向に中間ロッドなどと連結され、中心軸がスピンドルの中心軸に合わせられるようにして組付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−039154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例のチャック装置は、スピンドル内にクーラントを通すためのクーラントパイプが同軸配置されているが、例えば掴んだワークの着座検出を行なうチャック装置の場合には、更にエアを通すためのエアパイプがクーラントパイプと同軸状に組付けられる構成となる。そうした複数のパイプからなる組付け構造では、径の大きな外パイプの中に径の小さな内パイプが挿入され、片持ち支持によって同軸状に配置された後、自由端側が受部材の嵌め込みによって一体的に固定される。しかし、片持ち支持されたパイプには撓みが生じ、自由端側つまり嵌め込み側のパイプ同士の中心位置がずれてしまうことがある。そうした場合、同軸状態を保っていない複数のパイプに対し隙間を設けないで受部材を嵌め込む組付け作業は非常に難しくなる。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、複数のパイプを同軸状に一体的に組付けるための同軸パイプの組付け用ブシュを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様における工作機械のチャック装置は、外パイプと、前記外パイプと同軸状に配置され、前記外パイプよりも端部が突出した内パイプと、軸方向の一端部に径方向の外側に広がった引掛け部が形成され、前記外パイプと前記内パイプとの間に、前記引掛け部が前記外パイプ側の端部に当たり位置決めされた状態で差し込まれ、前記外パイプの内側面と前記内パイプの外側面とに接して、両面の間隔を周状で一定にするための筒状部材であり、軸方向両端をつなぐ一または二以上の流路が形成された同軸パイプの組付け用ブシュと、前記外パイプと前記内パイプの各外径に合わせて内径が階段状に変化する貫通孔が形成され、そこに前記外パイプと前記内パイプとが嵌まり込む受ブロックと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
前記構成の組付け用ブシュによれば、同軸状に配置された外パイプと内パイプとの間に筒状部が挿入され、複数パイプが同軸状に配置されるため、その複数パイプに対する受部材などによる組付けが行い易くなる。そして、同軸状に配置されたパイプ間に位置する組付け用ブシュの筒状部には流路が形成されているため、パイプ内を流れる流体を通すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】チャック装置の主要部分を示した一部断面図である。
図2】複数の同軸パイプにワーク受部を組付ける状態を示した図である。
図3】同軸状に配置されたクーラントパイプと第1及び第2エアパイプとを示した拡大断面図である。
図4】組付け用ブシュの軸方向端面を示した図である。
図5】組付け用ブシュの第1変形例の軸方向端面を示した図である。
図6】組付け用ブシュの第2変形例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明に係る同軸パイプの組付け用ブシュの一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。本実施形態では、工作機械のチャック装置に使用される組付け用ブシュについて説明する。図1は、チャック装置の主要部分を示した一部断面図である。このチャック装置1は、工作機械の主軸チャックを構成するものである。工作機械では、その主軸チャックによって把持されたワークに回転運動が与えられ、工具によって切削加工などが行われる。
【0010】
チャック装置1は、チャック爪によって把持したワークの着座面にエアが送られ、そのエア圧の検出によって着座確認が行われる。また、加工時には、工具が当てられたワークの加工点にクーラントが吹きかけられ、ワークに対する冷却や加工によって生じた切屑の洗い流しなどが行われる。そのため、チャック装置1には、エアやクーラントを通すための複数のパイプが同軸状に組付けられている。なお、本実施形態で説明する同軸パイプの構成は一例にすぎず、同軸パイプの組付け用ブシュは、本実施形態で説明するチャック装置以外の構造などにも適応可能である。
【0011】
図1に示すチャック装置1は、円筒形状の主軸台内部にスピンドル11が軸受を介して回転自在に設けられ、その端部にはチャック開閉機構12が組付けられている。スピンドル11は、タイミングベルトを介してスピンドルモータの回転が伝達されるようになっている。そのスピンドル11には、軸方向端部にチャック開閉機構12が組付けられ、加工対象であるワークを把持することができるよう構成されている。従って、回転制御されたスピンドル11を介してチャック開閉機構12に回転が伝達され、把持されたワークに対して加工時の回転が与えられることとなる。
【0012】
チャック装置1には、チャック開閉機構12を駆動させるためのチャックシリンダが設けられている。そのチャックシリンダは、例えば両ロッド形のエアシリンダであり、連結されたドローバ13がスピンドル11内に挿入され、チャック開閉機構12の駆動伝達ロッド14に連結されている。本実施形態のチャック開閉機構12は、ピンアーバチャックであり、駆動伝達ロッド14に形成された環状張出部141にピンアーバ15が係合している。そのため、駆動伝達ロッド14の軸方向の移動がピンアーバ15の斜め方向の摺動に変換され、3つあるピンアーバ15のチャック爪16に対して径方向の開閉が行われる。
【0013】
チャック装置1は、ドローバ13やシリンダのピストンロッドが円筒形状のロッドであり、その中にクーラントやエアを流す複数のパイプが同軸状に挿入されている。本実施形態では、中心側に最小径のクーラントパイプ21が配置され、その外側には径の異なる2本の第1及び第2エアパイプ22,23が配置されている。ここで、図3は、クーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23との端部を示した拡大断面図である。このクーラントパイプ21内にクーラントが流れ、クーラントパイプ21と第1エアパイプ22の間と、第1及び第2エアパイプ22,23の間にはエアが流れるようになっている。
【0014】
クーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23とは、同軸状に配置され、チャック開閉機構12側(図面右側)に向けてクーラントパイプ21の端部が最も突き出し、外側に配置された第1及び第2エアパイプ22,23の端部が順に後退した位置になるような長さで形成されている。これは、クーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23とが、図2に示すように受ブロック25に対して嵌め込まれる際、その嵌め込み作業が行い易いようにした構成である。なお、図2は、図1に対応した図であり、チャック開閉機構12のワーク受部121を組付ける状態が示されている。
【0015】
クーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23とは、その端部が駆動伝達ロッド14の端部に位置している。一方、受ブロック25は、クーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23の各外径に合わせて、その貫通孔250の内径が階段状に変化して形成されている。そこで、ワーク受部121が矢印で示す方向に移動して組付けられる場合には、受ブロック25の貫通孔250内にクーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23とがほぼ隙間なく差し込まれる。
【0016】
図3には、そうした組付け時の受ブロック25の貫通孔250の形状が一点鎖線で示されている。受ブロック25へのインロー時には、図示すように、貫通孔250内の第1〜第3内周部251,252,253に対し、対応するクーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23とがほぼ同時に挿入される。従って、クーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23が全て同軸に配置されていないと、いずれかのパイプが貫通孔250内の段差部分に引っ掛かってしまい挿入できなくなってしまう。
【0017】
チャック装置1は、片持ち支持されたクーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23との自由端側に受ブロック25が組付けられるため、その自由端側が各パイプの撓みによって同軸ではない状態が生じ得る。そうした状態で受ブロック25に対して複数のパイプ先端を同時にインローさせようとしても、寸法に余裕がないため、組付け作業が非常に困難なものになってしまう。そこで、本実施形態では、クーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23との同軸状態が維持され、組付けが容易に行えるようにした構成が採られている。
【0018】
クーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23には、互いの同軸状態を維持させるための組付け用ブシュ27,28が嵌め込まれている。すなわち、図3に示すように、クーラントパイプ21と第1エアパイプ22との間には組付け用ブシュ27が、第1及び第2エアパイプ22,23の間には組付け用ブシュ28がそれぞれ嵌め込まれている。ここで、図4は、組付け用ブシュ27の軸方向端面(図3で示す左側端面)を示した図である。
【0019】
組付け用ブシュ27は、クーラントパイプ21の外径寸法に合わせた内径寸法と、第1エアパイプ22の内径寸法に合わせた外径寸法により、径方向に一定の肉厚の円筒部31を有し、その円筒部31に対して軸方向に貫通した複数の流路32が形成されている。流路32は、断面円形の貫通孔であり、円筒部31の円周方向に等間隔に形成されている。クーラントパイプ21と第1エアパイプ22との間はエアが流されるため、組付け用ブシュ27の流路32は、そのエアを通すためのエア流路である。
【0020】
一方、組付け用ブシュ28は、組付け用ブシュ27とサイズが異なるのみで同じ構成である。すなわち、第1及び第2エアパイプ22,23の間はエアが流れるため、組付け用ブシュ28を構成する円筒部35の流路36もエア流路である。そして、組付け用ブシュ27,28の円筒部31,35には、その端部に拡径した引掛け部33,37が形成され、第1エアパイプ22や第2エアパイプ23の端部に位置決めのために当てられるようになっている。
【0021】
よって、重ねて挿入されたクーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23には、その自由端部分に組付け用ブシュ27,28が差し込まれる。特に、組付け用ブシュ27,28は、外側のパイプの内側面と内側のパイプの外側面とに接するようにして、パイプ同士の隙間を一定にするスペーサとして機能している。そのため、クーラントパイプ21と第1エアパイプ22とは、組付け用ブシュ27によって同軸状に配置され、第1エアパイプ22と第2エアパイプ23とは、組付け用ブシュ28によって同軸状に配置されることにより、3本全てのパイプ21,22,23が同軸状に配置される。
【0022】
そこで、図2に示すように、クーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23に対して受ブロック25の貫通孔250を嵌め込む場合、図3に示すように、貫通孔250内の第1〜第3内周部251,252,253に対し、対応するクーラントパイプ21と第1及び第2エアパイプ22,23の各端部がほぼ同時に該当箇所に挿入されることとなる。つまり、3本のパイプ21,22,23が撓んでいたとしても、それらは同軸の状態が維持されているため、作業者は、受ブロック25の貫通孔250を3本のパイプ21,22,23に対して一度に位置合わせすることができ、よって、容易に嵌め込むことができる。そして、組付け後の組付け用ブシュ27,28は、チャック装置1内にそのまま残ることになるが、流路32,36を通してエアが流れるため、ワークの着座検出などに影響を及ぼすことはない。
【0023】
次に、組付け用ブシュの変形例を説明する。図5は、組付け用ブシュの第1変形例について軸方向端面を示した図である。この組付け用ブシュ41は、外側のパイプの内側面と内側のパイプの外側面とに接する円筒部42に、軸方向の両端を通すようにした複数の溝形流路43が形成されている。溝形流路43は、円筒部42の内周面側に形成された断面矩形の溝であり、円周方向に等間隔に形成されている。そして、円筒部42の一端部に拡径した引掛け部44が形成されている。
【0024】
また、図6は、組付け用ブシュの第2変形例を示した断面図である。この組付け用ブシュ51は、組付け用ブシュ27などと同様に、外側のパイプの内側面と内側のパイプの外側面とに接する肉厚の円筒部52によって形成されている。そして、円筒部52の一端部には拡径した引掛け部53が形成され、内周面にはネジ溝流路54が形成されている。特に、ネジ溝流路54は二条ネジの構成であり、円筒部52の一端から他端にかけて螺旋状に連続した1本のネジ溝である。
【0025】
こうした組付け用ブジュ41,51は、同じく外パイプと内パイプの間に挿入され、スペーサとなって両パイプを同軸状に配置させることができる。そして、組付け後にはパイプ内に組付け用ブジュ41,51が残るものの、溝形流路43やネジ溝流路54を通してパイプ内を流れる流体を通すことができる。また、本実施形態の組付け用ブシュ27,28,41,51は、鋼材や樹脂或いはゴム材などによって形成される。そして、その寸法は、例えば肉厚が2mm、内径が13mmや20mm程度といったものである。従って、こうした小型部品に流路を形成する場合、溝形流路43やネジ溝流路54は加工が容易であり、特にネジ溝流路54は、タップなどを使用して容易に加工することができる。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、組付け用ブジュ41,51には流路が円筒部の内周面側に形成されたが、外周面側に形成したものであってもよい。
また、円筒のパイプを示して組付け用ブシュを説明したが、角型パイプに対するものであってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1…チャック装置 12…チャック開閉機構 13…ドローバ 21…クーラントパイプ 22…第1エアパイプ 23…第2エアパイプ 25…受ブロック 27,28…組付け用ブシュ 31…円筒部 32…流路 33…引掛け部


図1
図2
図3
図4
図5
図6