特許第6979997号(P6979997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6979997
(24)【登録日】2021年11月18日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】電力用半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20211202BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20211202BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20211202BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20211202BHJP
【FI】
   H01L25/04 C
   H01L23/36 A
   H02M7/48 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-219490(P2019-219490)
(22)【出願日】2019年12月4日
(65)【公開番号】特開2021-89969(P2021-89969A)
(43)【公開日】2021年6月10日
【審査請求日】2019年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】特許業務法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸和田 優
(72)【発明者】
【氏名】北村 保彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】松岡 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】四元 信一朗
(72)【発明者】
【氏名】岩下 翔
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 博之
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−213272(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/097798(WO,A1)
【文献】 特開2010−193593(JP,A)
【文献】 特開2000−350474(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/096734(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/29
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチング素子、複数の電解コンデンサが並列接続された平滑用のコンデンサ、複数の前記電解コンデンサが搭載された回路基板、複数の前記スイッチング素子が搭載された正電極および負電極を有する導電部材、および筐体を備え、前記回路基板は、プラス電極パターンである正電極と、マイナス電極パターンである負電極とが平行に配置された平板であって、複数の前記電解コンデンサの陽極端子が正電極に接続され、前記電解コンデンサの陰極端子が、前記負電極に接続され、複数の前記スイッチング素子と前記回路基板とは、前記導電部材に接続されて、前記筐体に収容されていることを特徴とする電力用半導体装置。
【請求項2】
前記複数のスイッチング素子の上方向に、前記電解コンデンサを搭載する前記回路基板が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電力用半導体装置。
【請求項3】
前記複数のスイッチング素子が搭載された前記導電部材の上に、複数の前記電解コンデンサが搭載された前記回路基板が重なって配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電力用半導体装置。
【請求項4】
前記筐体の内の一部または全部に絶縁放熱部材が充填されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電力用半導体装置。
【請求項5】
前記回路基板は、プリント配線板であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電力用半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電力用半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電力変換装置は、電力用半導体装置と平滑用のコンデンサとが電力用半導体装置の外部で接続されていたが、電力用半導体装置のスイッチング素子と平滑用のコンデンサとの間の配線経路が長く、インダクタンスが大きくなり、サージ電圧が大きくなるため素子耐電圧を高くしなければならず、高コストであった。また、インダクタンスが大きくなることで直流電源のリプル電圧を抑制するためにコンデンサの静電容量を大きくする必要があり、平滑用のコンデンサの大型化、ひいては電力変換装置の大型化の原因になっていた。
【0003】
さらに、静電容量が大きな平滑用のコンデンサとして、円筒形等の電解コンデンサを使用するのが一般的でスペースの有効利用が困難であり、インバータの小型化を阻害していた。
【0004】
この問題を解決するために、平滑用のコンデンサを電力用半導体装置の筺体内に収容させ、配線インダクタンスを低減してコンデンサを小型化し、ひいては電力変換装置全体を小型化することを目的とした構成が提案されていた(特許文献1)。
【0005】
この特許文献1には、電力用半導体装置のP電極およびN電極と、スイッチング素子およびダイオードとを有する複数相と、この複数相の各相に接続された平板状またはブロック状のコンデンサとを一つの筐体に内蔵し、前記各相それぞれのP電極およびN電極に1個または複数個の上記コンデンサを接続するという構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−258267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示された電力用半導体装置では、スイッチング素子および平滑用のコンデンサの発熱を共用の放熱板へ伝熱し冷却する構造であるため、同一平面にスイッチング素子と平滑用のコンデンサを配置する必要がある。これにより、スイッチング素子と平滑用のコンデンサとの間の配線経路が長く、インダクタンスが大きくなり、サージ電圧が大きくなるため素子耐電圧を高くしなければならず高コストである課題が解消できていない。さらには、電力用半導体装置の放熱板の面積、つまり電力用半導体装置を設置する面積が大きくなり、小型化には適していない。
【0008】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、平滑用のコンデンサの発熱を低減することに小型化に適した電力用半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示される電力用半導体装置は、複数のスイッチング素子、複数の電解コンデンサが並列接続された平滑用のコンデンサ、複数の前記電解コンデンサが搭載された回路基板、複数のスイッチング素子が搭載された正電極および負電極を有する導電部材、および筐体を備え、前記回路基板は、プラス電極パターンである正電極と、マイナス電極パターンである負電極とが平行に配置された平板であって、複数の前記電解コンデンサの陽極端子が正電極に接続され、前記電解コンデンサの陰極端子が、前記負電極に接続され、複数の前記スイッチング素子と前記回路基板とは、前記導電部材に接続されて、前記筐体に収容されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本願に開示される電力用半導体装置によれば、単位体積あたりの容量が大きい電解コンデンサを複数用いることで同一容量におけるコンデンサの体積を小さくすることと、複数の電解コンデンサを用いて1個当たりのリプル電流を分散させて自己発熱を低減することで冷却する必要がなく小型にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1による電力用半導体装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1による部材配置を示す構成図である。
図3】実施の形態1による電力用半導体装置の回路図である。
図4】実施の形態1によるプリント配線板のパターン図である。
図5】実施の形態2による電力用半導体装置の構成を示すブロック図である。
図6】実施の形態2による部材配置を示す構成図である。
図7】実施の形態3による電力用半導体装置の構成を示すブロック図である。
図8】実施の形態3による部材配置を示す構成図である。
図9】実施の形態4による電力用半導体装置の構成を示すブロック図である。
図10】実施の形態4による部材配置を示す構成図である。
図11】実施の形態5による電力用半導体装置の構成を示すブロック図である。
図12】実施の形態5による部材配置を示す構成図である。
図13】実施の形態6による電力用半導体装置の構成を示すブロック図である。
図14】実施の形態6による部材配置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1
図1は、実施の形態1による電力用半導体装置の概略構成を示すブロック図であって、図1Aは平面図、図1B側面断面図、図1C底面断面図である。
電力用半導体装置1は、筐体10の内部に、スイッチング素子20が搭載された導電部材50と、電解コンデンサ30が搭載されたプリント配線板40と、絶縁放熱部材60とが収められている。ただし、外部接続のため、導電部材50の一部は筐体10から突出している。
【0013】
スイッチング素子20は、上側スイッチング素子20aと下側スイッチング素子20bに分類される。電解コンデンサ30は、プリント配線板40に8個が並列接続されている(以降、8個の並列接続の例にて説明する)。ただし、1例であり、並列個数は8個に限定されるものではない。導電部材50は、P端子50a、N端子50b、出力端子50cに分類できる。
【0014】
図2は、実施の形態1による電力用半導体装置1内の部材配置を示す構成図であって、図2Aは、平面図、図2Bは側面断面図、図2Cは底面断面図である。
この図2は、図1より、電解コンデンサ30とプリント配線板40とを除いた図である。P端子50aと上側スイッチング素子20aが接続され、N端子50bと下側スイッチング素子20bが接続されている。また、出力端子50cは、上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bの両方に接続されている。電気的な回路図では、図3のように表すことができる。なお、ここでは、1アーム(1相)分の構成を示している。
【0015】
筐体10は、絶縁性および放熱性のよい樹脂が主に用いられる。例えば、フェノール系あるいはエポキシ系の樹脂材料などが挙げられるがこれに限定しない。
上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bとして示したスイッチング素子20は、例えば図3の実施の形態1に関する電力用半導体装置の回路図に示すようにMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor-Field-Effect-Transistor)などである。同様にSi系のIGBT(Insulated-Gate-Bipolar-Transistor)とダイオードによる構成、あるいはSiC系またはGaN系のスイッチング素子であっても問題ない。
【0016】
電解コンデンサ30は、平滑用のコンデンサの役割を担う。種類としては、単位体積あたりの容量が大きいアルミ電解コンデンサを想定している。その他、許容リプル電流が大きく、かつ高寿命である電解液と固体高分子を混在させたハイブリッドな電解コンデンサなどでもよい。許容リプル電流の大きい電解コンデンサを複数、並列に接続して平滑用のコンデンサとして用いることで、リプル電圧により起因するリプル電流を分散でき、1個当たりのリプル電流により生じる発熱を低減することで、電解コンデンサを積極的に冷却する必要がなくなる。必要とするトータルの容量は、例えば数十μF〜数千μFを想定している。プリント配線板40への実装方法は、スルーホールによる実装あるいは表面実装などが考えられるが、必要に応じていずれを用いてもよい。また、複数のスイッチング素子20とプリント配線板40とは導電部材50に接続されて一体構造にされて筺体10に収容される。筐体10に収める際に、サイズ制約が想定されるが同一容量でも径方向の寸法および高さ寸法を調整することができるため、レイアウト設計の自由度が高く、かつ必要な容量を確保することが可能である。汎用的な小型のアルミ電解コンデンサを千鳥状に配置することで無駄な空間を極力減らすことが可能であり、整列して配置するよりは小型化の効果を得られる。
【0017】
プリント配線板40は、ガラスコンポジット基板(CEM3)あるいはガラス布基材エポキシ樹脂(FR4)などの一般的な基材で構成される。電極パターンの配置は、片面あるいは両面、内層を有する多層のものなど様々であり、必要に応じていずれを用いてもよい。図4の実施の形態1に関するプリント配線板40の電極パターンの図では、片面のパターン配置を示している。電解コンデンサ30の+ないし−の電極に応じて+電極パターンと−電極パターンを配置している。
すなわち、+電極パターンである正電極と、−電極パターンである負電極とが平行に配置された平板であって、複数の電解コンデンサの陽極端子が正電極に接続され、電解コンデンサの陰極端子が、正電極と負電極との間の空間を跨いで負電極に接続されている構成とするようにプリント配線板あるいはそれに代わる回路基板を設定することになる。
【0018】
導電部材50のP端子50aとなる+電極パターンおよびN端子50bとなる−電極パターンの幅および厚みは、流れる電流に応じて設定することができる。例えば、幅10mm、厚み70μmにするなどである。片面で電流経路の断面積が小さい(=電気的な抵抗値が大きい)場合は、両面あるいは多層の基板を用いて必要な断面積を大きくするなどの対応をおこなう。
【0019】
導電部材50は、基本的には銅材であるが、アルミ材またはその他の合金などでもよい。形状は、リード形状(角型、丸型)あるいは平板形状がよく用いられる。導電性であれば、形状はこれに限定しない。導電部材50、スイッチング素子20およびプリント配線板40の接続は、主としてはんだ接続を使用する。その他、溶接あるいは導電性接着剤などを用いる場合もある。電気的に接続できるのであれば、その他の手段でもよい。
【0020】
絶縁放熱部材60は、絶縁性および放熱性のよい樹脂が主に用いられる。例えば、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系などが挙げられるがこれに限定しない。仕様環境および使用部材などに応じて適切な材料を選定できる。
【0021】
電解コンデンサ30を搭載したプリント配線板40とスイッチング素子20との位置関係は、図1A図1Bおよび図1Cに示すとおり、導電部材50、スイッチング素子20、プリント配線板40、電解コンデンサ30の順に、プリント配線板40の主面に対して上方向または垂直方向に積上げられて配置されている。
【0022】
これにより、電力用半導体装置1の内部で電気的に接続されるスイッチング素子20と導電部材50と電解コンデンサの接続経路長を最小にできる。つまり、配線により生じる寄生インタクタンスの増加を抑えることができるため、スイッチング時のサージ電圧の上昇を抑制することができ、スイッチング素子20のサージ電圧による破壊を防止することができる。
【0023】
スイッチング素子20および導電部材50以外の平面方向に面積を広げることなく最小にできるため、電力用半導体装置1の設置面積は必要以上に大きくならない。
既存のコンデンンサの種類の中で、単位体積あたりの容量が大きい電解コンデンサを用いることで、同一容量において体積を小さくできるため、小型化が可能である。
【0024】
また、電解コンデンサはメーカーにより耐震性を強化したものも用意されているがサイズ増、コスト増となるデメリットがある。これに対し、電力用半導体装置1の内部に電解コンデンサ30が配置され、かつ絶縁放熱部材60が充填されていることで、耐震性が強化されたものと同じ効果が期待できる。おのずと、小型化およびコスト削減の効果を得ることもできる。
【0025】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1と異なる点のみ説明し、重複する説明は省略する。
図5は、実施の形態2による電力用半導体装置の概略構成を示すブロック図であって、図5Aは平面図、図5Bは側面断面図、図5Cは底面断面図である。
電力用半導体装置1の筐体10から突出するP端子50aおよびN端子50bの位置が図5の上下方向に位置している。P端子50aは上部、N端子50bは下部に突出している。P端子50a、N端子50bおよびスイッチング素子20の位置関係は図6の実施の形態2に関する電力用半導体装置1内の部材の配置図に示す。
【0026】
このようなP端子50aおよびN端子50bの配置も可能であり、電力用半導体装置1を用いる製品のレイアウト設計の自由度が向上できる。場合によっては、実施の形態1よりも電力用半導体装置1の内部で電気的に接続されるスイッチング素子20と導電部材50と電解コンデンサの接続経路長を短くできる。つまり、配線により生じる寄生インタクタンスの増加を抑えることができるため、スイッチング時のサージ電圧の上昇を抑制することができ、スイッチング素子20のサージ電圧による破壊を防止することができる。
【0027】
実施の形態2による電力用半導体装置1内の部材の配置を次に示す。図6は、実施の形態3による部材配置を示す構成図であって、図6Aは平面図、図6Bは側面断面図、図6Cは底面断面図である。
この図6は、図5より、電解コンデンサ30とプリント配線板40を除いた図である。P端子50aと上側スイッチング素子20aが接続され、N端子50bと下側スイッチング素子20bが接続されている。また、出力端子50cは、上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bの両方に接続されている。電気的な回路図では、図3のように表すことができ、1アーム(1相)分の構成である。
【0028】
実施の形態3.
図7は、実施の形態3による電力用半導体装置の概略構成を示すブロック図であって、図7Aは平面図、図7Bは側面断面図、図7Cは底面断面図である。
スイッチング素子20に対して電解コンデンサ30を搭載したプリント配線板40が、上方向に配置されている。すなわち、上側スイッチング素子20aが導電部材50のP端子50aと出力端子50cとの上に搭載され、下側スイッチング素子20bが導電部材50のN端子50bと出力端子50cとの上に搭載されており、この上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bの位置に比べて上方向に複数の電解コンデンサ30が配置されている。P端子50a、N端子50bおよびスイッチング素子20の位置関係は、図8A図8B図8Cに示す。
【0029】
実施の形態1あるいは実施の形態2と比べて電力用半導体装置の製品への設置面積が広くなるが、逆に高さ寸法を小さくできる利点がある。例えば、電解コンデンサ30の容量を変えずに径方向の寸法を大きくすることで、高さ寸法を小さくすることができる。また、電力用半導体装置1を他の製品に設置する場合に、面積が広いことで、スイッチング素子20だけでなく、P端子50a、N端子50b、電解コンデンサ30およびプリント配線板40の発熱を冷却する際の効率を良くすることができるという効果が得られる。なお、図7aおよび図7bに示すように、上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bの位置に比べて上方向に複数の電解コンデンサ30を配置する場合には、できるだけ横方向に広がらないように接近させて配置することが望ましい。
【0030】
実施の形態3による電力用半導体装置1内の部材の配置を次に示す。図8は、実施の形態3による部材配置を示す構成図であって、図8Aは平面図、図8Bは側面断面図、図8Cは底面断面図である。
この図8A図8B図8Cは、図7A図7B図7Cより、電解コンデンサ30とプリント配線板40を除いた図である。P端子50aと上側スイッチング素子20aが接続され、N端子50bと下側スイッチング素子20bが接続されている。また、出力端子50cは、上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bの両方に接続されている。電気的な回路図は、図3のように表すことができ、1アーム(1相)分の構成である。
【0031】
実施の形態4.
実施の形態4は、実施の形態3と異なる点のみ説明し、重複する説明は省略する。
図9は、実施の形態4による電力用半導体装置の概略構成を示すブロック図であって、図9Aは平面図、図9Bは側面断面図、図9Cは底面断面図である。
電力用半導体装置1の筐体10から突出するP端子50aおよびN端子50bの位置が図9Aおよび図9Cの上下方向に位置している。P端子50aは上部、N端子50bは下部に突出している。この図9Aに示すように、上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bは、電解コンデンサ30が設けられたプリント配線板40と同じ面方向で異なる領域に設けられている。すなわち、横に並べて配置されている。
実施の形態3による電力用半導体装置1内のP端子50a、N端子50b、上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bの配置を次に示す。図10は、実施の形態4による部材配置を示す構成図であって、図10Aは平面図、図10Bは側面断面図、図10Cは底面断面図である。
【0032】
このようなP端子50aおよびN端子50bの配置が可能であり、電力用半導体装置1を用いる製品のレイアウト設計の自由度が向上できる。場合によっては、実施の形態3よりも電力用半導体装置1の内部で電気的に接続されるスイッチング素子20と導電部材50と電解コンデンサの接続経路長を短くできる。つまり、配線により生じる寄生インタクタンスの増加を抑えることができるため、スイッチング時のサージ電圧の上昇を抑制することができ、スイッチング素子20のサージ電圧による破壊を防止することができる。
【0033】
実施の形態5.
実施の形態5は、実施の形態3と異なる点のみ説明し、重複する説明は省略する。
図11は、実施の形態5による電力用半導体装置の概略構成を示すブロック図であって、図11Aは平面図、図11Bは側面断面図、図11Cは底面断面図である。
電解コンデンサ30を搭載したプリント配線板40が2箇所に分割されてスイッチング素子20の両側に配置されている。P端子50a、N端子50b、上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bの配置を次に示す。図12は、実施の形態5による部材配置を示す構成図であって、図12Aは平面図、図12Bは側面断面図、図12Cは底面断面図である。この図12Aに示すように、上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bとプリント配線板40との位置関係は、実施の形態4と同じように、上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bは、電解コンデンサ30が設けられたプリント配線板40と同じ面方向で異なる領域に設けられている。すなわち、横に並べて配置されている。
【0034】
電力用半導体装置1を製品に設置する面積は実施の形態3および実施の形態4と変わらないが電解コンデンサ30の位置が変わることで、Xコンデンサとして機能するためスイッチング等によるノイズを吸収し、出力側にノイズが発生しないようにすることができる。ただし、電解コンデンサ30の周波数特性の範囲に限定されるため、ノイズの周波数帯域に応じた部品選定をする必要がある。
【0035】
実施の形態6.
実施の形態6は、実施の形態5と異なる点のみ説明し、重複する説明は省略する。
図13は、実施の形態6による電力用半導体装置の構成を示すブロック図であって、図13Aは平面図、図13Bは側面断面図、図13Cは底面断面図である。
電力用半導体装置1の筐体10から突出するP端子50aおよびN端子50bが図13Aおよび図13Bに示すように、電力用半導体装置1の上下方向に突き出るように位置している。P端子50aは上部、N端子50bは下部に突出している。P端子50a、N端子50b、上側スイッチング素子20aおよび下側スイッチング素子20bの配置を次に示す。図14は、実施の形態6による部材配置を示す構成図であって、図14Aは平面図、図14Bは側面断面図、図14Cは底面断面図である。
【0036】
このようなP端子50aおよびN端子50bの配置が可能であり、電力用半導体装置1を用いる製品のレイアウト設計の自由度が向上できる。場合によっては、実施の形態5よりも電力用半導体装置1の内部で電気的に接続されるスイッチング素子20と導電部材50と電解コンデンサの接続経路長を短くできる。つまり、配線により生じる寄生インタクタンスの増加を抑えることができるため、スイッチング時のサージ電圧の上昇を抑制することができ、スイッチング素子20のサージ電圧による破壊を防止することができる。
【0037】
前述した実施の形態1から6においては、1相分の電気回路の構成を示しているが、これを複数個用いることで多相として扱うことが可能である。例えば、3相(U相、V相、W相)であれば、3つを用いてP端子、N端子を並列に接続し、出力端子はU相、V相、W相と割り当てればよい。
【0038】
なお、実施の形態1から6において、電解コンデンサを搭載する基板として、プリント配線板を使用することを説明しているが、プリント配線板は一例であって、こだわるものではなく、導電性と伝熱性を考慮して、他の導電性の良い回路基板を使用しても良い。
【0039】
本願は、様々な例示的な実施の形態が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0040】
1 電力用半導体装置、10 筐体、20 スイッチング素子、20a 上側スイッチング素子、20b 下側スイッチング素子、30 電解コンデンサ、40 プリント配線板、50 導電部材、50a P端子、50b N端子、50c 出力端子、60 絶縁放熱部材
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